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左室駆出率保持の心不全、スピロノラクトン長期投与で左室拡張能改善/JAMA

 左室駆出率が保存された左室拡張機能障害の認められる心不全患者に対する、抗アルドステロン薬スピロノラクトン(商品名:アルダクトンAほか)の長期投与は、左室拡張機能を改善することが示された。一方、最大運動耐容能の改善効果は認められなかった。ドイツ・ゲッチンゲン大学のFrank Edelmann氏らによる、400例超について行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験「Aldo-DHF」からの報告で、JAMA誌2013年2月27日号で発表された。本検討は、同患者について確立した治療法がない中、その進行にアルドステロン活性が関与している可能性が示されたことが背景にあった。スピロノラクトン25mgを1日1回投与、12ヵ月追跡 Aldo-DHF試験は、左室駆出率が保存されている心不全患者に対して、スピロノラクトンの長期投与の有効性と安全性を検討することを目的とした。2007~2012年にかけて、ドイツ、オーストリアの医療機関10ヵ所を通じて、同症状を呈する患者422例を対象に行われた。被験者を無作為に2群に分け、一方の群(213例)にはスピロノラクトン25mgを1日1回、もう一方の群(209例)にはプラセボを投与し、12ヵ月間追跡し左室拡張機能と最大運動耐容能に対する効果について比較した。 被験者はNYHA心機能分類クラスIIまたはIIIで、左室駆出率が50%以上、左室拡張機能障害が認められた。被験者の平均年齢は67歳(SD:8)、52%が女性だった。左心室拡張機能は有意に改善、逆リモデリングも促進 平均追跡期間は、11.6ヵ月だった。結果、左室拡張機能はスピロノラクトン群で有意に改善し、平均E/e値は12.7(SD:3.6)から12.1(同:3.7)へと減少したが、プラセボ群では平均12.8(同:4.4)から13.6(同:4.3)へと増加した[補正後平均差:-1.5、95%信頼区間(CI):-2.0~-0.9、p<0.001]。 一方、最高酸素摂取量の変化には両群で有意差はなく(補正後平均差:+0.1mL/分/kg、95%CI:-0.6~0.8、p=0.81)、スピロノラクトンの最大運動耐容能への効果は認められなかった。 また、スピロノラクトンは逆リモデリングを促し(p=0.009)、神経内分泌活性を改善したが(p=0.03)、心不全症状やQOLの改善は認められなかった。さらに、6分間歩行距離はやや減少した(-15m、95%CI:-27~-2、p=0.03)。 その他にスピロノラクトン群では、いずれも入院は伴わずわずかではあったが、血清カリウム値の上昇(+0.2mmol/L、95%CI:0.1~0.3、p<0.001)、およびeGFR値の減少(-5mL/分/1.73m2、95%CI:-8~-3、p<0.001)がみられた。 これらの結果を踏まえて著者は、「本試験で認められた左室機能改善についての臨床的意義は、さらなる大規模な試験で検討する必要がある」とまとめている。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(50)〕 降圧薬併用にNSAIDsで、急性腎障害が増加する!-多剤併用にご用心

薬剤による腎障害は、腎臓が多くの薬物の排泄臓器であることから、急性腎不全の重要な原因であり、臨床家は薬剤の使用にあたって、常に薬剤に起因する腎障害のリスクに配慮することが望まれている。数ある薬剤の中でも、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、その汎用性から、多くの使用機会があり、注意が必要とされる薬剤の一つである。とくに高齢者は複数の疾病を併存することが一般的であり、個々の疾病に沿ったガイドラン治療は、多くの場合、併用薬物によるリスクまでは十分に言及されていないのが現状である。 本論文は、およそ50万人のコホートを対象に、降圧薬、中でも降圧利尿薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬と、NSAIDsの併用による腎障害の発症リスクを解析した論文である。急性腎障害の判定は、ICD-10の診断コードに基づいている。 CKD診療は、腎保護と心血管保護とを両立させることが大きな目標である。降圧薬は高血圧合併のCKD診療において重要な地位を占めているが、これまでの臨床研究からは、その期待に反する結果をもたらす実態が明らかになっている。とくにRA系阻害薬では、併用による有害作用が報告されている。たとえば、RA系阻害薬同士の併用は、ALTITUDE試験やONTARGET試験において、腎機能障害を増加させることが示唆されている。また、RA系阻害薬と降圧利尿薬との併用は、GUARD試験およびACCOMPLISH試験で、尿蛋白改善とeGFR低下という腎保護効果に乖離が認められ、腎イベントの増加をもたらした。本研究では、RA系阻害薬、降圧利尿薬およびNSAIDsの、三剤併用により30%の急性腎障害の増加が認められ、その発症の多くは30日以内であり、改めて降圧薬の腎障害リスクに警鐘を鳴らすものとなった。 多くの臨床研究は、結果をもたらすメカニズムを証明することはできない。この研究も例外ではないが、著者らは本論文中に、“Biological Mechanism”の一節を設けて、降圧利尿薬とNSAIDsの併用下では、腎血流の低下(体液量の減少)と輸入細動脈の収縮(プロスタサイクリンの合成抑制)が起り、angiotensin IIを介する輸出細動脈の収縮と、ナトリウム貯留によって糸球体濾過量が保たれていること、RA系阻害薬がこのようなangiotensin IIの生理的な機能を抑制することにより、有害作用をもたらすことに言及している。局所性RA系が、さまざまな臓器障害をもたらすとする仮説が提示され、これまでにしばしば、RA系抑制薬の “降圧を超えた臓器保護効果”が訴求されている。しかし、これまでの大規模臨床研究の結果は、必ずしもこのような作用の存在を支持している訳ではない。 今一度、生体の恒常性を維持する生理的システムとしてのRA系の役割に対する認識を新たにすることが、必要ではないか。

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経口マルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブ、難治性GISTの予後を改善:GRID試験/Lancet

 標準治療で病勢が進行した切除不能または転移性消化管間質腫瘍(GIST)の治療において、レゴラフェニブ(承認申請中)はプラセボに比し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、米国ダナファーバーがん研究所のGeorge D Demetri氏らの検討で示された。これまでに、GISTに対する有効性が証明された薬剤としてイマチニブとスニチニブがあるが、転移性GISTのほとんどは最終的にこれらの薬剤に抵抗性となり、致死的な病勢の進行をきたす。レゴラフェニブは新規の経口マルチキナーゼ阻害薬で、腫瘍の血管新生(VEGFR1-3、TEK)、発がん(KIT、RET、RAF1、BRAF、BRAFV600E)、腫瘍の微小環境(PDGFR、FGFR)の調整に関与するプロテインキナーゼの活性を遮断するという。Lancet誌2013年1月26日号(オンライン版2012年11月22日号)掲載の報告。標準治療抵抗性例に対する有用性をプラセボ対照無作為化試験で検討 GRID(GIST—regorafenib in progressive disease)試験は、イマチニブとスニチニブを含む治療後に病勢が進行した切除不能または転移性のGIST患者におけるレゴラフェニブの有効性と安全性を評価する国際的な多施設共同プラセボ対照無作為化第III相試験。 日本を含む17ヵ国57施設から、組織学的にGISTが確証され、イマチニブとスニチニブを含む治療後に病勢が進行した切除不能または転移性の病変を有し、PS(ECOG)0~1の症例が登録された。これらの患者が、レゴラフェニブ160mg/日(経口投与)と最善の対症療法(BSC)を施行する群またはプラセボとBSCを行う群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。治療は、3週投与1週休薬の4週を1コースとして、病勢進行、許容できない毒性、患者の希望による中止となるまで継続することとした。 主要評価項目はPFSであった。治療割り付け情報は、試験資金出資者、患者、担当医にはマスクされたが、プラセボ群の患者が病勢進行した場合は、非盲検下にレゴラフェニブにクロスオーバーすることとした。PFSが有意に73%改善 2011年1月4日~8月18日までに199例が登録され、レゴラフェニブ群に133例(年齢中央値:60歳、男性:64%、PS0:55%、3ライン以上の全身治療歴:44%、18ヵ月以上のイマチニブ治療歴:67%)が、プラセボ群には66例(同:61歳、64%、56%、41%、83%)が割り付けられた。 データのカットオフは2012年1月26日。プラセボ群の56例(85%)が病勢進行によりレゴラフェニブ群にクロスオーバーされた。 独立中央審査委員会判定によるPFS中央値は、レゴラフェニブ群が4.8ヵ月と、プラセボ群の0.9ヵ月に比べ有意に改善した[ハザード比(HR):0.27、95%信頼区間(CI):0.19~0.39、p<0.0001]。担当医判定によるPFS中央値もレゴラフェニブ群7.4ヵ月、プラセボ群1.7ヵ月(HR:0.22、95%CI:0.14~0.35、p<0.0001)と有意差を認め、プラセボからレゴラフェニブにクロスオーバーされた56例のPFS中央値は5.0ヵ月だった。 全生存期間(OS)中央値は両群間に有意な差はみられなかった(HR:0.77、95%CI:0.42~1.41、p=0.199)。 治療関連有害事象は、レゴラフェニブ群の98%(130/132例)、プラセボ群の68%(45/66例)に認められた。最も高頻度にみられたGrade 3以上のレゴラフェニブ関連有害事象は、高血圧23%(31/132例)、手足症候群20%(26/132例)、下痢5%(7/132例)であった。 著者は、「標準治療で病勢が進行した転移性GIST患者の治療において、レゴラフェニブの経口投与はプラセボに比べPFSを有意に改善した」とまとめ、「われわれの知る限り、本試験は高度に難治性のGIST患者の治療においてキナーゼ阻害薬のベネフィットを確認した初めての臨床試験である」と報告している。

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新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。 患者データのプール解析によりアゴメラチンの抗うつ効果をSSRIやSNRIと比較した。適応用量内で実施されたベンラファキシン、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムを用いた6試験無作為化二重盲検比較試験より解析を行った。一次評価にはHAM-D17を用いた。治療間の差の推定については、最終観察時点(6、8、12週目)の値に基づいて算出した。 主な結果は以下のとおり。・各試験で無作為化された対象患者は2,034例(年齢:47.6±14.9歳、男女比:27:73、HAM-D17トータルスコア:29.6±3.0)。・解析対象患者は最大で1,997例(アゴメラチン群:1,001例、SSRI/SNRI群:996例)。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、HAM-D17トータルスコア(E[SE]=0.86[0.35]、95%CI=0.18~1.53、p=0.013)、HAM-D17におけるレスポンダーレート(p=0.012)、CGI-I(CGI-Improvement)スコア(p=0.032)の有意な改善が認められた。・重度なうつ病患者においても同様な結果が得られた。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、優れた忍容性が認められた。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(43)〕 もうひとつのeGFR算出式(CKD-EPI)を使った200万人規模のメタ解析が明らかにする『高齢者CKDはAgingに非ず』

今世紀になって、CKDが新たな心血管リスクとして注目されているのは周知のことである。CKD診療のゴールは、『健康長寿(healthy longevity)の実現』と『腎不全の回避』を両立させることにある。CKDの診断基準は、持続するeGFRの低下あるいは、アルブミン尿(蛋白尿)をはじめとする腎障害のいずれか(あるいは両方)を満たす場合とされたが、KDIGO Controversy Conferenceに代表される議論の末1)、eGFR・アルブミン尿(タンパク尿)・腎障害の原因を考慮したComposite Rankingが採用されることになった。 本論文はCKDクライテリアであるeGFRとアルブミン尿(蛋白尿)について、全死亡・末期腎不全(ESRD)に対するサロゲートマーカーとしての妥当性・正当性を、改めて検討することを主眼にしている。とくにeGFRの低下と加齢については、その独立性についての疑問が指摘されており、CKDの分類以前に、受容できる臨床リスクとしての性能や精度が問われていた背景がある。eGFRの低下は高齢者では加齢による結果であり、不可避な老化現象ではないかといった議論が根強く残っていた。本研究では、eGFRの算出にあたり、従来のModification of Diet in Renal Disease(MDRD)Study式に代わって、同じ変数を使いながら、よりリスク予測能が高いとして注目されている慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)式2)を用いていることも大きな特色である。 200万人を超える膨大なデータを解析した結果、eGFR(CKD-EPI)とアルブミン尿(蛋白尿)はともに、年齢とは独立したリスク(全死亡、ESRD)であった。一般集団・ハイリスク集団を対象とした解析から、全死亡に対するeGFRの相対リスクは、加齢とともに低下する傾向にあったが、絶対リスクは、加齢とともに増加する傾向が認められた(Figure1 A/C)。eGFRの低下は、加齢によるリスク上昇により相殺される傾向があるといえる。eGFRを標的にした治療には、年齢別にcost-effectivenessを考慮する必要がでてくるかもしれない。ESRDをエンドポイントとした解析では、アルブミン尿(蛋白尿)は、加齢に対する独立性は認められるものの、年代によるリスク差がほとんどないことが特徴であった(Figure2 B/D)。この結果は、CKDクライテリアに質的診断を加味したComposite Rankingの妥当性を裏付けているといえよう。 先行するCKD-EPI式とMDRD式によるeGFRの算出結果を比較検討した研究から、従来のMDRD式によって、低eGFRによるCKDが過大に評価されている可能性が示唆された3)。精度の足りない計測や測定法による数値に基づいた議論が、診療の最適化を目指すガイドラインを有名無実にすることがあってはならないのは、言うまでもないことであろう。

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聖路加GENERAL 【腎臓内科】

第1回「CKD」第2回「尿異常の検査方針」第3回「高カリウム血症」第4回「急性腎障害(AKI)」 第1回「CKD」健診で、腎機能低下を指摘され、精査を指示された65歳の女性。糖尿病で通院しているが、今まで腎臓については何も言われたことがありませんでした。検査の結果、Cr値がやや高めである以外は、特に異常はありません。しかし、このCr値を元に推算GFR推算式によってeGFRを求めてみると、意外に腎機能が低下しているらしいということがわかりました。放置すれば、約5年で人工透析という予測結果です。腎疾患の治療の目的は、まず腎機能の低下を抑えることです。腎機能は年齢とともに低下しますし、糖尿病患者では、健常な人の約10倍も低下の速度が高くなります。また、CKDは、腎臓のみならず心血管事故を起こす可能性もあります。特に欧米では、透析適応になるより、その前に心疾患で死亡する方が多いという報告もあります。まずは、自覚症状が少ないため見逃しがちなCKDについて、その診断方法と、適切な治療によって悪化を抑え、腎不全と心血管事故を防ぐための方法をお伝えします。第2回「尿異常の検査方針」健診で尿潜血と尿蛋白を指摘された28歳の男性。健診で見つかる血尿は、尿潜血反応によるもので、実際に血尿があるかどうかは顕微鏡による尿沈査検査によって確認します。実際、健診においては、3〜10%という高率で顕微鏡的血尿が見つかります。これら全員を泌尿器科に送るわけにもいきません。そこで、まず泌尿器悪性腫瘍を除外します。特に、40歳以上の男性、喫煙歴などはリスクファクターになりますので、さらに検査を進めます。そして、さらに尿蛋白も陽性だった場合、IgA腎症などの慢性糸球体腎炎の可能性が高くなります。IgA腎症は、約30%が将来的に腎不全に至ると言われており、早期発見、早期対処が求められます。この他にも、血尿と尿蛋白が出るさまざまな例について解説します。また、尿蛋白を定量するための蛋白クレアチニン比の算出方法についても、具体的な事例を用いて解説します。第3回「高カリウム血症」数日前から感冒、発熱のある65歳の男性。知人からいただいたスイカを2個食べたところ、全身脱力、筋力低下が強まり歩行困難となって受診。実は、昔から腎臓によいとされているスイカは、豊富にカリウムを含んでおり、高カリウム血症の患者にとってはとても危険。それ以外にも、糖尿病性腎症、横紋筋融解症などの既往、ARB、Nsaidsなどの薬剤など、高カリウム血症に悪影響を及ぼす要因はさまざまです。高カリウム血症への対応において、最も重要なのは不整脈を起こさないということです。そのために、積極的に心電図を活用します。治療については、一時的に細胞内へカリウムを移動する方法、体外にカリウムを排泄する方法があります。程度に応じた治療法について、具体的に丁寧に解説します。第4回「急性腎障害(AKI)」痛風、高血圧の既往歴があり、全身倦怠感と嘔気を主訴に来院した55歳男性。血清クレアチニン値が高い場合、最初にやることは、それが慢性腎臓病(CKD)なのか、急性腎障害(AKI)なのかを鑑別することです。ところが、いつからCr値が上がったのか、なかなかわからないことが多いと思います。過去の健診のデータ、前医のカルテなどが入手できればよいですが、それも難しい場合は身体所見と病歴聴取から推測します。AKIの診察のポイントは、腎前性、腎性、腎後性に分けて考えることです。特に、腎前性と腎後性は重症化する場合がありますので、見逃してはいけません。他に気を付けなければならないものとして、造影剤腎症があります。腎機能が低下している患者に造影剤を使ってよいかどうか・・・。そんな現場の悩みにも、小松先生が丁寧に答えてくださいます。

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eGFR低値、高アルブミン尿の年齢別にみた転帰への影響:205万人メタ解析/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)の測定マーカーである推定糸球体濾過量(eGFR)とアルブミン尿の、年齢階層別にみた予後との関連について調べた結果、eGFR低値と高アルブミン尿は、年齢を問わず死亡および末期腎不全(ESRD)と独立した関連がみられることが、ノルウェー科学技術大学のStein I. Hallan氏らCKD-PC(CKDの予後に関する多施設共同研究)が約205万人の個人データをメタ解析した結果、報告した。ただしeGFR低値のリスクは高齢であるほど弱まるなど、高齢者では両値との関連について、絶対リスクは高いが相対リスクは低いことが示されたという。CKDは高齢の患者に多くみられるが、eGFR低値と高アルブミン尿のリスクについて、全年齢にわたるのかについては議論の的となっていた。JAMA誌2012年12月12日号掲載より。相対リスクと絶対リスクを解析 研究グループは、臨床的リスクがあるeGFRとアルブミン尿について、年齢階層別の影響(相互作用)の違いがあるのかを、相対リスクと絶対リスクを調べて評価した。アジア、オーストラリア地域、ヨーロッパ、南北アメリカ地域から、33コホート(一般集団または血管系疾患のハイリスク集団)および13コホート(CKD集団)の計205万1,244人の参加者データについて、個人レベルのメタ解析を行った。データは1972~2011年の間、平均追跡期間5.8年(範囲、0~31年間)にわたるものであった。 主要評価項目は、eGFRと蛋白尿各値の、死亡およびESRDのハザード比(HR)(性、人種、心血管疾患、糖尿病、収縮期血圧、コレステロール値、BMI、喫煙の有無について補正)とした。絶対リスクは、HRと平均罹患率から推計した全年齢層で、死亡およびESRDリスクと関連 結果、全年齢層で、死亡(11万2,325例)およびESRD(8,411例)のリスクは、eGFR低値とアルブミン尿高値で高かった。 一般・ハイリスク集団では、死亡に関するeGFR低値の相対リスクは、加齢に伴い減少することが認められた。たとえば、eGFR値45mL/分/1.73m2 対 80mL/分/1.73m2の補正後HRは年齢階層別に、18~54歳群3.50(95%CI:2.55~4.81)、55~64歳群2.21(同:2.02~2.41)、65~74歳群1.59(同:1.42~1.77)、75歳以上群1.35(同:1.23~1.48)であった(年齢相互作用のp<0.05)。 一方で、同年齢階層別にみた絶対リスク(1,000人・年当たり過剰死亡)は、それぞれ9.0(同:6.0~12.8)、12.2(同:10.3~14.3)、13.3(同:9.0~18.6)、27.2(同:13.5~45.5)で、高齢であるほど高かった。 高アルブミン尿に関しては、絶対リスクは高齢であるほど高かったが、相対リスクについては、年齢とともに低下をする確証は得られなかった。アルブミン/クレアチニン比300mg/g対10mg/gの1,000人・年当たり超過死亡は、それぞれ7.5(同:4.3~11.9)、12.2(同:7.9~17.6)、22.7(同:15.3~31.6)、34.3(同:19.5~52.4)であった。 CKD集団では、死亡に関する補正後相対リスクの、加齢に伴う減少はみられなかった。 全集団では、ESRDに関するeGFR低値、高アルブミン尿の、相対リスクと絶対リスクは、全年齢層でほとんど差はあまりなかった。

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HER1/EGFRSチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ、米国で追加適応申請

 アステラス製薬は20日、米国子会社であるアステラス ファーマ US, Inc.とジェネンテック社が米国で共同販促をする HER1/EGFRチロシンキナーゼ阻害剤タルセバ(一般名:エルロチニブ)について、既承認の診断法で確認された EGFR 遺伝子変異を有する局所進行性又は転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療の追加適応症について、米国食品医薬品局(FDA)に販売許可申請を提出したと発表した。 今回の申請は、EGFR遺伝子変異を有する進行性の非小細胞肺がん患者を対象に実施した、タルセバとプラチナベースの化学療法の一次治療としての有用性を比較する無作為化比較国際共同第III相試験(EURTAC試験)の結果に基づいている。 ロシュ・モレキュラー・ダイアグノスティックス社によって開発された、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者を特定するためのコンパニオン診断薬(cobas EGFR Mutation Test)は、現在、米国医療機器放射線保健センター(CDRH:Center for Devices and Radiological Health)において審査中だという。欧米では肺がん患者の10人に1人(10%)、アジアでは10人に3人(約30%)が EGFR遺伝子変異を有すると推定されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/pdf/121120_Jp.pdf

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糖尿病よりCKDが死亡・末期腎不全に関連性大/Lancet

 糖尿病患者は死亡および末期腎不全のリスクが高いが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度でみた場合、その相対リスクは非糖尿病患者と変わらないことが明らかにされた。米国・NHLBIフラミンガム研究グループのCaroline S Fox氏らがメタ解析の結果、報告した。慢性腎臓病は、低eGFR値、高アルブミン値によって特色づけられ、それらの値と重大転帰とが関連している。そのリスクが糖尿病の有無によって影響があるのかはこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。糖尿病有無別で死亡および末期腎不全と腎疾患尺度との関連を検討 研究グループは2011年3月~2012年6月の間に、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortiumの基準に適合する試験を選択しメタ解析を行った。 Cox比例ハザードモデルを用いて、糖尿病有無別に死亡および末期腎不全と、eGFRおよびアルブミン尿との関連についてハザード比(HR)を算出した。 解析は、30の一般集団および心血管ハイリスクの試験コホートと、13のCKD試験コホートからの、102万4,977例(うち糖尿病あり12万8,505例)のデータを組み込んで行われた。eGFRとACRでみた死亡・末期腎不全のリスクは糖尿病と非糖尿病群でほぼ同程度 追跡期間中央値8.5年(SD 5.0)の間に、全試験コホートでの全死因死亡発生は、7万5,306例であった。また、心血管死亡のデータが得られた23試験コホートでは、追跡期間中央値9.2年(SD 4.9)の間に、心血管疾患死の発生は2万1,237例であった。 一般集団および心血管ハイリスクコホートにおける解析で、糖尿病がある人の死亡リスクは糖尿病がない人よりも、いずれのeGFRとACRの範囲値でも高かった(1.2~1.9倍)。 その一方で、死亡転帰のハザード比は、eGFRが参照値と比べて低値の場合も、またACRが参照値と比べてより高値の場合も、糖尿病患者群と非糖尿病患者群でいずれも同程度であった。たとえば全死因死亡について、eGFR 45mL/分/1.73m2 vs.参照値95mL/分/1.73m2のハザード比は、糖尿病患者群1.35(95%信頼区間:1.18~1.55)、非糖尿病患者群1.33(同:1.19~1.48)であった。同じくACR 30mg/g vs.同参照値5mg/gのハザード比は、1.50(同:1.35~1.65)、1.52(同:1.38~1.67)であった。全体の相互作用は有意ではなかった。 また、CKDコホートにおける末期腎不全リスクについても同様の知見が認められた。 上記を踏まえて著者は、「糖尿病患者では死亡および末期腎不全のリスクが高い一方で、eGFRとACRでみた相対リスクは、糖尿病患者と非糖尿病患者でほぼ同等であり、臨床転帰の予測因子として腎疾患の重要性が強調される」と結論した。

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死亡・末期腎不全との関連、高血圧よりもeGFR、ACRが重大/Lancet

 高血圧症のない人もある人と同様に、死亡および末期腎不全のリスクとして慢性腎臓病(CKD)を考慮すべきであることが示された。米国・ジョンズ・ホピキンスブルームバーグ公衆衛生校のBakhtawar K Mahmoodi氏らが、メタ解析の結果、報告した。高血圧症は、CKD患者では最もよくみられる共存症だが、推定糸球体濾過量(eGFR)およびアルブミン/クレアチニン比(ACR)といった腎疾患尺度と、死亡や末期腎不全との関連を高血圧症の状態別でみた場合の影響はこれまで明らかとなっていなかった。Lancet誌2012年11月10日号(オンライン版2012年9月24日号)掲載報告より。高血圧症有無別で死亡および末期腎不全と腎疾患尺度との関連を検討 研究グループは2011年3月~2012年6月の間に、Chronic Kidney Disease Prognosis Consortiumの基準に適合する試験を選択しメタ解析を行った。 Cox比例ハザードモデルを用いて、高血圧症の有無別に死亡および末期腎不全と、eGFRおよびACRとの関連についてハザード比(HR)を算出した。 解析は、45のコホート(一般集団試験コホート25、ハイリスク試験コホート7、慢性腎臓病試験コホート13)からの、112万7,656例(うち高血圧症あり36万4,344例)のデータを組み込んで行われた。eGFRとACRでみた死亡・末期腎不全のリスクは高血圧症にかかわりなくほぼ同程度 結果、一般集団およびハイリスクコホートにおいて、eGFRが一定の場合の全死因死亡リスクは、高血圧症がある人が高血圧症のない人よりも高かった(1.1~1.2倍)。 一方で同コホートにおいて、高血圧症の状態にかかわりなく、低eGFRと高ACRと、死亡との関連が認められた。 eGFR範囲値45~75mL/分/1.73m2での相対リスクの上昇は、高血圧症がない人のほうが高血圧症がある人よりも大きく、eGFR低値での死亡リスクは両群でほぼ同程度であった。すなわち、eGFR 45mL/分/1.73m2 vs.参照値90mL/分/1.73m2の全死因死亡ハザード比は、高血圧症がない人で1.77(95%信頼区間:1.57~1.99)であるのに対して、高血圧症がある人は同1.24(1.11~1.39)であった(全相互作用のp=0.0003)。 同様に、ACR値についても、ACR 300mg/g vs.同参照値5mg/gのハザード比は、2.30(同:1.98~2.68)、2.08(同:1.84~2.35)であった(全相互作用のp=0.019)。 また、心血管死亡についても同様の結果が得られた。末期腎不全についてもeGFRおよびACRとの関連がみられたが、高血圧症の状態による差は認められなかった。さらにCKDコホートの検討においても同様の結果が得られた。 これらの結果について著者は、「CKDは、高血圧症の状態にかかわらず注意と治療を怠らないようにすべきとの根拠を示す知見が得られた」とまとめている。

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【日本癌治療学会2012】腎がん治療の過去と未来

 第50回日本癌治療学会学術集会(2012年10月25日~27日)のシンポジウム「泌尿器がん治療の過去と未来」にて、金山博臣氏(徳島大学大学院HBS研究部泌尿器科学)は、「腎がん:サイトカイン、分子標的治療など」と題して、腎がんのサイトカイン療法および分子標的治療の歴史と現在の標準治療、今後の展望について講演を行った。●サイトカイン療法の時代 日本では2008年に腎がんに対して最初の分子標的治療薬であるソラフェニブが承認されるまで、腎がんの治療はインターフェロンα(IFNα)または低用量インターロイキン2(IL-2)、あるいは両剤の併用療法によるサイトカイン療法が中心であった。 肺転移を有する淡明細胞がんを対象としたIL-2とIFNα併用療法の多施設共同研究(Akaza H, et al. Jpn J Clin Oncol. 2010; 40: 684-689)によると、全症例での奏効率は35.7%、NC以上は73.8%と腫瘍縮小効果が高く、6ヵ月時点での無増悪生存率は60%以上であり、奏効した症例ではその効果が長く持続することが示された。 また、1,463例を対象としてサイトカイン療法の予後を検討した日本の40施設の共同研究(Naito S, et al. Eur Urol. 2010; 57: 317-325)の成績によると、生存期間中央値21.4ヵ月、5年生存率22.5%であり、poor riskの患者群でも生存期間中央値9.8ヵ月という良好な成績が得られている。 金山氏は、これらの分子標的治療が登場する以前の日本の腎細胞がんのエビデンスをまとめ、IFNαや低用量IL-2、あるいはその併用療法によるサイトカイン療法は、肺転移を伴う淡明細胞がんに対して有効であり、転移巣の切除や腎摘除術が予後の改善に寄与したと述べた。その他の治療(ミニ移植、ペプチドワクチン療法、樹状細胞療法)ではサイトカイン以上の有効性を示すエビデンスは得られなかった。●分子標的療法の時代 日本では現在、VEGFR-チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)としてソラフェニブ、スニチニブ、およびアキシチニブ、mTOR阻害薬としてエベロリムスとテムシロリムスの5剤が承認されている。金山氏は、それらの薬剤の主要なエビデンスをレビューした。 転移性の淡明細胞がんの患者750例を対象とし、ファーストライン治療においてスニチニブとIFNαを比較した第III相試験(Motzer RJ, et al. N Engl J Med. 2007; 356: 115-124)の結果から、スニチニブはIFNαに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させ(ハザード比0.42、95%CI:0.32~0.54、p<0.001)、奏効率もスニチニブ群で有意に高い(Central reviewにて、31% vs. 6%、p<0.001)ことが示された。Grade 3/4の倦怠感の発現率はIFNα群で高く、下痢はスニチニブ群で多かったが、QOLの評価はスニチニブ群で有意に良好であった。 N Engl J Med誌の同じ号には、サイトカイン療法に抵抗性を示す進行淡明細胞がん患者903例を対象として、ソラフェニブとプラセボを比較した第III相試験(Escudier B, et al. N Engl J Med. 2007; 356: 125-134)の結果が掲載された。それによると、PFS中央値はソラフェニブ群5.5ヵ月に対しプラセボ群2.8ヵ月(ハザード比0.44、95%CI:0.35~0.55、p<0.01)であった。2005年5月の解析時の全生存期間(OS)でも延長が認められたが(ハザード比0.72、95%CI:0.54~0.94、p=0.02)、統計学的に有意ではなかった。主なソラフェニブによる有害事象は、下痢、発疹、倦怠感、手足症候群であった。 Poor riskの淡明細胞がん患者626例を対象に、ファーストライン治療においてmTOR阻害薬のテムシロリムス、IFNαの単剤、および両剤の併用療法を比較した第III相試験(Hudes G, et al. N Engl J Med. 2007; 356: 2271-2281)の結果によると、テムシロリムス群はIFNα群に比べて、OS(ハザード比0.73、95%CI:0.58~0.92、p=0.008)、およびPFSともに有意な延長が認められた。一方で、併用療法群はIFNα群に比べて有意なOSの延長は示されなかった。IFNα群、テムシロリムス群、併用群の生存期間中央値はそれぞれ7.3ヵ月、10.9ヵ月、および8.4ヵ月であった。テムシロリムス群の有害事象として、発疹、末梢浮腫、高血糖、高脂血症が多く出現したが、重篤な有害事象の発症頻度はIFNα群に比べて低かった。 転移性腎細胞がん患者649例を対象として、ファーストライン治療で抗VEGF抗体のベバシズマブ+IFNαの併用療法とIFNαを比較した第III相試験(Escudier B, et al. Lancet. 2007; 370: 2103-2111)によると、併用群で有意なPFS中央値の延長が認められた(10.2ヵ月 vs. 5.4ヵ月、ハザード比 0.63、95%CI:0.52~0.75、p=0.0001)。併用群で多く認められたGrade 3以上の有害事象は倦怠感と無力症であった。 また、スニチニブやソラフェニブによる治療後に増悪した転移性腎細胞がん患者410例を対象に、エベロリムスとプラセボを比較した第III相試験(Motzer RJ, et al. Lancet. 2008; 372: 449-456)では、エベロリムス群で有意なPFSの延長が示された(4.0ヵ月 vs. 1.9ヵ月、ハザード比0.3、95%CI:0.22~0.40、 p

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【速報!AHA2012】同時複数箇所焼灼カテーテルを用いた腎動脈アブレーションの安全性:降圧効果は?:EnligHTN 1

 近年、Symplicityカテーテルを用いた腎動脈アブレーションの、薬物治療抵抗性高血圧に対する著明な降圧作用が報告されている。今回、EnligHTNカテーテルを用いても、同様の有用性を期待できることが明らかになった。パイロットスタディ "EnligHTN I" の結果として、4日のClinical Science: Special RepoertsセッションにてVAメディカルセンター(米国)のVasilious Papademetriou氏が報告した。  EnligHTNカテーテルは血管内で拡張し、血管壁の異なる4カ所を同時にアブレーションできる。このため、Symplicityカテーテルならばプルバックしながら周回性に4回行うアブレーションを、一度で施行できる。また4つのアブレーション部位は位置関係が常に同じとなるので、アブレーションをより正確な位置で行いうるなどの利点があるという。 今回、Papademetriou氏らは、このEnligHTNカテーテルによる腎動脈アブレーションの安全性と降圧作用を、薬物治療抵抗性高血圧で検討した。「薬物治療抵抗性」の定義は、利尿薬併用にもかかわらず、「診療所収縮期高血圧(SBP)≧160mmHg」である。 46例が登録された。診療所血圧は、平均4.1剤の降圧薬服用にもかかわらず176/96mmHgだった。心拍数は71拍/分。また30%に睡眠時無呼吸を認めた。  まず安全性だが、腎動脈アブレーション後6か月間に大きな問題は認めなかった。すなわち周術期に事故はなく、アブレーションに由来する腎動脈狭窄も認めなかった。1例が入院を有する低血圧を来したものの、降圧薬の調節で解決した。腎機能も、糸球体濾過率(eGFR)半減、血清クレアチニン2倍化、末期腎不全移行は認めなかった。ただし有意ではないが、経時的にeGFRは低下、血清クレアチニンは増加していた。  降圧作用については、アブレーション前に176/96mmHgだった診療所血圧から、1か月後には28/10mmHgの有意な低下を認め、3か月後27/10mmHg、6か月後にも26/10mmHgと降圧作用は維持された。一方、24時間平均血圧の低下幅は、1か月後、3か月後とも10/5mmHg、6か月後10/6mmHgと、診療所血圧に比べ降圧幅が小さい傾向にあった。夜間血圧の降圧幅は示されなかった。 指定討論者のRobert Carey氏(バージニア大学:米国)はこの結果を、先行する一連のSimplicity試験とおおむね同じと評し、最終的には臨床転機を評価せねばならないと述べた。取材協力:宇津貴史(医学レポーター)「他の演題はこちら」

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CKD患者の血圧管理:ARBで降圧不十分な場合、増量か?併用か?

 CKD患者の血圧管理においてARB単剤で降圧目標130/80mmHg未満に到達することは難しい。今回、熊本大学の光山氏らは、日本人対象の無作為化比較試験のサブ解析の結果、ARB単剤で降圧不十分時にARBを増量するより、Ca拮抗薬を併用したほうが心血管系イベントや死亡といったリスクを回避しやすいことを示唆した(Kidney International誌オンライン版10月10日号掲載報告)。 ARBを低用量から開始し、通常用量まで増量しても降圧目標に達しないケースでは次にどのような一手を打つべきか? さらに増量する方法のほか、Ca拮抗薬など他の降圧薬の追加も選択肢となる(『CKD治療ガイド2012』では尿蛋白を伴わず、糖尿病を合併していない場合は「降圧薬の種類を問わない」とされている)。 サブ解析は、無作為化オープン試験OlmeSartan and Calcium Antagonists Randomized(OSCAR)試験について行われた。OSCAR試験では心血管疾患もしくは2型糖尿病を1つ以上有する日本人の高齢者(65~85歳)高血圧患者1,164例を対象とし、ARB増量群(オルメサルタン40mg/日)あるいはARB+Ca拮抗薬併用群(オルメサルタン20mg/日+Ca拮抗薬)に無作為化された。今回のサブグループ解析の対象は、事前に設定されていたCKD患者(eGFR 60 mL/min/1.73 m2 未満)である。 主要評価項目は「心血管系イベント」および「非心血管疾患死」。心血管系イベントは「脳血管障害」「冠動脈疾患」「心不全」「その他動脈硬化性疾患」「糖尿病性合併症」「腎機能の悪化」と定義された。なお、本試験については、すでに2009年に小川氏(熊本大学)らによって主要結果が発表されている(Hypertens Res. 2009;32:575-580.)。 主な結果は下記のとおり。・血圧は併用群で増量群に比べ、有意に低下。・主要評価項目の発生率は併用群(16例)で増量群(30例)より少なかった(ハザード比 2.25)。・脳血管障害および心不全イベントが増量群でより多く発生した。

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心筋梗塞のリスクはCKDが糖尿病よりも高い、約127万人のコホート試験

 心筋梗塞による入院のリスクは、心筋梗塞の既往歴がある場合に最も高いが、既往歴がない場合はCKDが糖尿病よりも高リスクであることが、カナダ・Alberta大学のMarcello Tonelli氏らAlberta Kidney Disease Network(AKDN)の検討で示された。糖尿病の冠動脈イベントのリスクは心筋梗塞の既往歴に匹敵すると考えられている。慢性腎臓病(CKD)も冠動脈イベントのリスクが高い(とくに蛋白尿がみられる場合)とされるが、CKDによる冠動脈イベントのリスク等価性を糖尿病と比較した試験はなかったという。Lancet誌2012年9月1日号(オンライン版2012年6月19日号)掲載の報告。CKDと糖尿病の冠動脈イベントリスクをコホート試験で比較AKDNの研究グループは、CKDおよび糖尿病における冠動脈イベントのリスクを評価する地域住民ベースのコホート試験を実施した。AKDNデータベースを用い、2002~2009年に推算糸球体濾過量(eGFR)と蛋白尿の測定を受けた18歳以上の住民を選出した。1994~2009年の入院および医療費請求データに基づくアルゴリズムにより、被験者をベースラインの心筋梗塞の既往歴の有無で分類し、フォローアップ期間中に心筋梗塞で入院した患者を同定した。ベースラインのCKDの定義はeGFR 15~59.9mL/分/1.73m2(ステージ3あるいは4)とした。蛋白尿は尿試験紙またはアルブミン/クレアチニン比で評価した。糖尿病はHbA1c>6.5%の場合とした。心筋梗塞既往歴あり群には糖尿病、CKDの患者も含まれた(A群)。心筋梗塞既往歴なしの群は、さらに4つの群[糖尿病とCKDを有する群(B群)、CKDのみの群(C群)、糖尿病のみの群(D群)、糖尿病もCKDもない群(E群)]に分けた。ポアソン回帰分析を用いて、5つの群におけるフォローアップ期間中の心筋梗塞の未調整発生率および相対リスクを算出した。最も高リスク患者のリストにCKDを加えるべき126万8,029人が解析の対象となった。A群が1万2,960人(平均年齢66.1歳、女性26.8%、糖尿病30.1%、CKD 27.8%)、B群が1万5,368人(平均年齢72.7歳、女性53.8%)、C群が5万9,117人(同:71.8歳、59.8%)、D群が7万5,871人(同:56.2歳、46.0%)、E群は110万4,713人(同:44.6歳、55.2%)だった。フォローアップ期間中央値48ヵ月の時点で、1万1,340人(1%)が心筋梗塞で入院し、4万7,712人(4%)が死亡した。心筋梗塞の未調整発生率はA群が最も高かった(18.5/1,000人・年、95%CI:17.4~19.8)。心筋梗塞既往歴のない群における心筋梗塞の発生率は、C群(糖尿病なしのCKD)が6.9/1,000人・年(95%CI:6.6~7.2)と、D群(CKDなしの糖尿病)の5.4/1,000人・年(95%CI:5.2~5.7)に比べ有意に高かった(p

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バンデタニブが局所進行性/転移性分化型甲状腺がんのPFSを延長:無作為化二重盲検第2相試験

 放射性ヨード耐性の進行性分化型甲状腺がんに対する有効な標準的治療はまだない。Sophie Leboulleux氏らは、RET、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)のシグナル伝達のチロシンキナーゼ阻害薬であるバンデタニブが、無作為化二重盲検第2相試験によって、局所進行性または転移性分化型甲状腺がんに対する有効性を示したことを報告した。著者らは、この疾患に対するチロシンキナーゼ阻害薬のさらなる研究が必要であるとしている。The Lancet Oncology誌オンライン版2012年8月13日号に掲載。 本試験は、ヨーロッパの16施設において、18歳以上の局所進行性または転移性分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、または低分化がん)の患者が登録され、バンデタニブ群(バンデタニブ300mg/日)またはプラセボ群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは、intention-to-treat集団における無増悪生存期間(PFS)である(治験責任医師の評価に基づく)。 主な結果は以下のとおり。・2007年9月28日~2008年10月16日に、バンデタニブ群72例、プラセボ群73例が割り付けられた。・データカットオフ(2009年12月2日)までに、113例(78%)の患者が進行(バンデタニブ群52例[72%]、プラセボ群61例[84%])、40例(28%)が死亡した(バンデタニブ群19例[26%]、プラセボ群21例[29%])。・PFS中央値は、バンテタニブ群11.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.7~14.0)、プラセボ群5.9ヵ月(4.0~8.9)であり、バンデタニブ投与によりPFSが延長した(ハザード比[HR]:0.63、60%CI:0.54~0.74;片側p=0.008)。・Grade3以上の主な有害事象は、QTc延長(バンデタニブ群10例[14%]対プラセボ群0例)、下痢(7例[10%]対0例)、無力症(5例[7%]対3例[4%])、疲労(4例[5%]対0例)であった。・治療関連の重篤な有害事象により、バンデタニブ群では2例(皮膚転移による出血および肺炎)、プラセボ群では1例(肺炎)が死亡した。

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心房細動例においてワルファリンを上回るアピキサバンの有用性──、腎機能低下例でも維持される;ARISTOTLEサブ解析

新規Xa阻害薬アピキサバンは心房細動(AF)例において、腎機能の高低にかかわらず「脳卒中・全身性塞栓症」をワルファリンよりも抑制し、ワルファリンと比較した「大出血」リスクは、腎機能が低下するほど減少する可能性が示された。28日の「クリニカルトライアル&レジストリー・アップデートIII」セッションにて、J.W.ゲーテ大学(ドイツ)のStefan H. Hohnloser氏が、大規模試験ARISTOTLEのサブ解析として報告した。ARISTOTLE試験の対象は、脳卒中リスク因子を有する心房細動患者18,201例である。「血清クレアチニン(Cr)値>2.5mg/dL」あるいは「クレアチニン・クリアランス<25mL/分」の腎機能低下例は除外されている。これら18,201例は アピキサバン群(9,120例)とワルファリン群(9,081例)に無作為化され、二重盲検法で追跡された。アピキサバンの用量は5.0mg×2/日を基本としたが、「血清クレアチニン(Cr)値≧1.5mg/dL+他危険因子」などの出血高リスク例では、2.5mg×2/日に減量した。ワルファリン群の目標INRは、一律「2~3」である。今回の解析では、腎機能の高低別にアピキサバンの有効性と安全性が評価された。腎機能の評価には推算糸球体濾過率(eGFR)を用い、「50 (mL/分/1.73m2)以下」、「50~80 (mL/分/1.73m2)」、「80 (mL/分/1.73m2)超」の3群に分けて比較した。まず有効性として、一次評価項目である「脳卒中・全身性塞栓症」リスクを検討した。全例での検討ではワルファリン群に比べ相対的に21%、アピキサバン群で有意な減少が認められたイベントである。その結果、Cockroft-Gault式、CKD-EPI式、シスタチンCから推算したいずれのeGFRで評価しても、腎機能の高低はアピキサバンによる「脳卒中・全身性塞栓症」作用に有意な影響を及ぼしていなかった。「総死亡」で検討しても同様だった。一方、安全性については、腎機能低下例でアピキサバンがより優れる可能性が示された。Cockroft-Gault式、CKD-EPI式いずれのeGFRで評価しても、アピキサバン群における「大出血」リスクはeGFRが低値となるほど、ワルファリン群に比べ減少する有意な傾向が認められた。そこでCockroft-Gault式、CKD-EPI式で求めた「eGFR」と「大出血リスク」をそれぞれ連続変数としてプロットしてみると、いずれのeGFRも、低下に伴う大出血リスクの増加傾向は、アピキサバン群に比べワルファリン群で有意に大きかった。ただし、シスタチンCから推算したeGFRの高低は、アピキサバン群における大出血リスクに有意な影響を与えなかった。アピキサバン群ではeGFRの高低にかかわらず一貫して、ワルファリン群に比べ有意なリスク減少が観察された。Hohnloser氏は「腎機能の低下したAF例に対し、アピキサバンはワルファリンよりも有効かつ安全かもしれない」と結んだ。関連リンク

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新規分子標的薬の開発に従来型の大規模臨床試験は必要か?~第10回日本臨床腫瘍学会学術集会

 がん治療における「個別化治療」は、最近の分子標的薬剤の開発によって現実化してきている。第10回日本臨床腫瘍学会学術総会(2012年7月26~28日、大阪国際会議場)のシンポジウム5「Biomarkerによる個別化治療の進歩」では、各領域がんの個別化治療の現状と将来展望について講演が行われた。「バイオマーカーに基づく非小細胞肺癌における治療開発」と題して講演を行った近畿大学の岡本勇氏は、新規分子標的薬の開発における臨床試験について、「非小細胞肺がんは、遺伝子変異別に薬剤を投与する時代になり、各遺伝子変異の頻度が非常に少ないこともわかってきたことから、従来型の大規模臨床試験による新薬開発からマインドを変える必要がある」と提言した。 非小細胞肺がんにおけるdriver oncogene mutationとしては、EGFR遺伝子変異、EML4-ALK融合遺伝子が代表的であるが、それぞれをターゲットとする薬剤としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィチニブ[商品名:イレッサ]、エルロチニブ[同:タルセバ]とALKチロシンキナーゼ阻害薬(クリゾチニブ[同:ザーコリ])が現在、実地臨床で使用できる。 また、現在、driver oncogene mutationとして、ROS1融合遺伝子とRET融合遺伝子が発見されている。ROS1融合遺伝子を持つ患者は肺腺がん患者の1.2%に見られ、クリゾチニブで高い効果が報告されている。RET融合遺伝子を持つ患者も肺腺がん患者の約1~2%存在し、これをターゲットとするバンデタニブ(国内未発売)の有効性と安全性については、国立がん研究センター東病院など5施設で医師主導治験により評価していく予定である。 このように、driver oncogeneが発見され、それをターゲットとする薬剤がある一方で、症例が非常に少ないという現状のなか、岡本氏は「どのような臨床試験を組むのか、どのような承認のプロセスをとるのか、どのように標準的治療のなかに組み込んでいくのかが、われわれが直面している1つの大きな問題」と考える。 さらに岡本氏は、私見として、「driver oncogene mutationという強力な分子的背景があり、前臨床で効果のある患者を特定でき、さらに臨床で高い効果が得られ、ある程度薬剤の安全性が認められる場合は承認し、その後の実地臨床で厳しく評価していけばよいのではないか」と述べた。

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今後も評価の価値あり…転移性乳がんのマルチチロシンキナーゼ阻害薬TSU-68

TSU-68はVEGFR-2、血小板由来増殖因子受容体と線維芽細胞成長因子受容体を阻害する新たなマルチキナーゼ阻害薬である。東海大学のSuzuki氏らは、アントラサイクリンレジメン+タキサンによる術前治療にも関わらず進行した転移性乳がん患者におけるTSU-68単剤療法の有効性と安全性を評価する臨床第II相試験を実施し、その結果をInternational Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年5月15日号に報告した。TSU-68は、20名の患者に400mgを1日2回投与された。一次エンドポイントは、RECISTガイドラインver.1.0による奏効率。二次エンドポイントは、TSU-68の臨床的利益率(24週以上持続するCR、PR、SD)、1サイクル終了時における腫瘍細胞の血管新生に関連するバイオマーカーのmRNAレベルの変化の探索、安全性評価であった。その結果、包括的奏効はみられなかったものの、TSU-68単独療法の臨床的利益は5%の患者に認められた。また、バイオマーカーであるCD-31、Fit-1、Flk/KDRのmRNAレベルは、腫瘍組織を採取した4例すべてで減少傾向を示した。しかしながら、サンプルサイズが小さかったため、有意差は認められなかった。一方、最も多い有害事象は腫瘍痛(60%)であった。血液系の有害事象はまれであり、軽度であった。Grade2の発疹が1例みられたが、VEGFR阻害薬でみられる高血圧は発現しなかった。Grade4の有害事象、試験関連死とも認められなかった。本試験では、臨床的ベネフィットが得られたのは患者の5%だったものの、TSU-68単剤療法の忍容性は良好であった。また、CD31のmRNAレベル、Flk-1/KDRの減少が4例でみられており、TSU-68の有効性については、今後もさらに評価する価値があると考えられる。(ケアネット 細田 雅之)

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アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指すJSMO2012 第10回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナーより

今年の日本臨床腫瘍学会(以下、JSMO)学術集会は10周年記念大会として、"Beyond the Global Standard of Medical Oncology 縲弃erspectives from Asia縲鰀"をテーマとして掲げ 、7月26日~28日の3日間、大阪国際会議場で開催される。10ヵ所の講演会場とポスター会場を使い、1,000題を超えるプレゼンテーションが行われる。今年の学術集会の見どころを、13日に行われたプレスセミナーで、会長である近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 教授 中川和彦氏が紹介した。設立10周年記念企画 7月26日、10周年記念企画「わが国における臨床腫瘍学の歩みと今後の展望」が開かれる。ここではJSMOがこの10年間どのように成長したか、今後どのような方向に向かっていくのか、歴代会長と現役会員がそれぞれの観点からディスカッションを行う。国際化への取り組みJSMOは、“アジアの臨床腫瘍学のエピセンターを目指す”と宣言しているが、その宣言を反映するように、海外から一般演題を募集するという初めての試みを行っている。その結果、今回の1,135演題のうち122演題が海外からの応募演題となった。これら海外からの演題は12のインターナショナルセッションに配置しているが、予定以上の演題数に、急遽6のミニインターナショナルセッションも設け、プレゼンテーションの機会を与えている。 7月26日にはASCO、27日にはESMO、28日にはCSCO(中国)およびKACO(韓国)の各臨床腫瘍学会とのジョイントシンポジウムが行われる。ASCOからは次期ASCO会長であるDr.Swain、ESMO からは機関誌Annal of Oncologyの編集者でもあるDr.Vermorken、また、CSCO、KACOからもそれぞれClinical oncologyの第一人者が出席する。これらのシンポジウムでは、国内外の最先端の研究報告が期待される。また、このような活動を通し、JSMOは今後、海外、とくにアジアでのコンセンサスを形成する活動を目指していくという。プレナリーセッションすべての演題の中から重要度の高い7演題をプレナリーセッションに取り上げている。腎がん、乳がん、胃がん、大腸がん2題、肺がん2題の演題はすべてPhase3であり、いずれも非常にインパクトが高く臨床に直結した発表である。また、プレナリーセッション開催時は、その他の会場でのプログラムがなく、同セッションだけに集中できるスケジュールとなっている。プレナリーセッション演題は下記のとおり。1:「Phase III AXIS trial of axitinib vs sorafenib in patients with metastatic renal cell carcinoma: Asian subgroup analysis」Hirotsugu Uemura (Department of Urology, Kinki University School of Medicine, Osaka2:「A Phase III, Multicenter, Randomized Trial of Maintenance Versus Observation After Achieving Clinical Response in Patients With Metastatic Breast Cancer Who Received 6 Cycles of Gemcitabine Plus Paclitaxel as First-line Chemotherapy (KCSG-BR 0702, NCT00561119) 」Young-Hyuck Im (Samsung Medical Center)3: 「Randomized phase III study of irinotecan (CPT-11) vs. weekly paclitaxel (wPTX) for advanced gastric cancer (AGC) refractory to combination chemotherapy (CT) of fluoropyrimidine plus platinum (FP) : WJOG4007 trial」Nozomu Machida (Division of Gastrointestinal Oncology, Shizuoka Cancer Center)4: 「Results of a phase III randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter trial (CORRECT) of regorafenib plus best supportive care (BSC) versus placebo plus BSC in patients (pts) with metastatic colorectal cancer (mCRC) who have progressed after standard therapies.」Takayuki Yoshino (National Cancer Center Hospital East)5: 「Results of ML18147: A phase III study of bevacizumab in 2nd line mCRC for patients pretreated with bevacizumab in 1st line」Stefan Kubicka (District Clinic Reutlingen)6: 「LUX-Lung 3: afatinib vs cisplatin and pemetrexed in Japanese patients with adenocarcinoma of the lung harboring an EGFR mutation」Nobuyuki Yamamoto (Thoracic Oncology Division, Shizuoka Cancer Center)7: 「Maintenance pemetrexed (pem) plus best supportive care (BSC) vs placebo plus BSC after pem plus cisplatin for advanced nonsquamous NSCLC」C. K. Obasaju (Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN, USA)学会へ行こうプログラム今回は、市民との対話の機会を設けるなど、アカデミックなプログラム以外の活動も企画している。具体的には「学会へ行こうプログラム」を企画。市民の学会への参加を呼びかけるとともに、市民公開講座、ペイシェント・アドボケイト・プログラムなどを実施する。今まで当学会への市民参加は行ったことがなかったが、がん診療のあり方を変える取り組みとして、市民に参加してもらう機会を作りたいという意図から実施に至った。 この中で、最も注目されるイベントは7月26日14時30分から開催される公開シンポジウムである。「がん患者の必要としているがん医療縲恍n域でがん患者を支えるためには縲怐vと題し、司会に田原総一朗氏を招き、学会・マスコミの第一人者を集めて2部構成で開催される。第1部では、がん対策基本法が制定されてから、これまでどのようなことが変わってきたか? 第2部では、政府の新たな指針に対する検証、各方面からの要望などを議論する。教育講演今回の大会の目玉の一つとして、充実した教育講演がある。具体的には、日本の第一人者による32の教育講演を3日間続けて行う。内容は支持療法から臓器各論、標準治療、分子標的治療薬に至るまでさまざまなテーマで開催される。今年は、海外からの参加者も念頭に置き、同時通訳と英語スライドを使用するとのこと。また、7月27日8時からは、JSMO専門医会がケースカンファレンスを行う。乳がん、原発不明がん、大腸がんを取り上げ、どのように専門医が有効に働いていくのかを知る良い機会となる。今回の大会では、今年6月のASCOで発表された注目の演題も数多く取り上げられているが、それだけでなく、日本での臨床応用についてのディスカッションも行われる。これは日本の臨床腫瘍学にとって、非常に有益なことであり、将来はJSMOから世界に発信するということを目標としたい、と中川氏は語った。 (ケアネット細田雅之)

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新たな分子標的薬の登場で腎細胞がん治療はどう変わるのか?

腎細胞がん治療において、現在わが国で発売されている分子標的薬は4剤あり、日本泌尿器科学会の腎癌診療ガイドライン2011年版では、1次治療ではMSKCCリスク分類別、2次治療では前治療別に薬剤が推奨されている。そのなかで、新たな分子標的薬であるアキシチニブ(商品名:インライタ)が、2012年6月29日、根治切除不能または転移性の腎細胞がんの治療薬として承認された。今回、ファイザー株式会社によるプレスセミナーが7月11日に開催され、慶應義塾大学泌尿器科教授 大家基嗣氏と近畿大学泌尿器科教授 植村天受氏が、腎細胞がん治療における現状・課題、アキシチニブの特性や臨床成績、今後の展望などについて講演した。その内容をレポートする。■標的部位が選択的かつ阻害活性が高いチロシンキナーゼ阻害薬まず、腎細胞がん治療における現状と課題、アキシチニブの特性や臨床試験成績、使用時の注意について、大家基嗣氏が講演した。腎細胞がんの罹患数は増加傾向にあり、わが国の年間罹患者数は約14,000人である。近年、健康診断における腹部超音波検査やほかの疾患での定期的CT検査によって、偶然発見されるケースも増えている。現在、腎細胞がんに適応を持つ分子標的薬は、チロシンキナーゼ阻害薬のスニチニブ(商品名:スーテント)とソラフェニブ(同:ネクサバール)、mTOR阻害薬のテムシロリムス(同:トーリセル)とエベロリムス(同:アフィニトール)の4剤がある。これらの薬剤によって腎細胞がん患者の予後は改善されたとはいえ、長期生存率は依然として低く、また副作用の問題で長期継続投与ができないという課題が残っている。よって、臨床現場からは、より有効性が高く、より副作用の少ない薬剤が待ち望まれている。今回承認されたアキシチニブは、チロシンキナーゼ阻害薬であり、標的部位がVEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3に選択的で、その阻害活性はほかの2剤に比べて非常に強いという特徴を持つ。国際共同第III相臨床試験(AXIS)では、1次治療に治療抵抗性を示した転移性腎細胞がん(淡明細胞がん)患者715例を対象に、アキシチニブ群とソラフェニブ群に無作為に割り付け、有効性および安全性を比較検討した。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はアキシチニブ群が6.8ヵ月と、ソラフェニブ群4.7ヵ月に比べて有意に延長した(ハザード比0.664、p

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