妊娠中の細菌性膣症に対する早期のクリンダマイシンの効果:多施設二重盲検ランダム化比較試験(PREMEVA)(解説:吉田敦氏、吉田穂波氏)-949
細菌性膣症(BV)では、膣内のラクトバチルス属が減少、嫌気性菌やマイコプラズマが増加する。いわば膣のマイクロバイオータ(microbiota)のバランスが乱れるものとされているが、妊娠中ではBVは2倍以上に増加する。とくに16~20週での合併率は4~7倍に上昇するという。さらにBVを有する妊婦では、自然流産のリスクが9倍、母体感染のリスクが2倍以上になると報告されたが、この相関の原因は不明であった。
しかしながら膣細菌叢の乱れが、子宮への感染を生じることで流早産を来すと考えれば、妊娠早期の抗菌薬投与によって早期産が減ると予想される。ただし先行研究をまとめたメタアナリシスでは相反する結果にとどまっていた。このため今回の大規模PREMEVA試験に至った訳であるが、結果としてfirst trimesterにクリンダマイシンを内服しても、後期流産やごく早期の自然早産は減少せず、クリンダマイシンの副作用によると思われる下痢や腹痛が増加した。