内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

家族歴を有するCAD中等度リスク者、CACスコア併用の1次予防戦略が有用/JAMA

 家族歴を有する冠動脈疾患(CAD)中等度リスク者に対する1次予防戦略に、冠動脈カルシウム(CAC)スコアを組み合わせる利点を裏付けるデータが、オーストラリア・Baker Heart and Diabetes Research InstituteのNitesh Nerlekar氏らCAUGHT-CAD Investigatorsが行った無作為化試験の結果で示された。標準ケアのみと比較して、アテローム性脂質の減少とプラーク進展の制御が認められたという。CACスコアリングは、とくにCAD中等度リスクの患者において、予後情報を提供することが知られている。しかしながら、CACスコアと1次予防戦略の組み合わせの利点を検証する無作為化試験はこれまで行われていなかった。JAMA誌オンライン版2025年3月5日号掲載の報告。

カルシウム摂取が多いほど大腸がんリスク低下

 カルシウム摂取が大腸がんのリスク低下と関連するとの報告があるが、この関連がカルシウム源や腫瘍部位によって異なるかは明らかではない。さらに、人種や民族によるカルシウム摂取量の差が大腸がんリスクに与える影響も不明である。米国・Division of Cancer Epidemiology and Genetics, National Cancer InstituteのSemi Zouiouich氏らはカルシウムの摂取源と腫瘍部位を考慮し、人種や民族を超えたカルシウム摂取と大腸がんリスクとの関連を調査した。本研究の結果はJAMA Network Open誌2025年2月17日号に掲載された。  米国国立衛生研究所の「NIH-AARP食事と健康研究」のデータを分析した。参加者はベースライン(1995年10月~1996年5月)時点での年齢が50~71歳、自己申告による健康状態が良好で、カロリーやカルシウム摂取量が極端に多過ぎず、少な過ぎない人であり、最初の原発がん診断、死亡、追跡不能、または終了日(2018年12月31日)まで追跡調査された。データは2022年4月~2024年4月に分析された。カルシウム摂取量は、アンケート回答による摂取源(乳製品および非乳製品)、サプリメントの総摂取量から推定し、主要アウトカムは大腸がんの発生率だった。

ジュースクレンズはたった3日間でも有害な可能性

 一定期間、固形物を取らずにジュースのみで必要な栄養素を補うジュースクレンズは、ファスティングの一種であり、健康的な生活を始める第一歩として多くの人に取り入れられている。しかし、たとえ短期間であっても、こうした食生活によりもたらされるのは効果よりも有害性の方が大きいかもしれない。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のMelinda Ring氏らの研究によると、野菜や果物のジュースのみの食事を3日間続けることで、炎症や記憶力および思考力の問題との関連が指摘されている腸内や口腔のマイクロバイオームに変化が起こることが明らかになったという。詳細は、「Nutrients」に1月27日掲載された。

5~24歳の肥満者数、この30年で3倍に/Lancet

 1990~2021年にかけて世界のあらゆる地域で過体重と肥満が大幅に増加しており、増加を抑制するための現行の対策が小児期・青年期の世代で失敗していることが、オーストラリア・Murdoch Children 's Research InstituteのJessica A. Kerr氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2021 Adolescent BMI Collaboratorsの解析で明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「2021年以降も、小児期・青年期の過体重の有病率は高いままで、将来的に肥満集団はさらに増加すると予測される。世界のすべての地域、すべての人口集団で増加が続き、2022~30年に大きな変化が起こると予測されるため、この公衆衛生上の危機に対処するため早急な行動が必要である」と述べている。Lancet誌2025年3月8日号掲載の報告。

病院の6割超が赤字、2026年度改定に向け合同声明を公表/日医ほか

 診療報酬は公定価格であるため、昨今の急激な物価や人件費の高騰を価格転嫁することができず、病院は深刻な経営難に陥っている。そこで、日本病院会などの6病院団体は、2024年6月の診療報酬改定後の病院の経営状況に関して緊急調査を実施し、その結果を3月12日の日本医師会との合同記者会見で報告した。  主な結果は以下のとおり。 ・調査は6病院団体の会員が対象で、1,816病院から回答を得た(回答率:30.8%)。

週末2~3時間のキャッチアップ睡眠でCKDリスク低下

 中国・広西中医薬大学のSheng Chen氏らは、米国成人における週末のキャッチアップ睡眠と慢性腎臓病(CKD)との関連を調査した。Renal Failure誌2025年12月号の報告。  対象は、2017〜20年の国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した20歳以上の成人4,934人。週末のキャッチアップ睡眠と関連したCKDリスクを評価した。週末のキャチアップ睡眠時間に基づくCKDリスクを評価するため、対象者を睡眠時間に応じて4群に分類した。週末のキャチアップ睡眠時間が1時間未満を対照群とし、1〜2時間群、2〜3時間群、3時間以上群との比較を行った。

25年度の「骨太の方針」に要望する3つの事項/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例の記者会見を3月5日に開催した。会見では、先般衆議院を通過した令和7(2025)年度の予算案について内容に言及するとともに、5月31日の「世界禁煙デー」での取り組みなどが説明された。  はじめに松本氏が、「令和7年度予算案の衆議院通過を受けて」をテーマに、今回の予算内容や医療全般、医師会とのかかわり、今後さらに要望していくべき事項などを説明した。

アルツハイマー病リスクに影響する食べ物とは?

 食習慣とアルツハイマー病との因果関係を評価するため、中国・The First Affiliated Hospital of Ningbo UniversityのYi Huang氏らは、2サンプルのメンデルランダム化(MR)解析を用いて、本研究を実施した。Food & Function誌2025年2月17日号の報告。  ゲノムワイド関連研究(GWAS)データと並行し、2サンプルのメンデルランダム化解析を用いて、17食品の食習慣とアルツハイマー病リスクとの因果関係を包括的に評価した。結果のロバストを保証するため、単変量MR解析および多変量MR解析の両方を使用した。すべての分析には、逆分散重み付け(IVW)法を用いた。感度分析には、最尤法、MR-RAPS法、MR-Egger法を用いた。

慢性疾患を持つ労働者の多くが職場で病気を隠している

 糖尿病、心臓病、喘息などの慢性疾患を持つ米国の労働者の60%は、そのような健康上の問題を職場の管理者に伝えていないという実態が報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のGillian SteelFisher氏らが行った調査の結果であり、2月11日、同大学院のサイトにニュースリリースが掲載された。  調査の結果、慢性疾患を持つ労働者の3分の1以上が、過去1年間に、仕事の都合で必要な受診をしない日があったことも明らかになった。SteelFisher氏は、「慢性疾患を持つ労働者は、自分の健康状態のために差別を受けていると感じることが多く、そのために仕事と健康の双方に深刻な影響が及ぶこともある」と話している。

痛みを抑える目的でタバコを吸う人々の存在とその特徴/順天堂大

 喫煙者の一部は、身体の痛みを抑えることを目的にタバコを吸っている。そのような人々は若年者に多く、痛みをより強く感じているといった特徴があるようだ。これは、順天堂大学大学院医学研究科疼痛制御学の山田恵子氏らの研究によるもので、「Neuropsychopharmacology Reports」に1月2日、短報として掲載された。  タバコに含まれるニコチンには「ごく一時的な」鎮痛作用があるらしいことが過去に報告されている。ただし喫煙と痛み(疼痛)との関連は複雑で、長期にわたる喫煙は痛みを生じるリスク因子であることや、ニコチン離脱時(タバコを吸えない時や禁煙開始時)には、痛みがむしろ強まることも報告されている。タバコを吸うという行動と潜在的に関係する心理的な要因や生活環境も、痛みに影響を及ぼし得ると推測される。しかし、痛みを緩和する目的での喫煙の実態は、これまでほとんど調査されていない。山田氏らは本研究を「痛みの緩和を目的としてタバコを吸う人々の存在にスポットを当てた、国内初の研究」と位置付けている。