感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:102

ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。  岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。

新型コロナとインフルワクチンの同時接種は安全か/Lancet

 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時に接種できれば、医療現場の負担減少につながる。米国ではワクチン接種率を高めるために同時接種も可としているが、日本では現時点で互いに片方のワクチンを受けて2週間後に接種可となっている。今回、英国のComfluCOV Trialグループによる多施設共同無作為化第IV相試験で、新型コロナウイルスへのアストラゼネカ製ワクチン(ChAdOx1)もしくはファイザー製ワクチン(BNT162b2)とインフルエンザワクチンの同時接種により安全性の懸念は引き起こされなかったことが示された。また、両ワクチンに対する抗体反応も維持されていた。英国・University Hospitals Bristol and Weston NHS Foundation TrustのRajeka Lazarus氏らが、Lancet誌オンライン版2021年11月11日号で報告した。

コロナ入院患者にアスピリン併用は有効か/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アスピリンによる治療は28日死亡率、侵襲的人工呼吸管理への移行または死亡のリスクを低下させなかったが、28日以内の生存退院率はわずかに改善した。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果で、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。これまで、その抗血栓性に基づきCOVID-19に対する治療薬としてアスピリンが提案されていたが、著者らは、「今回の結果は、COVID-19入院患者において、標準的な血栓予防や治療的抗凝固療法としてアスピリンを追加することを支持するものではない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年11月17日号掲載の報告。

新型コロナウイルスワクチン接種者のブレークスルー感染(既感染者と未感染者の比較)(解説:小金丸博氏)

新型コロナウイルスワクチン接種後にブレークスルー感染が起こることはすでに知られた事実である。今回、mRNAワクチンである「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)または「mRNA-1273」(Moderna製)の接種者を対象に、ブレークスルー感染発生率を既感染者と未感染者で比較した観察研究がJAMA誌に報告された。BNT162b2接種群の累積感染発生率(追跡期間120日)は既感染者で0.15%(95%信頼区間[CI]:0.12~0.18)、未感染者で0.83%(同:0.79~0.87)、mRNA-1273接種群では既感染者で0.11%(同:0.08~0.15)、未感染者で0.35%(同:0.25~0.48)だった。既感染者は感染により自然免疫を獲得できているため、感染発生率が低いのは予想できる結果である。今回の研究では、既感染者の中でワクチン接種群と非接種群を比較したデータはなく、既感染者にワクチンを接種することによるワクチン免疫の上乗せ効果がどれだけあったかは不明である。また、既感染者のうち、初回ワクチン接種が感染後6ヵ月以上経過していた人の方が6ヵ月未満だった人よりも、ブレークスルー感染率が低いという結果が得られた。興味深い結果ではあるが、このような結果が得られた理由は説明できていない。既感染者に対するワクチンの適切な接種時期、スケジュールは確立されておらず、今後の課題の1つである。 本研究はカタールで実施された全国レベルの大規模なコホート研究である。注意すべきLimitationとしては、未感染者の中に見逃された感染者が含まれている可能性があること、対象に小児や高齢者の割合が少なく一般化できないこと、基礎疾患に関してマッチングをできていないこと、2種類のワクチンの直接比較はできなかったこと、などが挙げられる。

AZの新規抗体カクテル療法、発症および重症化抑制で良好な結果

 英・アストラゼネカは11月24日付けのプレスリリースで、進行中の2つの第III相試験(PROVENT試験・TACKLE試験)の新たな解析により、長時間作用型抗体AZD7442(tixagevimab・cilgavimab併用療法)の単回筋肉内投与が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する高い有効性と長期予防効果を示したことを発表した。同社は10月5日、米国食品医薬局(FDA)に対し、AZD7442のCOVID-19予防に対する緊急使用許可を申請したことも同時に公表した。  PROVENT試験では、SARS-CoV-2に感染していない高リスクおよび免疫不全の被験者を対象に、COVID-19発症予防に対するAZD7442 300mg単回筋肉内投与の安全性と有効性を評価した。米国、英国をはじめとする5ヵ国87施設で実施され、5,197例の被験者をAZD7442投与群とプラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けた。中央値6ヵ月の追跡期間で評価した結果、AZD7442群はプラセボ群に比べ、症候性COVID-19の発症リスクを83%低減した。

HPVワクチン接種行動は変わったか?

 HPVワクチンは2010年の接種開始以降、副反応忌避が続き接種率1%未満が続いていたが、昨年自治体から接種対象者への個別通知が再開し、今年は積極的受診勧奨再開に向けた検討会が開かれるなど動きが出てきた。  現在どのように接種行動や意識は変化しているのだろうか。HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)が、現在のHPVワクチンに対する意識・実態調査を行った。  調査はインターネット上で行われた。9,219名の回答者から無料接種対象年齢の本人として高校1年生の女子473名を抽出しHPVワクチン接種の有無を尋ねたところ、接種した、もしくは接種中が14.4%だった。

3回目のワクチンは2回目完了から8ヵ月/厚労省

 11月17日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて、今後のCOVID-19ワクチンの追加接種などに関する自治体向け説明会を開催した。追加接種については11月15日開催のワクチン分科会を踏まえた対応方針をもとに行われる。本稿では資料より抜粋した主要項目を示す。 (1)3回目の追加接種について 【ワクチンの対象者】 ・感染拡大防止及び重症化予防の観点から、1回目・2回目の接種が完了していない者への接種機会の提供を継続するとともに、2回接種完了者すべてに対して追加接種の機会を提供する。

コロナワクチン3回接種、抗体はどのくらい増える?/JAMA

 新型コロナのファイザー製ワクチン(BNT162b2:以下、ワクチン)の60歳以上での抗体価の持続については、まだ不明瞭な点が多い。そこで今回、イスラエル・テルアビブ大学のNoa Eliakim-Raz氏らは、60歳以上を対象に3回目ワクチンの接種前後の抗体価を調査した。その結果、3回目接種が接種10~19日後のIgG抗体価の増加と有意に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版11月5日号のリサーチレターに掲載された。  ワクチンを2回接種した人の免疫応答を年齢で見た場合、65~85歳では18~55歳よりも低いことが明らかになっている。さらに、2回目のワクチンを接種した4,868人の医療従事者でとくに65歳以上では、2回目接種から6ヵ月以内に液性免疫(IgG抗体、中和抗体)の有意な低下が観察されている。

ワクチン接種はコロナ重症化リスクを減らすか?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種は、COVID-19による入院ならびにCOVID-19入院患者の死亡/人工呼吸器装着への進行を有意に低下させる可能性が認められた。米国疾病予防管理センターのMark W. Tenforde氏らが、米国の21施設で実施した症例コントロール研究の結果を報告した。COVID-19ワクチン接種の有益性を包括的に理解するためには、ワクチン接種にもかかわらずCOVID-19を発症した人の疾患重症度が、ワクチン未接種者よりも低いかどうかを判断する疾患軽減について検討する必要があった。著者は、「今回の結果は、ワクチン未接種の場合と比較すればワクチン接種後のブレークスルー感染のリスクが低いことと一致している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2021年11月4日号掲載の報告。  研究グループは、2021年7月14日までに登録され、2021年3月11日~8月15日の期間に入院し、死亡と人工呼吸器装着の28日転帰に関するデータを入手できた成人4,513例について解析した。最終追跡調査日は2021年8月8日。

5~11歳へのファイザー製ワクチンの安全性と有効性~第II/III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の5~11歳への投与(21日間隔で10μgを2回投与)は、安全で、免疫原性を有し、有効率も約91%と高いことが示された。米国・Duke Human Vaccine InstituteのEmmanuel B. Walter氏らによる、5~11歳を対象とした第I相および進行中の第II/III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年11月9日号で発表された。  第I相無作為化試験は2021年3月24日~4月14日に米国内4地点でスクリーニングをして包含した5~11歳の48例を対象に行われた。1対1対1の割合で3群に無作為に割り付け、BNT162b2ワクチン10μg、20μg、30μgをそれぞれ投与し、安全性と免疫原性の所見から適切な投与量を決定した。