内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:322

ChAdOx1 nCoV-19(AZ社)における1回接種の有効性と血栓形成を含む新たな展開 (解説:山口佳寿博氏)-1364

AstraZeneca社のChAdOx1 nCoV-19(AZD1222)は、チンパンジーアデノウイルス(Ad)をベクターとして用いた非自己増殖性の同種Adワクチンである。ChAdOx1に関する第I~III相試験は、英国、ブラジル、南アフリカの3ヵ国で4つの試験が施行された。それら4つの試験に関する総合的評価は中間解析(Voysey M, et al. Lancet. 2021;397:99-111.)と最終解析(Voysey M, et al. Lancet. 2021;397:881-891.)の2つに分けて報告された。

英国・EU規制当局がAZ製ワクチンのレビューを発表、ベネフィットがリスクを上回る

 接種後に血栓などの報告があり、一部の国で接種が中止されていたアストラゼネカ製COVID-19ワクチン(AZD1222、日本では承認申請中)について、2021年3月18日、英国医薬品・医療製品規制庁(The Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:MHRA)および欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)は、ベネフィットがリスクを上回ることを再確認した。同日、英国アストラゼネカ社が発表した。  MHRA・EMAの報告によると、ワクチン接種後の静脈血栓の発症率は、ワクチン接種を受けていない場合に想定される発症率を上回るという根拠はなく、接種のベネフィットがリスクを上回るとした。一方で、稀な血栓症である血小板の減少を伴う脳静脈洞血栓症(CVST)に関する5件の症例と関連する可能性は残され、ワクチンとの因果関係は確立されていないものの、さらなる分析に値する、としている。

新型コロナワクチン、安全な筋注部位を新たに追加/日本プライマリ・ケア連合学会

 プライマリ・ケア連合学会と予防医療・健康増進委員会ワクチンチームが制作・監修を行った『新型コロナワクチンより安全な新しい筋注の方法 2021年3月版』が3月15日に公開された。本解説は、2月22日にYoutubeに公開され多くの反響を得た『新型コロナワクチン 筋肉注射の方法とコツ』(動画)に安全な接種部位を加筆修正したもの。 より安全と考えられる新たな接種部位として、「肩峰から下ろした垂線と前腋窩線の頂点・後腋窩線の頂点を結ぶ線の2つの線が交わる点」が推奨されている。ただし、従来からの接種部位(肩峰から3横指下)も選択肢として残されている。

キノコ摂取量とがんリスク~メタ解析

 キノコは生理活性化合物が豊富で、健康上のメリットについての研究が増えている。そこで、米国・ペンシルベニア州立大学医学部のDjibril M. Ba氏らは、系統的レビューおよびメタ解析により、キノコ摂取量と各種がん発生リスクとの関連を評価した。その結果、がん全体、とくに乳がんにおいて、キノコ摂取量が多いほどがんリスクが低いことが示された。Advances in Nutrition誌オンライン2021年3月16日号に掲載。

認知症への中枢神経系作用薬巡るポリファーマシーの実態/JAMA

 2018年に、米国の認知症高齢患者の13.9%で、中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用(ポリファーマシー)の処方が行われており、曝露日数中央値は193日に及び、最も多い薬剤クラスの組み合わせは抗うつ薬+抗てんかん薬+抗精神病薬であることが、同国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年3月9日号に掲載された。米国では、地域居住の認知症高齢者は、向精神薬やオピオイドの使用率が高いとされる。また、これらの患者では、中枢神経系作用薬の不適切な多剤併用により、認知機能の低下、転倒関連の傷害、死亡のリスクが増加する可能性があるという。

過体重・肥満におけるGLP-1受容体作動薬注射製剤の体重減少効果(解説:小川大輔氏)-1365

肥満症の治療において食事療法と運動療法は重要であるが、実際には適切なカロリー摂取と適度な運動を実践し継続することは難しい。現在、肥満症の薬物療法として日本で認められている薬剤としてはマジンドールがあるが、BMI 35以上の高度肥満症に対象が限られており、投与期間も3ヵ月までと制限があるため実際にはほとんど使用されていない。また胃バイパス術という選択肢もあるが、外科療法ということもありハードルが高い。過体重または肥満の成人に対し、食事療法と強化行動療法を行ったうえでGLP-1受容体作動薬セマグルチド2.4mgの週1回皮下投与により、プラセボと比較し有意な体重減少効果が示された(セマグルチド群-16.0%、プラセボ群-5.7%、p<0.001)。また有害事象としては消化器症状が最も多く認められた(セマグルチド群82.8%、プラセボ群63.2%)。

日本人高齢者の認知症リスクと近隣歩道環境~日本老年学的評価研究コホート

 日常生活に欠かせない環境資源の1つである歩道は、身体活動を促進するうえで重要なポイントとなる。しかし、先進国においても歩道の設置率は十分とはいえない。東京医科歯科大学の谷 友香子氏らは、日本における近隣の歩道環境と認知症リスクとの関連を調査した。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2021年2月19日号の報告。  地域在住の高齢者の人口ベースコホート研究である日本老年学的評価研究の参加者を対象に、3年間のフォローアップ調査(2010~13年)を実施した。公的介護保険制度のデータより高齢者7万6,053人の認知症発症率を調査した。436ヵ所の住宅近隣ユニットの道路面積に対する歩道の割合を、地理情報システムを用いて算出した。認知症発症率のハザード比(HR)は、マルチレベル生存モデルを用いて推定した。

mRNAワクチン、無症候性感染リスクも低下/大規模調査

 新型コロナウイルスワクチンは無症候性感染にも有効なのか。米国・メイヨークリニックのAaron J. Tande氏らによる大規模調査によって、ワクチン接種によって 無症候性の感染リスクも低下することがわかったという。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2021年3月10日号掲載の報告。  該当地域においてワクチン接種が始まった2020年12月17日から2021年2月8日の間に、処置/手術前にSARS-CoV-2検査を受けた無症状の患者(3万9,156例)の検査4万8,333件を対象として、後ろ向きコホート研究を実施した。

COVID-19疑いへのアジスロマイシン追加の臨床的意義/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染疑い例の治療において、アジスロマイシンを通常治療に追加するアプローチは通常治療単独と比較して、回復までの期間を短縮せず、入院リスクを軽減しないことが、英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らPRINCIPLE Trial Collaborative Groupが行った「PRINCIPLE試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年3月4日号に掲載された。アジスロマイシンは、抗菌作用と共に抗ウイルス作用や抗炎症作用が期待できるためCOVID-19の治療に使用されているが、市中の無作為化試験のエビデンスは不足しているという。

CGRPを標的とした片頭痛治療薬の作用機序比較

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とした片頭痛治療薬の臨床効果は、片頭痛の病因に対し重要な役割を果たしている。3つのCGRPリガンドに対する抗体(fremanezumab、ガルカネズマブ、eptinezumab)とCGRP受容体に対する抗体(erenumab)は、米国において片頭痛予防に承認された薬剤である。また、2つの小分子CGRP受容体拮抗薬(ubrogepant、rimegepant)は、急性期片頭痛の治療薬として承認されている。片頭痛の治療では、CGRPリガンドまたは受容体を標的とすることが効果的であるが、これらの治療薬を比較したエビデンスは十分ではなかった。米国・Teva BiologicsのMinoti Bhakta氏らは、これらCGRPを標的とした薬剤における作用機序の違いを明らかにするため、検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月24日号の報告。