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脈絡膜新生血管は積極的な早期治療がカギ

 米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリを用いた後ろ向きコホート研究の結果、未治療の近視性脈絡膜新生血管(mCNV)に対する初回治療としては、抗VEGF硝子体内注射が最も多く行われており、治療により視力の改善が得られているが、一方で4人に1人は経過観察のみで治療が行われず、視力が低下していたことが明らかとなった。著者の米国・UC Davis Medical Center のJeffrey Willis氏らは、「mCNVを有する患者への抗VEGF療法の実施を取り巻く社会的障壁や医療制度上の制約を明らかにするために、さらなる研究を行う必要がある」とまとめている。Ophthalmology誌2017年7月号(オンライン版2017年3月31日号)掲載の報告。 研究グループは、米国における未治療mCNVに対する治療パターンと予後を明らかにする目的で、IRISレジストリに登録されている18歳以上の患者を対象に、2012年1月1日~2014年12月31日のデータを解析した。 未治療のmCNVは、網膜下/脈絡膜の新生血管を伴う-6.00Dを超える近視(国際疾病分類第9版臨床修正版[ICD-9-CM]の診断コード362.16:特定不能の網膜新生血管)と定義し、mCNVに対する初回治療は、診断日から365日以内に行われた最初の治療(次の4つのうちの1つ)とした。(1)観察(すなわち、治療なし)、(2)抗VEGF硝子体内注射、(3)ベルテポルフィン光線力学的療法(vPDT)、(4)レーザー光凝固。 診断日(ベースライン)から1年後におけるlogMAR視力のベースラインとの差、ならびに抗VEGF硝子体内注射が行われた場合は1年間の注射頻度(1眼当たり)も評価した。 主な結果は以下のとおり。・片眼または両眼に未治療のmCNVを認める患者185例が解析対象となった。・診断日から1年以内に治療が記録されていた患者は73.0%(135/185例)で、残りは「観察」であった。・治療のほとんど(99.3%:134/135例)は抗VEGF硝子体内注射で、0.7%(1/135例)がvPDTであった。・抗VEGF硝子体内注射を受けた患者は、1年後に視力が有意に改善していた(平均logMAR視力0.17単位改善、95%信頼区間[CI]:0.12~0.20、p<0.01)。・観察群の患者は、1年後に視力が有意に低下していた(平均logMAR視力0.03単位低下、95%CI:0.008~0.05、p<0.01)。・診断日から最初の1年間におけるmCNVに対する抗VEGF硝子体内注射の回数は、平均2.8回(標準偏差2.5)であった(中央値:2.0、四分位範囲:1.0~4.0)。

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アトピー性皮膚炎、重症度に応じ眼合併症リスク増

 アトピー性皮膚炎において、疾患そのものに伴って、または薬物療法の結果として眼疾患がみられることが知られている。これまで成人アトピー性皮膚炎における眼合併症の有病率に関する大規模な疫学データはなかったが、デンマーク・国立アレルギー研究センターのJacob P. Thyssen氏らは、国内の登録データを用いて調査を行い、成人アトピー性皮膚炎は有意に、かつ重症度に依存して、結膜炎、角膜炎および円錐角膜の発症リスク増加と関連していることを明らかにした。なお、著者は「観察研究であり、因果関係を明らかにすることはできない」と研究の限界を述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、成人アトピー性皮膚炎患者における眼合併症の有病率とリスクを調査する目的で、18歳以上すべてのデンマーク人が登録する全国データを用いて解析し、Cox回帰により補正ハザード比(HR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となったアトピー性皮膚炎患者は、軽度(5,766例)あるいは重度(4,272例)に分類された。・眼科用抗炎症薬を1回以上処方されていた割合は、軽度患者で12.0%、重度患者で18.9%であった。・結膜炎のHRは、軽度患者で1.48(95%信頼区間[CI]:1.15~1.90)、重度患者で1.95(95%CI:1.51~2.51)であった。・角膜炎のHRは、軽度患者1.66(95%CI:1.15~2.40)、重度患者3.17(95%CI:2.31~4.35)であった。・重度患者では、円錐角膜のHRが10.01(95%CI:5.02~19.96)であった。・50歳未満の患者において、アトピー性皮膚炎と“白内障のみ”との関連が認められた。

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雑誌編集者や臨床研究者はCONSORT声明を熟読しておこう(解説:折笠 秀樹 氏)-692

 2万920件のRCT(ランダム化比較試験)論文について、バイアスリスク(結論を歪める危険性)を調査した報告である。2011年3月~2014年9月の間に出版された論文に限定した。バイアスリスクは、コクラングループが提案している評価ツールRoBを用いた(現在ではその改訂版であるRoB 2.0 Toolが出ている)。それは、[1]割付順の作成法(Sequence generation)、[2]割付の隠蔵(Allocation concealment)、[3]二重盲検(Blinding of participants and personnel)、[4]アウトカム判定の盲検化(Blinding of outcome assessors)、[5]アウトカムデータの欠測値(Incomplete outcome data)、以上5つのチェック項目から成る。各バイアス項目は、3段階(高High・不明確Unclear・低Low)のリスクで評価される。 全体で見ると、[3][4][5]の項目で高リスク割合が相対的に大きかった。RCTが掲載された雑誌のインパクトファクター別に見ると、それが低いほど高リスクの割合は高かった。[1][2]の項目については時代とともにバイアスリスクは低減していく傾向が見られたが、[3][4][5]の項目については時代とともに不変であった。[1][2]は全体として改善傾向にはあったが、それはインパクトファクターの付いた雑誌のみ当てはまっており、それが付いていない雑誌では[1][2]についても改善傾向は見られなかった。 CONSORT 2010声明の導入に伴いバイアスリスクは低減しているわけだが、まだそれを採用していない雑誌も多い。とくに、インパクトファクターが低い雑誌ではその傾向が強いように思われる。雑誌編集者におかれては、まだ取り入れていなければ早速、CONSORT 2010声明に準拠すると投稿規定に明記していただきたい。そうすればインパクトファクターが上がるかどうかは分からないが、論文の質が上がることは間違いない。最後に、これから臨床試験(とくに、RCT)を行おうと思っている研究者は、もし知らなければ、CONSORT 2010声明(津谷喜一郎ほか訳. 薬理と治療. 2010;38:939-947.[ネットからPDFを無料入手])をぜひ熟読していただきたい。

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循環器内科 米国臨床留学記 第22回

第22回 借金まみれのフェローたち米国における6月は卒業のシーズンであり、われわれのフェローシッププログラムからもフェローが卒業していきます。この夏から一般循環器内科医として働き始める友人は、悩んだ末に、少し郊外の給料が高い病院を選びました。35万ドル(3,800万円)と高額な給料をもらえるようですが、借金の額が多過ぎて喜んではいられないと言っています。どういうことかというと、彼には現在、借金が30万ドル(3,300万円)以上あり、これから約10年間、借金を減らすために、月に4,000ドル(44万円)ずつ返していかなければいけないとのことでした。決して、彼が特段高い借金を抱えているわけではありません。 Medscapeの報告によると、40%以上の研修医が20万ドル(2,200万円)の借金を抱えています。一般的に親が学費を払う日本と違い、多くの医学生はローンを組んで、自分で学費を払っています。ですから、卒業時にはUndergraduate(医学部の前の一般大学)とMedical school(医学部)の学費や、その間の生活費を借金として抱えることになります。Association of American Medical Collegesのデータによると、平均的な4年間の医学部のコストは、公立で23万2,838ドル(2,500万円)、私立で30万6,171ドル(3,400万円)と計算されています。研修医やフェローの間は給料が5~7万ドルと安いため、独身であれば辛うじて利子だけ返すことも可能ですが、家族がいると、その期間も借金が増えていきます。仮に、循環器内科医になろうとすると、高校卒業後、大学4年間、医学部4年間、内科のレジデント3年間に循環器の3年間が加わり、合計14年間はかかることになります。この間、ずっと借金が増えるわけです。飛び級などを除けば、最も早くて32歳です。また、循環器などの競争が激しい科では、1~2年余計に費やすこともありますから、フェローを修了時に34~35歳ということもよくあり、配偶者や子供などがいることが多いです。35歳で家族はいるが、家もなく、借金が2,000~3,000万円近くあるというのが、平均的なフェローの状態なのです。この長いトレーニング期間と借金は問題と考えられています。せめて医学部が4年から3年に短縮できれば、それに伴うトレーニング期間、借金ともに減るはずです。実際、それが可能かを検証すべく、実験的に3年制の医学部を試行している大学があります。しかし、問題もいくつかあるようです。3年生の初めにはどの科を目指すかを決めなければなりませんので、座学だけを修了した段階で、専門の科を決めることになります。日本は研修医の間に決めれば良いわけですから、医学部6年間の後、研修医2年目、つまり医学部入学後8年目でも間に合います。また、専門とする科の変更は日本では容易ですが、アメリカでは科を変わるということはマッチングからやり直しですから容易ではありません。まだ、結論は出ていませんが、3年制の大学が主流となる日も近いかもしれません。

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認知症予防の新たな標的、グルコースピーク

 平均血糖値の指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)は、認知症および認知障害のリスクと関連している。しかし、この関連における血糖変動やグルコース変動の役割は不明である。米国・ジョンズホプキンス大学公衆衛生学大学院のAndreea M. Rawlings氏らは、1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)レベルの測定により、中年期におけるグルコースピークと認知症および20年の認知機能低下リスクとの関連を調査した。Diabetes care誌7月号の報告。 コミュニティにおけるアテローム性動脈硬化症リスク(ARIC)研究の約1万3,000例を対象に調査を行った。認知症は、動向調査、神経心理学的テスト、対象者またはその代理人との電話、認知症による死亡より確認した。認知機能は、3回の神経心理学的テストを20年間にわたり3回実施し、zスコアで示した。Coxモデル、線形混合効果モデルを使用した。1,5-AGレベルの10μg/mLで二分し、HbA1cの臨床的カテゴリ内で調査した。 主な結果は以下のとおり。・21年間の中央期間において、認知症は1,105例で発症した。・糖尿病患者では、1,5-AGの5μg/mL減少ごとに、推定認知症リスクが16%増加した(ハザード比:1.16、p=0.032)。・糖尿病およびHbA1c7%(53mmol/mol)未満の対象者の認知機能低下については、グルコースピークを有する患者は、ピークのない患者と比較し、20年間で0.19のzスコア上昇を示した(p=0.162)。・糖尿病およびHbA1c7%(53mmol/mol)以上の対象者の中で、グルコースピークを有する患者は、ピークのない患者と比較し、0.38のzスコア上昇を示した(p<0.001)。・糖尿病のない患者では、有意な関連が認められなかった。 著者らは「糖尿病患者では、グルコースピークが認知機能低下や認知症の危険因子となることが示唆された。平均血糖に加え、グルコースピークを標的とすることは、予防のための重要な手段となりうる」としている。■関連記事1日1時間のウオーキングで認知症リスク低下:東北大認知症予防に柑橘類は効果的か:東北大認知症の糖尿病合併、どのような影響があるか

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進行期大腸がん、1次治療での最適な分子標的薬とは/JAMA

 未治療の進行期または転移のある大腸がんでKRAS野生型遺伝子を有する患者において、化学療法と組み合わせる分子標的治療として、セツキシマブ(商品名:アービタックス)とベバシズマブ(同:アバスチン)を比較検討する無作為化試験が、米国・カリフォルニア大学のAlan P. Venook氏らにより行われた。結果、全生存期間(OS)について有意な差は認められなかった。分子標的治療の上乗せは、進行期または転移のある大腸がんの患者に臨床的有益性をもたらすが、いずれの分子標的薬が未治療患者への至適な選択であるかは不明であった。JAMA誌2017年6月20日号掲載の報告。セツキシマブ上乗せ vs.ベバシズマブ上乗せの無作為化試験 研究グループは、KRAS野生型遺伝子を有する進行期または転移性大腸がんの初回治療として、mFOLFOX6レジメン(ロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン)またはFOLFIRIレジメン(ロイコボリン+フルオロウラシル+イリノテカン)に、セツキシマブとベバシズマブのどちらを上乗せすることが優れるかを検討した。 2005年11月~2012年3月に、米国およびカナダのNational Clinical Trials Networkを通じて、地域および大学のセンターで18歳以上の患者1,137例を登録し、無作為にセツキシマブ上乗せ群(578例)またはベバシズマブ上乗せ群(559例)に割り付けた。担当医と患者の選択によるmFOLFOX6レジメンまたはFOLFIRIレジメンに、それぞれの試験薬を併用して投与し追跡した。 主要評価項目はOSであった。また、副次評価項目は、無増悪生存(PFS)、全奏効率、各部位の完全もしくは不完全奏効または部分奏効などであった。OSはセツキシマブ群30.0ヵ月、ベバシズマブ群29.0ヵ月で有意差なし 被験者1,137例は、年齢中央値59歳、女性が440例(39%)。このうち1,074例(94%)が適格基準を満たした。 最終追跡日の2015年12月15日時点で、生存患者(263例)の追跡期間中央値は47.4ヵ月(範囲:0~110.7ヵ月)であった。また、82%(938/1,137例)の患者で疾患進行が認められた。 OS中央値は、セツキシマブ群30.0ヵ月、ベバシズマブ群29.0ヵ月で、層別化ハザード比(HR)は0.88(95%信頼区間[CI]:0.77~1.01、p=0.08)であった。 PFS中央値はセツキシマブ群10.5ヵ月、ベバシズマブ群10.6ヵ月で、層別化HRは0.95(95%CI:0.84~1.08、p=0.45)であった。奏効率も有意差はみられず、セツキシマブ群59.6%、ベバシズマブ群55.2%であった(差:4.4%、95%CI:1.0~9.0、p=0.13)。

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多形紅斑

【皮膚疾患】多形紅斑◆病状輪っかのような赤い発疹が手、前腕、肘、膝などを中心に、また場合により全身にできる疾患です。若い女性から中年女性に多い疾患です。重症化すると水疱、粘膜の症状、発熱や関節痛などの全身症状がみられます。◆原因単純疱疹、溶連菌、マイコプラズマ肺炎などの感染症に伴って出現することがありますが、原因不明なものもあります。◆治療と予防・ステロイドが基本で、軽症では外用薬、重症では内服や点滴をします。病因が特定できればその治療を行います。・病因解明こそが予防となります。●一言アドバイス薬疹の一型として多形紅斑型を呈することがあり、常に原因として考える必要があります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第37回

第37回:潜在性甲状腺機能亢進症はどのような時に治療すべきか?監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム TSH、Free T4を臨床の場や人間ドックで測定することはよくありますが、FreeT4が正常、TSHが基準値より低値を示す場合があり、稀に潜在性甲状腺機能亢進の状態を認める患者と遭遇することがあるかと思います。こういった場合にどのようなリスクを考え、どのような患者に対して治療や専門家への相談を行うべきでしょうか。今回の記事では、潜在性甲状腺機能亢進症に対する米国甲状腺学会の治療方針について紹介したいと思います。 以下、American Family Physician 2017年6月1日号より1) より<潜在性甲状腺機能亢進症とは>潜在性甲状腺機能亢進症はFreeT4とT3値が正常であるが、TSHが低値または検出されない状態と定義される。潜在性甲状腺機能亢進症はTSH値で2つのカテゴリーに分類される。1)TSH値が低値だが検出される(たいていは0.1~0.4mlU/L)2)TSH値が0.1mlU/L以下である潜在性甲状腺機能亢進症は、内因性に過剰に甲状腺ホルモンが作られたり、甲状腺がんを抑制するために甲状腺ホルモンの内服を行っていたり、甲状腺機能低下症の患者に対し過剰に甲状腺ホルモン補充療法を行った結果生じる。内因性の潜在性機能亢進症の最も頻度の高い原因としては、Graves(Basedow)病、中毒性甲状腺結節、中毒性多結節性甲状腺腫(プランマー病)が挙げられる。一時的な甲状腺TSHの抑制の原因としては、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、産後甲状腺炎が挙げられる。潜在性甲状腺機能亢進症の最も多い原因は、甲状腺ホルモン補充療法によるものである。低TSHが、潜在性甲状腺機能亢進症によるものか、その他の甲状腺の機能亢進と関係しない原因によるものかを病歴などから鑑別する必要があり、その他の原因としては、ドパミンやグルココルチコイドの使用、Sick Euthyroid Syndrome(低T3症候群)、TSH産生下垂体腺腫などが挙げられる。<どのような影響があるのか?>これまでの研究では、潜在性甲状腺機能亢進症と心血管系イベントや骨折のリスクについての関係性が示唆されている。最新の研究では、TSH値が0.1以下の潜在性甲状腺機能亢進症の患者で、とくに高齢者における心血管系イベントや骨折のリスクに対してのエビデンスが明らかとなってきている。<心血管系への影響>平均心拍数の増加、心房細動と心不全のリスク、心左室の腫瘤形成、拡張不全、心拍数の変動性を減少させる。とくに65歳以上の患者において、Euthyroidの患者と比較すると、潜在性甲状腺機能亢進症の患者は心血管系のイベントが多くなる。<骨・ミネラルの代謝への影響>すべての甲状腺機能亢進を来す病態において、骨代謝回転の増加や、骨密度(とくに皮質骨)の減少を認め、骨折のリスクとなることが明らかとなっている。<いつ治療を考慮するべきか?>米国甲状腺学会では、以下のような推奨を出している。治療を行うべき場合TSH値が持続的に0.1mlU/L未満の患者の中で、1)年齢が65歳以上の場合2)65歳未満においては、心疾患・骨粗鬆症の既往や、甲状腺機能亢進による症状を有する場合3)65歳未満、閉経後でエストロゲンやビスホスホネートの内服がない場合治療を考慮すべき場合TSH値が持続的に0.1mlU/L未満の患者の中で、1)TSH値が0.1~0.4mlU/Lである65歳以上の患者2)TSH値が0.1mlU/L未満で無症状の65歳未満の患者3)TSH値が0.1~0.4mlU/Lで無症状だが心疾患の既往がある、または甲状腺機能亢進による症状が存在する65歳未満の患者4)TSH値が0.1~0.4mlU/Lで無症状の閉経後女性で、エストロゲンやビスホスホネートの内服のない65歳未満の患者※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、 詳細に関しては原著に当たることを推奨いたします。 1) DONANGELO I,et al. Am Fam Physician. 2017;95:710-716

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リスペリドンと低力価抗精神病薬の併用、相互作用を検証

 ドイツ・アーヘン工科大学のMichael Paulzen氏らは、リスペリドン(RIS)の代謝に対する低力価抗精神病薬の影響をin vivoで調査した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年6月2日号の報告。 1,584例を対象に、RISおよび代謝産物9-OH-RISの血中濃度を含む、治療薬モニタリングデータベースを分析した。RIS群(842例)およびchlorprothixene併用群(67例)、レボメプロマジン併用群(32例)、melperone併用群(46例)、ピパンペロン併用群(63例)、prothipendyl併用群(24例)を比較した。RIS、9-OH-RIS、活性物(RIS+9-OH-RIS:AM)の血中濃度、用量調節血中濃度(C/D)ならびに代謝比(9-OH-RIS/RIS:MR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・AMとRISにおいて、血中濃度の差異が認められた。・ペアワイズ比較では、RISの血中濃度は単独療法群よりも併用療法群で有意に高かった。・chlorprothixene併用群およびprothipendyl併用群では、ほかと差がないことが確認された。・レボメプロマジン併用群およびmelperone併用群では、AMとRISの血中濃度およびC/Dは高かったが、MRは低かった。・ピパンペロン併用群では、RISのC/D値が高く、MRが低かった。 著者らは「RISの代謝変化は、レボメプロマジンおよびmelperoneの薬物相互作用を示唆している。ピパンペロン併用群では、MRが低く、RISの血中濃度およびC/Dレベルが高いほど潜在的な相互作用が示唆される」としている。■関連記事抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

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アミロイドβ蛋白が高いと認知機能低下リスクが高い/JAMA

 認知機能が正常でも、アミロイドβ蛋白値が高い人は正常値の人に比べ、認知機能低下リスクが高いことが示された。中央値3.1年の追跡調査の結果、アミロイドβ蛋白値が高い群で、ミニメンタルステート検査(MMSE)など3つの認知機能のスコアについて有意な低下が認められたという。米国・南カリフォルニア大学のMichael C. Donohue氏らが、認知機能の正常な445例を対象に、探索的データ解析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2017年6月13日号で発表した。アミロイドβ蛋白値に応じて正常群とアミロイド上昇群に分けて分析 研究グループは2005年8月23日~2016年6月7日にかけて、国際プロジェクト「アルツハイマー病神経画像戦略(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative:ADNI)」に参加する米国およびカナダの83施設で、認知機能が正常な445例についてアミロイドPET検査またはヒト脳脊髄液分析でアミロイドβ蛋白値を測定し、追跡調査を行った。 被験者をベースラインのアミロイドβ蛋白値に応じて、正常群(243例)とアミロイド上昇群(202例)に分け、認知機能低下リスクとの関連を分析した。 主要評価項目は、複合的な認知機能尺度のPreclinical Alzheimer Cognitive Composite(PACC:ベースライン時標準化zスコア計は4、認知機能低下とともにスコアも低下)、ミニメンタルステート検査(MMSE:最低点0~最高点30)、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes[CDR-SB]:最高0点~最低18点)、ロジカルメモリの遅延再生検査(Logical Memory Delayed Recall[LMDR]:story unit数が最低0~最高25)のスコアだった。 被験者の平均年齢は74.0歳、平均教育年数は16.4年、女性は52%だった。アミロイドβ蛋白値の上昇群でいずれの認知機能スコアも有意に悪化 追跡期間中央値は3.1年(四分位範囲:2.0~4.2年、最長10.3年)。ベースラインの平均PACCスコアは0.00、平均MMSEスコアは29.0、CDR-SBは0.04、LMDRは13.1だった。 アミロイド上昇群は正常群に比べ、4年後の認知能力スコアは低かった。具体的に、アミロイド上昇群と正常群の平均スコア差は、PACCが1.51点(95%信頼区間[CI]:0.94~2.10、p<0.001)、MMSEが0.56点(95%CI:0.32~0.80、p<0.001)、CDR-SBが0.23点(95%CI:0.08~0.38、p=0.002)だった。LMDRスコアについては、両群で有意差はなく、平均スコア差は0.73(95%CI:-0.02~1.48、p=0.056)だった。 結果について著者は、「所見の臨床的重要性が不明である」として、各評価尺度で示された差の臨床的重要性に関する評価と、より長期にわたる関連性を調べる必要があるとまとめている。

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米国内科専門医試験、出題内容と実臨床の一致率は約7割/JAMA

 米国で内科医の資格を得るには、米国内科試験委員会(American Board of Internal Medicine:ABIM)の認定資格維持(Maintenance of Certification:MOC)試験に合格することが必須である。その出題内容について、実際に内科医が遭遇する割合は、およそ7割であることが、米国・ABIMのBradley Gray氏らが行った検討で明らかにされた。結果について著者は、「現行の内科(IM)-MOC試験内容は、実際の診療内容を反映した妥当なものと言えるが、31%の設問が実態と合致しておらず、この点については改善の余地がある」とまとめている。JAMA誌2017年6月13日号掲載の報告。全米外来診療調査と全米退院調査を基に、実際の診療内容を調査 研究グループは、2010~13年のIM-MOC試験の内容について、出題された設問のうち、糖尿病、虚血性心疾患、肝臓病といった186カテゴリーの病状に関するものが、実際の外来・入院患者の診療において内科医が遭遇する状況と、どの程度合致するのかを検証した。 全米の状況を反映する一般内科の診療内容については、2010~13年の全米外来診療調査(National Ambulatory Medical Care Surveys)の1万3,832件の主診断と、2010年の全米退院調査(National Hospital Discharge Survey)の10万8,472件の主診断を活用した。 IM-MOC試験に出題された病状のうち、一般内科医が実際に遭遇した病状との一致率を算出した。外来診療のみでは約6割、入院診療のみでは約4割の一致 2010~13年のIM-MOC試験で出題された問題数は合計3,600題だった。そのうち、186の病状カテゴリーに関連した設問は3,461題(96.1%)だった。症状カテゴリー当たりの平均設問数は18.6題。 出題された3,461題のうち、実際の外来・入院患者の診療内容と一致したのは2,389題(158病状カテゴリー)だった(69.0%、95%信頼区間[CI]:67.5~70.6)。 個別にみると、外来診療のみでは、実際の診療内容と一致したのは2,010題(145病状カテゴリー)で一致率は58.08%(95%CI:56.43~59.72)。入院診療のみでは1,456題(122病状カテゴリー)で一致率は42.07%(同:40.42~43.71)だった。

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肥満高齢者に対するダイエット+(有酸素運動+筋トレ)併用療法はフレイル防止に有効 ?(解説:島田 俊夫 氏)-689

 肥満治療をダイエットのみで行えば高齢者では筋肉、骨量の減少を加速し、サルコペニア、オステオペニアが生じやすい。肥満は一般集団では多数の疾患の危険因子となる1)一方で、高齢者では肥満パラドックス2)が注目を浴びている。それゆえ過度な減量を避け、食事・運動療法を適宜組み合わせ、体力・筋力温存維持に努めることが健康寿命の延長につながる。本研究はDennis T. Villareal氏らによるNEJM誌2017年5月18日号に掲載された、高齢者肥満治療の重要ポイントを指摘した興味深い論文である。方法:160人の肥満高齢者を対象とした臨床試験で、体重減量により生じるフレイルや筋肉・骨量の減少を防ぐために複数の運動モデルの効果が試された。参加者は4群からなり、体重調整プログラム3群([1]有酸素運動プログラム、[2]筋肉トレーニング・プログラム、[3]両者の併用プログラム)と、コントロール群(ダイエット、運動療法なし)に無作為に割り付けた。 主要評価項目はベースラインから6ヵ月間の身体機能検査スコアの変化(スコア範囲:0~36、高スコアはより良好な機能を示す)、副次評価項目は他のフレイル尺度、身体成分、骨密度、身体機能の変化とした。結果:全体で141人(88%)が研究を完遂した。身体スコアは、有酸素運動群(29.3から33.2点に)、筋トレ単独群(28.8から32.7点に)ともに14%増加した。併用群は21%(27.9から33.4点に)と大幅に増加した(いずれもボンフェローニ補正後、p=0.01およびp=0.02)。同スコアは運動実施群すべてで対照群よりも大幅に増加した(いずれの群間比較においてp<0.001)。最大酸素消費量(mL/kg/分)は併用群17%(17.2から20.3に)、有酸素運動群18%(17.6から20.9に)で、筋トレ群8%(17.0から18.3に)に比べ大幅に増加した(両方ともp<0.001)。筋力は有酸素運動単独群で4%(265から270kgに)と小幅な増加にとどまったが、併用療法群18%(272から320kgに)、筋トレ群19%(288から337kgに)はともに大幅に増加した(両方の比較に対してp<0.001)。体重はすべての運動実施群で9%減少したが、対照群では有意な体重変化はなかった。股関節骨密度(g/cm2)も同様に、併用療法群1%(1.010から0.996に)、筋トレ群0.5%(1.047から1.041に)と両群で減少するも、有酸素運動群の3%(1.018から0.991に)と比較し減少の程度は軽かった。また、除脂肪体重も併用療法群3%(56.5から54.8kgに)、筋トレ群2%(58.1から57.1kgに)と両群で減少したが、有酸素運動群5%(55.0から52.3kgに)の減少と比べ、わずかな減少にとどまった(すべての比較に対してp<0.05)。 運動に関連した有害事象は筋・骨格障害などが報告された。コメント:本論文でダイエット+(有酸素運動+筋トレ)併用運動療法群が高齢肥満者のダイエット単独治療の問題点であるサルコペニアやオステオペニアを防止しながら適切な肥満是正可能な治療法だと報告した。著者の結論に賛同したいが症例数が少なく、症例の偏りもあり結論を一般化するには症例の蓄積が必要と考える。また、高齢者では潜在的心疾患患者が含まれる可能性も高く、運動療法中の事故を回避するため治療前リスク評価は必要不可欠である。日常生活に今回の結論をうまく取り入れれば高齢者を脅かす認知障害、フレイルを含む生活習慣病対策になるかもしれない。 ■参考1)Calle EE, et al. N Engl J Med. 1999;341:1097-1105.2)Oreopoulos A, et al. Clin Geriatr Med. 2009;25:643-659.

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CANVAS Program が示した1つの回答

 2017年6月23日、都内にて「Diabetes Update Seminar~糖尿病治療における脳・心血管イベントに関する最新研究~」と題するセミナーが開かれた(主催:田辺三菱製薬株式会社)。 演者である稲垣 暢也氏(京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授)は、ADAにて発表されたCANVAS Programの結果を受け、「SGLT2阻害薬の脳・心血管イベントに対する有効性が、クラスエフェクトである可能性が高まった」と述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。EMPA-REG OUTCOMEが残した臨床的疑問 糖尿病患者の脳・心血管イベント発症リスクは、高いことが知られている。Steno-2研究により血糖値だけではなく、血圧、脂質といった包括的なリスクを管理する重要性が示されているが、3つの検査値すべてが目標値まで管理されている患者は20.8%1)との報告もあり、リスク管理は困難なのが実情だ。糖尿病治療におけるイベント抑制は、継続的課題であった。 そんな中、EMPA-REG OUTCOMEが発表され、SGLT2阻害薬による脳・心血管イベント抑制作用に大きな注目が集まった。一方で、「EMPA-REG OUTCOMEでのイベント抑制作用がエンパグリフロジン独自の作用なのか、それともSGLT2阻害薬によるクラスエフェクトなのか」といった臨床的疑問は残されたままであった。CANVAS Program による1つの回答 CANVAS Programは、この疑問に1つの回答を出した。 6月12日、ADAでCANVAS Programの結果が発表され、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが脳・心血管イベント発症リスクを低減させる2)ことが示された。CANVAS Programは、30ヵ国、心血管疾患リスクが高い2型糖尿病の患者1万142例を対象にした、2つのプラセボ対照無作為化比較試験「CANVAS」「CANVAS-R」の統合解析プログラムである。 基本とする患者背景はEMPA-REG OUTCOMEと同様だが、大きな違いとして、CANVAS Programには脳・心血管疾患の既往のない患者が3分の1ほど含まれている。 CANVAS Programは被験者を無作為に2群に割り付け、カナグリフロジン(100~300mg/日)またはプラセボをそれぞれ投与し、平均188.2週間追跡した。主要評価項目は、MACE(脳・心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発症リスクであった。 この結果、SGLT2阻害薬カナグリフロジンの投与は、主要評価項目の心血管リスクを約14%と有意に低減した。演者の稲垣氏は、EMPA-REG OUTCOMEでCANVAS Programと同様の試験結果が示されていることを受け、「脳・心血管イベントに対する有効性は、SGLT2阻害薬によるクラスエフェクトである可能性が高まった」と述べた。安全性に関する継続的な検証が必要 安全性についてCANVAS Programでは、カナグリフロジン投与により、性器感染症などの既知のSGLT2阻害薬による有害事象の増加が認められたほか、下肢切断リスクを2倍程度増加させることが明らかにされた。重回帰分析の結果、下肢切断リスクは、下肢切断既往、末梢循環疾患既往、男性、神経障害、HbA1c>8%といった因子で高まることから、リスクが高い患者では予防的フットケアなどが求められる。なお、下肢切断リスク増加のメカニズムは不明で、これがクラスエフェクトかドラッグエフェクトかは現時点では判断できない。日本国内における糖尿病足潰瘍の年間切断率は0.05%であり、欧米とアジア人との発生率の違いも含め、今後さらなる解析が待たれる。腎保護作用とSGLT2阻害薬 興味深いことに、CANVAS ProgramとEMPA-REG OUTCOMEの脳・心血管複合イベントリスクの低下率は14%と同じ数値が示されている。SGLT2阻害薬は、尿糖やナトリウムの排泄を促すことで腎保護作用を高める。腎保護作用は脳・心血管イベント抑制にも好影響をもたらすと期待されることから、SGLT2阻害薬による腎保護作用の可能性については、さらなる検証が必要といえるだろう。 カナグリフロジンでは、糖尿病性腎症の進行抑制を期待した国際共同試験「CREDENCE試験」も開始されている。演者の稲垣氏は、「透析患者は増え続けている。進行中のCREDENCE試験の結果にも期待したい」と述べ、講演を終えた。

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PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM

 既治療の生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がん患者の治療において、olaparibは標準治療に比べ無増悪生存(PFS)期間中央値を2.8ヵ月延長し、病勢進行や死亡のリスクを42%低減することが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMark Robson氏らが行ったOlympiAD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月4日号に掲載された。olaparibは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬で、米国ではBRCA遺伝子変異陽性の再発卵巣がんの治療薬として承認を得ており、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性で転移のある乳がんでも有望な抗腫瘍活性が示されている。日本人を含む約300例対象、olaparibの無作為化対照比較試験 本研究は、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がんにおけるolaparibの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化対照比較第III相試験で、アジアからは日本のほか韓国、中国の施設も参加している(AstraZeneca社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ホルモン受容体陽性(ER陽性、PgR陽性または双方が陽性)または陰性の、HER2陰性転移性乳がんで、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性が確認され、2レジメンまでの化学療法歴がある患者であった。 被験者は、olaparib(300mg、1日2回)を経口投与する群または担当医の選択による化学療法薬単剤(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン)を投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、独立審査委員会の中央判定によるPFS(割り付け時から画像評価による病勢進行または全死因死亡までの期間)であり、intention-to-treat法ベースで解析が行われた。 2014年4月7日~2015年11月27日に302例が登録され、olaparib群に205例が、標準治療群には97例が割り付けられた。標準治療群は91例が実際に治療を受けた。olaparib群で奏効率約2倍に、OSには差がない ベースラインの全体の年齢中央値は44歳で、フォローアップ期間中央値はolaparib群が14.5ヵ月、標準治療群は14.1ヵ月であった。男性が、olaparib群に5例(2.4%)、標準治療群に2例(2.1%)含まれた。ホルモン受容体陽性例はそれぞれ50.2%、50.5%、トリプルネガティブ例は49.8%、49.5%だった。 PFS期間中央値は、olaparib群が7.0ヵ月と、標準治療群の4.2ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.43~0.80、p<0.001)。事前に規定されたすべてのサブグループで、olaparib群のベネフィットが認められ、トリプルネガティブ例はolaparib群が有意に良好であった(HR:0.43、95%CI:0.29~0.63)。 全生存(OS)期間中央値は両群に差を認めなかった(HR:0.90、95%CI:0.63~1.29、p=0.57)。奏効率は、olaparib群が59.9%(完全奏効率:9.0%)、標準治療群は28.8%(同:1.5%)であり、奏効期間中央値は、それぞれ6.4ヵ月、7.1ヵ月、奏効までの期間中央値は47日、45日であった。 olaparib群で頻度の高い有害事象は、悪心(58.0%)、貧血(40.0%)、嘔吐(29.8%)、疲労(28.8%)、好中球減少(27.3%)であり、多くがGrade 1/2であった。Grade 3以上の有害事象は、olaparib群の36.6%、標準治療群の50.5%に発現した。毒性による治療中止はそれぞれ4.9%、7.7%だった。 著者は、「この試験はOSの差を評価する検出力はなく、OSは後治療による交絡を受ける可能性も高い」としており、「ホルモン受容体の状態別、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴の有無別のolaparibの効果を評価する試験や、olaparibとプラチナ製剤ベースの化学療法を直接比較する試験も有益と考えられる」と指摘する。

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BRAF変異肺がん、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用が承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年6月22日、BRAF V600E変異のある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とトラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用を通常承認した。これは、同患者に対するFDA初の承認となる。 この承認は、BRAF V600E変異陽性転移性NSCLCの国際多施設共同試験で、3つのコホートからなるBRF113928試験の結果に基づいている。当試験では93例の患者が、ダブラフェニブ(150mg×2/日)とトラメチニブ(2mg×1/日)の併用で治療された。93例中36例は全身療法未治療で、57例はプラチナベース化学療法を1つ以上受け疾患進行が確認された患者であった。また、別途78例のBRAF変異陽性患者が、ダブラフェニブ単剤による治療を受けた。 既治療群にける併用療法の全奏効率(ORR)は、63%(95%CI:49%~76%)であり、奏効期間(DOR)は12.6ヵ月(95%CI:5.8~NE)。未治療群ではORR61%(95%CI:44%~77%)、DOR中央値は未達であるが(95%CI:6.9~NE)、奏効者の59%は6ヵ月以上の奏効を示した。また、ダブラフェニブ単剤治療患者のORRは27%(95%CI:18%~38%)で、DORは9.9ヵ月であった。 有害事象の発現率および重症度は、すでに承認を受けているメラノーマ患者での報告と同様であった。Grade3/4で頻度の高い項目は、発熱、疲労、呼吸困難、嘔吐、発疹、出血、および下痢であった。Grade3/4で頻度の高い検査値異常は、低ナトリウム血症、リンパ球減少症、貧血、高血糖、好中球減少症、白血球減少症、低リン酸血症、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇であった。有害事象による投与中止はダブラフェニブ18%、トラメチニブ19%でみられた。 FDAはまた、次世代シークエンサー(NGS)Oncomine Dx Target Test(Thermo Fisher Scientific)も承認した。この検査により、NSCLC患者の組織標本からBRAF、ROS1、EGFR遺伝子異常の存在が検出可能となる。FDAによる初めてのNGSオンコロジーパネル検査の承認である。■参考FDAの発表BRF113928試験(Clinica Trials.gov)

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抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大

 抗精神病薬の有害事象は服薬アドヒアランスに著しい影響を及ぼすことがある。藤田保健衛生大学の波多野 正和氏らは、患者から報告されることの少ない抗精神病薬の有害事象およびそのような症状が残存している理由について調査した。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2017年5月31日号の報告。 主観的アンケートを用いて患者にインタビューを行い、データを収集した。報告されていない症状および背景因子との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症または統合失調感情障害患者306例を調査した。・主な症状は、昼間の眠気(50.0%)、体重増加(42.2%)、性機能障害(38.9%)であった。・性機能障害は、抗精神病薬多剤療法治療患者(オッズ比[OR]:2.14、95%信頼区間[CI]:1.07~4.30)および外来患者(OR:1.78、95%CI:1.02~3.13)で有意に多かった。・医師に症状を報告していた患者は約30%のみであった。 著者らは「抗精神病薬で治療中の統合失調症患者は、いくつかの有害事象に苦しんでおり、医師に報告できないと感じている。このことの最も一般的な理由は、患者と医師の関係が不十分であることによる。性機能障害はデリケートな問題であるため、とくに識別が困難であり、主観的アンケートがこのような問題を検出するのに役立つ可能性がある」としている。■関連記事抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較統合失調症患者の副作用認識状況は:さわ病院統合失調症の性機能障害改善のための補助療法:名古屋大学

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無作為化試験の質、雑誌により格差/BMJ

 無作為化試験について、鍵となる方法論の報告が不十分であることや、方法論の不十分な活用が問題視されているが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のAgnes Dechartres氏らは、それらが過去30年間でどのように変化しているかを調べた。その結果、とくに無作為化の順番作成(sequence generation)および割当秘匿(allocation concealment)に関しては、不十分な報告や方法論の不十分な利用は減少していたが、大半でそれらが認められ、とくにインパクトファクターの低いジャーナルに掲載された試験でその可能性が考えられるという。BMJ誌2017年6月8日号掲載の報告。バイアスリスクが不明または高い試験の割合で評価 検討は、Cochraneバイアスリスク(無作為化の順番作成、割当秘匿、盲検化、不完全アウトカムデータ)の評価を報告していた、2011年3月~2014年9月に発表されたCochraneレビューに包含された無作為化試験のデータをマッピングして行われた。各無作為化試験について、レビュー著者が作成したバイアスリスクについてのコンセンサスを抽出し、また、主要参照として論文発表年と雑誌名を抽出。Journal Citation Reportsで雑誌名と2014年のインパクトファクターを突合。インパクトファクターについては4群(≧10、5~10、<5、不明)を設定して分類した。 主要評価項目は、レビュー著者がバイアスリスクが不明または高いと評価していた試験の割合とした(これらを不十分な報告や方法論の不十分な利用についての代替指標とみなした)。順番作成・割当秘匿のバイアスリスクが不明・高い試験の割合は減少 分析には、3,136雑誌で発表されていた無作為化試験2万920件、レビュー2001本が含まれた。このうち1万7,944件(85.8%)の無作為化試験が、Journal Citation Reportsで索引付けができインパクトファクターが明らかであった1,706雑誌で発表されていた。それら雑誌のインパクトファクターの中央値は3.4(四分位範囲:2.0~5.5)であった。 バイアスリスクが不明であった試験の割合は、順番作成(48.7%)、割当秘匿(57.5%)については高値で、盲検化(30.6%)、不完全アウトカムデータ(24.7%)については低値であった。バイアスリスクが高い試験の割合は、順番作成は4.0%、割当秘匿は7.2%であった。一方、盲検化については33.1%、不完全アウトカムデータは17.1%であった。 すべてのバイアスリスクについて、インパクトファクターが高い雑誌の試験報告は、低い雑誌のものと比べて、バイアスリスク不明または高値の試験の割合が低いことが認められた。たとえば、割当秘匿のバイアスリスクが不明であった試験の割合は、インパクトファクター≧10の雑誌では38.0%であったのに対し、インパクトファクター不明の雑誌では73.4%であった。 また、順番作成のバイアスリスクが不明の試験の割合は、1986~90年は69.1%であったが2011~14年には31.2%に低下していたことも明らかになった。同様の傾向は割当秘匿についてもみられ、同期間に70.1%から44.6%に低下していた。バイアスリスクが不明の試験を除外後、方法論の不十分な利用についても、時間とともに減少していることが確認された(順番作成は14.8%から4.6%に、割当秘匿は32.7%から11.6%に)。

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湿疹性紅皮症

【皮膚疾患】湿疹性紅皮症◆病状全身の皮膚が赤くなり、激しい痒み、リンパ節の腫れ、皮膚がフケのように落ちるなどの症状がみられ、時に発熱、脱水、体温調節ができなくなることもあります。◆原因アトピー性皮膚炎など湿疹が悪化して生じることが多い疾患ですが、ウイルス感染、膠原病、血液の腫瘍などからも起きます。免疫力の低下、肝・腎臓などの機能低下、あやまった治療や放置により紅皮症へ進みます。◆治療と予防・ステロイド外用薬が治療の基本ですが、重症の場合はステロイドや免疫抑制剤の内服、点滴などを行います。入院が必要となる場合もあります。・紅皮症に至る前に、きちんと皮膚疾患の治療をする必要があります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第5回

第5回 強い不信感を持つ外国人患者の心はいかに開かれたのか?<Case5>母国で受けた医療により食道再建が必要となった外国人患者さんが、手術を受けるため来日。自国での経験に加え、日本で複数の医療機関に受け入れを断られたことから、患者さんの医療に対する不信感は最高潮に。そんな中、ようやく都内のある病院への入院が決まりました。最初は、担当医師の回診頻度についてなど、たびたび不満を訴えなかなか心を開かなかった患者さんが、最後には感謝の手紙を送るまでに変化したのはなぜだったのでしょうか。対談相手一般社団法人 徳洲会 国際医療支援室 渡部 昌樹 氏澤田:今回は徳洲会グループ全体の国際部機能を取りまとめている、一般社団法人 徳洲会の医療コーディネーター、渡部さんにお話を伺います。貴グループでは、湘南鎌倉総合病院を中心に、早くから外国人患者受け入れ体制を整備されてきましたが、実際の現場ではどのようなチームで外国人患者さんへの対応をされているのでしょうか。渡部:湘南鎌倉総合病院の場合、5~6人で外国人患者さんに対応する医療チームを構成しており、受け入れ前から受け入れ後まで一貫して患者さんをサポートしています。トラブルを避けるために、受け入れ前の患者選定基準を厳格に運用することや、受け入れ時も治療費の概算を事前に伝えるなどの自費診療のルールを徹底しています。澤田:素晴らしい取り組みですね。今回の事例では、どのように患者さんとの関係を構築していったのでしょうか。渡部:この事例では手術の成功と、数ヵ月にわたる入院期間で褥瘡専任看護師や、ほかの医療チームメンバーが献身的に患者さんをサポートした結果、患者さんが徐々に心を開いていったと聞いています。澤田:チーム全員で一丸となり、手厚いケアを実践したことによって、患者さんの心を動かしたということですね。そのような外国人患者さんに満足してもらえる医療を提供するために、貴グループではどのような工夫をされていますか。渡部:ポイントの1つは、患者さん自身の治療に対する真剣さを受け入れ前に確認することです。訪日患者さんの場合、言語等の問題から患者さん自身ではなく、仲介業者や知人・家族が病院と治療に関するやりとりをすることが多いため、患者さん本人の治療に対する意向と、仲介人から病院が聞いている情報との間にズレが生じるケースが少なくありません。そのような温度差があると、突然来院をキャンセルしたり、治療しても満足度が低い、という結果になりがちです。澤田:来日前からかなり密に、患者さん本人とコミュニケーションをとっているのですね。受け入れが決まって、患者さんが来院されてからは、医療コーディネーターの役割はどのようになりますか?渡部:医療はチームで行うものですので、受け入れ後、医療コーディネーターはチーム全員が気持ちよく快適に働けるように注力します。澤田:患者さんでなく医療チームに注力するのですか。意外でした。渡部:はい、とくに医師をサポートすることに力を入れます。いうまでもなく医師もコーディネーターも、医療チーム全員は、患者さんのために仕事をしています。そして基本的にその全責任を持つ医師は、大きなプレッシャーを抱えています。チームのリーダーである医師の気持ちを少しでも楽にして、医師がチームメンバーと一緒に患者さんに向き合えるよう、後ろから支えるような役割を果たすことができればと思っています。澤田:患者さんに寄り添うために、医師に寄り添う、というイメージでしょうか。渡部:はい。外国人患者さんの診察は1日の診察の最後にアレンジする場合が多いのですが、まずは前の患者さんを診察する時に医師へ労いの言葉をかけます。それだけではありますが、後に控えている外国人患者さんの診察に入る前に、少しでも医師の気持ちを楽にすることができればいいと思っています。澤田:新たな視点をいただきました。ありがとうございました。<本事例からの学び>医師に寄り添いサポートするプロがいれば、医師はもっと患者に寄り添える

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妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は

 これまで研究において、妊娠中の母親の抗うつ薬使用が、子供の自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)のリスクを高めるかを調査したが、その結果は矛盾していた。米国・マウントサイナイ医科大学のA. Viktorin氏らは、妊娠中の抗うつ薬治療による子供のASDリスクについて検討を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 2006、07年に誕生した子供179例の集団ベースコホートを対象に、子供たちが7、8歳となる2014年までフォローを行った。Cox回帰を用いて、妊娠中に抗うつ薬に曝露された子供におけるASDの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定し、また特定の9種の抗うつ薬についての分析も行った。解析では、潜在的な交絡因子の調整を行い、全サンプルとうつ病または不安症の診断を有する母親の臨床的に適切なサブサンプルにおいて実施した。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中に抗うつ薬を使用した母親の子供におけるASDの調整RRは1.23(95%CI:0.96~1.57)、うつ病または不安症の診断歴のある女性で1.07(95%CI:0.80~1.43)であった。・特定の抗うつ薬の分析では、citalopramおよびエスシタロプラム(RR:1.47、95%CI:0.92~2.35)と、クロミプラミン(RR:2.86、95%CI:1.04~7.82)においては、子供のASDのRRが増加した。 著者らは「妊娠中の抗うつ薬使用は、子供のASDリスク増加と関連があるとは考えられない。代わりにこの結果は、精神障害への感受性に関連する要因によって説明されることを示唆している。これらの知見に基づき、子供のASDリスクのために一般的に使用されている妊婦に対する抗うつ薬治療を控える必要はない」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

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