血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:30

B細胞NHLへのR-CHOP、4サイクルvs.6サイクル/Lancet

 60歳以下の低リスク中悪性度(アグレッシブ)B細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療において、リツキシマブとシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone(R-CHOP)併用療法の4サイクル投与は6サイクル(標準治療)に対し、有効性が非劣性で、毒性作用は治療サイクルが少ない分、抑制されることが、ドイツ・ザールラント大学のViola Poeschel氏らGerman Lymphoma Allianceが行った「FLYER試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年12月21/28日合併号に掲載された。国際予後指標(IPI)の年齢調整リスク因子がなく、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者では、6サイクルのR-CHOP様レジメンの予後はきわめて良好と報告されている。一方、多くの患者にとって、このレジメンに含まれる6サイクルの細胞傷害性薬剤の併用療法(CHOP様)は過剰治療となっている可能性があるという。

患者団体と製薬企業とのつながりとは/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のLisa Parker氏らは、患者団体と製薬企業の間の相互作用を調べる質的研究を行った。疾患別に存在する患者団体の多くが、製薬企業から資金提供を受けているが、患者団体は、患者および介護者に対する支援やアドボカシー、情報提供において重要な役割を担っている。また、医療および製薬の政策において影響力のあるアドボケイト(代弁者)としての地位を増しており、研究グループは、両者間の相互作用の解明を試みた。その結果、相互作用としての「asset exchange(資産交換)」の問題が明確になったという。BMJ誌2019年12月12日号掲載の報告。

VMP療法+ダラツムマブ、多発性骨髄腫のOS延長/Lancet

 幹細胞移植の適応がない新規診断の多発性骨髄腫の患者では、標準治療であるボルテゾミブ+メルファラン+prednisone(VMP)療法にダラツムマブを追加(D-VMP療法)すると、標準治療単独に比べ全生存(OS)期間が有意に延長することが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らが行った「ALCYONE試験」の中間解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月9日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体製剤であり、直接的な腫瘍縮小作用とともに免疫調節作用を有するという。本試験の主解析では、D-VMP療法により無増悪生存(PFS)期間が有意に延長することが、すでに報告されている。

再発/難治性のB細胞リンパ腫、ペムブロリズマブの奏効率45%以上

 米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPhilippe Armand氏らは、再発または難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(rrPMBCL)について、予後不良であり、その治療は喫緊のアンメットニーズとなっているが、PMBCLは9p24領域の遺伝子異常およびPD-L1の過剰発現と関連していることから、PD-1阻害薬が効果を発揮する可能性があると仮定した。第Ib相「KEYNOTE-013試験」および第II相「KEYNOTE-170試験」の結果、ペムブロリズマブはrrPMBCLに対し高い奏効率と奏効の持続を発揮し、安全性プロファイルは管理可能であることを明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌2019年12月1日号掲載の報告。

薬剤耐性菌の菌血症による死亡、国内で年8千例超

 これまで、わが国における薬剤耐性による死亡者数は明らかになっていなかった。今回、国立国際医療研究センター病院の都築 慎也氏らは、薬剤耐性菌の中でも頻度が高いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)について、日本におけるそれらの菌血症による死亡数を検討した。その結果、MRSA菌血症の死亡は減少している一方で、FQREC菌血症による死亡が増加していること、2017年には合わせて8,000例以上が死亡していたことがわかった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2019年12月1日号に掲載。

再発・難治性慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫治療薬、ベネトクラクス発売/アッヴィ

 アッヴィ合同会社は、2019年11月22日、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)を発売した。  ベネトクラクスはファーストインクラスの経口BCL-2阻害薬で、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用がある。

早く治療すれば怖くないHIV感染症

 ギリアド・サイエンシズ会社は、12月1日の「世界エイズデー」を前に都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、2020年の東京オリンピックを控え、性感染症のアウトブレイクへの備えについて講演が行われた。  なお、12月1日より日本で販売されている抗HIV薬テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(商品名:ビリアード)、エムトリシタビン(同:エムトリバ)など6品目の製造販売承認は鳥居薬品株式会社から同社が承継する。

小児・若年AMLの真菌症予防に至適な抗真菌薬は?/JAMA

 米国・フィラデルフィア小児病院のBrian T. Fisher氏らは、小児~若年成人の急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、侵襲性真菌症(IFD)の予防におけるカスポファンギンとフルコナゾールの有効性を比較検討した。予定されていなかった中間解析で無益性(futility)が示唆されたため、それ以上の患者登録を中止し、登録済みの患者で試験を継続したところ、カスポファンギンのIFD予防効果が優れることが示された。AMLの小児~若年成人患者では、酵母菌および糸状菌の双方による生命を脅かすIFDのリスクが高いとされる。フルコナゾールが酵母菌に対してのみ活性を示すのに対し、カスポファンギンは酵母菌および糸状菌の双方に活性を有することから、カスポファンギンのほうがIFDの予防効果が高い可能性が示唆されている。JAMA誌2019年11月5日号掲載の報告。

経口の糞便移植で死亡例、その原因は?/NEJM

 糞便微生物移植(FMT)の臨床試験に参加した被験者で、死亡1例を含む4例のグラム陰性菌血症が発生していたことが明らかにされた。米国・ハーバード大学医学大学院のZachariah DeFilipp氏らによる報告で、そのうち術後にESBL産生大腸菌(Escherichia coli)血症を発症した2例(1例は死亡)は、別々の臨床試験に参加していた被験者であったが、ゲノムシークエンスで同一ドナーのFMTカプセルが使用されていたことが判明したという。著者は、「有害感染症イベントを招く微生物伝播を限定するためにもドナースクリーニングを強化するとともに、異なる患者集団でのFMTのベネフィットとリスクを明らかにするための警戒を怠らない重要性が示された」と述べている。FMTは、再発性/難知性クロストリジウム・ディフィシル感染症の新たな治療法で、その有効性・安全性は無作為化試験で支持されている。他の病態への研究が活発に行われており、ClinicalTrials.govを検索すると300超の評価試験がリストアップされるという。NEJM誌オンライン版2019年10月30日号掲載の報告。

再発・難治性のFLT3変異陽性AML、ギルテリチニブがOS延長/NEJM

 再発または難治性のFMS様チロシンキナーゼ3遺伝子(FLT3)変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に対し、ギルテリチニブによる治療はサルベージ化学療法に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長し、血液学的回復を伴う完全寛解の割合も増加したことが示された。米国・ペンシルベニア大学のAlexander E. Perl氏らが、371例の患者を対象に行った第III相の無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年10月31日号で発表した。再発または難治性のFLT3変異陽性AMLの患者が、サルベージ化学療法に反応するのはまれである。ギルテリチニブは、経口の強力な選択的FLT3阻害薬で、再発または難治性のFLT3変異陽性AMLに対して単剤で活性する。