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GLP-1アナログ製剤で乳がんリスクは増大するか/BMJ

 英国のプライマリケアデータベースを用いたコホート研究の結果、GLP-1アナログ製剤の使用と乳がんリスク上昇との関連性は確認されなかった。カナダ・Jewish General HospitalのBlanaid M Hicks氏らが、2型糖尿病患者の乳がん発症リスクとDPP-4阻害薬あるいはGLP-1アナログ製剤の使用との関連を解析し、報告したもの。GLP-1アナログ製剤のリラグルチドでは、無作為化試験においてプラセボと比較し乳がん発症が多くみられたことが報告されていたが、この安全性について分析する観察研究は、これまでなかった。著者は、「検討では、使用期間2~3年ではリスク上昇が観察されたが、GLP-1アナログ製剤使用患者の乳がん検出率が一時的に増加したためと考えられる。ただし、発がんプロモーターの影響を排除することはできない」と述べている。BMJ誌2016年10月20日号掲載の報告。DPP-4阻害薬またはGLP-1アナログ製剤を投与された約4万5,000例について解析 研究グループは、英国のプライマリケアの診療記録が登録されたClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用い、1988年1月1日~2015年3月31日の間に非インスリン血糖降下薬を初めて処方された(初回処方以前に最低1年の治療歴があること)40歳以上の女性を特定し、このうち2007年1月1日~2015年3月31日にインクレチン製剤の投与が開始され1年以上記録のある4万4,984例を対象に、2016年3月31日まで追跡した。 解析には時間依存型Cox比例ハザードモデルを用い、DPP-4阻害薬(シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン)使用とGLP-1アナログ製剤(エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド)使用による、乳がん発症について比較した。DPP-4阻害薬と比べGLP-1アナログ製剤で乳がんリスクの増大は確認されず 平均追跡期間3.5年(標準偏差2.2年)において、549件の乳がん発症が認められた(粗発生率3.5/1,000人年、95%信頼区間[CI]:3.3~3.8)。 DPP-4阻害薬使用患者と比較し、GLP-1アナログ製剤使用患者で乳がんリスクの上昇は認められなかった(発生率はそれぞれ1,000人年当たり4.4 vs.3.4、ハザード比[HR]:1.40、95%CI:0.91~2.16)。HRは使用期間が長いほど増大し、GLP-1アナログ製剤累積使用期間が2~3年で最も高値を示した(HR:2.66、95%CI:1.32~5.38)。しかし、3年超ではその傾向は消失した(HR:0.98、95%CI:0.24~4.03)。GLP-1アナログ製剤の初回使用からの経過期間別の解析でも、同様の傾向が確認された。 なお、著者は今回の結果について、「乳がんの家族歴などの残余交絡因子や、追跡期間が短いといった点で限定的なものである」と指摘している。

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日常生活で止めたいこと

【骨粗鬆症】【日常の注意事項 やめましょう】普段の生活で止めた方がいいことは、何ですか■飲酒⇒過度の飲酒は内臓を悪くするだけでなく、多尿によりカルシウムを体外に排出してしまいます。■喫煙⇒カルシウムの吸収を悪くするばかりでなく、女性では骨量低下の原因となります。監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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認知症のための学部医療教育強化

 伝統的な医療教育である期間限定の臨床ローテーションで得られた経験は、長期的条件、医療システムの発展により、多くの場合うまくいかない。学生の長期間配置、接触の継続性、慢性疾患について学ぶ機会、患者の経験を可能とするlongitudinal integrated clerkshipsやsenior mentor programmesが求められる。英国・Brighton and Sussex Medical SchoolのSube Banerjee氏らは、認知症に対する2年間の学際的教育プログラムの開発、提供についてレビューした。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年10月10日号の報告。 研究デザインは、longitudinal integrated clerkshipsやsenior mentor programmesを含む医療従事者のための認知症教育強化についてレビューし、Time for Dementia(TFD)開発のケーススタディとその評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・認知症に関する強化プログラムは、8件識別された。米国は7件であった。・いずれも強制ではなく、12ヵ月間継続した。・ケーススタディデザインからの報告はすべてプラスの影響であったが、データの品質は弱かった。・これらを踏まえ、TFDはアルツハイマー協会、大学やNHSと協力し、医療、看護、救急の学生のためのカリキュラムの中核部分を作成した。・学生は、2年間3ヵ月ごとに2時間、認知症者とその家族を訪問した。・疾患やサービスの経験に焦点を当てた半構造相互作用ガイドに従い、反省点の評価を行った。 著者らは「将来の医療専門家は、長期的条件を持つ人々を理解し管理できるようにするために専門職種間の学部教育を必要としている。これをサポートするためにTFDは設計されている」としている。関連医療ニュース 認知症者に対する抗精神病薬処方は地域差が大きい 警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか 認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要か

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第2世代抗精神病薬、認知機能に対する影響を検証

 抗精神病薬は、精神疾患や気分エピソードに有効であるが、認知機能への影響はよく知られていない。ノルウェー・オスロ大学のNils Eiel Steen氏らは、統合失調症スペクトラム障害患者における第2世代抗精神病薬の血清レベルと認知機能との関連を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年10月7日号の報告。 DSM-IVで統合失調症、他の精神病性障害(SCZ:373例)、または双極性障害(BD:122例)と診断され、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、リスペリドンで治療した患者を対象に、神経心理学的なテストと同時に薬物血中濃度を測定した。関連分析には、線形回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・注意は、オランザピン濃度と正の関連を示した(標準化されたβ係数[β]:0.19、p=0.006)。・短期言語記憶と言語の流暢性は、クエチアピン濃度(β:-0.24、p=0.004)、リスペリドン濃度(β:-0.37、p=0.007)と負の関連を示した。 著者らは「今回の結果によると、第2世代抗精神病薬の血清濃度は、注意に対する良い効果(軽度)と言語記憶、言語の流暢性に対する悪い効果(中程度)が示唆された。本知見は、第2世代抗精神病薬の認知機能に対する影響の概念と一致し、重度の記憶や執行に対する問題を有する患者に対し、慎重に投与するべきであることを示唆している」としている。関連医療ニュース 精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに 統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン

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線条体黒質変性症〔SND: striatonigral degeneration〕

1 疾患概要■ 概念・定義線条体黒質変性症(striatonigral degeneration: SND)は、歴史的には1961年、1964年にAdamsらによる記載が最初とされる1)。現在は多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)の中でパーキンソン症状を主徴とする病型とされている。したがって臨床的にはMSA-P(MSA with predominant parkinsonism)とほぼ同義と考えてよい。病理学的には主として黒質一線条体系の神経細胞脱落とグリア増生、オリゴデンドロサイト内にα-シヌクレイン(α-synuclein)陽性のグリア細胞質内封入体(glial cytoplasmic inclusion: GCI)が見られる(図1)。なお、MSA-C(MSA with predominant cerebellar ataxia)とMSA-Pは病因や治療などに共通した部分が多いので、「オリーブ橋小脳萎縮症」の項目も合わせて参照して頂きたい。画像を拡大する■ 疫学平成26年度のMSA患者数は、全国で1万3,000人弱であるが、そのうち約30%がMSA-Pであると考えられている。欧米では、この比率が逆転し、MSA-PのほうがMSA-Cよりも多い2,3)。このことは神経病理学的にも裏付けられており、英国人MSA患者では被殻、淡蒼球の病変の頻度が日本人MSA患者より有意に高い一方で、橋の病変の頻度は日本人MSA患者で有意に高いことが知られている4)。■ 病因いまだ十分には解明されていない。α-シヌクレイン陽性GCIの存在からMSAはパーキンソン病やレビー小体型認知症とともにα-synucleinopathyと総称されるが、MSAにおいてα-シヌクレインの異常が第一義的な意義を持つかどうかは不明である。ただ、α-シヌクレイン遺伝子多型がMSAの易罹患性要因であること5)やα-シヌクレイン過剰発現マウスモデルではMSA類似の病理所見が再現されること6,7)などα-シヌクレインがMSAの病態に深く関与することは疑う余地がない。MSAはほとんどが孤発性であるが、ごくまれに家系内に複数の発症者(同胞発症)が見られることがある。このようなMSA多発家系の大規模ゲノム解析から、COQ2遺伝子の機能障害性変異がMSAの発症に関連することが報告されている8)。COQ2はミトコンドリア電子伝達系において電子の運搬に関わるコエンザイムQ10の合成に関わる酵素である。このことから一部のMSAの発症の要因として、ミトコンドリアにおけるATP合成の低下、活性酸素種の除去能低下が関与する可能性が示唆されている。■ 症状MSA-Pの発症はMSA-Cと有意差はなく、50歳代が多い2,3,9,10)。通常、パーキンソン症状が前景に出て、かつ経過を通して病像の中核を成す。GilmanのMSA診断基準(ほぼ確実例)でも示されているように自律神経症状(排尿障害、起立性低血圧、便秘、陰萎など)は必発である11)。加えて小脳失調症状、錐体路症状を種々の程度に伴う。MSA-Pのパーキンソン症状は、基本的にパーキンソン病で見られるのと同じであるが、レボドパ薬に対する反応が不良で進行が速い。また、通常、パーキンソン病に特徴的な丸薬丸め運動様の安静時振戦は見られず、動作性振戦が多い。また、パーキンソン病に比べて体幹動揺が強く転倒しやすいとされる12)。パーキンソン病と同様に、パーキンソニズムの程度にはしばしば左右非対称が見られる。小脳症状は体幹失調と失調性構音障害が主体となり、四肢の失調や眼球運動異常は少ない13)。後述するようにMSA-Pでは比較的早期から姿勢異常や嚥下障害を伴うことも特徴である。なお、MSAの臨床的な重症度の評価尺度として、UMSARS(unified MSA rating scale)が汎用されている。■ 予後国内外の多数例のMSA患者の検討によれば、発症からの生存期間(中央値)はおよそ9~10年と推察される3,9)。The European MSA Study Groupの報告では、MSAの予後不良を予測させる因子として、評価時点でのパーキンソン症状と神経因性膀胱の存在を指摘している3)。この結果はMSA-CよりもMSA-Pのほうが予後不良であることを示唆するが、日本人患者の多数例の検討では、両者の生存期間には有意な差はなかったとされている9)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)GilmanらのMSA診断基準(ほぼ確実例)は別稿の「オリーブ橋小脳萎縮症」で示したとおりである。MSA-P疑い例を示唆する所見として、運動症状発現から3年以内の姿勢保持障害、5年以内の嚥下障害が付加的に記載されている11)。診断に際しては、これらの臨床所見に加えて、頭部画像診断が重要である(図2)。MRIでは被殻外側部の線状高信号(hyperintense lateral putaminal rim)が、パーキンソン症状に対応する病変とされる。画像を拡大する57歳女性(probable MSA-P、発症から約1年)の頭部MRI(A、B)。臨床的には左優位のパーキンソニズム、起立性低血圧、過活動性膀胱、便秘を認めた。MRIでは右優位に被殻外側の線状の高信号(hyperintense lateral putaminal rim)が見られ(A; 矢印)、被殻の萎縮も右優位である(B; 矢印)。A:T2強調像、B:FLAIR像68歳女性(probable MSA-P、発症から約7年)の頭部MRI(C~F)。臨床的には寡動、右優位の筋固縮が目立ち、ほぼ臥床状態で自力での起立・歩行は不可、発語・嚥下困難も見られた。T2強調像(C)にて淡い橋十字サイン(hot cross bun sign)が見られる。また、両側被殻の鉄沈着はT2強調像(D)、T2*像(E)、磁化率強調像(SWI)(F)の順に明瞭となっている。MSA-Pの場合、鑑別上、最も問題になるのは、パーキンソン病、あるいは進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症などのパーキンソン症候群である。GilmanらはMSAを示唆する特徴として表のような症状・所見(red flags)を挙げているが11)、これらはMSA-Pとパーキンソン病を鑑別するには有用とされる。表 MSAを支持する特徴(red flags)と支持しない特徴11)■ 支持する特徴(red flags)口顔面ジストニア過度の頸部前屈高度の脊柱前屈・側屈手足の拘縮吸気性のため息高度の発声障害高度の構音障害新たに出現した、あるいは増強したいびき手足の冷感病的笑い、あるいは病的泣きジャーク様、ミオクローヌス様の姿勢時・動作時振戦■ 支持しない特徴古典的な丸薬丸め様の安静時振戦臨床的に明らかな末梢神経障害幻覚(非薬剤性)75歳以上の発症小脳失調、あるいはパーキンソニズムの家族歴認知症(DSM-IVに基づく)多発性硬化症を示唆する白質病変上記では認知症はMSAを“支持しない特徴”とされるが、近年は明らかな認知症を伴ったMSA症例が報告されている14,15)。パーキンソン病とMSAを含む他のパーキンソン症候群の鑑別に123I-meta-iodobenzylguanidine(123I-MIBG)心筋シンチグラフィーの有用性が示されている16)。一般にMSA-Pではパーキンソン病やレビー小体型認知症ほど心筋への集積低下が顕著ではない。10の研究論文のメタ解析によれば、123I-MIBGによりパーキンソン病とMSA(MSA-P、MSA-C両方を含む)は感度90.2%、特異度81.9%で鑑別可能とされている16)。一方、Kikuchiらは、とくに初期のパーキンソン病とMSA-Pでは123I-MIBG心筋シンチでの鑑別は難しいこと、においスティックによる嗅覚検査が両者の鑑別に有用であることを示している17)。ドパミントランスポーター(DAT)スキャンでは、両側被殻の集積低下を示すが(しばしば左右差が見られる)、パーキンソン病との鑑別は困難である。また、Wangらは、MRIの磁化率強調像(susceptibility weighted image: SWI)による被殻の鉄含量の評価はMSA-Pとパーキンソン病の鑑別に有用であることを指摘している18)。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)有効な原因療法は確立されていない。MSA-Cと同様に、個々の患者の病状に応じた対症療法が基本となる。対症療法としては、薬物治療と非薬物治療に大別される。レボドパ薬に多少反応を示すことがあるので、とくに病初期には十分な抗パーキンソン病薬治療を試みる。■ 薬物治療1)小脳失調症状プロチレリン酒石酸塩水和物(商品名: ヒルトニン注射液)や、タルチレリン水和物(同:セレジスト)が使用される。2)自律神経症状主な治療対象は排尿障害(神経因性膀胱)、起立性低血圧、便秘などである。MSAの神経因性膀胱では排出障害(低活動型)による尿勢低下、残尿、尿閉、溢流性尿失禁、および蓄尿障害(過活動型)による頻尿、切迫性尿失禁のいずれもが見られる。排出障害に対する基本薬は、α1受容体遮断薬であるウラピジル(同: エブランチル)やコリン作動薬であるベタネコール塩化物(同: ベサコリン)などである。蓄尿障害に対しては、抗コリン薬が第1選択である。抗コリン薬としてはプロピベリン塩酸塩(同:バップフォー)、オキシブチニン塩酸塩(同:ポラキス)、コハク酸ソリフェナシン(同:ベシケア)などがある。起立性低血圧には、ドロキシドパ(同:ドプス)やアメジニウムメチル硫酸塩(同:リズミック)などが使用される。3)パーキンソン症状パーキンソン病に準じてレボドパ薬やドパミンアゴニストなどが使用される。4)錐体路症状痙縮が強い症例では、抗痙縮薬が適応となる。エペリゾン塩酸塩(同:ミオナール)、チザニジン塩酸塩(同:テルネリン)、バクロフェン(同:リオレサール、ギャバロン)などである。■ 非薬物治療患者の病期や重症度に応じたリハビリテーションが推奨される(リハビリテーションについては、後述の「SCD・MSAネット」の「リハビリのツボ」を参照)。上気道閉塞による呼吸障害に対して、気管切開や非侵襲的陽圧換気療法が施行される。ただし、非侵襲的陽圧換気療法によりfloppy epiglottisが出現し(喉頭蓋が咽頭後壁に倒れ込む)、上気道閉塞がかえって増悪することがあるため注意が必要である19)。さらにMSAの呼吸障害は中枢性(呼吸中枢の障害)の場合があるので、治療法の選択においては、病態を十分に見極める必要がある。4 今後の展望選択的セロトニン再取り込み阻害薬である塩酸セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)やパロキセチン塩酸塩水和物(同:パキシル)、抗結核薬リファンピシン、抗菌薬ミノサイクリン、モノアミンオキシダーゼ阻害薬ラサジリン、ノルアドレナリン前駆体ドロキシドパ、免疫グロブリン静注療法、あるいは自己骨髄由来の間葉系幹細胞移植など、さまざまな治療手段の有効性が培養細胞レベル、あるいはモデル動物レベルにおいて示唆され、実際に一部はMSA患者を対象にした臨床試験が行われている20,21)。これらのうちリファンピシン、ラサジリン、リチウムについては、MSA患者での有用性が証明されなかった21)。また、MSA多発家系におけるCOQ2変異の同定、さらにはCOQ2変異ホモ接合患者の剖検脳におけるコエンザイムQ10含量の著減を受けて、MSA患者に対する治療として、コエンザイムQ10大量投与療法に期待が寄せられている。5 主たる診療科神経内科、泌尿器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 線条体黒質変性症SCD・MSAネット 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の総合情報サイト(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会(患者とその家族の会)1)高橋昭. 東女医大誌.1993;63:108-115.2)Köllensperger M, et al. Mov Disord.2010;25:2604-2612.3)Wenning GK, et al. Lancet Neurol.2013;12:264-274.4)Ozawa T, et al. J Parkinsons Dis.2012;2:7-18.5)Scholz SW, et al. Ann Neurol.2009;65:610-614.6)Yazawa I, et al. Neuron.2005;45:847-859.7)Shults CW et al. J Neurosci.2005;25:10689-10699.8)Multiple-System Atrophy Research Collaboration. New Engl J Med.2013;369:233-244.9)Watanabe H, et al. Brain.2002;125:1070-1083.10)Yabe I, et al. J Neurol Sci.2006;249:115-121.11)Gilman S, et al. Neurology.2008;71:670-676.12)Wüllner U, et al. J Neural Transm.2007;114:1161-1165.13)Anderson T, et al. Mov Disord.2008;23:977-984.14)Kawai Y, et al. Neurology. 2008;70:1390-1396.15)Kitayama M, et al. Eur J Neurol.2009:16:589-594.16)Orimo S, et al. Parkinson Relat Disord.2012;18:494-500.17)Kikuchi A, et al. Parkinson Relat Disord.2011;17:698-700.18)Wang Y, et al. Am J Neuroradiol.2012;33:266-273.19)磯崎英治. 神経進歩.2006;50:409-419.20)Palma JA, et al. Clin Auton Res.2015;25:37-45.21)Poewe W, et al. Mov Disord.2015;30:1528-1538.公開履歴初回2015年04月23日更新2016年11月01日

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第6回 DPP-4阻害薬による治療のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第6回】DPP-4阻害薬による治療のキホン―DPP-4阻害薬の長期投与の安全性について教えてください。 最初のDPP-4阻害薬が海外で臨床使用されるようになってから約10年、国内で使用されるようになってから約7年が経過し、今では国内外で多くの糖尿病患者さんに使われています。しかし、古くから使われているSU薬やビグアナイド(BG)薬などに比べると使用期間が長くないため、長期投与の安全性について懸念される先生方も多いと思います。 DPP-4阻害薬については、心不全による入院リスクの増加が指摘されており、それを受け、1万4,671例の心血管疾患のある2型糖尿病患者さんを対象に、通常治療へのシタグリプチン追加の心血管に対する安全性を検討した多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験「TECOS(Trial to Evaluate Cardiovascular Outcomes after treatment with Sitagliptin)」が行われました1)。その結果、追跡期間中央値3年(四分位範囲2.3~3.8年)で、主要評価項目である心血管疾患死、非致死的心筋梗塞(MI)、非致死的脳卒中、不安定狭心症による入院の複合エンドポイントにおいて非劣性が示されており、これら有害事象のリスク上昇はみられなかったという結論に至っています※。また、類薬でも心血管に対する安全性を検討した試験が報告されています2)。 ※本試験でのシタグリプチン投与量は「100mg/日(30mL/分/1.73m2≦eGFR<50mL/分/1.73m2例は50mg/日)」となっており、国内での用法・用量は「通常、成人にはシタグリプチンとして50mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。」です。 しかし、DPP-4阻害薬は、インスリン分泌を促進する消化管ホルモンであるGIPおよびGLP-1を分解し不活性化するDPP-4を阻害することで血糖値を下げる薬剤で、DPP-4は、免疫応答調節に関与するCD26などの活性化T細胞をはじめとし、さまざまな器官の細胞に存在するため、GIPおよびGLP-1以外の物質やホルモンなどに影響を及ぼす可能性があると考えられています。そのため、さらに長期的な安全性については、より多くの実臨床における使用成績が蓄積されることで、現時点で確認されていない有害事象を含め、わかってくることと思います。―DPP-4阻害薬の膵臓がんとの関連について教えてください。 DPP-4阻害薬の膵疾患との関連については以前より議論されており、さまざまな解析が行われ、多くの専門家がそれらを考察していますが、現在のところ、膵臓に対する安全性として、米国糖尿病学会(ADA)および欧州糖尿病学会(EASD)、国際糖尿病連合(IDF)は、情報が十分でないため、DPP-4阻害薬による治療に関する推奨事項を修正するには至らないという合同声明を発表しています3)。 国内では、保険会社の医療費支払い申請のデータベースを基に、DPP-4阻害薬における急性膵炎の発症を検討した後ろ向き解析で、急性膵炎のリスクを高めないという報告もありますが4)、現時点で、膵炎や膵臓がんなどへのDPP-4阻害薬の関与について、十分な症例数で、十分な期間、前向きに検討した試験はありません。しかし最近、インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬)による膵がんの発症リスクは、スルホニル尿素(SU)薬と変わらないことが、CNODES試験5)で確認されました。CNODES試験は、2型糖尿病患者の治療におけるインクレチン関連薬とその膵がんリスクの関連を検証した国際的な他施設共同コホート研究であり、カナダ、米国、英国の6施設が参加し2007年1月1日~2013年6月30日の間に抗糖尿病薬による治療を開始した97万2384例が解析の対象となりました。DPP-4阻害薬では、リナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチンが、GLP-1受容体作動薬ではエキセナチド、リラグルチドが含まれました。SU薬と比較したインクレチン関連薬の膵がん発症の補正ハザード比[HR]は、1.02(95%信頼区間[CI]: 0.84~1.23)であり、有意な差を認めませんでした。また、SU薬と比べて、DPP-4阻害薬(補正HR: 1.02、95%CI: 0.84~1.24)およびGLP-1受容体作動薬(補正HR:1.13、95%CI:0.38~3.38)の膵がん発症リスクは、いずれも同等でした。治療開始後の期間についても、インクレチン関連薬の膵がんリスクに有意な影響はありませんでした。この論文では、インクレチン関連薬に起因するがんが潜在している可能性があるため監視を継続する必要はあるものの、今回の知見によりインクレチン関連薬の安全性が再確認された、と結論付けています。 DPP-4阻害薬の中には、重要な基本的注意として「急性膵炎が現れることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐などの初期症状が現れた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること」とされているものもあります。なお、糖尿病患者さんでは、健康成人に比べて急性膵炎や膵がんの発症率が高いので6)、DPP-4阻害薬使用の有無にかかわらず、注意して観察する必要があります。―1日1回、1日2回、週1回の製剤はどのような基準で選べばよいのか、教えてください。 投与回数はアドヒアランスに影響しますので、まずは患者さんの服薬状況やライフスタイルによって選ぶとよいと思います。アドヒアランスは効果に反映します。毎日きちんと服薬できているような患者さんでは問題ありませんが、仕事が忙しく、どうしても飲み忘れてしまうという患者さんや、勤務時間がバラバラだったり、夜勤などもあって、服薬が習慣化できないような患者さんでは、1日2回より1日1回、1日1回よりは週1回のほうが飲み忘れが少なくなるかもしれません。―DPP-4阻害薬の各薬剤間に大きな違いはあるのでしょうか。どのように使い分けをすべきか、教えてください。 DPP-4阻害薬の使い分けについては、第2回 薬物療法のキホン(総論)―同グループ内での薬剤の選択、使い分けを教えてください。をご覧ください。1)Green JB, et al. N Engl J Med. 2015;373:232-242.2)Scirica BM, et al. N Engl J Med. 2013;369:1317-1326.3)Egan AG, et al. N Engl J Med. 2014;370:794-797.4)Yabe D, et al. Diabetes Obes Metab. 2015;17:430-434.5)Azoulay L, et al. BMJ. 2016;352:i581.6)Ben Q, et al. Eur J Cancer. 201;47:1928-1937.

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うつ病エピソードと緯度との関連とは

 カナダにおける緯度と年間のうつ病エピソードの有病率との関連について、カナダ・カルガリー大学のScott B Patten氏らが検討を行った。Canadian journal of psychiatry誌オンライン版2016年10月11日号の報告。 2つの全国調査プログラム(The National Population Health Survey、the Canadian Community Health Survey)のデータより、1996~2013年に収集した10個のデータセットを使用した。両プログラム合わせて回答者92万2,260例、そのうち49万5,739例はComposite International Diagnostic Interview1/2ショートバージョン(8研究)とCanadian adaptation of the World Mental Health version(2研究)を用いてうつ病エピソードを評価されていた。大まかな緯度は、郵便番号データとの連携により決定した。データは、ロジスティック回帰を用い分析し、個々レベルのメタ分析を用いて、調査全体でプールした。 主な結果は以下のとおり。・連続変数としての緯度経度標高モデルでは、有病率の増加と緯度の増加の間に統計学的に有意な関連が認められた。・この関連は、既知の危険因子で調整後も認められた。・緯度勾配は、あまり大きくなく、うつ病エピソード/緯度の有病率オッズで、1~2%の増加が観察された。・低密度なデータであったため、この勾配は、主要な人口重心を越えて一般化することができなかったが、北緯55度未満で発生する傾向があった。・本断面解析では、病因を確認することができず、光曝露、気象パターン、社会的要因のような潜在的な変数を評価することができなかった。関連医療ニュース 低緯度地域では発揚気質が増強される可能性あり:大分大学 性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大 出生地が双極性障害発症時期に影響

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統合失調症や双極性障害、ビタミンD欠乏の有病率は

 いくつかの研究において、ビタミンD低レベルと統合失調症との関連が示唆されている。現時点で、双極性障害患者におけるビタミンD欠乏症の有病率に関する研究のみが存在する。オランダ・Mental Health Care Organisation Noord-Holland-NoordのRemco Boerman氏らは、ビタミンD欠乏症は、統合失調症や統合失調感情障害患者より、双極性障害患者で一般的であるとの仮説と一般オランダ人よりも、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害患者で一般的であるとの仮説について検証を行った。なお、これまでの研究では入院患者を対象としていたが、本研究では唯一、外来患者を含み検討を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年9月21日号の報告。 双極性障害センターおよび3つのフレキシブル包括型地域生活支援チームのすべての外来患者に対し、本横断的研究への参加を依頼した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者118例、統合失調症または統合失調感情障害患者202例が研究に参加した。・ビタミンD濃度は、30.3%の患者で欠乏していた(95%CI:25.5~35.6)。・精神疾患の種類は、ビタミンD欠乏症の予測因子ではなかった。・試験集団とオランダ白人集団の欠乏リスクの絶対差は23.8%であった(95%CI:18.3~29.3%)。・精神疾患外来患者のビタミンD欠乏症は、一般集団と比較し4.7倍多かった。 結果を踏まえ、著者らは「双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害患者では、ビタミンDレベルが低い危険性が高く、骨、筋力の健康維持や骨粗しょう症予防の観点から、年1回の定期的測定が重要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学 統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証

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果物摂取と胃がんリスクが逆相関~日中韓での研究

 果物・野菜の摂取と胃がんリスクとの関連について疫学的な知見は一貫していない。北京大学のTianyi Wang氏らは、日本・中国・韓国において前向き試験のプール解析を行った結果、果物の摂取量が多いと非噴門部胃がんリスクが低下する可能性を報告した。International journal of cancer誌オンライン版2016年10月19日号に掲載。 著者らは、ベースライン時に血液サンプル・人口統計関連・ライフスタイル・食事に関するデータを収集したHelicobacter pylori Biomarker Cohort Consortiumから、プロスペクティブに確認された非噴門部胃がん症例810例およびマッチさせた対照群1,160例を解析した。また、総エネルギー摂取量・喫煙・H. pylori感染状態を調整した条件付きロジスティック回帰を用いて、コホートや性別ごとの果物・野菜の摂取量における四分位での胃がんリスクのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・果物の摂取量の増加は、非噴門部胃がんのリスク低下と関連していた(OR:0.71、95%CI:0.52~0.95、傾向のp=0.02)。・CagA陽性H. pyloriに感染した果物の低摂取者に対する、H. pylori抗体が証明されていない高摂取者の胃がん発症率のオッズ比が最も低く(OR:0.12、95%CI:0.06~0.25)、胃がん発症率と果物高摂取との逆相関はCagA陽性H. pyloriの感染例において弱かった(OR:0.82、95%CI:0.66~1.03)。・野菜の摂取量と非噴門部胃がんリスクとの間には、非用量-反応を示唆する弱い逆相関が認められた。

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禁煙時は周囲の理解者を味方に

禁煙がうまくいかないときのチェックポイント確認しよう 5つの E⑤ ENCOURAGE(応援)応援(Encourage)してくれる人を味方にしましょう! ご家族や友人にあなたの禁煙を応援してもらいましょう。 もちろん医師や看護師もあなたを応援しています!禁煙を知って、からかったり邪魔したりする人もいます。でも、そんな人にもきちんと説明すればあなたの心強い応援団になってくれるかもしれません!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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複雑なPCI症例ではDAPTを延長すべきか?

 薬剤溶出ステント(DES)留置を行った複雑な経皮的冠動脈形成術(PCI)後、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の最適期間は定まっていない。Gennaro Giustino氏ら研究グループは、PCIの複雑性に応じ、短期間(3~6ヵ月)と長期間(12ヵ月以上)におけるDAPTの有効性および安全性を比較検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2016年10月25日号に掲載。6つの無作為化コントロール試験から患者データを抽出 研究グループは、PCI後のDAPTの期間を調査した6つの無作為化コントロール試験に基づく患者データを用いた。複雑なPCIとは、以下に挙げた特徴を少なくとも1つ以上有するものと定義した。すなわち、(1)3つ以上の冠動脈を治療、(2)3つ以上のステント留置、(3)3つ以上の病変を治療、(4)分枝病変で2つのステントの留置、(5)ステントの全長が60mmより長い、(6)慢性完全閉塞、である。1次エンドポイントは心臓死、心筋梗塞、もしくはステント血栓症の複合イベントで定義された主要心血管イベント(MACE)とした。安全性に関する主要評価項目は、大出血イベントとした。主要な解析手法として、Intention-to-treatが用いられた。9,577例の患者データを解析、85%が新世代DES PCIの手技に関する変数が入手可能な患者データ9,577例を解析したところ、1,680例(17.5%)が複雑なPCIを受けていた。全体として、85%の患者が新世代のDESを留置されていた。平均追跡期間の中央値392日(四分位範囲:366~710日)で、複雑なPCIを受けた患者はMACEのリスクが高かった(調整ハザード比[HR]:1.98 、95%信頼区間[CI]:1.50~2.60、p<0.0001)。長期間DAPTで複雑なPCI群においては、MACEを有意に減少させた(調整HR:0.56、95%CI:0.35~0.89)。一方、長期間DAPTで複雑ではないPCI群においては、MACEを有意に減少させなかった(調整HR:1.01、95%CI:0.75~1.35、交互作用のp=0.01*)。*長期間DAPTの使用に関して、複雑なPCIにおいてはMACEの減少につながるということを示している。長期間DAPTのベネフィットは手技の複雑性と比例する 長期間DAPTのベネフィットは、手技の複雑性が増すほど大きくなっていた。また、長期間DAPTは大出血リスクが高かったが、PCIの複雑性にかかわらず同等であった(交互作用のp=0.96)。これまでにわかっている臨床上のリスクに加えて、手技の複雑性もDAPTの継続期間の決定因子として考慮されるべき重要なパラメーターといえる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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失神患者の6人に1人はPEか?NEJMのデータを深読みする(解説:香坂 俊 氏)-605

 NEJM誌に発表された、イタリアの失神患者に関する横断研究(PESIT研究)の結果が議論を呼んでいる。この研究は示唆に富むものであるが、適切に解釈するために(わが国での診療の現状を踏まえると)いくつか注意すべきことがあるように思われる。よりこの研究内容を深く理解するため、とくに下記3点は、抑えておいてもよいのではないか?1. プロトコール通りに失神精査を行っているか?今回の研究では、まず2014年欧州ガイドラインの内容に準じて詳細に問診と身体所見を撮ることとなっている。リストにするとこんな感じだ(英文部はすべて論文のMethodsから抜粋)。●神経調節性失神などコモンな病態をきちんと除外しているか?A medical history was obtained that included the presence of prodromal symptoms of autonomic activation (sweating, pallor, or nausea), the presence of known cardiac disease, recent bleeding, causes of volume depletion or venous pooling, and recent exposure to new or stronger hypotensive drugs or drugs that could potentially cause bradycardia or tachycardia. ●静脈血栓症に関する危険因子を余さず聴取しているか?In addition, study physicians asked patients about symptoms (pain and swelling) in their legs and recorded the presence of risk factors for venous thromboembolism, including recent surgery, trauma, or infectious disease within the previous 3 months; ongoing hormonal treatment; prolonged immobilization of 1 week or longer; active cancer; and history of venous thromboembolism.●心臓性失神のワークアップを適切に行っているか?Patients were evaluated for the presence of arrhythmias, tachycardia (i.e., heart rate >100 beats per minute), valvular heart disease, hypotension (i.e., systolic blood pressure 20 breaths per minute), and swelling or redness of the legs. All patients underwent chest radiography, electrocardiography, arterial blood gas testing, and routine blood testing that included a D-dimer assay. Further diagnostic workup included carotid sinus massage, tilt testing, echocardiography, and 24-hour electrocardiography recording, if applicable.ざっと見ていただいてわかるように、かなり失神について網羅的な問診や身体所見、そして検査が行われている。しかし、その内容は日本式の検査結果を前面に出したものではなく、欧米式の詳細な問診と身体所見の取得を前提としたものである。このことをはたして忙しい日本の病院の救急外来や通常外来で行い得るだろうか?そして、しばしば560例の失神患者のうち97例にPEが見つかった、と紹介されるこの研究であるが、上記を踏まえるとこれは事実ではない。実際は論文中の Figure 1(下記)にある通り、実に2,584例の失神患者が登録されており、これらの患者が上記のプロセスを経て、560例が明確な診断がなく入院し、そのうち97例にPEが見つかったのである。こうした背景を踏まえた解釈を行わないと、造影CTばかりをオーダーしその挙句に「まったくPEが見つからないではないか!」という誤解を生みかねない。あらためて全体を俯瞰してみると、すべての失神患者を母集団とするPEの率というのは97/560(17.3%)ではなく、97/2584となり、実は3.7%にすぎないのである。2. PE/DVTのModified Wells Criteriaを把握しているか?PESIT研究のプロトコールでは、上記のようなプロセスを経て「明確な診断なく入院となった失神患者」を対象としている。そして、さらに細かいことではあるが、その後もModified Wells Criteria(とD-dimer値)に基づいて、PEの可能性が高いか低いかを判断している。そして、この段階で低いと判断された330例(58.9%)については、PEのワークアップは行っていないのである。つまり、●まず1で述べたような標準的な失神のワークアップを行い、入院させる必要があるかどうかを判定●さらにそこからModified Wellsを用いてPEに焦点を当てた術前診断確率を計算する●そして、ある程度PEの可能性がある患者のみに検査(造影CTやV/Qスキャン)を行うということで、ようやく6例に1例(17.3%)という数値にたどりつける。「入院した失神患者」という枠内でもきちんと頭を使うことは必要で、ここでも無分別に造影CTをオーダーしてしまうと「PEが見つからない!」という誤謬に陥ることとなる。3. この研究には実はコントロールがないが、そのことをどう解釈するか?この点が最も識者の意見を分けるところではないだろうか?上記のプロトコールに沿ってPEを見つけたとして、それが失神の原因であると言い切ることができるか。うがった言い方をすれば、この研究は「失神で入院し、従来からの評価法でPEのリスクが高い患者に検査を行ったところ、やはりPEがたくさん見つかった」というようにも解釈できる。もしかすると失神ではなく、「動悸」の患者で同じ研究を行っても同じことになるかもしれない。あるいはまったく関係のない「検査入院」の患者さんではどうだろうか?また、今回のPEの診断で条件となったのが「The criterion for the presence of pulmonary embolism was an intraluminal filling defect on computed tomography」という存外単純な所見にすぎない。こうしたところも1つ批判の材料となりそうである。以上3点、この横断研究を解釈する際の注意点を挙げた。ただ、今回のこのPESIT研究が横断研究の1つの到達点であることは間違いない。現行のガイドラインに沿ってEvidence-Basedに診断のプロセスを進め、それでも判断がつかないところに確定的な検査を行い、これまで「ふわっ」としていたところにきちんとした数値を出すという姿勢は見習いたいと思っている。なにしろ、下手な教科書を読むよりもこの論文を読んだほうが現代的な失神の診断の進め方には詳しくなれそうではあるし、ヨーロッパでの現実的な失神の原因の割合というものも把握することができる。横断研究ならではの本質的な限界はあるにせよ、失神のことで日ごろ悩まれている方には議論のたたき台として一読する価値があるのではないか。

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初回エピソード統合失調症、治療中止の理由は

 初回エピソード統合失調症では、1年間の抗精神病薬治療による寛解が推奨される。英国・Brighton and Sussex Medical SchoolのRichard Whale氏らは、初回エピソード統合失調症で一般的に使用される抗精神病薬の有効性を調査した。BJPsych open誌2016年9月号(オンライン版2016年10月10日号)の報告。 英国の7施設より得られた、通常治療を行った初回エピソード統合失調症患者460例を対象としたレトロスペクティブコホート研究を行った。ケースファイルより、初回治療後の全原因による中止を評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療中止リスクは、治療開始後3ヵ月以内が最大であった。・リスペリドンは、生存中央期間の最大値を有していた。・多変量Cox回帰分析では、治療中止は、抗精神病薬間で有意な差は認められなかった。・治療中止の最も一般的な理由は、アドヒアランス不良と有効性の欠如であった。 著者らは「初回エピソード統合失調症患者における治療中止理由は、抗精神病薬の選択による有効性には依存しない。アドヒアランス戦略や有害事象の可能性に焦点を当てるべきである」としている。関連医療ニュース 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る

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循環器内科 米国臨床留学記 第14回

第14回 保険会社によって決まりかねない患者の命保険に加入しているか? 保険会社はどこか?アメリカで臨床をするにあたり、患者が入院したらまず確認しなければならないのは、保険に入っているのか、保険会社はどこか、ということです。オバマケアが始まり、保険への加入率が上昇したとはいえ、未加入の患者もまだまだ大勢います。また、保険に加入していても、保険の種類によっては患者の命に影響を及ぼすこともあります。先日受け持った患者は、緊急の開心術が必要になりましたが、当院に心臓血管外科医が不在で手術ができず、転送が必要となりました。少し難しい手術でしたので、ロサンゼルスにあるその分野で有名な病院に相談したところ、快く引き受けてくれることになりました。ところが、土壇場で保険会社がその病院をカバーしていないことがわかり、転送が不可能になりました。保険会社がカバーしている病院は3つあり、そのうち2つの病院には、自分たちには難し過ぎるという理由で断られました。結局、サンディエゴにあるUC サンディエゴ(UCSD) が唯一の選択肢となりました。しかしUCSDもすぐには受け入れられず、家族もオレンジカウンティーにあるUC アーバイン(UCI)から150kmほど離れたサンディエゴへの転送に難色を示し、家族会議後に決定すると伝えてきました。そうこうしているうちに2日が経ち、ついにその患者は脳梗塞を起こして脳死状態に陥りました。結局、手術適応ではなくなり亡くなってしまいました。最初からロサンゼルスの病院に転送できていれば、助かった可能性が高いと思われたケースです。HMOグループの躍進近年、HMO(Health Maintenance Organization)という会員制医療保険組織ともいえるヘルスケアシステムがカリフォルニア州で躍進しています。なかでも代表的なものはKaiser Permanenteと呼ばれるグループです。HMOに加入すると、それぞれのグループが契約する医療機関でしか医療を受けられません(Kaiser Permanenteの加入者ならば、同グループの契約医療機関)。また、患者は専門医に直接かかることはできず、プライマリケア医から紹介してもらう必要があります。こうした制限がある一方で、治療を受けた際の自己負担額には一定の上限などが設けられ、大きな手術などを受ける場合は患者の自己負担が安く抑えられます。あるHMOに加入している患者が自分の病院に緊急受診した場合、われわれ医療者側も注意が必要です。なぜなら、緊急性のない治療を行うと病院の“持ち出し”になることがあるからです。たとえば、HMOの保険を持つ患者が私の勤務するUCI付近で胸痛を訴えた場合、緊急性があるためUCIに運ばれます。急性心筋梗塞と診断された場合、責任病変に対する冠動脈インターベンションの費用は、加入しているHMOの保険でカバーされます。しかし、ほかにも治療すべき病態がある場合や、バイパス術が必要な場合、また、心不全など入院治療の継続が必要な場合は治療を行うかどうかの判断が必要となります。たとえば、責任病変以外にも狭窄がある場合(比較的安定している)、通常ならばそのまま入院し、2回目の冠動脈形成術を後日行うでしょう。ところが、転送可能であるにもかかわらず、転送せずに緊急性のない手技を行ったとしたら、HMOの保険会社が支払いを拒否します。結局、残りの冠動脈病変は転送してから加入しているHMOの病院で行われます。実際、HMOグループがわれわれの病院に電話をかけてきて「いつになったら転送できるのか」とプレッシャーをかけてきます。薬に関しても、比較的新しい抗血小板薬であるticagrelor(チカグレロル)や直接作用型経口抗凝固薬も保険会社によっては認められていないため、使用を断念することがあります。保険会社にコントロールされることなく、また保険の種類や有無に関係なく、平等な医療が受けられる日本のシステムは素晴らしいと思います。ただし、いつまでも破綻しないならば…という条件付きですが。

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腎細胞がんの術後補助療法、スニチニブで予後改善/NEJM

 腎摘除術後の再発リスクが高い腎細胞がん患者の術後補助療法において、スニチニブは良好な予後をもたらすことが、フランス・Saint Andre病院のAlain Ravaud氏らが実施したS-TRAC試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。転移性腎細胞がんの予後は過去10年改善されておらず、この間にサイトカイン療法、放射線療法、ホルモン療法などによる術後補助療法が試みられたが、再発率の抑制には成功していない。血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬であるスニチニブは、転移性腎細胞がんに対する有効性が確認されている。再発予防効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 S-TRACは、腎摘除術後の高再発リスク局所領域腎細胞がん患者の再発予防におけるスニチニブの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Pfizer社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、University of California Los Angeles Integrated Staging System(UISS)の改訂判定基準で局所領域腎細胞がん(Stage 3以上または領域リンパ節転移陽性、あるいはこれらの双方)と診断され、組織学的に淡明細胞型腎細胞がんが証明された患者であった。 被験者は、スニチニブ(50mg/日、経口)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。治療は、4週投与/2週休薬のスケジュールで1年間の投与が終了するまで、あるいは再発、許容できない毒性の発現、患者の希望で中止となるまで行われた。 主要評価項目は盲検化された中央判定による無病生存(DFS)であり、副次評価項目には担当医判定DFS、全生存(OS)、安全性などが含まれた。DFSは、割り付け時から初回再発、転移、2次がん、死亡が発現するまでの期間と定義した。 2007年9月19日~2011年4月7日の間に、21ヵ国99施設に615例が登録され、スニチニブ群に309例、プラセボ群には306例が割り付けられた。DFS期間中央値が1年以上延長、Grade 3/4の有害事象は高頻度 ベースラインの年齢中央値は、スニチニブ群が57.0歳(範囲:25~83)、プラセボ群は58.0歳(同:21~82)、男性がそれぞれ71.8%、74.8%を占めた。腫瘍部位は両群とも左・右腎が約半数ずつだった。フォローアップ期間中央値は両群とも5.4年。 中央判定によるDFS期間中央値は、スニチニブ群が6.8年と、プラセボ群の5.6年に比べ有意に優れた(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.59~0.98、p=0.03)。 担当医判定DFS期間中央値は、スニチニブ群が6.5年、プラセボ群は4.5年であり、両群間に有意な差は認めなかった(HR:0.81、95%CI:0.64~1.02、p=0.08)。OS期間中央値には未到達だった。 スニチニブ群で頻度の高い有害事象として、下痢(56.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(50.3%)、高血圧(36.9%)、疲労(36.6%)、悪心(34.3%)などが認められた。 Grade 3(48.4 vs.15.8%)および4(12.1 vs.3.6%)の有害事象の頻度は、スニチニブ群が高かった。重篤な有害事象の発現率は両群でほぼ同等で(21.9 vs.17.1%)、治療関連死は認めなかった。有害事象による減量(34.3 vs.2.0%)、治療中断(46.4 vs.13.2%)および治療中止(28.1 vs.5.6%)は、スニチニブ群のほうが高頻度であった。 EORTC QLQ-C30のほとんどの項目は、スニチニブ群のスコアが低かった(QOLが劣る)が、事前に規定された臨床的に意味のある差(10点)を超えたのは、下痢(12点差、p<0.001)および食欲喪失(10.0点差、p<0.001)のみであった。同様に、EQ-5D、EQ-VASのスコアもスニチニブ群が有意に低かったが、臨床的に意味のある差には達していなかった。 著者は、「術後補助療法としてのスニチニブの長期的な有用性を確定するには、さらなる検討を要するが、5年時のDFS率に8%の差(59.3 vs.51.3%)がみられたことから、術後スニチニブ1年投与の効果は、その後も経時的に維持されていたと考えられる」と指摘している。

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接触皮膚炎治療に有望視される開発中のJAK阻害薬

 サイトカインのシグナルを伝達するヤヌスキナーゼ(JAK)の阻害が、接触皮膚炎のような炎症性皮膚疾患の治療手段となりうる可能性が報告された。京都大学の天野 渉氏らがマウスを用いた実験において、JAK阻害薬JTE-052は抗原特異的T細胞活性化とその後の接触過敏症のような皮膚の獲得免疫に対して抑制作用を示すことを明らかにした。Journal of Dermatological Science誌オンライン版2016年9月13日号掲載の報告。 研究グループは、炎症性皮膚疾患に対するJAK阻害薬の作用部位を明らかにする目的で、マウス皮膚炎モデル(接触過敏症、刺激性接触皮膚炎を含む)を用い、JAK阻害薬JTE-052の作用メカニズムを分析した。 耳組織またはリンパ節から分離した細胞をフローサイトメトリーで分析するとともに、培地のサイトカイン量をELISAまたはビーズアレイシステムで測定した。また、3Hチミジン取り込みの測定により、リンパ細胞の増加を評価した。 主な結果は以下のとおり。・JTE-052の経口投与は、感作相および惹起相のいずれにおいても接触過敏症を減弱したが、クロトンオイルで誘発された刺激性接触皮膚炎には影響を及ぼさなかった。・JTE-052は、in vitroで、抗原提示によるT細胞の増殖と活性化を強く阻害し、T細胞移動を抑制することなく、感作リンパ球の移入モデルにおいて皮膚炎を軽減した。・JTE-052は、ハプテンで誘発された流入領域リンパ節への樹状細胞の遊走、あるいはそれらの共刺激分子の発現には影響を及ぼさなかった。

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StageIII悪性黒色腫の術後補助療法にイピリムマブは有用/NEJM

 切除後の高リスクStage III悪性黒色腫の術後補助療法として、イピリムマブは一定の有害事象の負担はあるものの無再発生存(RFS)期間を10ヵ月以上延長し、全生存(OS)の改善をもたらすことが、フランス・Gustave Roussy Cancer Campus Grand ParisのAlexander MM Eggermont氏らが進めるEORTC 18071試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月8日号に掲載された。イピリムマブは、T細胞上のCTLA-4に選択的なIgG-1の完全ヒト型モノクローナル抗体で、進行悪性黒色腫の治療薬(3mg/kg)として、2011年、欧米で承認を得ている。その後の第II相試験では、用量0.3および3mg/kgに比べ10mg/kgの効果が優れることが報告されている。術後10mg/kg投与の有用性をプラセボ対照無作為化試験で評価 EORTC 18071は、根治切除後のStage III悪性黒色腫の術後補助療法において、イピリムマブの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Bristol-Myers Squibb社の助成による)。 すでに、このレジメンは、フォローアップ期間中央値2.7年時の結果(RFSのハザード比[HR]:0.75、p=0.001)に基づき、2015年に米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ており、今回は、中央値5.3年の解析結果が報告された。 対象は、年齢18歳以上、組織学的に皮膚悪性黒色腫が確認され、Stage IIIA(1つ以上の>1mmの転移を有するリンパ節が1個のみ)、IIIB、in-transit転移(原発巣から2cm以上離れ、最も近いリンパ節までの間に存在する転移巣)がないIIICの患者で、根治的領域リンパ節切除術を施行された者であった。 被験者は、イピリムマブ(10mg/kg、静注)を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。治療は、3週ごとに4回投与後、3ヵ月ごとに最長3年間、またはこの間に再発するか、許容できない毒性が発現するまで行われた。 主要評価項目はRFS、副次評価項目にはOS、無遠隔転移生存(DMFS)、安全性が含まれた。RFSは、割り付け時から初回再発(局所、領域、遠隔転移)および全死因死亡が発現するまでの期間と定義した。 2008年7月~2011年8月までに、19ヵ国99施設に951例が登録され、イピリムマブ群に475例、プラセボ群には476例が割り付けられた。5年RFS、OS、DMFSが約10%改善、Grade 3/4有害事象は高頻度 ベースラインの年齢中央値は、イピリムマブ群が51歳(範囲:20~84)、プラセボ群は52歳(同:18~78)、男性がそれぞれ62.3%、61.6%を占めた。リンパ節転移数は、1個がイピリムマブ群45.7%、プラセボ群46.2%、2/3個がそれぞれ34.3%、33.2%、4個以上は20.0%、20.6%であり、潰瘍形成はそれぞれ41.5%、42.6%に認められた。 5年RFS率は、イピリムマブ群が40.8%と、プラセボ群の30.3%に比べ有意に優れた(HR:0.76、95%信頼区間[CI]:0.64~0.89、p<0.001)。RFS期間中央値は、それぞれ27.6ヵ月(95%CI:19.3~37.2)、17.1ヵ月(95%CI:13.6~21.6)だった。 5年OS率は、イピリムマブ群が65.4%であり、プラセボ群の54.4%よりも有意に良好であった(HR:0.72、95.1%CI:0.58~0.88、p=0.001)。 また、5年DMFS率は、イピリムマブ群が48.3%と、プラセボ群の38.9%よりも有意に良好であった(HR:0.76、95.8%CI:0.64~0.92、p=0.002)。DMFS期間中央値は、それぞれ48.3ヵ月(95%CI:35.5~71.6)、27.5ヵ月(95%CI:21.9~34.8)だった。 Grade 3/4の有害事象の発現率は、イピリムマブ群が54.1%であり、プラセボ群の26.2%に比べて高かった。Grade 3/4の免疫介在性有害事象も、それぞれ41.6%、2.7%と、イピリムマブ群の頻度が高かった。 イピリムマブ群で最も頻度の高いGrade 3/4の免疫介在性有害事象は消化器系(16.1%)で、次いで肝臓(10.8%)、内分泌系(7.9%)の順であり、免疫介在性有害事象による死亡が5例(1.1%)認められた。 著者は、「今回のアップデート解析では、毒性という代償はあるが、以前に観察されたRFSの延長が確証され、これがOSおよびDMFSの改善に転化していることが示された」とまとめ、「有害事象の多くは一過性であった」としている。

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冠動脈de novo病変に対する「ステントレスPCI」

 薬剤溶出ステント(以下、DES:Drug Eluting Stent)の再狭窄率は低い。しかし、ステント血栓症、ステントフラクチャー、neo-atherosclerosisなどいくつかの問題が残る。一方、バルーン単独の経皮的冠動脈インターベンション「ステントレスPCI」はいまだに根強く、薬物溶出バルーン(DCB:Drug Coated Balloon)の臨床応用により注目されており、その有効性を支持する臨床試験もある。獨協医科大学 循環器内科の西山直希氏らは、de novo冠状動脈狭窄病変の治療におけるDCBの有効性を評価することを目的とした研究を行っている。International Journal of Cardiology誌2016年11月1日号の報告。 2014年5月~15年6月に待機的な経皮的PCIを受けた慢性冠動脈疾患患者から透析患者、再狭窄患者、重度石灰化、左主幹部、慢性完全閉塞病変を除外した60例を登録し、無作為にステントレス群(n=30)とステント群(n=30)に割り付けた。ステントレス群では初期拡張で至適径に拡張できた患者にDCBを施行、拡張できなかった患者にはDESを用いた。ステントレス群の3例はステント留置となり、結果的に、ステントレス群27例、ステント群33例となった。評価項目は8ヵ月後の標的病変再血行再建(TLR:Target Lesion Revascularization)率および晩期内腔損失(Late Lumen Loss)である。 主な結果は以下のとおり。・TLR率は両群で同等であった(ステントレス群:0.0%、ステント群:6.1%、p =0.169)。・PCI直後の最小血管径(MLD:Minimal Lumen Diameter)と初期獲得径(Acute gain)はステントレス群で有意に小さかった(MDLはステントレス群:2.36mm±0.46、DES群:2.64mm±0.37、p=0.011、Acute Gainはステントレス群:1.63±0.41mm、DES群:2.08±0.37mm、p<0.0001)。・しかし、PCI後8ヵ月のMLDおよびLate Lumen Lossについては、両群で有意な差はなかった(MLDは2.12±0.42mm vs. 32±0.52mm、p=0.121、Late Lumen Loss は0.25±0.25mm vs. 0.37±0.40mm、p=0.185)。 ケアネットの取材に対し、西山氏と共著者の小松孝昭氏、田口功氏は以下のように述べた。現在の試験の状況は? 登録数は倍以上となっている。しかしながら、DCBによるステントレスPCI群での再狭窄例は依然としてゼロである。実臨床でステントレスPCIの適応となる割合はどの程度? 透析患者、重度石灰化、左主幹部、慢性完全閉塞病変、病変長30mm以上などの病変は除外しているが、現在ではde novo症例の4割を超えている。初期拡張に用いるバルーンは? NSEバルーンを用いている。スコアリングによりプラークに亀裂を入れることで、解離ができずきれいに拡張できる。また、炎症も少なく再狭窄の予防につながると考えている。ステントレスPCIのメリットはどのようなものか? ステントという異物を入れることで、ステント血栓症や長期的にはステントに起因するneo-atherosclerosis、またステントフラクチャーによるイベントの可能性もある。ステントを入れないで済む患者にはDCBを用いることで、このようなイベントを避けることができると考えられる。また、抗血小板薬の減量または中止が可能であることもステントレスPCIのメリットだと考えられる。 バルーンで拡張し、ステントを留置するというのが現在のPCIの一連の流れであるが、その中にステントを入れないで済む患者が存在する。DES時代の中、これからもステントレスPCIの有用性を評価して臨床応用につなげていくべきであろう。それは、患者さんのQOLおよび予後の改善につながると考えられる、と田口氏は言う。

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脳梗塞血栓除去療法:治療までの時間と転帰―メタ解析(解説:中川原 譲二 氏)-604

 第2世代デバイスを用いた血栓除去療法は、頭蓋内の大血管閉塞による虚血性脳卒中患者に対して有益である。治療までの時間と転帰との関係図式は、治療実施をガイドするために役立つ。本研究は、血栓除去療法が有益である期間、および治療遅延が機能的転帰、死亡、症候性頭蓋内出血と関係する範囲を特定することにある。研究結果は、JAMA誌2016年9月27日号に掲載された。 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJeffrey L. Saver氏らの研究グループは、2016年7月1日までに発表された、ステント型脳血栓回収機器やほかの第2世代血栓除去デバイスを用いた第III相無作為化比較試験について、患者データをプールし、メタ解析を行った。選択された5試験には、89ヵ所の国際的医療機関の被験者1,287例が登録された。 血栓除去療法+薬物療法を実施した場合と、薬物療法のみの場合について転帰を比較した。主要評価項目は、3ヵ月後のmodified Rankin Scale(mRS、0~6)とし、mRSの分布順位のシフトを捉えるための共通オッズ比(cOR)で分析した。副次的評価項目は、3ヵ月後の機能的自立度、3ヵ月までの死亡率、症候性出血性変化とした。転帰は発症から動脈穿刺までの時間が長くなるほど低下 被験者のうち、血栓除去療法と薬剤療法を行ったのは634例(血栓除去療法群)、薬物療法のみは653例(薬物療法群)だった。被験者の平均年齢は66.5歳、女性は47.0%だった。 発症からランダム化までの時間は196分(四分位範囲、142~267)であった。血栓除去療法群では、発症から動脈穿刺までの時間は238分(同:180~302)、発症から再灌流までの時間は286分(同:215~363)だった。 90日後の平均mRSスコアは、薬物療法群が3.6(95%CI:3.5~3.8)に対し、血栓除去療法群は2.9(同:2.7~3.1)と、障害の程度は有意に低かった。 血栓除去療法によって90日後に障害の程度がより良好となる転帰のオッズ比は、発症から動脈穿刺までの時間が長くなるほど低下した。同時間が3時間では、共通オッズ比は2.79(95%CI:1.96~3.98)、アウトカムがより良好となる確率の絶対差は39.2%だったのに対し、同時間が6時間では、それぞれ1.98(95%CI:1.30~3.00)、30.2%に、また8時間では1.57(95%CI:0.86~2.88)、15.7%だった。なお、同時間が7時間18分までは、血栓除去療法群が薬物療法群よりアウトカムが有意に良好だった。 血栓除去療法によって十分な再灌流を達成した390例についてみたところ、再灌流が1時間遅れることによって、障害の程度が良好になる可能性は減り(共通オッズ比:0.84[95%CI:0.76~0.93]、絶対差:-6.7%)、機能的自立度も低下した(共通オッズ比:0.81[95%CI:0.71~0.92]、絶対差:-5.2%[95%CI:-8.3%~—2.1%])。 しかし、死亡率は同程度だった(オッズ比:1.12[95%CI:0.93~1.34]、絶対差:1.5%[95%CI:-0.9%~4.2%])。血栓除去療法の有益性は、7.3時間以降は認められない 大血管性の虚血性脳卒中患者についてメタ解析を行った結果、早期の血栓除去療法+薬物療法は、薬物療法のみの場合に比べて、3ヵ月後の障害の程度は有意に低かった。ただし、7.3時間以降に実施した場合には、その有益性は認められなかった。本邦においても、包括的脳卒中センターの整備が必須 頭蓋内の大血管閉塞による虚血性脳卒中患者に対する第2世代デバイスを用いた血栓除去療法は、エビデンスレベルの高い治療法として確立したといってよい。しかし、その有益性は、発症からの時間に依存しており、早ければ早いほど良好な機能的転帰が得られる。すなわち、発症→搬送→診断→治療までの対応が血栓溶解療法以上に迅速でなければならない。本研究で取り上げられた5試験は、いずれも高度急性期脳卒中診療を24時間提供できる包括的脳卒中センター(国際的医療機関)において実施されており、本邦において、血栓除去療法を本格的に普及させるためには、包括的脳卒中センターを一定規模の地域に整備することが必須である。

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TCT 2016開催地、ワシントンD.C.のおすすめスポット

ケアネットでは、TCT2016に参加される先生方に、開催地ワシントンD.C.を楽しんでいただけるよう、米国メリーランド州に留学経験のある矢作和之氏(三井記念病院 循環器内科)にもご協力いただき、おすすめの観光名所やレストランなどの情報を集めましたのでご紹介します。ワシントンD.C.はアメリカ合衆国の首都であり、ホワイトハウスをはじめとし、多くの観光スポットがあります。また、世界中から多くの人が訪れるため、本格的な各国料理を楽しめるのも特徴です。TCT 2016注目の演題はこちら矢作氏おすすめ観光スポット5選矢作氏おすすめレストラン、その他会場周辺レストラン一覧ショッピング情報矢作氏おすすめ観光スポット5選ホワイトハウス(White House)米国大統領の官邸。表からみることもできますが、裏からみたほうがホワイトハウスを近くにみることができます。大統領がいるときは、星条旗が掲げられているそうです。[住所] 1600 Pennsylvania Avenue NW, Washington, D.C. 20500ワシントン記念塔(Washington Monument)初代大統領 ジョージ・ワシントンの偉業を称える記念塔。ワシントンD.C.の景色・夜景が一望できます。展望台に登るには、予約が必須。[住所] 2 15th St. NW, Washington, D.C. 200024リンカ―ン記念堂(Lincoln Memorial)/国会議事堂(U.S. Capitol) ナショナルモールの西側にあるのがリンカーン記念堂で、東側にあるのが国会議事堂です。その間は約4kmあり、広大な緑地帯になっています。休日には多くの人が散歩やランニングをしたり、また家族でのんびり過ごしたりしています。[住所] 2 Lincoln Memorial Circle, NW, Washington, D.C. 20002/East Capitol St NE & First St SE, Washington, D.C. 20004タイダルベイスン(Tidal Basin)ポトマック川沿いにある池。春は池の周囲に植えられた桜並木でとても綺麗なスポット。実はこの桜は日本から贈られたもの。この時期は桜をみることはできませんが、池では手漕ぎボートなどにも乗れ、学会の途中の気分転換に行くのもいいかもしれません。[住所] 1501 Maine Ave, SW, Washington, D.C. 20024スミソニアンエリア おすすめ博物館・美術館(Smithsonian Museum)ナショナルギャラリー(National Gallery of Art)石油や鉄鋼などで財を成したアンドリューメロン氏が13~19世紀の絵画や彫刻、美術品を買い求め、彼の死後、今までのコレクションを国に寄付することから始まった美術館。運営、維持費は国家予算から支出されているものの、美術品の購入に関して、国は一切お金を出していないそうです。コレクション総数は11万6,000点にも達します。[住所] 6th and Constitution Avenue NW, Washington, D.C. 20565国立自然史博物館(National Museum of Natural History)スミソニアンで最も古い博物館で100年の歴史があります。博物館のコレクションは約1億2,650万点で、世界最大の博物館といえます。入り口を入ってすぐの巨大なアフリカ像は迫力があり圧巻です。[住所] 10th St. & Constitution Ave. NW, Washington, D.C. 20560国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)世界各国の航空機が展示されています。最大の魅力は、展示物に燃料を補給すればすぐにでも稼働できる状態で陳列されていることです。また、この博物館にはあの有名な日本が生み出したゼロ戦(三菱零式艦上戦闘機52型A6M5)が展示されています。[住所] Independence Ave at 6th St, SW, Washington, D.C. 20560レストラン情報<ステーキ、ハンバーガー>(せっかくアメリカに来たのだから本場のステーキを!)BLT STEAK今はやりのTボーンステーキを味わえる人気店。[住所] 1625 I St. NW(bet. 16th & 17th Sts.), Washington, D.C. 20006[TEL] 202-689-8999Shake Shackニューヨークで大人気のハンバーガーショップ。日本でも表参道に開店するなど、とても有名。日本では行列必至ですが、ワシントンD.C.ならあまり行列がなく食べられるかもしれません。Five Guys Burgers and Fries日本未上陸のハンバーガー屋さん。とてもアメリカらしいハンバーガー。がっつりいきたいときは、パテはダブルで。<シーフード>Captain White's Seafood City (Fish market)生牡蠣など、とても新鮮なシーフードを味わえるお店。[住所] 1100 Maine Ave. SW, Washington, D.C. 20024[TEL] 202-484-2722<和食>(やっぱり、アメリカでも和食が食べたくなりますよね)寿司太郎オバマ大統領も来店したことのある、とても有名なお寿司屋さん。おいしいお寿司が味わえます。[住所] 1503 17th Street, NW, Washington, D.C. 20036[TEL] 202-462-8999寿司キャピトルキャピトルヒルにあるお寿司屋さん。周辺はとても賑わっています。[住所] 325 Pennsylvania Ave SE, Washington, D.C. 20003[TEL] 202-627-0325寿司幸中心部から北部に20分程度の所にありますが、おいしい和食が味わえます。雰囲気もいいです。[住所] 5455 Wisconsin Avenue, Chevy Chase, MD 20815[TEL] 301-961-1644居酒屋関日本の居酒屋をそのままアメリカで味わえる数少ないお店の中の1つ。[住所] 1117 V St. NW, D.C.[TEL] 202-588-5841(予約は5~8名の団体のみ可)Sakedokoro Makotoメニューはコース料理でこだわりの和食屋さん。ドレスコードあり。中心部からはタクシーで。[住所] 4822 MacArthur Blvd NW, Washington, D.C. 20007[TEL] 202-298-6866<ラーメン>DAIKAYA日本のラーメンが味わえます。とても混んでいるので、時間に余裕を持って行くといいと思います。[住所] 705 6th St NW, Washington, D.C. 20001[TEL] 202-589-1600<その他、会場周辺のレストラン一覧(編集部より)>画像を拡大する1.Morton’s The Steakhouse(ステーキ)2.McCormick & Schmick’s(シーフード) 3.The Oceanaire(シーフード)4.Kaz Sushi Bistro(寿司)5.The Capital Grille(ステーキ)6.Palm(ステーキ、シーフード)7.La Taberna del Alabardero(スペイン料理)8.Meiwah(中華)9.Bourbon Steak(ステーキ)10.Farmers Fishers Bakers(アメリカン)ショッピング情報<スーパーマーケット>Whole foodsオーガニック食材や調味料が置いてあり、アメリカで人気のスーパーマーケット。サラダバーや総菜のコーナーもあり、テイクアウトもできます。トレーダージョーズクオリティの高い商品を扱っているスーパーマーケット。オリジナルアイテムが人気で、値段もリーズナブル。お土産にも使えるアイテムが豊富。<ショッピング街>ジョージタウンエリア若者が集まる町。町全体もレンガづくりでできており、とても素敵な雰囲気を持っています。今人気のあるブランドショップが集結。<アウトレット>Tanger outlet中心部からすぐに行けるアウトレット。最大70%offの商品などもあり、日本で人気があるブランドも入っています。[住所] 6800 Oxon Hill Road, National Harbor, MD 20745

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