消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

ATTR型心アミロイドーシスにおいてブトリシランは全死亡を低下させQOLを維持する(解説:原田和昌氏)

ATTRアミロイドーシスは、単量体がミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)がアミロイド線維として心臓、神経、消化管、筋骨格組織に沈着することで引き起こされる疾患で、心臓への沈着により心筋症が進行する。ATTR型心アミロイドーシスの治療薬としては、TTR安定化薬のタファミジスが承認されている(ATTR-ACT試験)。また、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の適応を取得しているsiRNA静脈注射剤のパチシラン(3週に1回投与)により、ATTR型心アミロイドーシス患者の12ヵ月時の機能的能力が維持されることが報告された(APOLLO-B試験)。さらに、高親和性TTR安定化薬であるacoramidisのATTR型心アミロイドーシスに対する有効性が報告されている(ATTRibute-CM試験)。

切除不能肝細胞がん1次治療、STRIDE vs.ソラフェニブの5年生存率と肝機能の影響(HIMALAYA)/ESMO Asia2024

 切除不能肝細胞がん(HCC)に対する1次治療として、抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブを併用するSTRIDEレジメンは、ソラフェニブ単剤療法と比較して全生存期間(OS)を有意に改善したことが、国際共同無作為化非盲検第III相HIMALAYA試験で示されている。今回、5年時OSおよびベースラインの肝機能による影響を評価した同試験の探索的解析結果を、近畿大学の工藤 正俊氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2024)で報告した。 ・対象:局所療法の適応とならず、全身療法歴のない切除不能HCC患者(Child-Pugh分類A、Barcelona Clinic Liver Cancer[BCLC]病期分類B/C、ECOG PS 0/1) ・試験群1:トレメリムマブ300mg 単回+デュルバルマブ1,500mg 4週ごと(STRIDE群、393例) ・試験群2:デュルバルマブ1,500mg 4週ごと(デュルバルマブ群、389例) ・対照群:ソラフェニブ400mg×2/日(ソラフェニブ群、389例) ・評価項目: [主要評価項目]OS(STRIDE群vs.ソラフェニブ群) [副次評価項目]OS(デュルバルマブ群vs.ソラフェニブ群、非劣性)、36ヵ月OS率、無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性 ・5年時アップデート解析のデータカットオフ:2024年3月1日

日本人の便失禁の現状が明らかに~約1万例のインターネット調査結果

 便失禁(FI)は、Rome IV基準では「4歳以上で繰り返す自制のきかない便の漏れ」と定義され、患者の健康関連の生活の質(HRQOL)に大きな影響を与える。ところが、日本の一般集団におけるFIの有病率に関する研究はほとんど行われていない。そこで、大阪公立大学の久木 優季氏らが日本人のFIの疫学についてRome IV基準を用いた調査を行ったところ、FI有病率は1.2%であることが明らかになった。Journal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年12月2日号掲載の報告。

MSI-H/dMMRの進行大腸がん、ニボルマブ+イピリムマブが有効/NEJM

 全身療法による前治療歴のない、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を示す転移を有する大腸がん患者の治療において、化学療法と比較してニボルマブ+イピリムマブ療法は、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、Grade3以上の治療関連有害事象が少ないことが、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らCheckMate 8HW Investigatorsが実施した「CheckMate 8HW試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年11月28日号に掲載された。  CheckMate 8HW試験は、日本を含む23ヵ国121施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2019年8月~2023年4月に患者の無作為化を行った(Bristol Myers SquibbとOno Pharmaceuticalの助成を受けた)。

活動期クローン病の導入・維持療法、ミリキズマブが有効/Lancet

 中等症~重症の活動期クローン病患者の導入療法および維持療法において、プラセボまたはウステキヌマブと比較してヒト化抗ヒトIL-23p19抗体ミリキズマブは、安全性は既知の良好なプロファイルと一致し、かつ有効性に関する2つの複合エンドポイントがいずれも有意に良好であることが、ベルギー・ルーベン大学病院のMarc Ferrante氏らが実施した「VIVID-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年11月21日号に掲載された。  VIVID-1試験は、中等症~重症の活動期クローン病におけるミリキズマブの有効性と安全性の評価を目的とするtreat-throughデザインを用いた第III相二重盲検ダブルダミー無作為化プラセボ/実薬対照比較試験であり、2019年7月~2023年8月に日本を含む33ヵ国の324施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

切除不能肝細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブvs.レンバチニブまたはソラフェニブ、アジア人解析結果(CheckMate 9DW)/ESMO Asia2024

 切除不能肝細胞がん(HCC)に対する1次治療として、抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法は、レンバチニブまたはソラフェニブ単剤療法と比較して全生存期間(OS)を有意に改善したことが、国際共同無作為化非盲検第III相CheckMate-9DW試験の結果示されている。今回、同試験のアジア人サブグループ解析結果を、香港・Queen Mary HospitalのThomas Yau氏が欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2024)で報告した。  全体集団において、追跡期間中央値35.2ヵ月におけるOS中央値は、ニボルマブ+イピリムマブ群23.7ヵ月vs.対照群20.6ヵ月で、ニボルマブ+イピリムマブ群における統計学的に有意な改善が認められた(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.65~0.96、p=0.018)。

COVID-19罹患で自己免疫・炎症性疾患の長期リスクが上昇

 COVID-19罹患は、さまざまな自己免疫疾患および自己炎症性疾患の長期リスクの上昇と関連していることが、韓国・延世大学校のYeon-Woo Heo氏らによる同国住民を対象とした後ろ向き研究において示された。これまでCOVID-19罹患と自己免疫疾患および自己炎症性疾患との関連を調べた研究はわずかで、これらのほとんどは観察期間が短いものであった。著者は「COVID-19罹患後のリスクを軽減するために、人口統計学的特性、重症度、ワクチン接種状況を考慮しながら、長期的なモニタリングと管理が重要であることが示された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。

蒸留酒、ワイン、ビール、最も悪い生活習慣に関係するのはどれ?

 好きな酒の種類が、その人の生活習慣を知る手がかりになる可能性を示す研究結果が報告された。ビール好きの人は、ワインや蒸留酒などを好む人と比べて不健康な生活習慣を送っている人が多いことが明らかになったという。米テュレーン大学医学部研修医プログラムのMadeline Novack氏らによるこの研究結果は、米国肝臓学会議年次学術集会(AASLD 2024、11月15~19日、米サンディエゴ)で発表され、「Nutrients」に11月13日掲載された。  Novack氏は、「米国では、アルコールの過剰摂取が肝硬変の主な要因となっている。また、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)も急増している」と話す。同氏はまた、「これらの肝疾患は併存することも多く、管理や予防には生活習慣の改善が重要だ。そのためには、飲酒と栄養不良の関係について理解することから始める必要がある」とAASLDのニュースリリースの中で述べている。

医師の「スーツ」事情、所持数や予算は?/医師1,000人アンケート

 ビジネスパーソンにとってユニフォーム的な存在である「スーツ」。一方、医師の仕事着といえば白衣のイメージがあるが、実際には勤務中に何を着ているのか?スーツを着る機会はいつなのか? ケアネット会員の男性医師を対象に、仕事中の服装やスーツの所有状況などについてアンケート形式で聞いた。

便失禁を起こしやすい患者とは?便失禁診療ガイドライン改訂

 日本大腸肛門病学会が編集を手掛けた『便失禁診療ガイドライン2024年版改訂第2版』が2024年10月31日に発刊された。2017年に発刊された初版から7年ぶりの改訂となる。今回、便失禁の定義や病態、診断・評価法、初期治療から専門的治療に至るまでの基本的知識がアップデートされ、新たに失禁関連皮膚炎や出産後患者に関する記載が拡充された。また、治療法選択や専門施設との連携のタイミングなど、判断に迷うテーマについてはClinical Question(CQ)で推奨を示し、すべての医療職にとっての指針となるように作成されている。