冠動脈血行再建術後の心臓負荷試験、医師の報酬体系の違いで実施率が増減

提供元:ケアネット

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公開日:2011/11/22

 



冠動脈血行再建術後の心臓負荷試験の実施率は、医師の報酬体系に関連しており、技術料・診断料ともに請求する医師は、どちらも請求しない医師に比べて、核ストレステストの実施率は2.3倍、心エコー検査実施率は12.8倍に、それぞれ増大することが報告された。米国・デューク大学のBimal R. Shah氏らが、冠動脈血行再建術後に外来診察を受けた約1万8,000人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月9日号で発表した。

技術料・診断料を請求、診断料のみ請求、請求なしの3群に分類して比較




研究グループは、米労働者が加入するUnited Healthcareの管理記録で、2004年11月1日~2007年6月30日にかけて、冠動脈血行再建術の実施後90日以上外来通院した患者1万7,847人について調査を行った。平均年齢は54.6歳、うち女性は21%だった。

被験者を担当する医師は、心臓負荷試験に対する報酬の請求体系の違いから、技術料・診断料ともに請求、診断料のみ請求、どちらも請求しない、の3通りに分類した。

ロジスティック回帰モデルを用いて、医師の請求体系と、術後外来診察後30日以内の心臓負荷試験実施率との関連を分析した。

核ストレステスト、心エコーともに、実施率は非請求群が最小、技術料・診断料群が最大




結果、核ストレステストの実施率は、被験者全体では12.2%(95%信頼区間:11.8~12.7)だった。担当医の請求体系別では、技術料・診断料群は12.6%(同:12.0~13.2)、診断料群は8.8%(同:7.5~10.2)、非請求群では5.0%(同:4.4~5.7)と、各群で有意差が認められた(p<0.001)。

また負荷心エコーの実施率も、技術料・診断料群2.8%(同:2.5~3.2)、診断料群1.4%(同:1.0~1.9)、非請求群0.4%(同:0.3~0.6)と、有意な傾向が認められた(p<0.001)。

核ストレステスト実施に関する、非請求群に対するそれぞれの補正後オッズ比は、技術料・診断料群が2.3、診断料群が1.6だった(p<0.001)。心エコー実施に関する、同オッズ比は、技術料・診断料群が12.8、診断料群が7.1だった(p<0.001)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)