感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:135

COVID-19、英国変異株は死亡リスクが高い/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の英国変異株variant of concern 202012/1(VOC-202012/1)は、感染により死亡リスクが増加する可能性が高いことを、英国・エクセター大学のRobert Challen氏らがマッチングコホート研究の結果、明らかにした。VOC-202012/1は、2020年秋にイングランド南東部で初めて検出されたが、これまで流行している変異株より感染力があり、この変異株の出現は病床稼働率の上昇と死亡率の増加に関連することが知られていた。著者は、「今回の結果が他の集団に対して一般化できるなら、これまで流行している変異型と比較して、VOC-202012/1の感染は著明な死亡率増加の原因となる可能性がある」と指摘している。BMJ誌2021年3月9日号掲載の報告。

イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

 軽症COVID-19成人患者において、経口駆虫薬イベルメクチンの投与(5日間コース)はプラセボと比較し、症状改善までの期間を有意に改善しないことが示された。コロンビア・Centro de Estudios en Infectologia PediatricaのEduardo Lopez-Medina氏らが、約400例を対象に行った試験で明らかにした。イベルメクチンは、その臨床的有益性が不確実にもかかわらず、COVID-19の潜在的な治療薬として広く処方されている。著者は、「今回の試験では、軽症COVID-19へのイベルメクチンの使用を支持する所見は認められなかった。さらなる大規模な試験を行い、イベルメクチンの他の臨床関連アウトカムの効果を明らかにする必要があるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。

GSK/Vir社の新型コロナ治療薬が入院・死亡リスクを85%低減、変異株にも有効か/第III相試験中間解析

 グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は、3月15日、Vir Biotechnology,Inc.(本社:米国、以下Vir 社)と共同開発したCOVID-19治療薬VIR-7831/GSK4182136について、第III相試験 COMET-ICE(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial-Intent to Care Early)で、入院・死亡リスクを85%低減させたとする中間解析を発表した。両社は今後、米国における緊急使用許可申請と、他国での承認申請を進める予定だ。本結果により十分な有効性が確認されたとして、3月10日、独立データモニタリング委員会が本試験への追加の被験者組み入れを中止するよう勧告した。

新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。

オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。

新型コロナワクチン接種後の安全性情報をリアルタイム公開/三重県

 国立病院機構三重病院では、三重県予防接種センター事業の一環として、ワクチンの安全性情報をインターネット上でリアルタイム公開するシステムCOV-Safeを開発・運用している。3月15日時点で、約700人の接種7日後までのデータが順次公開されており、発熱は1%未満と稀で、接種当日と翌日に接種部位の痛みを感じる人が比較的多い傾向がみられている。  COV-Safeは、ワクチンを接種し、調査への協力が得られた人が接種後の健康状態についてアプリから入力すると、匿名化されたデータがリアルタイムに集計され、速やかに安全性情報が表示されるシステムとなっている。ホームページで公開されるのは速報版で、今後詳細な解析結果も発表される予定。なお、本調査の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンの実地使用下における基礎的・臨床的研究及びワクチンの評価・開発に資する研究」(研究代表者:菅 秀氏)で実施されている。

新型コロナウイルス感染:米国退役軍人の医療経験から(解説:後藤信哉氏)-1361

世界最強の米軍を維持するため、米国の退役軍人は手厚く待遇されている。各都市には退役軍人専用のDepartment of Veterans Affairs管理下の病院、クリニックがある。本研究は米国各地の退役軍人専用病院、クリニックにおける新型コロナウイルス感染者の抗血栓療法の実態と生命予後の解析結果である。2020年3月1日から7月30日までに新型コロナウイルス陽性とされた症例が対象となった。この短期間にて退役軍人に限定して4,297例が本研究の対象となった。一般に、血栓イベントリスクの高い西欧人では入院、安静時には静脈血栓予防の抗凝固療法が標準である。ICUに入院する市条例などでは禁忌がなければ全例予防的抗凝固治療を受ける。本研究では、入院24時間以内に抗凝固治療を受けた3,627例(84.4%)と受けなかった症例の予後を比較した。抗凝固療法の圧倒的多数は(3,600例:99%)ヘパリン(低分子ヘパリン)の皮下注であった。

トシリズマブとサリルマブ、重症COVID-19患者に有効/NEJM

 集中治療室(ICU)で臓器補助(organ support)を受けた重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、インターロイキン6(IL-6)受容体拮抗薬のトシリズマブとサリルマブによる治療は、生存を含むアウトカムを改善することが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C. Gordon氏らが、現在進行中の国際共同アダプティブプラットフォーム試験である「Randomized, Embedded, Multifactorial Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia:REMAP-CAP試験」の結果を報告した。重症COVID-19に対するIL-6受容体拮抗薬の有効性は、これまで不明であった。NEJM誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。

COVID-19への回復期患者血漿による治療、アウトカム改善効果なし/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に対する、回復期患者血漿による治療は、プラセボまたは標準的治療と比べて全死因死亡や入院期間、人工呼吸器の使用といった臨床アウトカムのあらゆる有益性と関連しない。スイス・バーゼル大学のPerrine Janiaud氏らが、これまでに発表された10試験についてメタ解析を行い明らかにした。エビデンスの確実性は、全死因死亡については低~中程度で、その他のアウトカムについては低いものだったという。JAMA誌オンライン版2021年2月26日号掲載の報告。

新型コロナワクチン接種完了者の行動指針を見直し/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)は2021年3月8日、新型コロナウイルスワクチン接種完了者を対象に行動指針を見直した。この中では接種完了者同士であれば、マスクを着用せず、小規模な集まりが可能とされている。  「接種完了」の定義としては、ファイザーもしくはモデルナ製の2回接種ワクチンは2回目の接種から、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)製の単回接種ワクチンは接種から、それぞれ2週間後としている。  接種完了者に対して、変更された行動指針は以下のとおり。