内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:242

日本人高齢者におけるうつ病と道路接続性との関係~JAGES縦断研究

 高齢者において、メンタルヘルス対策は重要であり、近隣環境がうつ病の保護因子として注目されている。これまでの調査では、近隣環境の重要な指標である道路接続性が高齢者の健康と関連していることが示唆されている。しかし、道路接続性とうつ病との関連については、不明なままであった。千葉大学のYu-Ru Chen氏らは、高齢者のうつ病と道路接続性との関係について調査を行った。その結果、道路接続性と高齢者のメンタルヘルスとの関連が示唆された。著者らは、本調査結果が今後の健全な都市計画の検討に貢献する可能性があるとしている。Scientific Reports誌2022年8月8日号の報告。

5~11歳への3回目ファイザー製ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は8月30日、5~11歳を対象とするファイザー製新型コロナウイルスワクチン「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」(販売名:コミナティ筋注5~11歳用)について、追加接種(追加免疫)の用法・用量追加について承認したことを発表し、添付文書を改訂した。  今回の追加接種の年齢層の拡大は、海外第I/II/II/相試験(C4591007試験)第II/III相パートのデータに基づいている。本試験では、本剤10μgを2回接種済みの5~11歳の小児参加者401例に、2回目接種から5~9ヵ月後に本剤10μgを1回接種したときの免疫原性および安全性が検討された。

第7波のコロナ重症化リスク因子/COVID-19対策アドバイザリーボード

 8月13日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで「第7波における新型コロナウイルス感染症 重症化リスク因子について(速報)」が報告された。  本報告は、蒲川 由郷氏(新潟大学大学院医学総合研究科 十日町いきいきエイジング講座 特任教授)らのグループが、2022年7月1日~31日までに新潟県内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断・届け出された3万6,937件を対象に調査したもの。  その結果、重症化のリスク因子として70代以上の高齢者、ワクチンの未接種、慢性呼吸器疾患、(非透析の)慢性腎臓病、男性、やせ体形につき、統計学的な有意差があった。

昇降式仕事机を活用した介入で、1日の座位時間が短縮/BMJ

 内勤職員の健康増進を目的とする座位時間の短縮のための介入において、SMART Work and Life(SWAL)と呼ばれる方法を導入すると、この介入を行わない通常の仕事の形態と比較して1日の座位時間が有意に短くなり、さらにSWALに高さの調節が可能な仕事机を加えると、SWAL単独よりも短縮効果が約3倍に増大することが、英国・レスター大学のCharlotte L. Edwardson氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年8月17日号で報告された。  研究グループは、SWALが日常的な座位時間に及ぼす効果を評価し、昇降式仕事机の有無で座位時間の短縮効果に差があるかの検証を目的に、3群クラスター無作為化対照比較試験を行った(英国レスター大学の助成を受けた)。

ユルトミリス、全身型重症筋無力症の適応追加

 アレクシオンファーマは、「ユルトミリス点滴静注300mg」「ユルトミリスHI点滴静注300mg/3mL」「ユルトミリスHI点滴静注1100mg/11mL」(一般名:ラブリズマブ[遺伝子組み換え]、以下ユルトミリス)について、成人の全身型重症筋無力症(gMG)に対する適応追加の承認を、2022年8月24日付で取得したことを発表した。  ユルトミリスは、最初で唯一の長時間作用型抗補体C5抗体であり、速やかかつ全面的・持続的に終末補体を阻害する。成人の患者において、導入期として初回投与、維持期として初回投与2週後投与、以降8週間ごとに静脈内投与される。

コロナ感染6日目、抗原検査陰性なら隔離解除は可能か?

 家庭用迅速抗原検査は、感染初期にはウイルス培養検査と相関するが、陽性から5、6日目以降のデータは少ない。そこで、新型コロナ陽性もしくは症状発現から6日目以降の抗原検査陽性率、症状、ウイルス培養陽性率について検証したところ、症状が残存している人でも自己抗原検査で陰性であれば隔離解除できるということが示唆された。一方で、抗原検査陰性を隔離解除の条件として常に求めることは、感染性のウイルスを排出しない人の隔離を過度に延長することになるかもしれないという。本結果は、米国・Brigham and Women's HospitalのLisa A. Cosimi氏らが、JAMA Network Open誌2022年8月3日号のリサーチレターで報告した。

ブースター接種率、職業や年収によって明確な差

 COVID-19ワクチンのプライマリ接種完了者(以下、ワクチン接種完了者)であっても、ブースター接種を受けるかどうかに関しては、地理的・職業的・社会人口学的な差異があることを、米・NYC Test and Trace CorpsのIsrael T. Agaku氏らが報告した。ブースター接種の必要性と接種意欲に関する調査は実施されているが、同氏らの認識ではブースター接種率とその背景因子を評価した大規模な調査は行われていないため、本調査を実施して社会人口学的要因を明らかにすることにした。JAMA Network Open誌2022年8月19日号掲載の報告。  この横断的研究は、米国国勢調査局の2021年12月1日~2022年1月10日の家計実態調査を基に行われた。メールやSMSで参加者を募り、オンラインで回答を得た。参加者には、新型コロナワクチンの接種の有無、接種回数と初回に接種したワクチンのメーカー名、自己申告によるCOVID-19感染の有無を尋ねた。また、社会人口学的要因として、COVID-19の感染の有無が不明な人との接触機会を探るため、過去7日間で最もよくいた場所、婚姻状況、子供の人数、居住地域、人種・民族、性別、年齢、最終学歴などを調査した。  解析対象者は、ワクチン接種を完了している成人13万5,821人(18~44歳は41.5%[平均年齢48.07±17.18歳]、女性51.0%)であった。ブースター接種の定義は、初回に接種したワクチンがジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンの場合は2回以上の接種、ファイザー製ワクチンまたはモデルナ製ワクチンの場合は3回以上の接種とした。調整接種率(APRs)はポアソン回帰法を用いて測定し、ワクチン接種完了者のうちブースター接種を受けた人の背景を調査した。

コロナvs.インフル、入院患者の血栓塞栓症リスク/JAMA

 米国・ペンシルベニア大学のVincent Lo Re III氏らによる、米国の公衆衛生サーベイランスシステムのデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、COVID-19入院患者はワクチンの導入前か実施期間中にかかわらず、2018/2019シーズンのインフルエンザ入院患者と比較し、入院後90日以内の動脈血栓塞栓症リスクに有意差はないものの静脈血栓塞栓症リスクが有意に高いことが示された。これまで、COVID-19患者における動脈血栓塞栓症および静脈血栓塞栓症の発生率は不明であった。JAMA誌2022年8月16日号掲載の報告。

スペインにおけるサル痘の臨床症状とウイルス学的評価:前向き観察コホート研究(解説:寺田教彦氏)

サル痘は1970年にヒトの感染が報告され、近年はナイジェリアやコンゴ共和国などの地域で増加傾向となり、主に中央アフリカから西アフリカで流行する感染症と考えられていた。しかし、2022年5月以降に欧米などのこれまでサル痘の流行が認められていなかった複数の国で、渡航歴がなく疫学的リンクの確認できない患者が確認された。流行は拡大し、7月23日にはWHO事務局長から、緊急委員会の見解等を踏まえ、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言されている(厚生労働省検疫所 FORTH.「複数国におけるサル痘の発生に関しての国際保健規則[IHR2005]第2回緊急委員会会合の報告」)。

サル痘に対する経口抗ウイルス薬tecovirimat、忍容性は良好/JAMA

 サル痘の世界的な流行で、2022年8月18日時点で3万9千人以上の患者が報告されており、患者の13%が入院を必要としているという。2018年に、天然痘に対する抗ウイルス薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されたtecovirimat(商品名:TPOXX、SIGA Technologies製)が、サル痘にも有効とされている。本剤の有効性は、in vitroで天然痘とサル痘の両方に対する活性が示されており、健康成人での試験で良好な臨床安全性プロファイルが確認されている。米国・カリフォルニア大学Davis Medical CenterのAngel N. Desai氏らは、コンパッショネート・ユースに基づいてtecovirimatの治療を受けたサル痘患者の非対照コホート研究を行い、有害事象と全身症状および病変の臨床的改善を評価した。その結果、副作用もほとんどなく、高い忍容性が認められたという。JAMA誌オンライン版2022年8月22日号リサーチレターに掲載。