血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:23

早期再発・難治性LBCL、axi-celでOS延長/NEJM

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者に対し、axicabtagene ciloleucel(アキシカブタゲン シロルユーセル、axi-cel)療法による2次治療は、標準治療と比べて全生存期間(OS)を有意に延長したことが確認された。米国・テキサス大学M. D.アンダーソンがんセンターのJason R. Westin氏らが、359例を対象に行った第III相無作為化比較試験「ZUMA-7試験」の長期追跡評価(期間中央値47.2ヵ月時点)の結果を報告した。axi-celは、自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法製品で、ZUMA-7試験の主要アウトカムの解析において、無イベント生存(EFS)を有意に延長したことが示されており、長期アウトカムのデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年6月5日号掲載の報告。

ホジキンリンパ腫初回治療、ニボルマブ+AVD療法がPFSを改善(SWOG S1826)/ASCO2023

 成人の古典的ホジキンリンパ腫の初回治療は、長らくABVD(ブレオマイシン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法が標準治療であったが、2022年にA+AVD(ブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法がABVD療法と比較して全生存期間(OS)を延長したことが報告された。しかし、若い患者を中心に、長期間続く治療による毒性の問題が依然として残っている。

重症血小板減少症のCVC関連出血、輸血で予防可能か/NEJM

 重症血小板減少症の患者においては、中心静脈カテーテル(CVC)留置に関連する出血を防ぐための予防的な血小板輸血の必要性に疑問が提起されている。オランダ・アムステルダム大学医療センターのFloor L.F. van Baarle氏らは「PACER試験」においてこの問題を検証し、超音波ガイド下CVCの留置前に予防的な血小板輸血を行わない非輸血戦略は、行った場合と比較して、Grade2~4のカテーテル関連出血の発生は非劣性マージンを満たさず、出血イベントが多いことを示した。研究の詳細は、NEJM誌2023年5月25日号に掲載された。

真性多血症治療薬ロペグインターフェロン発売/ファーマエッセンシアジャパン

 ファーマエッセンシアジャパンは、抗悪性腫瘍剤/真性多血症治療薬のロペグインターフェロン アルファ-2b(商品名:ベスレミ)の皮下注250µgシリンジと500µgシリンジを6月1日に発売した(薬価収載は5月24日)。適応は真性多血症で既存治療が効果不十分または不適当な場合に限るとされている。  真性多血症(PV)は、骨髄増殖性腫瘍の一種で、骨髄の造血幹細胞の異常により、赤血球が過剰に産生される血液の希少疾病。PVは、遺伝子変異によって発症すると推定され、ほぼすべてのPV患者で造血幹細胞中のヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子に主に「JAK2 V617F」と称される変異が生じ、著しい赤血球の増加を来たす。

進行CLLの1次治療、ベネトクラクス併用療法vs.免疫化学療法/NEJM

 進行慢性リンパ性白血病(CLL)で全身状態が良好な患者(すなわち併存病態の負担が少ない患者:fit patient)の1次治療として、ベネトクラクス+抗CD20抗体オビヌツズマブの併用療法は、イブルチニブ併用の有無にかかわらず、免疫化学療法よりも優れることが、ドイツ・ケルン大学のBarbara Eichhorst氏らによる第III相非盲検無作為化試験で示された。これまでに、同患者への1次治療としてのベネトクラクスと抗CD20抗体の併用について評価した無作為化試験は行われていなかった。NEJM誌2023年5月11日号掲載の報告。

新型コロナとがん併発、死亡リスクに性差はあるか

 がん患者と非がん患者のCOVID-19による死亡リスクを比較した研究はあるが、そこに性差はあるのか。米国・南カリフォルニア大学・産婦人科腫瘍部門の松尾 高司氏らによる大規模コホート研究の結果が、JAMA Oncology誌オンライン版2023年4月27日号に掲載された。  研究者らは48州およびコロンビア特別区の参加病院によるHealthcare Cost and Utilization ProjectのNational Inpatient Sample(米国人口の95%以上の退院データをカバー)を用い、2020年4月~12月にCOVID-19感染の診断を受けて入院した患者を、世界保健機関(WHO)の分類コードによって特定した。データ解析は2022年11月~2023年1月にかけて行い、人口特性、併存疾患、および病院パラメータで層別化したうえで性別、がん種別にCOVID-19院内症例の死亡率を評価した。

FLT3-ITD変異陽性AML、キザルチニブは新たな治療選択肢/Lancet

 新規に診断されたFLT3-ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)の患者(18~75歳)において、化学療法へのキザルチニブ追加による地固め療法後、最長3年間のキザルチニブ単独療法が、同種造血幹細胞移植(allo-HCT)の有無を問わず全生存期間(OS)の改善に結び付いたことを、米国・デュークがん研究所のHarry P. Erba氏らが「QuANTUM-First試験」の結果から報告した。FLT3-ITD変異陽性AML患者の予後は不良である。キザルチニブは非常に強力な選択的2型FLT3阻害薬(経口薬)で、化学療法との併用で、新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML患者に対する抗腫瘍活性が、許容できる安全性プロファイルと共に示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「QuANTUM-First試験の結果に基づき、キザルチニブは新規診断のFLT3-ITD変異陽性AML成人患者における、新しい、効果的かつ、概して忍容性が良好な治療選択肢となりうることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月25日号掲載の報告。

進行期皮膚T細胞リンパ腫への同種HSCT、PFSを有意に延長/Lancet

 進行期皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者に対する同種造血幹細胞移植(HSCT)は、非HSCTとの比較において無増悪生存期間(PFS)中央値を有意に延長したことが、フランス・サン・ルイ病院のAdele de Masson氏らによる前向き適合対照試験「CUTALLO試験」で示された。進行期CTCLはまれだが、大抵は難治性で致死的な疾患であり、ケースシリーズにおいて同種HSCTによる改善の可能性が示されていた。著者は、「今回の結果は、高リスクで進行期の菌状息肉症またはセザリー症候群を有し、移植前に寛解期にある患者が、同種HSCT治療を利用できるようにすべきであることを示すものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月24日号掲載の報告。

KMT2A-r ALL乳児、化学療法+ブリナツモマブでDFS改善/NEJM

 新規に診断されたKMT2A再構成陽性急性リンパ芽球性白血病(KMT2A-r ALL)の乳児において、Interfant-06試験の化学療法へのブリナツモマブ追加投与は、Interfant-06試験のヒストリカルコントロールと比較し安全で有効性も高いことが確認された。オランダ・Princess Maxima Center for Pediatric OncologyのInge M. van der Sluis氏らが、多施設共同前向き単群第II相試験の結果を報告した。乳児のKMT2A-r ALLは、3年無イベント生存率が40%未満の進行性疾患で、多くが治療中に再発する。その再発率は、診断後1年以内で3分の2、2年以内では90%である。化学療法が強化されたにもかかわらず、この20数年、アウトカムは改善されていなかった。NEJM誌2023年4月27日号掲載の報告。

大量輸血の外傷患者、4F-PCCの有効性認められず/JAMA

 大量輸血のリスクがある外傷患者において、高比率輸血戦略に4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)を追加しても24時間の血液製剤消費量の有意な減少は認められず、血栓塞栓イベントの発生が有意に増加した。フランス・グルノーブル・アルプ大学のPierre Bouzat氏らが「PROCOAG試験」の結果を報告した。外傷性出血における最適な輸血戦略は不明である。最近の観察研究では、4F-PCCの早期投与と新鮮凍結血漿(FFP)の併用により、血栓塞栓イベントが増加することなく血液製剤の消費量と死亡率が低下することが示されていた。今回の試験を受けて著者は、「大量輸血のリスクを有する患者における4F-PCCの使用は支持されない」とまとめている。JAMA誌2023年4月25日号掲載の報告。