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吸入コルチコステロイド連日投与、小児の軽症持続型喘息に有効:TREXA試験

小児の軽症持続型喘息の治療では、増悪の抑制効果は吸入コルチコステロイド(ICS)の連日投与が優れることが、米国・アリゾナ大学のFernando D Martinez氏らが実施したTREXA試験で示された。軽症持続型喘息の小児における症状のコントロールや増悪の抑制に望ましい治療法として、低用量ICS連用が推奨されているが、コントロール良好でも増悪する例が存在し、無症状の期間が長期に持続すれば服薬の遵守が極めて困難となる。1)コントロール良好例におけるICS連用の中止は増悪のリスクを増大させるか、2)レスキュー治療としてのICS/アルブテロール(別名サルブタモール:β2アドレナリン受容体刺激薬)併用とアルブテロール単独の増悪抑制効果が、ICS連用の有無で異なるかという課題は未解決だという。Lancet誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。4つの治療群を比較する2×2ファクトリアル・デザインのプラセボ対照無作為化試験TREXA試験の研究グループは、小児の軽症持続型喘息に対するレスキュー治療としてのICS(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)の有用性を評価する2×2ファクトリアル・デザインの二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。2007年1月~2009年5月までにアメリカの5施設から5~18歳の軽症持続型喘息の症例が登録され、4週間の導入期間の後、以下の4つの治療群に無作為に割り付けられ、44週間の治療が行われた。1)併用群:ベクロメタゾン1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、2)ベクロメタゾン連用群:ベクロメタゾン1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療、3)レスキューベクロメタゾン群:プラセボ1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、4)プラセボ群:プラセボ1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療。ベクロメタゾン治療は1パフ(40μg)を朝夕2回吸入し、レスキュー治療は症状が軽減するまでアルブテロール(180μg)2パフ当たりベクロメタゾン2パフとした。主要評価項目は経口ステロイド薬を要する初回増悪までの期間、副次的評価項目はICSの副作用である成長障害の指標としての線形成長とし、intention-to-treat解析を行った。増悪率、治療失敗率は連用群が最も低い843例が登録され、事前に規定された判定基準に従って導入期間中に555例が除外された。残りの288例のうち、71例が併用群に、72例がベクロメタゾン連用群に、71例がレスキューベクロメタゾン群に、74例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。増悪率は、プラセボ群の49%(95%信頼区間:37~61)に比し、ベクロメタゾン連用群が28%(同:18~40、p=0.03)、併用群が31%(同:21~43、p=0.07)、レスキュー群は35%(同:24~47、p=0.07)といずれも低下しており、連用群では有意差を認めた。治療失敗率は、プラセボ群の23%(95%信頼区間:14~43)に比べ、併用群は5.6%(同:1.6~14、p=0.012)、連用群は2.8%(同:0~10、p=0.009)、レスキュー群が8.5%(同:2~15、p=0.024)であり、いずれも有意に良好であった。線形成長の平均値は、ベクロメタゾンを連用した併用群と連用群はプラセボ群に比べて1.1cm(SD 0.3)有意に低下した(p<0.0001)が、連用していないレスキュー群は0.3cm(SD 0.2)の低下でありプラセボ群と同等であった(p=0.26)。重篤な有害事象は2例(連用群の1例でウイルス性髄膜炎、併用群の1例で気管支炎)にのみ認められた。著者は、「軽症持続型喘息の小児にはアルブテロール単独によるレスキュー治療は行うべきではなく、増悪の予防に最も効果的な治療はICS連日投与である」と結論し、「レスキューとしてのICSをアルブテロールと併用する治療は、アルブテロール単独によるレスキュー治療に比べ増悪率が低い点で有効性が高く、コントロール良好な患児に対するステップダウン治療として有効な可能性がある。それゆえ、ICS連用は回避可能であり、それによる成長障害などの副作用も避けられると考えられる」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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ステージ3+の未熟児網膜症へのベバシズマブ単独療法の有効性は?

未熟児網膜症(ROP)に対する血管内皮増殖因子阻害薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン 本邦では抗がん薬としてのみ保険適応)硝子体内投与による単独療法について、従来のレーザー治療法(confluent laser therapy)と比較する多施設共同前向き無作為化層別比較対照試験が行われ、NEJM誌2011年2月17日号で発表された。ROPは世界的に幼児期失明の主要な原因となっており、特にゾーンI発症のROPは、従来レーザー治療では周辺部網膜の恒久的な損失が不可避で、大半が近視を有することとなり、成功例は50%とすべての症例で失明を免れるというわけではないと報告されている。一方で、血管内皮増殖因子阻害薬を用いて治療した一連の症例から、これらの薬剤が未熟児網膜症の治療に有効である可能性が示唆されており、米国・テキサス大学ヘルス・サイエンス・センターのHelen A. Mintz-Hittner氏ら「BEAT-ROP」共同研究グループが、有効性を評価する試験を行った。患児150例をベバシズマブ硝子体内投与とレーザー治療に無作為化し追跡試験対象は、ゾーンIまたはゾーンII後極部ステージ3+(後極部血管の拡張・蛇行のあるステージ3)ROPを有した出生時体重1,500g以下・在胎月齢30週以下の患児で、生後4週もしくは最終月経後31週以降に開始された。患児は、両眼に、ベバシズマブ(0.625mg/0.025mL溶液)を硝子体内投与される群または従来レーザー治療を受ける群に無作為に割り付けられ追跡された。主要評価項目は最終月経後54週までの、再治療を要する片眼または両眼のROP再発とした。試験登録は150例(サンプル計300眼)。うち143例が月経後54週まで生存、7例が死亡し、死亡例は主要アウトカム分析に含めなかった。ゾーンI ROPでは有効も、ゾーンII後極部病変ROPでは有効性認められず結果、ベバシズマブ投与群4例(140眼中6眼・4%)で、レーザー治療群では19例(146眼中32眼・22%)でROP再発が認められた(P=0.002)。有意な治療効果はゾーンI ROPでは認められたが(P=0.003)、ゾーンII後極部病変ROPでは認められなかった(P=0.27)。これら結果を踏まえMintz-Hittner氏は、「ベバシズマブ単独療法は、ゾーンI ROPで有意なベネフィットが示されたが、ゾーンII後極部病変ROPでは示されなかった。ベバシズマブ投与後には継続的な周辺部網膜血管の発達が認められ、従来レーザー治療群では周辺部網膜が恒久的に損失されていた。安全性については、試験規模が小さすぎた」と報告をまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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新型インフルエンザワクチンの安全性、市販後調査で確認:中国

中国・疾病管理予防センターのXiao-Feng Liang氏らは、2009年9月21日に優先すべき集団を対象に、新型インフルエンザ[インフルエンザA(H1N1)ウイルス]感染に対するワクチン(異なるメーカー10社から入手)接種が開始された予防接種プログラムの、安全性に関する評価を行った。結果、同プログラムにおいて有害事象例は観察されず、ギランバレー症候群のリスク増加のエビデンスも認められなかったと報告した。NEJM誌2011年2月17日号掲載より。接種後の有害事象発生率は90件/100万回研究グループは、インフルエンザA(H1N1)ワクチン接種後の有害事象を調査するため、受動的サーベイランス計画を作成し、医師または予防接種提供者に対し、ワクチン接種者数とすべての有害事象数を、地元の疾病管理予防センター(CDC)に報告するよう求めた。報告データは、オンラインで全国予防接種情報システム(National Immunization Information System)内の全国予防接種後有害事象追跡評価システム(National Adverse Event Following Immunization Surveillance System)に集められ、中国CDCにより検証・分析された。検証・分析されたデータは、2010年3月21日までに集まったものであった。結果、ワクチン接種は、2009年9月21日から2010年3月21日まで合計8,960万回行われ、ワクチン接種後の有害事象の発生は8,067例で、接種100万回当たり90.0件の発生率だった。年齢別有害事象発生率は、60歳以上の100万回当たり31.4件から、9歳以下の100万回当たり130.6件まで幅があった。ワクチンのメーカー別の発生率は、100万回当たり4.6~185.4回まで幅があった。懸念される重篤な有害事象は低率報告された8,067件の有害事象のうち、6,552件(81.2%、発生率は100万回接種当たり73.1件)はワクチン反応であることが確認された。また8,067件のうちの1,083件(13.4%、同100万回当たり12.1件)は、発生が稀で、より重篤なものであった。その大半(1,050件)は、アレルギー性反応だった。ギランバレー症候群は11例報告されたが、発生率は接種100万回当たり0.1件と低率で、中国における背景発生率より低かった。(朝田哲明:医療ライター)

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院外心肺蘇生におけるリアルタイム音声画像フィードバックシステムの有効性

院外心配蘇生(CPR)中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムは、その手技をガイドラインにより即したものへと変化させることは認められたが、自己心拍再開やその他臨床転帰の改善には結びつかなかったという。米国・ピッツバーグ大学救急医学部のDavid Hostler氏らが、前向き集団無作為化試験を行った結果から報告した。BMJ誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)より。CPRの手技は改善されたが試験は、院外CPR中のリアルタイム音声画像フィードバックシステムを実行することによって、病院到着前に自己心拍再開する患者の比率が高まるかが検討された。Hostler氏らは、米国とカナダの蘇生転帰協会(Resuscitation Outcomes Consortium)に加入する3地域の救急医療サービスを対象に、モニター付き除細動器に取り付けられたリアルタイム音声画像フィードバックシステムを使ったCPRによる介入を行った。被験者は、救急隊員によって院外CPRが試みられた心停止患者1,586例で、フィードバックありが815例、なしは771例だった。ベースラインにおける患者および救急医療サービスの特徴に群間差はなかった。主要評価項目は、CPR後の病院到着前の自己心拍再開率とした。試験の結果、フィードバック中に救急隊員の14%がフィードバック音を消していることが示された。また、フィードバックなし群と比較して、フィードバックあり群の方が、心臓マッサージ継続時間が増加(64%対66%、群間補正後差:1.9、95%信頼区間:0.4~3.4)、圧迫の深さが増加(38mm対40mm、補正後差:1.6、95%信頼区間:0.5~2.7)、圧迫後の不完全リリースの減少(15%対10%、補正後差:-3.4、95%信頼区間:-5.2~-1.5)との関連が認められた。自己心拍再開率、生存退院率とも改善に結びつかずしかし、到着前自己心拍再開率は、フィードバックの有無における有意な差は認められなかった(45%対44%、補正後差:0.1%、95%信頼区間:-4.4%~4.6%)。同様に、病院到着時に脈拍あり(32%対32%、補正後差:-0.8、95%信頼区間:-4.9~3.4)、生存退院率(12%対11%、補正後差:-1.5、95%信頼区間:-3.9~0.9)退院時覚醒率(10%対10%、補正後差:-0.2、95%信頼区間:-2.5~2.1)においても有意差は認められなかった。

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エベロリムス、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を延長

プラセボ対照の第3相国際共同二重盲検無作為化試験「RADIANT-3」の結果、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害薬であるエベロリムス(商品名:免疫抑制薬としてサーティカン、抗悪性腫瘍薬としてアフィニトール)は、進行性膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を有意に延長し、重篤な有害事象の発生率は低いことが示された。米国テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのJames C. Yao氏ら試験グループが報告した。エベロリムスの進行性膵神経内分泌腫瘍についてはこれまで、二つの第2相試験で抗腫瘍活性が示されていた。NEJM誌2011年2月10日号掲載より。410例を1日1回エベロリムス10mg投与群もしくはプラセボに無作為化 試験は2007年7月~2009年5月の間、18ヵ国82施設から募った、過去12ヵ月以内に放射線学的進行が認められた低悪性度または中悪性度の膵神経内分泌腫瘍患者410例を、1日1回エベロリムス10mg(207例)またはプラセボ(203例)を投与する群に無作為に割り付け前向きに追跡した。両群とも治療継続のために最適な支持療法(BSC)が併用された。主要エンドポイントは、intention-to-treat解析による無増悪生存期間とした。試験中に放射線学的進行が認められた患者には治療割付を示すこととし、プラセボに割り付けられた患者にはオープンにエベロリムス投与の選択肢が示された。無増悪生存期間、エベロリムス群11.0ヵ月、プラセボ群4.6ヵ月 エベロリムス群の無増悪生存期間の中央値は11.0ヵ月、プラセボ群は4.6ヵ月だった。エベロリムス群の疾患進行または全死因死亡のハザード比は0.35(95%信頼区間:0.27~0.45、P

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市販の遺伝子検査が購入者に与える影響

消費者が直接購入できる、疾患リスクを評価する市販の全ゲノムプロファイリングをめぐって、米国Scripps Translational Science InstituteのCinnamon S. Bloss氏らが、購入使用者の心理面、行動面および臨床面に与える影響を調査した。市販全ゲノムプロファイリングの使用については論争の的となっており、消費者にもたらす影響はほとんど明らかになっていない。NEJM誌2011年2月10日号(オンライン版2011年1月12日号)掲載より。医療・技術関連会社勤務者対象にベースラインと追跡調査後の心理面などの変化を調査Bloss氏らは、Navigenics Health Compass(臨床上の妥当性、有用性は不明なNavigenics社が市販する検査ツールの一つ)を購入使用した人を対象に、リスクを精査した結果が、心理面、行動面ならびに臨床面に与える影響を調べた。被験者は、Health Compassを割引価格で購入した医療・技術関連会社の関係者を対象とした。検査後平均(±SD)5.6±2.4ヵ月後に、ベースラインと比較して、不安症状、脂肪摂取量、運動行動で変化したあらゆる点について報告してもらうこととし、また検査に起因するストレスや、検診の受診状況についても報告してもらった。登録された被験者3,639人のコホートのうち、追跡調査を完了したのは2,037人だった。主要解析の結果、ベースラインと追跡調査後で、不安症状(P=0.80)、脂肪摂取量(P=0.89)、運動行動(P=0.61)の変化に関して有意差は認められなかったが、副次解析において、検査に起因するストレスが、評価をしたすべての疾患の平均推定生涯リスクと相関していたことが判明した(β=0.117、P

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「iNPH診療による介護費用削減の研究」結果発表

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニーは8日、洛和会音羽病院正常圧水頭症センター所長 石川正恒氏と共同で『特発性正常圧水頭症(iNPH)』(以下、iNPH)診療における介護保険の削減額を試算したところ、対象患者100名の介護保険の利用額が支給限度額であった場合、削減額は1億4,762万円となり、有病率で試算すると5年間で約4,576億円削減の可能性を見込めることがわかったと報告した。iNPHは、頭蓋内に過剰に髄液がたまり、脳が圧迫を受けて歩行障害・認知症・尿失禁など様々な症状が出る病気だが、手術で改善する疾患として近年注目を浴びている。また、高齢者認知症の5%~10%がiNPHに関与し、少なくとも31万人が罹患の可能性があるとされている(同社、2009年8 月の「iNPH有病率に関する分析調査」による)。同社では、iNPH疾患の早期診断と治療が、患者や介護者の方々のQOL(Quality of Life)と負担軽減になるばかりでなく、経済的にも大きく寄与すると考え、今回の調査を実施したという。今回の調査は、前方視的多施設共同研究(SINPHONI:Study of Idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus On Neurological Improvement)の対象患者100名について、治療による介護度の改善によって5年間で介護保険費用をいくら削減することが可能かを試算したもの。iNPH診療後のモディファイド・ランキン・スケール(mRS)と要介護度区分を相関させ、iNPH診療における改善度による介護保険削減額を算出した結果、対象患者が介護保険支給限度額を利用した場合に治療費用を含めても5年間でおよそ4,576億2,200万円の削減が可能と推測することができたとのこと。また、介護保険の認定率が16%、受給率が82.3%、利用率が48%として、現時点で実質約300億円規模の介護保険の削減が可能であると予測するという。詳細はこちらへhttp://www.jnj.co.jp/jjmkk/press/2011/0208/index.html

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漢方の活用法をわかりやすく!「漢方体験.com」がオープン

イスクラ産業株式会社は15日、漢方を利用した人の漢方体験レビューが閲覧できるサイト「漢方体験.com(かんぽうたいけんドットコム)」(http://www.kanpo-taiken.com)のベータ版をオープンしたと発表した。漢方体験.comでは、新商品レビューなどを紹介する一般的な商品レビューサイトとは異なり、「冷え」「生理の悩み」など、8つのカテゴリー別に検索し、体験をユーザーの皆様同士で共有できる。 たとえば「冷えの症状」と言っても、その原因は、体質、生活習慣、そして季節や気候など、様々な要因が影響している場合も多く、個々に合った薬や生活面の改善点も様々である。同サイト上では、そういった十人十色な漢方体験をユーザーから投稿してもらい、今まで漢方になじみのない人にも、漢方についての情報や、漢方を活用した体のケア方法などの情報収集に役立ててもらえるサイトを目指すとのこと。さらに、実際に薬局・薬店でカウンセリングを希望する人のための店舗検索や、初めての人にもイメージがわきやすい動画付き店舗情報の他、同社のマスコット「ニーハオ・シンシン」がつぶやくツイッターとも連動し、よりリアルタイムな情報も発信している。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://prtimes.jp/data/corp/2886/fc3ace52e5ad0c7b4acee9ad511358c6.pdf

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4価HPVワクチンは男性にも有効

 ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に対するHPVワクチン接種は、男性に対しても有効で、外性器病変の予防に有効であることが示された。米国H. Lee Moffittがんセンター研究所のAnna R. Giuliano氏らが16~26歳の男性を対象に、女性において持続感染や生殖器疾患に有効な4価ワクチンの有効性を検討した試験の結果による。少年および男性の生殖器HPV感染の割合は女性と同等だが、免疫応答に性差があり、自然感染では男性の方が抗体の力価は低い(HPV血清陽性:女性17.9%、男性7.9%)という。NEJM誌2011年2月3日号掲載より。18ヵ国・16~26歳男性4,065例を対象に無作為プラセボ対照二重盲検試験 Giuliano氏らは、少年および男性における、4価ワクチン(HPV 6型、11型、16型、18型に対して活性)の安全性と、外性器病変と肛門性器HPV感染の予防における有効性について、無作為プラセボ対照二重盲検試験を行った。試験には18ヵ国から、16~26歳の健康な4,065例が登録された。 主要有効性評価項目は、4価HPVワクチンが、HPV 6、11、16、18に関連する外性器病変の発生率低下を示すこととされた。有効性解析は、per-protocol集団(ワクチン接種を3回受けており登録時に関連HPVに非感染)と、intention-to-treat集団(ワクチンもしくはプラセボ接種を受けており、登録時のHPV感染状態は不問)を対象に行われた。intention-to-treat解析における外性器病変への有効率は60.2% intention-to-treat集団における外性器病変の発生率は、ワクチン群36例に対し、プラセボ群は89例で、ワクチン有効率は60.2%(95%信頼区間:40.8~73.8)だった。HPV 6、11、16、18に関連する外性器病変に対する有効率は65.5%(同:45.8~78.6)だった。 per-protocol集団においては、HPV 6、11、16、18に関連する外性器病変に対する有効率は90.4%(同:69.2~98.1)だった。 安全性に関しては、注射部位疼痛が、ワクチン接種群の方がプラセボ群に比べて有意に高頻度に認められた(57%対51%、P<0.001)。

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米国の営利ホスピス、低ケアニーズの患者の割合が高く、利用期間はより長期

米国のホスピス利用者について、営利ホスピスと非営利ホスピスとを比較したところ、営利ホスピスでは、ケアニーズのスキルが低い患者の割合が高く、また利用期間がより長期であることが明らかになった。米国ハーバード大学医学部付属ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター総合医療・プライマリ・ケア部門のMelissa W. Wachterman氏らが、約4,700人のホスピス利用者について調べ明らかにした。調査は、米国の公的高齢者向け医療保険メディケアが、ホスピスに対して定額日払い制の償還をしており、その“特別手当”が集中的ケアの必要がより少ない患者を選んだり、より長期の利用を生み出している可能性を調べるため、また営利、非営利ホスピスにより“特別手当”に関して違いがみられるかを調べるために行われた。JAMA誌2011年2月2日号で発表された。営利ホスピス145ヵ所、非営利ホスピス524ヵ所の利用終了者を調査研究グループは、2007年の全米のホスピスに関する調査「National Home and Hospice Care Survey」の結果を元に、ホスピスを利用し、そのサービスを終了した4,705人について調査を行った。主要評価項目は、利用者の診断名、営利・非営利種別にみたサービス提供の場所(自宅、ナーシングホーム、病院、ホスピス、その他)、利用期間、ホスピスの看護師などによる1日当たりの訪問回数とした。分析の対象となった営利ホスピスは145ヵ所で利用者数は1,087人、非営利ホスピスは524ヵ所で利用者数は3,618人だった。がん患者の割合は営利が34%、非営利が48%利用者の診断名についてみると、がんの診断を受けていたのは、非営利ホスピスが48.4%(95%信頼区間:45.0~51.8)だったのに対し、営利ホスピスは34.1%(同:29.9~38.6)と低率だった(補正後p

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米国高齢リウマチ患者、DMARDs服用率は63%

米国の公的高齢者向け医療保険メディケアのマネジドケア・プラン加入者で、抗リウマチ薬DMARDsを服用しているのは、リウマチの診断を受けた人の63%であることが明らかにされた。服用率は、性別や人種、社会経済的状況、加入する保険プランによって異なることも明らかにされた。これまでに発表されたDMARDs服用率に関するデータは、社会経済状況が低い層や、単一の保険プラン加入者のみに関するもので、服用率は30~52%程度と報告されていた。米国スタンフォード大学のGabriela Schmajuk氏らは、リウマチ患者全体の実態を把握すべく、2005年に導入され、米国医療保険プランのほとんどが加入し、治療やサービスの質評価の指標として活用する「Healthcare Effectiveness Data and Information Set(HEDIS)」のデータを用いて分析を行い、JAMA誌2011年2月2日号で発表した。DMARDs服用率は年々増加の傾向、85歳以上は65~69歳より30ポイント低い研究グループは、65歳以上のメディケア・マネジドケアプラン加入者で、2005~2008年に関節リウマチの診断を2回以上受けた、9万3,143人について調査を行った。被験者の平均年齢は74歳で、うち75%が女性、82%が白人だった。DMARDs服用率は、2005年の59%から、2008年には67%に増加していた(傾向p<0.001)。全体(2005~2008年)では、DMARDs服用率は63%だった。服用率は年齢により差がみられ、高齢になるほど服用率は減少した。85歳以上では、65~69歳の人に比べ、補正後-30ポイント(95%信頼区間:-29~-32)だった(p<0.001)。男性は3ポイント、低所得者は6ポイント低いまた、男性は女性よりも服用率が-3ポイント(同:-5~-2、p<0.001)、黒人は白人よりも-4ポイント(同:-6~-2、p<0.001)、低所得者は非低所得者よりも-6ポイント(同:-8~-5、p<0.001)、郵便番号を基準にした社会経済状況(5段階に分類)が低層の人は高層の人よりも-4ポイント(同:-6~2、p<0.001)、また加入保険プランが営利の入は非営利の人よりも-4ポイント(同:-7~0、p<0.001)それぞれ低かった。地理的傾向では、太平洋沿岸地域と比べて大西洋中部沿岸地域が-7ポイント(同:-13~-2、p<0.001)、大西洋南部沿岸地域が-11ポイント(同:-20~-3、p<0.001)と低かった。被験者が加入する保険プラン(245プラン)別に分析した結果では、服用率が16~87%と大きなばらつきが認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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脂質モニタリングによる服薬不履行の検出

コレステロール値のモニタリングは、プラバスタチン(商品名:メバロチンなど)治療における完全服薬不履行(complete non-adherence)の検出にある程度は有効だが、部分的服薬不履行(partial non-adherence)の検出能は劣ることが、オーストラリア・シドニー大学のKaty J L Bell氏らの検討で示された。脂質低下薬の服薬遵守(adherence)には患者間にばらつきがみられる。ガイドラインでは、コレステロール値をモニターすることで服薬不履行を評価するよう勧告しているが、脂質モニタリングによる服薬不履行の検出能は不明だという。BMJ誌2011年1月29日号(オンライン版2011年1月21日号)掲載の報告。LIPID試験のデータを用いた解析研究グループは、脂質低下薬治療の服薬不履行の検出におけるコレステロール値モニタリングの正確度(accuracy)を評価するために、服薬不履行に関する三つの評価項目(治療中止、プラセボ群への割り付け、処方薬の服薬率80%未満)を用いて、LIPID(long term intervention with pravastatin in ischaemic disease)試験のコレステロール値に関する2回目の解析を行った。オーストラリアとニュージーランドで実施されたLIPID試験は、冠動脈心疾患の既往歴を有し、総コレステロール値が4.0~7.0mmol/L(≒154.8~270.9mg/dL)の9,014人を対象にプラバスタチン40mg/日とプラセボの有用性を比較する無作為化試験。今回の解析の主要評価項目は、コレステロール値のモニタリングによる服薬不履行検出の感度、特異度、受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)、検査後確率であった。あくまで補助データとして考慮すべきコレステロール値のモニタリングにより、完全服薬不履行がある程度は検出可能であった。治療開始1年の時点で、完全服薬不履行者の50%(1,957/3,937人)、服薬遵守者の6%(253/3,944人)においてLDLコレステロール値が上昇しており、中等度の正確度が得られた(AUC:0.89)。一方、部分的服薬不履行の検出能は低かった。治療1年後にLDLコレステロール値の上昇がみられたのは、部分的服薬不履行者の16%(34/213人)、服薬遵守者では4%(155/3,585人)にすぎず、正確度は劣っていた(AUC:0.65)。服薬不履行の典型的な検査前確率が低(25%)~高(75%)の範囲であったのに対し、脂質測定後の検査後確率については不確定性が持続することが示された。すなわち、LDLコレステロール値に変化がみられない場合、完全服薬不履行者の検査後確率は67~95%で、部分的服薬不履行者では48~89%であった。LDLコレステロール値が1.0mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合は、完全服薬不履行者の検査後確率は7~40%、部分的服薬不履行者では21~71%であった。著者は、「LDLコレステロール値(あるいは総コレステロール値)のモニタリングは、プラバスタチン治療における完全服薬不履行あるいは服薬中止の検出に中等度の有効性を示したが、部分的服薬不履行の検出能は劣っていた」と結論し、「モニタリングの結果は、患者の服薬遵守状況を慎重に検討する際の補助データとしてのみ考慮すべきであろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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動脈硬化と心筋梗塞を促進する新たな遺伝子座を同定

冠動脈硬化発生の促進因子としてADAMTS7遺伝子座が、また冠動脈硬化存在下における心筋梗塞発症の促進因子としてABO遺伝子座が新たに同定された。アメリカ・ペンシルベニア大学循環器研究所のMuredach P Reilly氏らの検討による。冠動脈疾患(CAD)や心筋梗塞の遺伝子的構造が解明されれば、リスク予測の改善や治療法の開発によって大きなベネフィットが得られる可能性がある。最近のゲノムワイド関連解析(GWAS)では、これらの疾患に関連する新たな遺伝子座が同定されているが、遺伝的素因に関連するものは少ないという。Lancet誌2011年1月29日号(オンライン版2011年1月15日号)掲載の報告。二つのゲノムワイド関連解析で評価研究グループは、遺伝的因子と冠動脈硬化の発生、および冠動脈硬化の存在下における心筋梗塞の発症との関連を評価する二つのGWASを実施した。PennCathおよびMedStarに登録されたヨーロッパ系人種の患者を対象に、冠動脈造影上のCAD患者を同定した。遺伝子情報は、ヒトゲノムの遺伝子マーカー検査で遺伝子型が判明している患者から収集した。遺伝子マーカーと遺伝子型の関連を検出し、感受性遺伝子マップを作成した。CADの発症と関連する遺伝子座を同定するために、CAD患者1万2,393例と非CADの対照群7,383例について比較した。心筋梗塞を促進する遺伝子座の同定には、CADで心筋梗塞を発症した患者5,783例とCADで非心筋梗塞の患者3,644例を比較した。リスク評価の個別化や治療法の開発に役立つ可能性もCAD患者と非CAD患者の比較では、CADと有意な関連を示す新たな遺伝子座としてADAMTS7遺伝子が同定された。心筋梗塞を併発したCAD患者と非心筋梗塞CAD患者の比較では、ABO遺伝子座が心筋梗塞関連遺伝子として新たに同定された。ABO遺伝子と心筋梗塞の関連は、ABO式血液型O型の遺伝子型をコードするglycotransferase-deficient enzymeに起因していたが、この酵素は以前、心筋梗塞に対し保護的に作用することが示唆されていた。著者は、「特定の遺伝的素因が、冠動脈硬化の発生や、冠動脈硬化からの心筋梗塞の発症を促進していることが示唆された」と結論し、「これらの新規遺伝子座は、CADのリスク評価の個別化や新たな治療法の開発に役立つ可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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トロンボポエチン受容体作動薬eltrombopag、特発性血小板減少性紫斑病に有用

eltrombopagは、慢性免疫性血小板減少(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)の管理に有用であり、特に脾臓摘出などの治療に反応しなかった患者にベネフィットをもたらす可能性があることが、中国・香港中文大学のGregory Cheng氏らによる検討で明らかとなった。ITPでは、抗血小板抗体によって血小板の破壊が増進されるとともに巨核球からの血小板の放出が抑制されるため、軽度~重度の出血をきたす。eltrombopagは経口投与が可能な小分子の非ペプチド性トロンボポエチン受容体作動薬で、ITPのほかC型肝炎やがんの化学療法に伴う血小板減少の治療に使用されている。Lancet誌2011年1月29日号(オンライン版2010年8月24日号)掲載の報告。6ヵ月治療のプラセボ対照無作為化第III相試験研究グループは、ITPに対するeltrombopagとプラセボの効果、安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を実施した。対象は、6ヵ月間以上の治療を受け、ベースラインの血小板数が<30,000/μLの成人ITP患者。これらの患者が、各国の標準治療+eltrombopag 50mg/日を投与する群あるいは標準治療+プラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、6ヵ月間の治療が行われた。患者、医師、データの評価者には治療割り付け情報は知らされなかった。用量は治療への反応としての血小板数の変動に基づいて調節した。治療への反応(血小板数:5万~40万/μLと定義)は、最初の6週間は毎週1回、その後は少なくとも4週に1回評価した。主要評価項目は、上記の定義による治療への反応とし、intention-to-treat解析を行った。血小板数が増加、レスキュー治療や重度出血は減少2006年11月22日~2007年7月31日までに23ヵ国75施設から197例が登録され、eltrombopag群に135例が、プラセボ群には62例が割り付けられた。治療期間中に1回以上の治療への反応が確認された患者は、eltrombopag群が79%(106例)、プラセボ群は28%(17例)であり、オッズ比は8.2(95%信頼区間:3.59~18.73)と有意な差が認められた(p<0.0001)。併用された標準治療の減量が可能となったのは、eltrombopag群の59%(37例)に対しプラセボ群は32%(10例)であり、有意差がみられた(p=0.016)。治療期間中にレスキュー治療(用量の増量、新たな治療の追加、血小板輸血、脾臓摘出)を要した患者は、eltrombopag群が18%(24例)と、プラセボ群の40%(25例)に比べ有意に良好であった(p=0.001)。血栓塞栓イベントは、eltrombopag群の2%(3例)にみられたが、プラセボ群では認められなかった。ALT値の軽度上昇がeltrombopag群の7%(9例)、プラセボ群の3%(2例)に、総ビリルビン値の上昇がeltrombopag群の4%(5例)に認められた(プラセボ群は0%)。重度出血イベントは、eltrombopag群が<1%(1例)であったのに対し、プラセボ群は7%(4例)で発生した。著者は、「eltrombopagはITPの管理に有用であり、特に脾臓摘出などの治療に反応しなかった患者にベネフィットをもたらす可能性がある」と結論した上で、「これらのベネフィットを選択する場合は、eltrombopag治療に伴う潜在的なリスクとのバランスを十分に考慮して決めるべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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血液透析後のヘパリンロック、3回のうち1回はrt-PAを

血液透析患者の透析終了後に行われるいわゆるヘパリンロックについて、週3回のうち1回は、遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)に代えて行う方が、ブラッドアクセスとして使用する中心静脈カテーテルの故障(機能不全)や菌血症のリスクを有意に減少することが明らかになった。カナダ・カルガリー大学のBrenda R. Hemmelgarn氏ら「PreCLOT」研究グループが、多施設共同無作為化盲検比較試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2011年1月27日号で発表された。これまで、ヘパリンロックなど各種カテーテルロック療法の効果については明らかにされていなかった。ヘパリンロックのみ群と、3回のうち1回はrt-PAロックを行う群に割り付け追跡PreCLOT(Prevention of Dialysis Catheter Lumen Occlusion with rt-PA versus Heparin)研究グループは、カナダの11ヵ所から、長期にわたって週3回の血液透析を受けている被験者225例を、被験者がブラッドアクセスを新規のものとした際に、週3回ともヘパリンロック(5000 U/mL)を行う群(ヘパリン群115例)と、週3回のうち2回目はrt-PAロック(各カテーテル内腔に 1 mg)を行う(1、3回目はヘパリン)群(rt-PA群110例)とに、無作為に割り付け追跡した。主要アウトカムはカテーテルの機能不全発生、副次アウトカムはカテーテル関連の菌血症発生とした。治療追跡期間は6ヵ月間。治療割り付けの情報については、患者、試験、試験スタッフともに知らされなかった。ヘパリンのみだと、カテーテル機能不全発生はほぼ2倍、菌血症発生はほぼ3倍高い結果、カテーテルの故障発生は、ヘパリン群は34.8%(40/115例)であったのに対し、rt-PA群は20.0%(22/110例)であり、rt-PAを週1回用いた場合に比べてヘパリンのみだった場合のリスクはほぼ2倍高かった(ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.13~3.22、P=0.02)。カテーテル関連の菌血症発生は、ヘパリン群は13.0%(15/115例)であったのに対し、rt-PA群は4.5%(5/110例)であった。これは、それぞれ1.37例/1,000患者・日、0.40例/1,000患者・日の発生に相当する(P=0.02)。全原因菌血症発生リスクは、ヘパリン群の方がrt-PA群に比べほぼ3倍高かった(ハザード比:3.30、95%信頼区間:1.18~9.22、P=0.02)。出血を含む有害事象リスクは、両群で同等だった。(武藤まき:医療ライター)

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急性虚血性脳卒中の死亡率、脳卒中治療センターの方が一般病院より低率

急性虚血性脳卒中患者の死亡率は、脳卒中治療センターの指定を受けた病院の方が、一般病院よりわずかではあるが低率であること、また、センターの方が血栓溶解療法の施行頻度が高いことが米国で行われた調査の結果、明らかになった。米国Duke Clinical Research InstituteのYing Xian氏らが、ニューヨーク州で急性虚血性脳卒中の治療を受けた3万人超について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月26日号で発表した。米国では、2000年にBrain Attack Coalition(BAC)が脳卒中治療センターの設置を勧告し、現在ではその数は全米約5,000ヵ所の急性期病院のうち約700ヵ所に上るという。しかし、これまでに脳卒中治療センターの脳卒中患者のアウトカムへの影響についてはほとんど調査がされていなかった。急性虚血性脳卒中3万人超の30日死亡率を比較Xian氏らは2005~2006年にかけて、急性虚血性脳卒中を発症し、脳卒中治療センター指定を受けた病院またはそれ以外の病院で治療を受けた、合わせて3万947人について、2007年まで1年間追跡し、その死亡率を比較した。主要アウトカムは、30日死亡率だった。また同氏らは、消化管出血や急性心筋梗塞で入院した患者、それぞれ3万9,409人と4万24人についても、脳卒中治療センターとそれ以外の病院でのアウトカムを比較した。患者の医療機関への選択バイアスや交絡因子については、自宅から脳卒中治療センターへの距離といずれかの病院への距離の差を操作変数として用いて補正を行った。脳卒中治療センターの30日死亡率、一般病院より2.5%ポイント低率被験者のうち、脳卒中治療センターで治療を受けた人は、49.4%にあたる1万5,297人だった。脳卒中治療センターで治療を受けた患者の30日・全死因死亡率は10.1%と、それ以外の病院で治療を受けた患者の同死亡率12.5%より、有意に低率だった(補正後格差:-2.5%、95%信頼区間:-3.6~-1.4、p<0.001)。1日、7日、1年死亡率についても、いずれも脳卒中治療センターで有意に低率だった。また血栓溶解療法の実施率は、脳卒中治療センターが4.8%と、一般病院の1.7%に比べ有意に高率だった(補正後格差:2.2、同:1.6~2.8、p<0.001)。両群での死亡率の格差(30日・全死因死亡率)は、消化管出血や急性心筋梗塞では認められなかった。消化管出血についての死亡率はセンター5.0%、一般病院5.8%、補正後格差0.3(95%信頼区間:-0.5~1.0、p=0.50)、急性心筋梗塞は、10.5%対12.7%、補正後格差0.1(同:-0.9~1.1、p=0.83)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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CABG合併症としての脳卒中発症、30年間で年率約4.7%の減少傾向に

米国クリーブランド・クリニックにおける、冠状動脈バイパス術(CABG)の合併症としての脳卒中発症率は、過去30年間で、年率約4.7%の減少傾向にあることが報告された。また患者のリスクプロフィールが厳しくなっているにもかかわらず、そうした脳卒中の発症は術中よりも術後の方が半数以上を占め(58%がCABG後)ていたことも明らかにされた。同クリニックのKhaldoun G. Tarakji氏らが、過去30年間に同クリニックでCABGを受けた4万5,000人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月26日号で発表した。患者の共存症は増加したものの、脳卒中発症率は減少研究グループは、CABG後の脳卒中の経時的傾向、脳卒中のリスク因子の特定および長期アウトカムとの関連を目的に、1982~2009年に、クリーブランド・クリニックでCABGを受けた4万5,432人(平均年齢63歳、SD:10)について前向きに追跡し、術中・術後の脳卒中発症率とそのタイミング、アウトカムなどについて解析した。脳卒中後の合併症と生存については、傾向スコア適合群との比較で検討がされた。なお検討されたCABGは、4つの異なる術式(off-pump:体外循環非使用、on-pump with beating heart:体外循環使用心拍動下、on-pump with arrested heart:体外循環使用心停止下、on-pump with hypothermic circulatory arrest:体外循環使用超低体温循環停止下)を含んだ。その結果、CABGの術中・術後に脳卒中を発症したのは、全体の1.6%(95%信頼区間:1.4~1.7)にあたる705人だった。CABGを受ける患者は脳卒中歴があったり、高血圧症、糖尿病といった共存症が増えているにもかかわらず、CABG術中・術後の脳卒中発症率は、1988年の2.6%(95%信頼区間:1.9~3.4)を最高に、年率4.69%(同:4.68~4.70、p=0.04)の割合で減少傾向にあった。術後40時間が術後脳卒中発症のピークCABG術中に脳卒中を発症したのは279人(40%)、術後は409人(58%)だった。術後の脳卒中発症は、術後40時間が最も多く、6日後までは0.055%/日の割合で低下した。術中・術後の脳卒中発症に関するリスク因子は、加齢と動脈硬化症だった。CABGの種類別で見てみると、術中脳卒中発症率が最も低かったのは、体外循環非使用CABG(0.14%)と体外循環使用心拍動下CABG(0%)で、続いて体外循環使用心停止下CABG(0.50%)、最も高率だったのは体外循環使用超低体温循環停止下CABG(5.3%)だった。脳卒中を発症した人の、術後追跡期間中(平均11年、SD:8.6)の死亡率や集中治療室入室時間、術後入院日数といったアウトカムは、そうでない人に比べ悪かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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頭痛は、脳病変や認知機能障害と関連するか?

重度頭痛と大脳白質病変の大きさには関連があるが、脳梗塞との相関は前兆を伴う片頭痛に限られることが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)神経疫学のTobias Kurth氏らの検討で明らかとなった。これまでに、片頭痛は大脳白質病変の総容積と関連することが症例対照研究や地域住民ベースの調査で示されている。さらに、前兆を伴う片頭痛は臨床的または潜在的な脳梗塞と相関するとの知見もあるという。BMJ誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月18日号)掲載の報告。780人を対象とした地域住民ベースの横断的研究研究グループは、フランス西部のナント市で実施された地域住民ベースの横断的研究である「Epidemiology of Vascular Ageing study」において、頭痛一般あるいは特定の頭痛と大脳白質病変、脳梗塞、認知機能との関連について評価を行った。対象は、頭痛に関する詳細なデータが得られた780人(平均年齢69歳、58.5%が女性)。頭痛の評価は、「International Classification of Headache Disorders」改訂第2版に基づいて行った。MRIで大脳白質病変の大きさおよび梗塞の種類を決定し、認知機能はミニメンタルステート検査(MMSE)など複数の試験で評価した。認知機能障害との関連は認めず163人(20.9%)が重度頭痛(片頭痛116人、非片頭痛47人)の既往歴を報告した。片頭痛のうち前兆症状を伴うと答えたのは17人(14.7%)であった。大脳白質病変総容積を三分位数に分けて解析したところ、総容積が下位3分の1で重度頭痛歴のない集団に比べ、上位3分の1の集団では重度頭痛歴の補正オッズ比が2.0(95%信頼区間:1.3~3.1、傾向検定:p=0.002)であった。前兆を伴う片頭痛のみが、大脳深部白質病変の大きさ(総容積下位3分の1に対する上位3分の1の集団のオッズ比:12.4、95%信頼区間:1.6~99.4、傾向検定:p=0.005)および脳梗塞(同:3.4、1.2~9.3)と強い相関を示した。梗塞の大部分は小脳や脳幹以外の部位に認められた。認知機能が、頭痛や脳病変の有無と関連することを示すエビデンスは確認できなかった。著者は、「重度頭痛歴と大脳白質病変の大きさには相関関係がみられたが、脳梗塞との関連は前兆を伴う片頭痛に限られた。頭痛単独あるいは頭痛と大脳白質病変の併存が認知機能障害と関連することを示唆するエビデンスは得られなかった」とまとめている。(菅野守:医学ライター)

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早期乳がんに対する術後エキセメスタン、継続投与と逐次投与のいずれが有効か?

第3世代アロマターゼ阻害薬(AI)エキセメスタン(商品名:アロマシン)の5年継続投与と、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスなど)→エキセメスタン逐次投与は、いずれも早期乳がんの術後補助療法として有用な治療選択肢となる可能性があることが、オランダLeiden大学医療センターのCornelis J H van de Velde氏らが行ったTEAM(Tamoxifen Exemestane Adjuvant Multinational)試験で示唆された。同じく第3世代のAIであるアナストロゾール(同:アリミデックス)およびレトロゾール(同:フェマーラ)は、継続投与、逐次投与ともにタモキシフェン継続投与に比べ無病生存率(DFS)を上昇させるが、全生存率(OS)は改善しないことが示されている。TEAM試験は当初、エキセメスタンとタモキシフェンの単剤の比較試験として開始されたが、もう一つのランドマーク試験であるIES試験の結果(逐次投与群のエストロゲン受容体陽性/不明例でDFS、OSが有意に改善)を受けてプロトコールが変更されたという。Lancet誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月18日号)掲載の報告。日本の30施設が参加した継続投与と逐次投与の国際的第III相試験TEAM試験の研究グループは、エキセメスタン継続投与とタモキシフェン→エキセメスタン逐次投与の長期的有用性を比較する多施設共同無作為化第III相試験を実施した。9ヵ国566施設(ヨーロッパ357施設、アメリカ179施設、日本30施設)から、閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん女性(年齢中央値64歳、範囲:35~96歳)が登録され、エキセメスタン25mg/日(経口)を5年間投与する群(継続投与群)あるいはタモキシフェン20mg/日(経口)を2.5~3年間投与後エキセメスタン25mg/日に切り替えて合計5年間投与する群(逐次投与群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、治療5年の時点におけるDFSとし、intention-to-treat(ITT)解析を行った。DFSは同等、有害事象プロフィールは異なる9,779例が登録され、逐次投与群に4,875例が、継続投与群には4,904例が割り付けられた。このうち、逐次投与群の4,868例および継続投与群の4,898例がITT解析の対象となった。治療5年の時点で逐次投与群の4,154例、継続投与群の4,186例が無病生存しており、DFSはそれぞれ85%(4,154/4,868例)、86%(4,186/4,898例)、ハザード比は0.97(95%信頼区間:0.88~1.08)と両群で同等であった(p=0.60)。婦人科的症状は、逐次投与群が20%(942/4,814例)と、継続投与群の11%(523/4,852例)に比べ高頻度であった。静脈血栓症[2%(99例) vs. 1%(47例)、p<0.0001]や子宮内膜の異常[4%(191例) vs. 1%(19例)、p<0.0001]も、逐次投与群で多くみられた。継続投与群で多い有害事象としては、筋骨格系障害[44%(2,133/4,814例) vs. 50%(2,448/4,852例)]、高血圧[5%(219例) vs. 6%(303例)、p=0.0003]、脂質異常症[3%(136例) vs. 5%(230例)、p<0.0001]などが認められた。これらの知見に基づき、著者は「エキセメスタン単独の5年継続投与およびタモキシフェン2.5~3年→エキセメスタン2~2.5年の逐次投与は、いずれも閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がんに対する適切な治療選択肢となる可能性がある」と結論し、「ニつの治療アプローチは有害事象プロフィールが異なるため、治療法を決める際はこの点を十分に考慮することが重要であろう。今後、TEAM試験と他のアロマターゼ阻害薬の臨床試験の成果に関するトランスレーショナル・リサーチにより、特定の治療戦略のベネフィットが最も大きい患者を同定することが可能になるだろう」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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あらゆるNSAID処方時に心血管リスクへの考慮が必要

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の心血管系に対する安全性について、可能な限りのデータを集めて行われたネットワーク・メタ解析の結果、エビデンスを示すデータはほとんどなかったとの報告が、スウェーデン・ベルン大学社会・予防医学研究所のSven Trelle氏らにより示された。2004年にrofecoxibが心血管イベントリスク増大から販売中止となって以後、選択的COX-2阻害薬そしてNSAID全体へと心血管リスクについての懸念が広がったこと、最近ではリスク・ベネフィットが不十分として米国FDAがetoricoxibを承認しなかったなどの動きを受けて本解析を行ったというTrelle氏は、「どんなNSAIDの処方を書く時も心血管リスクを考慮する必要がある」とまとめている。BMJ誌2011年1月15日号(オンライン版2011年1月11日号)掲載の報告より。NSAIDに関する大規模無作為化試験31試験のデータを解析 試験は、最終更新2009年7月の可能な限り入手できたデータを集めて行われた。収集先は、文献データベース、会報、登録臨床試験、FDAのWEBサイト、関連論文の文献リスト、Science Citation Indexからの引用関連論文報告で、セレコキシブ(商品名:セレコックス)とlumiracoxibの製造元からは追記データが提供された。 解析対象となったのは、NSAID同士またはNSAIDとプラセボを比較検証した大規模な無作為化試験すべてで、2人の研究者各々によって試験適格についての判定が行われた。 主要転帰は心筋梗塞、副次転帰は脳卒中、心血管系疾患による死亡、全死因死亡などで、2人の研究者各々によってデータ抽出が行われた。 31試験、患者11万6,429例、追跡11万5,000人・年が適格となり解析が行われた。患者は、ナプロキセン(商品名:ナイキサン)、イブプロフェン(同:ブルフェン)、ジクロフェナク(同:ボルタレンなど)、セレコキシブ、etoricoxib、rofecoxib、lumiracoxibまたはプラセボに割り付けられていた。NSAIDの心血管系に対する安全を示すエビデンスはほとんどない プラセボとの比較で心筋梗塞との関連性が最も高かったのはrofecoxib(対プラセボ比:2.12、95%信頼区間:1.26~3.56)であり、次いでlumiracoxib(同:2.00、0.71~6.21)であった。 脳卒中についてプラセボとの比較で関連性が最も高かったのはイブプロフェン(同:3.36、1.00~11.6)であり、次いでジクロフェナク(同:2.86、1.09~8.36)であった。 心血管系疾患による死亡についてプラセボとの比較で関連性が最も高かったのはetoricoxib(同:4.07、1.23~15.7)であり、次いでジクロフェナク(同:3.98、1.48~12.7)であった。 Trelle氏は「確定ではないが、調査を行ったNSAIDについて心血管系に対する安全を示すエビデンスはほとんどなかった。ナプロキセンの有害性は最も少ないようであった」と結論し、「どんなNSAIDの処方を書く時も心血管リスクを考慮する必要がある」とまとめている。

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