感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:125

コロナワクチン接種の最新版手引き、対象拡大やモデルナが追記/厚労省

 厚生労働省は6月1日付で、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(3.0版)」を公開した。今回の改版では、ファイザー社のワクチン接種対象者が「16歳以上」から「12歳以上」へ変更となったことや、や、5月21日に特例承認されたモデルナ社のコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」についての記載などが追記された。  本改版の改訂内容は以下のとおり。 ・ファイザー社のワクチンのドライアイスを用いた保管方法について削除 ・ファイザー社のワクチンが2~8℃で1ヵ月保管可能になったことに伴う改訂 ・ファイザー社のワクチンの対象者が12歳以上の者になったことに伴う改訂 ・接種単価、超低温冷凍庫の適正使用、武田/モデルナ社のワクチン、基礎疾患を有する者の確認方法、電話や情報通信機器を用いた診療の活用、意思確認を行うことが難しい場合の対応、保冷バッグの取扱い、在宅療養患者等に係る対応、副反応疑い報告についての追記

中国のコロナワクチン2種、初の第III相試験中間解析/JAMA

 中国で開発された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化ワクチン2種の、第III相二重盲検無作為化試験の事前規定中間解析の結果が、アラブ首長国連邦・Abu Dhabi Health Services CompanyのNawal Al Kaabi氏らによって発表された。試験は中国Sinopharmの子会社であるChina National Biotec Group(CNBG)に属する武漢生物製品研究所と北京生物製品研究所がデザインし、中東4ヵ国で被験者を集めて行われた。中間解析にはうち2ヵ国(アラブ首長国連邦とバーレーン)の被験者4万例超のデータが包含された。ワクチンの症候性COVID-19に対する予防効果はプラセボ接種の対照群と比較し72.8~78.1%であり、重篤な有害事象発生率は0.4~0.5%で対照群と同等だったという。JAMA誌オンライン版2021年5月26日号掲載の報告。

ファイザー社の新型コロナワクチン、接種対象が12歳以上に

 米国・ファイザー社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)用ワクチン「コミナティ筋注」の接種対象者が、「16歳以上」から「12歳以上」に変更・拡大された。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(分科会長:脇田隆字・国立感染症研究所所長)が5月31日、新型コロナウイルス感染症にかかる予防接種の実施について指示した厚生労働大臣通知の一部改正案の諮問を受け、これを了承した。適用は6月1日付。  新たに接種対象となった12~15歳について、同ワクチンの国内治験は実施されておらず、審議に当たっては海外の臨床試験データが提示された。それによると、ワクチンの有効性は、接種前から2回目接種後7日以前にSARS-CoV-2感染歴がない場合は100.0%(95%信頼区間[CI]:75.3~100.0)、同感染歴を問わない場合も100.0%(95%CI:89.9~97.3)だった。

BNT162b2(コミナティ筋注)のReal-World Settingにおける予防効果はなぜ国/地域によって異なるのか?(解説:山口佳寿博氏)-1400

mRNAワクチンであるBNT162b2(以下、ワクチン)の第III相試験が終了した後、real-world settingでの実際の予防効果が、ワクチン接種が早期に開始された中東諸国(イスラエル、カタール)、英国、米国などから相次いで報告されている。各国で報告された予防効果は、必ずしも一致せず背景因子に何らかの差が存在するものと考えられる。本論評では、Angel氏らの論文(Angel Y, et al. JAMA. 2021 May 6. [Epub ahead of print])を基礎としながら、なぜ、各国からの報告でワクチンの予防効果に差を認めたのか、その原因について考察する。Angel氏らは、2020年12月20日~2021年2月25日の2ヵ月の間にワクチンを2回接種したイスラエルの医療従事者を対象(接種者:5,517人、非接種者:757人)として2回目ワクチン接種後7日以上経過した時点での有症候性感染、無症候性感染に対するワクチンの予防効果を検討した。その結果、有症候性感染に対する予防効果は97%、無症候性感染に対する予防効果は86%であることが示された。一方、Dagan氏らは、ほぼ同じ時期(2020年12月20日~2021年2月1日)にワクチンを接種したイスラエルの一般住民を対象(接種者と非接種は同数で各59万6,681人、総数はイスラエルの総人口の13%に相当)とした解析で、2回目のワクチン接種後7日以上経過した時点での有症候性感染に対する予防効果が94%、無症候性感染を含む感染全体に対する予防効果が92%、入院予防効果が87%、重症化予防効果が92%であると報告した(Dagan N, et al. N Engl J Med. 2021;384:1412-1423.)。対象者数、従事する仕事の内容に差を認める両解析ではあるが、最も信頼できる有症候性感染予防効果に関しては2つの論文でほぼ同じ値が報告された。この時期のイスラエルでは、従来株(D614G株)から英国株(B.1.1.7)に蔓延ウイルスの置換が進んでいた時期で、上記の2つの論文は、従来株と英国株が混在した状況下でのワクチンの有効性を示したものだと判断できる。この予防効果は、従来株が主流を占めた2020年の夏から秋にかけて施行されたワクチンの第III相試験によって示された予防効果(95%)とほぼ同じであり(Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615.)、英国株に対するワクチンの予防効果は従来株に対するそれと同等であると結論できる。

ワクチン接種で役立つ地方発の知恵/首相官邸・戸田市

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の一般向けのワクチン接種が、全国的に始まり、軽微な不備はあるものの、現在は順調に進んでいる。  接種に際しては、会場設営、人口構成、医療者の分布など地域の個々の事情に応じた対応がなされている。  こうした状況の中で、一部の自治体だけでなく、他の自治体でも利用できる活動について収集したものを首相官邸の「新型コロナウイルス感染症対策」の特設ページで「ワクチン接種これいいね。自治体工夫集」としてまとめ、公開している。

新型コロナ感染の後遺症リスクが高い人の特徴/BMJ

 新型コロナウイルス感染によって後遺症が出現することは多数報告されているが、重症度によって異なるのか、どんな人に起こりやすいのかなど具体的なことは不明だ。そこで、ユナイテッド・ヘルスグループOptumLabsに所属するSarah E. Daugherty氏らが新型コロナウイルス感染症の急性期後(回復期・慢性期)の後遺症発症リスクを調べた結果、「50歳以上」「既往あり」「新型コロナで入院」に該当する患者が最もリスクが高くなることを明らかにした。一方で、メンタルヘルスなどのいくつかの後遺症リスクは、年齢や既往歴の有無に関係なく増加することも示唆した。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。

ファイザーとAZのコロナワクチン、英国約63万人の副反応データ

 英国で3月までに新型コロナワクチンを接種した62万7,383例を対象に、副反応について調査したデータが集計され、The Lancet Infectious Diseasesオンライン版4月27日号に掲載された。  この前向き観察研究では、専門アプリを使って「BNT162b2」(ファイザー・BioNTech社製、以下ファイザー製)の1回または2回接種者、「ChAdOx1 nCoV-19」(アストラゼネカ製、以下AZ製)の1回接種者を対象に、接種後8日以内に自己申告された全身および局所の副反応の確率と比率を調べた。

コロナパンデミックの2020年、各国の超過死亡は?/BMJ

 世界的な新型コロナウイルスの発生および感染拡大が見られた2020年。対コロナ施策や医療事情は国よって大きく異なるが、超過死亡の観点から分析するとどうなるのか。英国・オックスフォード大学ナフィールド人口保健局のNazrul Islam氏ら研究グループは、OECD加盟29ヵ国について2020年における超過死亡を調べたところ、米国、イタリア、英国、スペインなど26ヵ国で超過死亡の増加が見られた。これらの国の多くで、超過死亡の推定値がCOVID-19を死因として報告された死亡者数を大幅に上回っており、パンデミックが死亡率に与える影響を正確に判断するには超過死亡の評価が必要としている。BMJ誌2021年5月19日号掲載の報告。

妊娠中のコロナワクチン接種で乳児にも効果の可能性/JAMA

 妊娠中の女性はCOVID-19の罹患率や死亡率が高くなるが、ワクチンの臨床試験の対象から外されており、これまで妊婦に対するCOVID-19ワクチンの有効性と安全性のデータは限られていた。妊娠中・授乳中の女性103例を対象にイスラエルで実施された試験の結果がJAMA誌オンライン版2021年5月13日号に掲載された。  2020年12月~2021年3月にワクチンを接種した18歳以上の女性103例と、2020年4月~2021年3月にSARS-CoV-2感染が確認された女性28例が対象となった。ワクチン接種群103例はmRNA-1273(Moderna)またはBNT162b2(Pfizer-BioNTech)のいずれかを接種し、内訳は妊娠中30例、授乳中16例、非妊娠57例で、接種前のSARS-CoV-2感染が確認された参加者を除外した。感染群の内訳は妊娠中22例、非妊娠6例だった。

COVID-19診療の手引きの第5版を公開/厚生労働省

 5月26日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」を公開した。  同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は2020年3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、細かい改訂など随時最新の内容に更新している。  今回の改訂では、前版以降の知見の拡充を行い、とくに血栓対策の治療、投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキンなど)の記載、新しく追加承認されたバリシチニブの追加、ファビピラビルの観察研究結果の更新などが反映されている。