血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

再発/難治性B-ALL、CAR-T細胞療法「KTE-X19」が有望/Lancet

 再発/難治性前駆B細胞急性リンパ性白血病(ALL)の患者に対する、自家抗CD19 CAR-T細胞療法「KTE-X19」の有効性と安全性を検討した第II相国際多施設共同非盲検単群試験「ZUMA-3試験」の結果を、米国・モーフィットがんセンターのBijal D. Shah氏らが報告した。完全寛解率または血液学的回復が不十分な完全寛解率は高率で、奏効した患者における全生存(OS)期間中央値は未到達であり、安全性プロファイルは管理可能であったという。新たな治療法や自家造血幹細胞移植(allo-SCT)の治療にもかかわらず、再発/難治性前駆B細胞ALL患者の転帰は依然として不良であり、より効果的な治療の開発が求められている。著者は、「今回の試験結果は、KTE-X19はそれらの患者に長期的な臨床的ベネフィットをもたらす可能性があることを示すものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月3日号掲載の報告。

AML初回治療、シタラビンのプロドラッグBST-236の有用性/ASCO2021

 初発急性骨髄性白血病(AML)はシタラビンによる強力寛解導入療法が標準治療となるが、毒性が強く高齢者や合併症のある患者は不適となる。不適患者にはベネトクラクスと脱メチル化薬(HMA)の併用療法が推奨されるが、臨床応用ははじまったばかりでリアルワールドのデータは乏しい。  こうした状況において開発中のaspacytarabine(BST-236)はシタラビンのプロドラッグで、シタラビンの曝露量を減少させ、全身毒性を軽減する。このaspacytarabineの有用性をみた多施設共同シングルアーム第II相試験の中間解析結果を、ノースウェスタン大学Jessica K. Altman氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

骨髄腫新薬、ダラツムマブ皮下注が患者負担を軽減/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは5月に多発性骨髄腫の治療薬としてヒト型抗CD38モノクローナル抗体「ダラツムマブ(以下、ダラツムマブ)」を配合した皮下投与製剤「ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)」を発売開始した。これに伴い6月3日にメディアセミナーを開催し、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏が、多発性骨髄腫の基礎知識と新薬が診療に与える影響について講演を行った。  多発性骨髄腫は血液がんの一種で、骨髄にある形式細胞ががん化する疾患。国内における新規罹患者数は7,000人/年程度で、人口10万人当たりでは5.4人となる。診断時の年齢中央値は66歳で罹患率・死亡率とも高齢になるほど増加する。

CLL/SLL初回治療、イブルチニブ+ベネトクラクスは高リスク群でも高い有用性/ASCO2021

 慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する1次治療として、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブとBCL-2阻害薬ベネトクラクスの併用療法の有用性をみた国際多施設共同第II相試験CAPTIVATEの追加解析結果について、イタリア・ビタ・サルート・サンラファエル大学のPaolo Ghia氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。  CAPTIVATE試験は、被験者を微小残存病変(MRD)コホートと治療期間を固定したFixed-duration(FD)コホートに分けて実施。MRDコホートの分析結果は2020年の米国血液学会(ASH)で既に報告されており、イブルチニブを3サイクル投与後、12サイクルのイブルチニブ(Ib)+ベネトクラクス(V)を投与したところ、3分の2以上が検出不能なMRD(uMRD)となり、さらにIb+V投与後にMRDの状態に基づいた無作為化治療を実施したところ、30ヵ月後の無増悪生存(PFS)率が95%以上と高い奏効を示した。

CLLに対するBTK阻害薬、アカラブルチニブvs.イブルチニブ/ASCO2021

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)治療に対して選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブが国内承認された。アカラブルチニブの有用性を先行薬イブルチニブと比較した非盲検非劣性第III相無作為化比較試験ELEVATE-RRの結果について、オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

イキサゾミブ、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫の維持療法に適応追加/武田

 武田薬品工業は、2021年5月27日、イキサゾミブ(製品名:ニンラーロ)について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、主に無作為化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際第III相試験であるTOURMALINE-MM4試験の結果に基づくものである。同試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、同剤がPFSを統計学的に有意に改善することが確認された。

ファイザー新型コロナワクチン、がん患者ではとくに2回接種を/Lancet Oncol

 がん患者に対する新型コロナワクチンBNT162b2(ファイザー)の安全性と免疫原性をがん患者における評価を目的とした前向き観察研究の結果が発表された。  対象は、2020年12月8日~2021年2月18日に、ロンドンの3つの病院でBNT162b2接種を受けたがん患者と健康成人(主に医療従事者)。複合主要評価項目は、がん患者におけるBNT162b2ワクチンの初回接種後のSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質IgG陽性の割合、2回目(初回から21日後)接種後の同陽性例の割合であった。

骨髄腫に、ダラツムマブの皮下注新発売/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは、2021/05/19、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した皮下投与製剤ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)の販売を開始した。ダラキューロは、本年3月23日に多発性骨髄腫を効能又は効果として製造販売承認を取得している。  ダラツムマブの点滴静注製剤(ダラツムマブ IV)は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドラインでも推奨されている。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要する。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者の負担が軽減されることが期待されている。

AZ製ワクチン後の血栓症、発症者の臨床的特徴/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するChAdOx1 nCoV-19ワクチン(アストラゼネカ製)の接種により、因果関係は確定されていないものの、血液凝固異常(主に脳静脈血栓症と血小板減少症)に関連する、まれだが重篤な有害事象が引き起こされる可能性が示唆されている。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのMarie Scully氏らは、同ワクチン接種後に、ヘパリン療法の有無とは無関係に、血小板第4因子(PF4)依存性症候群が発現する可能性を示し、このまれな症候群の迅速な同定は、治療との関連で重要であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年4月16日号に掲載された。

ポロキサマー188、鎌状赤血球症の血管閉塞性疼痛改善せず/JAMA

 鎌状赤血球症の小児/成人患者における血管閉塞性の疼痛エピソードの治療では、ポロキサマー188はプラセボと比較して、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの期間を短縮しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のJames F. Casella氏らが行った「EPIC試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月20日号で報告された。  研究グループは、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性の疼痛エピソードに対するポロキサマー188の有効性を再評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した(米国・Mast Therapeutics, Inc.の助成による)。