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反復性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~ネットワークメタ解析

 これまでの研究では、抗CGRPモノクローナル抗体は、反復性片頭痛の予防や治療に効果的な薬剤であることが報告されている。中国・Hospital of Chengdu University of Traditional Chinese MedicineのMin Shi氏らは、さらなる臨床研究の参考になるよう、用量、薬剤、投与経路、投与方法などの違いに基づき10の治療レジメンについて、比較を行った。Neurological Research誌オンライン版2021年7月19日号の報告。 2020年8月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をPubMed、Embase、Ovid MEDLINE、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索した。 主な結果は以下のとおり。・11件のRCT(6,397例)を分析に含めた。・ネットワークメタ解析の結果、1ヵ月当たりの平均頭痛日数の比較では、エレヌマブ(140mg)、ガルカネズマブ(120mg、240mg)、フレマネズマブ(225mg、675mg)は、プラセボおよびエレヌマブ(7mg)よりも有意に優れていることが示唆された。フレマネズマブ(225mg、675mg)は、エレヌマブ(21mg、70mg)よりも有意に優れていた。・1ヵ月当たりの急性片頭痛薬の平均投与日数の比較では、エレヌマブ(70mg、140mg)、ガルカネズマブ(120mg、240mg)、フレマネズマブ(225mg、675mg)は、プラセボよりも優れていた。エレヌマブ(140mg)、ガルカネズマブ(120mg、240mg)は、エレヌマブ(70mg)よりも有意に優れていることが示唆された。・投与前の平均頭痛日数および急性片頭痛薬の平均投与日数に統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「包括的な評価において、フレマネズマブ(225mg)およびガルカネズマブ(120mg)は、最良のプロトコルとなりうる可能性が示唆された」としている。

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ワクチンによる入院回避効果、mRNA vs.アデノウイルスベクター/NEJM

 米国で使用されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン3種、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)、mRNA-1273(Moderna製)、Ad26.COV2.S(Johnson & Johnson-Janssen製)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院やICU入室、あるいは救急部門や救急クリニック(urgent care clinic)の受診に対し、高い有効性が認められたことを、米国疾病予防管理センター(CDC)のMark G. Thompson氏らが報告した。COVID-19による入院患者約4万2,000例と救急・緊急外来クリニックを受診した約2万2,000例を調べた結果で、これらワクチンの有効性は、SARS-CoV-2感染で受ける影響が不均衡な集団にも認められたという。NEJM誌オンライン版2021年9月8日号掲載の報告。187病院、221ヵ所の救急部門・クリニックを対象に調査 研究グループは2021年1月1日~6月22日に、COVID-19が疑われる症状でSARS-CoV-2分子検査を受けた50歳以上を対象に試験を行い、COVID-19ワクチンの有効性を検証した。被験者は、米国内187の病院に入院した4万1,552例と、221ヵ所の救急部門や救急クリニックを受診した2万1,522例だった。 対象者の予防接種状況を電子健康記録と免疫レジストリの記録を基に確認し、検査陰性デザインを用いて、ワクチン接種者と非接種者のSARS-CoV-2陽性に関するオッズ比を比較し、ワクチン有効性を推定した。ワクチン有効性は、ワクチン接種傾向スコアに基づき重み付けし、また、年齢、住所、暦日(2021年1月1日から各医療機関受診日までの日数)、地域のウイルス流行性で補正を行った。mRNAワクチンの有効性、85歳以上84%、慢性疾患有病者90% COVID-19・mRNAワクチン完全接種(2回目接種から14日以上経過)の、SARS-CoV-2感染検査確定者の入院に対する有効性は89%(95%信頼区間[CI]:87~91)、ICU入室の有効性は90%(85~93)、救急部門・クリニック受診に対する有効性は91%(89~93)だった。 COVID-19関連の入院や救急部門・クリニック受診に関するワクチンの有効性は、BNT162b2とmRNA-1273は同等であり、mRNAワクチン完全接種者の有効率は、85歳以上では84%(95%CI:73~91)、慢性疾患有病者は90%(87~92)、アフリカ系/ヒスパニック系成人は95%(84~98)/81%(70~88)であった。 Ad26.COV2.Sワクチンの有効性は、検査確定SARS-CoV-2感染者の入院に対しては68%(95%CI:50~79)、救急部門・クリニック受診に対しては73%(59~82)だった。

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思春期中等症~重症アトピー性皮膚炎、経口JAK阻害薬+外用薬は安全・有効

 中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)の効果的な全身療法として期待される経口JAK阻害薬abrocitinib(本邦承認申請中)について、外用薬との併用による検討結果が示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らによる、12~17歳の思春期患者を対象とした第III相プラセボ対照無作為化試験「JADE TEEN試験」の結果、併用療法の忍容性は良好であり、プラセボ併用と比べて有意な有効性が認められたという。 思春期の中等症~重症AD治療には、生物学的製剤デュピルマブ皮下注投与が承認されているが、同患者にとってより好ましいベネフィット・リスクプロファイルを備えた効果的な経口の全身療法の検討はこれまでほとんど行われていないという。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年8月18日号掲載の報告。 青年期の中等症~重症ADに対する経口abrocitinib+外用薬の有効性と安全性を検討したJADE TEEN試験は、アジア太平洋地域、欧州、北米各国で行われた。被験者は、12~17歳、中等症~重症ADで連続4週間以上の外用薬塗布の効果が不十分または全身療法が必要な患者とした。 被験者は、外用薬との併用で経口abrocitinib 200mgを1日1回、同100mgを1日1回、プラセボをそれぞれ12週間投与する群に、1対1対1で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は2つで、12週時点で評価した医師による皮膚症状重症度の全般評価(IGA)スコアがベースラインから2段階以上改善し消失(0)またはほとんど消失(1)を達成(IGA 0/1)、およびEczema Area and Severity Indexの反応がベースラインから75%以上改善を達成(EASI-75)とした。主な副次評価項目は、12週時点で評価したピーク時痒み数値評価スケール(Peak Pruritus Numerical Rating Scale)の4点以上改善(PP-NRS4)などであった。有害事象はモニタリングされた。 主な結果は以下のとおり。・試験は2019年2月18日~2020年4月8日に行われ、データ解析は試験終了後に行われた。・被験者は285例(男子145例[50.9%]、女子140例[49.1%])で、160例(56.1%)が白人、94例(33.0%)がアジア人であった。年齢中央値は15歳(四分位範囲:13~17歳)だった。・12週時点で評価したIGA 0/1を達成した患者の割合は、経口abrocitinib併用群(200mg群46.2%、100mg群41.6%)が、プラセボ併用群(24.5%)を大きく上回った(いずれもp<0.05)。・同様に、EASI-75(72.0%、68.5% vs.41.5%、いずれもp<0.05)、PP-NRS4(55.4%、52.6% vs.29.8%、200mg併用群vs.プラセボ併用群のp<0.01)も経口abrocitinib併用群の達成・改善が大きかった。・有害事象の報告は、経口abrocitinib 200mg併用群59例(62.8%)、同100mg併用群54例(56.8%)、プラセボ併用群50例(52.1%)であった。経口abrocitinib併用群では悪心が最も多く、200mg併用群17例(18.1%)、100mg併用群7例(7.4%)であった。・ヘルペス関連の有害事象はまれで、重篤な有害事象は経口abrocitinib 200mg併用群1例(1.1%)、同100mg併用群なし、プラセボ併用群2例(2.1%)であった。

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世界初となるがん悪液質に対する栄養・運動・薬物の併用療法:NEXTAC-THREE試験 シリーズがん悪液質(8)【Oncologyインタビュー】第34回

がん悪液質は、薬剤をはじめとする治療の開発が進まず、長年にわたり問題となっていた。しかし2021年、アナモレリンが治療薬として認可され、がん悪液質は一躍注目を浴びることとなる。そのような中、栄養・運動療法にアナモレリンによる薬物療法を組み合わせた、がん悪液質治療の研究「NEXTAC-THREE試験」が始まる。栄養・運動療法に薬物療法を加えることで、どのような可能性があるのか。NEXTAC-THREE試験の責任者である静岡県立静岡がんセンターの内藤 立暁氏に聞いた。有効な治療法を模索するがん悪液質―がん悪液質の病態と、研究がどのように進んできたのか教えていただけますか。がん悪液質は、European Palliative Care Research Collaborative(EPCRC)で「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、骨格筋量の持続的な減少を特徴とし、進行性の機能障害に至る、多因子性の症候群」と定義されています。通常、食事から摂取する栄養素は筋肉や脂肪になります。しかし、がん悪液質では、栄養素が豊富にあっても、代謝障害により活用できずに痩せていきます。がん悪液質の代謝障害は、腫瘍由来のさまざまな液性因子で生じます。また、がんを異物と見なした宿主が生体反応として慢性の炎症を生じ、炎症性サイトカインによって食欲が減退し、体の痩せをさらに助長します。がん悪液質は、病理や画像所見などの肉眼で病因を確認することができない機能的疾患であるため、長く疾病として認識されず治療の進歩を妨げていたともいえます。画像を拡大するがん悪液質については世界的に多くの研究が行われてきましたが、有効性が確認されたものは非常に少ないのが現状です。1966~2019年の無作為化比較試験をレビューした2020年のASCOがん悪液質ガイドライン(Management of Cancer Cachexia: ASCO Guideline)は、今までのがん悪液質エビデンスが集約されたものです。ガイドラインの中で、栄養カウンセリングについていくつかの研究が取り上げられていますが、有効性のエビデンスレベルは「Low」という評価です。運動療法については、ほとんどエビデンスがありません。薬物療法についても、多数の研究が行われています。プロゲステロン、ステロイドなど、一時的に食欲改善、体重増加、QOL向上などを示すものもありますが、長期使用では有効性の低下や毒性の問題が出てしまうなど、総合的にみて推奨できるものはありませんでした。その中で、アナモレリンについては、身体機能の改善こそ証明されていませんが、複数の試験で食欲、体重、骨格筋量について、プラセボに対する有意な改善が認められ、2021年1月に日本で製造販売承認を取得しました。―わが国で行われている「NEXTAC研究」は、がん悪液質の集学的治療についての研究ですね。そのとおりです。栄養と運動のプログラムについては、皆が重要だと思っているものの標準プログラムがないため、この2つを組み合わせたオリジナルの栄養・運動プログラムを作ろうというプロジェクトです。NEXTAC(Nutrition and Exercise Treatment for Advanced Cancer)は、がん悪液質のリスクを有する患者さんの身体機能の維持・回復を目的とし、多職種の介入で進行がんの診断後に早期から運動療法と栄養療法を導入する集学的介入の名前です。2016年(平成28年)から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受けて開発を始めました。海外で開発中の栄養・運動プログラムでは、高強度の介入のため患者さんが継続できず、多くが治療中に脱落してしまうため、NEXTACプログラムは高齢者が自宅で毎日行えるよう、低強度の運動と、患者教育を中心に設計されているのが特徴です。これまでに、NEXTAC-ONE試験(安全性と忍容性を見る第I相試験)とNEXTAC-TWO試験(効果を検証する第II相試験)を実施しています。画像を拡大するまず、NEXTAC-ONE試験についてです。この試験は、安全性・忍容性試験として京都府立医科大学、静岡県立静岡がんセンター、新潟県立がんセンター、国立がん研究センター東病院の4施設で行われ、すでに最終結果が公表されています。主要評価項目であるNEXTACプログラムへの参加率(栄養・運動療法の計6回のセッションのうち4回以上参加した患者数の割合)は97%、プログラムのコンプライアンス(サプリメント服用、筋トレ実施、歩数計装着)はいずれも9割を超えて良好でした。さらに、7割の患者さんが屋外活動を、8割の患者さんが屋内活動を増やし、教育的な介入の成果が行動変容に現れたことはとても重要な結果と感じています。次にNEXTACプログラムが健康寿命(自立した生存期間)を延長するか否かを検証する無作為化第II相試験のNEXTAC-TWO試験を行い。国内の16施設から131例の症例登録を完遂し、本年度中に主解析の結果を公表予定です。―栄養・運動療法に薬物療法を加えたNEXTAC-Three試験がスタートするそうですね。NEXTAC-ONEやNEXTAC-TWO試験では、がん悪液質の高リスクの患者さんに対する治療開発を行いました。一方で、がん悪液質を発症してしまった患者さんに対しては、別の戦略が必要です。がん悪液質の病態には多因子が関与しますので、栄養・運動・薬物療法それぞれ単独で行っても、効果が出づらいからです。そこで、薬剤を組み合わせた栄養・運動介入のプログラムを検討する、NEXTAC-THREE試験が開始されることとなりました。これはアナモレリンの発売を見込み、当初から計画していたものです。今まで行ってきたNEXTACの栄養・運動介入プログラムに薬物を組み合わせたらどうなるかを検討します。―3つのモダリティを併せることで予想される効果は?アナモレリンが骨格筋量を増やしても握力などの身体機能が改善しなかったのは、作った筋肉を有効に活用するための運動という介入がないことが主たる理由と推定されます。アナモレリンで骨格筋を増やし、そこに栄養療法で良質の蛋白質を摂取し、さらに継続的なトレーニングを加えることで、進行がんを有する高齢者で、すでにがん悪液質があったとしても、身体機能を改善できるのではないか、というのがNEXTAC-THREE試験の仮説です。3モダリティの併用は、がん悪液質の有効な介入プログラムとなるか―NEXTAC-THREEの試験デザインを教えてください。NEXTAC-THREE試験の正式名称は、「高齢者進行非小細胞肺がん/膵がんに対する早期栄養・運動介入とアナモレリン塩酸塩の併用療法の多施設共同ランダム化第二相試験」です。試験の対象は70歳以上の新規化学療法を開始する患者さんで、全員がん悪液質を有しています。コホート1は非小細胞肺がん(NSCLC)で、サンプルサイズは60例。コホート2は膵がんで、サンプルサイズは30例です。NSCLC患者さんは1次治療で、初回化学療法時からアナモレリンを投与した群と、そこにNEXTACプログラムの栄養・運動療法を併用した群を比較します。評価項目は歩行障害の発生率です。「6分間歩行距離40m以上減少」は臨床的意義のある歩行障害といわれ、身体機能の状態を表します。この障害の発生率を減らすかを見ることで、アナモレリンと栄養・運動療法の組み合わせが身体機能を改善するかを評価します。膵がんについては、今までの研究データがないため、2次治療患者でのアナモレリンと栄養・運動療法の組み合わせの安全性を評価項目としています。画像を拡大する―NEXTAC-THREE試験はどのようなスケジュールで進んでいく予定ですか。NEXTAC-THREE試験は、2021年、AMEDの助成を受けて開始されます。倫理審査で承認をうけ、試験担当者の研修や設備の準備を行い、9月以降に試験開始の予定です。患者さんはすべてがん悪液質を有する方ですし、初回治療なので治験も競合するため、患者登録も苦労すると予想されます。2023年度までに試験を完了し、2024年に主解析を報告の予定です。―今後、参加施設を拡大していくのですか。まずはは、静岡がんセンター、京都府立医科大学、国立がん研究センター東病院、新潟県立がんセンターの4施設で行い、その後、参加施設を徐々に拡大していく予定です。また、国際協力者として、英国のエディンバラ大学、グラスゴー大学と相互に協力していくこととしています。彼らは欧州を中心とした研究グループで、栄養・運動療法(MENACプログラム)を開発しているグループです。NEXTAC-ONEからTHREEまでの結果がそろう時期に、彼らの集学的治療の研究と統合解析して、国際的ながん悪液質のガイドラインを作ろうという計画をしています。日本が世界をリードするがん悪液質研究―CareNet.com会員の方にメッセージをお願いします。がん悪液質は昔からある病気ですが、病態が複雑でわかりにくいため、がんに対する薬物療法や制吐療法などと比べ、治療の開発が遅れていました。しかし、近年の科学の進歩によりその病態が次第に解明され、また2021年のアナモレリンの承認によりスポットライトが当たりました。アナモレリンは、世界に先駆け日本で承認された薬剤です。つまり、日本は一番の先進国といえます。若い研究者の方々には、この機会を活かして、一緒に世界に研究を発信していただければと思います。がんサポーティブケア学会には世界でも少ないがん悪液質に特化した研究グループがありますので、まずは、そこに参加していただきたいと思います。参考1)NEXTAC-TWO試験(UMIN)2)NEXTAC-THREE試験(jRCT)

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第77回【特集・第6波を防げ!】相マスクが濃厚接触者の感染を予防/有観客試合で感染は広まらず

大学でのマスク着用が濃厚接触者の感染を予防デルタ変異株をまだ見ず、ワクチン接種がこれからという今年1~5月の米国の大学で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者との濃厚接触者を一律に隔離するのではなくマスク着用の状況に応じてそうするかしないかを決める取り組みが検証され、マスクをお互いに着用することでどうやら感染の連鎖がほぼ完全に断ち切れていました1,2)。米国のセントルイス大学では感染者と濃厚接触(24時間に2人が約2m以内で15分以上接触)しても感染者と濃厚接触者のどちらもマスクを着用していればそれら濃厚接触者の隔離は不要という対応が今年1月から実行され、その対応の成果を判定すべく同大学の学生およそ1万2,000人のその後5ヵ月間の感染状況が調べられました。その5ヵ月間に265人が感染し、それら感染者の申告で濃厚接触者378人が同定されました。感染者と濃厚接触者がどちらもマスクをしていた場合(相マスク)の濃厚接触者は毎日健診を受けて症状があればすぐに申告するよう指示され、ワクチン非接種で非相マスクの濃厚接触者のみ隔離されました。相マスクでの濃厚接触者は26人で、そのうち感染に陥ったのは僅か2人(7.7%)のみでした。一方、残りの多数(352人)の非相マスク濃厚接触者は3人に1人(32.4%)が感染に至っており、相マスク濃厚接触者の感染率はそうでない場合の5分の1ほどで済んでいました。相マスクにもかかわらず感染した濃厚接触者2人は感染判明後すぐに隔離され、それら2人から別の人への感染は9人との濃厚接触があってそれら濃厚接触者を隔離しなかったにもかかわらず一切認められませんでした。ワクチンはごく少数にしか接種されていませんでしたがその効果も伺え、接種済みの濃厚接触者18人は全員感染を免れました。一方、ワクチン接種一部完了(Partially vaccinated)の濃厚接触者24人は5人(20.8%)、ワクチン非接種の濃厚接触者336人は111人(33%)が感染に至っています。ワクチン接種が普及した現在において、直接会う授業がある大学はワクチン接種がまだ済んでいない濃厚接触者を隔離と検査観察のどちらに振り分けるかの判断材料にマスク着用状況を含めうると著者は言っています1)。アメフト有観客試合の開催地でCOVID-19増加はみられずマスク着用を含む感染対策が一箇所に大勢が集うイベントからの感染の広がりを防ぎうることが米国のアメリカンフットボール(アメフト)の有観客試合のデータ解析試験で示されました3,4)。試験では去年2020年8月末(29日)からその年末(12月28日)までに観客有りのアメフトの試合が実施された郡とそれらと同様の日程で観客なしの試合が開催された郡が検討されました。その結果、有観客試合が実施された郡での住民10万人当たりの1日のSARS-CoV-2感染数の一貫した増加は認められず、少なめな観客数でのアメフトの試合の開催はその開催地のCOVID-19増加を生じやすくはしないと示唆されました。マスク着用、少なめな観客数、野外開催がどうやらCOVID-19の広がりを防いだようであり、観客同士の距離を十分に保てば有観客試合は安全に実行できそうです。今はワクチンが出回っていますが、それだけに頼ることはできません。そもそも全員がワクチン接種済みとは限りませんし、ワクチンで感染を100%防げるわけではありません。より伝播しやすいデルタ株のような変異株の心配もあり、アメフトの試合のような大規模な集いでのCOVID-19伝播はマスクを着用しなければ依然として発生する恐れがあります。ワクチン接種が可能になったとはいえ今後もしばらくは行動の制限が続きそうですが、アメフトの試合ではマスク着用の観客を十分に離した席に招じ入れてよさそうだと試験の著者は結論しています4)。参考1)Rebmann T,et al.MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021 Sep 10;70:1245-1248.2)CDC Report Finds Masks Curb Spread of COVID-19 on Campus / Inside Higher Ed3)No indication of COVID-19 spread from pro football events with limited attendance / Eurekalert4)Toumi A, et al. JAMA Netw Open. 2021 Aug 2;4:e2119621.

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40代日本人女性、乳房構成ごとのマンモグラフィ+超音波の上乗せ効果

 現在、わが国における乳がん検診は、40歳以上に対する2年に1度の乳房X線検査(マンモグラフィ)が推奨されているが、高濃度乳房ではマンモグラフィによる精度低下が指摘されている。一方、超音波検査は乳房濃度に依存せず安価であり、乳がん検診への導入が期待されるが、有効性評価に関する研究は報告されていない。今回、40代の日本人女性を対象に、乳房構成ごとのマンモグラフィ+超音波検査併用による発見率・感度・特異度等を調べた大規模無作為化試験(J-START)の二次解析結果が報告された。東北大学の原田 成美氏らによるJAMA Network Open誌8月18日号への報告より。 J-START試験は、40代日本人女性を対象に、マンモグラフィ受診群を対照群、マンモグラフィ検診に超音波検査を加えた群を介入群として、両群に無作為に割り付け、初回とその2年後に同じ検診を受診する無作為化比較試験。第1報として初回検診における感度、特異度、がん発見率についてLancet誌に2016年1月に報告され1)、今回の第2報では「乳房濃度別の感度、特異度解析による超音波検査の評価」が報告された。 主な結果は以下のとおり。・2007~20年に宮城県のスクリーニングセンターから登録された1万9,213人の女性(平均年齢:44.5 [SD:2.8]歳)のデータが分析された。・9,705人が介入群、9,508人が対照群に無作為に割り付けられた。・1万1,390人(59.3%)が、不均一高濃度または極めて高濃度の乳房を有していた。・全体で130のがんが発見され、感度は介入群の方が対照群よりも有意に高かった(93.2%[95%CI:87.4~99.0%] vs.66.7%[54.4~78.9%]、p<0.001)。・乳房構成ごとに感度をみると、高濃度乳房(介入群93.2%[85.7~100.0%] vs.対照群70.6%[55.3~85.9%]、p<0.001) および非高濃度乳房(介入群93.1%[83.9~102.3%] vs.対照群60.9%[40.9~80.8%]、p<0.001)で同様の傾向が観察された。・1,000回のスクリーニング当たりの中間期がん発生率は、対照群と比較して介入群で低かった(0.5 cancers [0.1~1.0] vs. 2.0 cancers [1.1~2.9]、p=0.004)。・介入群において、超音波検査のみで検出された浸潤がんの割合は、高濃度乳房(82.4%[56.6~96.2%] vs.41.7%[15.2~72.3%]、p=0.02)および非高濃度乳房(85.7%[42.1~99.6%] vs. 25.0%[5.5~57.2%]、p=0.02)でマンモグラフィ単独の場合よりも有意に高かった。・ただし、マンモグラフィまたは超音波検査のみの感度は、両群のすべての乳房密度で80%を超えなかった。・対照群と比較して、特異度は介入群で有意に低かった(91.8%[91.2~92.3%] vs.86.8%[86.2~87.5%]、p<0.001)。・対照群と比較して、要精検率(13.8%[13.1~14.5%] vs.8.6%[8.0~9.1%]、p<0.001)および生検率(5.5%[5.1~6.0%] vs.2.1%[1.8~2.4%]、p<0.001)は、介入群で有意に高かった。 研究者らは、この結果は超音波検査の併用が、高濃度乳房と非高濃度乳房どちらにおいても初期段階および浸潤性のがんの検出を改善する可能性を示唆しているとし、乳腺濃度によらず、40〜49歳の女性の乳がんスクリーニング手法として考慮されるべきではないかとまとめている。

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肺動脈圧遠隔モニタリングによる心不全管理、COVID-19影響分析の結果/Lancet

 肺動脈圧遠隔モニタリングによる血行動態ガイド下の心不全管理は、通常治療のみと比較して、試験全体では全死因死亡と心不全イベントの複合エンドポイントを改善しないものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を考慮した感度分析の結果に基づくpre-COVID-19影響分析では統計学的に有意に良好との研究結果が、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJoAnn Lindenfeld氏らが実施したGUIDE-HF試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年8月27日号に掲載された。北米118施設の単盲検無作為化対照比較試験 本研究は、症状の重症度が広範囲にわたる心不全患者において、肺動脈圧遠隔モニタリングによる血行動態ガイド下の心不全管理は、心不全イベントや死亡を低減するかの評価を目的とする単盲検無作為化対照比較試験であり、2018年3月~2019年12月の期間に、米国の114施設とカナダの4施設で患者登録が行われた(米国・Abbottの助成による)。 対象は、NYHA心機能分類クラスII~IVの心不全患者で、左室駆出率の値は問われなかった。また、試験前にナトリウム利尿ペプチドの上昇がみられるが、心不全による入院歴のない患者なども含まれた。 被験者は、ガイドラインで推奨された薬物療法による通常治療を受ける群(対照群)、または通常治療に加え肺動脈圧遠隔モニタリングによる血行動態ガイド下の心不全管理を受ける群(治療群)に1対1の割合で無作為に割り付けられた。治療群に割り付けられた患者は割り付け情報がマスクされた。担当医はマスクされなかったが、対照群の肺動脈圧データは知らされなかった。 主要エンドポイントは、12ヵ月時の全死因死亡と心不全イベント(心不全による入院、心不全専門病院への緊急受診)の複合とした。アウトカムに関するpre-COVID-19影響分析が、事前に規定された。デバイス/システム関連合併症は99%で発現せず 本研究には1,022例が登録され、このうち1,000例が肺動脈圧遠隔モニタリングデバイス(CardioMEMS、米国・Abbott製)の装着に成功した。治療群に497例(年齢中央値71歳、女性38%)、対照群には503例(70歳、37%)が割り付けられた。 主要エンドポイントのイベントは、治療群497例で253件(0.563/人年)、対照群503例で289件(0.640/人年)発生し、両群間に差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.74~1.05、p=0.16)。心不全による入院にも差はみられなかった(0.83、0.68~1.01、p=0.064)。 一方、COVID-19の感度分析で、試験期間中のCOVID-19の世界的大流行期に主要エンドポイントのイベント発生に変化がみられたことから、pre-COVID-19影響分析を行ったところ、主要エンドポイントのイベント発生は治療群が177件(0.553/人年)、対照群は224件(0.682/人年)であり、治療群で有意に良好であった(HR:0.81、95%CI:0.66~1.00、p=0.049)。この治療群の有効性は、主に心不全による入院(0.72、0.57~0.92、p=0.007)が優れたことによるものだった。 この主要エンドポイントのイベント発生の差は、COVID-19の大流行期間中にほぼ消失し、対照群(0.536/人年)でCOVID-19前に比べ21%の低下がみられたのに対し、治療群(0.597/人年)では実質的にほぼ変化がなく、両群間に差はみられなかった(HR:1.11、95%CI:0.80~1.55、p=0.53)。 試験全体の解析では、治療群は心不全イベントの累積発生率が低下しなかった(HR:0.85、95%CI:0.70~1.03、p=0.096)が、pre-COVID-19影響分析では発生率が有意に減少した(0.76、0.61~0.95、p=0.014)。 安全性のエンドポイントであるデバイスまたはシステム関連の合併症は、99%(1,014/1,022例)には認められなかった。重篤な有害事象は、治療群57%(282/497例)、対照群53%(268/503例)で発現した。 著者は、「これらのデータは、慢性心不全患者における血行動態ガイド下の管理の有益性に関するエビデンスベースの支持を肯定し拡張するものであり、軽度~中等度の心不全や、ナトリウム利尿ペプチドの上昇がみられるが心不全による入院歴のない患者など、より幅広い患者への適用の可能性を示唆する」とまとめ、「COVID-19の世界的大流行中の臨床試験では、COVID-19の影響に関する感度分析を加える必要がある」と指摘している。

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血小板減少症/血栓症リスク、コロナワクチン接種後vs. 感染後/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のChAdOx1 nCoV-19ワクチン(Oxford-AstraZeneca製)の初回接種後には血小板減少症や静脈血栓塞栓症、まれな動脈血栓症のリスクが上昇し、BNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech製)初回接種後には動脈血栓塞栓症や虚血性脳卒中のリスクの増加が認められるが、これらのイベントのリスクは、ワクチン接種後と比較して同一集団における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染後のほうがはるかに高く、長期に及ぶことが、英国・オックスフォード大学のJulia Hippisley-Cox氏らの調査で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2021年8月26日号で報告された。イングランドの自己対照ケースシリーズ研究 本研究は、イングランドにおけるCOVID-19ワクチンと血液学的/血管系イベントとの関連の評価を目的とする自己対照ケースシリーズ研究であり、2020年12月1日~2021年4月24日の期間に実施された(英国研究技術革新機構[UKRI]の助成による)。 研究グループは、期間中にイングランドでワクチン接種を受けた個々の接種者レベルのデータを入手した。接種者の電子健康記録が、国家統計局(ONS)の死亡データ、SARS-CoV-2検査データ、英国の国民保健サービス(NHS)の入院データと関連付けられた。 2,912万1,633人がワクチンの初回接種を受け(ChAdOx1 nCoV-19ワクチン:1,960万8,008人[平均年齢55.5歳、女性50.1%]、BNT162b2 mRNAワクチン:951万3,625人[61.5歳、57.2%])、175万8,095人(51.7歳、56.7%)がSARS-CoV-2検査陽性であった。初回ワクチン接種を受け、アウトカムのデータが得られた16歳以上の集団が解析に含まれた。mRNA-1273ワクチン(Moderna製)は接種者数がきわめて少なかったため除外された。 主要アウトカムは、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種、BNT162b2 mRNAワクチン接種、SARS-CoV-2検査陽性という3つの曝露から28日以内における、血小板減少症、静脈血栓塞栓症、動脈血栓塞栓症に伴う入院または死亡とされた。主要アウトカムの構成要素である脳静脈洞血栓症(CVST)、虚血性脳卒中、心筋梗塞、その他のまれな動脈塞栓症の評価も行われた。CVSTのみ2つのワクチンともリスク増加 血小板減少症のリスク上昇は、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後(8~14日の罹患率比[IRR]:1.33[95%信頼区間[CI]:1.19~1.47])と、SARS-CoV-2検査陽性後(1~7日14.04[12.08~16.31]、8~14日5.27[4.34~6.40]、15~21日1.91[1.44~2.54]、22~28日1.50[1.10~2.05])に認められた。 また、静脈血栓塞栓症のリスク増加は、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後(8~14日のIRR:1.10[95%CI:1.02~1.18])と、SARS-CoV-2検査陽性後(1~7日13.78[12.66~14.99]、8~14日13.86[12.76~15.05]、15~21日7.88[7.18~8.64]、22~28日3.38[3.00~3.81])に、動脈血栓塞栓症のリスク増加は、BNT162b2 mRNAワクチン接種後(15~21日1.06[1.01~1.10])と、SARS-CoV-2検査陽性後(1~7日6.55[6.12~7.02]、8~14日4.52[4.19~4.88]、15~21日2.02[1.82~2.24]、22~28日1.26[1.11~1.43])にみられた。 さらに、CVSTのリスクは、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後(8~14日のIRR:4.01[95%CI:2.08~7.71])と、BNT162b2 mRNAワクチン接種後(15~21日3.58[1.39~9.27])、およびSARS-CoV-2検査陽性後(1~7日12.90[1.86~89.64]、8~14日13.43[1.99~90.59])に上昇し、虚血性脳卒中のリスクは、BNT162b2 mRNAワクチン接種後(15~21日1.12[1.04~1.20])と、SARS-CoV-2検査陽性後(1~7日3.94[3.46~4.47]、8~14日3.25[2.83~3.72]、15~21日2.00[1.70~2.35]、22~28日1.26[1.04~1.53])に増加した。 一方、心筋梗塞のリスクは、2つのワクチンとの関連はなかったが、SARS-CoV-2検査陽性後(1~7日のIRR:7.95[95%CI:7.32~8.63]、8~14日4.94[4.50~5.43]、15~21日1.95[1.71~2.22])に上昇し、まれな動脈塞栓症のリスクは、ChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後(8~14日1.21[1.02~1.43])と、SARS-CoV-2検査陽性後(1~7日5.35[3.90~7.32]、8~14日5.61[4.13~7.61]、15~21日2.97[2.03~4.36]、22~28日2.66[1.79~3.94])に増加した。 著者は、「2つのワクチンの初回接種後にCVSTのリスクが上昇しており、これは潜在的な前兆の可能性があるが、数が少ないためさらなる確認が必要である。重要な点は、ワクチン接種後のこれらのアウトカムのリスクは、同一集団のSARS-CoV-2感染後に比べはるかに低いことである」と指摘している。

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認知症のBPSDに対するタンドスピロンの有効性

 愛媛大学の越智 紳一郎氏らは、認知症の周辺症状(BPSD)に対するタンドスピロン(buspironeを改良したazapirone系抗不安薬)の有効性について、とくに超高齢者をターゲットとして検討を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年8月31日号の報告。 2013年8月~2018年8月に特別養護老人ホームでBPSDを有する高齢者を対象として、オープンラベル観察研究を行った。認知症の重症度の評価には臨床的認知症尺度(CDR)、BPSDの重症度の評価には臨床全般印象度の重症度(CGI-S)、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)を用いた。主要アウトカムは、ベースラインからタンドスピロン維持療法到達4週間後のBPSD重症度の変化とした。タンドスピロンは、30mg/日から開始し、1日3回に分けて投与した。2週間後に看護記録に基づき有効性が十分であると確認された場合、タンドスピロンの投与を継続し、有効性が不十分な場合、タンドスピロンを40~60mg/日へ増量した。 主な結果は以下のとおり。・研究を完了した患者は33例(女性の割合:76%[25例]、平均年齢:87.1±5.4歳)であった。・超高齢者は23例(女性の割合:78%[18例]、平均年齢:89.9±3.4歳)含まれていた。・すべての患者における平均CDRスコアは2.9±0.3であった。・タンドスピロンによる治療は、すべての患者および超高齢者の両方において、明らかな副作用をほとんどまたはまったく示さず、CGI-SスコアおよびNPI-12の合計スコア、多くのサブスケールスコアの有意な改善が認められた。 著者らは「本研究により、超高齢者においてもBPSDに対するタンドスピロンの有効性および安全性が立証された」としている。

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アレルギー高リスク者、コロナワクチンによるアレルギー発症率は?

 新型コロナワクチンを接種したいもののアレルギー持ちだと、どうしても躊躇してしまう。とくに副反応が強く出やすい2回目となればなおさらである。今回、イスラエル・Sheba Medical CenterのRonen Shavit氏らは、アレルギーに対し高いリスクを有する患者について、ファイザー製の新型コロナワクチン(BNT162b2)のアレルギー反応/アナフィラキシーの影響について調査を行った。その結果、アレルギー性疾患の病歴を持つほとんどの患者は、医療施設で実装できるさまざまなアルゴリズムを使用すれば安全に接種できることが示唆された。JAMA Network Open誌2021年8月31日号のOriginal Investigationとして掲載。 研究者らは2020年12月27日~2021年2月22日の期間、シェバ医療センターのCOVID-19ワクチンセンターに申請されたアレルギー患者8,102例を対象に前向きコホート研究として、詳細なアンケートを含むアルゴリズムを使用したリスク評価を実施。アレルギーに対し高いリスクを有する患者を「アレルギー性が高い」とし、医学的管理下で接種が行われた。 主な結果は以下のとおり。・アレルギー性が高い患者と定義付けされたのは429例で、そのうち304例(70.9%)は女性、平均年齢±SDは52±16歳だった。・BNT162b2ワクチンの初回投与後、420例(97.9%)に即時型アレルギー反応はなく、6例(1.4%)には軽度のアレルギー反応が、3例(0.7%)にはアナフィラキシーが出現した。・調査期間中、アレルギー性が高い患者218例(50.8%)が2回目のBNT162b2ワクチン接種を受けたところ、214例(98.2%)にはアレルギー反応がなく、4例(1.8%)で軽度のアレルギー反応がみられた。・ほかの即時型および遅延型アレルギーの発現状況について、アレルギー性が高い患者群を一般集団と比較しても同等だった(遅延性のかゆみや発疹の発症は除外)。

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「ワクチンを打つのが不安」と言われたら…【非専門医のための緩和ケアTips】第11回

第11回 「ワクチンを打つのが不安」と言われたら…COVID-19のパンデミックで大変な思いをされている医療者の方が多いと思います。今回はパンデミック下における緩和ケアについての話題を紹介します。今日の質問かかりつけの患者さんから、「私はワクチンを打ってもいいですか?」と質問されることが多いです。話を聞くと「副反応などの話を聞くので怖い」と感じているようです。どのようにアドバイスするとよいのでしょう?これは、多くの方がすでに経験している状況ではないでしょうか。「新しいワクチンの効果と安全性をどのように考えるか」という視点だけでなく、マスコミの報道の在り方やリスクコミュニケーションなど、さまざまな論点が複雑に絡み合った難しい問題です。一挙に解決する魔法のような策はないのですが、ここでも、緩和ケアのスキルが役立ちます。まず、患者さんやご家族は「ワクチンを受けるかどうか」について、どういった媒体の情報を得て決めたのでしょうか。厚生労働省のような公的機関や新聞やテレビのニュースの情報が十分届いているかというと、少し疑問です。米国の調査1)では、調査対象となった患者と家族の約80%がワクチン接種に関する相談先に「医師や看護師などの医療専門職」と回答しました。これは米国疾病予防管理センター(CDC)の60%や家族や友人の58%よりもはるかに高い数字です。いかがでしょう。こうした結果を見ると、私たち医療者の責任は重大です。このCenter to Advance Palliative Careのサイトには、医療者がワクチン接種に不安を感じる患者と対話するときのポイントも紹介されています。1)Start with Open-Ended Questions開かれた質問から対話を始める2)Acknowledge Patient Concerns without Judging判断をせずに、患者の気掛かりを認める3)Avoid Criticizing the Patient’s Information Sources患者の情報源を批判しない4)Show Awareness of Your Status as a Messenger必要なワクチンを必要な人に提供するという、自分の立場を明確にする5)Link Vaccine Acceptance to the Patient’s Hopes and Goals患者の希望や目標と、ワクチン接種の受け入れを関連付ける私の意訳を含んでいるので、少しニュアンスが異なるかもしれません。興味を持った方は、原文を読んでみてください。ちなみに、この原文には次のような力強い言葉が書いてあります。「緩和ケア医は多くの場合、すでに患者から信頼されている」さまざまな診療を通じて構築してきた、医師と患者の関係を基盤として、ワクチンに対する不安について「対話」をすることが重要なのです。ともすれば、患者さんの情報源を批判する態度を取ったり、医療者としての意見を一方的に伝えたりしがちではないでしょうか。「患者さんの真意を聞き、不安な気持ちを受け止める」という緩和ケアのアプローチは、ワクチン接種にも活用できるのです。今回のTips今回のTips緩和ケアにおける意思決定の支援法は、ワクチン接種にも活かせる!1)Center to Advance Palliative Care(capc). How to Address Vaccine Hesitancy for Patients Living with Serious Illness(2021年3月11日)

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60~80歳高血圧、強化治療が標準治療のベネフィットを上回る/NEJM

 60~80歳の高血圧患者に対する収縮期血圧目標値110~130mmHgとする強化治療は、同130~150mmHgとする標準治療に比べ、心血管イベント発生リスクを約4分の3に低減する。中国・Chinese Academy of Medical SciencesのWeili Zhang氏らが、8,511例の患者を対象に行った無作為化試験の結果を報告した。高齢高血圧患者の心血管リスク低減について、適切な収縮期血圧目標値は不明なままであった。NEJM誌オンライン版2021年8月30日号掲載の報告。60~80歳の高血圧症患者を対象に強化治療vs.標準治療の無作為化試験 研究グループは2017年1月10日~12月31日に、60~80歳で収縮期血圧値が140~190mmHgまたは降圧薬服用中の中国人患者を対象に多施設共同無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には収縮期血圧目標値110~130mmHgで(強化治療群)、もう一方の群は同130~150mmHgで(標準治療群)、それぞれ降圧コントロール治療を行った。 主要アウトカムは、脳卒中、急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院)、急性非代償性心不全、急性冠動脈血行再建術、心房細動、心血管系の原因による死亡の複合だった。 9,624例が適格性についてスクリーニングを受け、8,511例が試験に登録された(強化治療群4,243例、標準治療群4,268例)。心血管イベント発生リスク、強化治療群が標準治療群の0.74倍 1年後の収縮期血圧平均値は、強化治療群127.5mmHg、標準治療群135.3mmHgだった。 追跡期間中央値3.34年の主要アウトカム発生は、強化治療群147例(3.5%)、標準治療群196例(4.6%)だった(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.60~0.92、p=0.007)。 主要アウトカムの個々の同HRについても、脳卒中が0.67(95%CI:0.47~0.97)、急性冠症候群が0.67(0.47~0.94)、急性非代償性心不全が0.27(0.08~0.98)、急性冠動脈血行再建術が0.69(0.40~1.18)、心房細動が0.96(0.55~1.68)、心血管系の原因による死亡が0.72(0.39~1.32)と、大半が強化治療群でより良好であった。 なお、安全性や腎アウトカムについては、低血圧症の発生頻度が強化治療群で高かった以外は、両群で有意差はなかった。

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第74回 膵がん治療に欠かせないアブラキサン10月供給停止へ、学会、患者会が他工場製品の緊急承認要望

“末期”となり抗体カクテルも効かなかった菅首相こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。菅 義偉首相が昨年の安倍 晋三前首相に続き、またまた投げ出し退陣をすることになりました。コロナ対策も総じて後手後手でしたが、自身の政権延命策も後手後手の印象で、最後は自分で自分を“詰んで”しまいました。新聞やテレビは、退陣に追い込まれるに至ったいくつかの潮目について解説していましたが、個人的にはコロナ対策で8月2日に政府が打ち出した「新型コロナウイルスの感染者は重症患者を除き自宅療養を基本」とした方針が大きかったと思っています(「第70回 真夏のホラー、コロナ患者「重症者以外自宅療養」方針めぐるドタバタで考えた“野戦病院”の必要性」参照)。この方針は「棄民政策」とまで批判され、その後変更を余儀なくされましたが、「国民の安全、安心」と言いながら、コロナ患者の現状をまったく見ていなかったことが、この一件で明らかになりました。前回に書いた抗体カクテル療法は、発症早期の投与が求められる治療法ですが、“末期”だった自身の政権に効く“特効薬”はもはやなかったようです。今週はコロナを離れ、がん治療の現場を騒がせている抗がん剤のニュースを取り上げます。膵がん患者にとっては死活問題大鵬薬品工業のがん治療薬「アブラキサン点滴静注用100mg」(パクリタキセル アルブミン懸濁型)の供給が2021年10月以降、停滞することが明らかになり、がん治療の現場やがんの患者会では大騒ぎとなっています。この問題、夏の初めころから腫瘍内科医の間では話題となっていたようですが、表沙汰にはなっていませんでした。8月18日、大鵬薬品は「アブラキサン点滴静注用100mg供給に関するお詫び」と題した文書を医療機関向けに出し、「10月以降安定供給に一時的な支障を来す」と公表しました。2日後の8月20日には、全国のがん患者会でつくる「全国がん患者団体連合会」が厚生労働省や大鵬薬品などに対し「出庫調整並びに供給停止に関する要望書」を提出したことで、一般メディアも知るところとなりました。この要望書では、アブラキサンは膵がん、乳がん、胃がん、肺がんの治療のために重要であり、特に膵がんの治療には不可欠で、死活問題になりかねない状況だとして、供給停止に至った理由や対応策、今後の見通しなどについて速やかに情報公開を行うこと、医療機関での在庫を把握して、特に必要とする患者に対して適切に配分されるようにすることなどを求めました。アブラキサンについては、乳がん、胃がん、肺がん(非小細胞肺がん)に関してはパクリタキセルで代用できますが、膵がんでは代用品がありません。国内では年間4万人が使用しており、全アブラキサンの約65%が膵がんに使用されているとのことです。アリゾナ州フェニックスの工場の不具合なぜアブラキサンが供給停止になるのか…。はじめにこのニュースを聞いたときにはコロナの影響かとも思ったのですが、どうもそうではないようです。専門誌の報道やすい臓がんの患者会サイト(PanCAN)などによれば、大鵬薬品の海外生産拠点である米国のAbraxis BioScience社(米Bristol-Myers Squibb社の子会社)のアブラキサンの製造工場(アリゾナ州フェニックス)で製造上での不具合が見つかり、生産が中断したことから海外の供給先の1つである日本への供給が停止した、とのことです。なお、北米(米国、カナダ)とヨーロッパ(英国など)ではアブラキサンの供給停止は起こっておらず、日本への供給ストップは海外供給を担当しているアリゾナ工場の不具合が原因とのことです。日本以外ではオーストラリアでも供給停止となっています。大鵬薬品は供給停止の理由について「米国のメーカーから『製造工程に関する定期的な検証にて再評価が必要となる旨の連絡』があった」と説明していますが、詳しい内容は明らかにしていません。がん関連の6学会が合同声明、胃がん、乳がん、肺がん患者には切り替えを勧めるアブラキサン供給停止問題を受け、がん関連の6学会(日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会、日本膵臓学会、日本胃癌学会、日本乳癌学会、日本肺癌学会)は8月26日、医療関係者に対して合同声明を出しました。現在の状況が続くとアブラキサンの国内の在庫が10月中旬でなくなることが予想され、現時点では供給の目処が立っていないことから、声明では以下の3点を医療関係者に求めました。1.現在アブラキサンによる治療を継続中の患者さんについては、アブラキサンによる治療に効果があり継続中の患者さんを最優先してください。胃癌・乳癌・肺癌患者さんにおきましてはアブラキサンをパクリタキセルに切り替えるなど代替治療を積極的にご検討ください。2.新規に治療を開始する患者さんについては、代替治療への切り替えが困難な膵がん患者さんやアルコール不耐(パクリタキセルへの代替困難)の患者さんの治療を優先ください。胃癌・乳癌・肺癌患者さんにおきましてはアブラキサンをパクリタキセルに切り替える(肺癌、胃癌)か、他の治療法に切り替える(乳癌)など代替治療を積極的にご検討ください。3.アブラキサンはもとより、パクリタキセルなどの代替薬の必要以上の購入はお控えください。膵臓学会は他製造工場の製品の緊急承認求める9月1日には、膵がん治療の専門医の集まりである日本膵臓学会が、厚生労働省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対してアブラキサンの供給一時停止という事態の打開を訴える要望書を提出しました。要望書では、「アブラキサンはゲムシタビンとの併用で進行膵がんの1次化学療法薬として延命効果が証明され、最も多く用いられている極めて重要な薬剤です。アブラキサンは膵がんにおいて代替薬が無く、供給に支障を来した状況では進行膵がん患者の生命予後に直結する極めて重大な事態となります」と供給停止の深刻さを指摘、その上で、次の2点を要望しました。1.アブラキサン製造所に関する一部変更の緊急承認(今回問題が生じている日本向けアブラキサン製造所以外で製造されたアブラキサンの緊急承認)。2.アブラキサンの海外ジェネリック製品の緊急承認Abraxis BioScience社のアブラキサンの製造拠点は米国イリノイ州メルローズ・パークとアリゾナ州フェニックスの2ヵ所にあります。日本向け製品はフェニックスで製造されており、こちらだけが製造が止まっています。そこでメルローズ・パークで製造されたものを緊急承認してもらうとともに、欧州で流通しているジェネリックも使えるようにしてくれ、という要望です。なお、全国がん患者団体連合会も同様の要望を準備しているとのことです。ファイザーのパクリタキセルも出荷調整へ今回の事態の影響はアブラキサンだけではなく、パクリタキセルにも及んでいます。パクリタキセルを供給するファイザーは8月26日、医療関係者向けに「パクリタキセル点滴静注液の出荷調整のご案内」を出しました。それによると、ファイザーはパクリタキセルを「他社同種同効薬の出荷調整の影響から平常時を大幅に超える需要が想定されるため、既存のお得意様への供給を継続すべく関係卸様への出荷調整を実施」し、「しばらくの間は新規ご採用を辞退する」としています。大鵬薬品お詫び2報でも原因わからず当の大鵬薬品ですが、9月2日にお詫びの第2報を出しました。しかし、ここでも「当該製造拠点にて原因調査およびこれまでに製造した製品への影響度評価を進めております」と、原因は説明されていません。そして、「現在弊社が保有している在庫から鑑み、本製品のメーカー在庫消尽は10 月中旬頃となる可能性が出てまいりました」として、「出庫調整の後、在庫がなくなり次第、供給を一時停止」としています。供給の再開時期については、「グローバル在庫を調整の上、日本市場向け製品の輸入を現在交渉しているところ」とのことです。医薬品供給体制の脆弱さが浮き彫りにそれにしても、米国の1工場の不具合で、がん患者が窮地に追い込まれるとは、日本の医薬品供給体制の脆弱さが改めて浮き彫りになった格好です。日本国内で使用されている薬剤のうち、がん治療に用いられる分子標的治療薬や抗体医薬はその多くが海外から輸入されています。しかも今回のように、1ヵ所の製造所に依存しているケースもあります。アブラキサンについては、フェニックスの工場が停止した場合の対応策についてまったく考えていなかった大鵬薬品の責任は重いと言えるでしょう。他製造工場でつくられたアブラキサンやヨーロッパで流通しているジェネリックの確保が果たして可能なのか、そしてPMDAは緊急承認するのか、今後の展開が気になります。医薬品供給を巡っては、ジェネリックの自主回収(「第53回 まだまだ続く日医工自主回収、ジェネリックが再び「ゾロ」と呼ばれる日」参照)が問題になったばかりですが、海外の製造工場に依存するがん治療薬などについても、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定しておくなど、製薬会社にはしっかりとしたリスクマネジメントを期待したいところです。

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米国の10代で糖尿病の有病率が増加/JAMA

 米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)のJean M. Lawrence氏らSEARCH for Diabetes in Youth Studyの研究グループは、2001~17年に、米国の20歳未満における糖尿病の推定有病率がどう推移したかを調査した。その結果、この16年間に19歳以下では1型糖尿病の有病率が1,000人当たり1.48から2.15へ、10~19歳では2型糖尿病の有病率が1,000人当たり0.34から0.67へと、それぞれ統計学的に有意に増加したことが明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2021年8月24・31日号で報告された。6地域の2001、2009、2017年のデータを解析 本研究は、米国の青少年における、2001~17年の糖尿病有病率の推移の調査を目的とする横断的観察研究である(米国・Kaiser Permanente Southern California’s Marilyn Owsley Clinical Research Centerなどによる助成を受けた)。 解析には、米国の6地域(コロラド、オハイオ、サウスカロライナ、ワシントンの4州と、カリフォルニア州のカイザーパーマネンテ南カリフォルニア会員、アリゾナ州とニューメキシコ州のアメリカインディアン居留地)において、医師によって糖尿病と診断された20歳未満の人口の2001、2009、2017年のデータが用いられた。 2001、2009、2017年の1,000人当たりの1型および2型糖尿病の有病率を推定し、95%信頼区間(CI)を算出した。人種/民族別、年齢別、性別の解析も行った。増加率:1型45.1%、2型95.3%、1,000人当たりで0.67、0.32 19歳以下では、1型糖尿病が、2001年に335万人中4,958人、2009年に346万人中6,672人、2017年には361万人中7,759人で認められた。また、10~19歳では、2型糖尿病が、2001年に173万人中588人、2009年に185万人中814人、2017年には185万人中1,230人でみられた。 19歳以下における1,000人当たりの1型糖尿病の推定有病率は、2001年の1.48(95%CI:1.44~1.52)から、2009年には1.93(1.88~1.98)へ、2017年には2.15(2.10~2.20)へと有意に増加し、16年間に絶対値で0.67/1,000人(0.64~0.70)、相対値で45.1%(40.0~50.4)の増加が確認された。 また、この推定有病率の絶対値の増加は、非ヒスパニック系白人(0.93/1,000人、95%CI:0.88~0.98)と非ヒスパニック系黒人(0.89/1,000人、0.88~0.98)が他の人種/民族よりも高く、男性(0.71、0.66~0.75)は女性(0.63、0.58~0.67)よりも高く、年齢が進むに従って高くなる傾向がみられた。 一方、10~19歳における1,000人当たりの2型糖尿病の推定有病率は、2001年の0.34(95%CI:0.31~0.37)から、2009年には0.46(0.43~0.49)へ、2017年には0.67(0.63~0.70)へと有意に増加し、16年間に絶対値で0.32/1,000人(0.30~0.35)、相対値で95.3%(77.0~115.4)の増加が認められた。 この推定有病率の絶対値の増加は、非ヒスパニック系黒人(0.85/1,000人、95%CI:0.74~0.97)とヒスパニック系(0.57/1,000人、0.51~0.64)が他の人種/民族よりも高く、女性(0.40、0.36~0.44)は男性(0.25、0.22~0.28)よりも高く、年齢が進むに従って高くなる傾向がみられた。 著者は、「有病率の増加率は、2型糖尿病が1型よりも大きかったが、有病率の絶対値の増加は1型糖尿病のほうが大きく、青少年では依然として2型よりも多くみられた。また、2型糖尿病は、人種/民族的に少数派の青少年に多くみられ、有病率の絶対値の増加は黒人とヒスパニック系で大きかった」とまとめている。

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第76回 イスラエルから2報:COVID-19患者の嗅覚回復後ににおいの異常が増加/3回目接種有効

新型コロナウイルス感染(COVID-19)の始まりから嗅覚喪失や味覚喪失があったイスラエルの1,468人を追跡したところ嗅覚はおよそ回復していましたが、これまでとにおいが違う・不快・薬品のようだという愁訴に代表される嗅覚錯誤(parosmia)は逆に増えており、始まりには約10%にしか認められなかったのに約半年(中央値200日)後にはおよそ半数(47%)に認められるようになっていました1,2)。周りの誰もそうし得ないのに焦げたにおいがする(Sometimes I can smell burning but no one else around me can)などの嗅覚の幻覚(phantosmia:幻嗅)も増えており、始まりには嗅覚錯誤と同様に約10%にしか認められなかったのが約半年後には4人に1人(25%)が呈していました。また、半年後に嗅覚はおおむね回復していたとはいえ女性の6割と男性の約半数(48%)の嗅覚水準はCOVID-19前の80%未満にとどまっていました。味覚はたいてい嗅覚より早く回復し、嗅覚が回復して味覚喪失は続いているということはほとんどありませんでした。先立つ幾つかの試験で嗅覚喪失を呈するCOVID-19は軽症で済むらしいと示唆されています。しかし今回の結果によると嗅覚喪失は楽観視できるものではなさそうであり、長引く嗅覚不調は症状が多いことと関連しました。嗅覚喪失はどうやらCOVID-19後遺症の主な目印のようです。少なく見積もっても世界の1,500万人ほどがCOVID-19後の長引く嗅覚不調を被っており、嗅覚錯誤は数百万人にも達しそうです。嗅覚錯誤はどうやら主なCOVID-19後遺症の1つであり、その研究や新たな治療法の開発が必要です。においの異常は身体や精神、はては食生活にも影響するものであり、COVID-19が肉体や精神に及ぼす二次的影響の手当てを世界のどの地域も準備する必要があるでしょう2)。3回目接種がイスラエルで効果ありイスラエル全土でのCOVID-19ワクチン3回目接種が成果を上げているようです3)。同国の保健省(Israel Ministry of Health)のデータを調べたところ、60歳以上高齢者へのPfizerのCOVID-19ワクチンBNT162b2の3回目接種から2週間以上のSARS-CoV-2感染リスクが11分の1以下に下がりました4)。重病リスクも10分の1以下になりました。免疫の低下とデルタ変異株のせいで6ヵ月超前に接種したワクチンの効果が半減し、3回目接種で感染リスクが今回の解析とほぼ同じく10分の1に低下したと仮定するなら、3回目を接種した人の感染の確率は非接種の人の僅か5%です4)。その計算に基づくと今回の解析での3回目接種の予防効果は2回目接種後すぐに匹敵する95%ほどに回復していたようです。先月8月29日にイスラエルは3回目接種の対象を2回目接種から5ヵ月が過ぎた全員に拡大する方針を示しています3,5)。3回目接種の予防効果がどれぐらい続くかは不明であり、これから調べていく必要があります3)。参考1)Loss of smell may be followed by smell distortions / Reuters2)Increasing incidence of parosmia and phantosmia in patients recovering from COVID-19 smell loss. medRxiv. August 31, 20213)Israel’s COVID-19 boosters are preventing infections, new studies suggest / Science4)BNT162b2 vaccine booster dose protection: A nationwide study from Israel / gov.il(August 31, 2021)5)The Vaccination Policy and the New Green Pass that will Take Effect Soon / Israel Ministry of Health

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15年前の腹腔内の忘れ物【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第193回

15年前の腹腔内の忘れ物pixabayより使用例えば緊急手術時、腹腔内にガーゼや針などが忘れられて残ってしまい、それが何年も後になって膿瘍や腹膜炎を発症して……という事例が報告されます。そのため、閉創前にガーゼの数などをきっちりと数える必要があります。Kastiunig T, et al.Intra-abdominal foreign body as unexpected discovery mimicking suspicious malignancy.J Surg Case Rep. 2021 Jun; 2021(6): rjab248.今回報告されたのは、「え、それを忘れちゃったの!?」という1例です。63歳の男性が、吐き気、嘔吐、便秘で入院してきました。既往歴は、15年前の虫垂切除術くらいです。腹部CTを撮影すると、回腸末端近くの右腹部に、腹部症状の原因となっている腫瘤性病変がありました。開腹手術を受けると、3×5cmの異物が見つかりました。愛護的に除去されました。さて、これは一体なんだろうか……。「あれ、これってゴム手袋じゃない?」そう、しわくちゃになった手術用手袋が、腹腔内に残っていたのです。15年前の虫垂切除術で、一体どのタイミングで手袋が腹腔内に残留していたのか、謎です。閉創前に「へい、あとはよろしく!」と手袋を脱いでポイと腹腔内に投げたわけではないでしょうけど……。術後経過は良好で、患者さんは後遺症なく退院することができました。ちなみに、腹部外科医人生で、1~2回くらいは”置き忘れ”を経験するとされているので1)、どれだけ注意していても、最後の最後で起こり得るインシデントだということを認識する必要があります。また、緊急手術ではそのリスクが高くなります2)。さらに、大量出血があると視覚的に見逃しのリスクが増えますので、やはり頻度が高くなるそうです。1)Szymocha M, et al. Leaving a foreign object in the body of a patient during abdominal surgery: still a current problem. Przegl Chir. 2019;91:35–40.2)Sonarkar R, et al. Textiloma presenting as a lump in abdomen: a case report. Int J Surg Case Rep. 2020;77:206–9.

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シノバック製ワクチン、ガンマ株蔓延下のブラジルで有効性検証/BMJ

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のγ変異株(ブラジル型)が広くまん延している状況下で、70歳以上の集団における不活化全粒子ワクチンCoronaVac(中国Sinovac Biotech製)の2回接種者は非接種者と比較した場合、2回目接種から14日以降における症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症に対するワクチン有効率は47%であり、COVID-19関連の入院に対する有効率は56%、死亡に対する有効率は61%との研究結果が、スペイン・ISGlobalのOtavio T. Ranzani氏らによって報告された。研究の詳細は、BMJ誌2021年8月20日号に掲載された。サンパウロ州で、診断陰性例コントロール試験 研究グループは、γ変異株まん延下のブラジル・サンパウロ州(地方自治体数645、人口4,600万人、70歳以上人口323万人)の高齢者を対象に、CoronaVacワクチン接種の有効性を評価する目的で、診断陰性例コントロール試験(negative case-control study)を行った(外部からの研究助成は受けていない)。 対象は、サンパウロ州の居住者で、COVID-19の症状がみられる70歳以上の集団であった。2021年1月17日~4月29日の期間に、4万4,055人が逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)によるSARS-CoV-2の検査を受け、2万6,433人が陽性(症候性COVID-19)、1万7,622人はCOVID-19の症状がみられるものの陰性(コントロール)であった。 年齢、性別、自己申告の人種、居住する地方自治体、COVID-19様疾患の既往、RT-PCR検査日(±3日)に関して、症例(陽性者)1人に対しコントロール(陰性者)を最大で5人までマッチさせた(症例1万3,283人、コントロール4万2,236人)。 マッチング集団のCoronaVacワクチン接種者と非接種者で、症候性COVID-19(RT-PCR検査で確定)と、これに伴う入院および死亡の比較が行われた。年齢層が高いほど有効率が低下 CoronaVacワクチン非接種者との比較における、2回接種者の症候性COVID-19に対する調整後のワクチン有効率(発症予防効果)は、2回目の接種から0~13日が24.7%(95%信頼区間[CI]:14.7~33.4、p<0.001)、14日以降は46.8%(38.7~53.8、p<0.001)であった。 また、COVID-19関連入院に対するワクチン有効率は、2回目の接種から0~13日が39.1%(95%CI:28.0~48.5、p<0.001)、14日以降は55.5%(46.5~62.9、p<0.001)であり、死亡に対するワクチン有効率はそれぞれ48.9%(34.4~60.1、p<0.001)および61.2%(48.9~70.5、p<0.001)であった。 2回目接種から14日以降のワクチン有効率は、最も若い年齢層(70~74歳)で優れており、年齢層が高くなるに従って低下した。すなわち、症候性COVID-19のワクチン有効率は70~74歳が59.0%(43.7~70.2)、75~79歳が56.2%(43.0~66.3)、80歳以上は32.7%(17.0~45.5)であり、入院のワクチン有効率はそれぞれ77.6%(62.5~86.7)、66.6%(51.8~76.9)、38.9%(21.4~52.5)、死亡のワクチン有効率は83.9%(59.2~93.7)、78.0%(58.8~88.3)、44.0%(20.3~60.6)だった。 著者は、「COVID-19の流行に対応した集団予防接種キャンペーンの一環としてCoronaVacを使用する場合は、ワクチンの供給を優先し、2回接種完了者数を最大限に増やす必要がある」としている。

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嚢胞性線維症、3剤併用療法で肺機能が改善/NEJM

 Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者の治療において、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorによる3剤併用療法は、肺機能の改善に有効で安全性も良好であり、既存の嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)調節薬(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)よりも大きな利益をもたらすことが、英国・マンチェスター大学のPeter J. Barry氏らが行った「VX18-445-104試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年8月26日号に掲載された。北米、欧州、オーストラリアの無作為化実薬対照第III相試験 本研究は、北米、欧州、オーストラリアの96施設が参加した二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2019年8月~2020年6月の期間に実施された(米国・Vertex Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢12歳以上で、Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者であった。 被験者は、4週間の導入期間にivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftorの投与を受けたのち、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorを8週間投与する群または実薬対照(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftor群における、予測1秒量に対する比率(%FEV1)のベースライン(導入期間終了時)から8週までの絶対変化量であった。汗中塩化物イオン濃度とQOLの改善効果も良好 258例(Phe508del-ゲーティング遺伝子型95例、Phe508del-機能残存遺伝子型163例)が登録され、導入期間終了後に、3剤併用群に132例(平均年齢[±SD]37.7±14.7歳、女性50.8%)、実薬対照群に126例(37.6±14.3歳、48.4%)が割り付けられた。ベースラインの%FEV1の平均値は、3剤併用群が67.1±15.7%、実薬対照群は68.1±16.4%だった。 %FEV1は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で3.7ポイント(95%信頼区間[CI]:2.8~4.6、p<0.001)増加したのに対し、実薬対照群は0.2ポイント(-0.7~1.1)の増加であった。両群間の差は3.5ポイント(2.2~4.7)と3剤併用群で良好で、有意な差が認められた(p<0.001)。 また、汗中塩化物イオン濃度は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で22.3mmol/L(95%CI:20.2~24.5、p<0.001)低下したのに対し、実薬対照群では0.7mmo/L(-1.4~2.8)増加しており、両群間の差は23.1mmol/L(20.1~26.1)と3剤併用群で有意に良好だった(p<0.001)。 一方、嚢胞性線維症質問票改訂版(CFQ-R)の呼吸器領域のスコア(0~100点、点数が高いほどQOLが良好、臨床的に意義のある最小変化量4点)は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で10.3点(95%CI:8.0~12.7)上昇したのに対し、実薬対照群では1.6点(-0.8~4.1)の上昇で、両群間の差は8.7点(5.3~12.1)であった。 1件以上の有害事象が発現した患者の割合は両群でほぼ同様であり(3剤併用群66.7%、実薬対照群65.9%)、ほとんどが軽度~中等度で試験期間中に消退した。両群とも頭痛の頻度が最も高かった(8.3%、15.1%)。重篤な有害事象は、3剤併用群5例(3.8%)、実薬対照群11例(8.7%)で発現した。投与中止の原因となった有害事象は、3剤併用群で1例(0.8%、アミノトランスフェラーゼ値上昇)、実薬対照群で2例(1.6%、不安または抑うつ、呼吸器症状の増悪)に認められた。 著者は、「これらの結果は、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorの投与によるCFTR機能の改善を反映しており、少なくとも1つのPhe508del対立遺伝子を有する嚢胞性線維症患者におけるこの3剤併用療法の有効性と安全性を確定するものである」としている。

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うつ状態の変化が喫煙量に及ぼす影響

 韓国の喫煙率は、この10年間さまざまな喫煙コントロール政策が行われてきたにもかかわらず、わずか3%しか減少していない。そのため、喫煙者の心理学的特徴を考慮した政策を考える必要がある。一方、禁煙が失敗する要因として、うつ病との関連が示唆されている。韓国・延世大学校のSoo Hyun Kang氏らは、喫煙者のうつ状態の変化が1日の喫煙量(DCA)に及ぼす影響について、調査を行った。BMC Public Health誌2021年7月3日号の報告。 Korea Welfare Panel Study(KoWePS)のウェーブ3(2008年)~13(2018年)より抽出したサンプルを用いて検討を行った。調査時に1日で喫煙した紙巻きタバコの本数をDCAと定義した。うつ状態の評価には、うつ病自己評価尺度(CESD-11)を用いた。うつ症状の変化がDCAに及ぼす影響を評価するため、一般化推定方程式を用いた。うつ状態の変化により「NO→NO」群、「NO→YES」群、「YES→NO」群、「YES→YES」群に分類し評価した。 主な結果は以下のとおり。・2008年のベースライン時のサンプル数は、1,821人(男性:1,645人、女性:176人)であった。・男性において「YES→NO」群は、「NO→NO」群と比較し、DCAの有意な低下が認められた唯一の群であった(β:-0.631、p=0.0248)。・19歳以前に喫煙を開始した男性において「YES→NO」群は、「NO→NO」群と比較し、DCAの有意な低下が認められた(β:-0.881、p=0.0089)。 著者らは「うつ状態から非うつ状態への変化および非うつ状態からうつ状態への変化は、男性のDCA減少および増加とそれぞれ関連していた。19歳以前に喫煙を開始した喫煙者の場合、うつ状態から非うつ状態へ変化した群では、一般喫煙者と比較し、DCAが非常に低かった。禁煙プログラムに参加した人の治療において、カウンセラーはうつ症状を確認し、うつ病治療を併せて行うことを推奨する必要がある」としている。

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mRNAワクチン、初回接種後2週間は要注意/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のmRNAワクチンは、2回接種により症候性感染と重症化に対する高い有効性が認められることが示された。ただし、1回接種の場合、とくに高齢者では接種直後は有効性が低かった。カナダ・ICESのHannah Chung氏らが、診断陰性例コントロール試験の結果、明らかにしたもので、結果を踏まえて著者は、「mRNAワクチンの症候性感染に対する効果は、1回接種では中程度であることから、とくに初回接種後最初の2週間(高齢者ではさらに長い期間)は効果がないこと、マスク着用や物理的距離、社会的な集まりを避けるなどの推奨されている公衆衛生対策を継続して行うべきであることを、人々に伝える必要がある」と指摘している。BMJ誌2021年8月20日号掲載の報告。有症者約32万例でmRNAワクチンの有効性を評価 研究グループは、SARS-CoV-2の症候性感染および重症化に対するワクチンの有効性を検証する目的で、診断陰性例コントロール試験を実施した。対象は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状があり2020年12月14日~2021年4月19日にSARS-CoV-2検査を受けた16歳以上のオンタリオ州の住民32万4,033例であった。 主要評価項目は、RT-PCR法による症候性SARS-CoV-2感染(検査陽性)、ならびに症候性感染の重症化(入院または死亡)で、検査データはOntario Laboratories Information System、アウトカムはCase and Contact Management system、Canadian Institute for Health Information's Discharge Abstract DatabaseおよびOntario Registered Persons Database、ワクチン接種状況はオンタリオ州の一元化されたCOVID-19ワクチン情報システムであるCOVaxONを用いて特定した。なお、対象ワクチンは、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)およびmRNA-1273(Moderna製)とし、ChAdOx1(Oxford-AstraZeneca製)の接種者は除外した。 多変量ロジスティック回帰モデルを用い、検査陽性例と検査陰性例(ワクチン未接種者を参照群とする)でワクチン接種状況を比較した。高い効果が得られるのは初回接種後14日以降、2回目接種後7日以降 症状があり検査を受けた32万4,033例中、5万3,270例(16.4%)が検査陽性で、2万1,272例(6.6%)は少なくとも1回のワクチン接種を受けていた。検査陽性例のうち、2,479例(4.7%)が入院(2,035例)または死亡(444例)した。 1回目のワクチン接種後14日以降に確認された症候性感染に対するワクチンの有効性は60%(95%信頼区間[CI]:57~64)であり、14~20日後は48%(41~54)であったが、35~41日後には71%(63~78)に上昇した。一方、2回目のワクチン接種後7日以降に確認されたワクチンの有効性は91%(89~93)であった。 1回目のワクチン接種後14日以降に確認された入院または死亡に対するワクチンの有効性は70%(95%CI:60~77)であり、1回目接種14~20日後は62%(44~75)であったが、35日以降には91%(73~97)に上昇した。一方、2回目のワクチン接種後7日以降に確認された同ワクチンの有効性は98%(88~100)であった。 70歳以上の成人では、1回目接種後の期間が短い間はワクチンの有効性が低く、28日後以降で若年者の14日後以降に相当する有効性が得られた。また、2回接種後は、E484K変異(ガンマ株)に対して高い有効性を示すことが確認された。

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