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携帯灰皿では煙まで回収できない!

携帯灰皿では煙まで回収できない! 禁煙エリアで、携帯灰皿を利用して喫煙する人がいます。 携帯灰皿で吸い殻は回収できても、煙までは回収できません。 禁煙エリアは、受動喫煙を防止するための場所です。吸い殻だけの問題ではありません。携帯灰皿を使っても、禁煙エリアでは喫煙禁止!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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持続性AFへのアブレーション、標準法に軍配

 持続性心房細動(AF)に対するアブレーションの成績は発作性AFと比べて劣る。近年、AFがローター(rotor:旋回)と呼ばれる渦巻きによって維持されるという理論に基づき、そのローターの部位を特定し焼灼するFIRM(focal impulse and rotor modulation)ガイド下アブレーションが注目されているが、最近その有効性を疑問視する報告が相次いでいる。今回、持続性AFに対してFIRMアブレーションと肺静脈隔離術や従来の標準的アブレーションとを比較した前向き無作為化試験の結果が、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2016年4月28日号に掲載された。FIRMアブレーション vs. FIRM+肺静脈隔離 vs. 肺静脈隔離+後壁+トリガーアブレーション 米国とドイツの3施設で持続性または長期持続性AF患者113例をFIRMアブレーション(グループ1)、FIRMアブレーションと肺静脈隔離(グループ2)、そして肺静脈隔離、後壁に加えて肺静脈以外のトリガーとなる心房頻拍や心房性期外収縮をターゲットとしたアブレーション(グループ3、一般的に広く行われている方法)に1:1:1に無作為に振り分けた。主要評価項目はAFおよび心房頻拍の再発の抑制。FIRMアブレーション実施の2群、手技時間が有意に長く再発率も有意に高い グループ1~3の手技時間はそれぞれ222±49分、233±48分、131±51分であり、FIRMアブレーションを実施した2群の手技時間がグループ3より有意に長かった(p<0.001)。 FIRMアブレーションを使用したグループ1と2でのrotorのみ焼灼後の心房細動の停止は、それぞれ12例(41%)と11例(26%)に認められた。追跡期間(中央値12±7ヵ月)中、AFおよび心房頻拍の再発が認められなかったのは、それぞれ4例(14%)、22例(52.4%)、32例(76%)であり、一般的に広く行われている手法のグループ3がFIRMアブレーションを使用した2群よりも有意に優れていた。当初の報告よりも悪い結果 FIRMアブレーション使用群での洞調律の維持率(グループ1:14%、グループ2:52.4%)は、当初報告されたFIRMアブレーションの成績(80~82%)に比べてもかなり低いものであった。今回の試験では、一般的に広く行われている肺静脈隔離+後壁、トリガーアブレーションが最も有効であったと結論付けている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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喫煙歴+呼吸器症状は呼吸機能悪化のリスク/NEJM

 呼吸機能保持が認められる現在・元喫煙者で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診断基準を満たさなくとも呼吸器症状がある人は、ない人に比べ、呼吸機能が悪化する割合が高く、活動制限や気道疾患の所見がみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPrescott G. Woodruff氏らが行った、2,736例を対象とした観察試験の結果、示された。COPDの診断は、気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーによる検査で1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)が0.70未満の場合とされている。しかし、この定義を満たさなくとも多くの喫煙者で呼吸器症状が認められており、研究グループはその臨床的意味について検討を行った。NEJM誌2016年5月12日号掲載の報告より。CATスコア10以上を呼吸器症状ありと定義 研究グループは、現在喫煙者および喫煙歴のある人(元喫煙者)と、喫煙歴のない人(非喫煙者;対照群)、合わせて2,736例を対象に観察試験を行った。COPD評価テスト(CAT、スコア0~40で評価)を実施して、スパイロメトリーによる検査で呼吸機能が保持されている人について、呼吸器症状がある人(CATスコアが10以上:有症状群)はない人(CATスコアが10未満;無症状群)と比べ、呼吸増悪のリスクが高いかどうかを検証した。 呼吸機能保持の定義は、気管支拡張薬投与後のFEV1/FVCが0.70以上で、FVCが正常下限値を上回る場合とした。また、有症状群と無症状群の、6分間歩行距離、肺機能、胸部の高分解能CT画像所見の違いの有無を調べた。呼吸機能保持の現在・元喫煙者の半数が呼吸器症状あり 追跡期間の中央値は、829日だった。その結果、呼吸機能が保持されている現在・元喫煙者の50%で、呼吸器症状が認められた。 平均年間呼吸機能悪化率は、有症状の現在・元喫煙者0.27(SD:0.67)、無症状の現在・過去喫煙者は0.08(同:0.31)であり、対照群の非喫煙者の0.03(同:0.21)と比べ、いずれも有意に高率だった(両比較においてp<0.001)。 また、有症状の現在・元喫煙者は、喘息既往の有無を問わず、無症状の現在・過去喫煙者に比べ、活動制限が大きく、FEV1、FVCや最大吸気量の値がわずかだが低く、高分解能CTで肺気腫は認めなかったが、気道壁肥厚がより大きかった。 有症状の現在・元喫煙者の42%が気管支拡張薬を、また23%が吸入ステロイド薬を使用していた。著者は「有症状の現在・元喫煙者はCOPD基準を満たしていなくとも、呼吸機能の悪化、活動制限、気道疾患の所見が認められた。また、エビデンスがないままに多様な呼吸器疾患薬物治療をすでに受けていた」とまとめている。

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脳卒中/TIA患者へのticagrelor vs.アスピリン/NEJM

 虚血性脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の患者に対し、P2Y12受容体拮抗薬ticagrelor(国内未承認)を90日間投与しても、脳卒中や心筋梗塞、死亡の発生リスクは、アスピリンを投与した場合と同等であることが示された。米国・テキサス大学のS.Claiborne Johnston氏らが、33ヵ国1万3,000例超を対象に行った国際多施設共同無作為化二重盲検対照試験SOCRATESで明らかにした。ticagrelorはアスピリンと比べて、急性脳虚血を呈した患者において脳卒中の再発および心血管イベントの予防に、より有効な抗血小板療法とされていた。NEJM誌オンライン版2016年5月10日号掲載の報告より。非重症の虚血性脳卒中または高リスクTIAの患者を対象に試験  SOCRATES試験は2014年1月~2015年10月に33ヵ国674ヵ所の医療機関を通じて、非重症の虚血性脳卒中または高リスクTIAを発症し、静脈内または動脈内血栓溶解術を受けておらず、また心原性脳塞栓症は発症していない患者1万3,199例を対象に行われた。 研究グループは、発症後24時間以内に被験者を無作為に2群に分け、一方にはticagrelor(初日は180mg、その後90日まで90mgを1日2回)を投与し、もう一方にはアスピリン(初日は300mg、その後90日まで1日1回100mg)をそれぞれ投与した。 主要評価項目は、90日以内の脳卒中、心筋梗塞または死亡の発生だった。90日時点の複合アウトカムは同等、虚血性脳卒中の発症率も同等 その結果、90日間の主要評価項目の発生率は、ticagrelor群が6.7%(6,589例中442例)、アスピリン群が7.5%(6,610例中497例)と、両群間に有意差は認められなかった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.78~1.01、p=0.07)。 また、虚血性脳卒中の発症率も、それぞれ5.8%(385例)、6.7%(441例)と、両群で同等だった(ハザード比:0.87、同:0.76~1.00)。 主な有害事象の発生も両群で有意差はなく、大量出血がticagrelor群で0.5%に対しアスピリン群0.6%、頭蓋内出血はそれぞれ0.2%、0.3%、致死的出血はいずれも0.1%で認められた。

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閉経後の飲酒増による乳がんと心疾患リスク

 閉経後5年間で飲酒量が増加した女性は、変化のない女性と比べて、乳がんリスクが増加し冠動脈疾患リスクは減少する、という結果が前向きコホート研究で示された。BMJ誌2016年5月11日号に掲載。 南デンマーク大学のMarie K Dam氏らは、デンマークの2つの連続した試験(1993~98年、1999~2003年)におけるDiet, Cancer, and Health Studyに参加した閉経後女性2万1,523人を対象に、1993~2012年に前向きコホート試験を実施した。アルコール摂取量は参加者が記入したアンケートで調べた。主な評価項目は、11年の追跡期間における乳がんおよび冠動脈疾患の発症率、ならびに全死因死亡率。デンマークにおけるがん登録、退院登録、死亡原因登録、国民共通番号登録より情報を得た。また、Cox比例ハザードモデルを使用して、5年間のアルコール摂取量の変化に応じたハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中、乳がんが1,054例、冠動脈疾患が1,750例に発症し、2,080例が死亡した。・3次スプラインを用いた5年間のアルコール摂取量変化の分析モデルにより、5年間にアルコール摂取量が増えた女性は摂取量が一定であった女性より、乳がんリスクは高く、冠動脈疾患リスクは低いことが示された。・エタノール12gを1杯とすると、たとえば、アルコール摂取量が週に7杯または14杯(1日当たり1杯または2杯に相当)増加した女性の場合、一定の摂取量だった女性に比べた乳がんのハザード比は、年齢・教育・BMI・喫煙・地中海式ダイエットのスコア・出産歴の有無・出生児数・ホルモン補充療法の調整後、それぞれ1.13(95%信頼区間:1.03~1.23)と1.29(同:1.07~1.55)であった。冠動脈疾患における上記のハザード比は、年齢・教育・BMI・地中海式ダイエットのスコア・喫煙・身体活動・高血圧・高コレステロール・糖尿病の調整後、それぞれ0.89(同:0.81~0.97)と0.78(同:0.64〜0.95)であった。・5年間でアルコール摂取量が減少した女性においては、乳がんや冠動脈疾患リスクとの有意な関連はみられなかった。・アルコール摂取量が「高摂取量」(週14杯以上)から増加した女性は、「高摂取量」で一定していた女性より死亡リスクが高かったことが、全死因死亡率の分析で示された。

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もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)〔moyamoya disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、1960年代にわが国において、脳血管造影上の特徴からその疾患概念が確立された1)。病態の特徴は、両側内頸動脈終末部に慢性進行性の狭窄を生じ、側副路として脳底部に異常血管網(脳底部もやもや血管)が形成される(脳血管造影でこれらの血管が立ち上る煙のようにもやもやとみえるため、この病気が「もやもや病」と名付けられた)。進行すると、両側内頸動脈の閉塞とともに脳底部もやもや血管も消失し、外頸動脈系および椎骨脳底動脈系により脳全体が灌流される。本疾患は厚生労働省の定める難治性疾患克服研究事業における臨床調査研究対象疾患130疾患の1つである。■ 疫学もやもや病は、アジア地域に多発する疾患で、欧米ではまれである。ウィリス動脈輪閉塞症調査研究班のデータベース(2006年の時点で確診例785例、疑診例60例、類もやもや病62例の計962例が登録)によれば、わが国における発生頻度は年間10万人当たり0.35人、男女比は1:1.8と女性に多く、約10~15%に家族性発症がみられる。発症年齢分布は二峰性で5歳前後と30歳前後にピークがみられる(図1)2)。画像を拡大する■ 病因もやもや病の病因は不明である。内頸動脈終末部の狭窄の原因として、血管平滑筋細胞の質的異常が背景にあると考えられており、TGF-βなどの転写因子や、bFGFやHGFなどの成長因子の関与が想定されている。血縁者内に発症者の集積性が認められる家族性もやもや病が約10~15%にみられることから、遺伝的要因の関与は大きいものの、浸透率は完全ではなく、年齢にも依存することなどから、遺伝的要因による効果が蓄積し、血管平滑筋細胞の細胞死と増殖を引き起こすものと考えられる。発症には、遺伝要因と加齢や環境要因との相互作用が必要と考えられている2)。■ 症状本疾患の発症年齢は小児期より成人期に及ぶが、一般に小児例では脳虚血症状で、脳血流の低下による一過性脳虚血発作や脳梗塞がみられる。成人例では脳虚血症状と頭蓋内出血症状で発症するものが半々であり、出血型ではもやもや血管の破綻による脳内出血や脳室内出血がみられる。2000年までに登録された、もやもや病調査研究班全国調査の確診例1,127例における虚血型および出血型の発症年齢の分布を図2に示す2)。長期例では、しばしば両側前頭葉の脳循環不全に起因する高次脳機能障害が問題となる。画像を拡大する■ 分類もやもや病調査研究班では、1979年度に初回発作を“出血型”、“てんかん型”、“梗塞型”、“一過性脳虚血発作(TIA)型”、“TIA頻発型”(1ヵ月に2回以上)、“その他”の6型に分類した。しかし、最近のMRIの普及に伴い、無症状のまま偶然発見されるものや頭痛のみを訴える症例も多いことが明らかにされ、現在では“無症状型”、“頭痛型”が追加されている。2003年より2006年度までに登録された962例の各初回発作の病型の占める割合を表に示す2)。画像を拡大する■ 予後小児もやもや病では、一過性脳虚血(TIA)が最も多く発生するのは発症後の数年間であり、知能障害と機能障害を有する患者は発症から時間が経過するほど増加し、その程度も増悪する2)。年齢が低い乳幼児ほど脳梗塞の発生が多く、脳梗塞の存在が機能予後に最も大きく関与する。脳血行再建術の効果を検証したランダム化比較試験(RCT)は存在しないが、脳血行再建術を実施した場合、その術式にかかわらずTIAは消失あるいは減少し、脳梗塞の再発はきわめてまれで、自然歴と比較すると機能予後は良好であると考えられている。また、脳血行再建術は知能予後を改善させると考えられている2)。一方、成人もやもや病では、発症病型にかかわらず、未治療例は外科治療例よりも脳血管イベントの再発率は高く予後も不良との報告が多く、小児と同様、脳血行再建術を考慮すべきである。症候例・無症候例、確診例・疑診例にかかわらず、非手術半球の約20%で病期が進行し、その半数はTIA/脳梗塞あるいは頭蓋内出血が起きる。女性で病期の進行が生じやすく、もやもや病罹患女性の妊娠・分娩に関しては、時に頭蓋内出血など重篤な脳卒中が生じうることが知られている。したがって、産科医師と脳神経外科医師が緊密に連携できる環境の下で妊娠継続期・分娩・産褥期の綿密な管理を行うことが推奨される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、MRAによる内頸動脈終末部の狭窄や閉塞、MRIによる基底核部のflow voidなどで確定されるが、詳細な評価には脳血管造影が必要である。もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)に関する特定疾患申請のための診断基準は、2016年に以下のよう改正されている。1)診断上、脳血管造影などの画像診断は必須であり、少なくとも次の所見がある。(1)頭蓋内内頸動脈終末部を中心とした領域に狭窄または閉塞がみられる(両側または片側)。(2)モヤモヤ血管(異常血管網)が動脈相においてみられる。2)もやもや病は原因不明の疾患であり、原因の明らかな類似の脳血管病変(下記)は除外する。(1)動脈硬化、(2)自己免疫疾患、(3)髄膜炎、(4)脳腫瘍、(5)ダウン症候群、(6)フォンレックリングハウゼン病、(7)頭部外傷、(8)頭部放射線照射の既往、(9)その他もやもや病に伴う脳循環障害については、O-15ガスPETによる脳血流量、脳酸素代謝量、脳酸素摂取率、脳血液量などの測定や脳血流SPECT(安静時とダイアモックス負荷時)による脳血流量、脳循環予備能などの測定で、血行力学的重症度が診断される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)脳虚血発作を呈するもやもや病に対しては、血行再建術を行うことにより、TIA/脳梗塞のリスク、術後のADL、長期的高次脳機能予後などの改善が得られることが報告されている3)。脳血流SPECTやO-15ガスPETなどにより術前の脳循環代謝障害が認められる症例では、血行再建術を施行することにより脳循環代謝の改善が得られる。もやもや病に対する血行再建術の手技としては、浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術(STA-MCA 吻合術)を代表とする直接血行再建術と、encephalo-myo-synangiosis(EMS)、encephalo-arterio-synangiosis(EAS)、encephalo-duro-synangiosis(EDS)、multiple burr hole surgery などの間接血行再建術が用いられ、両者の組み合わせも可能である。手術前後には抗血小板薬が投与されるが、若年者に対する漫然とした投薬の継続は行わない。出血型もやもや病に対する直接血行再建術の再出血予防効果については、多施設共同研究JAM(Japanese Adult Moyamoya)Trial4)によって、2013年にその有効性が確認された。4 今後の展望もやもや病は原因不明の難病であり無症候例や軽症例でも長期の経過観察を必要とする。難病申請(18歳以下で運動障害などが続く場合は、小児慢性特定疾患の申請)により、医療費が助成される。無症候性もやもや病の診断例では、自然歴が不明であり、現在、登録観察研究AMORE(Asymptomatic Moyamoya Registry)研究が行われている。高次脳機能障害については、その実態が不明であり、その診断法(神経心理検査、画像検査)を確立するために、COSMO(Cognitive dysfunction Survey of Moyamoya)-Japan研究が行われている。また、最近の遺伝子研究により、17番染色体の候補領域にあるRNF213に多型(p.R4810K)が患者群において高頻度にみつかり、感受性多型の一部が判明したが、さらなる進展が期待される。5 主たる診療科脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報国立循環器病研究センター もやもや病専門外来(一般利用者と医療従事者向けの情報)難病情報センター もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)(一般利用者と医療従事者向けの情報)1)Suzuki J, et al. Arch Neurol.1969;20:288–299.2)もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)診断・治療ガイドライン. 脳卒中の外科.2009;37:321-337.3)脳卒中治療ガイドライン2015. 協和企画;2015:245-249.4)Miyamoto S, et al. Stroke.2014;45:1415-1421.公開履歴初回2014年10月29日更新2016年05月24日

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ネットで行う自助介入、うつ病発症抑制に効果/JAMA

 閾値下うつ病成人について、インターネットを活用した自助介入が、通常ケアの強化介入と比較して、大うつ病(MDD)の発症を有意に減少したことが、ドイツ・ロイファナ大学リューネブルクのClaudia Buntrock氏らが行った無作為化試験の結果、示された。MDDのエビデンスベース治療は、機能・健康アウトカムを十分には改善できない。そのためMDDを発症させない予防に注目が集まっており、研究グループは、Webベースの自助介入の有用性を評価する検討を行った。JAMA誌2016年5月3日号掲載の報告。ドイツの労働者を対象に無作為化試験 検討は2013年3月1日~2015年3月4日に行われた。被験者は、大規模な公的健康保険組織(雇用者-労働者共同で運営する保険組織など)を介して集めたドイツの一般市民で、閾値下うつ病(CES-Dスコア16以上、DSM-IV基準でMDDなしと判定)成人406例であった。 全被験者に対して、通常ケア(プライマリケアを受診)への受診制限を設けず、Webベースの自助介入(オンライントレーナーのサポートを受けながら認知行動および問題解決療法を行う:202例)を受ける(介入)群、またはWebベースの心理教育プログラム(204例)を受ける(対照)群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、追跡12ヵ月間における、対照群と比較した介入群のMDD発症までの期間とした。評価は、盲検化された診断評価者が、電話によるDSM-IVうつ病軸の構造化臨床インタビュー(Structured Clinical Interview for DSM-IV Axis Disorders)にて、6ヵ月、12ヵ月時点に行った。12ヵ月のMDD発症、介入群27%、対照群41% 無作為化された406例(平均年齢45歳、女性73.9%)のうち、335例(82%)が12ヵ月の電話フォローアップを完了した。 MDDが認められたのは、介入群55例(27%)に対し、対照群84例(41%)であった。ベースラインのうつ症状重症度調整後のCox回帰分析で求めた12ヵ月時点のハザード比は、0.59(95%信頼区間[CI]:0.42~0.82、p=0.002)であった。 NNT(MDD新規発症1例を回避するために必要な治療数)は、5.9(95%CI:3.9~14.6)であった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、オンライントレーナーのサポートがなくても、うつ病の初発および再発に対する効果が同等に認められるかを調べる必要がある」とまとめている。

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虚血性脳卒中、血管内治療を加えるほうが機能的アウトカム良好(解説:中川原 譲二 氏)-533

 前方循環の主幹動脈閉塞による虚血性脳卒中の患者では、発症から6~8時間以内に血栓回収などの血管内治療を加えるほうがrt-PA静注療法を含む内科的治療単独に比べ、発症90日後の機能的アウトカムは良好である。ポルトガル・リスボン大学のFilipe Brogueira Rodrigues氏らが、10件の無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析の結果を報告した。この結果を踏まえて著者らは、「標準治療としての血管内治療の推奨は、現行のリソースを強化するために、包括的脳卒中センター(Comprehensive stroke center)の再編成及び血管内治療医の養成についての構造改革を求めるものである」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年4月18日号掲載の報告より。10試験、被験者総数3,000例弱について分析 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Central Register of ControlledTrials、Web of Scienceなどのデータベースを用い、18歳以上の虚血性脳卒中に対する血栓回収などの血管内治療と、rt-PA静注療法を含む内科的治療単独について検討した無作為化比較試験を検索し、システマティック・レビューとメタ解析を行った。検索の結果、分析には2件の未掲載試験を含む10試験、被験者総数2,925例が組み込まれた。エンドポイントは、発症から90日後の修正Rankin scaleスコア2以下の機能的アウトカム、および死亡率とした。血管内治療群の良好な機能的アウトカムのリスク比は1.56 結果、血管内治療群はrt-PA静注療法を含む内科的治療単独群に比べ、発症90日後の機能的アウトカムが良好(スコア2以下)または非常に良好(スコア1以下)の割合が高かった。一方で、死亡率や症候性頭蓋内出血の発症率は同等だった。また、2015年に掲載または発表された最近の7試験は、患者選択がより適切で、rt-PA静注療法が高い施行率でより早期に行われ、血管内治療ではより有効とされるデバイスが使用されていたことから、血栓回収療法の効果を評価するためによりふさしい試験であった。すなわち、被験者の86%超がステントリトリーバー(血栓回収型デバイス)による治療を受けており、血管再開通率も従前の報告よりも高かった(58%超)。これら7試験についてサブグループ解析を行った結果、良好な機能的アウトカムに関して血管内治療群の内科的治療群に対するリスク比は、1.56(95%信頼区間:1.38~1.75)だった。一方で死亡に関する同リスク比は、0.86(同:0.69~1.06)だった。これらの試験結果には、不均一性はみられなかった。  1995年に急性期脳梗塞に対するrt-PA静注療法の有効性が確立してから20年の歳月を経て、2015年に前方循環の主幹動脈閉塞による虚血性脳卒中の患者に対する血管内治療の有効性と安全性が確認された。この間、米国ではrt-PA静注療法に対応して地域を単位とするPrimary stroke center (PSC)が整備され、その施行率の向上が達成され、血管内治療に対応してComprehensive stroke center (CSC)が整備されてきている。わが国では、2005年にrt-PA静注療法が保険適応となったが、地域を単位とするPSCの整備が不十分なため、その施行率は7%前後と低迷している。一方、血管内治療に必要なデバイスについては、欧米に遅れることなく臨床に導入されているが、血管内治療に対応するCSCの整備は進展しておらず、わが国においても、血管内治療を標準治療として推奨するためには、CSCの整備や血管内治療医の養成についての構造改革が強く求められる。

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吸い殻を側溝に捨てるとどうなる?

吸い殻を側溝に捨てるとどうなる? 日本の下水は、生活排水などの汚水と雨水を合わせて処理してきましたが、1970年代以降に整備が進んだ下水道では、汚水と雨水を分けて回収。汚水だけを処理し、雨水はそのまま排水されます。 道路に捨てられた吸い殻は雨水管を通り、そのまま海に流れていきます。海に流れ出た吸い殻は波に押し戻され海岸に打ち上げられます。 海水浴場に落ちている吸い殻は、もしかしたら街の中で捨てられ、流れ着いたものかもしれません。安易なポイ捨ては、あなたの身の回りだけなくもっと大きな自然まで汚しているのです!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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ミルク熱傷は重症化しやすい?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第67回

ミルク熱傷は重症化しやすい? >FREEIMAGESより使用 子供の離乳が進むまで、私も毎日のように粉ミルクを作っていたのですが、なかなか冷めないなぁと思いながら哺乳瓶を水道水で冷やしていたのを覚えています。いろいろな成分が含まれていますから、冷めにくいという性質はあるのかもしれませんね。 Yontar Y, et al. Retrospective analysis of burn injuries caused by hot milk in 159 pediatric patients: 14 years of experience in a burn unit. Ulus Travma Acil Cerrahi Derg. 2014;20:281-285. この研究は、熱したミルクで熱傷を来した小児について集めたものです。トルコのエルジェス大学病院の研究グループが14年前までさかのぼって調べたところ、熱したミルクで熱傷を来した小児が159人いることがわかりました。内訳は、男児が81人、女児が76人でした。平均年齢は2.7±1.6歳。平均熱傷面積は、18.6±10.8%でした。結構広範囲ですね…。全体の49%の小児がデブリドマンと再建を受けざるをえなかったそうです。この期間におけるミルク以外の液体熱傷の死亡率は1.5%だったのですが、恐るべきことにミルク熱傷の死亡率は5.6%に上りました。実に3倍以上の死亡率です。どうやら脂肪分を含んでいることが皮膚軟部組織の障害を強めるらしく、死亡率の上昇はミルクの成分に起因すると著者らは考えているようです。※よくよく読んでみると、ここに記載されている「熱したミルク」とは、鍋に大量にグツグツ煮えたミルクを意味しているようです。トルコのミルク事情には詳しくありませんが、私たちがイメージしているミルクとは少し違うかもしれません。インデックスページへ戻る

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統合失調症の再発、リスク因子とその対策

 統合失調症のマネジメントにおいて、再発は重要な問題の1つである。イタリア・ボローニャ大学のStefano Porcelli氏らは、統合失調症の再発と関連する臨床的因子の検討を行った。International journal of psychiatry in clinical practice誌2016年6月号の報告。 過去22年分の文献データを検討し、219件が抽出された。 主な結果は以下のとおり。・再発に関連する要因は、「薬物治療に関連する因子」「精神療法追加治療」「一般的なリスク因子」の3つに大別された。・全体として、維持療法の欠如と第1世代抗精神病薬治療は、再発の高リスクと関連していた。・心理療法の追加、とくに患者、親族に対する認知行動療法と心理教育は、再発率の減少において優れた有効性を示した。・一般的なリスク因子には、改善可能なもの(精神疾患の未治療期間、物質乱用など)と、そうでないもの(男性の性別、病前の機能レベルの低さ)があった。 結果を踏まえ、著者らは「リスク因子のいくつかの分類は、再発リスクとの関連性が証明されている。そのため、各患者の再発リスクを個別化するために日々の臨床現場でこれらリスク因子を注意深く評価し、高リスク患者においては標的治療を行うべきである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者の再発リスクを低下させるためには 統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学 気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加

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SU薬とDPP-4阻害薬の併用、低血糖リスクを50%増加/BMJ

 スルホニル尿素(SU)薬で治療を受けている2型糖尿病患者に対し、DPP-4阻害薬を追加投与すると、低血糖リスクが50%増加し、最初の6ヵ月間で低血糖症例が患者17人に1人増えることになる。フランス・ボルドー大学のFrancess Salvo氏らが、無作為化プラセボ対照比較試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。DPP-4阻害薬とSU薬との併用により低血糖リスクが増加することは知られていたが、そのリスクの定量化はなされていなかった。著者は、「DPP-4阻害薬の投与を開始する場合にはSU薬の減量が推奨されていることを尊重し、低血糖リスクを最小限にするこの治療法の有効性を評価する必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年5月3日号掲載の報告。SU薬+DPP-4阻害薬とSU薬+プラセボを比較した無作為化試験をメタ解析 研究グループは、Medline、ISI Web of Science、SCOPUS、Cochrane Central Register of Controlled Trials、clinicaltrial.govから、2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬+SU薬併用療法(被験者50例以上)とプラセボを比較した無作為化試験について、言語を問わず検索した。期間はclinicaltrial.govが2014年11月まで、それ以外は2013年10月15日までであった。 解析対象研究の調査とデータ収集は2人の研究者が独立して行い、各試験のバイアスリスクをコクラン共同計画のツールを用いて評価した。メタ解析のエビデンスの質はGRADEシステムを用いて評価。試験ごとに低血糖のリスク比とその95%信頼区間を算出した後、マンテル・ヘンツェル法またはランダム効果モデルを用いて統合解析を行った。併用で低血糖リスク比は1.52、6ヵ月間のNNHは17 解析に組み込まれた試験は10件、計6,546例であった(DPP-4阻害薬+SU薬4,020例、プラセボ+SU薬2,526例)。 低血糖のリスク比(RR)は、全体で1.52(95%CI:1.29~1.80)であった。また、NNH(有害必要数:何人の患者を治療するごとに低血糖1例が発生するかを示す)は治療期間6ヵ月以下で17(95%信頼区間[CI]:11~30)、6.1~12ヵ月で15(95%CI:9~26)、1年以上で8(95%CI:5~15)であった。 サブグループ解析の結果、DPP-4阻害薬の用量の違いによる、低血糖リスクの差はみられなかった。また、半量投与群で低血糖リスクの有意な増加は示されなかった。標準用量(最大投与量含む)群のRRは1.66(95%CI:1.34~2.06)、半量投与群のRRは1.33(95%CI:0.92~1.94)であった。

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コーヒーと大腸がんリスクの関連は? 日本人データでのメタ解析

 コーヒー摂取と大腸がんリスクとの関連は明らかになっていない。今回、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究グループが、日本人での疫学研究の系統的レビューとメタ解析を行ったところ、日本人におけるコーヒー摂取と大腸がんリスクの関連を支持するには不十分な結果であった。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年5月12日号に掲載。 対象データは、PubMedを用いたMEDLINE検索または医中誌データベース検索を行い、手動検索で補完し収集した。研究デザインに応じた要約相対リスク、95%信頼区間を推定するために、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行った。最終的な判断は、疫学的エビデンスと生物学的妥当性の両方を考慮し、研究グループのメンバーの合意に基づいて行われた。 主な結果は以下のとおり。・5件のコホート研究と9件の症例対照研究を同定した。・これらの研究のうち、1件のコホート研究では、(女性のみで)強い逆相関を報告し、3件の症例対照研究では、結腸がんもしくは直腸がんと強い逆相関を報告していた。・メタ解析によると、コホート研究ではコーヒーの高摂取と大腸がんリスクとの間に明らかな関連は認められなかったが、症例対照研究ではコーヒーの高摂取が大腸がんまたは結腸がんのリスク低下に有意に関連していた。・コーヒー摂取量の最高カテゴリの最低カテゴリに対する要約相対リスク比またはオッズ比(95%信頼区間)は、コホート研究で0.95(0.77~1.17)、症例対照研究で0.78(0.65~0.95)であった。

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パニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か

 パニック症治療に対する第2世代抗精神病薬(SGAs)の役割が提唱されているが、その有用性は明らかとなっていない。イタリア・Villa San Benedetto Menni病院のPerna Giampaolo氏らは、PRISMAガイドラインに基づき、パニック症(他の併存疾患の有無)治療に対するSGAs(単独または増強療法)の有効性および忍容性に関する無作為化比較試験のシステマティックレビューアップデートを行った。International journal of molecular sciences誌2016年4月13日号の報告。 PubMed、PsycINFO、Embase、Cochrane Library、Clinical trials.govより、2015年12月までの研究を抽出した。210件中5件(パニック症患者の試験2件、パニック症または全般不安症併存の双極性障害患者の試験3件)が対象となった。 主な結果は以下のとおり。・クエチアピン徐放製剤、リスペリドン、ziprasidone治療による8週間の試験であった。・全体として、パニック症状に対するSGAsの有効性は示されなかった。・研究の限界により、リスペリドンのパニック症状に対する有効性の予備的適応は、パニック症に対する使用を支持するには不十分であった。・しかし、方法論的な限界がこれらすべての研究に悪影響を与えている可能性があるため、結果の妥当性は低下しており、信頼できる結果を引き出すことは難しいと考えられる。・ziprasidoneを除き、SGAsの忍容性は短期試験において良好であった。関連医療ニュース 強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は 社交不安症に対するエスシタロプラムの効果は パニック障害+境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は

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PARTNER2試験が証明した欧州におけるTAVIの妥当性

皆さん、はじめまして。ブランデンブルク心臓病センター・ブランデンブルク医科大学の金子英弘と申します。私は2014年4月より渡独し、TAVI、MitraClip、左心耳閉鎖などStructural Heart Disease(SHD) interventionの手技・臨床研究を行っています。この度、ご縁があって、SHD interventionについて連載をすることになりました。欧州では、SHD interventionのさまざまなデバイス治療が、日本に先駆けて行われています。欧州を中心に蓄積された経験や知見を、この連載を通じて皆様と広く共有し、循環器治療の発展に少しでもお役に立てればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。今回は、日本でもすでに治療が開始されているTAVIについて、その結果が大変注目をあつめたPARTNER2試験と、欧州の現状についてお届けします。注目を集めたPARTNER2試験画像を拡大する画像を拡大する2016年3月の米国心臓病学会ACC2016では、日本を含め、世界中から大きな注目を集める発表がありました。Late-Breaking Clinical Trials Sessionで発表されたPARTNER2A試験の結果です。PARTNER2A試験は、米国で行われた試験で、中等度リスクの重症大動脈弁狭窄症(AS)症例における、経カテーテル大動脈弁植込み術(Transcatheter Aortic Valve Implantation; TAVI)と外科的大動脈弁置換術(Surgical Aortic Valve Replacement; SAVR)の治療成績を比較したものです。そして このPARTNER2A試験でSAVRが行われた症例と、次世代デバイスであるSapien3(エドワーズ・ライフサイエンス社)を用いてTAVIを行った症例のプロペンシティ解析の結果も同時に発表されました。中等度リスク(平均年齢82歳、平均STSスコア5.8%)の重症AS患者を対象としたPARTNER2A試験で、TAVIはSAVRと比べ非劣性であることが示されました。さらに経大腿動脈(TF)アプローチ群においては、死亡および脳卒中をあわせた複合エンドポイントで、SAVRよりも良好な成績でした1)。そして、PARTNER 2A試験でSAVRを受けた群と、Sapien 3を用いてTAVIを行ったPARTNER2 SAPIEN3群でプロペンシティスコア解析を行うと、Sapien3を用いて行ったTAVIのSAVRに対する優位性が示されました2)。PARTNER2試験が証明した欧州におけるTAVIの妥当性この発表は、臨床的に極めて大きな意義を持つと思っています。TAVIが広く普及している欧州においては、TAVIの適応はすでに中等度リスクに拡大されています。ドイツにおけるTAVIのregistryであるGARY registryでは2011~2013年に行われたTAVI症例の平均STSスコアは5%(中等度リスク)であり3)、欧州の実臨床の現場では、中等度リスクに対するTAVIが一般的に施行されていることがわかります。したがって今回のPARTNER2試験はこの欧州における実臨床の妥当性を証明したものと言えます。さらに、今回の試験でSAVRに対する優位性が示された次世代デバイスであるSapien 3は、欧州では既にCEマークを取得し、2014年2月から実臨床で使用され、そのパフォーマンスの良さから、多くの施設でTAVIにおける標準デバイスとなっています。なお、Sapien 3は、現在、日本で使用されているSapien XT(エドワーズ・ライフサイエンス社)と比較して、シースが小径化されたことにより、Sapien 3の登場以降、TFアプローチによるTAVIの適応となる症例が増加しています。私の勤務する施設においてもSapien 3導入前と比較すると、Sapien 3導入後は、TFアプローチが急激に増加しており、一方で径心尖部(TA)アプローチのTAVIは減少しています。今回のPARTNER試験の結果もふまえて、今後はさらにSapien 3によるTAVIが標準化され、安全かつ有効なTAVIが世界に広がっていくのではと考えています。日本での今後のTAVIの適応わが国においては2013年10月からSapien XTが保険償還され、TAVIが開始されましたが、これまでの成績は非常に良好であるようです。この状況で近い将来、Sapien 3が日本でも導入されれば、わが国におけるTAVIの治療成績はいっそう改善されることが予想されます。一方で、日本においてはSAVRの成績も欧米と比較して良好ですので、この試験の結果が、そのまま日本でも当てはまるわけではないと思います。今後、日本においてTAVIの適応を中等度リスクの症例にも広げることを考える上では、Sapien 3などの次世代TAVIデバイス導入後の治療成績やわが国におけるTAVIとSAVRの治療成績を比較していく必要があると考えます。1)Leon MB, et al. N Engl J Med. 2016;374:1609-1620.2)Thourani VH, et al. Lancet. 2016 Apr 3. [Epub ahead of print]3)Walther T, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65:2173-2180.

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多発性骨髄腫、ixazomib追加の3剤併用療法でPFS延長/NEJM

 再発または難治性の多発性骨髄腫の治療において、標準治療にixazomibを加えた経口薬の3剤併用療法は、標準治療のみに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、毒性は許容できるものであることが、フランス・オテル・デュー大学病院のPhilippe Moreau氏らが行ったTOURMALINE-MM1試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年4月28日号に掲載された。ixazomibは、経口投与が可能なペプチドボロン酸型プロテアソーム阻害薬で、ボルテゾミブとは化学構造や薬理学的特性が異なる。前臨床試験でレナリドミドとの相乗効果が確認され、未治療の多発性骨髄腫の早期臨床試験ではレナリドミド+デキサメタゾンとの併用で有望な効果と安全性が報告されている。上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 TOURMALINE-MM1試験は、多発性骨髄腫に対する従来の標準治療へのixazomibの上乗せ効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Millennium Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、測定可能病変を有し、全身状態(ECOG PS)が0~2、前治療レジメン数が1~3の再発、難治性、再発・難治性の多発性骨髄腫で、軽度~中等度の腎機能障害がみられる患者も含めた。 被験者は、ixazomib+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(ixazomib群)またはプラセボ+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた。両治療群とも28日を1サイクルとし、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)とした。副次評価項目には、全生存期間(OS)、17p欠失例のOS、完全奏効(complete response)+最良部分奏効(very good partial response)の割合などが含まれた。 2012年8月28日~2014年5月27日までに、26ヵ国147施設に722例が登録され、ixazomib群に360例、プラセボ群には362例が割り付けられた。 PFS中央値が約6ヵ月延長、完全+最良部分奏効割合も良好 背景因子は両群間でバランスがよく取れていた。全体の年齢中央値は66歳(範囲:30~91歳)で、65歳以上が52%、男性が57%含まれた。前治療レジメン数は1が61%、2が29%、3が10%であり、再発例が77%、難治例が11%、再発・難治例は12%であった。 フォローアップ期間中央値14.7ヵ月におけるPFS中央値は、ixazomib群が20.6 ヵ月と、プラセボ群の14.7ヵ月よりも有意に延長した(ハザード比[HR]:0.74、p=0.01)。PFSの事前に規定されたサブグループ解析では、高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者などのすべてのサブグループにおいて、ixazomib群がプラセボ群よりも良好であった。 全奏効率はixazomib群が78%と、プラセボ群の72%に比べ有意に優れた(p=0.04)。また、完全奏効+最良部分奏効の割合は、それぞれ48%、39%であり、ixazomib群で有意に良好だった(p=0.01)。奏効までの期間中央値は、ixazomib群が1.1ヵ月と、プラセボ群の1.9ヵ月よりも短く(p=0.009)、奏効期間中央値はそれぞれ20.5ヵ月、15.0ヵ月であった。 フォローアップ期間中央値が約23ヵ月の時点におけるOS中央値は両群とも未到達で、フォローアップが継続されている。 重篤な有害事象の発現率はixazomib群が47%、プラセボ群は49%で、試験期間中の死亡率はそれぞれ4%、6%であり、いずれも両群でほぼ同じであった。また、Grade 3以上の有害事象は、それぞれ74%、69%に認められた。 Grade 3および4の血小板減少症の頻度は、ixazomib群(それぞれ12%、7%)がプラセボ群(5%、4%)よりも高かった。 発疹は、ixazomib群が36%であり、プラセボ群の23%に比べ頻度が高かった。消化器系の有害事象(下痢、便秘、悪心、嘔吐)は多くが低Gradeであったが、ixazomib群のほうが高頻度であった。また、末梢神経障害の発生率は、ixazomib群が27%,プラセボ群は22%であった(Grade3は両群とも2%)。 患者報告による健康関連QOL評価(EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-MY20)のスコアは、試験期間を通じて両群でほぼ同等であった。 著者は、「この経口薬3剤併用レジメンは、再発、難治性、再発・難治性多発性骨髄腫の新たな治療選択肢となるだろう」としている。

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eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

 日本糖尿病学会「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」は、5月12日に「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」の改訂版を公表した。 わが国では、諸外国と比較し、頻度は高くないもののメトホルミン使用時に乳酸アシドーシスが報告されていることから2012年2月にRecommendationを発表、2014年3月に改訂を行っている。とくに今回は、米国FDAから“Drug Safety Communication”が出されたことを受け、従来のクレアチニンによる腎機能評価から推定糸球体濾過量eGFRによる評価へ変更することを主にし、内容をアップデートしたものである。メトホルミン使用時の乳酸アシドーシスの症例に多く認められた特徴1)腎機能障害患者(透析患者を含む)2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者4)高齢者 高齢者だけでなく、比較的若年者でも少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドーシスの発現が報告されていることに注意。メトホルミンの適正使用に関するRecommendation まず、経口摂取が困難な患者や寝たきりなど、全身状態が悪い患者には投与しないことを大前提とし、以下の事項に留意する。1)腎機能障害患者(透析患者を含む) 腎機能を推定糸球体濾過量eGFRで評価し、eGFRが30(mL/分/1.73m2)未満の場合にはメトホルミンは禁忌である。eGFRが30~45の場合にはリスクとベネフィットを勘案して慎重投与とする。脱水、ショック、急性心筋梗塞、重症感染症の場合などやヨード造影剤の併用などではeGFRが急激に低下することがあるので注意を要する。eGFRが30~60の患者では、ヨード造影剤検査の前あるいは造影時にメトホルミンを中止して48時間後にeGFRを再評価して再開する。なお、eGFRが45以上また60以上の場合でも、腎血流量を低下させる薬剤(レニン・アンジオテンシン系の阻害薬、利尿薬、NSAIDsなど)の使用などにより腎機能が急激に悪化する場合があるので注意を要する。2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取などの患者への注意・指導が必要な状態 すべてのメトホルミンは、脱水、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐などの胃腸障害のある患者、過度のアルコール摂取の患者で禁忌である。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害薬など)との併用時には、とくに脱水に対する注意が必要である。 以下の内容について患者に注意・指導する。また、患者の状況に応じて家族にも指導する。シックデイの際には脱水が懸念されるので、いったん服薬を中止し、主治医に相談する。脱水を予防するために日常生活において適度な水分摂取を心がける。アルコール摂取については、過度の摂取を避け適量にとどめ、肝疾患などのある症例では禁酒する。3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者 すべてのメトホルミンは、高度の心血管・肺機能障害(ショック、急性うっ血性心不全、急性心筋梗塞、呼吸不全、肺塞栓など低酸素血症を伴いやすい状態)、外科手術(飲食物の摂取が制限されない小手術を除く)前後の患者には禁忌である。また、メトホルミンでは軽度~中等度の肝機能障害には慎重投与である。4)高齢者 メトホルミンは高齢者では慎重に投与する。高齢者では腎機能、肝機能の予備能が低下していることが多いことから定期的に腎機能(eGFR)、肝機能や患者の状態を慎重に観察し、投与量の調節や投与の継続を検討しなければならない。とくに75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要である。「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」からのお知らせはこちら。

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羊水過多と出生前バーター症候群の遺伝的リスク/NEJM

 羊水過多および一過性の出生前バーター症候群の発症に、変異遺伝子MAGED2が関連していることが明らかにされた。MAGED2は、悪性黒色腫関連抗原D2(MAGE-D2)をコードし、X染色体に位置していた。ドイツ・フィリップ大学マールブルクKamel Laghmani氏らが、重度の羊水過多と早産合併例が一家系の男児3例の妊娠で認められた症例について、その発端家族構成員2人のDNAを解析し明らかにした。NEJM誌2016年5月12日号(オンライン版2016年4月27日号)掲載の報告。多症例の家系家族員のDNAをエクソーム解析 対象となった一家系男児3例の妊娠例では、1例は胎児死亡、残る2例は出生前バーター症候群を想起させる一過性の大量の塩類喪失と多尿がみられた。バーター症候群はX染色体上の遺伝子の異常により生じる。 研究グループは、症例の分子的原因を明らかにするため、発端家族構成員2人のDNAの全エクソーム解析を行った。また、同家系の別の構成員2人と、罹患男児がいる6つの家系についても分析を行った。さらに、男児妊娠で特発性羊水過多を呈した女性集団についても評価。免疫組織化学的解析、ノックダウン・過剰発現の実験、およびタンパク質間相互作用の検討を行った。全例でMAGED2変異を同定 一過性の出生前バーター症候群がみられた新生児13例について、解析の結果、全例でMAGED2変異が同定された。MAGED2は、悪性黒色腫関連抗原D2(MAGE-D2)をコードし、X染色体に位置していた。 また、特発性羊水過多を呈した2つの家系で、異なる2つのMAGED2変異を同定した。 周産期死亡例は4例、生存は11例であった。初発症状は既知のタイプの出生前バーター症候群よりも重症であり、羊水過多および陣痛が早期に発生した。すべての症状は、生存出生児では、フォローアップの間に自然消失した。 研究グループの検討は、MAGE-D2は、Na-Cl共輸送体のNKCC2およびNCC(遠位尿細管の塩類再吸収のキー要素)の発現および機能に影響を及ぼすことを示唆するもので、その機序としておそらく、アデニル酸シクラーゼ、サイクリックAMP(cAMP)シグナル伝達と細胞質内熱ショック蛋白を介することが示唆されたという。 結果を踏まえて著者は、「MAGE-D2は胎児の腎臓での塩類再吸収、羊水の恒常性、妊娠の維持に重要であることが判明した」とまとめている。

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関節リウマチ、従来型合成DMARDsを用いた3剤併用の効果/BMJ

 関節リウマチ(RA)に対し、従来型合成DMARDsを用いた3剤併用(メトトレキサート[MTX]+サラゾスルファピリジン+ヒドロキシクロロキン)は、現在最もよく処方されている生物学的DMARDs+MTXと同程度、疾患活動性コントロールに対する効果があり、MTX未治療および既治療の患者を問わず概して忍容性も良好である。カナダ・カルガリー大学のGlen S Hazlewood氏らが、Cochraneシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、明らかにした。これまでに生物学的DMARDs+MTX併用療法は、MTX単独療法よりも疾患活動性のコントロールに優れていることがメタ解析の結果、報告されていたが、MTXと従来型合成DMARDsの有用性については検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2016年4月21日号掲載の報告。生物学的製剤、JAK阻害薬などと比較した効果をメタ解析 研究グループは、MTX未治療または効果不十分のRA成人患者に対するMTX単独と、MTX+従来型合成DMARDsの併用、または生物学的製剤、もしくはJAK阻害薬トファシチニブとの併用を評価する、システマティックレビューとベイズ統計のランダム効果ネットワークメタ解析を行った。2016年1月19日時点でMedline、Embase、Cochrane Centralのデータベース、2009~15年の欧米2大RA学会の要約、2大臨床登録試験サイト(Clinical Trials.govほか)を検索し、さらにCochrane reviewsの手動検索を実施。MTXと他のあらゆるDMARDs、またはDMARDs併用と比較した無作為化もしくは準無作為化試験で、治療間比較のネットワークエビデンス構築に寄与していたものを選択した。 主要評価項目は、ACR50反応率(主要臨床的改善)、X線画像所見での疾患進行、有害事象による投与中断とした。 比較療法間に統計的有意差があるか否かは、効果なしを除外して算出した95%信頼区間(CI)を評価し、97.5%超確率で優越性が認められる場合とした。MTX未治療患者でのACR50、56~67%で類似 検索により得られたのは患者3万7,000例超が参加した158試験のデータで、各アウトカムについて、10~53試験からデータを分析に包含した。 MTX未治療患者集団についての検討では、ACR50反応率についてMTX単独よりも統計的に効果が優れていることを示す療法として、3剤併用療法、生物学的製剤(アバタセプト、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、トシリズマブ)、トファシチニブが認められた。推定ACR50反応率はMTX単独41%に対し、これらの治療は56~67%の範囲で類似していた。 MTXとアダリムマブまたはエタネルセプト、セルトリズマブペゴルもしくはインフリキシマブとの併用は、X線所見上の疾患進行についてMTX単独よりも有意に優れていた。しかし、年間の推定平均変化値は、臨床的意義がある最小差(Sharpスコア5)よりも小さかった。 3剤併用療法は、MTX+インフリキシマブよりも有害事象による投与中断が有意に少なかった。 一方、MTX効果不十分の集団についての検討では、ACR50反応率についてMTX単独よりも統計的に効果が優れていることを示す療法として、3剤併用療法、MTX+ヒドロキシクロロキン、MTX+レフルノミド、MTX+金療法、MTX+大半の生物学的製剤、MTX+トファシチニブが認められた。推定ACR50反応率は、3剤併用療法は61%、その他は27~70%と広範囲にわたっていた。 X線所見上の疾患進行についてMTX単独と比較して統計的に優れている療法はなかった。 MTX+アバタセプトは、有害事象による投与中断率が複数の治療と比べて統計的に有意に低かった。 著者は、「検討の結果は、3剤併用療法が、MTX未治療または効果不十分の患者両者で効果があることを示すものであった。また、疾患活動性コントロールについてMTX+生物学的製剤と統計的に有意差はないことも示された」と述べ、「3剤併用療法のコストは生物学的製剤の10~20分の1と低いことを考慮し、初回あるいはMTX効果不十分後のいずれにおいても、有効な治療選択肢とすべきである」とまとめている。

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アジア人集団におけるTAVRの臨床転帰~国際多施設共同研究

 これまで、アジア人集団で経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の安全性と有効性を十分に評価した無作為化試験や観察研究は報告されていない。アジア人での解剖学的特徴からTAVRの安全性と有効性が懸念されていたが、今回、日本を含むアジアTAVRレジストリで臨床アウトカムを評価したところ、既報の試験や観察研究と比べて良好な結果が得られたことを、韓国・アサン医療センターのSung-Han Yoon氏らが報告した。JACC Cardiovascular interventions誌2016年5月9日号に掲載。 本研究は、アジア5ヵ国でTAVRを受けた大動脈弁狭窄症患者を登録した、アジアTAVRレジストリによる国際多施設共同研究である。 主な結果は以下のとおり。・5ヵ国11施設で2010年3月~2014年9月に計848例が登録され、STSスコアの平均は5.2±3.8%であった。・患者の64.7%にEdwards社のSapien、また35.3%にMedtronic社のCoreValveがそれぞれ移植された。・手技成功率は97.5%であった。・30日および1年死亡率はそれぞれ2.5%と10.8%であった。・デバイス間の1年死亡率に差はなかった(Sapien 9.4%、CoreValve 12.2%、log-rank p=0.40)。・脳卒中、致死的な出血、主要な血管合併症、急性腎障害(ステージ2~3)の発生率は、それぞれ3.8%、6.4%、5.0%、3.3%であった。・中等度または重度の弁周囲漏出はCoreValveがSapienより有意に多かった(14.4% vs.7.3%、p=0.001)。・多変量モデルによる解析では、「より高いSTSスコア」「より低いBMI」「NYHA心機能分類III~IV」「糖尿病」「脳血管障害の既往」「ベースライン時の低い平均圧較差」「中等度または重度の弁周囲漏出」が生存率の低下と有意に関連していた。

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