消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:60

食道がん、食道胃接合部がんに対するニボルマブの術後補助療法(CheckMate-577)/ESMO2020

 米国・ベイラー大学のRonan J. Kelly氏は、術前補助化学放射線療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかった切除可能な食道がん・食道胃接合部(GEJ)がんの切除後の術後補助療法でニボルマブ投与とプラセボ投与を比較した無作為化二重盲検第III相臨床試験であるCheckMate-577試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2020 Virual Congress 2020)で発表。ニボルマブによる術後補助療法は、プラセボと比較して統計学的に有意な無病生存期間(DFS)の延長を認めたと報告した。

膵がん1次治療に対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の評価(PA.7)/ESMO2020

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のDaniel Renouf氏は、転移を有する膵管腺がんに対する標準治療であるゲムシタビン+nab-パクリタキセル併用療法と、これに抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの2剤を追加した併用療法を比較した無作為化非盲検第II相PA.7試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。4剤併用療法は、2剤併用療法との比較で全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)のいずれも改善が認められなかったと報告した。

KRASG12C阻害薬sotorasib、進行固形がんに有望/NEJM

 複数の前治療歴のあるKRAS p.G12C変異が認められる進行固形腫瘍の患者に対し、sotorasibは、有望な抗腫瘍活性を示したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏らによる第I相臨床試験の結果、報告された。Grade3または4の治療関連毒性作用の発生は11.6%であった。sotorasibは、開発中のKRASG12Cを選択的・不可逆的に標的とする低分子薬。KRAS変異をターゲットとしたがん治療薬は承認されていないが、KRAS p.G12C変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%、大腸がんやその他のがんでは1~3%で発生が報告されているという。NEJM誌2020年9月24日号掲載の報告。

ニボルマブとイピリムマブの併用療法、MSI-High大腸がんへの国内適応拡大/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年9月25日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)との併用療法について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」への適応拡大に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。

胃がんのニボルマブ+化学療法1次治療、PFS改善(ATTRACTION-4)/ESMO2020

 国立がん研究センター中央病院消化管内科の朴 成和氏は、HER2陰性(HER2-)で未治療の切除不能な進行・再発の胃・胃食道接合部がん患者を対象としたニボルマブ+化学療法併用群(ニボルマブ併用療法群)とプラセボ+化学療法群(化学療法群)を比較した第II/III相臨床試験であるATTRACTION-4試験の無作為化二重盲検第III相試験部分の結果をESMO2020で発表。ニボルマブ併用により無増悪生存期間(PFS)は統計学的に有意な延長を認めたものの、全生存期間(OS)では統計学的に有意な延長は認めなかったと報告した。 ・対象: 未治療のHER2-進行・再発胃・食道胃接合部がん(PS 0~1)724例 ・試験群:ニボルマブ併用療法群(362例): ニボルマブ360mg/日3週ごと+化学療法はSOX(S-1+オキサリプラチン3週ごと)あるいはCapeOX(カペシタビン+オキサリプラチン3週ごと)

急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました

 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年には入って急増したのがオンライン(Web)上で行われる学会だ。感染流行初期の2、3月は開催中止に追い込まれる学会が多かったが、4月以降からオンラインへのシフトが本格化し、秋以降もオンライン上のみ開催、もしくは現地開催とのハイブリッド形式を採用する学会が大半となっている。  ケアネットでは、会員医師に協力いただき、オンライン学会への参加経験の有無や、参加した感想をアンケート形式で聞いた。2020年8月13日~19日に1,000名を対象にオンライン学会への参加経験の有無を聞き、「参加経験あり」の回答者に参加学会や満足度、感想を聞いた。

ニボルマブ480mg4週ごと投与、国内承認/小野・BMS

 小野薬品工業と ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年9月25日、ヒト型抗ヒト programmed cell death-1(PD-1)ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の単独投与時の用法及び用量に関して、すでに承認を取得している全ての 9 つのがん腫において、これまでの 1 回 240 mg を2 週間間隔で点滴静注する用法及び用量に加え、1 回 480 mg を 4 週間間隔で点滴静する用法及び用量が追加になったと発表。  今回の用法及び用量の追加の承認によって、治療選択肢が増えること、患者および医療スタ ッフの利便性の向上に繋がるものと期待しているとしている。

アテゾリズマブおよびベバシズマブ、肝細胞がんに国内承認/中外

 中外製薬はアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)およびベバシズマブ(商品名:アバスチン)について、切除不能な肝細胞がん(HCC)に対する適応追加の承認を、2020年9月25日、厚生労働省より取得したと発表。同治療は、2020年4月に優先審査に指定され、承認申請より7ヵ月での承認取得となった。  今回の承認は、全身薬物療法未施行の切除不能なHCCを対象に実施された第III相臨床試験IMbrave150試験の成績に基づいている。アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法は、ソラフェニブ単剤と比較し、死亡リスクを42%、病勢進行または死亡リスクを41%減少させた。

胃バイパス術による2型糖尿病改善効果はほとんどすべてが体重減少で説明できる(解説:住谷哲氏)-1291

肥満外科手術bariatric surgeryが肥満合併2型糖尿病患者の糖代謝異常を大幅に改善することが明らかとなっている。肥満外科手術の術式には、本試験で用いられた胃バイパス術(Roux-en-Y gastric bypass surgery)、スリーブ状胃切除術(sleeve gastrectomy)が代表的であるが、わが国で保険適用となっているのは後者のみであり、主としてこちらの術式が用いられている。これまでの報告で、腸管の連続性ntestinal continuityを解除する胃バイパス術が他の術式に比べて糖代謝異常改善効果が高いことが示唆されていたが、統計解析上交絡因子が十分に調整されていないとの批判があり疑問が持たれていた。本試験はその点を明らかにするため、胃バイパス術群と食事療法群との2群において、体重減少の程度(約18%)をマッチさせたうえで、前後における種々の糖代謝パラメータを詳細に比較検討した非ランダム化前向きコホート試験である。

がん局所治療薬アキャルックスが承認取得/楽天メディカルジャパン

 9月25日、楽天メディカルジャパンは、がん細胞を壊死させる新しい局所治療薬「アキャルックス点滴静注250mg」(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム、以下アキャルックス)について、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として製造販売承認を取得したと発表した。本剤と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBladeレーザシステム」(以下BioBlade)については9月2日に製造販売承認を取得している。アキャルックスは、2019年4月に先駆け審査指定制度対象品目の指定を受け、2020年3月に条件付き早期承認制度のもと承認申請していた。本剤が製造販売承認を取得したのは日本が初となる。  アキャルックスは、キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体(IgG1)であるセツキシマブと光感受物質である色素IRDye 700DX を結合させた抗体薬物複合体からなる点滴静注用の注射剤で、BioBladeはアキャルックスと組み合わせて使用するレーザ装置である。本治療では、アキャルックスががん細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合し、BioBladeによって波長690nmのレーザ光照射により活性化させたIR700が光化学反応を起こし、がん細胞の細胞膜を傷害することにより殺細胞効果を示すと考えられている。