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IgA腎症への経口ステロイドで感染症リスク増/JAMA

 IgA腎症で蛋白尿1g/日以上の患者において、経口メチルプレドニゾロンの服用は重篤有害事象のリスクを、とくに感染症のリスクを増大することが、国際多施設共同無作為化試験「TESTING」の結果、示された。筆頭著者の中国・北京大学第一病院のJicheng Lv氏らは、「結果は潜在的な腎ベネフィットと合致しているが、試験が早期終了となったため、治療ベネフィットについて最終的な結論を示すことはできない」としている。ガイドラインでは、IgA腎症および持続性蛋白尿を認める患者に対しコルチコステロイドの使用を推奨しているが、その影響は明らかになっていなかった。JAMA誌2017年8月1日号掲載の報告。有効性、安全性についてプラセボ対照無作為化試験 TESTING(Therapeutic Evaluation of Steroids in IgA Nephropathy Global)試験は、オーストラリア・シドニー大学の研究部門(The George Institute for Global Health)がコーディネートしたマネジメント委員会監督の下で、中国、オーストラリア、インド、カナダ、マレーシアの最高100施設で実行するようデザインされた。研究者主導、二重盲検プラセボ対照で、血圧コントロールやレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬投与など適切な支持療法を受けるIgA患者における、経口メチルプレドニゾロン服用の腎アウトカムへの重大リスクを検討した。 適格患者(蛋白尿1g/日以上、eGFR値20~120mL/分/1.73m2、RAS阻害薬で血圧をコントロール)を、経口メチルプレドニゾロン(0.6~0.8mg/kg/日;最大用量48mg/日)または適合プラセボを受ける群に1対1の割合で無作為に割り付け、2ヵ月間投与。その後4~6ヵ月をかけて漸減し離脱に至った。 主要アウトカムは、末期腎不全、腎不全による死亡、またはeGFR値40%低下の複合とした。また、事前に規定した安全性アウトカムは、重症感染症、糖尿病の新規発症、消化管出血、骨折/骨壊死、心血管イベントの発生であった。ステロイド投与群で重症感染症が過剰に発生、試験は中止に 試験は、必要サンプルサイズ750例、主要アウトカム発生335例、平均追跡期間は5年と推算され開始されたが、262例が無作為化を受け、追跡期間中央値2.1年時点で、重篤有害事象の発生が過剰に認められたため中止となった。 262例(メチルプレドニゾロン群136例、プラセボ群126例)は、平均年齢38.6歳(SD 11.1)、女性96例(37%)、eGFR値59.4mL/分/1.73m2、蛋白尿2.40g/日であった。 報告された重篤有害事象は24例で、メチルプレドニゾロン群で20例(14.7%)が報告された。プラセボ群は4例(3.2%)で(p=0.001、リスク差:11.5%[95%信頼区間[CI]:4.8~18.2])、メチルプレドニゾロン群の有意な増大は、重症感染症の過剰な発生(11例[8.1%、2例は死亡]vs.0例)によるものであった(リスク差:8.1%[95%CI:3.5~13.9]、p<0.001)。 主要複合腎アウトカムの発生は、メチルプレドニゾロン群では8例(5.9%)であったのに対し、プラセボ群では20例(15.9%)報告された(ハザード比:0.37[95%CI:0.17~0.85]、リスク差:10.0%[95%CI:2.5~17.9]、p=0.02)。

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肺がんMYSTIC試験、durvalumab・tremelimumab併用の一部結果を発表

 AstraZenecaとその生物製剤研究開発拠点MedImmuneは2017年7月27日、未治療のStageIV非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療選択において、抗PD-L1抗体durvalumab単独療法またはdurvalumab・tremelimumab(抗CTLA-4抗体)併用療法と、プラチナベースの標準化学療法(SoC)をそれぞれ比較した、第III相MYSTIC試験の無増悪生存期間(PFS)の結果を発表。 durvalumab・tremelimumab併用療法は、PD-L1発現25%以上の患者におけるSoCとの比較で、主要評価項目であるPFSの改善を達成しなかった。また、正式には検証されていないが、副次評価項目であるdurvalumab単独療法のPFSベネフィットも閾値を満さない可能性がある、としている。 MYSTIC試験は、無作為化オープンラベル多施設共同試験。主要評価項目は、durvalumab・tremelimumab併用療法のPFSおよびOS、durvalumab単独療法のOSの3つ(いずれもSoCとの比較)である。今回の発表は、そのうちの1つ併用療法のPFS。残り2つの主要評価項目も引き続き評価され、最終のOSデータは、2018年前半に発表される予定。 AstraZenecaのGlobal Medicines Development and Chief Medical OfficerであるSean Bohen氏はプレスリリースの中で、StageIVのNSCLCにおけるMYSTIC試験のPFSの結果は残念なものだが、この試験はOSを評価するよう設計されており、残りの主要評価項目である単独療法と併用療法双方のOSの評価に期待している、としている。 MYSTIC試験は、本邦も含む欧米およびアジアの世界17ヵ国167施設で実施されている。■参考AstraZeneca(グローバル)プレスリリースMYSTIC試験(ClinicalTrials.gov)

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都道府県間で広がる健康格差/Lancet

 東京大学大学院医学系研究科主任教授の渋谷 健司氏らによる「日本の都道府県別の疾病負荷研究(1990~2015年)」の結果が、Lancet誌オンライン版2017年7月19日号で発表された(筆頭著者は同大学助教の野村 周平氏)。1990~2015年に日本では、総じて大半の重大疾患による死亡率や身体的障害発生の低下に成功した一方で、ゆっくりとだが都道府県間の健康格差は進んでいることが明らかになった。その原因については、各都道府県間の保健システムの主なインプット(医療費、医療従事者数など)と健康アウトカムに有意な関連を見いだすことはできなかったとして、著者は「保健システムのパフォーマンス(医療の質など)を含む評価を早急に行い、都道府県格差を生み出している要因を明らかにする研究が必要である」と提言している。1990~2015年の日本全国および47都道府県別の疾病負荷の変化を調査 研究グループは、「日本は超高齢化時代に突入し健康転換が進んでおり、保健システム維持へのプレッシャーはますます大きくなっている。健康転換のレベルとペースは各地で異なると考えられ、また疾病負荷について地域格差の増大があるのではないかと懸念される」として、都道府県別の疾病および外傷の負荷の定量化を行い、リスク因子を明らかにする検討を行った。 検討には、統合的かつ比較可能なフレームワークのGBD 2015(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2015)を用い、GBD 2015の死亡、疾病、外傷発生の315の要因と79のリスク因子や有病率のデータから、1990~2015年の全国および47都道府県別の疾病および外傷の負荷を測定した。また、GBD 2015より抽出したデータで、死亡率、死亡要因、損失生存年数(years of life lost:YLL)、障害生存年数(years lived with disability:YLD)、障害調整生存年(disability-adjusted life-years:DALY)、平均余命、健康寿命(healthy life expectancy:HALE)について評価。負荷の推定値、および既知のリスク因子による起因性負荷の推定値は、県別に得られたデータとGBD法を応用して算出した。さらに、地域健康格差をもたらす要因を明らかにするため、都道府県レベルの保健システムのインプット(医療費や医療従事者数など)と2015年のGBDアウトプット(死亡率、疾病負荷など)との関連性についても調べた。平均余命、全国的には4.2歳上昇も都道府県間の格差は拡大 1990~2015年に日本の平均余命は、79.0歳(95%不確定区間[UI]:79.0~79.0)から83.2歳(83.1~83.2)へと4.2歳上昇した。しかしながら同期間中に、平均余命が最も短い県と長い県の格差が2.5歳から3.1歳へと広がっていた。同様に健康寿命についても2.3歳から2.7歳へと拡大していた。 全国的な年齢標準化死亡率は、29.0%(28.7~29.3)の減少がみられた。しかし都道府県間では、かなりばらつきがみられ、最大県は-32.4%(-34.8~-30.0)、最小県は-22.0%(-20.4~-20.1)だった。 同期間中の年齢標準化DALYは、全国的には19.8%(17.9~22.0)の減少であった。年齢標準化YLDは3.5%(2.6~4.3)の減少と、かなり少なかった。 死亡率およびDALYの減少ペースは、さまざまな要因によってもたらされていたが、2005年以降は横ばいになっている。DALYの34.5%(32.4~36.9)は既知のリスク因子によって説明がついた。そのうち大きな2つの要因は不健康な食生活と喫煙であった。一方、保健システムのインプットと年齢標準化死亡率やDALY率に関連は認められなかった。

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急性脳卒中後の頭位、仰臥位 vs.頭部挙上のアウトカムを検討(中川原 譲二 氏)-703

 急性脳卒中後の頭位について、仰臥位は脳血流の改善に寄与するが、一方で誤嚥性肺炎のリスクを高めるため、臨床現場ではさまざまな頭位がとられている。オーストラリア・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らは、急性虚血性脳卒中患者のアウトカムが、脳灌流を増加させる仰臥位(背部は水平で顔は上向き)にすることで改善するかどうかを検討したHead Positioning in Acute Stroke Trial(HeadPoST研究)の結果を結果をNEJM誌2017年6月22日号で報告した。9ヵ国の急性脳卒中患者約1万1,000例を対象に検討 HeadPoST研究は、9ヵ国(英国、オーストラリア、中国、台湾、インド、スリランカ、チリ、ブラジル、コロンビア)で、実用的なクラスター無作為化クロスオーバー試験として実施された。18歳以上の脳内出血(クモ膜下出血を除く)を含む急性脳卒中患者1万1,093例(85%が虚血性脳卒中)を登録し、仰臥位で治療を行う群(仰臥位群)と、頭部を30度以上挙上し上体を起こした姿勢で治療を行う群(頭部挙上群)のいずれかに、入院施設単位で無作為に割り付けた。指定された体位は、入院直後に開始し24時間続けられた。主要アウトカムは90日後の機能障害の程度で、修正Rankinスケール(mRSスコアの範囲:0~6、スコアが高いほど障害の程度が大きく、6は死亡)を用いて評価した。頭位の違いで、アウトカムや有害事象には有意差はなかった 脳卒中発症から割り付け指定の頭位を開始するまでの時間の中央値は、14時間であった(四分位範囲:5~35時間)。仰臥位群は、頭部挙上群より24時間の頭位維持率が有意に低かった(87% vs.95%、p<0.001)。一方で、酸素飽和度や血圧、他の治療管理面について、両群間に有意差は確認されなかった。比例オッズモデルによる検討で、両群の90日後のmRSスコアの分布は同等であった(仰臥位群の頭部挙上群に対するmRSスコア分布差の未補正オッズ比:1.01、95%信頼区間:0.92~1.10、p=0.84)。90日以内の死亡率は、仰臥位群7.3%、頭部挙上群7.4%であった(p=0.83)。重篤な有害事象の発現率も、それぞれ14.3%、13.5%、肺炎は3.1%、3.4%で、両群間で有意差は認められなかった。急性脳卒中後の頭部挙上は、脳虚血リスクを増大しないことを示唆 本研究では、急性脳卒中後の患者の頭位を、24時間仰臥位とした場合と24時間30度以上の頭部挙上とした場合では、アウトカムには有意差は認められなかった。著者らは、急性の虚血性脳卒中患者では、脳血流の自動調節能が消失しており、頭部挙上で脳灌流圧の低下が生じると脳虚血リスクが増大するため、仰臥位のほうが脳血流の改善が得られるとして、この研究を始めたと考えられる。しかし、頭部挙上で脳灌流圧の低下が生じるとすることには大きな疑問がある。脳灌流圧は、動脈圧(全身平均血圧)-静脈圧(=頭蓋内圧)で表され、頭部挙上による動脈圧の低下は比較的軽度であるとともに、同時に頭蓋内圧の低下が生じることから、脳灌流圧の低下はそれほど問題にはならない。本研究結果は、急性脳卒中後の頭部挙上は、脳虚血リスクを増大させないことを示唆している。過度な全身血圧の下降がない限り、急性期の頭部挙上、坐位の保持は容認される。 また、著者らは、本研究で肺炎の発現率が低かったことについて、挿管中などのハイリスク患者が除外されたことや、嚥下障害のスクリーニングプロトコルが使用されたことなどを挙げている。しかし、発症後24時間の仰臥位の維持は、早期離床と急性期リハビリを推奨する最近の急性期脳卒中患者の全身管理のコンセプトに相応しくない。

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ebselenは騒音性難聴の予防に有効か?/Lancet

 騒音性一過性閾値変化(TTS)の予防に、新規グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPx1)様物質ebselenの投与(400mgを1日2回)は有効かつ安全であることが示された。米国・Sound Pharmaceuticals社のJonathan Kil氏らが、若年成人を対象とした第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究において、急性騒音曝露後にGPx1活性が減少することや、ebselenが一過性騒音性難聴および永久性騒音性難聴の両方を軽減させることが動物実験で示されていた。騒音性難聴は、職業性または娯楽に関連した難聴の主たる原因であり、加齢性難聴の主要な決定要素でもあるが、その予防薬あるいは治療薬は開発されていない。著者は、「今回の結果は、急性騒音性難聴におけるGPx1活性の役割を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月14日号掲載の報告。騒音曝露後の一時的な聴力低下をebselenとプラセボとで比較 研究グループは2013年1月11日~2014年3月24日に、フロリダ大学単施設で試験を実施した。対象は18~31歳の健常成人83例で、ebselen 200mg、400mg、600mgまたはプラセボを1日2回4日間経口投与する群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた(無作為化は独立した第三者機関が作成した割り振り順番を用いて実施)。治験薬投与開始2日後に来院してもらい、騒音を再現した負荷試験(calibrated sound challenge:ロックもしくはポップスの楽曲を4時間、挿入型イヤホンを介して聞いてもらい、リアルワールドの複合的騒音を体験させる)の前および15分後、1時間15分後、2時間15分後および3時間15分後に純音聴力検査を行った。 主要評価項目は、負荷試験15分後の4kHzの平均TTSで、プラセボ群と比較してebselen群で50%減少した場合を臨床的に意義があると判定した。統計解析は、治験薬を1回以上服用し負荷試験を受けた参加者を有効性評価解析対象とし、また無作為化された参加者全員を安全性解析対象とした。ebselen 400mg群で4kHzの平均TTSが68%減少 83例(ebselen 200mg群22例、400mg群20例、600mg群21例、プラセボ群20例)中、ebselen 200mg群の2例が選択基準を満たさないため負荷試験前に中止となり、有効性解析から除外された。 4kHzの平均TTS(±標準誤差[SE])は、ebselen 400mg群1.32±0.91dB、プラセボ群4.07±0.90dBであり、ebselen 400mg群で68%有意に減少した(差:-2.75dB、95%信頼区間[CI]:-4.54~-0.97、p=0.0025)。また、プラセボ群と有意差はなかったが、ebselen 200mg群で21%減少(3.23±0.91dB vs.プラセボ群4.07±0.90dB、差:-0.84dB、95%CI:-2.63~0.94、p=0.3542)、ebselen 600mg群で7%減少した(3.81±0.90dB vs.プラセボ群4.07±0.90 dB、差:-0.27、95%CI:-2.03~1.05、p=0.7659)。 ebselenのすべての用量群について忍容性は良好であり、血液学的、血液生化学的および放射線学的検査に関して、ebselen群とプラセボ群で差は認められなかった。

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抗うつ薬無効のうつ病患者、次の一手は?/JAMA

 抗うつ薬治療の効果が不十分な大うつ病性障害(MDD)患者を対象とした、抗うつ薬の切り替え療法(bupropion単独療法)と追加療法(bupropionまたはアリピプラゾール)の効果を比較する無作為化試験において、アリピプラゾール追加療法が切り替え療法よりも、12週間の治療中の寛解率の尤度が、わずかだが統計的に有意に増大したことが示された。米国・退役軍人(VA)コネチカット・ヘルスケアシステムのSomaia Mohamed氏らによる検討で、結果について著者は「アリピプラゾールも効果サイズは小さく、有害事象が認められる。費用効果などを含むさらなる検討を行い、このアプローチの真の有用性を明らかにする必要がある」と述べている。MDD患者のうち、第1選択の抗うつ薬で寛解に至るのは3分の1未満であり、残る患者には大半のガイドラインで、代替治療として切り替えや追加が推奨されている。JAMA誌2017年7月12日号掲載の報告。bupropionに切り替えvs. bupropion追加vs. アリピプラゾール追加を評価 試験は、MDDへの代替療法として推奨されている3つの方法について、相対的な有効性と安全性を確認するもので、2012年12月~2015年5月の間に、35ヵ所の米国退役軍人健康管理局管轄下の医療施設で、1,522例の患者を対象に行われた。非精神病性MDDと診断され、1つ以上の効果不十分の抗うつ薬治療コース(用量と投与期間の最低限の基準は満たしている)を有する患者を、3つの治療群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、最長36週間の評価を行った。3つの治療は、(1)異なる抗うつ薬(bupropion)に切り替え(511例)、(2)現行治療にbupropionを追加(506例)、または(3)アリピプラゾールを追加(505例)で、12週間の投与(急性期治療フェーズ)および最長36週間の長期フォローアップ(維持フェーズ)を行った。 主要アウトカムは、急性期治療フェーズにおける寛解達成(16項目の簡易抑うつ症状尺度自己報告[16-item Quick Inventory of Depressive Symptomatology-Clinician Rated:QIDS-C16]スコアが、受診2回連続で5以下)であった。副次アウトカムは、反応率(QIDS-C16スコアまたは臨床全般印象度[Clinical Global Impression Improvement:CGI]スコアが50%以上減少)、再発、有害事象などであった。アリピプラゾール追加の反応率が他の2群よりも高い 無作為化を受けた1,522例(平均年齢54.4歳、男性85.2%)のうち、1,137例(74.7%)が急性期治療フェーズを完遂した。 12週時点での寛解率は、切り替え群22.3%(114例)、bupropion追加群26.9%(136例)、アリピプラゾール追加群28.9%(146例)であった。寛解においてアリピプラゾール追加群は切り替え群よりも有意に優れていたが(相対リスク[RR]:1.30[95%信頼区間[CI]:1.05~1.60]、p=0.02)、bupropion追加群との比較において有意差は示されなかった。 反応率は、アリピプラゾール追加群(74.3%)が、他の2群よりも高かった。切り替え群は62.4%(RR:1.19、95%CI:1.09~1.29)、bupropion追加群は65.6%(1.13、1.04~1.23)であった。再発については、3群間で有意な差はみられなかった。一方で不安症について、2つのbupropionを投与した群(切り替え群と追加群)の発現頻度が高かった。切り替え(bupropion単独)群は24.3%(124例)、bupropion追加群は22.5%(114例)で報告された。これに対してアリピプラゾール追加群の発現頻度は16.6%(84例)であった。また、アリピプラゾール追加群で発現頻度が高かったのは、傾眠、アカシジア、体重増加などであった。

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緩和ケアでQOLは向上するか/BMJ

 専門家による緩和ケアサービスのQOLへの効果は小さいことが、ドイツ・フライブルク大学のJan Gaertner氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告された。ただし、がん患者が早期にそのようなケアを受けることについては、効果があると断言できる可能性が示されたという。解析の結果を踏まえて著者は、「専門家緩和ケアは、早期から提供された場合、または患者の満たされていないニーズを掘り起こして提供された場合には、最大限の効果をもたらすだろう」と述べている。BMJ誌2017年7月4日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で検証 検討は、2016年7月までのMedline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、PsycINFOおよび試験登録を検索して行われた。試験の適格および選択条件は、病院、ホスピスまたは地域の入院・外来の成人患者を対象とし、介入の最低条件は、多職種チームのアプローチを含む専門家緩和ケアが行われていた無作為化試験とした。 2人のレビュワーがそれぞれデータのスクリーニングと抽出を行い、バイアスリスク(Cochraneバイアス・リスクツールによる)について評価。主要アウトカムは、メタ解析におけるHedges'gの標準化平均差(SMD)とランダム効果モデルでみたQOLであった。さらに、解析したQOLのプールSMDを、欧州がん研究・治療機構(EORTC)のQLQ-C30(尺度は0~100で高いほどQOL良好を示す、臨床的に重要な差の最小値は8.1)のglobal health/QOLスケール(項目29と30)で再算出した。専門家緩和ケアのQOLへの効果は早期から受けたがん患者では高い 発表論文3,967本のうち、12本(無作為化試験10件、被験者2,454例、がん患者は72%[1,766例])が解析に包含された。 スクリーニングによって掘り起こされた患者のニーズに応じて、多職種専門家緩和ケアが提供された試験はなかった。 解析の結果、全体的に専門家緩和ケアを支持する効果は小さかった(SMD:0.16[95%信頼区間[CI]:0.01~0.31]、QLQ-C30のglobal health/QOL:4.1[95%CI:0.3~8.2]、1,218例、6試験)。感度解析では、SMDは0.57を示した(95%CI:-0.02~1.15、global health/QOL:14.6[95%CI:-0.5~29.4]、1,385例、7試験)。 ただし、がん患者のみでみると、その効果はわずかだが大きかった(SMD:0.20[95%CI:0.01~0.38]、global health/QOL:5.1[95%CI:0.3~9.7]、828例、5試験)。とくに早期に専門家緩和ケアを受けた患者で、その効果は大きいことが示された(SMD:0.33[95%CI:0.05~0.61]、global health/QOL:8.5[95%CI:1.3~15.6]、388例、2試験)。 疼痛やその他の副次アウトカムについては、方法論的な問題(盲検化がなされていないなど)でエビデンスが弱められ、断定的な結果が得られなかった。

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笑えるシリアスゲーム【Dr. 中島の 新・徒然草】(177)

百七十七の段 笑えるシリアスゲームゲームで遊んでいるうちに夢中になって時間を忘れる、というのは誰でも経験したことがあることと思います。でも、ついついやり過ぎてしまうと、後で「貴重な時間を無駄に使ってしまった」という自己嫌悪に襲われる、というのもこれまたよくあることではないでしょうか。もし、時間を忘れて遊んでしまったが、その分、勉強になった、健康になった、というゲームがあればどうでしょうか? 楽しくてタメになる一石二鳥のゲームがあれば素晴らしいことですね。そんなムシのいいことを実現しようというのがシリアスゲームです。ある論文(Game-based training improves the surgeon's situational awareness in the operation room: a randomized controlled trial)で、外科レジデントにシリアスゲームをさせたら実際の腹腔鏡手術でのパフォーマンスがあがった、と述べられていたので、早速、そのゲームをやってみました。この "Dr. Game Surgeon Trouble" というオランダ製のアプリは簡単にスマホにインストールすることができます。ゲーム画面は3段になっており、上から下に向かって、外科の指導医、患者のバイタルサイン、そしてミニゲームという構成になっています。プレイヤーは腹腔鏡のモニターにみたてた三目並べみたいなミニゲームを開始します。ところが途中で画面が曇ってくるのです。そうすると「これは腹腔鏡のレンズが曇ったに違いない」ということで "lens" を選んで "clean" というスイッチを押さなくてはなりません。そうするとまた綺麗な画面に戻ります。しばらくすると画面の色がおかしくなってくるので、今度は "white balance" を選んで "reset" を押します。すると色が回復します。このようにして、色々な機器トラブルを乗り越えながらミニゲームをやり続けるのです。うまくいかないと顔を真っ赤にした指導医に罵られますが、うまくいくと「お前はチャンピオンだ!」と上機嫌。怒鳴るか誉めるか2つしかない、というところが外科医らしくて笑えます。このゲームは専門家の助言を得ながら実際に腹腔鏡手術中に起こりがちな機器トラブルを再現したそうです。ライティングが19、ガスが5、電気メスが2、生理モニター関連が2と数多くのトラブルを網羅しています。このゲームをやった後のレジデントは、実際にブタを使った手術で素早く機器トラブルに対応できたということでした。私もゲームをやってみたところ、腹腔鏡手術の機器トラブルについては、ちょっとばかり対応できるような気がしてきました。是非、腹部外科の先生方には、本当に役立ちそうか否かを体験していただきたく思います。医療の世界にも楽しくて役に立つゲームがどんどん普及してほしいところですね。最後に1句ゲームして トラブル学び さあ本番

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急性脳卒中後の体位、仰臥位vs.頭部挙上/NEJM

 急性脳卒中後の治療24時間における患者の体位を、仰臥位とした場合と、30度以上の頭部挙上とした場合について、障害のアウトカムに差は認められなかった。オーストラリア・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らが、急性虚血性脳卒中患者のアウトカムが、脳灌流を増加させる仰臥位にすることで改善するかどうかを検討したHead Positioning in Acute Stroke Trial(HeadPoST試験)の結果、報告した。急性脳卒中後の体位について、仰臥位は脳血流の改善に寄与するが、一方で誤嚥性肺炎のリスクがある。また、ガイドラインはあいまいで、臨床現場ではさまざまな体位がとられている。NEJM誌2017年6月22日号掲載の報告。9ヵ国の急性脳卒中患者約1万1,000例を対象に検討 HeadPoST試験は、9ヵ国(英国、オーストラリア、中国、台湾、インド、スリランカ、チリ、ブラジル、コロンビア)で実施された実用的クラスター無作為化クロスオーバー試験。18歳以上の脳内出血(クモ膜下出血を除く)を含む急性脳卒中患者1万1,093例(85%が虚血性脳卒中)を登録し、仰臥位(背部は水平で顔は上向き)で治療を行う群(仰臥位群)と、頭部を30度以上挙上し上体を起こした姿勢で治療を行う群(頭部挙上群)のいずれかに、入院施設単位で無作為に割り付けた。指定された体位は、入院直後に開始し24時間続けられた。 主要アウトカムは90日後の障害の程度で、修正Rankinスケール(スコアの範囲:0~6、スコアが高いほど障害の程度が大きく、6は死亡)を用いて評価した。体位の違いで、機能障害のアウトカムや有害事象に有意差はない 脳卒中発症から割り付け指定の体位を開始するまでの時間の中央値は、14時間であった(四分位範囲:5~35時間)。仰臥位群は、頭部挙上群より24時間体位維持率が有意に低かった(87% vs.95%、p<0.001)。一方で、酸素飽和度や血圧、他の治療管理面について、両群間に有意差は確認されなかった。 比例オッズモデルによる検討で、両群の90日後の修正Rankinスケールスコアの分布は同等であった(仰臥位群の頭部挙上群に対する修正Rankinスケールスコア分布差の未補正オッズ比:1.01、95%信頼区間:0.92~1.10、p=0.84)。90日以内の死亡率は、仰臥位群7.3%、頭部挙上群7.4%であった(p=0.83)。重篤な有害事象の発現率も、それぞれ14.3%、13.5%、肺炎は3.1%、3.4%で、両群間で有意差は認められなかった。 なお、著者は、本研究で肺炎の発現率が低かったことについて、挿管中などのハイリスク患者が除外されたことや、嚥下障害のスクリーニングプロトコルが使用されたことなどを挙げている。

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カナグリフロジン、CVリスク低下の一方で切断リスクは上昇/NEJM

 心血管疾患リスクが高い2型糖尿病に対し、SGLT2阻害薬カナグリフロジンの投与は、心血管リスクを約14%低減するものの、一方で足指や中足骨などの切断術リスクはおよそ2倍に増大することが明らかになった。オーストラリア・George Institute for Global HealthのBruce Neal氏らが、30ヵ国、1万例超を対象に行った2つのプラセボ対照無作為化比較試験「CANVAS」「CANVAS-R」の結果を分析し明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2017年6月12日号で発表した。平均188週間追跡し、心血管アウトカムを比較 試験は、30ヵ国、667ヵ所の医療機関を通じ、年齢30歳以上で症候性アテローム心血管疾患歴がある、または年齢50歳以上で(1)糖尿病歴10年以上、(2)1種以上の降圧薬を服用しながらも収縮期血圧140mmHg超、(3)喫煙者、(4)微量アルブミン尿症または顕性アルブミン尿症、(5)HDLコレステロール値1mmol/L未満、これらの心血管リスク因子のうち2項目以上があてはまる、2型糖尿病の患者1万142例を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に割り付け、カナグリフロジン(100~300mg/日)またはプラセボをそれぞれ投与し、平均188.2週間追跡した。主要アウトカムは、心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中のいずれかの複合だった。 被験者の平均年齢は63.3歳、女性は35.8%、平均糖尿病歴は13.5年だった。心血管イベントリスクは約14%減、一方で切断術リスクは2倍 主要アウトカムの発生率は、プラセボ群が31.5/1,000人年に対し、カナグリフロジン群は26.9/1,000人年と、約14%低率だった(ハザード比:0.86、95%信頼区間[CI]:0.75~0.97、非劣性p<0.001、優越性p=0.02)。 仮説検定シーケンス法に基づく腎機能のアウトカムに関する評価は、統計的な有意差は示されなかった。具体的に、アルブミン尿症の進行について、カナグリフロジン群のプラセボ群に対するハザード比は0.73(95%CI:0.67~0.79)、また推定糸球体濾過量(GFR)の40%減少保持、腎機能代替療法の必要性、腎疾患による死亡のいずれかの複合エンドポイント発生に関する同ハザード比は0.60(同:0.47~0.77)だった。 一方で有害事象については、既知のカナグリフロジン有害事象のほか、切断術実施率がプラセボ群3.4/1,000人年だったのに対し、カナグリフロジン群は6.3/1,000人年と、およそ2倍に上った(ハザード比:1.97、95%CI:1.41~2.75)。主な切断部位は足指と中足骨だった。

371.

NSAIDで心筋梗塞リスクが増大?44万例の調査/BMJ

 NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)は急性心筋梗塞のリスクを増大させ、COX-2選択的阻害薬セレコキシブのリスクは従来型NSAIDと同等で、rofecoxib(米国で心血管系の副作用のため2004年に販売中止、日本では未発売)に比べて低いことが、カナダ・モントリオール大学のMichele Bally氏らの調査で明らかとなった。最初の1ヵ月が最もリスクが高く、用量が多いほど高リスクであることもわかった。研究の成果は、BMJ誌2017年5月9日号に掲載された。従来型およびCOX-2選択型NSAIDは、いずれも急性心筋梗塞のリスクを増大させることを示唆するエビデンスがあるが、用量や治療期間の影響、各薬剤のリスクの違いはよく知られていないという。COX-2選択的阻害薬および従来型NSAIDの発症リスクを解明 研究グループは、NSAID関連心筋梗塞の発症の経時的な変動およびそのリスクを解明するために、文献の系統的レビューを行い、個々の患者データを用いたベイジアンメタ解析を実施した(筆頭著者の学位論文、マギル大学健康研究所の助成を受けた)。 文献の収集にはカナダと欧州の医療データベースを用いた。一般人口または高齢者を対象に、急性心筋梗塞をアウトカムとし、COX-2選択的阻害薬(セレコキシブ、rofecoxib)および従来型NSAID(ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン)の使用者と非使用者で発症リスクを検討した試験を選出した。 44万6,763例のデータが得られた。このうち6万1,460例が急性心筋梗塞を発症した(対照群:38万5,303例)。NSAID 1~7日投与で24~58%リスク増加、高用量8~30日投与が最も高リスク すべての用量のNSAIDで、1週、1ヵ月、1ヵ月以上の投与のいずれにおいても、心筋梗塞のリスクが上昇した。また、1~7日の投与による心筋梗塞リスクの増加の確率(心筋梗塞の補正オッズ比[OR]が>1.0となる可能性)は、セレコキシブが92%、イブプロフェンが97%、ジクロフェナク、ナプロキセン、rofecoxibは99%であり、補正ORはそれぞれ1.24(95%信用区間:0.91~1.82)、1.48(1.00~2.26)、1.50(1.06~2.04)、1.53(1.07~2.33)、1.58(1.07~2.17)であった。 心筋梗塞のリスクは、NSAIDの用量が増加するに従って上昇した。リスクはNSAID投与開始1週目には発現した。また、8~30日間の高用量NSAID毎日投与(セレコキシブ>200mg、イブプロフェン>1,200mg、ジクロフェナク>100g、ナプロキセン>750mg)のリスクが最も高く、30日以降のさらなるリスク上昇は明確ではなかった。 著者は、「1週目にはリスクが発現し、高用量を使用した場合、最初の1ヵ月のリスクが最も高いことを考慮すると、処方者は、とくに高用量では治療開始前にリスクとベネフィットを重点的に熟考すべきである」と指摘している。

372.

世界および日本において喫煙対策は急務である(解説:有馬 久富 氏)-678

 Global Burden of Disease Study 2015から喫煙に関する成績がLancet誌に報告された。その結果は、世界において男性の25%、女性の5%が喫煙しており、年間640万人が喫煙のために死亡しているというショッキングなものであった。死因別にみると、心血管病死亡の41%、悪性新生物による死亡の28%、呼吸器疾患による死亡の21%が、喫煙によるものであった。つまり、喫煙者がいなくなることにより、心血管病死亡が約4割、悪性新生物による死亡が約3割、呼吸器疾患による死亡が約2割減少し、年間640万人の死亡が回避できると期待される。 生まれた年代ごとの検討では、喫煙を始める人が徐々に減り、早い段階から禁煙する人が増えてきていることがうかがえる。しかし、いまだに男性の約30%、女性の約5%が20歳までに喫煙を開始している。喫煙による健康被害を減らしていくためには、禁煙を推進するだけでなく、学校などにおける防煙教育を充実させて、たばこを吸い始めさせないようにする必要がある。 論文中には国別の成績もあり、日本人男性1,530万人・女性490万人が喫煙者であると報告されている。この数は、世界で7番目に多く、高所得国の中では米国に次いで2番目である。さらに、日本では年間16万人以上が喫煙のために死亡していると報告されている。防煙教育および禁煙を推進することにより、喫煙による健康被害および死亡を減らすことは急務である。また、非喫煙者の健康を守るために、国際水準を満たし、実効性のある受動喫煙対策法案の成立が望まれる。

373.

2040年の世界の推計医療費は?/Lancet

 世界各国の医療費(health spending)は経済発展と関連しているが、過去20年間の傾向や関連性を検証した結果、一概に関連があるとは言い切れず、財源が乏しい国では医療費は低いことが示唆されたという。米国・ワシントン大学のJoseph L. Dieleman氏らが、世界184ヵ国の過去の国内総生産(GDP)、全部門の財政支出、財源ごとの医療費などを分析し、2015~40年の推定医療費を推算して報告した。著者は、「政策の変更によって医療費の増大につながる可能性はあるが、最貧国にとって他国からの支援は欠かせないままと思われる」とまとめている。財源の規模、とくに財源の確保は、医療へのアクセスや医療のアウトカムに影響するといわれており、医療費は経済発展とともに増大することと、一方で、医療費財源の制度(health financing systems)の違いによって非常に大きなばらつきがみられることが指摘されている。研究グループは、世界の医療費の将来推計は、政策責任者および立案者にとって有益であり、資金調達の不足(financing gaps)を明らかにすることができるとして本検討を行った。Lancet誌オンライン版2017年4月19日号掲載の報告。世界の医療費をGDP、財政支出、保健医療費等のデータから推計 IMF Maddison ProjectおよびPenn World Tablesのデータベースから世界184ヵ国の1980~2015年のGDP、全部門の財政支出を抽出、また、Institute for Health Metrics and Evaluation’s Financing Global Health 2016から1995~2014年の世界の保健医療費データを抽出し、アンサンブルモデルを用いて、2040年までのGDP、全部門の財政支出、他国からの医療開発支援、および政府財源の医療費、患者の自己負担の医療費、民間保険会社の医療費を推算した。 また、確率フロンティア分析を用いて医療に投じる財源が最も多い国のパターンを明らかにし、さらにこれを用いて、低所得国や中所得国の潜在的医療費を推算した。すべての推計は、物価上昇率と購買力で調整した。世界の医療費、2040年には24.24兆ドルに 全世界の医療費は、2014年の9.21兆ドルから、2040年には24.24兆ドルに達すると推計された(不確実性区間[UI]:20.47~29.72)。国民1人当たりの医療費の伸びは、高中所得国で最も急速に進み、年5.3%(UI:4.1~6.8)と推算された。この上昇は、GDP、財政支出、政府財源の医療費の増加が継続することにより引き起こされると予測されたものである。 一方、低中所得国では4.2%(UI:3.8~4.9)、高所得国では2.1%(UI:1.8~2.4)、低所得国では1.8%(UI:1.0~2.8)の上昇率であると推算された。しかし、こうした上昇にもかかわらず、低所得国での国民1人当たりの医療費予測は、2030年で154ドル(UI:133~181)、2040年で195ドル(UI:157~258)と低いままであった。 医療費財源に投じる資金が最も多い国の医療費レベルに達するには、低所得国では経済発展のレベルに応じて、国の医療費を2040年で国民1人当たり平均321ドルに増大することが必要と推算された。

374.

増加するPM2.5とオゾンの疾病負荷への影響/Lancet

 世界の疾病負荷は、過去25年間で、とくに低~中所得国における人口の高齢化、非感染性疾患割合の変化、大気汚染の進行により、増加し続けている。今回、米国・健康影響研究所のAaron J Cohen氏らが行った最新の調査(Global Burden of Diseases,Injuries,and Risk Factors Study 2015[GBD 2015])では、PM2.5とオゾンによる環境大気汚染が世界的に進行しており、それに伴う疾病負荷の増大の実態が明らかとなった。Lancet誌オンライン版2017年4月10日号掲載の報告。PM2.5、オゾンと5つの死因の死亡リスクとの関連を解析 研究グループは、1990~2015年の世界、地域別・国別の環境大気汚染による死亡および疾病負荷の空間的、時間的な動向を調査した(Bill & Melinda Gates Foundationなどの助成による)。 衛星で測定した推定値と化学輸送モデル、地表レベルでの測定値、地理的データを統合し、世界の空気動力学的粒径<2.5μmの微小粒子状物質(PM2.5)と対流圏オゾンの人口加重平均濃度を推算した。 統合曝露反応関数(integrated exposure-response function:IER)を用いて、PM2.5濃度と5つの死因(虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、肺がん、下気道感染症)による死亡の相対リスクの関連を推計した。PM2.5が11.2%、オゾンは7.2%増加、COPD死の8%がオゾンに起因 IERによる解析では、5つの死因の相対リスクはいずれも、PM2.5濃度が高くなるに従って増加したが、低濃度のほうが高濃度に比べ変化が大きかった。虚血性心疾患と脳血管疾患は、年齢(25、50、80歳)が高いほど、高PM2.5濃度での相対リスクが低くなった。 世界全体のPM2.5の人口加重平均濃度は、1990年の39.7μg/m3から2015年には44.2μg/m3へと11.2%増加したが、2010~15年に急速に増加していた。人口の多い10ヵ国の解析では、日本はバングラデシュ、インド、パキスタン、中国に比べると、全般に低い値で安定的に推移していた。2015年に最もPM2.5濃度が高かったのはカタールで、次いでサウジアラビア、エジプトの順だった。 世界全体のオゾンの人口加重平均濃度は、1990年の56.8ppbから2015年には60.9ppbへと7.2%増加した。人口の多い10ヵ国では、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ブラジルが14~25%増加し、これに比べると日本の増加は小さく、米国とインドネシアは低下した。 環境中のPM2.5は、2015年の死亡リスク因子の第5位(1~4位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、総コレステロール)であり、障害調整生存年数(DALY)のリスク因子の第6位(1~5位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、BMI、幼年期の栄養不良)であった。PM2.5への曝露は、2015年に420万人(95%不確実性区間[UI]:370万~480万)の死亡および1億310万年(9,080万~1億1,510万)のDALYの原因であった。環境中のPM2.5による死亡は、1990年の350万人(95%UI:300万~400万)から2015年の420万人(370万~480万)へと増加していた。 環境中のオゾンは、GBD 2015で評価の対象となった79のリスク因子のうち、死亡リスク因子の第34位、DALYの第42位であった。オゾンへの曝露は、25万4,000人(95%UI:9万7,000~42万2,000)の死亡およびCOPDに起因する410万年(160万~680万)のDALYをもたらした。また、2015年の世界のCOPDによる死亡の8.0%(95%UI:3.0~13.3)に、オゾンへの曝露が寄与しており、中国、インド、米国の死亡率が高かった。1990~2015年に、オゾンによるCOPD死亡率は多くの国で増加した。オゾン濃度とオゾンによるCOPD死の増加の結果として、オゾンによる死亡およびDALYも増加した。 著者は、「PM2.5濃度が大幅に減少しない限り、多くの汚染国の疾病負荷はわずかしか軽減しないが、曝露量を抑制することで大きな健康ベネフィットが得られる可能性がある」と指摘している。

375.

世界の全死因、喫煙が占める割合は?/Lancet

 たばこ規制は、とくに「たばこの規制に関する枠組条約(FCTC)」の採択後に急速に拡大した。これは公衆衛生上の重要な成功談ではあるが、喫煙は現在も世界的に早期死亡や機能障害の主要なリスクであり続けており、それゆえ継続的な政治的取り組みが求められるという。Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)の研究グループは、今回、GBD 2015の一環として、喫煙関連目標の達成に向けた世界および地域別・国別の進歩の評価を通じて、頑健な基盤を提示するために、喫煙率と喫煙の疾病負荷に関する系統的な解析の結果を報告した。研究の成果はLancet誌オンライン版2017年4月5日号に掲載された。25年間の195地域の毎日喫煙率、寄与疾病負荷を解析 研究グループは、2,818件のデータソースを時空間ガウス過程回帰分析で統合し、195の国と地域の1990~2015年の性別、年齢別の毎日喫煙率を年ごとに推算し、寄与疾病負荷の評価を行った(Bill & Melinda Gates Foundationなどの助成による)。 喫煙と38の健康転帰の因果関係を解析し、障害調整生存年数(DALY)を用いて喫煙寄与死亡率と疾病負荷の推算値を算出した。次いで、喫煙の実際の年齢パターンをよりよく理解するために、出生年別の喫煙状況のコホート解析を行った。 また、人口の増加や高齢化、喫煙率、リスク除外DALY率(risk-deleted DALY rate、リスク因子としての喫煙を除外したDALY率)の変化に起因する全原因喫煙寄与DALYの変化を明確にするために、分解分析を実施した。最終的に、社会人口統計指標(SDI:1人当たりの所得、学歴、合計特殊出生率に基づくサマリー指標)を用いて国・地域の発展の程度別の解析を行った。日本の毎日喫煙率は男女とも世界全体より高い 2015年の世界の年齢標準化毎日喫煙率は、男性が25.0%(95%不確定性区間[UI]:24.2~25.7)、女性は5.4%(5.1~5.7)であり、1990年以降それぞれ28.4%(25.8~31.1)、34.4%(29.4~38.6)低下した。 2015年の日本の喫煙者数は、男性が1,530万人、女性は490万人で世界第7位、15~19歳の喫煙者数は16位であった。年齢標準化毎日喫煙率は世界全体よりも高く、男性が26.6%(95%UI:26.1~27.1)、女性は9.3%(8.9~9.6)であり、1990~2015年の年間変化率はそれぞれ-2.4%(-2.5~-2.3)、-0.7%(-0.9~-0.5)とわずかに低下していた。 年間喫煙率の統計学的に有意な減少を達成した国・地域の割合は、2005~15年よりも1990~2005年のほうが高かったが、2005~15年に年間喫煙率が統計学的に有意に増加したのは4つの国・地域のみであった(男性:コンゴ共和国ブラザヴィル市、アゼルバイジャン、女性:クウェート、東ティモール)。 2015年の全死亡のうち喫煙の寄与による死亡は11.5%(640万人、95%UI:570~700万)であり、4つの国(中国、インド、米国、ロシア)でその52.2%を占めた。喫煙がDALYのリスク因子の上位5番目までに含まれる国・地域の数は、1990年の88から2015年には109に増加した。 出生年別コホート解析では、男性の喫煙率はSDIに基づく国・地域の発展の程度にかかわらず類似の年齢パターンを示したのに対し、女性喫煙者の年齢パターンは発展の程度によってかなりの異質性が認められた。 2005~15年の間に、喫煙率とリスク除外DALY率は、性別、SDIの五分位数、人口増加、人口高齢化あるいはこれらの組み合わせにかかわらず低下したが、SDIが低~中の地域の喫煙率とリスク除外DALY率は、喫煙寄与DALYの上昇を促進していた。 著者は、「喫煙率低下の進展速度は、地域やその発展の状況、性別によって異なり、最近の傾向として、とくに女性や低~中SDI国では、過去の低下率の維持は当然のこととは言えない状況が浮き彫りとなっている」と指摘し、「たばこ産業や社会規範のほかに、たばこ規制の取り組みが直面する重大な課題は、喫煙開始の防止と禁煙の促進が大幅に加速されない限り、人口動態の影響力によって喫煙の犠牲者が増加する可能性があることである。また、たばこ規制の成功の可能性は高まっているが、有効かつ包括的で適切に実施され、強化された施策が必要であり、過去25年間の成果を超える世界的、全国的な政治的取り組みを要する可能性がある」と考察している。

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SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大

 うつ病では、しばしば通常治療により耐性が生じることがある。また、うつ病患者は、言語流暢性テスト(verbal fluency test:VFT)に関連する近赤外線分光法(NIRS)において、前頭側頭皮質の機能低下を示している。大分大学の増田 幸司氏らは、未治療のうつ病患者に対する薬物治療反応が、初期調査のNIRSアウトカムにより予測可能かを検討した。Journal of affective disorders誌2017年5月号の報告。 すべての対象者に心理テストを行い、不安と抑うつレベルを評価した。VFTを用いて前頭側頭葉の機能を調べた。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を12週間投与した。対象者は、SSRIレスポンスうつ病患者(レスポンス群)28例、非レスポンスうつ病患者(非レスポンス群)19例および、年齢、性別、教育年数にマッチした健常対照者(対照群)63例とした。 主な結果は以下のとおり。・前頭側頭部において、血行動態レスポンスは、治療前の対照群と比較して、レスポンス群と非レスポンス群で有意に小さいことが示された。・内側前頭部において、血行動態レスポンスは、治療前の非レスポンス群と比較して、レスポンス群で有意に大きいことが示された。・うつ病患者は、いくつかの尺度で健常群と比較して、不安および抑うつ状態が有意に高かった。・レスポンス群と非レスポンス群は、DACS(Depression and Anxiety Cognition Scale:抑うつや不安を引き起こす自動思考測定)の将来否定、脅威予測、自己否定、過去否定、対人関係脅威度のスコアが有意に高かった。・ステップワイズ回帰分析では、Post-POMSの混乱の項目が、レスポンスの独立した予測因子であった。 著者らは「対象者数が少ないため、今後の研究では人数を増やす予定である。NIRSは空間分解能を低下させ、NIRS単独使用時の測定位置の識別をわかりにくくさせる」としながら、「認知機能の脆弱性は、SSRI治療レスポンスの予測因子と関連している。前頭側頭皮質における異なる血行動態活動は、うつ病におけるSSRIに対するレスポンスを予測する」としている。関連医療ニュース SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較 うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか

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日本における急性心筋梗塞のDoor to Balloon Time、90分を切るためには

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の管理において、90分以内のDoor to Balloon Time(DTBT)は重要な指標となるが、とくに米国や欧州以外の国では、多くの患者がこの目標を達成していない。慶應義塾大学の池村 修寛氏らは、国内の現状とDTBT遅延の予測因子について分析を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月23日号の報告。ST上昇型心筋梗塞の半数はDoor to Balloon Timeが90分以内に達していない 2008~13年にJCD-KiCS多施設レジストリに登録された患者より、症候発症12時間以内にプライマリPCIを施行したSTEMI症例2,428例を分析した。レジストリにおける本コホート内のDTBT推移と90分超のDTBT遅延の独立した予測因子を分析した。 DTBT遅延の予測因子について分析を行った主な結果は以下のとおり。・研究期間中のDTBT中央値は90分(IQR:68~115分)であり、年による有意な変化は認められなかった。・DTBT遅延の予測因子は、末梢動脈疾患(PAD)、血管再建術歴、時間外搬送、75歳以上、搬送時の心不全、IABPまたはVA-ECMOの使用であった。・とくに、大規模なPCI対応施設(PCI200件/年以上)は、小規模の施設(PCI200件/年未満)と比較し、DTBTが短縮されていた。 著者らは「現在、STEMI症例の半数は、DTBTが90分以内に達していなかった。高齢者や複数の併存疾患を有する患者、時間外にPCIを実施した患者をターゲットとすることが、この改善に役立つ可能性がある」としている。

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インスリン療法の脱落理由、日本人における特徴は?

 日本の糖尿病患者と医師が認識しているインスリン療法の障壁を調査するために、京都大学の原島 伸一氏らは、8ヵ国が参加したGlobal Attitude of Patients and Physicians in Insulin Therapy(GAPP)スタディのサブ解析を実施した。その結果、インスリン療法を受けている日本人患者の多くが、おそらく低血糖への恐れやライフスタイルのために脱落する、もしくは治療を順守しないことがわかった。著者らは「患者のライフスタイルを妨げず、低血糖リスクを減少させるインスリン療法が必要」としている。Expert opinion on pharmacotherapy誌2017年1月号に掲載。 GAPPスタディは2010年に実施され、1,250人の医師がインターネット調査に参加し、そのうち日本の医師が100人、また1,530人の患者がコンピュータ利用の電話調査で回答し、日本の患者は150人であった。著者らは、日本人参加者の結果を他の7ヵ国における結果と比較した。 主な結果は以下のとおり。・日本人患者の44%がインスリン療法から脱落または非順守を報告し、他の国より多かった。・日本人医師は、インスリン治療への非順守は患者のライフスタイルによって引き起こされたと報告している。・日本では他の国に比べて低血糖の既往のある患者が多かった。・日本の医師の94%および患者の84%が、現在使用できるインスリン療法のレジメンが患者の多様なライフスタイルに適合しないと回答した。

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冠動脈疾患に、ヘテロ接合体LPL遺伝子変異が関与/JAMA

 リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子の稀有な機能障害性変異(ヘテロ接合体)は、トリグリセライド高値および冠動脈疾患(CAD)と有意に関連していることが、米国・マサチューセッツ総合病院のAmit V Khera氏らによる横断的研究の結果、明らかとなった。LPLの活性は、トリグリセライドが豊富なリポ蛋白が血中で代謝される際の律速段階に寄与する。そのためLPL遺伝子の機能障害性変異は、終生にわたり酵素活性不足をもたらし、ヒトの疾患に関与する可能性が推察されるが、両者の関連はこれまで確認されていなかった。著者は、「今後、ヘテロ接合体によるLPL欠損症がCADの原因となる機序があるかどうかをさらに検証する必要がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2017年3月7日号掲載の報告。CAD患者約1万4,000例、対照約3万3,000例でLPL遺伝子を解析 研究グループは、ヘテロ接合体のLPL欠損症をもたらすまれな機能障害性変異、ならびにLPLの高頻度変異が、血中脂質値や早発性CADの発症と関連しているかを検証した。2010~15年の間に、Myocardial Infarction Genetics Consortiumにおける10のCAD症例対照コホート(CAD患者1万138例、対照1万2,395例)、およびGeisinger Health SystemのDiscovEHRコホートにおけるコホート内CAD症例対照コホート(CAD患者4,107例、対照2万251例)について、LPLの遺伝子配列を解析した。 LPL遺伝子の機能障害性変異(マイナー対立遺伝子頻度<1%)には、機能喪失型変異やヒト遺伝子データベース(ClinVar)で病原性があるとアノテーション(注釈付け)されたもの、コンピュータ予測アルゴリズムによって障害性があると予測されたものなどが含まれた。LPL遺伝子の高頻度変異(マイナー対立遺伝子頻度>1%)は、2012~14年にGlobal Lipids Genetics Consortiumの最大30万5,699例、およびCARDIoGRAM Exome Consortiumの最大12万600例で解析され、独立して血中トリグリセライド値と関連していると同定された遺伝子型とした。 主要評価項目は、血中脂質値とCADで、メタ解析により併合した。変異遺伝子保有者でトリグリセライド値が高く、CADリスクは1.8倍 LPL遺伝子配列を解析した合計4万6,891例の患者背景は、平均(±SD)年齢50±12.6歳、女性が51%であった。 LPL機能障害性変異(ヘテロ接合体)保有者は、対照3万2,646例中105例(0.32%)、早発性CAD発症者1万4,245例中83例(0.58%)、合計188例(0.40%、95%信頼区間[CI]:0.35~0.46%)であった。 非保有者4万6,703例と比較し保有者188例は、血漿トリグリセライド値が高値(19.6mg/dL、95%CI:4.6~34.6mg/dL)、CADのオッズ比(OR)が有意に高かった(OR:1.84、95%CI:1.35~2.51、p<0.001)。LPL高頻度変異6種(マイナー対立遺伝子変異頻度1~29%)については、CADのオッズ比はトリグリセライド1 SD増加当たり1.51(95%CI:1.39~1.64、p=1.1×10-22)であった。

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セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDA

 ノバルティスは2017年2月23日、米国食品医薬品局(FDA)が、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対する1次治療薬として、セリチニブ(商品名:ジカディア)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を受理したと発表した。 FDAはまた、脳転移を伴うALK陽性の転移性NSCLC患者のセリチニブをブレークスルーセラピーに指定した。 セリチニブの1次治療に対するこのsNDA提出は、ASCEND-4試験の初回解析の結果に基づいている。ASCEND-4は、ステージIIIBまたはIVのALK陽性進行NSCLC成人患者の1次治療における、セリチニブの安全性および有効性を標準化学療法と比較した国際第III相無作為化オープンラベル多施設臨床試験。被験者は、セリチニブ群(750mg /日)と化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC 5~6を4サイクル後ペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられた。 無増悪生存期間(PFS)中央値は、セリチニブ治療群の16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)に対し、化学療法群では8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)で、化学療法群と比較してセリチニブ群で45%のPFSリスク減少が得られた(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、片側p<0.001)。 スクリーニング時に脳転移のない患者のPFS中央値は、セリチニブ群26.3ヵ月(95%CI:15.4~27.7)、化学療法群では8.3ヵ月(95%CI:6.0~13.7)であった(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)。脳転移を伴う患者では、セリチニブ群10.7ヵ月(95%CI:8.1~16.4)、化学療法では6.7ヵ月(95%CI:4.1~10.6)であった(HR:0.70、95%CI:0.44~1.12)。頭蓋内における全体奏効率(ORR)72.7%(95%CI:49.8~89.3)は、全身ORRの72.5%(95.5%CI:65.5~78.7)と一貫した結果であった。 セリチニブ群の25%以上で発生する一般的な有害事象(AE)は、下痢、悪心、嘔吐、食欲低下、ALT上昇、AST上昇、γ-グルタミルトランスフェラーゼ上昇、アルカリフォスファターゼ上昇、疲労であった。ノバルティス(Global)のプレスリリースはこちら

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