消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:94

腫瘍遺伝子変異量(TMB)高値固形がんに対するペムブロリズマブ、FDAに承認申請

 Merck社は、2020年4月7日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブの新たな生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理され、優先審査項目に指定されたことを発表した。この申請では、治療後に進行し、他に十分な治療選択肢のない、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-High、FDAに承認された検査において10変異/megabase以上)の切除不能または転移を有する固形がんの成人および小児患者に対する単独療法としてペムブロリズマブの迅速承認を目指している。

米国でC. difficile感染症の負担低減/NEJM

 米国の全国的なClostridioides difficile感染症と関連入院の負担は、2011年から2017年にかけて減少しており、これは主に医療関連感染(health care-associated infections)の低下によることが、米国疾病管理予防センター(CDC)のAlice Y. Guh氏ら新興感染症プログラム(EIP)Clostridioides difficile感染症作業部会の調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2020年4月2日号に掲載された。米国では、C. difficile感染症の予防への取り組みが、医療領域全般で拡大し続けているが、これらの取り組みがC. difficile感染症の全国的な負担を低減しているかは不明とされる。

がん患者の脳卒中リスクに化学療法は影響するか

 化学療法はがん関連脳卒中の原因となる可能性があるが、脳卒中リスクを高めるかどうかは不明である。今回、大阪大学の北野 貴也氏らが脳卒中リスクへの化学療法の影響を調べたところ、化学療法を受けたがん患者の脳卒中リスク上昇はがんの進行が原因と考えられ、化学療法と脳卒中リスク増加は関連していないことが示唆された。Thrombosis and Haemostasis誌2020年4月号に掲載。  著者らは、2007~15年にスクリーニングされた病院ベースのがんレジストリにおける2万7,932例のうち、データが揃っている1万9,006例の診療記録を調査した。検証済みのアルゴリズムを使用し、がんの診断から2年以内の脳卒中イベントを同定した。最初の治療計画における化学療法の有無により患者を分け、カプランマイヤー法と層別Cox回帰モデルを用いて化学療法と脳卒中との関連を調べた。

急性上部消化管出血の内視鏡検査、最適な施行時期とは/NEJM

 急性上部消化管出血を発症し、再出血または死亡のリスクが高い患者では、消化器科コンサルテーション後6時間以内の内視鏡検査は、6~24時間の検査と比較して、30日死亡率を抑制しないことが、中国・香港中文大学のJames Y.W. Lau氏らの検討で示された。研究の詳細は、NEJM誌2020年4月2日号に掲載された。International Consensus Groupのガイドラインでは、急性上部消化管出血患者には、受診後24時間以内に内視鏡検査を行うよう推奨されている。一方、24時間より短い時間枠内に施行される内視鏡検査の役割は、十分に明らかではないという。

ペムブロリズマブによるMSI-H大腸がん1次治療、無増悪生存期間を改善/Merck

 Merck社は、2020年4月2日、切除不能または転移を有するMSI-H/dMMRの結腸直腸がんに対するキートルーダの1次治療を評価する第III相 KEYNOTE-177試験において、2つの主要評価項目の1つ無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。  独立データ監視委員会(DMC)による中間解析では、化学療法(mFOLFOX6またはFOLFIRI ±ベバシズマブまたはセツキシマブ)と比較し、ペムブロリズマブ単剤療法は統計的に有意で臨床的に意味のあるPFSの改善を示した。

3次医療機関でのがん患者の新型コロナ感染率/JAMA Oncol

 がん患者は治療やモニタリングのために通院機会が多いことから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクが高い。さらに化学療法や放射線療法は免疫を抑制する。今回、中国・武漢大学中南病院のJing Yu氏らが、武漢の3次医療機関のがん患者においてSARS-CoV-2感染率と転帰を調査した結果、がん患者の入院および通院がSARS-CoV-2感染の潜在的なリスク因子であることが示唆された。とくに高齢患者(60歳以上)と非小細胞肺がん(NSCLC)患者に感染者が多かったという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年3月25日号に掲載。

画像診断での深層学習 vs.専門医、前向き研究やRCT少ない/BMJ

 画像診断に関する前向き深層学習(deep learning)研究や無作為化試験は少なく、非無作為化試験のほとんどは前向き研究ではなく、バイアスのリスクが高く、既存の報告基準から逸脱していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMyura Nagendran氏らの検討で示された。また、多くの研究は、データやコード(データの前処置とモデル化に使用)を利用できず、比較群の専門医数が少ないことも明らかとなった。研究の詳細は、BMJ誌2020年3月25日号に掲載された。近年、人工知能(AI)の一部門である深層学習に関する研究の報告が、急速に増加している。これに伴い、AIは医師より能力が優れるとするメディアの見出しが、人々を誇大な宣伝であおり、その加速度的な推進が強く求められている。

固形がんに対するリキッドバイオプシー、「FoundationOne Liquid CDx」の国内申請/中外

 中外製薬は、2020年03月31日、固形がんに関連する包括的ゲノムプロファイリングを提供するリキットバイオプシー検査として、「FoundationOne Liquid CDx(海外製品名)」に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表。  「FoundationOne Liquid CDx」は米国・ケンブリッジに拠点を置くファウンデーションメディシン社が開発した次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。進行固形がんの患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、がんの遺伝子変異を検出するリキットバイオプシー検査である。米国では、2018年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Device指定を受けている。

“肛門疾患”丸わかり-内科医にも役立つガイドライン発刊

 肛門疾患と聞くと、多くの方はまず“痔”を想像されるのではないだろうか。医師に相談しにくい病気の1つだが、非専門医の方々は相談を受けたことがあるだろうか? 2020年1月、日本大腸肛門病学会は『肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版』を発刊。これは2014年に策定された診療ガイドラインの改訂版で、既存の肛門部の三大疾患(痔核・痔瘻・裂肛)とは別に直腸脱の項が追加された。今回、本ガイドラインの作成委員長を務めた山名 哲郎氏(JCHO 東京山手メディカルセンター副院長)から活用ポイントについて聞いた。

抗がん剤の末梢神経障害、凍結手袋の効果は?/Ann Oncol

 凍結手袋(frozen gloves)は、抗がん剤治療に伴う手足などの末梢神経障害の予防に有用なのか。オランダ・Maxima Medical Center Eindhoven and VeldhovenのA.J.M. Beijers氏らは、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)に対する凍結手袋の予防効果を検討した無作為化試験を行い、凍結手袋を着用した患者と非着用患者でEORTC QLQ-CIPN20スコアに差はみられなかったものの、着用により手の神経障害症状が軽減され、QOLの改善が示されたと報告した。ただし著者は、「今回の試験では着用群の3分の1が治療終了前に試験を中止しており、その点で留意が必要である」と述べ、「今後の研究では、CIPN予防について四肢低体温法に力を注ぐべきであろう」とまとめている。Annals of Oncology誌2020年1月号掲載の報告。