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緩和ケアの患者・介護者それぞれへの効果は?/JAMA

 末期患者への緩和ケアは、患者QOLや症状負担を改善する可能性があるが、介護者の転帰への効果は明確ではないことが、米国・ピッツバーグ大学のDio Kavalieratos氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年11月22・29日号に掲載された。重篤な病態の患者のQOL改善は国際的な優先事項とされ、緩和ケアの焦点は、QOLの改善と、患者および家族の苦痛の軽減に置かれている。米国では、65%以上の病院が緩和ケアの入院プログラムを持ち、地域および外来ベースの緩和ケア提供モデルも増加しているが、実際の効果はよく知られていないという。23試験のメタ解析で、QOL、症状負担、生存などを評価 研究グループは、末期患者への緩和ケアが、患者およびその介護者のアウトカムに及ぼす影響を評価するために、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った。 2016年7月までに医学データベース(MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane CENTRAL)に登録された文献を検索した。末期的病態の成人患者への緩和ケアによる介入を評価した無作為化試験を対象とした。 2人のレビュワーが別個にデータを抽出した。すべての試験について記述的統合(narrative synthesis)を行った。ランダム効果モデルによるメタ解析で、QOL、症状負担、生存などを評価した。 QOLは、Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-palliative care scale (FACIT-Pal)に換算した。0~184点(点数が高いほどQOLが良好)でスコア化し、臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference:MCID)は9点とした。 症状負担は、エドモントン症状評価システム(ESAS)に換算した。0~90点(点数が高いほど負担が大きい)でスコア化し、MCIDは5.7点であった。 43件(56論文)の無作為化試験に参加した患者1万2,731例(平均年齢67歳)と介護者2,479例が記述的統合の対象となった。メタ解析には23試験(30論文)が含まれた。生存は改善せず、エビデンスの質は低い 35件の試験は対照として通常ケアを設定していた。14試験は外来、18試験は在宅、11試験は入院患者を対象とし、介護者の評価は15試験で行われていた。 30試験にはがん患者が、14試験には心不全患者が含まれた。HIV患者に限定した試験のほか、COPD、間質性肺疾患、運動ニューロン疾患、末期腎不全、脳卒中、認知症の患者を含む試験もあった。 1~3ヵ月の患者QOLは、緩和ケアにより、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善効果が達成された(15試験、標準化平均差[SMD]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.08~0.83、FACIT-Pal平均差:11.36、異質性検定:I2=94.8%)。4~6ヵ月の患者QOLには有意差を認めなかった(12試験、SMD:0.12、95%CI:-0.03~0.28、I2=61.4%)。 1~3ヵ月の症状負担も、緩和ケアにより、有意で臨床的に意義のある改善が得られた(10試験、SMD:-0.66、95%CI:-1.25~-0.07、ESAS平均差:-10.30、I2=96.1%)。4~6ヵ月の症状負担にも有意な改善効果が認められた(6試験、SMD:-0.18、95%CI:-0.31~-0.05、I2=0.0%)。 バイアスのリスクが低い試験に限定した解析では、1~3ヵ月の緩和ケアとQOLの関連は減弱したものの有意差を保持していた(5試験、SMD:0.20、95%CI:0.06~0.34、FACIT-Pal平均差:4.94、I2=0.0%)のに対し、症状負担との関連では有意な差はみられなかった(4試験、SMD:-0.21、95%CI:-0.42~0.00、ESAS平均差:-3.28、I2=42.1%)。 緩和ケアと生存には関連を認めなかった(7試験、ハザード比[HR]:0.90、95%CI:0.69~1.17、I2=75.3%)。また、緩和ケアは、事前ケア計画(advance care planning)や、患者および介護者の満足度を改善し、医療資源の活用を抑制した。一方、介護者のアウトカムは試験間で一貫性がなかった。高い異質性のため、本研究のエビデンスの質は不良であった。 著者は、「改善効果を認めたアウトカムの多くは、バイアスのリスクが低い試験に限定すると有意差が消失した」とし、「最終的には、患者に加え介護者を支援する至適な緩和ケア提供モデルの確立が必要である」と指摘している。

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腹部大動脈瘤、手術の閾値の差が死亡率の差に関連するのか/NEJM

 イングランドでは、未破裂腹部大動脈瘤の手術施行率が米国の約半分で、大動脈瘤径が米国より5mm以上大きくなってから手術が行われ、瘤破裂率は2倍以上、瘤関連死亡率は3倍以上であることが、英国・ロンドン大学セントジョージ校のAlan Karthikesalingam氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2016年11月24日号に掲載された。欧州血管外科学会議(ESVS)のガイドラインは、動脈瘤径が男性で55mm、女性では50mmを超えたら介入を考慮すべきとしているが、介入の至適な閾値が不確実であるため、実臨床ではかなりのばらつきがみられ、55mm未満での手術施行率は国によって6.4~29.0%の幅があるという。手術閾値の差が、死亡率の乖離をもたらすかを検証 研究グループは、イングランドと米国で、未破裂腹部動脈瘤への手術の施行状況や手術時の大動脈瘤径を比較し、両国の手術の閾値の差が大動脈瘤関連死亡率の乖離と関連するかを検討した(英国Circulation Foundationなどの助成による)。 イングランドの病院エピソード統計(Hospital Episode Statistics)のデータベースおよび米国の全国入院患者情報(Nationwide Inpatient Sample)から、2005~12年の未破裂腹部大動脈瘤への手術の頻度、手術を受けた患者の院内死亡率、動脈瘤破裂率のデータを抽出した。 また、英国の全国血管登録(National Vascular Registry)(2014年のデータ)および米国の全国外科手術質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program)(2013年のデータ)から、手術時の動脈瘤径のデータを抽出した。 米国の疾病管理予防センター(CDC)および英国の国家統計局(Office of National Statistics)から得たデータを用いて、2005~12年の動脈瘤関連死亡率を決定した。データは、直接標準化法または条件付きロジスティック回帰を用いて、両国間の年齢および性別の差を補正した。 2005~12年に、イングランドで2万9,300例が、米国では27万8,921例が、未破裂腹部大動脈瘤の手術を受けた。米国の手術閾値を適用すればイングランドのアウトカムが改善する? 10万人当たりの年間動脈瘤手術施行率は、イングランドでは2005年の27.11件から2012年には31.85件に、米国では57.85件から64.17件に増加した。補正後の動脈瘤手術施行率は、イングランドが米国よりも低かった(オッズ比[OR]:0.49、95%信頼区間[CI]0.48~0.49、p<0.001)。 全体のステントグラフト内挿術の施行率は、イングランドのほうが低かった(45.5 vs.67.0%、p<0.001)。イングランドのステントグラフト内挿術の施行率は経時的に上昇したが、2012年時の施行率は米国に比べ低かった(67.2 vs.75.4%、p<0.001)。 手術施行例の全体の補正後院内死亡率は、両国間に差はなかった(OR:1.04、95%CI:0.96~1.12、p=0.40)。動脈瘤関連死亡率は、イングランドが米国よりも高かった(OR:3.60、95%CI:3.55~3.64、p<0.001)。 3年生存率はイングランドが78.5%、米国は79.5%で、このうちステントグラフト内挿術はそれぞれ76.6%、79.8%、外科的人工血管置換術は78.1%、79.1%だった。補正後の3年生存率は、両群間に差はなかった(死亡のハザード比[HR]:0.97、95%CI:0.92~1.02、p=0.17)。 10万人当たりの動脈瘤破裂による入院率は、イングランドでは2005年の21.34件から2012年には16.30件に、米国では10.10件から7.29件に減少した。補正後の動脈瘤破裂による入院率は、イングランドが米国よりも高かった(OR:2.23、95%CI:2.19~2.27、p<0.001)。 年齢と性別で重み付けした手術時の加重平均動脈瘤径は、イングランドのほうが大きかった(63.7 vs.58.3mm、p<0.001)。年齢、性別、手術法(ステントグラフト内挿術、外科的人工血管置換術)で補正しても、この有意な乖離は保持されており、手術時の瘤径はイングランドのほうが5.3±0.3mm大きかった(p<0.001)。 著者は、「手術施行率と動脈瘤関連死亡率は、両国とも別個のデータセットに基づいており、これらの因果関係は示せないが、時期は同じであるためその可能性が示唆され、米国の手術閾値をイングランドに適用すればイングランドのアウトカムが改善するかという疑問が浮上する」としている。

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なぜ必要? 4番目のIFNフリーC肝治療薬の価値とは

 インターフェロン(IFN)フリーのジェノタイプ1型C型肝炎治療薬として、これまでにダクラタスビル/アスナプレビル(商品名:ダクルインザ/スンベプラ)、ソホスブビル/レジパスビル(同:ハーボニー)、オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル(同:ヴィキラックス)の3つが発売されている。そこに、今年3月の申請から半年後の9月に承認されたエルバスビル/グラゾプレビル(同:エレルサ/グラジナ)が、11月18日に発売された。治療効果の高い薬剤があるなかで、新薬が発売される価値はどこにあるのか。11月29日、MSD株式会社主催の発売メディアセミナーにて、熊田 博光氏(虎の門病院分院長)がその価値について、今後の治療戦略とともに紹介した。患者背景によらず一貫した有効性 エレルサ/グラジナは、国内第III相試験において、SVR12(投与終了後12週時点のウイルス持続陰性化)率が慢性肝炎患者で96.5%、代償性肝硬変患者で97.1%と高いことが認められている。また、サブグループ解析では、前治療歴、性別、IL28Bの遺伝子型、ジェノタイプ(1a、1b)、耐性変異の有無にかかわらず、一貫した有効性が認められており、慢性腎臓病合併患者、HIV合併患者においても、海外第III相試験で95%以上のSVR12率を示している。IFNフリー治療薬4剤の効果を比較 しかしながら、すでにIFNフリー治療薬が3剤ある状況で、新薬が発売される価値はあるのかという疑問に、熊田氏はまず4剤の効果を治験成績と市販後成績で比較した。 薬剤耐性(NS5A)なしの症例では、治験時の各薬剤の効果(SVR24率)は、ダクルインザ/スンベプラが91.3%、ハーボニーが100%、ヴィキラックスが98.6%、エレルサ/グラジナが98.9%であり、実臨床である虎の門病院での市販後成績でも、ダクルインザ/スンベプラが94.0%、ハーボニーが98.2%、ヴィキラックスが97.7%(SVR12率)と、どの薬剤も良好であった。 一方、薬剤耐性(NS5A)保有例の治験時の成績は、ダクルインザ/スンベプラが38%、ハーボニーが100%、ヴィキラックスが83%、エレルサ/グラジナが93.2%であり、虎の門病院の市販後成績では、ダクルインザ/スンベプラが63.7%、ハーボニーが89.6%、ヴィキラックスが80.0%(SVR12率)であった。熊田氏は、「治験時の100%よりは低いがハーボニーが3剤の中では良好であるのは確かであり、実際に使用している患者も多い」と述べた。副作用はそれぞれ異なる 次に、熊田氏は虎の門病院での症例の有害事象の集計から、各薬剤の副作用の特徴と注意点について説明した。 最初に発売されたダクルインザ/スンベプラは、ALT上昇と発熱が多く、風邪のような症状が多いのが特徴という。 ハーボニーは、ALT上昇は少ないが、心臓・腎臓への影響があるため、高血圧・糖尿病・高齢者への投与には十分注意する必要があり、熊田氏は「これがエレルサ/グラジナが発売される価値があることにつながる」と指摘した。 ヴィキラックスは、心臓系の副作用はないが、腎障害やビリルビンの上昇がみられるのが特徴である。また、Ca拮抗薬併用患者で死亡例が出ているため、高血圧症合併例では必ず他の降圧薬に変更することが必要という。 発売されたばかりのエレルサ/グラジナについては、今後、症例数が増えてくれば他の副作用が発現するかもしれないが、現在のところ、ALT上昇と下痢が多く、脳出血や心筋梗塞などの重篤な副作用がないのが特徴、と熊田氏は述べた。 このように、各薬剤の副作用の特徴は大きく異なるため、合併症による薬剤選択が必要となってくる。今後の薬剤選択 熊田氏は、各種治療薬の薬剤耐性の有無別の治療効果と腎臓・心臓・肝臓への影響をまとめ、「エレルサ/グラジナは、耐性変異の有無にかかわらず、ハーボニーと同等の高い治療効果を示すが、ハーボニーで注意すべき腎臓や心臓への影響が少なく、ここに新しい薬剤が発売される価値がある」と述べた。 また、今後の虎の門病院におけるジェノタイプ1型C型肝炎の薬剤選択について、「耐性変異なし、心臓・腎臓の合併症なし」の患者にはハーボニーまたはヴィキラックスまたはエレルサ/グラジナ、「NS5A耐性変異あり」の患者にはハーボニーまたはエレルサ/グラジナ、「腎障害」のある患者にはヴィキラックスまたはエレルサ/グラジナ(透析症例はダクルインザ/スンベプラ)という方針を紹介した。さらに、「NS5A耐性変異あり」の患者には、「これまではハーボニー以外に選択肢がなかったが、今後はエレルサ/グラジナが使用できるようになる。とくに心臓の合併症がある場合には安全かもしれない」と期待を示した。

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冬こそ気を付けたい食中毒

冬こそ気を付けたい食中毒下の表のように、実は冬は食中毒の季節です。食中毒の原因となる細菌・ウイルスの増殖を防ぎましょう。■食中毒予防の三原則・付けない! …調理時の手、調理器具の洗浄と食材の取り扱いに注意・増やさない!…細菌が好む保存環境を避ける。冷蔵・冷凍で菌の増殖を防ぐ。とくに暖房のきいた部屋は注意・やっつける!…食材を十分過熱して細菌・ウイルスを確実に死滅させる●平成26年月別食中毒発生状況食中毒認知数(件)食中毒患者数(人)1506,0001004,000502,000001月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月厚生労働省ホームページ 食中毒 食中毒事件一覧速報http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.htmlCopyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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薬物有害事象による救急受診、原因薬剤は?/JAMA

 米国において2013~14年の薬物有害事象による救急外来受診率は、年間1,000例当たり4件で、原因薬剤として多かったのは抗凝固薬、抗菌薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬であった。米国疾病予防管理センターのNadine Shehab氏らの分析の結果、明らかになった。米国では、2010年の「患者保護および医療費負担適正化法(Patient Protection and Affordable Care Act :PPACA)」、いわゆるオバマケアの導入により、国家的な患者安全への取り組みとして薬物有害事象への注意喚起が行われている。結果を受けて著者は、「今回の詳細な最新データは今後の取り組みに役立つ」とまとめている。JAMA誌2016年11月22・29日号掲載の報告。薬物有害事象による救急外来受診率は、年間1,000人当たり約4件 研究グループは、全国傷害電子監視システム-医薬品有害事象共同監視(NEISS-CADES)プロジェクトに参加している米国の救急診療部58ヵ所における4万2,585例のデータを解析した。主要評価項目は、薬物有害事象による救急受診ならびにその後の入院に関する加重推定値(以下、数値は推定値)であった。 2013~14年における薬物有害事象による救急外来受診は、年間1,000人当たり4件(95%信頼区間[CI]:3.1~5.0)で、そのうち27.3%が入院に至った。入院率は65歳以上の高齢者が43.6%(95%CI:36.6~50.5%)と最も高かった。65歳以上の高齢者における薬物有害事象による救急外来受診率は、2005~06年の25.6%(95%CI:21.1~30.0%)に対して、2013~14年は34.5%(95%CI:30.3~38.8%)であった。高齢者では抗凝固薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬、小児では抗菌薬 薬物有害事象による救急外来受診の原因薬剤は、46.9%(95%CI:44.2~49.7%)が抗凝固薬、抗菌薬および糖尿病治療薬であった。薬物有害事象としては、出血(抗凝固薬)、中等度~重度のアレルギー反応(抗菌薬)、中等度~重度の低血糖(糖尿病治療薬)など、臨床的に重大な有害事象も含まれていた。また傾向として2005~06年以降、抗凝固薬および糖尿病治療薬の有害事象による救急外来受診率は増加したが、抗菌薬については減少していた。 5歳以下の小児では、原因薬剤として抗菌薬が最も多かった(56.4%、95%CI:51.8~61.0%)。6~19歳も抗菌薬(31.8%、95%CI:28.7~34.9%)が最も多く、次いで抗精神病薬(4.5%、95%CI:3.3~5.6%)であった。一方、65歳以上の高齢者では、抗凝固薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬の3種が原因の59.9%(95%CI:56.8~62.9%)を占めた。主な原因薬剤15種のうち、抗凝固薬が4種(ワルファリン、リバーロキサバン、ダビガトラン、エノキサパリン)、糖尿病治療薬が5種(インスリン、経口薬4種)であった。また、原因薬剤に占めるビアーズ基準で「高齢者が常に避けるべき」とされている薬剤の割合は、1.8%(95%CI:1.5~2.1%)であった。 なお、本研究には致死性の薬物有害事象、薬物中毒や自傷行為などは含まれていない。

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近年の乳がん死亡率低下におけるマンモグラフィ検診の寄与は、これまで考えられてきたよりも限定的であるかもしれない(解説:下井 辰徳 氏)-618

 米国では、乳がん死亡率は経年的に減少していることが知られている。ただし、この理由が乳がん検診の普及によるものと、治療の発達のいずれが大きいのかはわかっていない。乳がん検診の利益について検討するため、Welch氏らは、1975年から2012年までのSEERデータベースの乳がん診断数について検討した。期間は、米国におけるマンモグラフィ検診の出現前の期間、検診プログラムが普及していった期間、および普及後の期間が含まれている。 年代別の診断時腫瘍径については、Figure 2Aで1975年には、2cm未満の小さい乳がんが37%、2cm以上は64%程度となっていた。その後、1980年代のマンモグラフィ検診率が50%を超える時期には、とくに2cm未満の小さい乳がんの診断割合が上昇し、2000年代にはプラトーになってきたものの、2010年には2cm未満の小さい乳がんが67%、2cm以上の大きな乳がんは33%程度と、1975年と逆比率なっていた。さらに、Figure 2Bで女性10万人当たりの腫瘍径ごとの年次罹患数をみてみると、2cm未満の小さな乳がんは総じて増加傾向にあるにもかかわらず、2cm以上の大きな乳がんの年次罹患数は横ばいから若干減少ということになる。筆者らは、Table 1で1975~79年と2008~12年の女性10万人当たりの腫瘍径ごとの年次罹患数を比較している。これによると、2cm以上の大きな腫瘍は10万人当たり145例から115例と(30例分)減少しているものの、2cm未満の小さな腫瘍は10万人当たり82例から244例と(162例分)増加していることを示している。 早期乳がんのうちに発見して大きな乳がんになる症例が減る場合には、小さな乳がん診断数の増加と大きな乳がんの診断数低下がミラーイメージのようにならねばならぬが、そうはなっていない。2012年に同じ著者らは、早期乳がんの診断数の増加が著しく、進行乳がんの診断数の低下がほとんどない点から、乳がん罹患率の増加を現実的な範囲と想定しても説明がつかない早期乳がんの増加があるため、過剰診断が含まれているという報告をしている1)。今回は、検診後の乳がん発症割合は一定であるという仮定のもとで、腫瘍径の大きな乳がんの減少数に対して、腫瘍径の小さな乳がんの増加が著しいことから、マンモグラフィ検診には過剰診断が多く含まれているという考えを示している。 Table 2では、2cmを超える大きな腫瘍について、治療とマンモグラフィ検診の死亡率に与える影響を示している。治療の進歩については、治療による死亡数の減少は10万人当たり17例とされている。また、マンモグラフィ検診による死亡数の減少は10万人当たりベースラインでは12例、近年では8例と算出されている。Figure 3では、各腫瘍径の死亡リスクについて、1975~79年と2008~12年で比較している。これによると、相対リスクは大きな腫瘍に比べて小さな腫瘍でのリスク低減がより大きいとしている。 以上より、筆者らは乳がんのマンモグラフィ検診では、小さな乳がんの過剰診断に寄与しており、大きな乳がんの診断や死亡率低減には、治療の進歩の方が大きく影響しているのではないかと結論している。 今回の解析については、私としてはいくつかの問題点が挙げられる。たとえば、2012年の同著者らの論文でも同様であるが、リンパ節転移、遠隔転移については言及がなく、十分な乳がんのリスク評価がなされているとはいえない。また、死亡率の低減についての解析は、2cmを超える乳がんのみでなされており、それ以下の小さな乳がんについてはされていない。さらに、近年のマンモグラフィ精度の上昇や機器の進歩については、過剰診断を増やす可能性と正診率が上がる可能性のいずれもがあるが、評価には加えられていない。腫瘤径による乳がん死亡率の調整については、年齢や乳がんの病理学的予後因子が考慮されていない。 これまで、マンモグラフィ検診導入前後の乳がん死亡率の比較については、数多く報告がなされているが、研究期間中の治療成績の向上については考慮に入れておらず、10万人当たり数100例程度の死亡数減少が見込まれてきた2)3)4)。上記のように、いくつかのlimitationは存在するが、これらを踏まえたうえでも、私としては、大きな意義のある報告と思う。具体的には、治療成績の向上を考慮に入れて、かつ診断された腫瘍径の分類と予後の解析により、過剰診断の可能性と、マンモグラフィ検診の利益が以前考えられていたよりも少ない可能性が示唆された点は重要であると考える。 今後はマンモグラフィ検診の意義の社会的な再検討が進むとともに、検診に伴う過剰診断についても、対応を検討すべきと考えられる。ただし、Elmore氏は本稿のEditorialで、マンモグラフィ検診における過剰診断の原因は多岐にわたるため、過剰診断を減らすためには、多面的なシステムの発展が必要であると述べている5)。具体的には、過剰診断がなくならない理由として、検診のターゲット層、行政、医療従事者、患者それぞれの領域に原因があることを述べている。そのうえで、検診ターゲットについては、乳がん低リスクの全市民に行う現状を是正して高リスクに限ること、行政側は過剰診断や無治療でも予後にかかわらない腫瘤が存在するという真理を認識すること、さらに、医療提供者や患者にかかわる点では、より高い正確性と精度を有する新規の診断ツールの開発が必要であると述べている。 本邦でも、最近、新たな乳がんスクリーニングのガイドラインが報告されている6)。乳がん検診(日本では視触診とマンモグラフィ併用)受診率が、欧米と比較して日本では低い現状がある。とはいえ、視触診については「がん検診のあり方に関する検討会」の報告や上記ガイドラインでも、乳がんの死亡率減少効果としては根拠に乏しいことが述べられている。さらに、40代の若年者においては、本邦のJ-START試験7)の結果から、マンモグラフィ検診に超音波検診を組み合わせることがとくに小さな乳がん発見に役立つとされ、今後は超音波併用も検討されていくと思われる。 私としては、今後はマンモグラフィ検診による不利益だけではなく、日本における乳がん検診として、その利益と不利益の相対バランスを検討する必要があると考える。具体的には、「がん検診のあり方に関する検討会」など科学的解析に基づき、厚生労働省などが主導して検診体制を整備・再検討する必要があると考える。参考文献1)Bleyer A, et al. N Engl J Med. 2012;367:1998-2005.2)Kalager M, et al. N Engl J Med. 2010;363:1203-1210.3)Weedon-Fekjar H, et al. BMJ. 2014;348:g3701.4)Otto SJ, et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2012;21:66-73.5)Elmore JG. N Engl J Med. 2016;375:1483-1486.6)Hamashima C, et al. Jpn J Clin Oncol. 2016;46:482-492.7)Ohuchi N, et al. Lancet. 2016;387:341-348.

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医師が選んだ2016年の10大ニュース! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】

1位熊本県でM6.5の地震が発生 20万人が被災 4月14日に発生した熊本地震。前震、本震いずれも強い揺れを感じる地震で、その後の余震もすでに2,000回を超えています。被災された方々の中にはいまだ避難所での生活を強いられている方もおり、地震災害の爪痕は今も残っています。被害に遭われた皆さまの健康と1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。2位イギリス国民投票 EU離脱決定 イギリス国内で6月23日(現地時間)に行われた「イギリスの欧州連合(EU)離脱是非を問う国民投票」で、7割を超える高い投票率の下、離脱派票が51.9%と過半数を超え、この瞬間にイギリスのEU離脱がほぼ決定的となりました。離脱通告には議会承認が必要なため、今のところ大きな動きはありませんが、今後、イギリスはどうなっていくのでしょうか。3位天皇陛下、生前退位について言及 8月8日、天皇陛下が生前退位に言及するお気持ちを、ビデオメッセージで表明されました。1つずつ言葉を選びながら、2度の外科手術を乗り越えられたこと、陛下ご自身の高齢化に伴う体力の低下などから、これから先の国や国民への影響を懸念されていることが伝わってくるお言葉でした。それを受けて現在、有識者会議で検討が進められています。4位築地市場の移転問題 盛り土・汚染地下水など問題点が次々噴出 11月7日に予定されていた築地から豊洲への市場移転が、直前になって欠陥や不備が連続的に発覚したため、延期が決定しました。消えた盛り土問題、この問題に関与した責任者の処分、そして、いまだ実現しない石原元都知事の公開聴取…。また、移転延期に伴う負担も時間が経つほど大きくなってしまうため、早期の解決が望まれます。5位都知事選2016 小池氏当選、初の女性都知事誕生 前知事の辞任に伴って7月31日に行われた東京都知事選では、元防衛大臣の小池百合子氏が初当選しました。同時に「女性初の東京都知事誕生」ということでも大きな話題になりました。また、同じく女性初のイタリア・ローマ市長に就任したビルジニア・ラッジ氏、米国大統領選挙でトランプ氏と接戦を繰り広げたヒラリー・クリントン氏など、女性の活躍が目立った1年でもありました。6位オバマ大統領がアメリカ現職大統領として初めて広島訪問7位大隅良典氏、ノーベル医学生理学賞受賞決定8位国民的アイドルのSMAP解散8位2016年アメリカ大統領選 勝負の行方は10位ポケモンGOの大ヒット10位総額3兆円超 東京五輪費用問題【番外編】第45代アメリカ合衆国大統領にトランプ氏が当選 第8位にランクインした「米国大統領選」の結果、共和党のドナルド・トランプ氏が選出されました。日本国内では直前までヒラリー・クリントン氏が優勢とみられていたため、開票結果が明らかになった直後から国中に衝撃が走りました。日本への影響はどうなのか? 就任式は2017年1月20日(現地時間)。同日から新大統領による体制が正式にスタートします。★アンケート概要アンケート名:『2016年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日:2016年10月24日調査方法:インターネット対象:CareNet.com会員医師有効回答数:524件

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うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法

 うつ病治療における機能とQOLのアウトカムの重要性は認識されているが、メタ解析のエビデンスはほとんどない。スペイン・Instituto de Salud Carlos III、Centro de Investigacion Biomedica en RedのK Kamenov氏らは、うつ病患者の機能とQOLに関する精神療法、薬物療法、それらの組み合わせについて、絶対的および相対的な効果を評価するため、無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Psychological medicine誌オンライン版2016年10月26日号の報告。 Pubmed、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trialsのデータベース検索より、試験結果153件、うつ病患者2万9,879例を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・コントロール群と比較し、精神療法および薬物療法は、機能およびQOLへのエフェクトサイズが軽度から中程度であった(g=0.31~0.43)。・直接比較すると、初期分析では、どちらが優れているかのエビデンスは得られなかった。・出版バイアスで調整した後、精神療法はQOLに対し、薬物療法よりも効果的であった(g=0.21)。・精神療法と薬物療法の併用は、機能およびQOLに対し、各治療単独群の軽度なエフェクトサイズと比較し、有意に良好であった(g=0.32~0.39)。・いずれの介入も、機能およびQOLよりも、うつ症状の重症度を改善した。 著者らは「いくつかの分析の比較試験数が少ないにもかかわらず、精神療法、薬物療法単独群においても機能およびQOLの改善に有効であることが示された。本研究では単独療法よりも併用療法が優れることが明らかとなった。全体的に中程度の効果であったことから、今後は、機能およびQOLの問題を抱えるうつ病患者に対し、個人のニーズをより満たすための治療を行うことが求められる」としている。関連医療ニュース 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project うつ病の精神療法、遠隔医療でも対面療法と同程度 非薬物療法でもスポンサーバイアスは存在するか

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急性心筋梗塞後の心原性ショックに対する循環サポートの比較―Impella vs.IABP

 治療の進歩にもかかわらず、急性心筋梗塞による心原性ショックの死亡率は依然高いままである。短期間の循環補助デバイスは急性期の血行動態を改善するもので、大動脈内バルーンパンピング(IABP)は過去数十年にわたって最も広く使用されてきたが、急性心筋梗塞後の心原性ショックに対する有用性は、大規模ランダム化試験では明らかになっていない。一方、Impellaは新しい循環補助デバイスで、IABPよりも強力な血行動態の補助をもたらす。今回、オランダの施設が、急性心筋梗塞後の心原性ショックに対して、IABPとImpellaの前向きランダム化比較試験を実施した。Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2016年11月号に掲載。IABPもしくはImpella CPを使用し、30日後の死亡率を比較 本研究は多施設共同による、オープンラベル前向きランダム化試験で、48例の急性心筋梗塞に伴う重症心原性ショック患者をImpella CP(24例)とIABP(24例)に割り付け、Impella CPがIABPと比較して、ST上昇急性心筋梗塞による心原性ショックを有する患者の30日での予後を改善するかを評価する目的として行われた。 Impellaには、Impella 2.5(最高拍出量2.5L/分)、Impella CP(最高拍出量3.7L/分)、Impella 5.0、Impella LD(共に最高拍出量 5.0L/分)などがあるが、今回は、大腿動脈から経皮的に標準的なカテーテル操作で留置可能で、より高い心拍出量を生みだすImpella CPが用いられた。 なお、収縮期血圧が90mmHg未満、強心剤あるいは血管作動薬を必要とし、人工呼吸器が必要となった場合を、重症心原性ショック状態と定義した。主要評価項目は、30日以内の全死亡率とした。また、全例においてprimary PCI(経皮的冠動脈形成術)が施行された。30日後の死亡率は両群で同等 30日後の時点で、IABP、Impella CP両群における死亡率は同等であった(50% vs.46%、ハザード比[HR] :Impella CP群で0.96、95%信頼区間[CI]:0.42~2.18、p=0.92)。6ヵ月の時点では、Impella CP群およびIABP群の死亡率は、共に50%であった(HR:1.04、95%CI; 0.47~2.32、p=0.923)。なお、IABP群のうち3例において、無作為化後にImpellaへのアップグレードが行われている。 急性心筋梗塞後に人工呼吸器を必要とする心原性ショックを発症した患者を対象とした本研究では、ルーチンにImpella CP を使用した治療は、IABPと比較して、30日での死亡率を減少させなかった。筆者らは、本研究は小規模であり、Impellaの本当の価値を評価するにはより大規模なランダム化試験が必要だとしている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)原著論文Ouweneel DM, et al. J Am Coll Cardiol. 2016 Oct 27.[Epub ahead of print]関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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PCI中のランジオロール早期投与、最適再灌流やアウトカムに好影響

 ST上昇急性心筋梗塞(STEMI)の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)中におけるランジオロールの早期静脈内投与は、非投与群と比較して、最適再灌流の達成率が有意に高く、急性心筋梗塞によりKillip分類のGrade3(重症心不全)や4(心原性ショック)へ進行した患者の割合も有意に低いことが、横浜市立大学の清國 雅義氏らによる研究で明らかになった。International Journal of Cardiology誌2016年10月15日号の報告。 PCI中のβ遮断薬の早期静脈内投与は、根底にあるメカニズムが不明であるものの、STEMIの梗塞サイズを減少させることが示されている1)2)。 そのため、本研究では、STEMIの再灌流状態における短時間作用型β1アドレナリン受容体遮断薬ランジオロールの早期静脈内投与の有効性を調査することを目的として、前向き単一群研究を実施した。 STEMIでPCIを実施した55例(男性43例、女性12例、65±13歳)に対して再灌流の直前にランジオロールの静脈内投与を開始し、再灌流の状態とアウトカムを、過去にランジオロール非投与で治療した60例(男性49例、女性11例、65±13歳)と比較した。再灌流状態は、ST上昇の回復状態(ST-segment resolution:STR)、心筋濃染グレード(myocardial blush grade:MBG)、冠血流量から評価した。STR 70%以上の場合にSTRと定義し、最適再灌流達成とした。 主な結果は以下のとおり。・ランジオロール投与群は、STR(64% vs.42%、p=0.023)およびMBG 2以上(64% vs.45%、p=0.045)の達成率が非投与群と比較して有意に高かったが、冠血流量は同程度であった。・多変量解析の結果、ランジオロール投与は、STRの独立した予測因子であることが示された(オッズ比:2.99、95%CI:1.25~7.16、p=0.014)。・ランジオロール投与群は、急性心筋梗塞によりKillip分類のGrade3またはGrade4へ進行した患者の割合が、非投与群と比較して有意に低かった(0% vs.10%、p=0.028)。1)B.Ibanez, et al. Circulation. 2013;128:1495-1503.2)G.Pizarro, et al. J Am Coll Cardiol. 2014;63:2356-2362.

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冠動脈石灰化、低リスク女性の心血管疾患リスク予測精度を向上/JAMA

 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクが低い女性の約3分の1に冠動脈石灰化(CAC)が認められ、CACはASCVDのリスクを高め、従来のリスク因子に加えると予後予測の精度をわずかに改善することが、オランダ・エラスムス大学医療センターのMaryam Kavousi氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年11月22日(オンライン版2016年11月15日)号に掲載された。米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)の予防ガイドラインに基づく、心血管疾患(CVD)の低リスク女性の予防戦略の導出におけるCAC検査の役割は、明らかにされていないという。欧米の5つの大規模コホート研究のメタ解析 研究グループは、ASCVDのリスクが低い女性のCVDリスクの予測および層別化におけるCAC検査の効用性を評価するために、5つの大規模な地域住民ベースのコホート研究のデータを用いてメタ解析を行った。 ダラス心臓研究(DHS、米国)、フラミンガム心臓研究(FHS、米国)、ハインツ・ニクスドルフ・リコール研究(HNR、ドイツ)、アテローム動脈硬化症多民族研究(MESA、米国)、ロッテルダム研究(RS、オランダ)の参加者のうち、ASCVDの10年リスクが7.5%未満の女性を選出した。 これら5つの研究は、一般人口からの多くの低リスク女性のCACデータが、詳細な長期フォローアップデータとともに入手可能と考えられるコホートとして選ばれた。固定効果モデルを用いたメタ解析で、これらの試験の結果を統合した。 主要評価項目はASCVDの発生とし、非致死的心筋梗塞、冠動脈心疾患(CHD)、脳卒中が含まれた。CACとASCVDの関連の評価には、Cox比例ハザードモデルを用いた。CACが、ASCVDリスクの従来のリスク因子よりも優れた予測因子であるかを評価するために、C統計量および連続的純再分類改善度(continuous net reclassification improvement:cNRI)を算出した。CAC発生率は36.1%、CAC>0のASCVDリスクのHRは2.04 ASCVDの低リスク女性6,739例が解析の対象となった。5研究のベースラインの平均年齢の幅は44~63歳であり、糖尿病の有病率は2.3~6.6%、早期CHDの家族歴ありは14.0~42.4%の範囲であった。 5研究のCACあり(CAC>0)の範囲は25.2~66.5%で、全体では36.1%(2,435例)であった。全体として、CACありの群は、より高齢で、心血管リスクのプロファイルがより不良であり、糖尿病有病率や早期CHD家族歴も高かった。フォローアップ期間中央値の幅は7.0~11.6年だった。 165件のASCVDイベントが発生し(非致死的心筋梗塞:64件、CHD死:29件、脳卒中:72件)、5研究のASCVD発生率の幅は1,000人年当たり1.5~6.0件であった。 CACあり(CAC>0)は、CACなし(CAC=0)と比較してASCVDのリスクが有意に高かった(1,000人年当たりの発生率:1.41 vs.4.33件、発生率差:2.92、95%信頼区間[CI]:2.02~3.83、多変量補正ハザード比[HR]:2.04、95%CI:1.44~2.90)。 従来のリスク因子にCACを加えると、C統計量が0.73(95%CI:0.69~0.77)から0.77(95%CI:0.74~0.81)へ改善し、ASCVD予測のcNRIが0.20(95%CI:0.09~0.31)となった。 著者は、「この予測精度の向上の臨床的な効用性と費用対効果を評価するには、さらなる検討を要する」としている。

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ルテインとゼアキサンチンのサプリ―美白に効果あり?

 ルテインとゼアキサンチンは食物に多く含まれる黄斑色素を構成するカロテノイドで、多くの野菜や果物が鮮やかな色彩となっているのはこれらを含有するためである。 これらカロテノイドはパソコンなどから発せられる高エネルギーのブルーライトをカットし、皮膚を保護する作用を有する。また、メラニンの生成を阻止し、サイトカインを減少させ、抗酸化物質を増加させる可能性がある。構造異性体・ルテインとゼアキサンチンを含有するサプリメント投与による肌トーンの改善と美白効果を調査した研究を紹介する。Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology誌9月号の掲載の報告。 被験者として50人の軽度~中程度の乾燥肌を有する健康成人(男女ともに年齢は18~45歳)が集められ、そのうちの46人が試験完了に至った。 被験者には、ルテイン10mgおよびゼアキサンチン2mgを含有する経口サプリメント、もしくはプラセボのいずれかを12週間連日投与した(無作為化二重盲検プラセボ対照試験)。 被験者の皮膚タイプは、フィッツパトリック(Fitzpatrick)スケール(スキンタイプII-IV)に基づき分類した。 最小紅斑量と美白度は、色彩色差計(Chromameter)を用いて計測した。皮膚の色や色素沈着の程度はIndividual Typological Angle(ITA)を用いて算出した。また、被験者による自己評価アンケートも行った。 主な結果は以下のとおり。・全体的な肌トーンは、プラセボ群と比較して、サプリメント投与群において有意に改善し(p<0.0237)、肌の美白も有意な上昇を示した。・平均最小紅斑量は12週後、サプリメント投与群において増加が認められた。・サプリメント投与群ではITAが有意に増加した。 以上の結果から、ルテインとゼアキサンチンを含有するサプリメントの摂取により美白効果が認められ、皮膚状態を改善することが示された。

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進行心不全への新規遠心流ポンプ、軸流ポンプより予後良好/NEJM

 進行心不全患者への完全磁気浮上遠心流ポンプ植込み術は、軸流ポンプに比べポンプの不具合による再手術の割合が低く、良好な転帰をもたらすことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院心血管センターのMandeep R. Mehra氏らが行ったMOMENTUM 3試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年11月16日号に掲載された。連続流左心補助人工心臓により、進行心不全患者の生存率が改善しているが、ポンプ血栓症の発現がみられる。血栓症を回避するために、新たな磁気浮上遠心連続流ポンプが開発された。約300例を対象とする非劣性試験 MOMENTUM 3は、進行心不全患者において、新規の遠心流ポンプと軸流ポンプの有効性を比較する非盲検無作為化非劣性試験(St. Jude Medical社の助成による)。 対象は、標準的な薬物療法を施行後に再発した進行心不全で、補助人工心臓植込み術の目的(心臓移植への橋渡し治療、心臓移植の対象外の患者への最終的治療)にかかわらず登録は可能とした。被験者は、新たな遠心連続流ポンプ(HeartMate 3)または市販の軸流ポンプ(HeartMate II)の植込み術を行う群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、植込み術後6ヵ月時の身体機能障害をともなう脳卒中(改訂Rankinスコア>3[0~6、数字が大きいほど機能障害が重度])のない生存と、デバイスの交換または除去のための再手術のない生存の複合エンドポイントであった。本試験は、主要エンドポイントの非劣性検定に要する検出力を有していた(非劣性マージン:-10%)。 2014年9月~2015年10月に、左心補助人工心臓植込み術の経験を持つ外科医が所属する米国の47施設に294例(ITT集団)が登録され、遠心流ポンプ群に152例、軸流ポンプ群には142例が割り付けられた。プロトコルに従って、それぞれ1例、4例には植込み術が施行されず、残りの289例(PP集団、151例、138例)にデバイスの植え込みが行われた。再手術は1例のみ、ポンプ血栓症は認めず ベースラインの年齢中央値は、遠心流ポンプ群が64.0歳(範囲:19~81)、軸流ポンプ群は61.0歳(24~78)で、男性がそれぞれ79.6%、80.3%を占めた。 ITT集団における主要エンドポイントの発生率は、遠心流ポンプ群が86.2%(131例)、軸流ポンプ群は76.8%(109例)であった。絶対差は9.4%、95%信頼下限は-2.1(非劣性検定:p<0.001)で、ハザード比(HR)は0.55(95%信頼区間[CI]:0.32~0.95、優越性の両側検定:p=0.04)であり、非劣性と優越性の双方が達成された。 死亡および身体機能障害をともなう脳卒中の発生率は両群間に有意な差はなかったが、ポンプの不具合による再手術は遠心流ポンプ群が0.7%(1例)と、軸流ポンプ群の7.7%(11例)に比べ有意に少なかった(HR:0.08、95%CI:0.01~0.60、p=0.002)。 NYHA心機能分類および6分間歩行検査による機能評価では、両群とも同様に改善が認められた。3、6ヵ月時のEQ-5D-5L、EQ-5D VAS、KCCQによるQOL評価も、両群ともに改善し、有意差はみられなかった。 ポンプ血栓症(疑い例、確定例)は、遠心流ポンプ群では発現せず、軸流ポンプ群は10.1%(14例、18イベント)に認められた(p<0.001)。 著者は、「患者と担当医は治療の割り付けを知り得るため、QOLなどの患者報告による評価項目に影響を及ぼし、ほとんどの外科医は軸流ポンプの経験は長いが、新規のポンプは米国ではこれまで使用されていないためバイアスの可能性があるなどの限界が存在する。そのため、本試験の知見を、重症度の低い心不全患者に拡大するために外挿すべきではない」と指摘している。

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生体吸収性ステント初回報告を特集:TCT 2016

 第28回年次経カテーテル心臓血管治療法(TCT)、循環器病研究財団(CRF)の年次学術シンポジウムは、次世代の生体吸収性ステントとなりうる、新たなステントに関する数多くの初回報告研究を特集した。FANTOM II:放射線不透過性のデスアミノチロシン・ポリカーボネートベースのシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドの臨床および血管造影の6ヵ月、9ヵ月結果Alexandre Abizaid氏 FANTOM II試験は、放射線不透過性のデスアミノチロシン・ポリカーボネートベースのシロリムス溶出生体吸収性血管スキャフォールド(Fantom)による、冠動脈ステント留置の安全性と性能を調べた。主要エンドポイントは、6ヵ月時の主要有害心イベント(MACE)と晩期内腔損失(LLL)の発生率であった。 この前向き多施設共同試験では、8ヵ国28の試験実施施設から合計240例の患者が登録された。患者は6ヵ月の血管造影評価(コホートA)と9ヵ月のコホートBに登録された。コホートA は117例、コホートB群は123例であった。コホートAのLLL平均値は0.25±0.40mmであった。6ヵ月の時点での、双方のコホートにおけるMACEの発生率は2.1%であった。MeRes-1: PLLAベース薄型ストラットのシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドの臨床、血管造影、IVUSおよびOCTの6ヵ月結果Ashok Seth氏 PLLAベース薄型ストラットの新たなシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(MeRes100)のファースト・イン・マン試験の結果、6ヵ月で主要有害心イベント(MACE)はみられず、安全かつ有効であることが示された。 MeRes100は、中央のオープンセルとエッジのクローズドセルという独特なハイブリッドデザインの100μm薄型ストラットPLLAベースのロープロファイルBRSである。追従性と側枝へのアクセスを改善している。また、各端の3つの放射線不透過性円周マーカーが視認性を高めている。 このMeRes100 BRSの前向き多施設単群試験では、2015年5月から2016年4月にかけて、インドの16カ所から108例の患者(116病変)が登録された。主要評価項目は、心臓死、心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建(ID-TLR)、および虚血による標的血管血行再建(ID-TVR)の複合による主要有害心イベント(MACE)。副次的評価項目は、6ヵ月時点のスキャフォールド血栓症(ST)であった。当試験では、スキャフォールド留置後6ヵ月の追跡期間でMACEまたはSTはみられなかった。6ヵ月の定量的冠動脈解析(QCA)では、晩期内腔損失は0.15±0.26mmと非常に良好であった。IVUS、OCT分析では、リコイルはみられず、ほぼ完全な新生内膜による被覆(99.3%)を示した。FUTURE-I:PLLAベース薄型ストラットのシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド6ヵ月の臨床的、血管造影、IVUS、OCTの結果Bo Xu氏 FUTURE-Iは、PLLAベース薄型ストラット(100~125μm)シロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(Firesorb BRS)による単独のde novo冠動脈病変患者に対する、実現可能性、安全性と有効性の予備的な評価を試みた前向き単一施設ファースト・イン・マン試験である。 2016年1~3月に合計45例の患者の標的病変45個が登録された。BRSの留置成功後、45例を2つの異なる追跡コホートに2:1で無作為に割り付けた。コホート1の患者30例は6ヵ月と24ヵ月に、残りのコホート2の患者は、12ヵ月と36ヵ月に血管造影、IVUS、OCTによるイメージングの追跡を受ける。主要評価項目の30日間の標的病変不全の発生率は0%で、スキャフォールド血栓症もみられなかった。コホート1における患者指向の複合評価項目(全死亡、全心筋梗塞、または血行再建術)は、6ヵ月で3.3%であった。 そのうち1例の患者には、非STEMIのため、初回治療の1日後に非標的血管の血行再建術を施行した。6ヵ月追跡における晩期内腔損失は0.15mm、IVUSで確認した晩期リコイルの発生率は0.76%、OCTで確認した7患者の完全被覆を含めストラット被覆率は98.4%であった。循環器病研究財団(CRF)のニュースはこちら

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循環器内科 米国臨床留学記 第15回

第15回 トランプ次期大統領への反応今回は循環器を少し離れて、注目度が高いトランプ次期大統領の話題を取り上げたいと思います。ご存じのように、ドナルド・トランプ氏が次期大統領に選ばれました。私のいるCaliforniaは移民が多い州ですから、投票前は大方の市民は、トランプ氏が大統領になるはずはないと思っていたようです。開票当日も、仕事をしながら皆、速報をチェックしていましたが、トランプ氏の優勢が決まると落胆している人がほとんどでした。とくにCaliforniaには移民やムスリムが多く、人種や宗教差別的な発言を繰り返すトランプ氏の人柄を疑問視している人が身の回りにも多くいるため、いまだに声に出してトランプ支持を言い出しにくい雰囲気はあると思います(実際は半数近くがトランプ氏に投票しているはずなのですが)。病院関係者はやはり、トランプ氏が掲げている医療政策についてとくに注目しています。トランプ氏は“Healthcare Reform to Make America Great Again”と題する政策プラン1)を発表しました。なかでもよく報道されていたのが、1 番目の項目の「Obama careの廃止」です。“Completely repeal Obamacare. Our elected representatives must eliminate the individual mandate. No person should be required to buy insurance unless he or she wants to.”オバマケアの完全廃止。われわれが選んだ代表は、強制加入を除外しなければならない。何人も自分が望まないかぎり、保険を買うことを義務付けられるべきでない。オバマ大統領が心血を注いで達成したObama careは、保険会社が保険市場を牛耳っている中において、国民皆保険に近づこうとするオバマ大統領の強い意志の下で導入され、無保険者の削減に成功しました。もちろん、オバマケアの保険に入っていても、良質な保険ではないため、病院が限られるなどの問題もありますが、個人的には劇的な変化であり、大きな成果だったと感じています。何よりも、国民皆保険が必要だと主張するオバマ大統領の強い理念を感じました。しかしながら、多くの共和党支持者は自由主義を望んでいます。つまり、強制されることを良く思っていませんし、健康を信じて、もしくは病気になるリスクを取って保険を買わないことは、個人の自由であるという考えです。しかし、実際はどうでしょうか? 無保険者も、病気になれば病院に来ますし、緊急であれば病院も受け入れるでしょう。その結果、患者に支払う能力がなければ、困るのは病院です。この自由主義がどこまでも通用するとは思えません。ただ一方で、トランプ氏の案にも個人的に賛成できるものもあります。一般にVAと呼ばれる退役軍人病院には様々な問題があることは以前にもこの連載で取り上げましたが(第4回:大学病院、退役軍人病院、プライベート病院2))トランプ氏は退役軍人を非常に重んじている様に感じます。国を守るために、命をかけた人たちを手厚く扱わなければならないという意思を感じますし、そのためにトランプ氏はVAの改革3)にも言及しています。その中に、こんな一文があります。“Ensure every veteran has the choice to seek care at the VA or at a private service provider of their own choice. Under a Trump Administration, no veteran will die waiting for service.”全ての軍人がVAか私的な病院かを選ぶ権利を保証する。トランプ政権の下では、軍人が医療サービスを待っている間になくなるという事態は起こさせない。先の連載でも書いたように、退役軍人が医療サービスを受けるまでに不当に待たされ、死亡するという事件が相次ぎました。今でも、退役軍人の患者の多くはVAしか選択肢がないために、他の病院と比較して、同じ外来での予約や治療を受けるために、考えなれないくらいの時間を待たされています。医療費が安いということを考えても、VAはとてもよい質の医療を提供していると個人的には思いません。この点に関しては、私はトランプ氏の意見に賛成ですし、彼らがより良い医療を受けられるように改革が進めばと思います。以上のように、医療だけをとってもみても劇的な変化が見込まれ、そのプラン1つひとつに賛否両論があります。発言に問題があり、前途多難なトランプ氏ですが、大統領に選ばれた以上、4年間は任期があるわけです。少しでも、医療システムの改善に取り組んでくれればと切に願っています。参照先URL1)https://www.donaldjtrump.com/policies/health-care2)https://www.carenet.com/series/airmail/cg001392_004.html3)https://www.donaldjtrump.com/policies/veterans-affairs-reform

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毎食後の歯磨きで糖尿病と脂質異常症リスクが減少

 歯磨き頻度と生活習慣病の関連について調査したところ、毎食後の歯磨きが男性での糖尿病と女性での脂質異常症の発症を有意に抑制することがわかった。聖路加国際病院における5年間の後ろ向きコホート研究の結果を、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。歯磨きは心血管疾患発症の危険因子を減少させるために有益と考えられる。Journal of cardiology誌オンライン版2016年11月15日号に掲載。 著者らは以前、横断研究で歯磨きと糖尿病と脂質異常症の関連を報告しているが、今回、歯磨き頻度の低さが糖尿病および脂質異常症の独立した危険因子であるかどうかを検討した。 本研究は、2004年と2009年に年次健康診断を受け、2004年時点で30~85歳の人を調査した。歯磨きの頻度が「毎食後」「少なくとも1日1回」「1日1回未満」の3群における2004年から2009年の糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症の累積発症率を比較した。さらに、「毎食後磨く」群と「毎食後は磨かない」群の2群間で、年齢、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症の調整後に、糖尿病と脂質異常症の発症リスクの男女別のオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・1万3,070人の対象者のうち、2004年に糖尿病(575人)、脂質異常症(5,118人)、高血圧症(2,599人)、高尿酸血症(1,908人)であった人を除外した。・2004年と2009年の間の累積発症率は、糖尿病が318人(2.5%)、脂質異常症が1,454人(18.3%)、高血圧症が1,108人(10.6%)、高尿酸血症が489人(4.4%)であった。・「毎食後磨く」群に比べて、「毎食後は磨かない」群では男性の糖尿病発症(OR:1.43、95%信頼区間[CI]:1.040~1.970)、女性の脂質異常症発症(OR:1.18、95%CI:1.004~1.383)のリスクが有意に高かった。

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CABGにおける内胸動脈の使用、両側 vs.片側/NEJM

 冠動脈バイパス術(CABG)における両側内胸(乳)動脈の使用と、片側内胸動脈+静脈グラフトの使用について、5年フォローアップの結果、死亡率や心血管イベント発生率について、有意な差はみられなかった。縦隔炎の発生は、両側群のほうが片側群よりも多く認められた。英国・オックスフォード大学のDavid P. Taggart氏らART研究グループが、多施設共同無作為化試験の結果、報告した。これまで観察試験のプール解析において、両側内胸動脈の使用のほうが長期アウトカムを改善する可能性が示されていた。しかし、手技が複雑、縦隔炎リスクが高い、無作為化試験によるエビデンスが不足しているとの理由から、両側内胸動脈の使用は、広く採用されていなかった。NEJM誌オンライン版2016年11月14日号掲載の報告。7ヵ国28施設で10年フォローアップを計画した無作為化試験 試験は、7ヵ国28の心臓手術センターで、CABGが予定されている患者を、片側内胸動脈を使用して手術を受ける(片側移植片)群、または両側内胸動脈にて手術を受ける(両側移植片)群に、無作為に割り付けて行われた。 主要アウトカムは、10年時点の全死因死亡。副次アウトカムは、全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合とした。本稿では、5年フォローアップの中間解析の結果が報告されている。中間解析(5年時点)では、主要アウトカムの全死因死亡に有意差なし 試験には3,102例が登録。1,554例が片側移植片群に、1,548例が両側移植片群に無作為に割り付けられた。 フォローアップ5年時点で、死亡率は両側移植片群8.7%、片側移植片群8.4%であった(ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:0.81~1.32、p=0.77)。また、全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合アウトカムの発生率は、それぞれ12.2%、12.7%であった(HR:0.96、95%CI:0.79~1.17、p=0.69)。 縦隔炎の発生率は、両側移植片群3.5% vs.片側移植片群1.9%であった(p=0.005)。また、胸骨再建術はそれぞれ1.9% vs.0.6%であった(p=0.002)。 本試験は、フォローアップ10年に向けて現在も進行中である。

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太り過ぎると高血圧になりやすい

太り過ぎると高血圧になりやすい太り過ぎないよう心掛けましょう!【対象】30~79歳の日本人 2,547人(2010年の調査)高血圧になる確率3.482.821.00正常体重男性女性BMIが25以上の人正常体重者(BMI:18.5~24.9)と比較した過体重者/肥満者(BMI:25.0以上)の高血圧症のオッズ比Nagai M, et al. Hypertension research. 2015;38;790-795.より作図Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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冠動脈疾患の遺伝的リスクは生活習慣で抑制できる/NEJM

 3件の前向きコホート研究と1件の横断研究の計5万5,685例全体で、遺伝的要因と生活習慣要因は、それぞれ独立して冠動脈疾患(CAD)の感受性と関連していることが示された。高遺伝子リスク群でも、生活習慣が悪い群よりも良い群でCADの相対リスクが約50%低下した。米国・マサチューセッツ総合病院のAmit V. Khera氏らが、CADの遺伝子リスクを定量化し生活習慣との関連を解析し、報告した。遺伝的要因と生活習慣の要因はどちらも、個人のCADリスクに関与するが、高遺伝子リスクが健康的生活習慣によってどのくらい相殺されるかはこれまで不明であった。NEJM誌オンライン版2016年11月13日号掲載の報告。約5万6,000例の遺伝子リスクを定量化し生活習慣因子との関連を解析 研究グループは、DNA多型の多遺伝子スコアを用い、3件の前向きコホート研究(Atherosclerosis Risk in Communities[ARIC]研究7,814例、Women’s Genome Health Study [WGHS]研究2万1,222例、Malmo Diet and Cancer Study[MDCS]研究2万2,389例)、ならびに遺伝子型と共変量データが利用できる1件の横断研究(BioImage研究4,260例)の計4研究のデータを用いて、CAD遺伝子リスクを定量化する検討を行った。米国心臓協会(AHA)の戦略的目標から、4つの健康的生活習慣因子(現在喫煙なし、肥満なし、定期的な運動、健康的な食生活)で構成される評価法を作成し、健康的生活習慣の遵守を判定した。生活習慣が良い群で、悪い群より冠動脈イベントリスクが低い CADイベント発症の相対リスクは、低遺伝子リスク(多遺伝子スコアの第1五分位)群と比較して、高遺伝子リスク(多遺伝子スコアの第5五分位)群で91%高かった(ハザード比[HR]:1.91、95%信頼区間[CI]:1.75~2.09)。 また、生活習慣が良い(健康的生活習慣因子4つのうち3つ以上遵守)群は、遺伝子リスクに関係なく、悪い(健康的生活習慣因子が1つ以下)群と比較して、実質的にCADイベント発症のリスクが低かった。 高遺伝子リスク群において、生活習慣が悪い群と比較して、良い群はCADイベント発症の相対リスクが46%低かった(HR:0.54、95%CI:0.47~0.63)。10年間のCADイベントの標準化発症率は、ARIC研究では生活習慣が悪い群10.7%に対し、良い群5.1%、WGHS研究ではそれぞれ4.6%および2.0%、MDCS研究では8.2%および5.3%と、良い群で低かった。また、BioImage試験では、いずれの遺伝子リスクにおいても良い生活習慣は、冠動脈石灰化の有意な減少と関連していた。 なお著者は、各研究が無作為化試験ではないため、生活習慣要因とCADイベントリスクの関連性を因果関係として捉えることはできないこと、各コホート研究で生活習慣の評価方法がわずかに異なることなどを研究の限界として挙げている。

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医師が選んだ「2016年の漢字」TOP5!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例となっている日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』。今年も漢字の日である12月12日に発表されますが、CareNet.comでは一足先に医師会員に募集してみました。その結果、2016年を言い表す漢字、1位に選ばれたのは「震」でした。2位以下にランクインした漢字にも、今年らしさがよく表れています。アンケートの結果から、トップ5を発表します。発表に当たって、今年もケアネットの達筆社員が筆を執りました。書を持つ5人も弊社社員です。1位震4月に発生した熊本地震、そして10月の鳥取地震と、同じ年に強い地震が2つも発生したことを、この字を選んだ理由に挙げる先生がとても多くいらっしゃいました。また、地震以外にも「世の中を震撼させる」「心が震える」出来事が多かった1年であった、そういう思いも込められての選出でした。 「震」を選んだ理由(コメント抜粋)地震もあるし、震撼するような事件も多いため。(50代 腎臓内科医/石川県)熊本市で熊本地震を実際に被災した経験と、その後の支援のありがたさに心が震える思いをしたから。(40代 精神科医/熊本県)熊本、鳥取の地震も含めて、世の中が「震」えたから。(30代 皮膚科医/秋田県)地震(熊本、鳥取等)もあり、東京オリンピックの問題や、築地移転問題等震える事柄が多かった。(60代 内科医/福島県)地震、噴火、爆発などが相次ぎ、大地が震えるというイメージがあった1年でした。(60代 小児科医/茨城県)2位災1位と同じく熊本地震と鳥取地震、そして阿蘇山噴火、台風の影響による東北と北海道での浸水被害など、地震以外の自然災害が複数起きたことも含めてというのが主な選出理由でした。また、築地市場の豊洲移転問題、不安定な世界情勢によって繰り返される戦闘なども、「災」の字を選んだ理由に挙げられています。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)熊本や鳥取の地震や台風による被害など大きな自然災害が目立った。(50代 整形外科医/群馬県)天災が多い年だった。(20代 臨床研修医/兵庫県)地震、豊洲問題、かけつけ警護を必要とする戦闘状態などの問題が印象深いので。(50代 小児科医/愛媛県)熊本に住んでいて、予想だにできなかった地震でした。世界を見ればIS、シリア、ソマリアなどの紛争も解決の道筋が見えません。(50代 腎臓内科医/熊本県)熊本地震、阿蘇山噴火、鳥取地震、北海道洪水被害など自然災害が目立った。(60代 小児科医/北海道)3位乱昨年のCareNet.comのアンケートで1位だった「乱」は、今年は3位にランクイン。まさに混乱した世相を表す漢字です。国内だけでも、2020年の東京オリンピック開催場所にまつわる問題、築地市場の豊洲移転に伴ってさまざまな問題が噴出したこと、また海外に至ってはいまだ予断を許さない状況が続くなど、世の中が相変わらず混乱していることを、この字に当てはめての選出です。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)気候、世界情勢、国内でいろいろあり。(60代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/宮城県)異常気象や女性新都知事の種々の既存組織への乱入(挑戦?)(50代 内科医/京都府)混乱した世相を反映して。(30代 精神科医/大分県)オリンピック関連で開催場所の変更、築地市場でのゼネコンの問題等これからもいろいろ出てきそうなので。(40代 循環器内科医/京都府)地震や台風などの天災で日本中が乱れ、中東ではシリア問題で乱れ、ヨーロッパでは移民問題からイギリスのEU離脱問題で足並みが乱れ、アメリカでは大統領選挙がお互いの中傷合戦で乱れているから。(50代 内科医/岡山県)4位金リオ五輪が開催された今年、まず「金」の字のイメージとしてオリンピックの金メダルを挙げる方が多いと思います。今回の五輪での日本のメダル獲得数は、41個と過去最多を記録しました。閉会式では安倍首相がマリオの姿で登場するというサプライズも、閉幕から3ヵ月余りたった今も記憶に新しいと思います。ほかには、2020年の東京五輪の費用問題、舛添前都知事の政治資金問題、日銀のマイナス金利政策など、喜べない「金」の話題もあり、両方の意味を含めての選出です。 「金」を選んだ理由(コメント抜粋)オリンピック・パラリンピックイヤー。(50代 循環器内科医/福井県)オリンピックの金、舛添の金、金利マイナス。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/大阪府)オリンピックの金メダルと、総額3兆円超といわれる東京五輪費用問題を引っ掛けて。(60代 内科医/東京都)リオ五輪の金メダルと、東京五輪のお金の問題。(40代 放射線科医/兵庫県)5位倫この漢字一文字が、芸能人の不倫報道をはじめ、精神保健指定医資格の大量取り消し問題など、倫理観を問う問題が一年を通じて世間を賑わせ続けていたことを物語るかのような一文字です。余談ですが、本家の今年の漢字の予想では、同じ理由で(文春砲の)「砲」も挙がっているようです。12日の発表がどうなるか楽しみですね。 「倫」を選んだ理由(コメント抜粋)医療倫理、政治倫理、不倫など、倫理観の変化がみられる。(50代 内科医/東京都)公務員倫理や芸能界の不倫が話題になったから。(30代 精神科医/埼玉県)倫理的に問題なことが多かった。(40代 外科医/愛媛県) アンケート概要アンケート名 :『2016年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2016年10月24日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :524件

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