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APOC3遺伝子の突然変異、冠動脈疾患リスクの低下と関連/NEJM

 血漿トリグリセライド(TG)値の低下に、アポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子(APOC3遺伝子)の機能欠失型変異が関与しており、この突然変異のキャリアでは冠動脈疾患のリスクが低いことが明らかにされた。米国・マサチューセッツ総合病院のSekar Kathiresan氏らThe TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project(米国立心臓・肺・血液研究所による)が報告した。これまでにTG値は遺伝性のもので、冠動脈疾患リスクと関連していることは判明していた。NEJM誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告より。3,734人、1万8,666個の遺伝子を解析 研究グループは、Exome Sequencing Projectの参加者でヨーロッパ系またはアフリカ系の3,734人、1万8,666個の遺伝子領域の蛋白コードを解析し、表現型に多大な影響を有するまれな突然変異の存在の特定と、その突然変異が血漿TG値に関与しているかを調べた。 また同関連が、冠動脈疾患リスクと関連しているかについて、11万970人を対象とした評価も行った。変異キャリアはノンキャリアと比べて冠動脈疾患リスクは40%低下APOC3 結果、APOC3遺伝子エンコードにおけるまれな突然変異の集積が、血中TG値の低下と関連していることが判明した。突然変異は4つが特定された。3つは機能欠失型変異で、1つはナンセンス変異(R19X)であり、残る2つはスプライス部位突然変異(IVS2+1G→AとIVS3+1G→T)であった。なおもう1つの突然変異は、ミスセンス変異(A43T)であった。 また、約150人に1人の割合で4つのうちの1つの突然変異を有するヘテロ接合キャリアが存在することが明らかになった。 キャリアのTG値は、ノンキャリアの人と比べて39%低く(p<1×10-20)、同様にAPOC3値は46%低かった(p=8×10-10)。 すべてのAPOC3変異キャリア(498人)は、ノンキャリア(11万472人)と比べて、冠動脈疾患リスクは40%低かった(オッズ比:0.60、95%信頼区間:0.47~0.75、p=4×10-6)。

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炎症性腸疾患へのTNF-α阻害薬、がんリスクは増大せず/JAMA

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対するTNF-α阻害薬投与は、がんリスク増大と関連していないことが、デンマーク・血清研究所(Statens Serum Institut)のNynne Nyboe Andersen氏らによる同国レジストリ患者対象コホート研究の結果、報告された。追跡期間中央値3.7年で、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群の補正後がん発症率比は1.07であったという。TNF-α阻害薬治療後のがんリスクを含む有害事象の検討については、コクランレビューとネットワークメタ解析の結果、全国レジストリの大規模データベースに基づく評価が適切であるとの結論が示されていた。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。デンマークIBD患者5万6,146例を対象にTNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較 被験者は、1999~2012年のデンマーク全国レジストリで15歳以上のIBD患者であると特定された5万6,146例だった。TNF-α阻害薬曝露群は4,553例(8.1%)であった。同曝露群のIBDサブタイプはクローン病54%、潰瘍性大腸炎46%。診断時年齢は33.7歳だった。 がん症例については、デンマークがんレジストリで特定した。 主要評価項目は、TNF-α阻害薬曝露群と非曝露群を比較したがん発症率比(RR)で、ポアソン回帰分析を用いて、年齢、暦年、罹患期間、傾向スコア、その他のIBD薬使用について補正後に評価した。追跡期間中央値3.7年、曝露群の発症率比は1.07 総計48万9,433人年(追跡期間中央値9.3年、四分位範囲[IQR]:4.2~14.0年)において、がんを発症したのは、曝露群81/4,553例(1.8%)(追跡期間中央値3.7年、IQR:1.8~6.0年)、非曝露群3,465/5万1,593例(6.7%)で、補正後RRは1.07(95%信頼区間[CI]:0.85~1.36)だった。 がんリスクは、初回TNF-α阻害薬曝露以降の時間経過により分析した結果においても有意な増大は認められなかった。すなわち、1年未満1.10(95%CI:0.67~1.81、1~2年未満1.22(同:0.77~1.93)、2~5年未満0.82(同:0.54~1.24)、5年以上1.33(同:0.88~2.03)だった。 また、TNF-α阻害薬投与量別の解析でも有意なリスク増大はみられなかった。RRは1~3剤1.02(95%CI:0.71~1.47)、4~7剤0.89(同:0.55~1.42)、8剤以上1.29(同:0.90~1.85)だった。 完全補正後モデルの分析の結果、特定部位のがんが有意に多いということも認められなかった。 なお研究グループは、「今回の追跡期間中央値3.7年の検討においては、TNF-α阻害薬の使用とがんリスクの増大の関連はみられなかったが、より長期間の曝露とリスク増大との関連を除外することはできない」とまとめている。

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肺塞栓症への血栓溶解療法、全死因死亡は減少、大出血は増大/JAMA

 肺塞栓症に対する血栓溶解療法について、全死因死亡は減少するが、大出血および頭蓋内出血(ICH)は増大することが、メタ解析の結果、明らかにされた。米国・マウントサイナイヘルスシステムの聖ルーク-ルーズベルトがん病院のSaurav Chatterjee氏らが、16試験2,115例のデータを分析し報告した。一部の肺塞栓症患者に対して血栓溶解療法は有益である可能性が示されていたが、これまで行われた従来抗凝固療法と比較した生存の改善に関する解析は、統計的検出力が不十分で関連性は確認されていなかった。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。16試験2,115例について血栓溶解療法vs. 抗凝固療法を評価 研究グループは、急性肺塞栓症患者を対象に、抗凝固療法と比較した血栓溶解療法の死亡率における有益性および出血リスクを調べた。被験者には、中リスクの肺塞栓症(右室不全を有するが血行動態安定)患者も対象に含めた。 血栓溶解療法と抗凝固療法を比較した無作為化試験を適格条件に、PubMed、Cochrane Library、EMBASE、EBSCO、Web of Science、CINAHLの各データベースを検索(各発刊~2014年4月10日まで)。16試験2,115例を特定した。そのうち8試験1,775例は中リスク肺塞栓症(血行動態安定で右室不全を有する)患者だった。 2名のレビュワーがそれぞれ試験データから患者数、患者特性、追跡期間、アウトカムのデータを抽出し検討した。 主要アウトカムは、全死因死亡と大出血で、副次アウトカムは、肺塞栓症再発およびICHのリスクとした。固定効果モデルを用いて、Peto法によりオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を求め関連を評価した。血栓溶解療法、全死因死亡は減少、大出血は増大 結果、血栓溶解療法は、全死因死亡を有意に減少した。血栓溶解療法群の全死因死亡率は2.17%(23/1,061例)、抗凝固療法群は3.89%(41/1,054例)で、ORは0.53(95%CI:0.32~0.88)、治療必要数(NNT)は59例であった。 一方で大出血リスクは、血栓溶解療法群での有意な上昇が認められた。同群の大出血発生率は9.24%(98/1,061例)、抗凝固療法群は3.42%(36/1,054例)で、ORは2.73(95%CI:1.91~3.91)、有害必要数(NNH)は18例だった。ただし大出血リスクは、65歳以下の患者では有意な増大はみられなかった(OR:1.25、95%CI:0.50~3.14)。 また、血栓溶解療法群ではICH増大との有意な関連が認められた。発生率は1.46%(15/1,024例)vs. 0.19%(2/1,019例)、ORは4.63(95%CI:1.78~12.04)、NNHは78例だった。 肺塞栓症の再発は、血栓溶解療法群において有意な減少が認められた。1.17%(12/1,024例)vs. 3.04%(31/1,019例)、ORは0.40(95%CI:0.22~0.74)、NNTは54例だった。 中リスク肺塞栓患者の分析においても、全死因死亡は減少(OR:0.48、95%CI:0.25~0.92)、一方で大出血イベントについては増大が認められた(同:3.19、2.07~4.92)。 なお著者は今回の結果について、右室不全を有さない血行動態安定の肺塞栓症患者には適用できない可能性があるとしている。

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にきび瘢痕の改善にニードリングデバイスが有効

 米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らは、にきび瘢痕に対するニードリングデバイス治療の有効性を評価する無作為化対照試験を行った。3回の治療後、対照群と比較して、にきび瘢痕の出現が改善したことを報告した。痛みの報告も最小限であった。ニードリングデバイスは、皮膚の表面を転がしながら用いるローラー状の針装置で、針がネオコラーゲン(neocollagenesis)に達することでにきび瘢痕の出現を減らすことが可能であるという。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年6月11日号の掲載報告。 検討は都市部の大学施設にて2009年11月30日~2010年7月27日に、単施設評価者盲検化1対1のスプリットフェイスでのプラセボ対照並行群間無作為化試験にて行われた。 顔の左右ににきび瘢痕がある20例の健康成人(20~65歳)を登録した。被験者の顔の片側を無作為に、ニードリング治療を行うよう割り付け、2週間ごとに3回、治療を行った。 主要評価項目は、2名の盲検化された皮膚科医が別々に評価した患者のにきび瘢痕であった。評価は、ベースライン時、追跡3ヵ月、6ヵ月時点に撮影された標準デジタル写真を入手し、定量的な総合瘢痕等級分類システムに基づき行った。 主な結果は以下のとおり。・20例のうち15例が本試験を完了した。有害事象で中断した被験者はいなかった。・追跡6ヵ月時点で、ベースライン時と比べて治療群は、平均にきび瘢痕数が有意に減少した(平均差:3.4、95%信頼区間[CI]、0.2~6.5、p=0.03)。・3ヵ月時点では、はっきりとした有意差は認められていなかった(同:2.4、-0.01~4.8、p=0.052)。・一方、対照群では3ヵ月時点(同:1.0、-1.4~3.4、p=0.96)、6ヵ月時点(同:0.4、-2.3~3.5、p>0.99)ともに有意な変化は認められなかった。・ニードリングデバイスについて、とくに痛みは報告されなかった。平均的な疼痛評価は10等級のうち1.08であった。・被験者のうち、治療を受けた側の瘢痕出現について全体的な改善が41%で認められた。・有害事象は報告されなかった。

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【JSMO見どころまとめ(1)】トランスレーショナルリサーチ

 2014年7月17日(木)から3日間にわたり、福岡国際会議場ほかにて、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、先月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)による講演「トランスレーショナルリサーチ」について簡潔にまとめる。【まとめ】・近年、非小細胞肺がんにおいてEGFR遺伝子をはじめ、さまざまなドライバー遺伝子が同定されているが、EGFR遺伝子変異を除く多くのドライバー遺伝子の頻度は5%未満であり、これら希少肺がんに対する治療薬開発は困難となっている。・トランスレーショナルリサーチとは、新薬を開発し、臨床での試用経験から、その有効性・安全性を確認して日常診療へ応用していくまでの一連の研究過程をいい、橋渡し研究ともいう。・日本は、トランスレーショナルリサーチが遅く、弱点となっている。これは、研究機関だけの問題ではなく、産官学が一体となって取り組んでいく必要がある。・後藤氏らは、厚生労働科学研究費を基に、わが国初となる全国規模の遺伝子診断ネットワーク(LC-SCRUM-Japan)を組織し、2013年2月より希少肺がんの遺伝子スクリーニングを開始している。 本学術集会では、LC-SCRUM-Japanの詳細情報や、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)との合同シンポジウムを通し、日本と欧州における肺がんを中心としたトランスレーショナルリサーチの現状について議論していく。〈 トランスレーショナルリサーチに関する注目演題 〉・ESMO/JSMO Joint Symposium テーマ:“Translational Research” 日時:2014年7月17日(木)13:20~15:20  会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)・日本臨床腫瘍学会/ 日本がん分子標的治療学会/ 抗悪性腫瘍フォーラム/ 日本製薬医学会合同シンポジウム2 テーマ:“創薬における必要な橋渡し研究” 日時:2014年7月17日(木)15:20~17:20  会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)【第12回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2014年7月17日(木)~19日(土)■会場:福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センター■会長:田村 和夫氏(福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学 教授)■テーマ:包括的にがん医療を考える~橋渡し研究、がん薬物療法からサバイバーシップまで~第12回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページ

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統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか

 統合失調症患者にみられる過度な喫煙行動について、米国・ミシガン大学のMika Hirasawa-Fujita氏らによる検討の結果、ミューオピオイド受容体(mu opioid receptor)機能欠損の一塩基遺伝子多型(SNP)が、統合失調症患者における喫煙を増加していることを明らかにした。また同女性患者では、ドパミンD2受容体の変異も喫煙行動の増大に関与していた。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年6月20日号の掲載報告。 精神に障害がある人では過度な喫煙がみられるが、その理由については明らかではない。研究グループは、内因性オピオイドやドパミンの作用機序が喫煙行動の強化に関与しているとして、ミューオピオイド受容体(OPRM1)A118G(rs1799971)遺伝子型、ドパミンD2受容体(DRD2)Taq1A(rs1800497)遺伝子型、および性差について検討した。喫煙者および非喫煙者の統合失調症および双極性障害患者を募り、遺伝子型分析を行った。被験者を3群に分類(現在喫煙、過去に喫煙歴あり、喫煙歴なし)し、1日当たりの喫煙本数を主要喫煙パラメーターとして評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は統合失調症177例、双極性障害113例であった。・統合失調症患者では、喫煙率は、予想どおり女性よりも男性で高かったが、1日の喫煙量は女性のほうが多かった(p<0.01)。・統合失調症でOPRM1 *G遺伝子型の患者は、AAアレル遺伝子キャリアの患者よりも、1日当たりの喫煙量が多かった(p<0.05)。・DRD2 Taq1A遺伝子型についての差は、1日当たりの喫煙本数に影響していなかった。しかし、GGホモ接合DRD2受容体を有している統合失調症の女性では、*A男性喫煙者よりも、喫煙量が多かった(p<0.05)。・双極性障害患者では、喫煙状態についてOPRM1、DRD2 Taq1A遺伝子型の差はみられなかった。・また双極性障害患者では、性差による喫煙行動の違いもみられなかった。・本検討により、統合失調症患者における喫煙行動の増大に、ミューオピオイド受容体機能欠損のSNPが関与していることが示唆された。・また、DRD2受容体機能の変異も、女性の統合失調症患者において喫煙行動を増大していることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は  担当者へのご意見箱はこちら

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HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与は有効か?(解説:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(220)より-

結核は依然としてHIV感染患者における重要な日和見疾患である。今までにsystematic reviewや後ろ向き観察研究などで、イソニアジド単独、あるいはイソニアジド+抗HIV療法によって結核発病のリスクを低減できることが示されてきた。WHOが途上国に向けて発信したガイドラインでは、HIV感染患者全例にイソニアジドの予防投与を行うことを推奨している。 しかしながら、抗HIV療法を施行している患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性について、強いエビデンスは存在しなかった。 本研究は、抗HIV療法施行中のHIV感染患者に対するイソニアジドの結核予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。エイズ、結核罹患率の高い南アフリカケープタウン近郊のカエリチャで実施された。 被験者を(1)イソニアジドを12ヵ月間予防投与する群(662例)と、(2)プラセボを投与する群(667例)に無作為に割り付けし、3,227人年が解析対象となった。スクリーニングの喀痰抗酸菌培養検査で判明した結核例は除外した。プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。 その結果、イソニアジド群はプラセボ群と比較して37%結核発症率を低下させた(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.41~0.94)。Grade 3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断した患者数は、2群間で有意差を認めなかった(リスク比:1.9、95%信頼区間:0.90~4.09)。また、イソニアジド予防投与の効果が、ツベルクリン反応検査あるいはインターフェロンγ遊離試験が陽性の患者に限定されるというエビデンスは観察されなかった。 これらの結果を踏まえて、著者らは「結核発生リスクの高い地域では、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離試験の結果にかかわらず、抗HIV療法を受けている患者全員に対してイソニアジドの予防投与を推奨すべきである」と提言している。 日本は先進国の中では結核罹患率の高い国ではあるが、アフリカ諸国などと比較すると低く、本試験の結果をそのまま日本での診療に当てはめることはできない。 しかしながら、米国のガイドラインでも潜在性結核感染を認めるHIV感染患者に対してはイソニアジドの投与を推奨しており、本邦でも潜在性結核感染と診断された場合には、イソニアジドの投与を検討してもよいかもしれない。ただし、イソニアジドの投与期間はガイドライン等によって異なり、議論の余地があると思われる。 HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与の有用性を検討したBOTUSA study1)では、主にツベルクリン反応陽性者において結核発症率の低下を示したが、本研究では、結核予防効果がツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験の結果に左右されず、対照的な結果となった。 結核が蔓延している国では、おそらく多くの結核例が新たな感染や再感染によるので、イソニアジドは潜在性結核感染の治療だけでなく、新規感染や再感染の予防や治療の役割を果たしていたのかもしれない。また、ツベルクリン反応検査やインターフェロンγ遊離試験は、免疫不全が進行すると偽陰性となりやすいため、本試験の患者に偽陰性が多かった可能性は考えられる。【参考文献はこちら】1) Samandari T, et al. Lancet. 2011;377:1588-1598.

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慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは?

 慢性のかゆみは、患者にとって生活の質(QOL)の低下に直結する頻度の高い問題であるが、これまで両者を結び付けている因子に関して十分な検討は行われていなかった。米国・エモリー大学のChristopher W. Carr氏らは、同因子を明らかにするため、米国退役軍人を対象とした断面調査を行った。その結果、有意な影響を及ぼす因子が複数あり、それらが複雑に絡み合って影響していることを報告した。著者は、「これらの因子をきちんと認識することが、慢性のかゆみの臨床評価と治療の改善に結び付くであろう」と述べている。JAMA Dermatology誌2014年6月1日号の掲載報告。 研究グループは、慢性のかゆみのQOLへの影響を媒介する因子を明らかにするため、米国退役軍人を対象に電話調査を行った。被験者は、退役軍人病院患者データベースから抽出した。 主要評価項目は、ItchyQoLスコアを用いた多変量分析で統計的に有意であった予測因子(患者特性、慢性のかゆみの特徴)であった。 主な結果は以下のとおり。・6,000例に電話をかけ、1,075例から試験参加への了承を得た。そのうち慢性のかゆみを有していたのは405例であった。・統計的に有意であった、慢性のかゆみのQOLへの影響の媒介因子は、人口統計学的特性[年齢(p=0.007)、人種(p=0.05)、婚姻状態(p=0.04)]、個人特性[外向的(p=0.03)、神経質(p=0.01)]、かゆみの特性[重症度(p<0.001)、期間(p=0.01)、頻度(p<0.001)、部位(p=0.005)]、考えられる病因[皮膚vs. 全身性(p=0.03)]。・有意ではなかった因子は、性別(p=0.98)、社会経済的変数[教育レベル(p>0.99)、雇用状態(p=0.53)、所得(p=0.62)]だった。

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入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

 英国では、精神科病棟への入院の代替として、危機解決在宅医療チームによる地域ケアの利用がますます増えている。しかし、これらのチームによるケアが自殺率にどのような影響を及ぼすかについて、系統的な分析は行われていない。英国・マンチェスター大学のIsabelle M Hunt氏らは、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者および精神科入院患者について、自殺率ならびに自殺者数の比較検討を行った。また、家庭または病院で自殺し、死亡した患者の臨床的特徴を評価した。Lancet Psychiatry誌オンライン版2014年6月18日号の報告。 2003年~2011年の国民保健サービス(NHS)データを基に、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者または精神科入院患者のうち、自殺により死亡した18歳以上の患者を対象に後ろ向きに縦断的解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1,256例(全自殺患者の12%)は、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた(年間平均140例)。・分母が異なるためグループ間での直接比較は困難であるが、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者(1万エピソードあたり:14.6例)は、精神科入院患者(同: 8.8例)よりも平均自殺率が高い傾向にあった。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者における年間平均自殺者数は、80例(2003、2004年)から163例(2010、2011年)へと増加しており、調査期間の後半数年間では、精神科入院患者の2倍程度となっていた。・しかし、危機解決在宅医療チームによるケアを受ける患者は増加しており、調査の前半と後半の2年間を比較すると自殺率自体は平均18%減少していた。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた自殺患者のうち548例(44%)は一人暮らしであった。また、594例(49%)は、最近不幸なライフイベントを経験していた。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者の3分の1(428例)では、精神科病棟から退院後3ヵ月以内に自殺が起きていた。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

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月1回投与のミノドロン酸、骨粗鬆症治療のアドヒアランス向上

 ビスホスホネート系薬剤は骨粗鬆症治療の第1選択薬である。服用方法が面倒であることが治療継続の大きな問題であったが、2011年、国内初となる月1回経口製剤のミノドロン酸50mg錠(商品名:ボノテオ、リカルボン)が登場した。産業医科大学整形外科学教室教授の酒井 昭典氏らは、従来のビスホスホネート系薬剤を継続するかミノドロン酸50mgに切り替えるかを患者の希望で選択してもらい、その後の治療継続性と効果などについて検討した。結果、ミノドロン酸50mgのほうが継続率も高く骨代謝も改善し上部消化管症状は少ないなど有用であることを報告した。Osteoporosis International誌オンライン版2014年6月5日号の掲載報告。週1回ビスホスホネートの月1回ミノドロン酸への切り替えで服薬継続率向上 研究グループの目的は、従来の1日1回または週1回投与のビスホスホネート系薬剤による治療を受けている骨粗鬆症患者を対象として、月1回製剤(ミノドロン酸50mg)への選好と、ミノドロン酸50mgの有効性および副作用について調査することであった。 従来のビスホスホネート系薬剤で治療中の骨粗鬆症患者を、患者自身の希望により月1回のミノドロン酸50mgへの切り替え群か継続群かに分けて6ヵ月間治療を行い、服薬状況や治療満足度を自己記入式アンケートにて評価するとともに、骨密度、骨代謝マーカー(血清TRACP-5b、血清P1NP)、腰痛および上部消化管症状を調査した。 週1回のビスホスホネート系薬剤による治療を月1回のミノドロン酸に切り替えた場合の有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・月1回のミノドロン酸への切り替えを希望した患者(切り替え群)は264例、切り替え希望せずに週1回投与のビスホスホネート系薬剤による治療を継続した患者(継続群)は133例で、約3分の2の患者が切り替えを希望した。・月1回のミノドロン酸へ切り替えを希望した主な理由は、「服薬回数が少なく簡便である」ことであった。・服薬継続率は、切り替え群が継続群より有意に高かった。・切り替え群では、骨代謝マーカーが切り替え前異常値の場合は切り替え後に基準値範囲内に改善し、切り替え前基準値範囲内の場合はそれを維持した。・切り替え群では、腰痛と上部消化管症状が減少した。

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APOC3遺伝子変異による低TG値でも虚血性血管疾患リスク減/NEJM

 APOC3遺伝子の機能欠失型変異により血漿トリグリセライド(TG)値が低下し、虚血性血管疾患のリスクが減少することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnders Berg Jorgensen氏らの検討で示された。非空腹時の血漿TG高値は虚血性心血管疾患のリスクを増大させることが知られている。APOC3遺伝子はアポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子で、その変異により非空腹時血漿TG値が低下するが、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたり低TG値の集団は、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かは、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2014年6月18日号掲載の報告。約7万6,000人を34年追跡し、変異とTG値、疾患の関連を解析 研究グループは、非空腹時TG低値と虚血性心血管疾患のリスク減少との関連を検討し、次いでAPOC3遺伝子の機能欠失型変異とこれらの疾患の関連を調査した。 解析には、デンマークで行われた2つの地域住民を対象とした前向き調査(Copenhagen City Heart Study[CCHS]、Copenhagen General Population Study[CGPS])に参加した7万5,725人(CCHS:1万333人、CGPS:6万5,392人)のデータを用いた。虚血性血管疾患は、虚血性心疾患または虚血性脳血管疾患と定義した。 フォローアップ期間中央値は34年で、この間に1万797人の被験者が虚血性血管疾患を発症し、このうち虚血性心疾患は7,557人であった。DNA検査は被験者全員で行われ、脂質検査は98%以上で実施された。TGだけでなく、HDLコレステロールやアポリポ蛋白A1、Bも良好 虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスクは、ベースラインの非空腹時TG値が低下するに従って段階的に減少し、<1.00mmol/L(90mg/dL)の被験者は≧4.00mmol/L(350mg/dL)の場合に比べ発症率が有意に低かった(虚血性血管疾患のハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.35~0.54、虚血性心疾患のHR:0.40、95%CI:0.31~0.52)。 APOC3遺伝子の3つのヘテロ接合型変異(R19X、IVS2+1G→A、A43T)が、非空腹時TG低値と実質的に関連していた(保因者260人、290人に1人の割合)。なお、CCHSの被験者の解析では、IVS2+1G→AとA43TはHDLコレステロールおよびアポリポ蛋白A1の増加とも関連していた。 これらAPOC3遺伝子のヘテロ接合性の機能欠失型変異の保因者は、APOC3遺伝子に変異のない被験者に比べ、非空腹時TG値が平均44%(0.77mmol/L[70mg/dL])低かった(p<0.001)。このTG値低下率は3つの変異型でほぼ同じだった(44~48%、いずれもp<0.001)。また、保因者は非保因者に比し、アポリポ蛋白Bが平均16%(17mg/dL)低く、HDLコレステロールが24%(0.38mmol/L[15mg/dL])、アポリポ蛋白A1が9%(15mg/dL)高かった。 虚血性血管疾患および虚血性心疾患の発症は、ヘテロ接合型変異の保因者で有意に少なく(それぞれp=0.009、p=0.05)、リスク減少率はそれぞれ41%(HR:0.59、95%CI:0.41~0.86、p=0.007)、36%(HR:0.64、95%CI:0.41~0.99、p=0.04)であった。 著者は、「APOC3遺伝子の機能欠失型変異は、TG値の低下および虚血性血管疾患のリスク減少と関連する」と結論し、「APOC3遺伝子は、心血管リスクの低減を目的とする薬剤の標的として有望と考えられる」と指摘している。最近、アンチセンス・オリゴヌクレオチドによりAPOC3遺伝子を阻害すると、アポリポ蛋白C3とTGが低下することが、動物実験やヒトの第I相試験で確認されているという。

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血圧変動は心血管イベントや死亡率を予測するか:日本を含む国際研究

 自由行動下血圧の血圧変動と死亡率や心血管イベントとの関連が議論されているが、血圧変動が高血圧患者における心血管イベントおよび死亡率を予測するかどうか、日本を含む国際研究において検討された。その結果、夜間の血圧変動が全死因死亡率、心血管疾患死亡率、心血管イベントの独立した予測因子であったことをイタリア・パドヴァ大学のPaolo Palatini氏らが報告した。Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。 本研究には、6つの前向き研究に登録された未治療高血圧患者7,112例(男性3,996例、52±15歳)が参加し、追跡期間中央値は5.5年であった。 主な結果は以下の通り。・夜間血圧の標準偏差(SD)は、年齢、BMI、喫煙、糖尿病、夜間血圧の平均との間に正の相関がみられた(すべてp<0.001)。・夜間の血圧変動は、多変量Coxモデルにおいて、全死因死亡率(収縮期血圧:p<0.001/拡張期血圧:p<0.0001)、心血管疾患死亡率(p=0.008/p<0.0001)、心血管イベント(p<0.001/p<0.0001)の独立した予測因子であった。一方、日中の血圧変動は、どのモデルにおいても独立した予測因子ではなかった。・完全に調整されたモデルにおいて、夜間収縮期血圧のSD 12.2mmHg以上は、同12.2mmHg未満と比べて、心血管イベントの41%増加、心血管疾患死亡リスクの55%増加、全死因死亡リスクの59%増加に関連していた。また、拡張期血圧のSD 7.9mmHg以上でのリスク増加はそれぞれ48%、132%、77%であった。

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乳がんリスクが上がるタンパク源は?~約9万人の前向き研究/BMJ

 乳がんリスクへの高タンパク摂取の影響が報告されているが、タンパク源となる食物は栄養プロファイルがさまざまであり、乳がんリスクへの影響が異なる可能性がある。米国ハーバード大学のMaryam S Farvid氏らは、成人早期の食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べるため、米国の看護師における前向きコホート研究を実施した。その結果から、成人早期の赤肉(red meat;牛、羊、豚などの成獣肉)の多量摂取が乳がんの危険因子であり、赤肉を豆類・鶏肉(七面鳥も含む)・ナッツ類・魚の組み合わせに置き換えることで乳がんリスクが減少する可能性が示唆された。BMJ誌オンライン版2014年6月10日号に掲載。ナッツ類の摂取量の多さは乳がんリスクに関連せず 対象は、Nurses' Health Study IIより、1991年に食生活に関するアンケートを完遂した閉経前女性8万8,803人(1991年での平均年齢36.4歳、範囲26~45歳)。浸潤性乳がんの発症については、自己申告により同定し、病理学的に確認を行った。 食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べた主な結果は以下のとおり。・20年(1991年~2011年)の追跡期間中に乳がんが2,830例に発症した(閉経前1,511例、閉経後918例、不明401例)。・赤肉摂取量の多さが全体の乳がんリスク増加と関連していた(摂取量で分類した5群での最低摂取量群に対する最高摂取量群の相対リスク1.22、95%CI:1.06~1.40、傾向のp=0.01)。鶏肉、魚、卵、豆類、ナッツ類の摂取量の多さは全体の乳がんリスクに関連していなかった。・この関連性を閉経状態により評価したところ、閉経後の女性では鶏肉の摂取量の多さと乳がんリスク減少が関連していた(同リスク0.73、95%CI:0.58~0.91、傾向のp=0.02)が、閉経前の女性では関連していなかった(同リスク0.93、95%CI:0.78~1.11、傾向のp=0.60)。・異なるタンパク源への変換効果の推計では、赤肉1食分/日の豆類1食分/日への置き換えは、全体では15%の乳がんリスク減少と関連し(同リスク0.85、95%CI:0.73~0.98)、また閉経前女性では19%の減少と関連した(同リスク0.81、95%CI:0.66~0.99)。・赤肉1食分/日の鶏肉1食分/日への置き換えは、全体では17%の乳がんリスク減少と関連し(同リスク0.83、95%CI:0.72~0.96)、閉経後女性では24%の減少と関連した(同リスク0.76、95%CI:0.59~0.99)。・赤肉1食分/日を「豆類・ナッツ類・鶏肉・魚」の組み合わせ1食分/日に置き換えた場合、全体(同リスク0.86、95%CI:0.78~0.94)および閉経前女性(同リスク0.86、95%CI:0.76~0.98)の14%の乳がんリスク減少と関連した。

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off-pump CABGは長期の腎機能保護に寄与するか/JAMA

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pump CABGと比べて、術後急性腎障害のリスクを低下するが、腎機能保護には影響しなかったことが示された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のAmit X. Garg氏らが、無作為化試験CORONARYの腎機能サブスタディから報告した。入院中の急性腎障害は、おもに血清クレアチニン値の突然の軽度~中等度の上昇によって定義づけられ、症状は数日間にわたって持続する。また長期的な腎機能の低下と関連している。しかし、急性腎障害のリスクを低下する介入が、長期にわたって腎機能保護に寄与するのかは明らかではなかった。JAMA誌2014年6月4日号掲載の報告より。off-pump vs. on-pump CABGの急性腎障害リスク、1年後腎機能を評価 研究グループは、無作為化試験における介入(off-pump vs. on-pump CABG)の急性腎障害リスクへの影響を明らかにすること、また両介入群の1年後の腎機能に差がみられるかをCORONARY試験のデータを分析して調べた。 CORONARY試験(Coronary Artery Bypass Grafting Surgery Off- or On-pump Revascularisation Study)は、19ヵ国79施設で4,752例の初回単独のoffまたはon-pump CABGを受けた患者が登録されていた。 腎機能サブスタディには、そのうち2010年1月~2011年11月までに登録された2,932例(16ヵ国63施設)が登録され、術後および1年後の血清クレアチニン値が記録された(1年後血清クレアチニン値の最終記録日は2013年1月18日)。 主要評価項目は、術後30日間の急性腎障害(血清クレアチニン値が無作為化前から50%以上上昇)、1年後の腎機能の低下(推定糸球体濾過量[eGFR]が無作為化前から20%以上低下)であった。off-pump群の相対リスク、急性腎障害リスク0.83、1年後腎機能低下1.10 急性腎障害リスクの低下は、off-pump CABG群(1,472例)が17.5%、on-pump CABG群(1,460例)が20.8%だった(相対リスク:0.83、95%信頼区間[CI]:0.72~0.97、p=0.01)。 1年後の腎機能低下は、off-pump CABG群17.1%、on-pump CABG群15.3%で、両群間に有意な差はみられなかった(同:1.10、0.95~1.29、p=0.23)。 これらの結果は、急性腎障害や腎機能の異なる定義においても一致していた。またベースライン時に慢性腎臓病を有していた被験者群においても変わらなかった。 上記の結果を踏まえて著者は、「今回の試験設定において、off-pump介入は軽度~中等度の急性腎障害リスクを低下したが、長期の腎機能には影響をもたらさなかった」とまとめている。

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日本発! 大豆・イソフラボンの摂取は子宮内膜がん発症予防に関与するか

 日本人女性の集団ベース前向きコホート研究では、大豆やイソフラボンの摂取が子宮内膜がんの発症リスクを防ぐ関連性は認められないことが、国立がん研究センター・がん予防・検診研究センターのSanjeev Budhathoki氏らの報告によって明らかとなった。BJOG誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告。 西洋人と比較し、日本人の大豆食品の消費量は非常に高く、子宮内膜がんの発症率も低い。そこで、日本人女性において、子宮内膜がんと大豆食品およびイソフラボンの摂取の間に関連性があるかについて調査を行った。 研究デザインは、前向きコホート試験であり、日本国内の10の保健所の管轄地域において試験を行った。対象は、5年間の追跡アンケート調査を行った45歳から74歳の女性4万9,121人である。1995年から1998年の間に、自記式の食物摂取頻度調査票によって、大豆食品だけでなく他の食品の摂取についても評価した。Cox比例ハザード回帰モデルは、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定するために使用した。主なアウトカム指標は、子宮内膜がんの発症率である。 主な結果は以下のとおり。・平均12.1年の追跡期間の間、新たに112人が子宮内膜がんと診断された。・大豆食品やイソフラボンのエネルギー調整後の摂取量は、子宮内膜がんの発症リスクと関連していなかった。・大豆食品の摂取量が1日25gの増加当たりの多変量調整後HRは1.02 (95%CI:0.94~1.10)であり、1日15g当たりのイソフラボン摂取量に対応する値では、1.01(95%CI::0.84~1.22)であった。

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パーキンソン病初期治療は、レボドパ単独が長期的に有益/Lancet

 パーキンソン病の初期治療は、レボドパ単独療法がレボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはモノアミン酸化酵素B阻害薬[MAOBI])よりもごくわずかではあるが、患者評価の運動能スコアについて持続的有益性があることが示された。また初回併用療法としてはMAOBI併用がドパミンアゴニスト併用よりも有効であった。英国・バーミンガム大学PD MED共同研究グループが非盲検プラグマティック無作為化試験の結果、報告した。これまでパーキンソン病の早期患者について、レボドパ、ドパミンアゴニスト、MAOBIの3種のうちどれを初期治療として用いることが有用なのか確認されていなかった。Lancet誌オンライン2014年6月11日号掲載の報告。レボドパvs.ドパミンアゴニストvs. MAOBI 研究グループは3種のうち、どれが長期の症状コントロールおよび最良のQOLに有効なのかを明らかにするため、新規にパーキンソン病を診断された患者を対象に試験を行った。 被験者はバーミンガム大学の電話コールセンターサービスにより無作為に1対1対1の割合で、レボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはMAOBI)もしくはレボドパ単独療法に割り付けられた。 主要アウトカムは、39項目からなる患者評価パーキンソン病質問票(PDQ-39)で評価した運動能力であった。またパーキンソン病のQOLへの影響を評価(範囲:0~100、6ポイント差以上を意味があると規定)し、費用対コストも評価した。分析はintention to treatにて行われた。7年間の運動能スコアの平均差、レボドパ単独群が有意に高値を維持 2000年11月9日~2009年12月22日に、1,620例の患者が各試験群に割り付けられた(レボドパ群:528例、ドパミンアゴニスト群632例、MAOBI群460例)。 追跡期間中央値3年においてPDQ-39運動能スコアは、レボドパ単独群がレボドパ併用療法群よりも平均1.8点(95%信頼区間[CI]:0.5~3.0、p=0.005)良好で、7年の観察期間中、この有益性についての増減はみられなかった。またMAOBI群とドパミンアゴニスト群の比較では、MAOBI群が平均1.4点(同:0.0~2.9、p=0.05)良好であった。 副次アウトカムのEQ-5Dスコア(一般的なQOL測定指標)は、レボドパ単独群がレボドパ併用群よりも平均0.03点(95%CI:0.01~0.05、p=0.0002)良好だった。認知機能障害(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.61~1.08、p=0.14)、施設への入所(同:0.86、0.63~1.18、p=0.4)、死亡(同:0.85、0.69~1.06、p=0.17)とも有意差はみられなかったが、いずれのCI上限値ともにレボドパ単独群がレボドパ併用群よりも大幅に高値であった。 副作用により試験薬を中断したのは、レボドパ群11/528例(2%)であったのに対し、ドパミンアゴニスト群は179/632例(28%)、MAOBI群は104/460例(23%)であった(p<0.0001)。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第9回

第9回:外来で出会う潜在性の消化管出血へのアプローチをどのように行うか? 外来診療の中で、採血を行った際に鉄欠乏性貧血を偶然発見する、大腸がんのスクリーニング検査で便潜血検査を行うと陽性であった、といったことはしばしば経験することだと思います。しかし、出血源を正しく評価するためにどのようにアプローチしていくかは、検査の侵襲性の問題もあり、頭を悩ませることも時にはあるかと思います。原因の検索のために確立された評価法を確認することで、このよくある問題に対する診療の一助となれば幸いです。 以下、 American Family Physician 2013年3月15日号1)より潜在性消化管出血1.概要潜在性消化管出血とは、明らかな出血は認められないが便潜血検査が陽性である消化管出血、または便潜血検査の結果に限らず鉄欠乏性貧血を認めている消化管出血と定義される。消化管出血の段階的な評価は確立されており、上下部内視鏡で消化管出血が診断つく人は48~71%に上る。繰り返し上下部の内視鏡で精査されて、見逃されていた病変が見つかる人は、出血が再発する患者の中で35%程度いる。もし上下部内視鏡で診断がつかない場合はカプセル内視鏡を行うことで、病変の診断率は61~74%に及ぶ。便潜血検査が陽性でも、詳細な評価を行わずして、低用量アスピリンや抗凝固薬が原因であるとしてはならない。2.病因上部消化管から小腸にかけての出血が鉄欠乏性貧血の原因となることが多い。 上部消化管(頻度:29~56%)食道炎、食道裂孔ヘルニア、胃十二指腸潰瘍、血管拡張、胃がん、胃前庭部毛細血管拡張症 大腸病変(頻度:20~30%)大腸ポリープ、大腸がん、血管拡張症、腸炎 上下部消化管の同時性の出血(1~17%) 出血源不明(29~52%)年齢での出血の原因としての頻度は、 40歳以下小腸腫瘤(最も原因として多い)、Celiac病、クローン病 40歳以上血管拡張、NSAIDsが最もcommon まれな原因感染(鈎虫)、長距離走(⇒内臓の血流が増加し、相対的に腸管の虚血が起こると考えられている)3.病歴と身体診察消化管出血、手術の既往または病因の聴取が重要な診断の手掛かりとなる。体重減少は、悪性腫瘍を示唆し、アスピリンや他のNSAIDs使用者の腹痛は、潰瘍性の粘膜障害を示唆する。抗凝固剤や、抗血小板剤は出血を引き起こす可能性がある。消化管出血の家族歴では遺伝性出血性血管拡張(唇、舌、手掌に血管拡張)、青色ゴム母斑症候群(Blue rubber bleb nevus syndrome:BRBNS 皮膚・腸管・軟部組織の静脈奇形)を示唆するかもしれない。胃のバイパス術は鉄吸収不良を引き起こす。肝疾患の既往や肝の出血斑は門脈圧亢進性胃症・腸症を示唆している。その他の有用な身体所見として、ヘルペス状皮膚炎(celiac病)、結節紅斑(クローン病)、委縮した舌とスプーン上の爪(Plummer-Vinson症候群)、過伸展した関節と眼球と歯の奇形(Ehlers-Danlos症候群)、口唇の斑点(Peutz-Jeghers症候群)などが挙げられる。4.診断的検査診断法の選択・流れは臨床的に疑う疾患の種類と随伴症状によって決められる。上部消化管出血(Vater乳頭近位部までの出血)は上部消化管内視鏡により診断が可能である。小腸近位部の出血はダブルバルーン内視鏡で診断が行える。小腸の中~遠位部の出血はカプセル内視鏡、バルーン内視鏡とCT検査で診断が可能である。下部消化管 (大腸出血)は下部消化管内視鏡で診断を行う。術中に行う内視鏡検査は前述した方法でもなお出血源が特定できず、出血が再発している患者に対しての選択肢として考えられる。5.評価方法・便潜血検査陽性で鉄欠乏性貧血を認めない場合アメリカ消化器病学会では段階的な評価を提唱している。 ・便潜血検査が陽性有無に限らず、鉄欠乏性貧血を認める場合男性と閉経後女性では消化管より出血していると想定できる。閉経前女性であれば月経による出血の可能性も考慮する。しかしながら、この集団においてはがんも含む大腸、上部消化管の病変の報告もある。 すべての患者において腸管外の出血(鼻出血、血尿、産科的出血)の評価は行わなければならない。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Bull-Henry K, et al. Am Fam Physician. 2013; 87:430-436.

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痛みを怖がるのは女性よりも男性!?

 痛みの感じ方に男性と女性で差があるのだろうか。スペイン・マラガ大学のCarmen Ramirez-Maestre氏らは、恐怖回避モデルの再検討において慢性脊椎痛患者を対象に分析を行った。その結果、男性のみが恐怖回避と疼痛強度が関連していることを明らかにした。ただ、このような差はあるが、恐怖回避モデルは男性および女性いずれにも適切な理論的基準モデルになり得るという。Journal of Pain誌2014年6月号(オンライン版2014年3月13日号)の掲載報告。 本検討は、外来通院中の慢性脊椎痛患者400例(男性190例、女性210例)が参加して行われた。 回復力(resilience)、疼痛の恐怖回避および疼痛受容などを変数として、性差の仮説モデルについてLISRELを用い解析した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛強度、疼痛不安および現在の機能に関するスコアは、男性より女性が有意に高かった。・男性および女性のいずれにおいても、回復力と疼痛との直面化(confrontation)の間に有意な関連が認められた。・直面化は、疼痛強度、機能状態および抑うつ気分の3つと統計学的に有意に関連していた。・男性においてのみ、恐怖回避と疼痛強度が関連していた。

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にきび治療への有効性を比較、抗菌薬 vs ピル

 米国ハーバード・メディカル・スクールのEubee Baughn Koo氏らは、にきび治療における、抗菌薬と経口避妊薬(OCP)の有効性を比較するメタ解析を行った。両者がにきび治療に有効であることは判明しており広く使用されているが、有効性について直接比較した検討はほとんど行われていなかった。結果、3ヵ月時点では抗菌薬が優れていたが、6ヵ月時点では同等であることが示され、著者は、「女性における長期のにきび治療では、ピルがファーストライン治療薬として全身性の抗菌薬の代わりとなるだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年5月28号の掲載報告。 メタ解析は、Preferred Reporting Items for Systematic ReviewsとMeta-Analyses and Cochrane collaboration guidelinesに則して行われた。 226本の刊行レビューから、包含基準を満たした32本の無作為化試験を解析に組み込み分析した。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月時点と6ヵ月時点で、抗菌薬およびOCPはいずれもプラセボと比較して、炎症性病変、非炎症性病変、全病変の減少率がより大きかった。・各評価時点の抗菌薬およびOCP治療は、3ヵ月時点における全病変の減少率が抗菌薬のほうがOCPよりも優れていたが、それ以外は下記のように統計的に同等であることが示された。 加重平均炎症性病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬53.2%、OCP 35.6%、プラセボ26.4%  6ヵ月時点:抗菌薬57.9%、OCP 61.9%、プラセボ34.2% 加重平均非炎症性病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬41.9%、OCP 32.6%、プラセボ17.1%  6ヵ月時点:抗菌薬56.4%、OCP 49.1%、プラセボ23.4% 加重平均全病変減少率  3ヵ月時点:抗菌薬48.0%、OCP 37.3%、プラセボ24.5%  6ヵ月時点:抗菌薬52.8%、OCP 55.0%、プラセボ28.6%・本検討は、試験治療の不均一性および刊行バイアスの点で限定的である。

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アディポネクチンは肺機能低下の予測因子:高畠研究

 血漿アディポネクチンは一般集団においてFEV1低下の予測因子となることが山形大学医学部内科学第一講座の佐藤 建人氏らが報告した。International Journal of Medical Sciences誌2014年5月21日号の掲載報告。 アディポネクチンは抗炎症、心保護のサイトカインである。しかしながら、いくつかの研究では、血漿アディポネクチンレベルはCOPD患者における肺機能と逆相関の関係にあることが示されており、これはアディポネクチンが炎症促進や肺組織の破壊を示唆していると考えられる。しかしながら、現在のところアディポネクチンが肺機能低下の有用な予測因子であるかどうかは定かではない。 本研究の目的は、毎年地域行われている健康診断に参加した日本人を対象にアディポネクチンと肺機能の関係を調べることである。対象は2004年~2006年の間に山形県東置賜郡高畠町で行われた地域の健康診断に参加した40歳以上の3,253人である。スパイロメトリーにより肺機能を、血液検査により血漿アディポネクチンの値を測定した。2011年にスパイロメトリーを再び実施し、縦断的に分析が可能であったのは872人(男性405人、女性467人)であった。 主な結果は以下のとおり。 血漿アディポネクチンの値は・男性、女性とも年齢、BMI、ALT、TG、HDL-cと有意な関連が認められた。・男性においてのみ、長期的な喫煙曝露の指標であるブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)と関連が認められた。・男性、女性とも1秒率(FEV1/FVC)と負の相関関係が認められた。・男性、女性ともFEV1の経年変化とアディポネクチンレベルとの間に負の相関関係が認められた。 上記の関連性は重回帰分析後においても、年齢、BMI、ブリンクマン指数、ALT、TG、HDL-cのような他の交絡因子とは独立していることが明らかになった。

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