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経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査

 統合失調症患者における持効性注射剤(LAI)と経口薬の同時処方の頻度および期間について、米国・ペンシルベニア大学のJalpa A Doshi氏らが調査を行った。診療ガイドライン推奨のLAI治療は、一般的にはアドヒアランス不良の患者に対するモノセラピー選択肢と見なされている。LAI治療を受けている患者の、経口抗精神病薬の同時処方の割合や経過に関するデータは限定的であった。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、医療費請求データベースに基づく観察的研究により、LAI治療を受けているメディケイド受給患者340例について、経口薬の同時処方の頻度および期間を調べた。具体的には、統合失調症患者で、直近にアドヒアランス不良および入院の既往がある患者について調べた。調査には、第1世代の抗精神病薬デポ製剤(フルフェナジンデカン酸エステル、ハロペリドールデカン酸エステル)と、最新の使用可能な注射剤(LAIリスペリドン、パリペリドンパルミチン酸エステル)の両方を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・LAI治療を開始した全患者のうち、75.9%が退院後6ヵ月の間に経口抗精神病薬の同時処方を受けていた。・同時処方を受けていた患者は、LAI薬と同一の経口薬を処方されている頻度が高かった。一方で、第1世代のLAI使用者の多くが、第2世代の経口薬を同時処方されていた。・同時処方率が最も低かったのは、パリペリドンパルミチン酸エステルの処方群であった(58.8%)。一方で最も高かったのは、LAIリスペリドンの処方群であった(88.9%)。・経口薬とLAI処方の重複は、概して期間が長期(30日超など)になると発生しており、またLAIにより重複が生じている日の割合が顕著(50%超)であった。 これらの結果を受けて著者らは、「さらなる研究でそのような処方がなされた理由を調べ、また日常診療におけるさまざまな抗精神病薬治療の至適な役割を、明らかにする必要があることが強調された」とまとめている。関連医療ニュース 初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る 統合失調症、デポ剤と抗精神病薬併用による効果はどの程度 アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大  担当者へのご意見箱はこちら

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難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

 うつ病患者において、アリピプラゾール増強療法と他の抗うつ薬への切り替えについて有効性や忍容性を直接比較した研究はない。韓国・高麗大学校のChangsu Han氏らは、外来うつ病患者を対象に、アリピプラゾール増強療法と他の抗うつ薬への切り替えの治療効果を比較するため、6週間の評価者盲検無作為化直接比較試験を行った。Journal of psychiatric research誌2015年7-8月号の報告。 抗うつ薬不応な外来うつ病患者を対象とし、アリピプラゾール増強療法(AA)群、他の抗うつ薬への切り替え(SW)群のいずれかに無作為に割り付けた。抗うつ薬不応の定義は、現在のうつ病エピソードで少なくとも6週間の適切な抗うつ薬治療を行ったにもかかわらず、ハミルトンうつ病評価尺度17項目版(HDRS-17)の合計スコアが14以上とした。主要評価項目は、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の合計スコアのベースラインから治療終了までの変化量とした。副次評価項目は、事前に定義された治療終了時の反応率と寛解率、HDRS-17合計スコア、Iowa Fatigue Scale(IFS)、Sheehan Disability Scale(SDS)のベースラインから治療終了までの変化量、治療終了時に臨床全般印象-改善度(CGI-I)が1または2であった患者の割合とした。忍容性は、Barnes Akathisia Rating Scale(BARS)、Arizona Sexual dysfunction scale(ASEX)を用い評価し、有害事象数を両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者101例は、AA群52例、SW群49例に無作為に割り付けられた。・ベースラインからのMADRSスコアの平均変化量は、AA群で有意に高く、-8.7の違いがあった(p<0.0001)。両群間の差は、2週間目で認められた。・治療反応者および寛解者の割合は、AA群(60%、54%)のほうがSW群(32.6%、19.6%)と比較して、有意に高かった(各々p=0.0086、p=0.0005)。・ほとんどの副次的評価項目において、AA群はSW群と比較し、より良好な臨床転帰を示した。・忍容性は、両群間で同等であった。 通常の抗うつ薬治療で不応なうつ病患者に対して、アリピプラゾール増強療法は、他の抗うつ薬への切り替え投与と比較して、全体的に有益な臨床転帰を示した。この結果を踏まえ、著者らは「本研究の方法論における欠点を考慮し、適切な検出力のある、より厳密な対照を置いた臨床試験の実施が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学  担当者へのご意見箱はこちら

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リンチ症候群の子宮内膜がんリスク、低下させるのは?/JAMA

 DNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子変異キャリアであるリンチ症候群の女性について調べたところ、「初潮年齢が遅い」「生産児あり」「ホルモン避妊薬の1年以上使用」が、いずれも子宮内膜がんリスクの低下と関連することが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSeyedeh Ghazaleh Dashti氏らが、リンチ症候群の女性1,128例について行った後ろ向きコホート試験の結果、報告した。現状では、リンチ症候群の子宮内膜がんリスクを低下する方法としては、子宮摘出術のみが明らかになっている。JAMA誌7月7日号掲載の報告より。初潮、最初と最後の出産、月経閉止年齢、ホルモン避妊薬の使用などを調査 研究グループは、1997~2012年の大腸がん患者の家族レジストリ(Colon Cancer Family Registry)を基に、リンチ症候群の女性1,128例について後ろ向きコホート試験を行い、ホルモン因子と子宮内膜がんとの関連を検証した。被験者は、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド在住だった。 被験者について、初潮、最初と最後の出産、月経閉止のそれぞれの年齢、生産児数、ホルモン避妊薬の使用や月経閉止後のホルモン服用の有無について調べた。 主要アウトカムは、自己申告による子宮内膜がんの診断だった。1年以上のホルモン避妊薬の使用でリスクは0.39倍に その結果、被験者のうち子宮内膜がんを発症したのは、133例だった(罹患率:0.29/100人年、95%信頼区間:0.24~0.34)。 初潮年齢が13歳以上、生産児1人以上、1年以上のホルモン避妊薬の使用は、いずれも子宮内膜がん発症リスクの低下に関連していた(それぞれ、ハザード比:0.70、0.21、0.39)。 一方で、最初と最後の出産年齢や月経閉止の年齢、月経閉止後のホルモン服用は、いずれも子宮内膜がん発症リスクとは関連が認められなかった。

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すべての1型糖尿病患者にインスリンポンプ療法を施行すべきか?(解説:住谷 哲 氏)-387

 1型糖尿病患者は、インスリン分泌が枯渇しているため、インスリン投与が必須となる。現在では基礎インスリンとボーラスインスリンを組み合わせた、インスリン頻回注射療法[MDI:Multiple daily injections、(BBT [Basal-bolus treatment]ともいう)]を用いたインスリン強化療法が主流である。しかし、生理的インスリン補充のために必要となる基礎インスリンの調節は、MDIにおいては困難である。一方、インスリンポンプ療法(CSII [continuous subcutaneous insulin infusion]ともいう)は、自由に基礎インスリン量を調節できるために、MDIと比較して低血糖の少ない、より変動の少ない血糖コントロールが可能であるとされる。 これまでに、血糖コントロール指標や低血糖の頻度などの代用アウトカム(surrogate outcomes)を両治療法において比較した報告は多数あるが、心血管イベントや総死亡などの真のアウトカム(true outcomes)を比較した報告はほとんどなく、本論文は貴重である。その結果、インスリンポンプ療法によりMDIと比較して、総死亡が27%減少することが示され、衝撃的である。 本論文の結果が真実であれば、すべての1型糖尿病患者にインスリンポンプ療法を行うことが正当化されると思われるが、そうだろうか。 まず、本研究は観察研究であり、厳密には因果関係を証明することはできない。観察研究での因果関係の強さを推定する際には、介入の生物学的妥当性を考える必要があるが、この論文ではインスリンポンプ療法による重症低血糖の減少が可能性の1つとして挙げられている。 これまでに本論文の著者らにより、1型糖尿病患者における重症低血糖の頻度と、その後の心血管死との関連が報告されていることから、この推論は支持されると思われる1)。加えて、仮想的交絡因子(hypothetical confounders)を用いた統計学的解析により、治療選択によるバイアス(treatment allocation bias)も可能な限り排除されている。さらに、スウェーデンではほぼ100%の1型糖尿病患者が本研究で用いられたレジストリに登録されており、選択バイアス(selection bias)の可能性もほとんどない。以上から、本論文で示されたインスリンポンプ療法と総死亡も含めた心血管イベントリスクの減少との間には、因果関係がかなりの確率で存在すると考えられる。 筆者の外来にも多数の1型糖尿病患者さんが通院しているが、インスリンポンプ療法を施行しているのはごく一部である。わが国ではスウェーデンとは異なり治療費の問題もあるが、現実的にはインスリンポンプ療法に移行するには大きな壁があるように感じている。さらに、いったんインスリンポンプ療法に移行しても、その後にMDIに戻る患者も存在する。 本論文によれば、インスリンポンプ療法の壁が小さいと考えられるスウェーデンにおいても、インスリンポンプ療法を行っている患者は全体のわずか13.4%であり、きわめて少ない。つまり、現実にはインスリンポンプ療法が継続できる患者とできない患者が存在しており、後者が大部分を占めている。この両患者群の違いは単純ではなく、患者側のみならず、医療者側も含めた多数の複雑に絡み合った要因に依存していると思われる。 著者らも述べているが、インスリンポンプ療法の生理学的作用のみによる結果と単純に考えることはできず、インスリンポンプ療法が長期にわたって継続できることこそが、総死亡を含めた心血管イベントのリスク減少につながるとするのが正しい解釈であろう。 今後はインスリンポンプ療法の可否について、すべての1型糖尿病患者と医療提供者との間のshared decision makingが必要になると思われる。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第22回

第22回:成人の頸部リンパ節腫脹について監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 プライマリケアの現場で、頸部リンパ節腫脹はそれ自体を主訴に受診する場合のほか、急性疾患に罹患して受診した際に気付かれる、時に見られる症候の一つです。 生理的な範疇なのか、反応性なのか、それとも悪性なのかの区別をつけることが、臨床的には重要になります。 以下、American Family Physician 2015年5月15日号1)より原則として、経過が急性・亜急性・慢性かで鑑別を考える。急性【外傷性】外傷性の場合、組織や血管系の損傷による。少量であれば自然軽快するが、大きく、急性に増大する場合はすぐに処置や外科的精査を要する。剪断力が追加されると偽性動脈瘤の形成・動静脈瘻の形成につながる。その場合はスリルや雑音を伴った柔らかい、拍動性腫瘤として触れる。【感染・炎症性】最も多い原因である。歯や唾液腺のウイルス・細菌によるものが代表的である。性状は腫脹、圧痛、発赤や熱感を伴う。可動性がある。ウイルス性の上気道症状は1~2週続くことが一般的だが、リンパ節腫脹は上気道症状改善後3~6週以内に治まってくることが多い。そのため、上気道症状改善後にも頸部腫脹が続くことで心配して受診する患者さんもいる。病原ウイルスはライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザが多い。生検が適応になるのは、4~6週経っても改善しなかったり、夜間の寝汗・発熱・体重減少・急速な腫瘤増大といった悪性を示唆する所見があったりする場合である。よって、この点について病状説明を行うべきと考える。細菌性感染では、頭部・頸部がフォーカスの場合に主に頸部リンパ節腫脹を来す。肺外結核も頸部リンパ節腫脹を起こす。びまん性、かつ両側性にリンパ節腫脹があり、多発し、可動性もなく、硬く圧痛もなく、胸鎖乳突筋より後ろの後頸三角地帯に存在していることが特徴である。疑えば、ツベルクリン反応を行うべきだが、結果が陰性だからといって否定はできない。亜急性週~月単位の経過で気付かれる。ある程度は急速に増大しうるが、無症候性に増大するため発症スタートの段階では気付かれない。成人で持続する無症候性の頸部腫瘤は、他の疾患が否定されるまでは悪性を考えるべきである。喉頭がんなどでは診断が遅れる事で生存率が下がるため、家庭医にとって頭頸部がんの一般的な症状については認識しておくことが最重要である。【悪性腫瘍】頭頸部の原発性悪性腫瘍で最も多いのは上気道消化管の扁平上皮がんである。よくある症状としては、改善しない潰瘍・構音障害・嚥下障害・嚥下時痛・緩いもしくは並びの悪い歯・咽頭喉頭違和感・嗄声・血痰・口腔咽頭の感覚異常がある。悪性疾患を示唆するリンパ節の性状は、硬い・可動性がない・表面不整であることが多い。上気道消化管がんのリスクファクターとしては、男性・アルコール・タバコ・ビンロウの実(betel nut:東南アジアではガムを噛むようによく使用されている)である。口腔咽頭がんのリスクファクターは頭頸部扁平上皮がんの家族歴・口腔衛生不良である。扁平上皮がんの一部はヒトパピローマウイルス感染との関連も指摘されている(とくにHPV-16がハイリスク)。病変は急速に腫大し、嚢胞性リンパ節(持続性頸部リンパ節過形成)、口蓋・舌扁桃の非対称性、嚥下障害、声の変化、咽頭からの出血といった症状を来す。集団としてリスクが高いのは、35歳~55歳の白人男性で喫煙歴・重度のアルコール常用者・多数の性交渉相手(とくにオーラルセックスを行っている場合)の存在である。唾液腺腫瘍の80%近くが良性であり、耳下腺由来である。これらの腫瘍は一側性で無症候性、緩徐に増大し可動性のある腫瘤である。一方、悪性腫瘍では、急速増大、可動性がなく、痛みを伴い、脳神経(とくにVII)も巻き込むという違いがある。黒色腫のような皮膚がんもまた局所のリンパ節に転移する。局所のリンパ節腫脹を説明しうる原発の頭頸部がんが存在しない場合、臨床医は粘膜に関わる部位(鼻・副鼻腔・口腔・鼻咽頭)の黒色腫を検索するべきである。まれに基底細胞がんや扁平上皮がんからの転移でリンパ節腫脹を来すこともある。発熱、悪寒、夜間寝汗、体重減少といった全身症状は遠隔転移を示唆しうる。頸部リンパ節腫脹を来す悪性腫瘍の原発部位は肺がん、乳がん、リンパ腫、子宮頸がん、胃食道がん、卵巣がん、膵がんが含まれる。頸部はリンパ腫の好発部位であり、無痛性のリンパ節腫脹で出現して急速に進行し、その後有痛性へと変わる。びまん性のリンパ節腫脹や脾腫よりも先に全身症状が出現することが多い。転移によるリンパ節腫脹と比べ、リンパ腫の性状は弾性軟で可動性がある。Hodgkinリンパ腫では二峰性の年齢分布(15~34歳、55歳以上)があり、節外に症状が出る事はまれである。Non-Hodgkinリンパ腫では高齢者で多く、咽頭部の扁桃輪のようにリンパ節外にも症状が出る。リウマチ性疾患では唾液腺腫大を来すのは3%、頸部リンパ節腫脹を来すのは4%存在する。唾液腺腫大や頸部リンパ節腫大を来すリウマチ性疾患にはシェーグレン症候群やサルコイドーシスがある。慢性小児期から存在する先天性腫瘤がほとんどで、緩徐に進行し成人になっても持続している。慢性の前頸部腫瘤の原因として最も多いのは甲状腺疾患であるが、進行が緩徐であることがほとんどである。びまん性に甲状腺腫大がみられた場合、バセドウ病・橋本病・ヨード欠乏による可能性があるが、甲状腺腫を誘発するリチウムのような物質曝露によるものも考える。傍神経節腫は神経内分泌腫瘍で、側頸部の頸動脈小体の化学受容体・頸静脈・迷走神経を巻き込む。通常無症候性だが、機能性になる時はカテコラミン放出の結果として顔面紅潮・動悸・高血圧を起こす。診断的検査は血漿もしくは24時間蓄尿でカテコラミン・メタネフリンを測定する事である。診断手段成人の持続する頸部腫瘤に対しては、まず造影CTを選択する。大きさ・広がり・位置・内容などに関して評価しうる初期情報が得られるためである。加えて、造影剤は腫大していない悪性リンパ節を同定する助けにもなり、血管とリンパ節の区別の一助になりうる。造影CTでの精査は頸部腫瘤の評価に対しては第1選択として推奨される。しかし、ヨードを用いた造影剤検査は甲状腺疾患の病歴のある、もしくは転移性甲状腺がんの心配のある患者へは避けるべきである。PET-CTは予備的診断として使用するには効果的でなく、悪性腫瘍の最終的な評価目的で使用すべきである。超音波検査はCTの代わり、もしくは追加で行われるとき、嚢胞性疾患と充実性疾患との区別に有用であり、結節の大きさや血流の評価にも有用である。CTと超音波の使い分けとして、より若年で放射線被曝を減らしたい場合に超音波を選択する。また、造影剤腎症を避けるために腎疾患が基礎疾患にある方へは造影剤使用を控える。FNAB(fine needle aspiration biopsy:穿刺吸引生検)については、施行に当たり重要な構造物を含んでいないことが確認できていれば進めていく。FNABでは、細胞診、グラム染色、細菌培養、抗酸菌培養を通じて得られる情報が多い。FNABでの悪性腫瘍診断については、感度77~97%、特異度93~100%である。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) James Haynes, et al. Am Fam Physician. 2015; 91: 698-706.

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糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、2つ以上の罹患歴があると…/JAMA

 糖尿病、脳卒中、心筋梗塞のうち2つ以上の罹患歴を有する場合を、心代謝性疾患の多疾病罹患(cardiometabolic multimorbidity)と呼ぶ。このような集団は、罹患歴がない場合に比べ死亡リスクが相乗的に増大することが、英国・ケンブリッジ大学のEmanuele Di Angelantonio氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)の研究グループの検討で示された。近年、心代謝性疾患の多疾病罹患の有病率が急速に上昇している。3疾患の個々の死亡リスクについては多数のエビデンスが存在するが、複数の疾患の罹患歴がある場合の生存に関するエビデンスはほとんどないという。JAMA誌2015年7月7日号掲載の報告。参加者約120万人、死亡数約13万5,000人のデータを解析 研究グループは、ERFCおよび英国Biobankのデータを用いて、心代謝性疾患の多疾病罹患が生存に及ぼす影響の評価を行った(英国医学研究審議会[MRC]などの助成による)。 ERFC(登録期間:1960~2007年、参加者:68万9,300人、91コホート、死亡数:12万8,843人、最新フォローアップ:2013年4月)の個々の患者データを用いて、年齢と性別で補正した死亡率およびハザード比(HR)を算出した。 次いで、ERFCから得られたHRを英国Biobank(登録期間:2006~10年、参加者:49万9,808人、死亡数:7,995人、最新フォローアップ:2013年11月)のHRと比較した。さらに、算出された死亡に対する年齢特異的HRを、米国の年齢特異的死亡率に適用することで累積生存率を推算した。 ERFCの参加者のベースラインの平均年齢は53±9歳、女性が51%であり、英国Biobankはそれぞれ57±8歳、55%であった。60歳時の余命が2疾患罹患で12年、3疾患では15年短縮 ERFCのうちベースライン時に糖尿病、脳卒中、心筋梗塞の罹患歴のない参加者(対照群)における性別で補正した年齢60歳時の死亡率は、1,000人年当たり6.8であった。 これに対し、糖尿病の罹患歴のある集団の1,000人年当たりの死亡率は15.6で、脳卒中は16.1、心筋梗塞は16.8であり、いずれも対照群の2倍以上となった。 さらに、糖尿病と心筋梗塞の双方の罹患歴がある場合の死亡率は32.0/1,000人年、糖尿病/脳卒中は32.5、脳卒中/心筋梗塞は32.8と、対照群の約5倍近くとなり、3疾患の罹患歴がある場合は59.5と約9倍近くにまで上昇した。 対照群と比較した全死因死亡のHRは、糖尿病の罹患歴がある集団では1.9(95%信頼区間[CI]:1.8~2.0)、脳卒中は2.1(2.0~2.2)、心筋梗塞は2.0(1.9~2.2)で、糖尿病/心筋梗塞は3.7(3.3~4.1)、糖尿病/脳卒中は3.8(3.5~4.2)、脳卒中/心筋梗塞は3.5(3.1~4.0)であり、3疾患すべての罹患歴がある場合は6.9(5.7~8.3)であった。 これらERFCで得られたHRは、登録の時期がより最近である英国BiobankのHRと類似していた。また、HRは、さらに脂質や収縮期血圧、BMI、喫煙、食事、社会経済的地位で補正しても、ほとんど変化しなかった。 60歳時の余命は、2つの疾患に罹患した場合は12年(男性:12年、女性:13年)短くなり、3疾患すべてに罹患すると15年(14年、16年)短縮すると推定された。また、男性の余命の短縮には心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞)の影響が大きかったのに対し、女性では糖尿病の関与が大きかった。 著者は、「糖尿病、脳卒中、心筋梗塞の罹患歴のある集団の死亡率は、個々の疾患でほぼ同じであった。これらの疾患の罹患歴が複数あると死亡率が相乗的に増大し、多疾病罹患者の余命は実質的に減少した」とまとめ、「これらの結果は、心血管疾患の1次予防と2次予防のバランスを取る必要があることを強調するものである」「ERFCは47年間の18ヵ国、91コホートの個々の参加者のデータに基づくことから、一般化の可能性は高いと考えられる」と指摘している。

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せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は

 冠疾患集中治療室(coronary care unit:CCU)入室患者において、せん妄の発生は、院内死亡率および1年死亡率の増大と関連していたことが、米国・メイヨークリニックのNiyada Naksuk氏らによる、過去10年の経験に基づく所見として報告された。これまで、せん妄患者に対する抗精神病薬治療の安全性は、ほとんど明らかになっていなかったが、ハロペリドールおよびクエチアピンの低用量投与は、注意深いモニタリング下にあった患者においては突然死、院内死亡、1年死亡のリスク増大はみられず、安全であると思われたことも報告している。European Heart Journal: Acute Cardiovascular Care誌オンライン版2015年6月29日号の掲載報告。 研究グループは2004~2013年の間に、CCU入室連続患者のスクリーニング時に事前調査としてConfusion Assessment Method-Intensive Care Unit(CAM-ICU)評価を行い、死亡について前向きに確認し、CCU患者におけるせん妄および抗精神病薬の影響を調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は1万1,079例で、せん妄発生率は8.3%(925例)であった。・せん妄は、院内死亡リスクの増大(補正後オッズ比[OR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.08~2.08、p=0.02)、CCU生存退室した患者における1年死亡リスクの増大(同:1.46、1.12~1.87、p=0.005)と関連していた。・ハロペリドールを投与(5mg/日、四分位範囲[IQR]:3~10)またはクエチアピンを投与(25mg/日、IQR:13~50)された総計792例のうち、せん妄を有していた患者は244例であった。・せん妄を呈した患者の臨床的特徴について、抗精神病薬投与の有無で差はみられなかった。ベースライン修正QT(QTc)間隔は、投与群457±58ms vs.非投与群459±60msであった(各々p=0.65)。・平均QTc間隔は、ベースラインとの比較で、抗精神病薬初回投与後、同3回投与後も有意な延長は認められなかった。ハロペリドール投与群の各平均値は448±56、458±57、450±50ms、クエチアピン投与群は470±66、467±68、462±46msであった(すべてのp>0.05)。・さらに、院内死亡率(補正後OR:0.67、95%CI:0.42~1.04、p=0.07)、心室性不整脈(同:0.87、0.17~3.62、p=0.85)、院内生存者の1年死亡率(同:0.86、0.62~1.17、p=0.34)は、せん妄患者において、抗精神病薬投与の有無による差はみられなかった。関連医療ニュース せん妄管理における各抗精神病薬の違いは 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬 せん妄治療はICU患者の死亡率に影響するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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変形性膝関節症と死亡リスク、アジア人でも関連?

 これまでの研究において、変形性膝関節症(膝OA)は白人の死亡率増加と関連していることが示されている。膝OAの有病率は白人より中国人で高いが、中国人において膝OAと死亡率との関連を調べた研究はないことから、中国・北京大学人民医院のLiu Qiang氏らは農村の住民を対象に調査を行った。その結果、症候性膝OAを有している場合、全死亡のリスクが高まることが明らかとなった。Osteoarthritis and Cartilage誌2015年7月号(オンライン版2015年3月25日号)の掲載報告。 研究グループは、2005年8月〜10月に、呉川(中国)の50歳以上の住民から無作為抽出した1,025例を登録し、2013年末まで追跡した。 X線検査で脛骨大腿関節半屈曲立位正面像および膝蓋大腿関節軸射像を撮影し、脛骨大腿関節のケルグレン/ローレンススコアが2以上または膝蓋大腿関節の変形(OARSI基準による)が存在した場合、X線学的OA(膝ROA)と定義した。また、膝痛(過去1ヵ月ほぼ毎日)があり、その膝がROAであることが認められた場合、症候性膝OA(膝SxOA)と定義した。 膝ROAおよび膝SxOAと全死亡との関連を、潜在的交絡因子で調整したCOX比例ハザードモデルを用いて解析した。主な結果は以下のとおり。・追跡調査期間中の死亡は99例であった。・死亡率(/1,000人年)は、膝SxOAあり群は32.6(95%信頼区間[CI]:19.6~54.0)、なし群は10.9(同:8.8~13.5)であった。・膝SxOAあり群では、全死亡の多変量補正後ハザード比が1.9(95%CI:1.0~3.5)であった。・膝ROAについては、全死亡との関連は認められなかった(ハザード比:1.2、95%CI:0.7~1.9)。

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地中海食と認知機能の関連をRCTで検討

 酸化ストレスおよび血管障害は、加齢による認知機能低下に関連する。疫学的研究では、抗酸化物質に富み心疾患を予防するという地中海食が、認知機能の低下を遅らせると示唆されているが、臨床試験でのエビデンスはない。スペインInstitut d'Investigacions Biomediques August Pi SunyerのCinta Valls-Pedret氏らは、地中海食が、対照群と比較し、高齢者の認知機能に影響するかどうか調査した。その結果、オリーブオイルやナッツを加えた地中海食は認知機能の改善に関連していた。JAMA Internal Medicine誌2015年7月号に掲載。 本試験は、並行群間無作為化臨床試験であり、スペイン・バルセロナにおける認知機能が正常かつ心血管リスクが高いボランティア447人(女性233人[52.1%]、平均年齢66.9歳)が、2003年10月1日~2009年12月31日にPrevencion con Dieta Mediterranea栄養介入試験に参加した。すべての患者は、最初に神経心理学的検査を受け、試験終了時に再検査を受けた。 参加者は、エキストラバージンオリーブオイル(1L/週)を加えた地中海食、あるいはミックスナッツ(30g/日)を加えた地中海食、あるいはコントロール食(対照群:食事性脂肪を減らすためのアドバイスを実施)の3群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、一連の神経心理テスト(Mini-Mental State Examination、Rey Auditory Verbal Learning Test [RAVLT]、Animals Semantic Fluency、Digit Span subtest from the Wechsler Adult Intelligence Scale、Verbal Paired Associates from the Wechsler Memory Scale、the Color Trail Test)に基づいた経時的認知機能の変化率とした。また、記憶機能、前頭葉機能(注意、遂行機能)、認知機能全般の3つの認知機能因子を構成する各テストでの変化の平均zスコアを使用した。 主な結果は以下のとおり。・介入期間(中央値4.1年)後、334例でフォローアップの再検査が可能であった。・交絡因子を補正した多変量解析では、地中海食+オリーブオイル群が、対照群と比較し、RAVLT(p=0.049)とthe Color Trail Test part 2(p=0.04)でスコアが良かった。他の認知テストでは、群間差は認められなかった。・同様に補正した後、記憶機能因子におけるベースラインからの変化(平均zスコアと95%CI)は、地中海食+オリーブオイル群では0.04(-0.09~0.18)、地中海食+ナッツ群では0.09(-0.05~0.23、p=0.04 vs.対照群)、対照群では-0.17(-0.32~-0.01)であった。・前頭葉機能の因子におけるベースラインからの変化は、それぞれ0.23(0.03~0.43、p=0.003 vs.対照群)、0.03(-0.25~0.31)、-0.33(-0.57~-0.09)であった。・認知機能全般の因子におけるベースラインからの変化は、地中海食+オリーブオイルでは0.05(-0.11~0.21、p=0.005 vs.対照群)、地中海食+ナッツでは-0.05(-0.27~0.18)、対照群では-0.38(-0.57~-0.18)であった。・対照群では、すべての認知機能要素がベースラインから有意に(p<0.05)減少した。

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日本のタバコ政策はチグハグ!

日本のタバコ政策はチグハグ!たばこ事業法第一条タバコ規制枠組条約(FCTC)前文この法律は、…(中略)…我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。タバコ産業の発展を掲げる国内法この条約の締約国は、…(中略)…、タバコによる害の広がりが公衆の健康に深刻な影響を及ぼす世界的な問題であること、…(中略)…タバコの需要を減少させる戦略の成功による長期的な社会的及び経済的影響に取り組むため適当な仕組みを設ける必要性を認識し、…(外務省訳より抜粋 2004年批准 2005年発効)VSタバコ需要の減少を目指す国際条約社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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双極性障害と心血管疾患の関係性

 米国・メイヨークリニックうつ病センター(Mayo Clinic Depression Center)のMiguel L Prieto氏らは、精神病の既往や心血管疾患(CVD)リスク因子といった双極性障害の臨床的特徴が、双極性障害患者におけるCVDリスクに関与するかどうかを調査する目的で横断研究を実施した。その結果、精神病性双極性障害の表現型が心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性があることが明らかにされた。Bipolar Disorder誌オンライン版2015年6月9日号の掲載報告。 対象は、DSM-IV-TR構造化面接(SCID)によって確認された双極I型/II型障害、または統合失調感情障害双極型の患者988例であった。心疾患の重症度判定も含む13項目からなるCumulative Illness Severity Rating Scale(CIRS)を使用し、合併症についてカルテに基づき評価した。スコア1(現在は軽度または過去に重大の問題があった)または心臓に関する項目で点数の高い患者と、スコア0(障害なし)の患者とを比較するロジスティック回帰分析を行った。 結果は以下のとおり。・多変量モデルにおいて、年齢(オッズ比[OR]:3.03、95%信頼区間[CI]:1.66~5.54、p<0.0001)、高血圧(同:2.43、1.69~3.55、p<0.001)、精神病の既往(同:1.48、1.03~2.13、p=0.03)はCVDと有意な関連がみられた。・文献から得られたCVD危険因子を分析に加えた場合、CVDとの関連は年齢(OR:3.19、95%CI:1.67~6.10、p=0.0005)および高血圧(同:2.46、1.61~3.76、p<0.01)は有意なままであったが、精神病(同:1.43、0.96~2.13、p=0.08)は有意傾向であった。 結果を踏まえ、著者らは「精神病性双極性障害の表現型が、心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性がある。今後は、この関連にうつ病の疾病負荷やライフスタイル、非定型抗精神病薬による治療がどう影響しているかを検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は  担当者へのご意見箱はこちら

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アトピー乳児、喘息発症リスクが高いのは?

  アトピー性皮膚炎(AD)は喘息や他のアトピー性疾患に先行して発症することが知られる。“アレルギーマーチ”と呼ばれるこれらの発症順序は必ずしも決まっておらず、乳幼児が喘息を発症するリスクについて取り組んだ研究は少ない。フランス・パリ公立アルマン・トゥルソー小児病院のFlore Amat氏らは、生後12ヵ月未満のAD患者を6歳まで追跡したObservatory of Respiratory risks linked with Cutaneous Atopy(ORCA)研究データを解析し、早期発症AD乳児において複数感作あるいは喘息家族歴を認める場合は、幼児期に喘息の発症リスクが高いことを明らかにした。PLoS One誌オンライン版2015年6月24日号の掲載報告。 研究グループは、喘息に発展する恐れのある早期発症ADの表現型を特定することを目的に、ORCA研究に登録された乳児214例についてクラスター分析を行った。  ORCA研究は、皮膚科医によりADと確定診断され、喘鳴の既往がない生後12ヵ月未満の乳児を6歳まで追跡し、AD、アレルギーおよび喘息について毎年調査した研究である。 主な結果は以下のとおり。・次の3つのクラスターが同定された。・クラスター1は「低感作AD群」(94例)。食物または空気アレルゲンへの感作なし~低度(それぞれ27.7%および10.6%)、AD重症度は中等度(SCORAD 25.29±14.6)。・クラスター2は「複数感作AD群」(84例)。AD重症度が高く(SCORAD 32.66±16.6)、食物または空気アレルゲンへの感作も高く(それぞれ98.6%および26.2%)、複数の食物アレルゲンに感作されている(96.4%)。・クラスター3は「喘息家族歴があるAD群」(36例)。親が喘息の既往歴を有し、AD重症度は中等度(SCORAD 24.46±15.7)、食物アレルゲン(1つ)への感作は中等度(38.9%)、空気アレルゲンへの感作はない。・6歳時点で喘息に罹患していた小児の割合は、クラスター1(14.9%)に比べてクラスター2および3で高かった(それぞれ36.1%および33.3%、p<0.01)。

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臭いがないから大丈夫?

臭いがないから大丈夫?受動喫煙の本質的な問題は健康被害です。単なる臭いによる迷惑ではないのです。タバコ煙に含まれる有害物質の中には、無味・無臭・無色のものも含まれています。臭いがなくても、害がないとは言えません。また、煙の色が見えなくても、害がないとは言えません。消臭スプレーや空気清浄機は、臭いや色を消しているだけです。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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胃がん切除予定例のピロリ除菌はいつすべき?

 マーストリヒト・アジア太平洋コンセンサスガイドラインでは、胃がんの既往のある患者へのHelicobacter pyloriの除菌を強く推奨している。がん研有明病院の本多 通孝氏らは、胃切除術を受ける患者への適切な除菌のタイミングを検討するため、オープンラベル単一施設無作為化比較試験を実施した。その結果、術前群と術後群で除菌成功率が同等であり、著者らは、「胃切除を予定している胃がん患者は、予定されている再建術式に関係なく、術前の除菌は必要ない」と結論している。Journal of the American College of Surgeons誌オンライン版2015年4月8日号に掲載。 著者らは、胃切除術を受ける予定の150例について、術前除菌群もしくは術後除菌群のいずれかに割り付けた。除菌治療のレジメンは、一般的な3剤併用療法(ランソプラゾール、アモキシシリン、クラリスロマイシン)で実施した。術前群では、除菌治療後に手術を実施、術後群ではDay8に実施した。 主要評価項目は、残胃で除菌成功を達成した患者の割合であった。除菌成功の定義は、術後6ヵ月時点でC13尿素呼気試験および便中抗原とも陰性の場合とした。 主な結果は以下のとおり。・8例を除き、術前群70例と術後群72例の計142例をITT解析に含めた。・胃切除術はそれぞれ、ビルロートI法が18例、ルーワイ法が70例、幽門保存胃切除術が57例であった。・除菌成功例の割合は、術前群と術後群でそれぞれ68.6%対69.4%(p=1.000)で、2群間でほぼ同等であった。・再建術式におけるサブグループ分析でも有意差は認められなかった。

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2型糖尿病、男性では膝OAの有意な予測因子に

 最近の研究では、肥満、糖尿病、高血圧および脂質異常症といった代謝因子やそれらの集積であるメタボリックシンドロームが、変形性膝関節症(膝OA)の病態生理に関与している可能性が示唆されている。フランス・AP-HP Henri Mondor HospitalのFlorent Eymard氏らは、膝OA患者を対象としたstrontium ranelateの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(SEKOIA試験)におけるプラセボ群について解析し、2型糖尿病が男性膝OA患者における関節裂隙狭小化の予測因子であることを報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2015年6月号(オンライン版2015年2月3日号)の掲載報告。 試験は、50歳以上の症候性膝OA患者559例(SEKOIA試験のプラセボ群:平均年齢62.8歳、女性392例)を対象に行われた。 試験開始時および1年ごとに3年間、単純X線検査を行い脛骨大腿関節の内側コンパートメントの最小関節裂隙幅を自動計測し、代謝因子などのX線学的進行に及ぼす影響を調査した。 糖尿病、高血圧および脂質異常症の有無は試験開始時の問診により確認し、BMI 30超を肥満、4つの代謝因子のうち3つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと定義した。主な結果は以下のとおり。・対象559例中、43.8%が肥満、6.6%が2型糖尿病、45.1%が高血圧、27.6%が脂質異常症、13.6%がメタボリックシンドロームを有していた。・関節裂隙狭小化(最小関節裂隙幅の年平均低下)は、2型糖尿病合併患者が非合併患者より有意に大きかった(0.26mm vs.0.14mm、p=0.001)。・この関連は、性別、年齢、BMI、高血圧および脂質異常症に関して調整した後も有意なままであった(p=0.018)。・サブグループ分析の結果、2型糖尿病は女性ではなく男性において関節裂隙狭小化の有意な予測因子であることが示された。・他の代謝因子およびメタボリックシンドロームは、関節裂隙狭小化と関連していなかった。

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ワインアレルギー、原因はタンパク質への感作か

 ドイツで行われた先行調査において、無作為抽出された4,000例のうち、回答があった948例中68例(7.2%)がワイン不耐症あるいは飲酒後のアレルギー様症状発現を報告したことが判明している。この報告を踏まえてドイツ・マインツ大学のNadine Jaeckels氏らは、ワインの製造過程で含まれる他の成分や清澄剤ではなく、ワイン不耐症の間接原因としてブドウ由来のタンパク質に対するIgEに焦点を当て、ワインタンパク質への感作をアレルギー検査などで確認できるかを検討した。その結果、ブドウおよびワインタンパク質に対する感作が観察され、交差反応性炭水化物抗原決定基(CCD)の関与も示唆された。著者は「今後、さらに大きなコホートで検討する必要がある」とまとめている。Clinical and Translational Allergy誌2015年6月22日号の掲載報告。 本検討はパイロットスタディであった。自己申告によるワイン不耐症者19例と非不耐症者10例(対照群)が参加した。 さまざまなブドウおよびブドウ製品を用いて皮膚プリックテストを行い、ImmunoCAPを用いてアレルゲン特異的IgE抗体を測定し、細胞抗原刺激試験(CAST)を行うとともに、各種タンパク質に対するIgE抗体の反応性をImmunoBlot法で調べた。 主な結果は以下のとおり。・7例(うち1例は対照群)が、ワインまたはブドウ抽出物に対するIgE感作が認められた。・不耐症者の1例は、皮膚プリックテスト陽性(赤ブドウ)、ImmunoCAP陽性(ブドウ)、CAST陽性およびImmunoBlot陽性(モモ、赤ブドウ、白ブドウおよびワインタンパク質)を示した。・さらに、この参加者の血清にCCD阻害薬をあらかじめ添加した後にImmunoBlotを行うと、ブドウタンパク質に対する反応が完全に消失した。

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高齢者は血圧低下が腎機能低下のリスクに

 ベルギー・ルーヴァンカトリック大学のBert Vaes氏らは、高齢者における静的および動的な血圧と腎機能の変化の関係について検討した。その結果、チャールソン併存疾患指数(mCCI)およびベースライン時の腎機能・血圧を調整すると、すべての年齢層において、血圧の経年的低下が腎機能低下における強力な危険因子であることが示された。BMJ open誌2015年6月30日号に掲載。 著者らは、60歳以上の患者を3つの年齢層で分け、10年間(2002~2012年)の後ろ向きコホート研究を実施した。この研究は、定期的に患者データを提出している55医院の一般開業医97名によるプライマリケア登録ネットワークにより実施された。 すべての患者(8,636例)において、2002年中に少なくとも1回血圧を測定し、その後少なくとも4回の血清クレアチニン測定を行った。ベースライン時にmCCIを登録し、2002年以降、収縮期血圧(SBP)・拡張期血圧(DBP)・脈圧の変化を算出した。腎機能の変化とベースライン時血圧および血圧変化との関係については、線形およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。主要アウトカムである推算糸球体濾過量(eGFR、MDRD:Modification of Diet in Renal Disease equation)の傾きは最小二乗法により算出した。また、急速な腎機能低下は3mL/分/1.73m2/年以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・1,130例(13.1%)で急速な腎機能低下が認められた。・60~79歳の参加者では、ベースライン時のSBPと脈圧の高さが腎機能低下と関連した。・80歳以上の参加者では、ベースライン時の血圧と腎機能低下に相関関係はみられなかった。・SBPおよび脈圧の年間1mmHg以上の減少は、ベースライン時の血圧とmCCIに関係なく、すべての年齢層で急速な腎機能低下の強力な危険因子であった。・60~79歳の参加者では、DBPの低下も強力な独立予測因子であった。

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骨髄性プロトポルフィリン症、afamelanotideの第III相試験/NEJM

 骨髄性プロトポルフィリン症はまれな遺伝性疾患で、急性の光毒性を伴う重度の光線過敏症を呈し、きわめて強い疼痛がみられQOLが著明に低下する。オランダ・エラスムス医療センターのJanneke G Langendonk氏らは、afamelanotideが本症の症状を軽減し、忍容性も良好であることを確認し報告した。本症の光線過敏症は、プロトポルフィリンをヘムへ変換する合成酵素であるフェロケラターゼの活性低下に起因する。afamelanotideはヒトαメラノサイト刺激ホルモンのアナログで、メラノサイトなどの皮膚細胞のメラノコルチン1受容体に結合するトリデカペプチドであり、紫外線放射によってメラニン産生が刺激された際に生じる紫外線による細胞障害を起こすことなく、表皮のユーメラニン産生を増加させるという。NEJM誌2015年7月2日号掲載の報告より。欧米の2件の無作為化試験で疼痛なしの直射日光曝露時間を評価 研究グループは、骨髄性プロトポルフィリン症に対するafamelanotideの安全性と有効性を評価する2件(欧州、米国)の多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した(Clinuvel Pharmaceuticals社などの助成による)。患者の適格基準は2つの試験で同じとし、対象は年齢18歳以上、生化学的検査で本症が確定された患者であった。 被験者は、afamelanotide 16mgまたはプラセボを60日ごとに皮下に埋め込む治療を施行する群に無作為に割り付けられた。欧州の試験では合計5回(0、60、120、180、240日)、米国の試験では3回(0、60、120日)の皮下埋め込み治療が行われた。 欧州試験は270日、米国試験は180日の試験期間を通じて、日光曝露のタイプとその期間、光毒性反応の回数と重症度、有害事象が記録された。QOL評価は本症での妥当性が確認された質問票を用いて行われた。疼痛と光毒性反応の評価にはリッカート・スケールが用いられた。有効性の主要エンドポイントは、疼痛を伴わない直射日光への曝露時間とした。2つの試験の主要な結果はほぼ一致 167例(欧州試験:74例、米国試験:93例)が解析の対象となった(afamelanotide群:86例、プラセボ群:81例)。欧州試験のafamelanotide群が38例(平均年齢38.3±13.0歳、試験完遂率89%)、プラセボ群は36例(38.6±11.6歳、94%)、米国試験はそれぞれ48例(40.4±12歳、96%)、45例(39.1±16.2歳、93%)だった。 米国試験では、6ヵ月後の疼痛を伴わない曝露時間中央値は、afamelanotide群が69.4時間と、プラセボ群の40.8時間に比べ有意に長かった(p=0.04)。欧州試験でも、9ヵ月後の疼痛を伴わない曝露時間中央値が、afamelanotide群は6.0時間であり、プラセボ群の0.8時間よりも長かった(p=0.005)。 光毒性反応の回数は、米国試験の6ヵ月後の評価ではafamelanotide群が46回、プラセボ群は43回であり有意な差は認めなかった(p=0.60)が、欧州試験の9ヵ月後の評価ではそれぞれ77回、146回であり、afamelanotide群で有意に少なかった(p=0.04)。 QOL評価は各投与日の投与前および試験期間最終日に行われた(米国試験は360日にも評価した)。両試験とも、全般に試験期間を通じて経時的にQOLが改善する傾向がみられ、欧州試験では120日(p=0.005)、180日(p=0.03)、240日(p=0.01)にafamelanotide群で有意に良好であったが、270日には240日よりも低下し、両群間の有意差は消失した(p=0.06)。 米国試験では、60日(p<0.001)、120日(p<0.001)、180日(p=0.02)にafamelanotide群でQOLが有意に改善したが、360日(最終投与後240日)にはむしろafamelanotide群で低い傾向がみられた。 有害事象は全般に軽度~中等度で、最も頻度の高いものは両群とも頭痛、悪心、鼻咽頭炎、背痛であった。重篤な有害事象がafamelanotide群の4例、プラセボ群の2例に認められたが、いずれも治療には関連しないと判定された。死亡例はなかった。 著者は、「欧州の5回投与9ヵ月試験と米国の3回投与6ヵ月試験で主な結果はほぼ一致していた。afamelanotideの副作用と有害事象プロファイルは忍容可能であり、疼痛を伴わない日光曝露時間が延長し、QOLが改善した」としている。

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メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか

 統合失調症や双極性障害患者における長期のベンゾジアゼピン使用について、徐放性メラトニンを使用することで容易な離脱を促すかどうか、デンマーク・コペンハーゲン大学のLone Baandrup氏らは検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2015年6月18日号の報告。 24週間のランダム化プラセボ対照並行優越性試験。対象者を、徐放性メラトニン群(2mg/日)とプラセボ群に無作為に振り分け、通常のベンゾジアゼピン用量から連続的に漸減を行った。主要転帰は、24週後のベンゾジアゼピン1日投与量とした。副次的転帰は、ベンゾジアゼピン投与量の経時的パターン、中止率、離脱症状とした。 主な結果は以下のとおり。・86例(21~74歳)がエントリーされ、徐放性メラトニン群42例、プラセボ群44例に無作為に振り分けた。・24週時の平均ベンゾジアゼピン投与量は、両群間で有意な差が認められなかった(徐放性メラトニン群:8.01mg、プラセボ群:5.72mg[ジアゼパム換算]、平均差:-2.29、95%CI:-5.78~1.21、p=0.20)。・ベンゾジアゼピン中止率は、徐放性メラトニン群38.1%(16/42例)、プラセボ群47.7%(21/44例)であった(OR:0.64、95%CI:0.26~1.56、p=0.32)。・徐放性メラトニンは、ベンゾジアゼピンの離脱症状に影響を及ぼさなかった。 著者らは「ベンゾジアゼピン投与量は、漸減24週間後において、両群ともに比較的低い値であった。本研究では、徐放性メラトニンにより、ベンゾジアゼピン中止を容易にすることはできなかった」としている。関連医療ニュース ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか ベンゾジアゼピン処方、長時間型は大幅に減少  担当者へのご意見箱はこちら

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爆発的に増えた血糖降下薬のRCT論文、著者の特徴は/BMJ

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのFrits Holleman氏らは、血糖降下薬の刊行論文が、一部少数の論文多産著者(supertrialists)によるものなのかどうか、および彼らによる論文の特徴を調べた。その結果、過去20年の無作為化試験(RCT)論文の3分の1は、製薬メーカーの社員(44%)とメーカーと密接に仕事をする大学研究者(56%)により執筆されたものであることを明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年7月1日号掲載の報告。論文多産著者上位110人および11人を特定し、その論文の特徴を精査 研究グループはPubMedで、1993年1月1日~2013年12月31日の間に発表された血糖降下薬に関連したあらゆるRCT論文を検索した。次にPubReMinerを用いて、論文多産著者上位110人、および11人を特定し、彼らが発表したRCT論文について、総著者数、企業スポンサー、メーカー社員著者、利益相反(conflicts of interest)などのさまざまな特徴について調べた。 主要評価項目は、トップ110人およびトップ11人による発表論文の割合とした。論文多産トップ110人のうち48人は製薬メーカー社員 検索により、1万3,592人の著者による3,782本の論文が特定された。 そのうち1,227本(32.4%)に、トップ110人の名前が記されていた。また397本(10.5%)に、トップ11人の名前が記されていた。 トップ110人による発表RCTは991本であった。1人当たりの発表RCTは中央値20本(範囲:4~77)であった。また、トップ11人による発表RCTは354本で、1人当たりの発表RCTは中央値42本(範囲:36~77)であった。 トップ110人のうち48人は、製薬メーカーの社員であった。また、991本のRCTのうち906本のスポンサーが企業によるものであった。 利益相反の評価は704本について行った。そのうち完全な独立性が保たれていると思われたのは42本(6%)であった。 また、991本のRCTにおいて、執筆の補佐者(Medical writing assistance)が439本(44.3%)で確認された。 これらの結果を踏まえて著者は、「過去20年間で、血糖降下治療に関する臨床試験の発表数が爆発的に増大していた。また一部の著者による治療エビデンスへの過度な貢献が認められた。すなわち、糖尿病の血糖降下薬治療におけるRCTのエビデンスのうち3分の1は、1%に満たない著者により執筆されたものであり、それら執筆者のうち44%が製薬メーカーの社員であり、56%は製薬メーカーと密接に仕事をする大学研究者であった」とまとめている。

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