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部位別がんの5年相対生存率

がんの5年相対生存率(部位別・男女別)34.1脳・中枢神経系甲状腺(%)37.491.360.7口腔・咽頭69.481.881.7喉頭40.6食道45.967.564.6胃72.470.1大腸肝および肝内胆管胆のう・胆管膵臓肺22.18.98.126.836.235.129.5男性94.494.692.3乳房子宮頸部76.5子宮体部81.3卵巣60.099.1前立腺膀胱63.0腎・尿路悪性リンパ腫白血病女性46.8皮膚多発性骨髄腫95.841.976.570.464.866.468.643.643.444.95年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.がんの5年相対生存率(部位別・進行度別)口腔・咽頭13.953.514.554.0喉頭食道胃胆のう・胆管膵臓肺80.451.661.028.52.995.773.292.559.323.9前立腺甲状腺95.766.820.153.49.599.390.022.5卵巣腎・尿路98.139.3子宮体部遠隔65.816.5子宮頸部領域83.531.16.4乳房膀胱限局42.112.4皮膚97.375.317.315.43.11.896.751.96.6大腸肝および肝内胆管93.733.710.0(%)86.638.053.612.447.0100.099.287.394.395.7100.05年相対生存率:あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表した値※限局:最初にがんが発生した臓器(原発臓器)にがんが限局/領域:所属リンパ節(原発臓器と関連するリンパ節)転移または隣接臓器への浸潤(がんの広がり)あり/遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤あり全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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サブスペフェロー面接本番!日本人カテーテル医の魅力をどう売り込むか【臨床留学通信 from NY】第44回

第44回:サブスペフェロー面接本番!日本人カテーテル医の魅力をどう売り込むかさて、今回はマサチューセッツ総合病院(MGH)の面接当日の様子を紹介します。フェローシップ申請サイトのERASが12月7日にオープンする前にさっさと決めてしまいたいという思いもあって、先行して行われるMGHの面接に全力で臨みました。オンライン面接となれば、普通は部屋を明るくして自分の印象を良くするものですが、私は家の中が騒々しいため、やむなく病院の当直室で、やや暗めの光の中で行いました。Program Director、Associate Program Directorと呼ばれる2人との同時面接で、開始時間は先方が空いてる時間帯をいくつか提示され、その中から選ぶ形でした。多くのかしこまった面接はコーディネーターにあたる方から連絡が来て、何人かの候補者と同時に面接をするのが普通なのですが、今回はそれと異なり私1人だけであり時間もフレキシブルでした。おそらく内部候補者でスポットが埋まらず、ERASがオープンする前では私以外に候補者がいなかったのでしょう。逆にこれを大きなチャンスと捉え、少し気楽に、誰かとの比較ではなく自分自身の今までの日本での経験や、なぜ米国に来たのかということ、これから先何をしたいかということを純粋に伝えればいいという風に考えました。レジデントや通常のフェローの場合は、「なぜ内科なの? なぜ循環器なの? 循環器の何がしたいの?」とかいう質問も多いですし、“What are your strength and weakness?” “Why our program?”といった質問もあります。しかし、フェローシップのサブスペシャルティともなると、そのような細かいことは聞かれません。また、もし初めて米国に来るために内科の面接を受けるならば、経験がないため英語力も見られているでしょう。私の英語も問題はないとは言えませんが、そこはいわゆる“Tell me about yourself.”に対して、事前に用意して繰り返し練習した内容をスラスラと伝えました。Zoomのため、カンペのようにいくつかのポイントをPCのキーボードの上に置いておき、たとえば“What questions do you have?”といったよくある質問にも、焦らずいくつか答えられるようにしておきました。もちろん「バケーションはどれくらいですか?」とか、「夜終わるの遅いんですか?」といった質問は禁忌です。日本国内の医師はほぼ面接は皆無、どこの病院に行っても基本はウェルカムであることから、こういった就職面接というのは日本語でもやっていないのにどうしたもんだ、という心境でしたが何とか乗り切りました。今回は循環器の中のサブスペシャルティのカテーテル治療であり、一般のフェローとは違ったスキル、かつ日本的な丁寧なカテーテル治療ができる、というのも魅力的に思わせるようにしました。いかに自分を売り込むか、魅力的な候補者か、プログラム側がその候補者を取った場合にどんなメリットがあるかを伝える必要があり、日本人にはなかなか難しいところとも言えます。おおむねプログラム側も通常は和やかな雰囲気にしてくれますので、雰囲気が良かったかどうかで出来は決まりませんが、日本でのカテーテル治療、臨床研究の経験を活かし、米国に来たのはさらなるアカデミックキャリアを築くため、という一本道を伝えきりました。面接を終えると、その直後はサンクスギビングで連絡は途絶え、その間は次の面接の準備をしていました。そしてついに、休み明けの月曜に、“I would like to offer you the position of the interventional cardiology fellowship at MGH beginning 7/2024”というメールが来た時は、4年半の米国での苦労が少し報われたような、張り詰めていた緊張も少し和らいだ気がしました。Column5~11歳を対象としたCOVID-19のワクチンの有効性を述べた論文が、JAMA Pediatrics誌に掲載されたため紹介させていただきます。本誌には昨年にも2本掲載され、今回3本目になります。Reviewerもしっかりしていて、いろいろ学ぶことができました。この論文について、米国のトップニュースメディアの1つであるABCからも取材を受けました。Watanabe A, Kuno T, et al. Assessment of Efficacy and Safety of mRNA COVID-19 Vaccines in Children Aged 5 to 11 Years: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2023;e226243.ABC News:COVID-19 vaccines are safe and effective for kids, according to new data

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ペマフィブラートの非アルコール性脂肪性肝疾患への有効性、よく効く患者の特徴

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に対するペマフィブラート※の投与は、BMI に関係なく肝炎症および線維化のマーカーを改善し、なかでもBMI 25未満の患者のほうがBMI 30以上の患者と比較して効果が高いことが、篠崎内科クリニックの篠崎 聡氏らの研究で明らかになった。Clinical and experimental hepatology誌2022年12月8日号の報告。※ペマフィブラート(商品名:パルモディア)の効能・効果は「高脂血症(家族性を含む)」(2023年2月3日現在)。ペマフィブラート投与6ヵ月後の非アルコール性脂肪性肝疾患患者のALT値非アルコール性脂肪性肝疾患は、世界で最も一般的な慢性肝疾患であり、近年発症率が増加している。日本では2018年に登場した選択的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-αモジュレーター(SPPARMα)であるペマフィブラートは、非アルコール性脂肪性肝疾患の改善が期待されている薬剤の1つである。本研究は、非アルコール性脂肪性肝疾患患者におけるペマフィブラート投与後の炎症および線維化改善の予測因子を特定する目的で行われた。 対象は、ペマフィブラートで6ヵ月以上治療された非糖尿病の非アルコール性脂肪性肝疾患患者71例。肝臓の炎症と線維化に関しては、それぞれアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値とMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)値によって評価を行った。 非アルコール性脂肪性肝疾患患者におけるペマフィブラート投与後の炎症および線維化改善の予測因子を特定する研究の主な結果は以下のとおり。・ペマフィブラート投与6ヵ月後の非アルコール性脂肪性肝疾患患者のALT値およびM2BPGi値は、ベースラインと比較して、BMIに関係なく、有意な改善が認められた。・BMI 25未満であることは、肝炎症患者のALTを50%以上減少させる有意な正の予測因子であることが認められた。・BMI 25未満の群におけるALT値は、BMI 30以上の群と比較して有意な減少が認められた (p=0.034)。・BMI 25未満であること、および50歳以上であることは、肝線維化の減少を示すM2BPGiを20%以上減少させる有意な正の予測因子であることが認められた。・BMI 25未満の群におけるM2BPGi値は、BMI 30以上の群と比較して有意な減少が認められた(p=0.022)。

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転移を有する乳がんでタキサン再投与が有効な患者は?

 推奨される抗がん剤をすべて投与された転移乳がん患者において、全身状態が良好であるにもかかわらず病勢進行に苦しむ患者は少なくない。この状況で、タキサンなどの忍容性の高い抗がん剤の再投与が選択肢の1つになる場合がある。そこで、フランス・Centre Georges Francois Leclerc Cancer CenterのManon Reda氏らは、タキサン投与歴のある転移乳がん患者におけるタキサン再投与の有用性について検討した。その結果、とくにタキサンが乳がん経過の早期に効果を示した場合や病勢進行以外の理由で中止された場合に、タキサン再投与が現実的方法として支持された。Breast誌オンライン版2023年2月4日号に掲載。 本研究では、フランスのがんセンターの地域データベースから、2008~21年に転移を有するER+/HER2-またはトリプルネガティブ乳がんの診断・治療を受けた756例を後ろ向きに調べた。そのうち58例(7.8%)がタキサンを再投与されていた。臨床的特徴、奏効率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を評価し、タキサン再投与を受けなかった患者と比較した。なお、以前のタキサン治療におけるPFSをPFS1、タキサン再投与におけるPFSをPFS2とし、PFS2/PFS1が1.3を超えた場合に治療ベネフィットがあるとした。 主な結果は以下のとおり。・タキサン再投与群は再投与を受けなかった患者群と比較して、有意に年齢が低く、全身状態も良好で、多くの治療を受けていた。・タキサン再投与群は再投与を受けなかった患者群と比較して、投与1回目の反応が良好で、病勢進行以外の理由による中止割合が高かった。・タキサン再投与群における客観的奏効率は27.6%、クリニカルベネフィット率は46.6%、PFS中央値は5.7ヵ月、OS中央値は11.6ヵ月だった。・タキサン再投与群のうち55.2%においてPFS2/PFS1比が1.3を超えた。

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アルツハイマー病疾患修飾薬lecanemab、臨床医が知っておきたい現状と課題【外来で役立つ!認知症Topics】第2回

lecanemabの3つの課題日本におけるlecanemabの申請が発表された。これを受け、認知症の人やその家族、そして医療関係者はアルツハイマー病の疾患修飾薬に熱い視線を向けている。エーザイでは、7.5ヵ月の延長効果、27%の症状軽減を公式発表している。しかしマスコミなどでは、シミュレーションの数字を基に軽度認知障害(MCI)なら2年間も認知症へのコンバートが遅くなるなどと報道している。このように期待が先行し、現実を見えにくくしている面もある。そこで今回はこの薬剤に関し、実際的な3つの問題点について述べる。まず今後、薬価を下げるために考えられる方法論。次に、最大の副作用であるARIA。そして現時点での個人輸入の可能性とこれから医師が直面するであろう課題である。薬価、保険収載はどうなるか?価格に関しては、アメリカでは1人あたりの1年間分の薬価が350万円とされた。そこでマスコミが試算して、日本の場合には150万円くらいとの報道もあるが、これも根拠の薄い値段のようだ。それはさておき、わが国の認知症の人の3分の2を占めるアルツハイマー病患者、それを前駆期や初期に限ったとしても100万人台と思われる。これを考えた時、保険収載はそう容易ではないと思われる。そこでまずは、製造技術の革新や大量生産等により廉価になっていくことが期待される。また、抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬の投与量が少なくても効果が今以上になれば安くなるはずだ。従来の抗体薬の効果が乏しかった原因として注目される説の1つに、血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)の通過率が低いからとするものがある。そこでBBB通過の効率を上げることが注目される。従来、抗アミロイド抗体のような巨大分子の輸送では受容体媒介移動(receptor-mediated transcytosis:RMT)過程の活用が有効と考えられ、RMT受容体に結合できるリコンビナント抗体が注目されてきた。これ以外にも、末梢で可溶性Aβを取り除いて、崩れた末梢・中枢間のAβ比を復元しようとする力を促し、脳に沈着をさせない、脳の沈着を除くという戦略1)もある。いずれも値下げにつながる可能性を持つものと期待される。重要な副作用のARIAとは?次に本剤が持つさまざまな副作用の中で最も怖いのが、小さな血管の浮腫や出血の「ARIA(amyloid-related imaging abnormalities)」である。アルツハイマー病患者の約半数はアミロイドアンギオパチーを有するとされる。こればアミロイドのプラークが血管壁の平滑筋に置き換わった病理変化である。さて本剤の治験のダブルブラインド期に、参加した1,800例のうち13例での死亡が報告されている。脳出血による死亡例は、このダブルブラインド相また実薬相を併せて3例ある。いずれも本剤との関係は疑われるが未確定であるとされる。抗Aβ抗体薬は、脳内のAβ沈着を標的に、選択性なく作用する。だからアミロイドアンギオパチーもターゲットになるのでARIAは不可避である。最近では、専門家によってはARIAという術語が正しくないと言われる。つまりこれは画像上の異常ではなく、これらの死亡例が物語るように、明らかな臨床症候だと述べている2)。なお治験においてARIAは、多くの場合、投与開始から3、4ヵ月までに発生した。だから投与からしばらくは、とくに厳重な注意が求められる。個人輸入への対応はどうする?さて、わが国における本剤の発売は、2023年末になるのではないかと噂される。しかし今すぐ欲しい人も多く、すでに承認されているアメリカから個人輸入したいという方もいる。これに関し、筆者が調べてみた限りでは、個人輸入は本剤に関しても可能なようだ。これまでと同様に個人の申請に基づき、一般的には輸入代行会社に申し込むことになる。こうした手続きは厚生労働省厚生局の管理下にあるが、これを仕入れて他者に売却するような行為はもちろん許されない。次に、仮に薬剤を仕入れたとしても、本剤は点滴投与するので、医療者の関わりが欠かせないだろう。つまり個人が当薬品を医療機関に持参して投与処置を依頼すると思われる。このような見込みを踏まえたとき、医師が直面する大きな課題が少なくない。まず当該者が、本剤の適応であるMCIか初期のアルツハイマー病の患者なのか否かである。そもそもアミロイドPETや脳脊髄液穿刺により、アルツハイマー病だとほぼ確定できるという診断が得られているかどうかが問われるはずだ。ところが、進行していても本剤を望む人は少なくない。こういう人にどう対応するかも大きな問題だ。こうした医療処置は自由診療になるので、保険診療との区別をどうするかという問題もある。さらにARIA をMRIにより追跡調査する方法に加えて、これらの副作用が生じた場合に、医師の責任がどこまで問われるかも懸念される。以上のように、lecanemabが仮に承認になり発売に至ったとしても、われわれ医療者に直接降りかかりそうな問題は多い。おそらく関連学会が中心になり、厚労省と共に具体的な決定を進めていくのだろう。しかしここには従来経験したことのない難問が山積している。参考1)松原悦朗. アルツハイマー病の分子メカニズムと治療戦略. 老年期認知症研究会誌. 2011;18:53-55.2)Piller C. Scientists tie third clinical trial death to experimental Alzheimer’s drug. Science. 2022 Dec 21.

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胆道がんのアンメットニーズ充足へ、デュルバルマブ適応追加/AZ

 アストラゼネカは、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が2022年12月23日に「治癒切除不能な胆道癌」「切除不能な肝細胞癌」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応症とした承認を取得したことを受け、「進行胆道がん治療におけるイミフィンジの役割とは~免疫チェックポイント阻害剤による胆道がん治療の変革~」をテーマとして、2023年2月7日にメディアセミナーを開催した。 胆道がんの1年間の罹患数は2万2,201例(2018年)、死亡数は1万7,773例(2020年)と報告されている1)。一般的に、胆道がんは予後不良であり、手術による切除例や切除不能例を含めた胆道がん全体での5年生存率は、20~30%とされている1)。多くの場合、胆道がんは進行期になってから診断され、遠隔転移が認められてから診断される割合は全体の4割に上るという報告もある2)。また、遠隔転移のある場合、1年生存率は14~16%と非常に予後が悪いことも報告されている3)。このように、胆道がんはアンメットメディカルニーズの高いがんといえる。 セミナーの前半では、アストラゼネカが実施した「胆道がん患者調査」の結果4)について、調査を監修した古瀬 純司氏(神奈川県立がんセンター総長)が解説した。セミナーの後半では、古瀬氏が「胆道がんに対する治療選択と薬物療法」をテーマとして、胆道がんの薬物治療の変遷や、治癒切除不能な胆道がん患者を対象にデュルバルマブの有用性を検証した国際共同第III相試験「TOPAZ-1試験」を中心に解説した。胆道がんの認知度向上が早期発見・支援には重要 アストラゼネカは、胆道がん患者の診断~治療の過程での経験や治療に伴う生活の変化を明らかにすることを目的として、全国の胆道がん患者203例を対象にアンケート調査を実施した4)。 胆道がんの年間罹患数は2万2,201例(2018年)と報告されているが1)、胆道がん患者調査では、胆道がん患者の80%は診断される前に胆道がんを知らなかったという。このように胆道がんの認知度が低いこと、胆道がんには特徴的な症状が乏しいことから、「体調の変化があって自ら受診した」ことで診断がついた患者の割合は34%にとどまった。実際に、診断される前の症状として多く挙げられたものは、「みぞおちや右わき腹の痛み(36%)」「食欲不振(34%)」「体重減少(33%)」であり、いずれも胆道がんに特徴的な症状ではなかった。胆道がんに多いとされる「黄疸」を挙げた割合は25%であった。また、体調の変化があってから1週間以内に受診した患者の割合は25%にとどまり、1週間以上経過してから受診した理由として「重大な病気だとは思わなかった(52%)」「普段の生活に影響がない程度だった(45%)」が多く挙げられ、早期診断の難しさを反映する結果であった。 早期診断に向けて、古瀬氏は「胆道がんに多い黄疸の症状に気付いたらすぐに受診してほしい。消化器症状が出たときには胃の異常を疑うだけでなく、患者が『膵臓がん、胆道がんはないでしょうか』と医師に聞くくらい、胆道がんの認知を向上させたい」と語った。 胆道がんの認知度の低さは、早期発見の障壁となるだけでなく、患者が病気について周囲に知らせることや治療についての困りごとの相談の障壁にもなる。胆道がん患者調査において、胆道がんと診断されたことを身近な人に知らせることの障壁となった理由として多く挙げられたものは、「相手が胆道がんという病気をあまり知らなかった(35%)」「胆道がんがどのような疾患か説明するのが難しかった(28%)」「相手に説明できるほど自分自身が胆道がんについて理解できていなかった(26%)」であり、認知度の低さに関する理由が上位を占めた。 古瀬氏は、本調査結果についての結論を以下のとおりまとめた。・胆道がんは初期症状や特有の症状に乏しく、受診につながりにくいため早期発見の取り組みが必要である。・セカンドオピニオン、治療内容について、患者はとくに情報を求めている。・治療のみならず、日常生活の変化を支える情報提供・サポート体制が必要である。・胆道がんの認知度の低さが、患者の周囲への打ち明けにくさにつながるため、疾患の認知度向上が重要である。デュルバルマブが胆道がん1次治療の新たな選択肢に 本邦の胆道癌診療ガイドラインおよび肝内胆管癌ガイドラインでは、切除不能胆道がん、切除不能肝内胆管がんに対する1次治療の薬物療法として、「ゲムシタビン+シスプラチン併用療法」「ゲムシタビン+S-1併用療法」「ゲムシタビン+シスプラチン+S-1併用療法」が推奨されている5,6)。2019年以降、免疫チェックポイント阻害薬・がんゲノム医療の時代となってきたが、これまで胆道がんにおける免疫チェックポイント阻害薬は、2次治療以降の位置付けであった。そこで、新たな1次治療の開発が行われており、その1つが治癒切除不能な胆道がん患者を対象にデュルバルマブの有用性を検証した、国際共同第III相試験「TOPAZ-1試験」である。デュルバルマブは、本試験の結果をもとに「治癒切除不能な胆道癌」を適応症とした承認を取得している。 TOPAZ-1試験7-9)は、治癒切除不能な胆道がん患者685例を対象に、1次治療として「デュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチン(デュルバルマブ+GC群)」または「プラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン(プラセボ+GC群)」に1:1に無作為に割り付け、3週間間隔で最大8サイクル投与し、その後デュルバルマブまたはプラセボを4週間間隔で、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで投与した試験である。主要評価項目は全生存期間(OS)、主要な副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)であった。その他の副次評価項目として、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)などが評価された。 有効性について、中間解析時においてデュルバルマブ+GC群はプラセボ+GC群に比べて、OSが有意に延長し、優越性が検証された(OS中央値:12.8ヵ月vs.11.5ヵ月、ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.66~0.97、p=0.021[両側有意水準0.0300])。24ヵ月時点の全生存率は、デュルバルマブ+GC群24.9%、プラセボ+GC群10.4%であった。ORRはそれぞれ26.7%、18.7%であり、デュルバルマブ+GC群が有意に高率であった(オッズ比:1.60、95%CI:1.11~2.31、p=0.011)。奏効が認められた患者のDoR中央値はそれぞれ6.4ヵ月、6.2ヵ月であった。12ヵ月以上奏効が持続した患者の割合はそれぞれ26.1%、15.0%であった。 安全性に関して、Grade3または4の有害事象の発現率はそれぞれ73.7%、79.2%であった。この結果について、古瀬氏は「デュルバルマブ上乗せにより懸念される有害事象はなかった」と述べた。ただし、「免疫チェックポイント阻害薬に共通することとして、免疫介在性有害事象が認められる。一つひとつの事象の頻度は高くないが、注意が必要である」とも述べた。 米国のNCCNガイドライン第5版には、すでに「デュルバルマブ+GC療法」が切除不能な胆道がんに対するpreferred regimensの1つとして記載されており10)、古瀬氏は「本邦のガイドラインも改訂作業に入っており、遠からず掲載されるだろう」と語った。■参考文献1)公益財団法人がん研究振興財団. がんの統計20222)九州大学病院がんセンター. 九州大学病院のがん診療 胆道がん3)大阪国際がんセンター. 胆のう・肝外胆管がん4)アストラゼネカの「胆道がん患者調査」で判明、胆道がんの認知度の低さが周囲に病気を知らせることや困りごとを相談するハードルになっている5)日本肝胆膵外科学会、胆道癌診療ガイドライン作成委員会編. エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版. 医学図書出版;2019.6)日本肝癌研究会編. 肝内胆管癌診療ガイドライン 2021年版. 金原出版;2020.7)承認時評価資料:Imfinzi社内資料(一次治療の進行胆道癌患者を対象とした国際共同第III相試験[TOPAZ-1試験]、2021)8)承認時評価資料:Imfinzi社内資料(一次治療の進行胆道癌患者を対象とした国際共同第III相試験[TOPAZ-1試験]:日本人集団、2021)9)Oh DY, et al. NEJM Evid. 2022;1:1-11.10)National Comprehensive Cancer Network. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology Hepatobiliary Cancers Version 5, 2022

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第150回 ChatGPTの医師資格試験の成績は?/コロナ感染を食い止める受容体

人工知能ChatGPTの米国医師資格試験の正解率がほぼ合格水準単語の関連性予想に基づいて人が書くような文章の返事をする人工知能(AI)ソフトウェア「ChatGPT」が米国医師資格試験(USMLE)を受けたところ合格水準ぐらいの成績をおさめました1,2)。USMLEのウェブサイトで公開されているStep1、Step2 Clinical Knowledge(CK)、Step3の3段階の例題376問のうち画像、写真、グラフなどの視覚情報込みの問題を省いた350問がChatGPTに入力されました。判定不可能な回答(indeterminate response)を除いた正解率は52.4~75.0%で、合格に必要な例年の正解率である約60%あたりの成績でした。ChatGPTのかなり優秀なUSMLE試験成績に触発され、本研究の著者が所属する肺疾患のバーチャルクリニック「AnsibleHealth」ではChatGPTが試験的に業務に取り入れられています。同クリニックの医師は漏洩の心配がない匿名化情報をChatGPTに入力することで、専門用語満載の画像報告などを患者にわかりやすく説明する資料や保険関連の書面などの難儀な文章作成を助ける回答を得られるようになっています。また、掴みどころがなくて診断が困難な症例の理解の手がかりを掴むことや議論をすることにもChatGPTが使われています。コロナ感染を食い止める受容体を同定新型コロナウイルス(SARS-CoV-2、以下「コロナウイルス」)を捕らえて感染が広まらないようにする、いわば盾のような役割を担うヒト細胞タンパク質が見つかりました3,4)。コロナウイルスがヒト細胞侵入の足がかりとする受容体といえばACE2(アンジオテンシン変換酵素2)が有名ですが、シドニー大学のチームの研究で新たに同定されたコロナウイルス受容体「LRRC15」はACE2と同様にコロナウイルスのスパイクタンパク質に結合するもののその細胞侵入を助けるのではなく阻止します。LRRC15はウイルスに張り付いて身動きがとれないようにして細胞へのコロナウイルス感染を阻止します。LRRC15の発現は肺、舌、皮膚、胎盤、リンパ節などの多くの組織で認められています。肺ではコロナウイルスが感染しない種類の細胞・線維芽細胞や神経細胞群で主に発現しています。肺のLRRC15は普段は身を潜めており、いざウイルスが侵入すると駆り出されるらしく、コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の肺胞表面にはあってCOVID-19ではない人の肺には認められませんでした。すなわちLRRC15はどうやらCOVID-19で広く発現して気道表面を覆い、感染を阻止する防御壁を築きます。そうしてコロナウイルスのスパイクタンパク質に結合してコロナウイルスを差し押さえる働きを担うようです。また、LRRC15は線維芽細胞の遺伝子発現を線維化から抗ウイルス反応へと切り替えることも示され、コロナウイルス感染に伴う線維化を抑制して抗ウイルス反応を向上させる働きも担うようです。COVID-19にLRRC15がどう関わるかはこれから調べる必要がありますが、重症化の指標を少なくとも担うことがImperial College Londonのチームによる最近の研究報告で示されています5)。COVID-19患者のLRRC15レベルを追ったところ、軽~中等症の経過を辿った患者の血漿では一定でしたが、重症化例では日を追うごとに低下しました。どうやらLRRC15は少ないと重症化する恐れがあり、多ければ軽症で済むようです。シドニー大学のチームはさらに先を見据え、LRRC15を利用してCOVID-19を阻止する2つの手段の開発に取り掛かっています4)。その1つは鼻からのコロナウイルス感染を予防するもので、もう1つは肺に至ってしまったコロナウイルス感染の重症化を阻止するものです。以上、シドニー大学のチームの研究成果を主に取り上げましたが、他の2つのチームもLRRC15がコロナウイルスの受容体であることを突き止めています。1つは米国のブラウン大学とエール大学のチーム6)、もう1つは英国のサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)の研究者などによるもの7)です。LRRC15が阻止するウイルスは実は他にもあり、15年ほども前の先立つ研究でアデノウイルス感染抑制効果がすでに示されています8)。線維芽細胞で発現するLRRC15はパターン認識受容体として種々のウイルスを差し押さえる働きがあるかもしれず、今後のさらなる研究でコロナウイルスの枠だけにとどまらない裾野の広い発見があるでしょう。参考1)Kung TH, et al. PLoS One. 2023;2:e0000198.2)ChatGPT can (almost) pass the US Medical Licensing Exam / Eurekalert3)Loo L, et al. PLoS Biol. 2023;21:e3001967.4)Scientists discover receptor that blocks COVID-19 infection / Eurekalert5)Gisby JS, et al. Nat Commun. 2022;13:7775.6)Song J, et al. bioRxiv. 2021 Nov 24.7)Shilts J, et al. PLoS Biol. 2023;21:e3001959.8)O'Prey J, et al. J Virol. 2008;82:5933-5939.

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ADHDスクリーニング、親と教師の精度に関する調査

 注意欠如多動症(ADHD)のスクリーニング精度について、小学生の親または学校教師による違いを明らかにするため、中国・The First Hospital of Jilin UniversityのHong-Hua Li氏らは検討を行った。また、ADHDに対する親の認識や情報源に影響を及ぼす因子、ADHD陽性スクリーニング率へのそれらの影響についても併せて調査した。その結果、小学生の親と教師ではADHD症状の認識が異なっており、ADHDスクリーニング陽性率は親よりも教師において有意に高いことが明らかとなった。親のADHDの認識に影響を及ぼす因子として、親の性別・教育レベル、子供の性別・年齢・学年、ADHDに関する情報源が挙げられた。結果を踏まえ著者らは、父親、教育レベルの低い両親、小学2年生・3年生の両親においては、ADHD症状の早期認識を向上させるために、ADHDに関するより多くの知識の習得が必要であるとしている。Frontiers in Psychology誌2022年12月23日号の報告。 2020年9月~2021年1月、中国・長春市の小学校の生徒1,118人の両親および校長24人を対象に横断的研究を実施した。データの収集には、構造化された自己記入式の質問票を用いた。調査項目には、社会人口統計学的特徴、ADHD症状スクリーニング質問票、親の認識、ADHDに関する情報源を含めた。 主な結果は以下のとおり。・Swanson, Nolan, and Pelham Rating Scale(SNAP-IV)によるスクリーニングで陽性であった小学生は、親のバージョンで30人(2.7%)、教師のバージョンでは60人(5.4%)であった。・親は、教師よりもADHDスクリーニング陽性率が低かった。・ADHDに対する親の認識と関連する因子として、以下が挙げられた。 ●母親における子供との関係 OR:1.552(95%CI:1.104~2.180) ●両親の大学卒業以上の学歴 OR:1.526(同:1.054~2.210) ●女児 OR:1.442(同:1.093~1.904) ●子供の年齢 OR:1.344(同:1.030~1.754) ●子供の学年  小学2年生 OR:0.522(同:0.310~0.878)  小学3年生 OR:0.388(同:0.185~0.782) ●ADHDに関する情報源  医療スタッフ OR:1.494(同:1.108~2.015)  家族、親族、友人 OR:1.547(同:1.148~2.083)  テレビ、インターネット OR:3.200(同:2.270~4.510)

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B群髄膜炎菌ワクチン、侵襲性髄膜炎菌感染症で高い予防効果/NEJM

 スペインでは2015年9月、4成分の蛋白ベースのB群髄膜炎菌ワクチン(4CMenB、Bexsero)が自費接種できるようになった。スペイン・Instituto de Investigacion Sanitaria de NavarraのJesus Castilla氏らは、生後60ヵ月未満の小児における4CMenBの有効性の評価を行い、完全接種(2回以上)した集団では、すべての血清群による侵襲性髄膜炎菌感染症に対する有効率が76%に達し、部分接種(1回)でも54%であることを示した。研究の成果は、NEJM誌2023年2月2日号で報告された。スペインのマッチド症例対照研究 本研究は、小児における4CMenBによる侵襲性髄膜炎菌感染症の予防効果の評価を目的とするスペインの全国的なマッチド症例対照研究であり、2015年10月5日~2019年10月6日に検査で侵襲性髄膜炎菌感染症が確認された生後60ヵ月未満の小児が解析の対象となった。 個々の症例を、生年月日が同じまたはその前後の日に出生した同じ出生地、同じ居住地の4例の対照とマッチさせた。症例と対照の4CMenBワクチン接種状況を、多変量条件付きロジスティック回帰を用いて比較し、マッチドオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。ワクチンの有効性は、(1-補正後マッチドOR)×100の式に基づき、有効率(%)として推算した。 症例群306例と対照群1,224例が解析に含まれた。症例群には、B群髄膜炎菌感染症が243例(79.4%)、B群以外の血清群による髄膜炎菌感染症が35例含まれ、対照群ではそれぞれ972例、140例が含まれた。症例群の35例(11.4%)が少なくとも1回の4CMenBの接種を受け、16例(5.2%)は完全接種(製薬企業の推奨に従い2回以上の接種を受けていることと定義)、18例(5.9%)は部分接種であった。生後24ヵ月未満で有効率が高い すべての血清群による侵襲性髄膜炎菌感染症に対する4CMenBの完全接種の有効率は76%(95%CI:57~87)であり、部分接種の有効率は54%(18~74)であった。完全接種の重症髄膜炎菌感染症に対する有効率は71%(43~86)だった。 完全接種者では、2015~17年(有効率92%[95%CI:43~99])および2017~19年(72%[47~85])の双方で有効率が高かった。また、有効率は、生後24~59ヵ月(53%[1~78])の小児に比べ生後24ヵ月未満(88%[68~95])で高率であった。 少なくとも1回の4CMenB接種を受けた小児の有効率は、B群髄膜炎菌感染症で64%(95%CI:41~78)、B群以外の血清群による髄膜炎菌感染症で82%(21~96)であった。 遺伝子に基づく髄膜炎菌抗原分類システム(gMATS)による解析では、4CMenBが有効と期待された血清群Bの株が症例群の44例で検出されたが、いずれも接種を受けていなかった。 著者は、「このエビデンスは、小児の侵襲性髄膜炎菌感染症が問題となり、その予防が優先される国で、予防接種プログラムに4CMenBを含めることを決定する際に有用と考えられる」としている。

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有害な妊娠アウトカム、母親の虚血性心疾患リスクが長期的に上昇/BMJ

 5つの有害な妊娠アウトカム(早産、在胎不当過小、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧腎症以外の妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病)のいずれかを経験した女性は、出産後の虚血性心疾患のリスクが高く、このリスク上昇は最長で46年持続していることが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のCasey Crump氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号で報告された。スウェーデンの全国的なコホート研究 研究グループは、5つの有害な妊娠アウトカムと母親の虚血性心疾患の長期的なリスクとの関連の評価を目的に、スウェーデンにおいて全国的なコホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。 対象は、1973~2015年にスウェーデンで、単胎分娩による初回の出産をした女性219万5,266人であった。主要アウトカムは、全国の入院・外来診断で確認された出産から2018年までに発生した虚血性心疾患とされた。 Cox回帰を用いて、他の有害な妊娠アウトカムおよび母性因子を調整し、早産、在胎不当過小、妊娠高血圧腎症、他の妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病と関連した虚血性心疾患のハザード比(HR)を算出した。有害な妊娠アウトカムの数が増えるとリスクも上昇 5,360万人年の追跡期間中に、8万3,881人(3.8%)の女性が虚血性心疾患(急性心筋梗塞55.3%、狭心症38.7%)と診断された。初回出産時の年齢中央値は27.3歳、虚血性心疾患診断時の年齢中央値は58.6歳であった。 5つの有害な妊娠アウトカムはいずれも独立に、虚血性心疾患のリスク上昇と関連していた。出産後10年以内に特定の有害な妊娠アウトカムと関連した虚血性心疾患の補正HRは、他の妊娠高血圧症候群が2.09(95%信頼区間[CI]:1.77~2.46)と最も高く、次いで早産1.72(1.55~1.90)、妊娠高血圧腎症1.54(1.37~1.72)、妊娠糖尿病1.30(1.09~1.56)、在胎不当過小1.10(1.00~1.21)であった。 また、出産後30~46年が経過しても、補正後HRは有意に上昇したままであり、他の妊娠高血圧症候群が1.47(95%CI:1.30~1.66)、妊娠糖尿病が1.40(1.29~1.51)、妊娠高血圧腎症1.32(1.28~1.36)、早産1.23(1.19~1.27)、在胎不当過小は1.16(1.13~1.19)だった。 複数の有害な妊娠アウトカムを経験した女性は、さらにリスクが上昇していた。たとえば、出産後10年以内に、有害な妊娠アウトカムを1回経験した女性の虚血性心疾患の補正後HRは1.29(95%CI:1.19~1.39)であったのに対し、2回経験した女性は1.80(1.59~2.03)、3回経験した女性は2.26(1.89~2.70)であった。 著者は、「有害な妊娠アウトカムを経験した女性では、虚血性心疾患の発症を防ぐために、予防に関する早期の評価と、長期的なリスク軽減を考慮する必要がある」としている。

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日本の部位別がん死亡数

がんの種類と死亡数日本の部位別がん死亡数(2021年)口腔・咽頭 5,634胆のう、胆管 9,615喉頭 711乳房 105白血病 5,549膀胱 6,434食道男性8,864胃27,196大腸 28,080肝臓膵臓肺前立腺悪性リンパ腫その他15,91319,33453,27813,2177,6279,159皮膚 865甲状腺 656脳・中枢神経系 1,709口腔・咽頭 2,367喉頭 84食道 2,094胃女性14,428子宮体部 2,741子宮頚部 2,894多発性骨髄腫2,247胆のう、胆管 8,557大腸肝臓24,338 8,189甲状腺 1,278脳・中枢神経系 1,3280腎・尿路 6,274卵巣 5,081白血病 3,57550,000膵臓肺乳房悪性リンパ腫19,24522,93414,8036,154皮膚 853膀胱 3,009腎・尿路 3,523100,000その他 9,513多発性骨髄腫 2,050150,000200,000 (人)2021年にがんで死亡した人は38万1,505人(男性22万2,467人、女性15万9,038人)日本人ががんで死亡する確率は、男性26.2%(4人に1人)、女性17.7%(6人に1人)がん死亡数は男性では肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓、女性では大腸がんが最も多く、次いで肺、膵臓 、乳房、胃、男女合わせると肺がんが最も多く、次いで大腸、胃、膵臓、肝臓となっています国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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急性腎障害、造影剤は腎予後に影響せず

 急性腎障害(AKI)の既往を有する患者における、造影剤使用と腎予後の関係に関するエビデンスは不足しているのが現状である。そこで、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のMichael R. Ehmann氏らは、AKI患者に対する造影剤静注とAKI持続の関係を検討し、造影剤は腎予後に影響を及ぼさなかったことを報告した。Intensive Care Medicine誌オンライン版2023年1月30日号掲載の報告。 2017年7月1日~2021年6月30日の間に救急受診し、入院した18歳以上の患者のうち、KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)基準のクレアチニン値に基づいてAKI(血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上上昇もしくは1.5倍以上に上昇)と診断された1万4,449例を対象として、後ろ向きに追跡した。評価項目は、退院時のAKI持続、180日以内の透析開始などであった。傾向スコア重み付け法やエントロピーバランス法を用いて、造影剤静注あり群となし群の背景因子を調整して解析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者1万4,449例中、12.8%が集中治療室に入室した。造影剤静注を受けた患者の割合は18.4%、退院前にAKIから回復した患者の割合は69.1%であった。・多変量ロジスティック回帰モデル(オッズ比[OR]:1.00、95%信頼区間[CI]:0.89~1.11)、傾向スコア重み付け法(OR:0.93、95%CI:0.83~1.05)、エントロピーバランス法(OR:0.94、95%CI:0.83~1.05)のいずれの方法を用いても、造影剤静注と退院時のAKI持続に関連は認められなかった。・集中治療室に入室した患者サブグループにおいても、AKI持続に関する結果は同様であった。・180日以内の透析開始は対象患者の5.4%にみられたが、造影剤静注と180日以内の透析開始リスクとの関連は認められなかった。

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日本の部位別がん罹患数

1年間で新たにがんと診断される患者さんの数は日本の部位別がん罹患数(2019年)口腔・咽頭 16,463胆のう、胆管 11,964喉頭 4,688乳房 670白血病 8,396肝臓 25,339男性悪性リンパ腫食道胃大腸膵臓肺前立腺21,71985,32587,87222,28584,32594,74819,311その他20,308腎・尿路 20,678甲状腺 4,888脳・中枢神経系 3,116口腔・咽頭 7,208喉頭 423食道 4,663胃女性38,994皮膚 12,815子宮頚部 10,879子宮体部 17,880胆のう、胆管 10,195多発性骨髄腫 4,052白血病 5,922悪性リンパ腫肝臓 11,957大腸67,753膀胱 17,498肺膵臓 42,22117,325乳房卵巣97,14213,388その他16,81721,579甲状腺 13,892脳・中枢神経系 2,7330100,000200,000皮膚 12,432膀胱 5,885300,000400,000多発性骨髄腫 3,539腎・尿路 9,780500,000600,000(人)(2019年のデータに基づき)日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%、女性51.2%男性は前立腺がん(11.0%*)が最も多く、次いで大腸がん(10.3%) 、胃がん・肺がん(ともに10.0%)の順、女性は乳がん(11.2%)が最も多く、次いで大腸がん(8.1%) 、肺がん(5.0%)の順になっています*()内の%は生涯罹患リスク国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)Copyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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「骨転移診療ガイドライン」-新たな課題を認識しつつ改訂

 『骨転移診療ガイドライン』の改訂第2版が2022年12月に発刊された。2015年に初版発刊後、骨修飾薬の使用方法や骨関連事象のマネジメントなどの医学的エビデンスが蓄積されてきたことを踏まえ、7年ぶりの改訂となる。今回、骨転移診療ガイドライン作成ワーキンググループのリーダーを務めた柴田 浩行氏(秋田大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学講座)に、2022年の改訂のポイントや疫学的データの収集などの課題について話を聞いた。骨転移診療ガイドラインは機能維持を念頭に置いた がん治療で病巣を取り除けたとしても身体機能の低下によって生活の質(QOL)が低下してしまっては、患者の生きがいまでも損なわれてしまうかもしれない。骨転移はすべてのがんで遭遇する可能性があり1)柴田氏らはがん患者の骨転移がもたらす身体機能の低下をいかにして防ぐことができるのかを念頭に置いて『骨転移診療ガイドライン』を作成した。「骨転移が生じる患者の多くはStageIVではあるが、外科的介入に対するエビデンスが蓄積されつつあることから、今回の改訂には多くの整形外科医にご参加いただき、外科領域のClinical Questionを増やした」と話し、「作成メンバーが、診断・外科・放射線・緩和・リハビリテーションと看護の5領域に分かれて取り組んだ点も成果に良く反映されている」と骨転移診療ガイドライン作成時の体制について説明した。 治療については、上市から10年が経過した骨修飾薬(BMA:ビスホスホネート製剤、RANKL抗体薬)に関する長期経過報告がまとめられ、近年では骨修飾薬を投与することで骨関連事象の発生が低下していること、骨修飾薬投与前の歯科検診や投与中のカルシウム値の補正が行われていることなどが示された(p.15 総説3)。一方で、その投与間隔や至適投与期間を有害事象やコスト面から検討する必要性も指摘され課題になっている。 それらを踏まえ、「標準的な診療の概要を示し、骨転移患者の診療プロセスの改善や患者アウトカムの改善を期すること」を目的とし、4つの総説(1.骨転移の病態、2.骨転移の診断、3.骨転移の治療とケア、4.高齢者・サルコペニア・フレイル患者の骨転移治療)、Background Question(36個)、Clinical Question(38個)、Future Research Question(41個)を盛り込んだ。骨転移診療ガイドラインで読んでおきたい項目 『骨転移診療ガイドライン』を作成し、その成果をモニターする上で疫学的な情報は不可欠であるが、「骨転移の実態を知ることはなかなかに困難である」と同氏は話した。がんの罹患状況は2016年に厚生労働省がスタートさせた『全国がん登録』2)の集計結果などを参考にするが、そこには遠隔転移の記載のみで、骨転移を含む個別の転移部位については登録されない。結果、がんの『転移部位』はすべて“転移”に包含されてしまい、どの部位への転移なのかを入力する項目がないことから、「その集計結果から骨転移の実数などを把握できない。現在の骨転移に関する必要情報はカルテを直接調べるしかないのが実情」と残念がった。なお、『骨転移診療ガイドライン』には日本の調査例として胸椎~腰椎の組織学的骨転移の剖検報告3)が示されており、それによると乳がんや前立腺がんでは75%、肺がんや甲状腺がんでは50%、消化器がん(消化器、肝胆膵)では20%前後の骨転移が認められている。このデータは約25年前のものであるが、2010~16年に米国の医療保険データベースを用いた研究結果と傾向は同様であった(p.2 総説1)。 このほか、『骨転移診療ガイドライン』で読んでおきたい項目は以下のとおり。・CQ5「骨転移を有する原発不明がん患者において、骨転移巣を用いた遺伝子パネル検査は原発巣の同定に有効か?」・CQ8「病的骨折や切迫骨折のリスクのある四肢長管骨の骨転移に手術は有効か?」・CQ19「過去に外照射を受けた骨転移の痛みの緩和に再照射は有効か?」・CQ37「去勢抵抗性前立腺がん骨転移においてラジウム-223内用療法は有効か?」・FRQ31「骨転移の治療に外照射と骨修飾薬(BMA)の併用は有効か?」・FRQ32「骨代謝マーカーは骨転移を有するがん患者の治療モニタリングに有用か?」・FRQ39「病的骨折のある患者の外科的治療後にリハビリテーション医療は有用か?」・FRQ40「痛みのある骨転移患者に対するマネジメント教育は有効か?」骨転移診療ガイドラインの作成から患者の未来を変えたい さらに同氏は「ガイドラインの改訂というのは医療者側の知識のアップデートだけではなく、患者への骨転移の病態啓発や、骨転移に関する症状の有無を問診する際などの医師と患者の医療面接おいても重要」だと話した。さらに骨転移診療ガイドラインの内容を基に同氏は患者が理解を深めやすい資料作成にも意欲的に取り組み、秋田大学医学部附属病院ではオリジナル漫画を患者に配布している。また、昨今、盛んに行われる骨転移キャンサーボードも「多施設間で行うことも新たな情報や知識、視点が加わることになるので実施することをお薦めする」と話した。 ガイドラインは発刊後もその使用状況や患者アウトカムの改善についてモニタリングが必要で、作成して終わりではない。『骨転移診療ガイドライン』の場合は発刊1年以降を目途に、臨床的アウトカム(1:骨転移のがん種別頻度、2:外科的介入の割合、3:放射線治療の割合、4:骨修飾薬の使用割合、5:ADLの評価[通院、入院治療の別]など)への影響に関して調査を行う予定である点にも触れた。 最後に同氏はガイドラインを山登りに例え、「ガイドラインは“山岳ガイド”のようなもの。トップクライマーは遭難のリスクを冒してでも前人未踏の頂きを目指すかもしれないが、山岳ガイドは登山客を遭難させる冒険はできない。派手さはなくとも、安全に、確実に登頂できるように先導することが重要。もちろん、もっと高い頂きを目指す必要は常にあるが、現状でそれが無理なら技術を磨いたりルートを開拓したりする必要がある」と話し、医師の知識のアップデートに留まらず、患者一人ひとりの病態に応じて参考にされることや骨転移診療ガイドラインの課題が新たな臨床試験の推進力になることを願った。

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SNRI使用と口渇リスク

 口腔乾燥症や口渇は唾液量の減少および欠如を起因とする状態であり、特定の薬剤の使用に続発してみられる。Joseph Katz氏らは、口腔乾燥症患者とセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)使用との関連を分析した。その結果、SNRIを使用している患者は、使用していない患者と比較し、口渇リスクが約5倍であることが明らかとなった。結果を踏まえて著者らは、SNRIを処方する専門医、唾液の産生やQOLへのSNRIによる影響を認識していない医師、口腔乾燥症の治療に携わっている歯科医師にとって、本結果は有益な情報であろうと報告している。Quintessence International誌オンライン版2023年1月10日号の報告。 2015年6月~2022年9月の期間に、米国・フロリダ大学の統合データであるi2b2を用いて、口渇の診断(ICD-10)およびSNRI使用に関するデータを抽出した。オッズ比の算出には、MedCalc Softwareを用いた。 主な結果は以下のとおり。・SNRI使用の口渇リスクのオッズ比は、5.95(95%CI:5.47~6.48、p<0.0001)であった。・性別または年代別のSNRI使用による口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。 ●女性:5.48(95%CI:4.97~6.02、p<0.0001) ●男性:5.48(同:4.56~6.95、p<0.0001) ●小児:2.87(同:1.19~6.96、p=0.0192) ●成人:4.46(同:4.09~4.86、p<0.0001)・使用するSNRIごとの口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。 ●ベンラファキシン:5.83(同:5.12~6.60、p<0.0001) ●デュロキセチン:6.97(同:6.33~7.67、p<0.0001) ●desvenlafaxine:5.24(同:3.65~7.52、p<0.0001) ●ミルナシプラン:9.61(同:5.66~16.31、p<0.0001)

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乳がん患者のリアルワールドでのコロナワクチン効果/JCO

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの臨床試験には、積極的ながん治療を受けている乳がん患者が含まれていない。今回、イタリア・ジェノバ大学のMarco Tagliamento氏らが、リアルワールドの乳がん患者におけるワクチン接種の効果を調査したところ、乳がん患者においてもワクチン接種がCOVID-19罹患率および死亡率を改善することが示された。また、欧州におけるオミクロン株流行期の間、乳がん患者におけるCOVID-19重症度は低いままだった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号に掲載。 本研究では、OnCovidレジストリ参加者を対象に、プレワクチン期(2020年2月27日~11月30日)、アルファ-デルタ期(2020年12月1日~2021年12月14日)、オミクロン期(2021年12月15日~2022年1月31日)における乳がん患者のCOVID-19の病態と死亡率を比較した。28日致死率(CFR28)およびCOVID-19重症度を、出身国、年齢、併存疾患の数、Stage、COVID-19診断後1ヵ月以内の抗がん剤治療で調整し、ワクチン未接種患者とワクチン接種(2回接種または追加接種)患者を比較した。 主な結果は以下のとおり。・2022年2月4日までに613例が登録された。・ホルモン受容体陽性が60.1%、HER2陽性が25.2%、トリプルネガティブが14.6%で、61%が限局/局所進行であった。年齢中央値は62歳(四分位範囲:51~74歳)、31.5%が2つ以上の併存症あり、69%が喫煙歴なしだった。診断時期は、63.9%がプレワクチン期、26.8%がアルファ-デルタ期、9.3%がオミクロン期だった。・CFR28の解析では、3つの流行期で死亡率は同等だった(順に13.9%、12.2%、5.3%、p=0.182)が、COVID-19重症度は3つの流行期にわたって有意な改善がみられた。アルファ-デルタ期およびオミクロン期のワクチン未接種患者は、プレワクチン期の患者(ワクチン未接種)とアウトカムが同等だった。・ワクチン接種による解析対象患者566例のうち、ワクチン接種患者は72例(12.7%)、未接種患者は494例(87.3%)だった。・ワクチン接種患者は未接種患者に比べて、CFR28(オッズ比[OR]:0.19、95%信頼区間[CI]:0.09~0.40)、入院(OR:0.28、95%CI:0.11~0.69)、COVID-19合併症(OR:0.16、95%CI:0.06~0.45)、COVID-19に対する治療の必要度(OR:0.24、95%CI:0.09~0.63)、酸素療法の必要度(OR:0.24、95%CI:0.09~0.67)において改善していた。

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英語で「さっと見てくる」は?【1分★医療英語】第66回

第66回 英語で「さっと見てくる」は?Out new patient just came up to the floor.(入院患者さんが病棟に上がってきたみたいです)Can you please eyeball the patient?(患者さんの様子をさっと見てきてもらっていいですか?)《例文1》The vital monitor is beeping, I will eyeball the patient.(バイタルモニターが鳴っていますね、ちょっと患者さんを見てきます)《例文2》A patient at the ED is waiting for a while, have you eyeballed her?(救急外来の患者さんがしばらく待っているみたいですけど、患者さんの様子は確認しました?)《解説》“eyeball”といえば真っ先に「眼球」という訳語が思い浮かぶかと思いますが、実は動詞としても使用できるのを知っていましたか? 辞書によると、“eyeball”を動詞として使う場合は、“look at someone or something directly and carefully”(人やモノを直接、注意深く見る)という意味になります。実際、私も米国の医療現場で耳にする機会が多いために知った単語ですが、具体的には患者さんの様子を確認する際に使われます。患者さんの全身しっかり診察する際の「診る」というよりは、まさしく目(eyeball)で「患者さんの全体の状態に変化がないかを確認する・見る」ような際に使用される表現です。informalな表現なので、口語表現で使うことが多いです。入院患者さん、救急外来の患者さん、術後の患者さん など、しっかり診察するまではしなくても、直接医師や看護師の目で患者さんの様子を確認する機会は多くあります。「患者さんを見てきたけど変わりなさそう」と言いたい際に、“I just eyeballed him. He looks fine.”のように、さらりと言えるようになるとスマートですね。講師紹介

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HR+/HER2+進行乳がん1次治療、ペルツズマブ+トラスツズマブ+AIの長期解析結果(PERTAIN)

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(HER2+)の転移を有する/局所進行閉経後乳がん患者における1次治療として、トラスツズマブとアロマターゼ阻害薬(AI)に化学療法を併用/併用せずペルツズマブを追加することにより、無増悪生存期間(PFS)が大幅に改善されたことが第II相PERTAIN試験の主要解析(追跡期間中央値31ヵ月)で示されている。今回、同試験の最終解析結果(追跡期間中央値6年超)を、イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のGrazia Arpino氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2023年1月30日号に報告した。 PERTAIN試験では、258例が下記2群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(導入化学療法は治験責任医師の判断で実施)。ペルツズマブ群:ペルツズマブ840mg(維持期:420mg)+トラスツズマブ8mg/kg(維持期:6mg/kg)3週間間隔で投与+AI(アナストロゾール1mgまたはレトロゾール2.5mg/日)対照群:トラスツズマブ+AI 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、主な副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性。 今回報告された主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はペルツズマブ群73.2ヵ月vs.対照群71.1ヵ月。・PFS中央値は、20.6ヵ月vs.15.8ヵ月(層別ハザード比[HR]:0.67、p=0.006)。・OS中央値は、60.2ヵ月vs.57.2ヵ月(層別HR:1.05、p=0.78)。・導入化学療法を行わなかった患者において、ペルツズマブによる治療効果が高い傾向がみられた(PFS中央値:26.6ヵ月vs.12.5カ月)。・全Gradeの有害事象は各群122例で発生し(96.1% vs.98.4%)、Grade3以上の有害事象は72例(56.7%)vs.51例(41.1%)、重篤な有害事象は46例(36.2%)vs.28例(22.6%)で発生した。 著者らは、最終解析においてもペルツズマブ併用によるPFSベネフィットは維持され、OSは両群間で同等であったとし、化学療法の適応がない患者においてペルツズマブ併用により活性が高まる可能性があると結論付けている。安全性に関する新たな懸念は報告されていない。

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「ChatGPT」は論文著者になれない、医学誌編集者団体が声明

 2022年11月にリリースされた米国OpenAIが開発した「ChatGPT」が話題を集めている。質問文を入力するとAIが次々に回答を提示してくれるこの種のサービスは、リアルの人間と会話しているような使用感のため「チャットボット」とも総称される。ChatGPTはWebから広範なデータを収集し、強化学習させた回答が提示される。執筆やリサーチにどのくらい使えるのか、多くの利用法が世界中のユーザーによって試行され、リリースから2ヵ月で月間アクティブユーザー数は1億人に達したと推計されている。 医学分野においても、論文執筆などにどのくらい有用なのかという議論が巻き起こっている。こうした中、査読付き医学誌の編集者で構成される国際団体「WAME:World Association of Medical Editors」は、論文執筆におけるChatGPTの利用に関する推奨事項を発表した。WAMEは92ヵ国・1,000以上のジャーナルを代表する2,000人近い医学誌編集者が所属しており、2023年1月21日付のこの声明は、9人の著者(全員が役員または理事)による、理事会の立場を正式に表明したものだ。 本声明ではチャットボットについて、「『人工知能、自動化されたルール、自然言語処理(NLP)、機械学習(ML)などによってデータを処理し、あらゆる種類のリクエストに対応する』ツールである」と定義。ChatGPTについては「最近リリースされたチャットボットで、『既存の情報を新しい方法で整理して使えるという意味で、これまでにないまったく新しいものを作り出すことができる、生成型AIの一例』である」としている。 そのうえで、現時点で考えられるChatGPTの問題点について、以下のようにまとめている(一部を抜粋)。・ChatGPTはGoogleと異なり、時事的な情報を求めてウェブをクロールしておらず、その知識は2021年以前に学習したものに限定される。・チャットボットには意識がないため、既存の素材を繰り返したり、並べ替えたりすることしかできない。チャットボットの発言に新たな思考はなく、偶然にオリジナルになるしかない。・チャットボットは学習させた既存の文章をライブラリとして利用するため、状況によっては出典を明らかにせずにそのまま繰り返す危険性がある。・プログラミングによっては、意図的に嘘をつくことができる可能性がある。・チャットボットは法人ではなく、法的人格を持たないので、チャットボットを訴えたり、裁判所に喚問したり、何らかの形で罰することはできない。 そして、「ChatGPTは、研究者にとっては便利なツールだが、学術雑誌にとっては脅威である。なぜなら、ChatGPTが生成した記事は、出版される文献に誤った内容や盗用された内容を持ち込む可能性があるためだ。ピアレビューでは、ChatGPTで生成されたコンテンツを検出できない可能性がある」と危機感を表明したうえで、ChatGPTをはじめとしたチャットボットと医学論文作成に関する下記の推奨事項を挙げている。■WAMEの推奨事項(一部を抜粋)1. チャットボットは論文著者になれない。チャットボットは、著者の役割を理解したり、論文に責任を持ったりすることができないため、著者資格の要件を満たすことはできない。2. 著者は、チャットボットを使用する場合、透明性を確保し、どのように使用したかの情報を提供する必要がある。3. 著者は、論文の中でチャットボットが行った作業(発表内容の正確さ、盗用がないことを含む)、およびすべての出典(チャットボットが作成した資料を含む)の適切な帰属に責任を持つ。4. 編集者は、AIによって生成または改変されたコンテンツを検出するのに役立つ適切なツールを必要とし、これらのツールは支払い能力に関係なく利用できなければならない。

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心血管疾患リスク予測式は、がん生存者に有用か/Lancet

 がん患者は心血管疾患のリスクが高いという。ニュージーランド・オークランド大学のEssa Tawfiq氏らは、がん生存者を対象に、同国で開発された心血管疾患リスク予測式の性能の評価を行った。その結果、この予測式は、リスクの予測が臨床的に適切と考えられるがん生存者において、5年心血管疾患リスクを高い精度で予測した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年1月23日号で報告された。ニュージーランドの妥当性検証研究 研究グループは、がん生存者における心血管疾患リスクの予測式の性能を、プライマリケアで評価する目的で、妥当性の検証研究を行った(オークランド医学研究財団などの助成を受けた)。 「ニュージーランド心血管疾患リスク予測式」の開発に使用されたPREDICTコホート研究の参加者のうち、年齢が30~74歳で、心血管疾患リスクの初回評価日の2年以上前に浸潤がんの初回診断を受けた患者が解析に含まれた。 リスク予測式は、性別で分けられ、予測因子として年齢、民族、社会経済的剥奪指標、心血管疾患の家族歴、喫煙状況、心房細動と糖尿病の既往、収縮期血圧、総コレステロール/HDLコレステロール比、予防的薬物療法(降圧薬、脂質低下薬、抗血栓薬)が含まれた。 較正(calibration)では、男女別に、リスク予測式で推定された5年心血管疾患リスクの平均予測値と実測値とを十分位群別に比較し、さらにニュージーランドのガイドラインの3つの臨床的5年心血管疾患リスクグループ(<5%、5~15%未満、≧15%)に分けて比較することで評価した。判別(discrimination)は、HarrellのC統計量で評価した。がん生存者で妥当な臨床的手段 1万4,263例(男性6,133例[43.0%]、女性8,130例[57.0%])が解析に含まれた。リスク評価時の平均年齢は男性が61(SD 9)歳、女性は60(SD 8)歳で、追跡期間中央値はそれぞれ5.8年、5.7年だった。 追跡期間中に、男性は658例(10.7%)、女性は480例(5.9%)で心血管疾患イベントが発生し、それぞれ110例(1.8%)、90例(1.1%)が致死的な心血管疾患イベントであった。また、心血管疾患の粗発生率は、年間1,000人当たり男性が18.1例、女性は10.2例だった。 リスク予測値の十分位群(高いほど高リスク)における実測値との差は、男性ではほとんどが2%以内であったが、2つの群(第4十分位群:-2.49%、第9十分位群:-2.41%)では約2.5%の過小評価が認められた。同様に、女性では、リスクの予測値と実測値の差は多くが1%以内であったが、1つの群(第10十分位群:-3.19%)では約3.2%過小評価されていた。 臨床的なリスクグループで分類した解析では、心血管疾患リスクの実測値と比較して予測値は、低リスク群では男女とも2%以内で過小に予測していた(<5%群[男性:-1.11%、女性:-0.17%]、5~15%未満群[-1.15%、-1.62%])。これに対し、高リスク群(≧15%)の男性では2.2%(実測値17.22%、予測値19.42%)、女性では約3.3%(16.28%、19.60%)過大に予測していた。HarrellのC統計量は、男性が0.67(SE 0.01)、女性は0.73(0.01)だった。 著者は、「予測式にがん特異的な変量を追加したり、競合リスクを考慮したりすることで、予測値は改善する可能性がある。今回の結果は、この予測式がニュージーランドのがん生存者において妥当な臨床的手段であることを示唆する」としている。

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