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未熟児無呼吸発作に対するカフェイン療法の長期的影響は?

メチルキサンチン等カフェインは、新生児集中治療で頻繁に使用される薬剤の1つで、未熟児無呼吸発作に対して一般的に用いられているが、その有効性と安全性に関する十分なデータはない。ハミルトン大学(カナダ)Barbara Schmidt氏ら未熟児無呼吸発作カフェイン療法研究グループ(Caffeine for Apnea of Prematurity Trial Group)は、神経発達と成長の長期的影響に関する知見を報告した。NEJM誌11月8日号掲載。極低出生体重児2,006例の18~21ヵ月時点の転帰評価出生時体重500~1,250gの乳児2,006例を、カフェイン投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付け、未熟児無呼吸発作の治療を必要としなくなるまで治療が続けられた。主要転帰は修正月齢18~21ヵ月時点での、死亡、脳性麻痺、認知機能の発達遅延(ベイリー乳幼児発達検査の精神発達指スコア<85)、難聴、視覚障害の複合。主要転帰検討のための十分なデータが得られたのはカフェイン投与群937例、プラセボ投与群932例だった。カフェイン投与群で神経発達能力障害を伴わない生存率を改善死亡または神経発達障害を伴い生存は、カフェイン投与群377例(40.2%)に対し、プラセボ投与群431例(46.2%)だった(施設間調整後オッズ比0.77、 95%信頼区間:0.64-0.93、P=0.008)。脳性麻痺の発病率に関しても、カフェイン投与群4.4%に対しプラセボ投与群7.3%、補正オッズ比0.58(95%信頼区間:0.39-0.87、P=0.009)で、カフェイン投与群のほうが低い。認知機能の発達遅延についても、カフェイン投与群33.8%、プラセボ投与群38.3%、補正オッズ比0.81(同0.66-0.99、P=0.04)で同様の結果が得られた。死亡、難聴、視覚障害、および身長、体重、頭囲の平均のパーセンタイルは、2群間で有意差がなかった。研究グループは、「未熟児無呼吸発作に対するカフェイン療法は、神経発達能力障害を伴わない生存率を改善する」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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BMI値と死因死亡率との関連について

本報告を行った米国保健統計センター/疾病予防管理センターのKatherine M. Flegal氏らは2000年時点の検討報告として以前に、低体重、過体重、肥満それぞれの全死因死亡率との関連について報告を行っている。すなわち正常体重群と比べて、低体重群と肥満群では全死因死亡率の有意な増加との関連が認められたが、過体重群では有意な減少が認められたとするものだった。 本報告では、BMI値と全原因死亡率との関連(2004年時点における)を調査。JAMA誌11月7日号で掲載された。各BMI値カテゴリーと、心血管疾患・癌・その他疾患との関連を調査低体重(BMI <18.5)、過体重(BMI 25~30)、肥満(BMI >30)とし、心血管疾患、癌、その他(癌、心血管疾患以外)疾患それぞれを死因とする死亡率との関連性が調べられた本研究は、全米対象の国民健康栄養調査(NHANES)の調査期間I(1971~1975年)、II(1976~1980年)、III(1988~1994年)の参加者571,042人年が対象。2000年までの死亡率追跡調査、1999~2002年期間調査からBMI値等のデータ、2004年人口動態統計データの25歳以上230万人の死因情報を加味して検討された。BMI値と各死因死亡率とには特異的関連がある?その結果低体重群では、癌と心血管疾患を除くその他疾患を死因とする死亡率で有意な増加(超過死亡:23,455例)が、過体重群ではこの点に関して有意な減少(超過死亡:-69,299例)が認められ、また肥満群では心血管疾患を死因とする死亡率に関してのみ有意な増加(超過死亡:112,159例)が認められた。より詳細な解析結果からは、過体重+肥満は、糖尿病、腎疾患で死亡率の増加(超過死亡:61,248例)が認められた一方、癌と心血管疾患を除くその他疾患については減少(超過死亡:-105,572例)していることが認められたと報告。また肥満群では、肥満との関連が指摘される癌の死亡率の増加(超過死亡:13,839例)が認められた一方で、それ以外の癌死亡との関連は認められなかったという結果も得た。調査期間間の死亡率の比較からは、肥満と心血管疾患との関連は経時的減少傾向にあるという示唆が得られたとも報告。Flegal氏らは、「今回の結果は、BMI値と全死因死亡率との関連性を明らかにすることに結びつくだろう」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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薬物溶出ステント(DES)が経済的なのは高リスク病変のみ

ステント留置後18ヵ月間の費用対効果を検討すると、薬物溶出ステント(DES)が効率的なのは高リスク病変への留置のみであり、低リスク病変に対する費用対効果はベアメタル・ステント(BMS)に軍配が上がることが、無作為化試験BASKETの結果明らかになった。Basel(スイス)、University HospitalのHans Peter Brunner-La Rocca氏らがLancet誌11月3日号で報告した。DES、BMSの主要心イベント抑制の費用対効果を検討BASKET(Basel Stent Kosten Effektivitats Trial)の対象は、Rocca氏らの施設にて2003年5月から1年の間にPCIを受けステントを留置された826例。ステント長が4.0mm以上だった例、あるいはステント内狭窄例は除外されている。これらをDES群(545例)とBMS群(281例)に無作為化し、主要心イベント(心臓死、非致死性心筋梗塞、虚血症状寛解のための責任病変血行再建再施行)発生を18ヵ月間追跡し、両ステントによる主要心イベント抑制の費用対効果を検討した。病変部のリスクにより費用対効果が異なる18ヵ月後、主要心イベント発生率は両群間に有意差はなかった。 次に、BMSとDESを置き換えた場合のコストの増減を縦軸に、主要心イベント相対リスクの変化を横軸にとり、実測値をBootstrap法にて5,000サンプルへシミュレートのうえプロットした(Cost-effectiveness plane)。するとDESがBMSよりも「安価で有効(主要心イベントを減少させる)」である機会は3%しかなく、「高価で有効」は71%、逆に「高価で無効」となる可能性が26%あった。しかし患者を低リスクと高リスクに分けて検討すると、高リスク群ではDESの費用対効果が優れていた。すなわち、バイパス・グラフトへの直径3.0mm未満のステント留置では、71%のケースでDESがBMSよりも「安価で有効」となっていた。一方、インターベンション歴のない血管に対する直径3.0mm以上のステント留置(低リスク)では逆に、75%のケースでDESがBMSよりも「高価で無効」となると考えられた。このような解析を基にRocca氏らは、ルーチンなDES留置に対しては費用対効果の観点から疑義を呈している。(宇津貴史:医学レポーター)

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高齢者のインフルエンザ、肺炎に対する意識は高い!?

今年もインフルエンザの流行の兆しが見え始め、メディアなどでも様々な話題が報じられているが、万有製薬株式会社は、2007年7月に全国65歳以上の男女計467人を対象に行ったインフルエンザと肺炎に関する意識調査を発表した。調査結果によると、 1.インフルエンザワクチンを接種した経験がある人は67.2%に上るが、最近1年間に接種した方は44.3%で、1年より前に接種した人は22.9%。 2.インフルエンザワクチンを接種した経験がない人でも98.7%がインフルエンザワクチンを知っており、そのうち53.7%が接種の必要性を感じている。 3.67.2%が「肺炎は怖い」というイメージを持っており、また66.2%が「自分もかかるかもしれない」と感じている。そして、36.8%が「肺炎は予防可能な疾患である」と考えている。 4.肺炎球菌ワクチンの認知率は52.7%で、そのうちの35.0%が1年以内に知ったものだった。 プレスリリースはこちら http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2007/corporate_1112.html

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米国心臓学会において「HIJ-CREATE」の成績が発表

 11月7日(米国時間)、フロリダ州・オーランドで開催されている第80回米国心臓学会 (AHA: the American Heart Association's Scientific Sessions 2007) のlate-breaking clinical trials sessionにおいて、高血圧症治療薬ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)の大規模臨床試験「HIJ-CREATE」の成績が発表された。HIJ-CREATE試験は2001年6月から実施されたもので、日本の14施設が参加、高血圧症を有する日本人の冠動脈疾患患者2,049例を対象に、アンジオテンシン・受容体拮抗薬(ARB)ブロプレスを基礎治療にした薬剤群(ブロプレス群)とARBを使用しない標準治療薬剤群(標準治療群)について、心血管系イベントの発症を指標として比較。 今回の発表では、以下の点が明らかになった。1.ブロプレス群は標準治療群と比較して、心血管系イベントの発症リスクを11%抑制したものの統計的な有意差は得られなかった(p=0.194)。<主要評価項目> 2.糖尿病の新規発症率は、ブロプレス群1.1%、標準治療群2.9%であり、ブロプレス群は糖尿病の発症を抑制した(p=0.027)。<副次評価項目>3.腎機能の低下した患者においてブロプレス群は標準治療群と比較して、心血管系イベントの発症リスクを21%抑制した(p=0.039)。

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産学結びつきの現状ともたらす影響

産学連携(Institutional Academic-Industry Relationships:IAIR)は、組織内に利害対立をも引き起こす可能性をはらんでいる。しかしこれまで、大学および教育病院と産業界との関係を管理する方針や手法に関して確立・評価するのに役立つ観察データは示されていなかった。そこで医学部と教育病院の産学連携の性質、範囲そして影響について、学部教授を対象とした全国調査がマサチューセッツ総合病院のEric G. Campbell氏らによって行われ、その結果がJAMA誌2007年10月17日号に掲載された。教授職の6割が産業界と何らかの個人的関係を持つ125の逆症療法を主体とする医学部と15の独立系教育病院の学部教授を対象とした全米調査は、2006年2月から同年10月にかけて実施された。主要評価項目は産業界とのつながりのタイプ。対象となった学部教授職688例のうち459例について調査を完了、回答率は全体の67%だった。学部教授職の60%は産業界との間に何らかの個人的なつながりを持っており、その内訳は、コンサルタント(27%)、学術顧問(27%)、有給講演者(14%)、役員(7%)、設立発起人(9%)、または重役会メンバー(11%)などとなっていた。また、学部単位では3分の2に当たる67%が産業界との関係があった。この中で臨床系学部は非臨床系学部よりも、研究装置(17%対10%、P=0.04)、無制限の資金提供(19%対3%、P

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J-WIND、待望の論文化

わが国で実施され、2006年には米国心臓協会にて報告された大規模試験J-WINDが、Lancet誌10月27日号に掲載された。心筋梗塞に対する再灌流療法にヒト心房性ナトリウムペプチド(カルペリチド)、あるいはニコランジルを加える有用性を検討した本試験、筆頭著者は国立循環器病センターの北風政史氏である。カルペリチドとニコランジルの有用性を別個に検討J-WINDは2つの別個の試験から成る。いずれも急性心筋梗塞例を対象としているが、J-WIND-ANP試験では再灌流療法時にカルペリチドを3日間持続静注、J-WIND-KATP試験ではニコランジルをボーラス静注し、いずれの試験も梗塞サイズと左室駆出率を対照群と比較した。ANP試験ではカルペリチド群に277例、対照群に292例が、KATP試験ではニコランジル群に276例、対照群に269例がそれぞれ無作為割り付けされ、単盲検にて平均2.7年(ANP試験)、2.5年(KATP試験)追跡された。  カルペリチド群では梗塞サイズが縮小し左室機能も保たれる569例が無作為化されたANP試験では、まず535例(カルペリチド群:255例、対照群:280例)で梗塞サイズが検討された。梗塞巣サイズの評価は、再灌流療法前と再灌流1時間~72時間後の間に少なくとも6回採取した血液サンプルから求めたクレアチニンキナーゼのAUCで行なった。その結果、対照群の77,878.9IU/L時に比べカルペリチド群では66,459.9IU/L時と有意(p=0.016)に低下していた。梗塞サイズに換算すると相対的に14.7%の減少になるという。ただし再灌流後12〜18時間に測定したトロポニンT濃度は減少傾向にとどまった。また398例(各群199例ずつ)で評価できた6~12カ月後の左室駆出率も、カルペリチド群では対照群に比べ相対的に1.05倍、有意(p=0.024)に高値だった。この結果よりJ-WIND研究者らは、「経皮的冠血行再建術を施行される心筋梗塞患者に対し、カルペリチド追加は安全かつ有効な治療だと信じている」と記している。 ニコランジルは用量の問題か対照的だったのがKATP試験である。ニコランジル群で梗塞サイズ、左室駆出率とも対照群と有意差を認めなかった。 しかしJ-WIND-KATP試験については本年度の日本循環器学会のセッション「Late Breaking Clinical Trials in Japan」において、以下が指摘されている。すなわち、これまでに報告された臨床試験で、ニコランジルによる梗塞巣縮小が認められた場合、用量は8~12mg程度が用いられている。特に、プラセボ群に比べ心筋梗塞患者の「心血管系死亡と心不全による予定外入院」を有意に抑制し,Circulation誌に掲載された臨床試験では12mgが用いられていた [Ishii H et al. Circulation 2005; 112: 1284]。しかし今回J-WINDで用いられた「0.067mg/kgボーラス+1.67μg/kg/分×24時間」というレジメンではおよそ4mg程度にしかならないため、「もう少し高用量ならば異なった結果になっていた可能性もある」(コメンテーター)とのことである。(宇津貴史:医学レポーター)

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子宮摘出術の安易な第一選択は避けるべき

機能性子宮出血、平滑筋腫など良性疾患に対する治療法としては、子宮摘出術が優先的に行われている。しかし一方で、断定的ではないものの子宮摘出による下部尿路へのリスク増加が指摘されてきた。 スウェーデン、カロリンスカ研究所(ストックホルム)のDaniel Altman氏らは、スウェーデン国内女性を対象に、子宮摘出後の腹圧性尿失禁手術のリスクを調査。結果がLANCET誌10月27日号で報告された。腹圧性尿失禁手術へのリスクを子宮摘出群と非摘出群で比較本研究対象は、スウェーデン国内の入院患者登録データを集約するSwedish Inpatient Registryの1973年~2003年の間のデータから選定された。子宮摘出術を受けた165,260例の女性を曝露コホート群として、受けなかった女性479,506例を非曝露コホート群(対照群)とした。出生年と居住地域を照合が行われている。両コホート群において腹圧性尿失禁手術を受けたか否かは、前述のスウェーデンのSwedish Inpatient Registryで確認された。摘出群のほうがリスクが高い、特に術後5年以内観察期間30年の間に、腹圧性尿失禁手術を受けたのは、100,000人年に対し曝露群で179(95%信頼区間:173-186)、対照群は76(同73-79)だった。それに符合するかのように、曝露群のほうが非曝露群よりも腹圧性尿失禁手術のリスクが手術手技にかかわりなく高かった(ハザード比2.4、95%信頼区間:2.3-2.5)。またそのリスクの度合いは時間とともに異なっていた。リスクが最も高かったのは術後5年以内(同2.7、2.5-2.9)、反対に最も低かったのは10年以上(同2.1、1.9-2.2)経っていた場合だった。Altman氏らは、「良性疾患での子宮摘出は、手術手技にかかわりなく、その後の腹圧性尿失禁手術のリスクを増す」と結論づけ、「女性は子宮摘出に関するリスクについてきちんとしたカウンセリングがなされるべきであり、そして、他の治療法が手術の前に考慮されなければならない」と述べている。

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インスリン療法の追加はどのタイプが適切なのか?

2型糖尿病患者で経口糖尿病薬による血糖コントロールが不十分になると、インスリンが追加されることは一般的である。しかし、どのようなインスリン療法が適切なのか、これまで大規模な調査は行われておらずエビデンスに限界があった。 そこでオックスフォード大学(英国)チャーチル病院糖尿病センターのRury R. Holman氏ら4T(Treating to Target in Type 2 Diabetes)研究グループが、多施設共同非盲検対照試験を実施。NEJM誌オンライン版9月21日付、本誌10月25日号で結果が掲載された。「二相性」「食前」「持効型」を比較対照患者は、メトホルミンおよびSU剤の最大許容量投与ではグリコヘモグロビン値が至適とならない(7.0~10.0%)708例で、「二相性インスリン(1日2回投与)」「食前インスリン(1日3回投与)」「持効型インスリン(インスリンデテミル:1日1回投与;必要に応じて2回投与)」のいずれかに無作為に割り付けられた。転帰評価項目は1年時点での平均グリコヘモグロビン値、およびグリコヘモグロビン値が6.5%以下になった患者の割合、低血糖発生率、体重増加。その結果、平均グリコヘモグロビン値は、「二相性投与群」と「食前投与群」ではそれぞれ7.3%、7.2%と同等だったが(P=0.08)、「持効型投与群」は7.6%で、より高かった(両群との比較に対するP

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国連ミレニアム開発目標を達成するための効果的な介入方法

国連ミレニアム開発目標(MDGs)は、世界的に重大な貧困、健康および持続的な諸問題に関して具体的目標を立て2015年までに達成するというものである。しかし現状では目標日時までの達成は非常に難しいことがわかってきており、目標達成のための計画および資源配分を効果的に行い、1つの介入で複数のMDG達成に寄与できないかが検討課題となっている。 ハーバード大学(アメリカ)Initiative for Global HealthのEmmanuela Gakidou氏らは、環境および栄養改善を目標とするMDGsへの介入の、乳幼児死亡率低下への寄与、および介入対象が置かれている経済状況によっての差異などを調査し、より有効な介入のあり方について検討を行った。JAMA誌10月24日号掲載の報告から。環境・栄養改善介入の影響を乳幼児死亡率の低下で比較検証栄養改善を目標とするMDGでは小児栄養の改善を掲げており、環境改善を目標とするMDGはクリーンな水・衛生環境・燃料を提供するというものである。小児栄養および環境に関するリスク因子に対する介入の影響を、経済状況によって5段階に階層化したモデル集団の乳幼児死亡率をを比較することで評価を行った。経済状況、小児低体重、水・衛生・家庭用燃料に関するデータは、ラテンアメリカおよびカリブ海、南アジアとサハラ以南のアフリカ42カ国を対象として統計されたDemographic Health Surveysを参照。疾患特有の乳幼児死亡率に関するデータは、WHOのものを参照した。その他MDGに関するリスク因子の各データは、システマティックレビューおよびメタ解析による疫学研究を参照した。貧困層からの介入で改善率はさらにアップする5歳未満のすべての小児を対象に実行した小児栄養の改善、クリーンな水・衛生環境・家庭用燃料の提供は、ラテンアメリカとカリブ海地域で49,700人(14%)、南アジアでは80万人(24%)、サハラ以南のアフリカでは147万人(31%)の小児死亡の年次低下をもたらすことが推定された。これらは、乳幼児死亡率のMDGにおける低下目標値と現状格差との30~48%に相当する。MDGs全体で想定した場合、同様の環境・栄養改善の介入の半分の範囲を、もし最初に貧困層から行いやや裕福な層へと展開していった場合、乳幼児死亡率は前述の各地域でそれぞれ26,900人、51万、102万となると推定された。反対に裕福な世帯から行った場合は、これらの期待値は貧困層から行った場合の30%~75%に留まる。Gakidou氏らは、MDGs全体を想定しての環境・栄養改善の介入が、実質的に乳幼児死亡率を目標とするMDGにも寄与する。統合的な介入マネジメントを、貧困層を優先して行うことで、その効果は最大のものにできると結論付けた。(武藤まき:医療ライター)

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人工膝関節形成術後の運動物理療法は短期的ベネフィットもたらす

イギリスでは、変形性関節症(OA)は高齢者における身体機能障害の最大の原因であり、55歳以上の10%が疼痛を伴うOAに罹患しているという。OAに対する整形外科的な処置は一般に人工膝関節形成術が行われるが、術後退院しての物理療法をルーチンに行うアプローチの可否は不明である。 バーミンガム大学プライマリケア/一般診療科のCatherine J Minns Lowe氏らは、初回の待機的人工膝関節形成術施行後のOA患者における運動に基づく物理療法の効果について検討を行った。BMJ誌9月20日付オンライン版、10月20日付本誌掲載の報告。機能的日常生活動作などにつき系統的レビューとメタ解析を実施8つのデータベースを検索し、2つの専門誌および1つの専門誌に掲載されたカンファレンス記録集を手作業で調査した。初回の待機的人工膝関節形成術施行後に病院を退院したOA患者を対象に、運動に基づく物理療法による介入と標準的な物理療法を比較、あるいはレビューの判定基準を満たす2つの運動物理療法介入を比較した無作為化対照比較試験について系統的なレビューを行った。評価項目は、機能的日常生活動作、歩行、QOL、筋力、膝関節の可動域とした。固定効果モデル、加重平均差、標準効果量、不均質性検査を用いて報告形式による統合(narrative synthesis)およびメタ解析を実施した。運動物理療法の短期的効果を確認同定された6つの試験のうち5試験がメタ解析の基準を満たした。術後3および4ヵ月における身体機能に対する標準効果量は、小~中等度の範囲で機能的運動物理療法群が良好であった。また、術後3および4ヵ月における膝関節の可動域およびQOLの加重平均差も、小~中等度の範囲で機能的運動物理療法群が良好であった。これら短期的に認められた運動物理療法による治療効果は、1年後には確認できなかった。長期的なベネフィットは確認できずLowe氏は、「初回の待機的人工膝関節形成術の退院後における運動を基本とした機能的運動物理療法は、短期的にはベネフィットをもたらすが、効果量は最大でも中等度であり、1年後にはベネフィットは消失した」と結論している。一方、同氏は「運動物理療法の効果は1年後にはなくなるとのエビデンスは結論的なものではない」としたうえで、「脳卒中後のリハビリテーションで、特定の機能の直接的な訓練に焦点を絞った運動プログラムの有効性が示されており、同様の方法論に基づく人工膝関節形成術後の簡易な運動物理療法介入の1年後の効果を検討する試験が進行中である」と付記している。(菅野 守:医学ライター)

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即時の治療開始でその後の脳卒中80%減少:EXPRESS研究

一般医の診断により一過性脳虚血(TIA)や軽度脳卒中が疑われた場合、専門医による治療が即刻開始されれば、受診待ちをするよりも80%、その後の脳卒中発症を抑制しうることが明らかになった。EXPRESS(Early use of Existing Preventive Strategies for Stroke)研究グループを代表してPeter M Rothwell氏らが、Lancet誌10月20日号で報告した。TIA・軽度脳卒中に対する早期介入の有用性を検討EXPRESS研究は、TIAもしくは軽度脳卒中に対する異なる治療方針を、二期に分けて比較した前向き研究である。まず第一期(2002年4月より2004年9月)は、一般医でTIA・軽度脳卒中と診断された患者は、即刻入院の必要がない場合、本研究のために立ち上げられた専門クリニックに紹介されるが、予約制のため診察まで3日間(中央値)の待機が必要となった。第二期(2004年10月より2007年3月)では、専門クリニックを予約なしで即日受診できるようにした(週末休診)。その結果、待機期間は1日未満(中央値)となった(p

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MRSA感染は院内ではなく公衆衛生問題

米国疾病管理予防センター(CDC)のメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)研究者チームによって行われた本研究は、MRSA感染症の疫学的状況を正確に把握することで、必要に応じ新たな予防対策を講じることを目的としたものである。 従来は病院発症、院内感染ばかりが注目されていたが、ER(救急救命室)受け入れ患者の感染症の原因として最も多いのがMRSAであるなど疫学的変化が起きており、コミュニティを対象とする調査の必要性が提起されていた。JAMA誌10月17日号報告より。コミュニティを対象に調査調査はCDCのActive Bacterial Core Surveillance(ABCs)/Emerging Infections Program Networkに関与している全米9つのコミュニティを対象に行われた。2004年7月から2005年12月までの同ネットワークデータからMRSA感染の発現率と分布状況を調べ、2005年の米国におけるMRSA感染症の負担の度合いが推定するというもの。MRSA感染報告は、疫学的定義として、「医療機関関連:コミュニティで感染(Community-onset)あるいは病院で感染(Hospital-onset)」と「コミュニティ関連(community-associated):医療機関関連のリスク因子を有さない患者」を定め分類された。推定MRSA発現率は10万人当たり31.8対象調査期間中に観察されたMRSA発症例は8,987例。大部分が「医療機関関連」に分類されるもので、内訳は58.4%(5,250例)がコミュニティで感染、26.6%(2,389例)が病院で感染となっている。一方、医療機関関連のリスク因子を有さない「コミュニティ関連」の感染は13.7%(1,234例)だった。その他に「分類不可」に類するものが1.3%(114例)あった。2005年におけるMRSA発現率は、10万人当たり31.8と推定された。出現率は65歳以上で最も高く(10万人当たり127.7)、黒人(同66.5)、男性(同37.5)も高い。調査期間中の病院での死亡は1,598例。2005年における死亡率は10万人当たり6.3と推定された。また、すべての調査対象地域で「医療機関関連」後に「コミュニティ関連」が発生するという傾向があった。CDCは、「MRSA感染は主に医療機関に関連しているが、集中治療室、急性期病院など施設に限ったことではなく、公衆衛生問題として取り組む必要がある」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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小児急性中耳炎原因菌に多剤耐性菌が出現

7価を有する複合ワクチン(PCV7)には含まれておらず、小児の急性中耳炎(AOM)を引き起こす原因となる肺炎球菌に、多剤耐性菌出現の可能性が懸念されている。 アメリカ・ロチェスター大学小児科のMichael E. Pichichero氏らは、AOMに罹患した患児の原因肺炎球菌の抗原型を調べ、その抗生物質感受性を調査した。JAMA誌10月17日号より。肺炎球菌の抗原型と抗生物質感受性を調査本研究は前向きコホート研究で、AOMを引き起こす肺炎球菌の負担変動を、特に抗原型と抗生物質感受性に注意を払いながら、複合ワクチンPCV7投与後継続的にモニタリングされた。対象となったのは、2003年9月~2006年6月の間にPCV7の投与を受けた小児。AOMの原因肺炎球菌の確認は鼓室穿刺術を用いて行われた。小児は全員、ロチェスター、ニューヨークの小児科で診療を受けている。AOMと診断された小児は1,816例。鼓室穿刺術は212例で実行され、59例で肺炎球菌感染が確認された。多剤耐性を有する抗原型19Aの肺炎球菌を9/59例で確認このうち9例で確認された菌株(2003~2004年:2例、2004~2005年:2例、2005~2006年:5例)は、新規の遺伝子型を有する抗原型19A。これはAOMに罹患した小児に用いることができるすべてのFDA承認抗生物質に耐性だった。4例の感染小児は2種類以上の抗生物質(高用量amoxicillinあるいはamoxicillin-clavulanateを含む)を用いても治療が失敗に終わった。結局、中耳腔換気用チューブが挿入されている。3例はceftriaxone注射剤投与で反復性AOMを、その他2例の感染は乳幼児期の早い段階で確認されていた。これらには手術以外の感染消散の手段としてlevofloxacinの投与が行われた。Pichichero氏らは、「PCV7ワクチン導入数年で、小児AOM治療に対するすべてのFDA承認抗生物質に耐性の肺炎球菌が出現していることが本研究で明らかとなった」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

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イギリスの病院データ(HES)は先天性心疾患術後30日死亡率の評価には不十分

イギリスのhospital episode statistics(HES)は、病院の活動、死亡率などを施設間で比較する際に用いられる統計データであるが、その信頼性は疑問視されてきた。オックスフォードRadcliffe病院心臓外科のStephen Westaby氏らは、子どもの先天性心疾患開胸手術後の30日死亡率の解析におけるHESの有用性を、先天性心疾患監査データベース(CCAD)の情報との比較において検証した。BMJ誌9月20日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告。HESとCCADのデータを用い、先天性心疾患開胸手術後30日死亡率を比較2000年4月1日~2002年3月31日までの先天性心疾患開胸手術に関するHESのデータとCCADの関連データについて解析した。HESには11施設のデータが、CCADにはイギリスの全施設(13施設)のデータが含まれた。主要評価項目は、生後1年未満の先天性心疾患患児に対する開胸手術後の30日死亡率とした。HES、CCADの双方に30日死亡率の過少評価がHES、CCADの双方にデータがある11施設のデータを直接比較したところ、HESには各施設で5~38%の手術記録の記載漏れがあることがわかった。また、HESには死亡確認記録の不足が中央値で40%(0~73%)も生じていた。平均30日死亡率は、HESでは4%過少評価され、CCADでは8%過少評価されていた。CCADでは、比較に用いられた11施設中9施設で患者アウトカムの1~23%が見逃されていた(ほとんどが海外からの患児)。結果的には、CCADにも過少評価が生じていた。HESは先天性心疾患手術を評価する情報源として不十分Westaby氏は、「HESは、先天性心疾患手術の施行状況やアウトカム評価の情報源としては不十分である。CCADのほうが正確で完成度が高かったが、リスクを層別化した包括的な死亡率データを実現するにはさらなる検討が必要である」と結論している。同氏は、「データの質に問題があるので、一般に公開されている個々の施設や外科医個人の死亡率データを再検討すべきだ」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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「2015年までに妊産婦死亡率を1990年の1/4に」は達成できるのか

 妊産婦の死亡はほとんどが回避可能であり、それゆえ国連のミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs、http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/)のターゲットのひとつとなっている。これは、2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の1/4に減少させるというものだが、データの脆弱性のため進捗状況のモニタリングに問題が起きているという。 2006年、評価法の改善を推進するために新たなワーキンググループが設立され、2005年度の妊産婦死亡率を改めて推計し、1990年以降のトレンドの解析を行った。Harvard Center for Population and Development Studies(アメリカ、ケンブリッジ市)のKenneth Hill氏が10月13日付Lancet誌上で報告した。さまざまな方法を開発して解析Hill氏らは、対象となる国を利用可能なデータのタイプ別に8つのカテゴリーに分けて個々に解析を行うなどさまざまな方法を開発し、これらを用いて同一カテゴリーの国や地域レベル、およびグローバルなレベルで2005年度の妊産婦死亡率を算出し、1990~2005年のトレンドを評価した。妊産婦死亡のほとんどがサハラ以南のアフリカ、アジアに集中2005年度の世界の妊産婦死亡数は545,900人、妊産婦死亡率は10万出生あたり402人であった。そのほとんどが、サハラ以南のアフリカ(270,500人、約50%)およびアジア(240,600人、約45%)に集中していた。1990年から2005年にかけて妊産婦死亡率は年平均2.5%減少(p<0.0001)していたが、サハラ以南のアフリカでは有意な減少は認めなかった。MDGターゲットの達成には開発途上地域の妊娠/分娩医療の改善が急務Hill氏によれば、MDGのターゲット「2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の1/4に減少させる」の達成に要する妊産婦死亡率の低下率は年平均5.5%であり、現在の2.5%のままでは不可能という。同氏は、「1990年以降、妊産婦死亡数の減少にある程度の進展がみられた地域もあるが、サハラ以南のアフリカの死亡率は高いままであり、過去15年間に改善のエビデンスはほとんどない」と指摘し、「MDGターゲットの実現には、開発途上地域の妊娠/分娩医療の改善に重点を置いた持続的な施策が急務である」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

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小児喘息リスクは新生児期の細菌定着で増加する

小児喘息では一般に先行して、繰り返す喘息様症状=喘鳴(recurrent wheeze)がみられる。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らは、重度の繰り返す喘鳴を呈する幼児の気道に病理学的にみられる細菌定着と、喘息の起因との関連を示唆してきた。その関連を明らかにするスタディを実施。NEJM誌10月11日号に結果が報告された。無症候の新生児下咽頭からの吸引液を培養し5歳児までモニタリング検証が行われたのは、無症候の新生児の下咽頭の細菌定着と、5歳時までの喘鳴・喘息・アレルギー発現との関連。喘息の母親から生まれ、コペンハーゲン小児喘息前向き研究(CPSAC:Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood)に登録された小児が対象となった。無症候の新生児(生後1ヵ月の乳児)の下咽頭部位から吸引液を採取し、肺炎球菌、インフルエンザ菌、Moraxella catarrhalisと黄色ブドウ球菌を培養。5歳児まで喘鳴の評価が前向きにモニタリングされ、日記に記録。4歳時に血中好酸球算定と総IgE、特異的IgE測定を行い、5歳時に肺機能の評価および喘息の診断が行われた。肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がリスク増加培養されたサンプル数は321例。乳児の21%が、肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌、あるいは複数の細菌が定着していた。黄色ブドウ球菌の定着はみられなかった。細菌定着(黄色ブドウ球菌を除く1つ以上の)と持続的な喘鳴とのハザード比は2.40、喘鳴の急性かつ重度の増悪とのハザード比は2.99、喘鳴による入院は3.85で、有意に関連していることが明らかとなった。またこれら細菌定着がみられた小児には、4歳時の好酸球数、総IgE値に有意な増加がみられた。特異的IgE値には有意な影響がみられていない。β2作動薬投与後5歳時の、喘息有病率と気道抵抗性の可逆性は、新生児期に細菌の定着がみられた小児 vs みられなかった小児でそれぞれ33% vs 10%、23% vs 18%と、いずれも細菌定着がみられた小児で有意に高いことが判明した。Bisgaard氏らは、「肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がある新生児は、幼児期に繰り返す喘鳴と喘息のリスクが増加する」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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メディケード加入者は医療格差に曝されている

アメリカでは近年、営利保険とは対照的に、管理医療型(マネジドケア)のHMOに加入するメディケード受益者の比率が増加し続けている。マネジドケアHMOでは、重篤あるいは高コストの合併症などを防ぐために予防とルーチンケアを一律に組み込むなど、低所得者や移民が多いメディケード加入者にとってメリットがある半面、必要な医療サービスが制限されるなど“格差”をもたらす可能性も指摘されてきた。 ハーバード・メディカル・スクールのBruce E. Landon氏らは、マネジドケアプランの3パターン間の治療の質を比較。JAMA誌10月10日号で格差の実態について報告した。383のヘルスプランの治療の質を比較治療の質を比較したのは、「メディケード・オンリー・プラン(主にメディケード加入者に供給)」と「営利保険・オンリー・プラン(主に営利保険加入者に供給)」と「メディケード/営利保険適用プラン(実質的に両方の加入者多数に供給)」の3タイプ。比較対象となったのは、2002~2003年にNational Committee for Quality Assuranceで報告された383のヘルスプラン。37が「メディケード・オンリー・プラン」、204が「営利保険・オンリー・プラン」、142が「メディケード/営利保険適用プラン」(メディケード・営利保険加入者データは別々に報告)だった。質の評価には、メディケード集団に適用可能なHEDIS(Healthcare Effectiveness Data and Information Set)の11の指標が用いられた。営利保険加入者のほうが優位メディケード加入者間での11の指標パフォーマンスは、「メディケード・オンリー・プラン」と「メディケード/営利保険適用プラン」で違いはなかった。同様に営利保険加入者間で、「営利保険・オンリー・プラン」と「メディケード/営利保険適用プラン」でパフォーマンスの違いは実質的になかった。全体的に見ると、1つを除く全ての指標で営利保険加入者のパフォーマンスがメディケード加入者より上回っていた。高血圧症コントロールでは4.9%の差(営利保険加入者58.4%対メディケード加入者53.5%、P=0.002)があり、分娩後の適切な治療に関しては24.5%(同77.2%対52.7%、P=0.001)に上る。同程度の格差は、同一のヘルスプランで治療を受けた営利保険加入者とメディケード加入者の間で観察された。Landon氏らは、「メディケード・マネジドケア加入者は、営利保険・マネジドケア加入者より質の低い治療を受けている」と結論。「国家として治療における相違を減らすことが米国ヘルスケアシステムの重要な目的とするのなら、マネジドケアは万能薬でない」と述べ、現状システムの改善を提起した。(武藤まき:医療ライター)

11700.

自由行動下血圧測定(ABPM)は24時間が望ましい:IDACO

前向きコホート研究データベースIDACOでは自由行動下血圧と予後の関係を検討しているが、血圧測定は夜間だけでなく24時間行うべきだという。Universidad de la Republica(ウルグアイ)のJose Boggia氏らがLancet誌10月6日号で報告した。 住民研究データを解析IDACO(International Database on Ambulatory blood pressure monitoring in relation to Cardiovascular Outcomes)は国際データベースで、自由行動下24時間血圧と致死性・非致死性予後の相関を検討した前向き住民研究のデータが集積されている。今回の解析対象は平均年齢56.8歳(標準偏差:13.9歳)の7,458例。随時血圧平均値は132.4/80.1mmHg、24時間平均血圧は124.8/74.0mmHgだった。追跡期間中央値は9.6年間だった。 昼間血圧のみでは予後予知力が減弱収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)は昼間、夜間血圧を問わず1標準偏差上昇により心血管系死亡が有意に増加していた。ただし、非心血管系死亡の有意な増加と相関していたのは夜間血圧の上昇だった(いずれも、コホート、年齢、性別、降圧薬服用の有無などで補正後)。同様にSBP、DBPの夜間/昼間血圧比増加(1標準偏差)も、心血管系・非心血管系死亡を有意に増加させていた。夜間降圧度はさほど予後に影響せず?興味深いのは夜間降圧と心血管系予後の関係だろう。夜間/昼間血圧比「0.8~0.9」を正常、「0.8未満」をいわゆる"extreme dippier"、「0.9~1.0」を"non-dipper"、「1.0以上」を"riser"とすると、正常に比べ"riser"と"non-dipper"では総死亡と非心血管系死亡は有意に増加していたものの、心血管系死亡が有意に増加していたのは"riser"だけだった。心血管系イベント(致死性・非致死性)も同様で、"riser"では正常に比べ「全心血管系イベント」、「脳卒中」のリスクが有意に増加していたが、「冠動脈イベント」、「冠動脈イベント+心不全」は増加傾向にとどまった。また"extreme dippier"と"non-dipper"では正常に比べリスクが有意に増加しているイベントはなかった(年齢等補正後)。上記の通り夜間血圧のみでも予後予知が可能だが筆者らは、夜間/昼間血圧比の増加と心血管系死亡・非心血管系死亡の相関に着目し、「自由行動下血圧は夜間だけではなく24時間測定すべきだ」と結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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