内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:241

片頭痛と胃腸疾患との関係

 片頭痛は世界中に蔓延している疾患であり、最近の研究によると、胃腸疾患患者において片頭痛の発症率が増加しているとされている。また、前臨床でのエビデンスでは、消化管神経系と脳腸軸などの中枢神経系との双方向性の関係が示唆されている。韓国・同徳女子大学校のJemin Kim氏らは、主要な胃腸疾患と片頭痛との関連を明らかにするため、検討を行った。その結果、胃腸疾患と片頭痛との間に統計学的に有意な関連が認められ、この関連は胃腸疾患の数が多い患者や、片頭痛の予防と急性期治療の両方で片頭痛治療薬を使用している患者において、強い相関が認められることが報告された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年3月28日号の報告。

RBDダイマーベースの新規コロナワクチン、有効性を確認:第III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ZF2001」について、大規模な成人集団において、完全接種後6ヵ月以上にわたり症候性COVID-19の発症および重症化に対する安全性と有効性が確認されたことを、中国科学院のLianpan Dai氏らが発表した。ZF2001は、武漢-Hu-1株からの重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の二量体タンデム-リピートスパイクタンパク質RBDを用いて開発されたワクチン。第I相および第II相の臨床試験で成人における安全性、忍容性および免疫原性があることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。

血栓回収脳卒中センターと地方脳卒中センター、死亡率に有意差なし/JAMA

 大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者を、地方脳卒中センターに搬送した場合と血栓回収脳卒中センターへ搬送した場合を比較した結果、90日神経学的アウトカムについて有意な差は示されなかった。スペイン・Hospital Universitari Germans Trias i PujolのNatalia Perez de la Ossa氏らが、同国カタルーニャ州で行った住民ベースの多施設共同クラスター無作為化試験の結果を報告した。地方では血栓回収脳卒中センターへのアクセスが制限されており、大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者の最適な搬送先病院の戦略は明らかになっていなかった。JAMA誌2022年5月10日号掲載の報告。  試験は2017年3月~2020年6月に、スペインのカタルーニャ州で、血栓摘出術が提供できない地方の脳卒中センターに近在する救急医療サービスを利用した、急性大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者1,401例を対象に行われた。  被験者は、血栓回収脳卒中センターへと搬送された群(688例)と近接の地方脳卒中センターに搬送された群(713例)に無作為化され、追跡評価を受けた。最終フォローアップは2020年9月。

オミクロン株とデルタ株の流行時期における、COVID-19に伴う症状の違いや入院リスク、症状持続時間について(解説:寺田教彦氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、流行株の種類により感染力や重症化率、ワクチンの効果が変化していることはニュースでも取り上げられている。これらのほかに、流行株により臨床症状が変わってきたことも医療現場では感じることがあるのではないだろうか?例えば、2020年にイタリアから報告されたCOVID-19に伴う症状では、味覚・嗅覚障害が新型コロナウイルス感染症の50%以上に認められ、特徴的な症状の1つと考えられていたが、それに比して咽頭痛や鼻汁などの上気道症状は少なかった(Carfi A, et.al. JAMA 2020;324:603-605.)。ところが、2022年4月現在の臨床現場の感覚としては、COVID-19に伴う症状は咽頭痛や声の変化を訴える患者が増えてきており、味覚・嗅覚障害を理由に検査を新型コロナウイルスのPCR検査を受ける人はほとんどいなくなったように思われる。

コロナ既感染の高齢者、ワクチン接種後に強力な抗体反応を獲得/日本感染症学会

 高齢者介護施設の入所者と職員に対して、ファイザー製新型コロナワクチン(BNT162b2)接種後の抗体反応を検討した結果、高齢者であっても、新型コロナ既感染者であれば、ワクチン接種後に強力な抗体反応を獲得できることが示された。4月22~23日にオンラインで開催された第96回日本感染症学会総会・学術講演会で、九州大学の鄭 湧氏が発表した。本結果はJournal of Infection誌2022年3月1日号にも掲載されている。  本研究では、高齢入所者60例(平均年齢84.0歳、未感染者43例、既感染者17例)、施設職員66例(平均年齢46.7歳、未感染者34例、既感染者32例)の計126例を対象とし、2021年5~7月にファイザー製ワクチンを2回接種し、接種前後の検体を用いて、SARS-CoV-2スパイク蛋白特異的IgG抗体価を測定した。感染防御水準は、ワクチン製造元の指示に基づき、抗体価4,160 AU/mLとした。

長期的な体重変化とその後の認知症リスク

 中高年期の体重減少は、その後の認知症リスクの上昇と関連しているといわれている。しかし、多くの研究では、身体的フレイル(PF)の潜在的な影響について検討が不十分であり、フォローアップ期間が限られているか、対照が最適化されていないなどの問題がある。中国・浙江大学のJie Shen氏らは、米国の中年期成人および高齢者の体重変化と認知症リスクとの長期的および時間的な関係を調査するため、検討を行った。その結果、中年期成人および高齢者の認知症リスクと体重減少との関連が認められた。この関連は、PFの状態とは無関係であり、最近の体重減少だけでなく、10年以上前の体重減少との関連が確認された。The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版2022年4月14日号の報告。

新しい植物由来COVID-19ワクチン、各種変異株に有効:第III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンCoVLP+AS03(カナダ・Medicago製)は、各種変異株によるCOVID-19の予防に有効で、症候性COVID-19に対する有効率は69.5%、中等症~重症COVID-19に対する有効率は78.8%であったことを、カナダ・MedicagoのKaren J. Hager氏らが第III相無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。CoVLP+AS03ワクチンは、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)という植物で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質を発現させ形成されたコロナウイルス様粒子(CoVLP)と、アジュバントシステム03(AS03)を組み合わせた、新しい植物由来COVID-19ワクチンである。NEJM誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。

地中海食、心血管イベントの2次予防にも有用/Lancet

 心血管イベントの2次予防において、地中海食は低脂肪食よりも優れていることが、スペインのレイナ・ソフィア大学病院で実施された単施設の無作為化臨床試験「CORDIOPREV試験」で示された。同病院のJavier Delgado-Lista氏らが報告した。地中海食は心血管イベントの1次予防に有効であることが知られているが、2次予防に関するエビデンスは乏しかった。著者は、「今回の結果は、臨床診療に関連しており、2次予防における地中海食の摂取を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。

心不全患者における減塩は効果があるのか?(解説:石川讓治氏)

食塩の摂取過剰が体液貯留を招き、心不全の症状悪化や再入院の原因となると広く信じられている。われわれは、心不全治療ガイドラインに準じて、食塩摂取量を1日6g以下にするように患者指導することを日常的に行ってきたが、減塩は患者にとっては非常につらいことで、食べ物がおいしくないと不平を漏らす患者も多い。食塩の過剰摂取が心血管イベントの発症リスク増加と関連し、代用塩の使用がリスクを低下させたことが近年の地域一般住民における疫学調査で示されているものの、心不全患者に対する減塩の効果を評価した既存のエビデンスは症例数も少なく生活の質に対する効果を評価したものが多かった。本研究は大きな症例数で、総死亡、心不全再入院、心不全増悪による外来受診も評価項目に含まれており有意義な研究であると思われた。しかし、残念ながら結果として1日ナトリウム摂取量1,500mg未満(食塩3.81g)を目指した食事指導で、わずかに生活の質が改善したものの、1年間の総死亡、心不全再入院、心不全増悪による外来受診回数も有意には減少しなかった。

コロナ入院患者にレムデシビルは有益か:WHO最終報告/Lancet

 レムデシビルは、人工換気へと症状が進んだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対して有意な効果をもたらさないことが、またその他の入院患者について、死亡または人工換気(あるいはその両方)への進行に対する効果はわずかであることを、世界保健機関(WHO)の連帯試験コンソーシアム(Solidarity Trial Consortium)が最終結果として報告した。COVID-19患者を対象としたSolidarity試験では、これまでに4つの既存薬に関する中間解析結果が報告されている。このうちロピナビル、ヒドロキシクロロキン、インターフェロン(IFN)-β1aは無益として試験が中止となったが、レムデシビルの無作為化試験は継続されていた。本稿で同コンソーシアムは、これまでに行われたすべての関連試験の死亡率およびメタ解析の最終結果を報告している。Lancet誌オンライン版2022年5月2日号の報告。