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EC-ICバイパス術、2年再発性同側性虚血性脳卒中のリスクを低下せず

症候性アテローム動脈硬化性内頸動脈閉塞(AICAO)で同側性脳虚血の認められる人に対し、抗血栓療法に加えて頭蓋外-頭蓋内(EC-IC)バイパス術を行っても、2年長期の再発性同側性虚血性脳卒中のリスク減少にはつながらないことが示された。米国・ノースカロライナ大学のWilliam J. Powers氏らが、約200人を対象に行った無作為化非盲検試験の結果で、JAMA誌2011年11月9日号で発表した。AICAOで同側性脳虚血の195人を、2年間追跡研究グループは、2002~2010年にかけて、米国とカナダの計49ヵ所の医療センターまたは計18ヵ所のPETセンターにて試験を行った。大半は大学病院の付属施設だった。被験者は195人で、動脈造影によってAICAOが確認され、120日以内に頭部片側症状があり、PETによる同側性脳酸素摂取率増加から血行動態的脳虚血が認められた。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群(97人)にはEC-ICバイパス術を実施し(手術群)、もう一方の群(98人)は同術を実施しなかった(非手術群)。被験者は全員、抗血栓療法とリスク因子への介入が行われた。主要エンドポイントは、手術群が(1)術後30日間の全脳卒中または死亡、(2)無作為化後2年以内の同側性虚血性脳卒中だった。非手術群または手術群にいながら手術を受けなかった人は、(1)無作為化後30日間の全脳卒中または死亡、(2)無作為化後2年以内の同側性虚血性脳卒中だった。手術群で主要エンドポイント発生率に有意差なく、試験は早期終了結果、本試験は手術による有益性が認められなかったため、早期に中止となった。試験開始2年後までの主要エンドポイント発生率は、手術群21.0%(95%信頼区間:12.8~29.2、20件)に対し、非手術群22.7%(同:13.9~31.6、20件)で、両群発生率に格差は認められなかった(発生率格差:1.7ポイント、95%信頼区間:-10.4~13.8、p=0.78)。なお、30日後同側性虚血性脳卒中の発生率は、手術群が14.4%に対し非手術群は2.0%と、発生率格差は12.4ポイント(同:4.9~19.9)に上った。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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冠動脈血行再建術後の心臓負荷試験、医師の報酬体系の違いで実施率が増減

冠動脈血行再建術後の心臓負荷試験の実施率は、医師の報酬体系に関連しており、技術料・診断料ともに請求する医師は、どちらも請求しない医師に比べて、核ストレステストの実施率は2.3倍、心エコー検査実施率は12.8倍に、それぞれ増大することが報告された。米国・デューク大学のBimal R. Shah氏らが、冠動脈血行再建術後に外来診察を受けた約1万8,000人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月9日号で発表した。技術料・診断料を請求、診断料のみ請求、請求なしの3群に分類して比較研究グループは、米労働者が加入するUnited Healthcareの管理記録で、2004年11月1日~2007年6月30日にかけて、冠動脈血行再建術の実施後90日以上外来通院した患者1万7,847人について調査を行った。平均年齢は54.6歳、うち女性は21%だった。被験者を担当する医師は、心臓負荷試験に対する報酬の請求体系の違いから、技術料・診断料ともに請求、診断料のみ請求、どちらも請求しない、の3通りに分類した。ロジスティック回帰モデルを用いて、医師の請求体系と、術後外来診察後30日以内の心臓負荷試験実施率との関連を分析した。核ストレステスト、心エコーともに、実施率は非請求群が最小、技術料・診断料群が最大結果、核ストレステストの実施率は、被験者全体では12.2%(95%信頼区間:11.8~12.7)だった。担当医の請求体系別では、技術料・診断料群は12.6%(同:12.0~13.2)、診断料群は8.8%(同:7.5~10.2)、非請求群では5.0%(同:4.4~5.7)と、各群で有意差が認められた(p<0.001)。また負荷心エコーの実施率も、技術料・診断料群2.8%(同:2.5~3.2)、診断料群1.4%(同:1.0~1.9)、非請求群0.4%(同:0.3~0.6)と、有意な傾向が認められた(p<0.001)。核ストレステスト実施に関する、非請求群に対するそれぞれの補正後オッズ比は、技術料・診断料群が2.3、診断料群が1.6だった(p<0.001)。心エコー実施に関する、同オッズ比は、技術料・診断料群が12.8、診断料群が7.1だった(p<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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医師の専門性認定、患者や同僚医師の評価に基づく判定は慎重に

医師の専門性を患者や同僚医師の評価に基づいて判定する場合、当該医師や評価者の背景因子に起因する組織的バイアスが生じる可能性があるため注意を要することが、英国・ペニンシュラ医科歯科大学のJohn L Campbell氏らの調査で示された。王立医師協会(GMC)は、イギリスの医師が医師免許を継続して保持するには妥当性を再確認する必要があり、そのためには最新かつ実臨床に即した医療を提供可能なことを示すよう提言している。医師による認定の申請を判定するには、患者や他の同僚医師からの多岐にわたる評価がエビデンスの重要な情報源になるという。BMJ誌2011年11月5日号(オンライン版2011年10月27日号)掲載の報告。医師の専門能力評価に影響する予測因子を調査研究グループは、医師の専門性を評価する際にみられる組織的バイアス(多くの個別の条件下で評価が行われるため、実際の価値とはずれが生じること)の原因に関して質問票を用いて横断的に調査し、得られたデータについて解析を行った。調査対象は、イングランドとウェールズのさまざまな専門領域の非研修段階にある医師1,065人と、その同僚医師1万7,031人および患者3万333人であった。GMCによる患者および同僚医師への質問票を用いて当該医師の専門能力を評価し、医師自身と患者、同僚の背景因子に起因する可能性のある予測因子について検討した。多くの情報源からの医師の評価は慎重に解釈すべき医師および患者の背景因子で調整したところ、ヨーロッパ以外の国で学位を取得した医師に対する患者の評価が低いことが示された。すなわち、これらの医師では、1)特に精神科医として診療業務を行っている医師の評価が低い、2)質問票を提出した白人患者が少ない、3)当該医師の診察を「たいへん重要(very important)」とした患者が少ない、4)「かかりつけ医に診てもらう」と回答した患者が少ない、などの傾向が認められた。同僚医師の評価は、イギリスおよび南アジア以外の国で学位を取得した医師において低かった。これらの医師では、1)代理医師として雇用、2)GPあるいは精神科医として診療、3)非専門的職員(staff grade)、準専門医(associate specialist)あるいは他の同等職種として雇用、4)医師と毎日あるいは毎週、専門的な交渉を行っていると答えた同僚が少ない、などの事例が確認された。完全調整後のモデルによる解析では、当該医師の年齢、性別、人種は、患者や同僚医師による評価の独立の予測因子ではなかった。患者や同僚の年齢、性別も、当該医師の評価の予測因子ではなく、同僚の人種も関連はなかった。これらの結果を踏まえ、著者は「医師の専門性に関する患者や同僚医師の評価を考慮する際は注意が必要である。標準化された専門性の評価法がない場合は、多くの情報源からの意見に基づく医師の評価は慎重に解釈すべき」と警告し、「専門家としての医師の評価には、評価者や評価対象医師の背景因子に起因する組織的バイアスが存在する可能性がある。医師としての妥当性の再確認を目的に、GMCの患者/同僚質問票を用いた調査を行う場合、多くの情報源からの評価は少なくとも初期段階においては「形成的評価」として行われるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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OKI、「救急医療搬送支援システム」の販売を開始

OKIは16日、救急患者の疾患情報と病院の受け入れ状況をリアルタイムで情報収集し、最適な医療機関への搬送支援を行う「救急医療搬送支援システム」を開発したと発表した。同システムは2012年3月より販売開始される予定。救急搬送における医療機関の受け入れ困難は社会問題になっているが、この問題の解消には、救急患者の処置ができる専門医の受け入れ可能状況を把握し、救急車が適切な医療機関への搬送を行う仕組みづくりが重要となる。救急医療体制支援システム構築の「GEMITS」プロジェクト(注1)は、2009年度から経済産業省の委託事業として岐阜大学が取り組み、2010年度からはNPO岐阜救急災害研究開発機構が総務省の委託事業としても実施している。同社はこれまで「GEMITS」プロジェクトに参画し、救急患者の疾患情報の共有や最適な医療機関への搬送を支援するシステムを構築、実証実験に参加してきた。また、企業や関係団体と連携して「GEMITS」の普及・推進を図るために設立されたGEMITSアライアンスパートナーズ(GEMAP〔注2〕)の設立発起人の一員として、「GEMITS」の普及に努めているという。今回、同社はGEMITSプロジェクト参画の経験をいかし、また、これまで様々な分野で培ってきた通信技術やシステム開発力を組み合わせ「救急医療搬送支援システム」を開発した。コンセプトは、救急患者に「最適な病院に、最適の時間で搬送し、最適な処置ができる」こと。同システムは、エンジン機能にあたる「統合エージェント」を中核に7つのシステムから構成されている。中心となる機能は、医師がICタグを装備することで病院での位置情報などから繁忙度を判断する機能。また、救急隊員が所持するタッチパネル式の専門端末(Android搭載)を使って患者の疾患情報や搬送状況を送信することもできる。リアルタイムで収集した医師の繁忙度と患者の疾患および搬送状況をもとに「統合エージェント」が、受け入れ病院の候補を選定する。これらの機能のほかに、受け入れ病院の医療スタッフを支援する機能や、テレビ会議で救急隊員と病院が患者情報を共有できる機能を備えている。注1:GEMITS(Global Emergency Medical supporting Intelligent Transport System)岐阜大学を中心とした産学連携事業体が国の事業との連携を図り、救急医療体制支援システムを構築するプロジェクト。現在、困難な状況にある救急医療体制を医療資源の育成、最適化利用を図ることで、再生できることを実証し、救急医療体制のロールモデルとして全国に展開することを目的に活動を行っている。注2:GEMAP:GEMITSアライアンスパートナーズ(GEMITS Alliance Partners)2011年6月に設立された幅広い分野の企業や関係団体と連携して、「GEMITS」の普及・推進を図るために設立されたコンソーシアム形式の機関。詳細はプレスリリースへhttp://www.oki.com/jp/press/2011/11/z11074.html

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新たなサーファクタント治療が早産児の人工呼吸器適応を低減

持続的気道陽圧法(CPAP)で自発呼吸が保持されている早産児では、細いカテーテルを用いたサーファクタント治療によって人工呼吸器の適応が低減することが、ドイツLubeck大学のWolfgang Gopel氏、Cologne大学のAngela Kribs氏らが実施したAMV試験で示された。サーファクタント治療は、通常、呼吸窮迫症候群の治療のために人工呼吸器を装着された早産児に気管内チューブを介して施行されるが、挿管せずに安定状態が保持されている早産児にはCPAPの不利益を考慮してこの治療は行われない。一方、ドイツの新生児集中治療施設では、気管内挿管や人工呼吸器を必要としないサーファクタント治療(治療中のみ気管内に細いカテーテルを留置してCPAPを行いながら施行)が広く普及しつつあるという。Lancet誌2011年11月5日号(オンライン版2011年9月30日号)掲載の報告。人工呼吸器の使用を回避して自発呼吸をうながす新たなサーファクタント治療AMV(Avoiding Mechanical Ventilation)試験の研究グループは、早産児において人工呼吸器の使用を回避して自発呼吸を促す新たなサーファクタント治療の有用性を評価するための無作為化対照比較試験を行った。2007年10月~2010年1月までに、ドイツの12の新生児集中治療施設に在胎週数26~28週、出生時体重1.5kg未満の早産児220人が登録された。これらの新生児が、生後12時間以内に標準治療群あるいは介入群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。すべての早産児はCPAPで安定状態を保持され、必要に応じてレスキュー挿管が行われた。介入群の早産児には、自発呼吸をうながすために吸入気酸素濃度(FiO2)が0.30以上となるよう、喉頭鏡で気管内に細いカテーテル(2.5~5 french)を留置して経鼻的CPAPが施行された。カテーテル留置後に喉頭鏡を外して1~3分間の気管内サーファクタント治療(100mg/kg体重)を行い、治療終了後は即座にカテーテルを抜去した。主要評価項目は、生後25~72時間において、人工呼吸器の適応もしくは人工呼吸器は使用しないが二酸化炭素分圧(pCO2)65mmHg(8.6kPa)以上かFiO2 0.60以上、あるいはその双方を要する状態が2時間以上に達した場合とした。生後2~3日および在院期間中の人工呼吸器適応率が有意に改善介入群に108人が、標準治療群には112人が割り付けられ、すべての新生児が解析の対象となった。生後2~3日における人工呼吸器の適応率は介入群の28%(30/108人)に対し標準治療群は46%(51/112人)であり、有意な差が認められた(絶対リスク低下:-0.18、95%信頼区間:-0.30~-0.05、p=0.008)。在院期間中の人工呼吸器適応率は介入群の33%(36/108人)に比べ標準治療群は73%(82/112人)と、有意差がみられた(絶対リスク低下:-0.40、95%信頼区間:-0.52~-0.27、p<0.0001)。人工呼吸器使用日数中央値は、介入群が0日、標準治療群は2日であり、生後28日までに酸素補給療法を要した早産児は30%(30/101人)、標準治療群は45%(49/109人)(p=0.032)であった。死亡数は介入群が7人、標準治療群は5人、重篤な有害事象はそれぞれ21人、28人であり、いずれも有意な差はなかった。著者は、「CPAPによって自発呼吸が保持されている早産児に対する細いカテーテルを用いたサーファクタント治療は、標準治療に比べ人工呼吸器の適応を低減させた」と結論したうえで、「鎮痛薬や鎮静薬の使用は主要評価項目に影響を及ぼさなかったが、極度な未熟児ではこれらの薬剤による血圧低下や脳灌流障害の有害な影響が指摘されており、介入群で使用頻度が低かったことがベネフィットにつながった可能性もある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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婦人科がんのNCCNガイドライン日本語版を公開

先端医療振興財団 臨床研究情報センターは11月4日、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)婦人科がんガイドライン 日本語版を公開。 本ガイドラインは、 日本婦人科腫瘍学会に監訳・監修、および日本の治療との相違点等に関するコメントも掲載している。日本語版は大腸がん、泌尿器がん、肺がんに引き続き第四弾。婦人科がんガイドラインの内容は ・子宮頸がん (Cervical Cancer)・子宮体がん(Uterine Neoplasms)・卵巣がん(Ovarian Cancer)・子宮頸がんのスクリーニング(Cervical Cancer Screening)・乳がんおよび卵巣がんにおける遺伝的 / 家族性リスク評価 (Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian) は近日公開予定詳しくはこちらhttp://www.tri-kobe.org/nccn/guideline/gynecological/index.html

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PCI後の早期ステント血栓症リスク、遺伝的要因と臨床要因で予測可能

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の早期ステント血栓症リスクは、遺伝的要因と臨床要因によって予測可能であることが示された。同発症に関連している遺伝子として3つが関連していること、また2つのクロピドグレル関連因子(高用量服用、PPI服用)が明らかになった。フランス・INSERM循環器研究所のGuillaume Cayla氏らが、PCI後に早期ステント血栓症を発症した123人とその症例対照群について調べたケースコントロール試験により明らかにしたもので、JAMA誌2011年10月26日号で発表した。15種遺伝子の23種遺伝的変異種について調査研究グループは、2007年1月~2010年5月にかけて、フランス10ヵ所の医療センターでPCIを行い早期ステント血栓症を発症しDNAサンプルが得られた123人と、年齢と性別をマッチングし同発症が認められなかったコントロール群246人について、ケースコントロール試験を行った。主要アウトカムは、15種遺伝子の23種の遺伝的変異種の有無と、PCI後の早期ステント血栓症発症との関連だった。遺伝的要因3つが早期ステント血栓症発症と関連その結果、PCI後の早期ステント血栓症発症リスクと関連が認められた遺伝子は、CYP2C19代謝状態(補正後オッズ比:1.99、95%信頼区間:1.47~2.69)、ABCB1 3435 TT遺伝子型(同:2.16、同:1.21~3.88)、ITGB3 PLA2保有(同:0.52、同:0.28~0.95)の3つだった。遺伝子以外の独立リスク因子は、PCIの切迫性(同:3.05、同:1.54~6.07)、複雑病変(ACC/AHA基準でタイプC、同:2.33、同:1.40~3.89)、左室機能40%未満(同:2.25、同:1.09~4.70)、糖尿病(同:1.82、同:1.02~3.24)、プロトンポンプ阻害薬の服用(同:2.19、同:1.29~3.75)、クロピドグレル高用量服用(同:0.73、同:0.57~0.93)が認められた。遺伝子予測モデルと臨床予測モデルそれぞれのAUC(曲線下面積)は、0.73(同:0.67~0.78)と0.68(0.62~0.74)で、予測能は同等だった(P=0.34)。遺伝子・臨床複合予測モデルのAUCは0.78(同:0.73~0.83)で、臨床要因のみの予測モデルの同0.73(同:0.67~0.78)に比べ大きく、予測能は有意に高いことが示された(p=0.004)。著者は、「今後前向き試験にて、これらリスク因子の予測精度を検証する必要がある」とまとめている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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「きみが外科医になる日」セミナー 志、未来へ繋げたい

2011年10月8日(土)、京王プラザホテルにおいて、「きみが外科医になる日」セミナーが開催されました。このセミナーは「NPO法人日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会(以下CENS)」が主催したもの。当日は医学生・研修医を中心に300名を超える参加者が集まり、日本の外科領域を牽引する若手外科医やベテラン外科医の講演を熱心に聞き入っていました。若手外科医からの後輩へのメッセージ会員限定講演された先生方のご厚意により、講演の模様を動画でお伝えします。※講演内容には学術的な情報が含まれるため、CareNet.com会員限定での配信となります。予めご了承ください。限りなき探求 慶應義塾大学 外科(現米国マイアミ大学 移植外科臨床フェロー)日比 泰造氏女性医師の外科への取り組み-これまでとこれから-鹿児島大学大学院 腫瘍学講座消化器・乳腺甲状腺外科 診療講師 喜島 祐子氏ベテランの著名な先生からのメッセージ会員限定講演された先生方のご厚意により、講演の模様を動画でお伝えします。※講演内容には学術的な情報が含まれるため、CareNet.com会員限定での配信となります。予めご了承ください。脊髄損傷患者さんを治したい慶應義塾大学医学部整形外科学 専任講師 中村 雅也氏ロボット手術への挑戦 藤田保健衛生大学上部消化管外科学 教授 宇山 一朗氏大動脈瘤との戦い:手術不能の壁に挑む東京慈恵医科大学外科学講座Chairman(統括責任者)大木 隆生氏きみが外科医になる日NPO法人 若手外科系医師を増やす会理事・長崎大学名誉教授・長崎市病院事業管理者兼松 隆之氏手術を極めるNPO法人 若手外科系医師を増やす会理事・岩手医科大学外科 教授 若林 剛氏セミナー参加者からのメッセージセミナー終了後、セミナーに参加された若手の先生からもメッセージをいただきました。なぜ外科を志望したのか?外科医の魅力は?これから目指すことは?など、若手の先生ならではのメッセージです。慶應義塾大学 外科(現米国マイアミ大学移植外科臨床フェロー)日比 泰造氏横須賀共済病院前期研修医2年目 田島 佑樹氏慶應義塾大学病院卒後6年目 茂田 浩平氏慶應義塾大学病院卒後6年目瀬尾 雄樹氏慶應義塾大学病院卒後5年目菊池 弘人氏

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結核/HIV二重感染患者へのART療法開始時期 その1

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者で結核感染が認められた二重感染患者について、抗レトロウイルス療法(ART)の開始時期に関する試験結果が報告された。フランス・ビセートル病院(パリ)のFrancois-Xavier Blanc氏らCAMELIA試験グループによる本報告は、ART開始時期について抗結核療法開始2週後と8週後を比較したもので、2週後のほうが生存が有意に改善されたという。本報告の被験者のCD4+T細胞数中央値は25個/mm(3)だった。NEJM誌2011年10月20日号掲載報告より。カンボジアの5病院から被験者を募り、2週後開始vs. 8週後開始を検討CAMELIA(Cambodian Early versus Late Introduction of Antiretrovirals)試験グループは、カンボジアの5つの病院から被験者を募り、ART開始について抗結核療法開始2週後と8週後とを比較する多施設共同前向き無作為化非盲検優越性試験を行った。具体的には、2006年1月31日~2009年5月27日に被験者を募り、「新たに結核と診断されたCD4+T細胞数200個/mm(3)以下のARTを受けていないHIV患者では、ARTの開始時期が死亡率に有意な影響をもたらす」との仮説検証を目的とした。ART療法は、スタブジン+ラミブジン+エファビレンツの3剤併用療法だった。被験者は、結核の標準治療(6ヵ月間の抗結核療法)開始後、無作為に早期ART開始群(抗結核療法開始2週±4日後に開始)か待機的ART開始群(同8週±4日後に開始)に割り付けられ、生存を主要エンドポイントに追跡された。待機的ART群と比べた早期ART群の死亡リスクは0.62倍と有意に低下試験には661例(早期ART群332例、待機的ART群329例)が登録され、中央値25ヵ月間追跡された。被験者のCD4+T細胞数中央値は25個/mm(3)、ウイルス量中央値は5.64 log(10)コピー/mLだった。結果、各群の死亡は、早期ART群は59/332例(18%)だったのに対し、待機的ART群は90/329例(27%)で、早期ART群のハザード比0.62(95%信頼区間:0.44~0.86、P=0.006)と同群死亡リスクが有意に低かった。一方で、結核関連の免疫再構築症候群(IRIS)リスクは、早期ART群の有意な上昇が認められた(ハザード比:2.51、95%信頼区間:1.78~3.59、P<0.001)。また両群とも、CD4+T細胞数増大の中央値は114個/mm(3)であり、50週時点でウイルス量は患者の96.5%で検出されなくなっていた。(武藤まき:医療ライター)

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結核/HIV二重感染患者へのART療法開始時期 その2

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者で結核感染が認められた二重感染患者について、抗レトロウイルス療法(ART)の開始時期に関する試験結果が報告された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のDiane V. Havlir氏らAIDS Clinical Trials Group Study A5221試験グループによる本報告は、ART開始時期について抗結核療法開始2週以内の早期開始群と同8~12週以内の待機的開始群とを比較したもので、AIDS疾患の新規発症率および死亡率に両群間で有意差は認められなかったという。被験者のCD4+T細胞数中央値は77個/mm(3)だった。なお試験では無作為化の際、CD4+T細胞数50個/mm(3)未満と50個/mm(3)以上とで階層化しての検討も行っており、その結果50個/mm(3)未満群においては早期開始群でのAIDS疾患の新規発症率および死亡率は有意な低下が認められたという。NEJM誌2011年10月20日号掲載報告より。ART開始について抗結核療法開始後2週以内開始vs. 8~12週開始を比較本試験は、2006年9月~2009年8月に4ヵ国26施設から被験者809例が登録されて行われた非盲検無作為化試験だった。被験者は、CD4+T細胞数250個/mm(3)以下の、ARTを受けていない、結核感染が確認または疑われる患者だった。被験者は、抗結核療法開始後、2週間以内にARTを開始する早期ART群と、同8~12週以内開始の待機的ART群に無作為化され追跡された。また無作為化に際し、被験者をCD4+T細胞数50個/mm(3)未満と50個/mm(3)以上とで階層化した。なおART療法は、エファビレンツ+エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシル フマル酸の併用療法だった。主要エンドポイントは、48週時点で生存および新規AIDS疾患の発症が認められなかった患者の割合とした。CD4+T細胞数50個/mm(3)未満群では早期ART群の生存が有意被験者809例の基線でのCD4+T細胞数中央値は77個/mm(3)、HIV-1 RNAウイルス量中央値は5.43 log(10)コピー/mLだった。48週時点までのAIDS疾患新規発症および死亡の発生率は、早期ART群12.9%、待機的ART群16.1%で、早期ART群の有意な低下は認められなかった(発生率差の95%信頼区間:-1.8~8.1、P=0.45)。しかしCD4+T細胞数50個/mm(3)未満の患者における同値は、早期ART群15.5%、待機的ART群26.6%で、早期ART群での有意な低下が認められた(同:1.5~20.5、P=0.02)。結核関連の免疫再構築症候群(IRIS)は、早期ART群のほうが待機的ART群より頻度が高かった(11%対5%、P=0.002)。ウイルス抑制率は48週時点で74%で、両群間の差はなかった(P=0.38)。(武藤まき:医療ライター)

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術前の貧血は非心臓手術患者の予後を増悪させる

非心臓手術を受ける患者では、術前の貧血はたとえそれが軽度であっても術後30日以内の合併症や死亡のリスクを上昇させることが、レバノンAmerican University of Beirut医療センターのKhaled M Musallam氏らの検討で示された。心臓手術前に貧血がみられた患者は、術後の合併症の罹患率および死亡率が増大することが知られているが、非心臓手術における術前の貧血が予後に及ぼす影響は不明であった。術中の輸血は、少量であっても合併症率、死亡率を上昇させることが報告されており、術前貧血は術中輸血の機会を増大させるためリスク因子とみなされるという。Lancet誌2011年10月15日号(オンライン版10月6日号)掲載の報告。術前貧血が術後アウトカムに及ぼす影響を後ろ向きに評価するコホート試験研究グループは、非心臓手術を受ける患者において、術前の貧血が術後の合併症率、死亡率に及ぼす影響をレトロスペクティブに評価するコホート試験を実施した。「米国外科学会の手術の質改善プログラム(American College of Surgeons’ National Surgical Quality Improvement Program)」のデータベース(世界211病院からプロスペクティブに集められたアウトカムのレジストリー)を用い、2008年に主な非心臓手術を受けた患者のデータについて解析した。30日合併症率および30日死亡率(心臓、呼吸器、中枢神経系、尿路、創傷、敗血症、静脈血栓塞栓症)、人口学的因子、術前・術中のリスク因子に関するデータを収集した。貧血は軽度(ヘマトクリット値が男性29~39%、女性29~36%)および中等度~重度(男女ともヘマトクリット値<29%)に分けた。リスク因子(65歳以上、心疾患、重度COPD、中枢神経疾患、腎疾患、がん、糖尿病、敗血症、肥満)に基づくサブグループにおいて、貧血が術後のアウトカムに及ぼす影響について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。術後30日合併症率、死亡率が有意に上昇非心臓手術を受けた患者22万7,425例のうち6万9,229例(30.44%)に術前の貧血が認められた。術後の30日死亡率は、術前非貧血患者よりも貧血患者で有意に高く(調整オッズ比:1.42、95%信頼区間:1.31~1.54)、この差は軽度貧血(同:1.41、1.30~1.53)および中等度~重度貧血(同:1.44、1.29~1.60)に一致して認められた。術後30日合併症率も、術前非貧血患者に比べ貧血患者で有意に高く(調整オッズ比:1.35、95%信頼区間:1.30~1.40)、死亡率と同様に軽度貧血(同:1.31、1.26~1.36)および中等度~高度貧血(同:1.56、1.47~1.66)で一致していた。著者は、「非心臓手術を受ける患者では、術前の貧血はたとえそれが軽度であっても術後30日以内の合併症や死亡のリスクを上昇させる」と結論し、「この知見は、年齢、性別、手術手技にかかわらず一貫して認められ、貧血が既知のリスク因子と併存すると、リスク因子がアウトカムに及ぼす影響がさらに増大した」としている。(菅野守:医学ライター)

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終末期患者の多くが死亡前に外科治療を受けている

アメリカでは、高齢患者の3分の1近くが死亡の前年に外科治療を受けていることが、アメリカ・ハーバード公衆衛生大学院のAlvin C Kwok氏らの調査で示された。一般に、治療の量が多いほど優れた治療がもたらされると考えがちだが、終末期医療が活発な地域が必ずしも良好な予後を実現しているわけではない。アメリカでは、終末期の入院や集中治療の運用状況はよく知られているが、この時期の外科治療のパターンはほとんどわかっていなかったという。Lancet誌2011年10月15日号(オンライン版2011年10月6日号)掲載の報告。終末期外科治療の運用状況を評価する後ろ向きコホート試験研究グループは、2008年に死亡した65歳以上のメディケア受給者を対象に、終末期の外科治療の運用状況をレトロスペクティブに評価するコホート試験を行った。死亡前年の入院外科治療を同定して年齢や地域との関連を検討した。死亡前年に入院外科治療を受けた患者の割合(年齢、性別、人種、収入で調整)を終末期外科治療度(end-of-life surgical intensity; EOLSI)と定義し、個々の病院の所在地域ごとにEOLSIスコアを算出した。外科治療の死亡前年施行率は31.9%、前月18.3%、前週8.0%2008年に死亡した高齢のメディケア受給者180万2,029人のうち、31.9%(95%信頼区間:31.9~32.0、57万5,596人)が前年に入院外科治療を受けていた。死亡の前の月に外科治療を受けていた患者が18.3%(同:18.2~18.4、32万9,771人)、前の週に受けていた患者は8.0%(同:8.0~8.1、14万4,162人)であった。前年に外科治療を受けた高齢患者の死亡率は加齢とともに低下する傾向がみられ、80歳の患者の35.3%(95%信頼区間:34.7~35.9、8,858/2万5,094人)から、90歳の患者では23.6%(同:22.9~24.3、3,340/1万4,152人)と、33%の低下が認められた。EOLSIスコアは、最高34.4(95%信頼区間:33.7~35.1、Munster、インディアナ州)から最低11.5(同:11.3~11.7、Honolulu、ハワイ州)までの幅がみられた。また、人口1人当たりの病床数が多い地域ほどEOLSIスコアが高く(r=0.37、95%信頼区間:0.27~0.46、p<0.0001)、メディケアの総費用が高い地域もスコアが高かった(r=0.50、95%信頼区間:0.41~0.58、p<0.0001)。著者は、「アメリカでは、死亡の前年に多くの高齢患者が外科治療を受けていた。外科治療の施行率は年齢や地域によってばらつきがみられ、終末期の患者に外科治療を行うことに医療提供者が慎重になっている場合もあることが示唆された」と結論している。(菅野守:医学ライター)

9533.

ビタミンE摂取、前立腺がんの長期発症リスクを1.17倍に増大

ビタミンE摂取は、前立腺がんの発症リスクを有意に増大することが、無作為化プラセボ対照試験「Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial」(SELECT)の結果、示された。米国・クリーブランドクリニックのEric A. Klein氏らの報告で、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。SELECT試験の結果は2009年に、追跡期間中央値5.5年時点の解析結果が発表され、セレン摂取もビタミンE摂取も前立腺がん発症リスクを減少しないことが認められた。同時に、統計的に有意な増大ではなかったが、ビタミンE摂取群で前立腺がんリスクの増加傾向が懸念される結果が示されていた。今回、より長期の追跡データを分析した結果、ビタミンE群の前立腺がん発症リスクの有意な増加が明らかになったという。前立腺がんの疑いのない約3万6,000人を7~12年追跡Klein氏らは、2001年8月22日~2004年6月24日の間に、米国、カナダ、プエルトリコの427ヵ所で、前立腺がんの兆候が認められない3万5,533人の男性について、無作為化プラセボ対照試験を行った。被験者は、黒人は50歳以上、それ以外は55歳以上で、前立腺特異抗原(PSA)血中濃度が4.0ng/mL以下、直腸診の結果でも前立腺がんの疑いはなかった。研究グループは被験者を無作為に4群に分け、セレン(200μg/日、8,752人)、ビタミンE(400 IU/日、8,737人)、セレンとビタミンEの両者併用(8,702人)、プラセボ(8,696人)をそれぞれ投与した。2011年7月5日まで追跡し、前立腺がんの発症率について比較した。追跡期間は7~12年だった。前立腺がんの絶対リスク増加、ビタミンEは1.6/1,000人・年追跡期間中に前立腺がんを発症したのは、プラセボ群529人に対し、ビタミンE群で620人で、ハザード比1.17(99%信頼区間:1.004~1.36、p=0.008)と、同発症リスクは有意に上昇した。セレン群で同発症が認められたのは575人で、同ハザード比は1.09(同:0.93~1.27、p=0.18)、セレン/ビタミンE群では555人で同ハザード比は1.05(同:0.89~1.22、p=0.46)と、いずれも同発症リスクの有意な増大は認められなかった。プラセボと比較した、1,000人・年当たりの前立腺がん発症に関する絶対リスク増加は、ビタミンEが1.6、セレンが0.8、両者併用が0.4だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

9534.

妊娠初期の葉酸摂取で、子どもの重度言語発達遅延リスクがおよそ半減

妊娠初期に葉酸を摂取することで、生まれた子どもの3歳時点における、重度言語発達遅延リスクが、およそ半減することが明らかにされた。ノルウェー国立保健院(Norwegian Institute of Public Health)のChristine Roth氏らが行った前向きコホート試験の結果、報告したもので、JAMA誌2011年10月12日号で発表した。これまでの研究結果から、妊娠中の葉酸摂取は、神経管欠損リスクを減少することなどが知られているが、生後の神経発生に関連する症状発症のリスクとの関連についての研究はほとんど行われていなかったという。被験児約4万人のうち、重度言語発達遅延発症率は0.5%研究グループは、1999~2008年末の間に妊娠中で、子どもが2008年中に誕生し、3年間の追跡調査票に回答した人とその子どもについて、2010年6月まで調査を行った。妊娠の時点から4週~8週までの期間の葉酸サプリメント摂取と、子どもの3歳時点での言語発達遅延との関連を調べた。言語発達の評価には、言語・文法に関する6ポイント尺度(6-point ordinal language grammar scale)を用い、言葉が一つしか話せないといった言語表現能力が最低レベルの子どもを、重度言語発達遅延と判断した。調査対象となった子どもは3万8,954人だった。そのうち3歳の時点で重度言語発達遅延だったのは、204人(0.5%)だった。葉酸や葉酸を含むサプリ摂取で、重度言語発達遅延リスクは0.55倍に妊娠4~8週の間にサプリメントをまったく摂取しなかった人は9,052人(24.0%、対照群)で、そのうち重度言語発達遅延を発症したのは81人(0.9%)だった。同期間に葉酸以外のサプリメントを摂取した群(2,480人)では、同発症率は0.9%(22人)で、対照群に対するオッズ比は1.04(95%信頼区間:0.62~1.74)と同等だった。一方、同期間に葉酸のみを摂取した群(7,127人)では、同発症率は0.4%(28人)で、同オッズ比は0.55(同:0.35~0.86)と有意に低下した。また、同期間に葉酸を含むサプリメントを摂取した群(1万9,005人)でも、同発症率は0.4%(73人)で、同オッズ比は0.55(同:0.39~0.78)と有意に低かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

9535.

米国小児喘息治療指標CACの遵守率、入院中は高率、退院後は中程度

米国小児病院において用いられている小児喘息治療指標「Children’s Asthma Care 」(CAC)は、米国病院認定合同委員会(JCAHO)が入院中の小児に対する医療の質を評価する唯一の指標となっている。フェニックス小児病院のRustin B. Morse氏らは、CAC遵守率とアウトカムとの関連について評価を行った。CACは大きく入院中の指標(CAC-1、CAC-2)と退院後家庭で用いる指標(CAC-3)に分けられる。結果、CAC-1、CAC-2の遵守率は高率だが、CAC-3は中程度であることが明らかになった。しかしCAC-3と、退院後の救急室利用率や再入院率等に有意な関連は認められなかったという。JAMA誌2011年10月5日号掲載より。退院後ケアプラン作成の遵守率、当初41%から73%に改善研究グループは、2008年1月1日~2010年9月30日にかけて、米国内30ヵ所の小児病院を対象に、喘息で入院した3万7,267人を対象に試験を行った。追跡期間は、2010年12月末までで、その間の入院件数は4万5,499件だった。病院ごとのCAC遵守率と、退院後の救急室利用、喘息による再入院について、調査した。結果、入院中の発作治療薬の処方指標(CAC-1)と全身性コルチコステロイドの処方指標(CAC-2)に関する四半期ごとにみた病院ごとの遵守率最低値は、それぞれ97.1%と89.5%と、いずれも高率だった。退院後の家庭におけるケアプラン作成のための指標(CAC-3)の遵守率は、試験期間中の最初の3回の四半期平均40.6%、最後の3回の四半期の平均値は72.9%で、増加傾向が認められた。ケアプラン作成の遵守率と退院後救急室利用率、再入院率に関連なし退院7日、30日、90日後の救急室利用率平均値は、それぞれ1.5%、4.3%、11.1%だった。四半期ごとの退院7日、30日、90日後の再入院率平均値は、それぞれ1.4%、3.1%、7.6%だった。CAC-3遵守率と退院後の救急室利用率には、有意な関連は認められなかった(遵守率5%増加ごとのオッズ比、7日:1.00;95%信頼区間:0.98~1.02、30日:0.97;同:0.90~1.04、90日:0.96;同:0.77~1.18)。またCAC-3遵守率と再入院率にも、有意な関連は認められなかった(遵守率5%増加ごとのオッズ比、7日:1.00;95%信頼区間:0.99~1.02、30日:0.99;同:0.96~1.02、90日:1.01;同:0.90~1.12)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

9536.

チョコレート高摂取による心血管代謝障害の抑制効果が明らかに

チョコレートの摂取量と心血管代謝障害(cardiometabolic disorder)の発生リスクには実質的な関連が認められることが、英国・ケンブリッジ大学のAdriana Buitrago-Lopez氏らの検討で示された。WHOによれば2030年までに約2,360万人が心血管疾患で死亡するとされ、現在、世界の成人の約5分の1が、糖尿病や心血管疾患の増加をもたらすメタボリック症候群に罹患しているとの研究結果もある。近年、心血管代謝障害が世界的に増加しているが、その多くは予防可能と考えられており、ココアやチョコレートは降圧、抗炎症、抗動脈硬化、抗血栓作用を有することが示唆されている。BMJ誌2011年10月1日号(オンライン版2011年8月29日号)掲載の報告。心血管代謝障害の発生リスクに及ぼす影響をメタ解析で評価研究グループは、チョコレートの摂取と心血管代謝障害のリスクの関連を評価するために、無作為化対照比較試験および観察試験の系統的レビューを行い、メタ解析を実施した。2010年10月までに発表された文献のデータベース(Medline、Embase、Cochrane Library、PubMed、CINAHL、IPA、Web of Science、Scopus、Pascal)を検索し、関連論文の文献リストを参照した。抽出された論文の著者に電子メールで連絡をとった。主要評価項目は、心血管疾患(冠動脈心疾患、脳卒中)、糖尿病、メタボリック症候群を含む心血管代謝障害とした。メタ解析では、チョコレートの摂取量が最も多い群と少ない群を比較することで、心血管代謝障害の発生リスクを評価した。最大摂取量群で、心血管疾患リスクが37%、脳卒中リスクが29%低下選択基準を満たした7試験(11万4,009人)のうち6つがコホート試験(日本の1試験[Oba S、et al. Br J Nutr 2010;103:453-9]を含む)、1つは横断的試験であり、無作為化試験は含まれなかった。これらの研究には、チョコレート摂取量の測定法、試験方法、アウトカムの評価法に大きな差異が認められた。5つの試験では、チョコレート摂取量が多いほど心血管代謝障害のリスクが低下していた。摂取量が最も多い群では、最も少ない群に比べ心血管疾患リスクが37%低下(相対リスク:0.63、95%信頼区間:0.44~0.90)し、脳卒中リスクが29%低下(同:0.71、0.52~0.98)した。心不全の抑制効果はみられなかった(相対リスク:0.95、95%信頼区間:0.61~1.48)。日本の試験では、男性で糖尿病の抑制効果が認められた(男性:ハザード比0.65、95%信頼区間0.43~0.97、女性: 同0.73、0.48~1.93)。著者は、「観察試験のエビデンスに基づけば、チョコレートの摂取量と心血管代謝障害のリスク低下には実質的な関連が認められた」と結論し、「チョコレート摂取のベネフィットを確定するには、さらなる検討が必要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

9537.

研究助成の決定、無作為性が十分ではなく申込者にコスト負荷

オーストラリアにおける保健・医療研究の助成金決定作業における無作為性と費用について検討した結果、無作為性は十分ではなく、申込者のコストがかさんでいる実態が報告された。オーストリア・クイーンズランド工科大学公衆衛生校&ヘルスバイオメディカル研究所のNicholas Graves氏らによる。研究助成に対する申し込みの成功率は世界的に低下しており、たとえば英国では2000年43%から2008年26%、オーストラリアでは2000年30%から2010年23%となっているという。Graves氏らは、本研究を行った目的について、申込不成功でキャリアへの打撃とさらなる参加コストを要することになる研究者に役立つ情報提供をすることだとしている。BMJ誌2011年10月1日号(オンライン版2011年9月27日号)掲載報告より。2009年にオーストラリアNHMRCに申し込みがあった2,705件を後ろ向きに解析研究は、オーストラリアのNational Health and Medical Research Council(NHMRC)の助成金事業に、2009年に申し込みのあった全2,983件のうち2,705件を対象に後ろ向きに解析した。NHMRC助成金委員会委員のスコアについても評価した。主要評価項目は、資金獲得について「常に」「時々」「一度もない」それぞれの助成申込研究の割合だった。評価は、各委員のスコアに起因する無作為変化を加味してから行われた。また、委員会規模(7名、9名、11名)の違いによる費用対効果についても評価が行われた。助成金獲得「一度もない」61%、「時々」29%解析対象だった2,705件の助成申込研究のうち、620件が助成金対象として選定された。そのうち資金獲得が「時々」だったのは、無作為変化を考慮後で、59%だった。全体(2,705件)をみたところ、資金獲得が「常に」だったのは9%(255件)だけで、「一度もない」は61%(1,662件)、「時々」は29%(788件)だった。研究者の大半は助成申請準備に、中央値22日間を要していた。先導研究者の2人は申し込みに65日以上を費やしていた。主任研究者の5人が費やしたのは15日未満だった。資金獲得運動の費用は総額4,787万豪ドルで、85%は申込者の負担となっていた。委員会規模が大きいほうがシステムは良好であった。最も効果的なシステムで資金提供するためにかかる追加コストは、1万8,541豪ドルであった。

9538.

プライマリ・ケアにおける高血圧診断、ABPMが費用対効果に優れる

24時間自由行動下血圧測定(ABPM)は、診察室(CBPM)や家庭(HBPM)での血圧測定よりも費用対効果が優れ、高血圧の診断戦略として最も有用であることが、イギリス内科医師会(Royal College of Physicians)のKate Lovibond氏らによる調査で示された。従来、プライマリ・ケアにおける高血圧の診断はCBPMに基づいて行われるが、HBPMやABPMのほうが心血管アウトカムとよく相関し、ABPMはCBPMやHBPMに比べ高血圧の診断精度が高いことが示されている。Lancet誌2011年10月1日号(オンライン版2011年8月24日号)掲載の報告。高血圧診断戦略としての費用対効果をMarkovモデルで解析研究グループは、Markovモデルを用いて、高血圧の診断戦略としてのCBPM、HBPM、ABPMの費用対効果を比較するために、基本ケース解析(base-case analysis)を行った。スクリーニング時の血圧が140/90mmHg以上で一般集団と同等のリスク因子を有する40歳以上の仮説的なプライマリ・ケア受診集団を対象とした。CBPM(月1回、3ヵ月)、HBPM(週1回)、ABPM(24時間)について、生涯コスト、質調整生存年(QALY)、費用対効果の評価を行った。ABPMは全年齢でコストが削減、50歳以上でQALYが延長ABPMはCBPMやHBPMに比べ全年齢の男女において費用対効果が優れていた。ABPMは全年齢の男女でコストが削減され(CBPMとの比較、範囲:75歳男性の56ポンド削減から40歳女性の323ポンド削減まで)、50歳以上の男女ではQALYが延長した(CBPMとの比較、範囲:60歳女性の0.006年から70歳男性の0.022年まで)。HBPMも同様に、全年齢の男女でコストが削減され(CBPMとの比較、範囲:75歳男性の16ポンド削減から40歳女性の68ポンド削減まで)、50歳以上の男女でQALYが延長した(CBPMとの比較、範囲:60歳女性の0.001年から70歳男性の0.005年まで)が、ABPMに比べて費用対効果は低かった。著者は、「診察室での初回血圧測定値が高値を示した集団における高血圧の診断戦略として、ABPMは誤診を減らし、コストを削減する優れた方法である」と結論し、「ABPMで新たに生じるコストは、より対象を絞り込んだ高血圧治療の実現によるコストの削減で相殺された。降圧薬治療開始前の患者の診断には、ABPMが推奨される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

9539.

推奨量より少ない運動でも、平均寿命が延長

余暇時間における身体活動(leisure-time physical activity; LTPA)は、たとえそれが推奨運動量より少なくても、健康状態を改善し平均寿命の延長をもたらすことが、台湾・国立健康研究所のChi Pang Wen氏と国立体育大学のJackson Pui Man Wai氏らの調査で示された。LTPAが健康状態を改善することはよく知られており、アメリカ(2008年)やWHO(2010年)の身体活動ガイドラインでは平均150分/週以上のLTPAが推奨されている。アメリカの成人の3分の1がこの推奨運動量を実行しているのに対し、東アジア人(中国、日本、台湾)の達成率は5分の1以下にすぎないが、推奨量より少ない運動が平均寿命に及ぼす影響は明らかではないという。Lancet誌2011年10月1日号(オンライン版2011年8月16日号)掲載の報告。41万人以上の成人を8年以上追跡した前向きコホート試験研究グループは、台湾の地域住民において身体活動量が健康に及ぼす影響を評価するプロスペクティブなコホート試験を実施した。1996~2008年までに、台湾の標準的な検診プログラムに参加した20歳以上の41万6、175人(女性:21万6,910人、男性:19万9,265人)について、平均8.05(SD 4.21)年の追跡調査を行った。参加者は、自己記入式質問票に記述した1週間の運動量に基づき、5つのカテゴリー(AinsworthらのMET[metabolic equivalent]の定義で運動強度を判定して1週間の運動量を算出。身体活動なし[非運動群]、少ない[low群]、普通[medium群]、多い[high群]、たいへん多い[very high群])のうちの1つに分類された。非運動群との比較における4つの群の死亡リスクのハザード比を算出し、平均寿命を推算した。推奨される150分/週よりも運動量が少ない場合の生存ベネフィットの評価を行った。low群で全死因死亡、平均余命が改善92分/週(95%信頼区間:71~112)あるいは15分/日(SD 1.8)の運動群(low群)では、非運動群に比べて全死因死亡率が14%低下し、平均寿命が3年延長した。最低でも15分/日以上の運動量の集団では、運動量がさらに15分/日増加するごとに全死因死亡率が4%(95%信頼区間:2.5~7.0)ずつ低下し、がんによる死亡率が1%(同:0.3~4.5)ずつ減少した。これらのベネフィットは全年齢の男女および心血管疾患リスクを有する集団でも認められた。非運動群は、low群に比べ死亡リスクが17%(ハザード比:1.17、95%信頼区間:1.10~1.24)増加していた。著者は、「15分/日、90分/週という推奨される運動量よりも少ないlow群および心血管疾患リスクのある群で生存ベネフィットが確認された」と結論し、「少ない運動量であっても、非伝染性疾患との世界的な戦いにおいて重要な役割を担っており、医療コストや医療格差の低減に寄与する可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

9540.

高齢者の頸動脈ステント留置術、施術者の経験がアウトカムに有意に影響

高齢者に対する頸動脈ステント留置術は、施術者の年間手術件数が少ないと、多い場合に比べ、30日死亡リスクが約2倍に増大することが明らかにされた。通算手術数が少ない施術者の同リスクは1.7倍であったという。米国・ミシガン大学ヘルスケアアウトカム・政策センターのBrahmajee K. Nallamothu氏らが、頸動脈ステント留置術を行った高齢者、約2万5,000人について行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年9月28日号で発表した。これまで、ステント術の有効性については臨床試験で検証がされているが、施術者の経験がアウトカムに及ぼす影響について臨床ベースで検討されていなかった。施術者を年間手術件数と通算手術件数で分類、30日死亡率を比較研究グループは、65歳以上のメディケア出来高払い制プラン加入者で、2005~2007年に頸動脈ステント留置術を行った人と施術者について調査を行った。頸動脈ステント留置術に対する、メディケアおよびメディケイド(Centers for Medicare & Medicaid Services:CMS)での支払いカバーは、2005年3月から導入されている。調査は、施術者を年間の頸動脈ステント留置術実施件数によって、「6件未満」「6~11件」「12~23件」「24件以上」の4区分に分類して検討。また、CMSが導入後に初めて手術を行った施術者について、手術経験が「1~11件」までと浅かった場合と、「12件以上」の場合とを比較した。主要アウトカムは、術後30日死亡率だった。結果、調査対象期間中の頸動脈ステント留置術は2万4,701件、施術者数は2,339人だった。そのうち、CMSが導入後に初めて施術した医師は1,792人で、それらの実施件数は1万1,846件だった。年間手術件数が少ないと死亡率は1.9倍に、経験が浅いと同1.7倍に術後30日死亡率は、被験者全体では1.9%(461人)だった。塞栓防止用デバイスを用いての手術失敗率は4.8%(1,173人)だった。メディケア加入者に対する年間施術数の中央値は、3.0(四分位範囲:1.4~6.5)だった。調査期間中、年間12件以上施術をしていたのは、施術者の11.6%だった。30日死亡率は、年間手術件数が少ないほど高く(p<0.001)、「6件未満」2.5%、「6~11件」1.9%、「12~23件」1.6%、「24件以上」1.4%だった。また、手術経験が11件以下の人の同率は2.3%で、12件以上の1.4%に比べ、有意に高率だった(p<0.001)。多変量解析の結果、年間6件未満の施術者の、同24件以上施術者に対する30日死亡補正後オッズ比は、1.9(95%信頼区間:1.4~2.7、p<0.001)だった。また、CMS導入後の施術者の経験別にみた、年間11件以下の施術者の、同12件以上施術者に対する30日死亡補正後オッズ比は、1.7(同:1.2~2.4、p=0.001)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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