消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:174

超高齢者における大腸がん手術は有用か:国内での検討

 超高齢(85歳以上)の大腸がん患者における手術の短期および中期の成績は明確ではない。北里大学外科の中村 隆俊氏らは、超高齢者における腹腔鏡手術の実行可能性を評価するために、腹腔鏡手術と開腹手術における術後の短期および中期の成績を比較した。その結果、超高齢の大腸がん患者に対する手術の安全性と治療有用性が認められ、良好な短期および中期成績を得られた。また、腹腔鏡手術は開腹手術よりも術中出血量が少なく、術後在院期間が短かったことから、侵襲性が低く、超高齢の大腸がん患者に適していることが示唆された。Surgical laparoscopy, endoscopy & percutaneous techniques誌2014年2月号に掲載。

早期胃がんに対するデルタ吻合での完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術の成績

 早期胃がんに対する小開腹創からの手縫い吻合による腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術(LAPPG)については、実行可能性、安全性、術後のQOL向上がすでに確立されている。今回、がん研有明病院消化器外科の熊谷 厚志氏らは、体内デルタ吻合手技を用いた完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術(TLPPG)を受けた胃中部の早期胃がん患者60例の短期手術成績を検討した。その結果、手縫い噴門幽門吻合によるLAPPGより手術時間が長い傾向はあったものの、体内デルタ吻合によるTLPPGは安全な術式であると報告した。Gastric Cancer誌オンライン版2014年1月31日号に掲載。

慢性C型肝炎のIFNフリー療法―リバビリンレジメン/NEJM

 未治療またはペグインターフェロン(商品名:ペガシス)+リバビリン(RBV、商品名:コペガスほか)による前治療が無効であった遺伝子型1型感染患者に対し、経口投与のみの直接作用型抗ウイルス薬(2種または3種)+RBVレジメンが、いずれの患者にも有効であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが、第2b相非盲検無作為化試験にて9レジメン(14サブ治療群)を設けて検討した結果、治療終了後24週時点のSVR(持続性ウイルス学的著効)は、83~100%であったことを報告した。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。

根絶戦略の成果は?日本のH.pylori除菌率10年推移

 ファーストラインとして施行されたアモキシシリンとクラリスロマイシンの併用療法によるヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の年間累積除菌率は65.3%で、徐々にではあるが、10年にわたり除菌率は有意に低下したことが、順天堂大学の佐々木 仁氏らによる研究で明らかになった。また、セカンドラインとして施行されたアモキシシリンとメトロニダゾールの併用療法の年間累積H.pylori除菌率は84.0%で、年ごとの除菌率に変化は認めなかった。著者は、「ファーストラインの除菌率は徐々に低下したものの、“日本の根絶戦略”は十分H.pylori除菌に貢献した」と結論づけた。Digestion誌オンライン版2013年12月12日号の報告。

慢性C型肝炎のIFNフリー療法/NEJM

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型、2型または3型の患者について、ダクラタスビル(承認申請中)+ソホスブビル(国内未承認)の1日1回経口併用療法が、高率のSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したことが報告された。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らが行った、211例の患者(前治療無効例を含む)を対象としたオープンラベル試験の結果で、治療終了後12週時点のSVRは各遺伝子型患者群で89~98%であったという。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。

大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA

 原発性大腸がんで根治目的の手術後、定期的にがん胎児性抗原(CEA)検査やCT検査を実施しても、症状がある時のみ診察するという最少のフォローアップに比べ、死亡率は減少しないようだ。一方で、再発した大腸がんに対する根治目的手術の実施率は、定期的にCEA検査やCT検査を行った群で有意に高率だった。英国・サウサンプトン大学のJohn N. Primrose氏らが行った無作為化前向き比較試験の結果、明らかにした。JAMA誌2014年1月15日号掲載の報告より。

高齢の乾癬患者、非アルコール性脂肪性肝疾患併発が1.7倍

 高齢の乾癬患者は、非乾癬患者と比べて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有する割合が1.7倍高いことが、オランダ・エラスムス大学医療センターのElla A.M. van der Voort氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、明らかにされた。最近のケースコントロール試験で、乾癬患者でNAFLDの有病率が上昇していることが観察されていた。

胃酸分泌抑制薬によるビタミンB12欠乏症の危険性(コメンテーター:上村 直実 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(168)より-

 本論文では、米国の大手保険会社に加入している330万人のデータベースを用いて、1997年~2011年にビタミンB12欠乏症の診断を受けた2万5,956例をCase群、同疾患と診断されていない者から性・年齢および人種をマッチさせた18万4,199例をControl群として両群におけるプロトンポンプ阻害薬(PPI)とH2ブロッカー(H2RA)の処方状況を比較検討した。

KRAS変異型大腸がんリスクに食品中のアクリルアミドが関連

 炭水化物を多く含む材料を加熱調理した食品に含まれるアクリルアミドは、ヒトでの発がん性があると推定されている。これまで、アクリルアミド摂取量と大腸がんリスクとの間に明確な関連性を示す疫学的研究はないが、その理由として大腸がんにおける分子生物学的不均一性が考慮されていなかった可能性がある。アクリルアミド代謝物であるグリシドアミドは、げっ歯類において特定のDNA変異を誘導することから、オランダ・マーストリヒト大学のJanneke GF Hogervorst氏らは、アクリルアミドが、大腸がんの発がんkey遺伝子であるKRASおよびAPCの変異による大腸がんリスクと関連しているかどうかを検討した。Carcinogenesis誌オンライン版2014年1月7日号に掲載。