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ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第43回

ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気 >足成より使用 ゴミを扱う仕事に従事する人がどういった呼吸器疾患にかかるのかを検証した大規模な研究はありませんが、呼吸器症状や呼吸機能検査には影響を与えないと結論付けた報告があります(Tschopp A. et al. Occup Environ Med. 2011;68:856-859.)。 しかしその一方で、ゴミと関連した感染症やアレルギーを呈する報告もあります。 Allmers H, et al. Two year follow-up of a garbage collector with allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA). Am J Ind Med. 2000;37:438-442. この論文は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に罹患した29歳のゴミ回収業社員の症例報告です。彼は、ゴミ回収業に従事した夏に、呼吸困難感、発熱、インフルエンザ様症状を呈するようになりました。病院を受診したところ、胸部レントゲン写真では粘液栓(mucoid impaction)を示唆する索状影が観察され、IgE高値、アスペルギルス沈降抗体が陽性であることからABPAを疑われました。Aspergillus fumigatus抽出物を吸入すると、即時型喘息反応がみられました。この症例報告は日本の夏型過敏性肺炎と同様の機序と考えてよいと思いますが、過去にゴミを扱うことで真菌のアレルギー症状を起こすことが報告されています(Hagemeyer O, et al. Adv Exp Med Biol. 2013;788:313-320.)。また、ゴミ捨て場で働く子供において酸化ストレスマーカーが高いことも報告されています(Lahiry G, et al. J Trop Pediatr. 2011;57:472-475.)。日本のように医療制度が充実している国はともかくとして、健康へのリスクを有する職業に就いている人に対する健康診断は、世界的にもまだまだ課題が残されているようです。インデックスページへ戻る

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1型糖尿病への強化療法、眼科手術リスク抑制/NEJM

 1型糖尿病患者に対する早期の強化療法は、眼科手術を受けるリスクを長期にわたり著明に抑制することが、米国ハーバード・メディカル・スクールのLloyd Paul Aiello氏らDCCT/EDIC研究グループの最新の検討で示された。DCCT試験(Diabetes Control and Complications Trial)では6.5年間の強化療法により網膜症の発症が従来療法に比べ76%減少し、引き続き行われたEDIC試験(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)では、血糖値がほぼ同等であるにもかかわらずDCCT試験の強化療法例において細小血管および大血管の合併症の進展が持続的に抑制されたことが報告されている。NEJM誌2015年4月30日号掲載の報告より。最長27年の追跡データで眼科手術施行状況を評価 研究グループは、今回、北米で行われたDCCT試験の参加者の最長27年に及ぶ追跡データを解析し、眼科手術の施行状況を評価した。 DCCT試験では、1983~1989年に年齢13~39歳の1型糖尿病患者1,441例が、血糖値を可能な限り非糖尿病の範囲に近づける強化療法を行う群(711例)または高血糖症状の予防を目的とする従来療法を行う群(730例)に無作為に割り付けられ、1993年まで追跡が行われた。 その後、DCCT試験の従来療法群を強化療法群に移行し、1994年から観察研究であるEDIC試験(1,375例)で追跡を継続した。  患者の自己申告による眼科手術歴の調査を年1回実施した。これら2つの試験期間中の眼科手術の施行状況および費用を2群間で比較した。眼科手術:8.9 vs. 13.4%、メタボリック・メモリーの概念を裏付ける知見 DCCT試験のベースラインの平均年齢は27歳、罹病期間は6年、HbA1cは9.1%であり、患者の80%以上が正常視力(20/20以上、日本の視力1.0以上に相当)であった。追跡期間中央値は23年であり、この間に161例が319件の眼科手術を受けた(DCCT試験の期間中は6件のみ)。 眼科手術の施行率は、強化療法群が8.9%(63/711例、130件)であり、従来療法群の13.4%(98/730例、189件)に比べ有意に低かった(p<0.001)。 また、DCCT試験のベースラインの背景因子で補正すると、強化療法群は従来療法群に比し糖尿病関連の眼科手術を1回以上受けるリスクが48%減少し(p<0.001)、眼科手術全体のリスクは37%低下した(p=0.01)。 白内障手術を受けた患者は、強化療法群が42例、従来療法群は61例であり、補正後の強化療法群のリスク減少率は48%(p=0.002)であった。 硝子体手術または網膜剝離術、あるいはその両方を受けた患者は、それぞれ29例、50例であり、補正後の強化療法群のリスク減少率は45%(p=0.01)であった。 一方、手術の費用は強化療法群が32%低かった(42万9,469 vs. 63万4,925ドル)。また、補正後のCox比例ハザードモデルや多変量モデルによる解析では、糖尿病関連の眼科手術のベースラインのリスク因子として、女性、加齢、罹病期間の長さ、HbA1c高値、正常より低い視力などが挙げられた。 著者は、「眼科手術の長期リスクにおける早期の強化療法による血糖コントロールの重要性が浮き彫りとなった」とし、「これらの知見は、早期の強化療法導入が腎症のリスクにもたらす長期的なベネフィットの報告と類似しており、過去の高血糖の程度やその曝露期間が、その後の糖尿病関連合併症の進展に影響を及ぼすとするメタボリック・メモリーの概念を支持するもの」と指摘している。

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パートナーがうつ病だと伝染するのか

 カップル間において、一方のうつ病はもう一方の適応障害のリスク因子となることを、スイス・チューリッヒ大学のAndrea B. Horn氏らが報告した。研究グループの検討では、このことはとくに男性に当てはまったという。適応障害は、ストレスフルなことに適切に対処できないことが診断理由である傾向が高い。一方で、臨床的に問題となる不適応を招く社会的リスクについては、ほとんどわかっていないが、文献的考察で、カップル間のコミュニケーションにおけるうつ病の影響やサポート状況の変化が示唆されていた。Psychother Psychosomatik Medizinische Psychologic誌オンライン版2015年3月30日号の掲載報告。 研究グループは、カップルにおいて臨床的に問題となるうつ病は、適応障害のリスク因子であり、ストレス反応障害をもたらすかどうかについて検討した。さらに、パートナーのうつ症状と自身の適応障害との関連の大きさについても検討した。それに関連して、単なるうつ感染を除外し、ストレス反応を切り離すため、自身のうつ症状について調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・オンラインカップル研究法にて検討した。294例(147組)が参加した。・152例が、今なお悩まされているストレスフルな出来事の経験があると報告した。・そのうち28例が、スクリーニング質問票のAdjustment disorder New Moduleで診断できうる閾値に達していた。・また、14例のパートナーが、CES-Dのカットオフ値を上回るうつ症状を報告した。・適応障害のリスクは、パートナーが女性であり、臨床的に問題となるうつ症状レベルを報告した場合に有意に上昇した(OR:7.13)。この関連は、女性パートナーがうつであった場合に限られ、男性パートナーがうつの場合は、いずれの有意な関連もみられなかった。・以上より、女性パートナーのうつ症状と、関心事(ストレス要因となる反復的でネガティブな考え方)への適応症状との間に、正の関連があることが示された。・パートナーのうつ病は、ストレスフルな出来事に対する不適応反応の有意なリスク因子になると思われた。・本検討により、研究や臨床的介入において対人関係を見据えることが重要であることが示唆された。関連医療ニュース 仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク ロマンチックな恋愛は幸せか スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を  担当者へのご意見箱はこちら

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若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか

 日本では、とくに若者の間で「新型うつ病」や「ひきこもり(6ヵ月以上持続している重度の社会的なひきこもり)」と表現される新たな精神医学的事象が報告されてきている。信頼ゲームと呼ばれる経済ゲームが現実社会における対人関係の評価に利用できることから、早稲田大学高等研究所の渡部 幹氏らは、大学生を対象に予備的研究を行った。その結果、信頼行動が精神医学的評価スケールと関連していることを報告した。著者は、「新型うつ病やひきこもり等の人々における経済ゲームの妥当性が研究されるべきである」とまとめている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。 研究には、日本人大学生81人が参加した。ゲームの相手40人の写真を提示した後に、その写真を参考にお金をいくら提供するかを決定してもらい、Lubben Social Network Scale(LSNS)-6およびPatient Health Questionnaire(PHQ)-9を含む7つの評価スケールに回答してもらった。 結果は以下のとおり。・先行研究と同様に、男子学生のほうが女子学生よりも相手を信頼した。・回帰分析の結果、男子学生ではLSNS-6の「家族」(家族からのサポートの認知)が、女子学生ではPHQ-9の項目8(主観的な焦燥性興奮や遅延)が、それぞれの信頼行動と関連していた。・男子学生において、家族からのサポートは家族以外の人への協力行動と、負の相関を示した。これは社会科学者の主張と一致した。・主観的な焦燥性興奮(および/または遅延)がより強い女子学生は、対人関係において魅力が少ない女性に対してよりも、男性およびより魅力的な女性に対してお金をあまり提供しなかった。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき  担当者へのご意見箱はこちら

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僧帽弁疾患に合併した持続性/長期持続性心房細動に対する外科手術(解説:大野 貴之 氏)-356

 日本循環器学会「不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)」では、心房細動手術の適応は僧帽弁疾患に合併した心房細動で、弁形成術または人工弁置換術を行う場合はclass Iと記載されている。また、2014 AHA/ACC/HRSガイドラインでは“An AF surgical ablation procedure is reasonable for selected patients with AF undergoing cardiac surgery for other indications.(Class IIa, Level of Evidence:C)”と記載されている。 この論文は、僧帽弁手術を必要とする持続性(7日を超えて持続)あるいは長期持続性(1年以上持続)心房細動に対する、心房細動手術の有効性を調査したランダム化試験の報告である。 心房細動手術施行群(133例)と非施行群(127例)に分けて、洞調律復帰、心脳血管事故(死亡・脳梗塞・心不全)、死亡、僧帽弁あるいは心房細動に対する再手術、QOLについて、1年間追跡している。 両群で全員に対して左心耳血栓リスクを減らすために左心耳閉鎖は施行している。また、心房細動手術施行群はランダムに肺静脈隔離術単独群(67例)と、右房切開を加えたフルメイズ手術群(66例)に分けている。両群の患者背景に差はなく、術前持続性心房細動群45.8%、長期持続性心房細動群54.2%であった。手術時間は心房細動手術施行群が約15分長かった。 全患者の20%は6ヵ月・12ヵ月目の追跡ができていないが、12ヵ月後の洞調律復帰率は心房細動手術施行群63.2%、非施行群29.4%(p<0.001)であった。肺静脈隔離術単独群61%、フルメイズ手術群66%(p=0.06)で洞調律復帰率は有意差を認めなかった。心脳血管事故、死亡、再手術、QOLも差を認めなかったが、心臓ペースメーカー植え込みは心房細動手術施行群26例、非施行群9例であり、心房細動手術施行群で有意に高率であった。 肺静脈隔離術単独群とフルメイズ手術群で、心臓ペースメーカー植え込みに差があったか否かに関して記載はない。心房細動手術施行群は非施行群と比較して洞調律復帰率は高いにもかかわらず、脳梗塞率(3.0% vs. 1.6%)は差を認めなかった。その原因として著者らは、追跡期間が1年間と短いことと、両群で左心耳閉鎖施行していることの2点を挙げている。 全患者の20%が追跡調査できていないのが残念であるが、心臓外科手術の治療効果を、ランダム化試験で検証しようと試みている貴重な報告である。長期追跡の結果が楽しみである。

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大腸がんスクリーニングは何歳まですべき?/BMJ

 ガイドラインは高齢者(50~74歳)のがんスクリーニングについて、スクリーニングの恩恵がもたらされるよう平均余命を考慮して実施することを推奨している。米国・サンフランシスコ退役軍人医療センターのVictoria Tang氏らは、高齢者に対する大腸がんスクリーニングについて、どれくらいの平均余命を考慮すればよいのか、軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニング試験の生存メタ解析を行い検討した。結果、おおよそ10年超の平均余命を有する高齢者については実施されるべきであることが明らかになったという。BMJ誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告より。4試験、45万9,814例のデータをメタ解析 研究グループは、2013年に発表されたCochrane Collaboration systematic reviewと、Medline、Cochrane Library databasesを検索して生存メタ解析を行った。適格とした試験は、軟性S状結腸鏡スクリーニングの実施群と非実施群を比較検討した無作為化試験で、実施群の被験者数が100例以上のものとした。 検索により、4試験、被験者総計45万9,814例が適格として解析に組み込まれた。解析対象試験の、患者年齢(50~74歳)、フォローアップ期間(11.2~11.9年)、軟性S状結腸鏡スクリーニング実施群の大腸がん関連の相対死亡リスク(0.69~0.78)は、いずれも類似していた。1,000例につき1例の死亡回避はスクリーニング後9.4年時点 生存メタ解析の結果、1,000例へのスクリーニング実施により、その後5年時点で大腸がん関連死は0.3例回避されたことが示された。スクリーニングによる恩恵は、フォローアップが長期であるほど増大し、10年時点で回避された大腸がん関連死は1.2例に達していた。 フォローアップ4.3年(95%信頼区間[CI]:2.8~5.8年)時点で観察された絶対リスクの低下は0.0002(軟性S状結腸鏡検査5,000例への実施につき1例の大腸がん関連死が回避)であったが、9.4年(95%CI:7.6~11.3年)時点で観察された絶対リスクの低下は0.001(同1,000例への実施につき1例の死亡が回避)であった。 これらの所見を踏まえて研究グループは、「軟性S状結腸鏡スクリーニングの実施は、平均余命10年超の高齢者をターゲットとすべきであることが示唆された」とまとめている。

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脳卒中後の超急性期リハは本当に有効か/Lancet

 脳卒中後24時間以内に開始する超急性期リハビリテーション(very early mobilization)は、介入量が多いほど、また早期であるほど3ヵ月後の良好なアウトカムのオッズ比減少と関連していることが報告された。オーストラリア・メルボルン大学のJulie Bernhardt氏らAVERT試験研究グループが、2,104例の患者について行った無作為化試験の結果、明らかにした。著者は「世界中のガイドラインで脳卒中後の早期リハが推奨されているが、われわれの検討結果は現行のガイドラインを改善して臨床に反映すべきであることを示すものであった。ただし臨床的な勧告は、さらなる用量反応関連の分析を行い告知するべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告。5ヵ国56ユニットで無作為化試験、3ヵ月時点の良好アウトカム患者割合を評価 AVERT試験は、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、英国の5ヵ国56の急性期脳卒中ユニットで行われた並行群間単盲検無作為化試験で、被験者は18歳以上で、初発または再発の脳梗塞または脳出血患者であった。 生理学的基準を満たした患者を、webベースのコンピュータ生成ブロック無作為化法(ブロックサイズは6)で2群に割り付けた。一方の群は、通常の脳卒中ユニットケアのみを受け、もう一方の群には、通常ケアに加えて超急性期リハビリテーションの介入が行われた。 被験者には、遺伝子組み換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)治療が許可され、無作為化では試験地、脳卒中の重症度による層別化も行われた。なお、患者、アウトカム評価者、試験およびデータ管理に関与した研究者には治療割り付けは知らされなかった。 主要アウトカムは、脳卒中後3ヵ月時点の良好なアウトカム(修正Rankinスケール0~2で定義)で、原則intention-to-treat解析にて評価した。通常ケア群と比べて有意に低くオッズ比0.73、死亡は1.34倍 2006年7月18日~2014年10月16日の間に、2,104例の患者を超急性期リハ群(1,054例)または通常ケア群(1,050例)に無作為に割り付けた。3ヵ月時のフォローアップ評価には2,083例(99%)が含まれた。 超急性期リハ群のうち965例(92%)が24時間以内にリハを開始していたが、通常ケア群は623例(59%)であった。 良好アウトカムを有した患者は、超急性期リハ群のほうが通常ケア群よりも有意に少なかった(480例[46%]vs. 525例[50%]、補正後オッズ比[OR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.59~0.90、p=0.004)。 死亡例は、超急性期リハ群88例(8%)に対し、通常ケア群72例(7%)であった(OR:1.34、95%CI:0.93~1.93、p=0.113)。 非致死的な重篤有害イベントの発現は、超急性期リハ群201例(19%)、通常ケア群208例(20%)であった。

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統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

 英国・チェリイ・ノウル病院のLucy A Buckley氏らは、統合失調症に対する支持療法の有効性を、その他の治療法と比較するレビューのアップデートを行った。24件の無作為化試験(RCT)を組み込み評価した結果、標準的ケアとの比較では再発、入院、全般的機能に有意差は認められず、また心理的あるいは心理社会的療法のほうが入院、精神状態の改善、患者の治療満足度において有意に良好であったという。ただし、いずれの試験もエビデンスの質がきわめて低いものであったため、支持療法とその他の治療法との差異を明確化するには至らなかったと述べている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group's register of trials(2012年11月)のデータを検索して行った。統合失調症患者を対象とし、支持療法とその他の治療あるいは標準的ケアを比較検討したすべてのRCTを検索対象とした。信頼性の高いソースから試験を選択し、質の評価ならびにデータを抽出。固定効果モデルを用いてリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を推算した。可能な限りintention-to-treat解析を実施した。連続データについては主に固定効果の平均差(MD)をCIと共に算出した。不均質性、公表バイアスも算出し、GRADEを用いてエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2012年以降に4件の新規試験が追加され、本レビューでは妥当な研究24件(2,126例)を対象とした。全体的に、エビデンスの質はきわめて低かった。・主要アウトカムである再発、入院、全般的機能において、支持療法と標準的ケアの間に有意差は認められなかった。・一方、心理的あるいは心理社会的療法は、支持療法と比べて有意に良好な成績であることが示された。すなわち、入院率(4件、306例、RR:1.82、95%CI:1.11~2.99、エビデンスの質は非常に低い)、精神状態の臨床的改善(3件、194例、RR:1.27、95%CI:1.04~1.54、エビデンスの質は非常に低い)、患者の治療満足度(1件、45例、RR:3.19、95%CI:1.01~10.7、エビデンスの質は非常に低い)において有意差が認められた。・再発率、試験からの早期脱落、QOLに関して有意差は認められなかった。・支持療法を認知行動療法(CBT)と比較した場合も、主要アウトカムに有意差は認められなかった。・支持療法を家族療法および心理教育療法と比較したデータはきわめて限定的であり、関心の高い主要アウトカムの1つである全般的機能に関しては、いずれの研究においても臨床的に重要な変化を示すデータはなかった。・支持療法と標準的ケアのアウトカムにおける差異を明確にするにはデータが不十分であった。・入院、全般的な精神状態など、支持療法に比べ、その他の心理療法のほうが優位であることを示すアウトカムが複数認められた。しかしこれらの結果は、エビデンスの質が非常に低いと評価された数少ない小規模試験に基づいたものであった。支持療法を比較対照群とせず、主要な治療群に設定した大規模試験により研究を進めることで、成果が期待できるであろう。関連医療ニュース 統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法 統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか 重度アルツハイマー病に心理社会的介入は有効か:東北大  担当者へのご意見箱はこちら

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急性虚血性脳卒中、血栓除去術の追加は有用/NEJM

 急性期虚血性脳卒中患者に対する発症後8時間以内のステント型リトリーバー(血栓回収デバイス)を用いた血栓除去術は、脳卒中による障害の重症度を改善し、機能的自立の割合を増加させることが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTudor G Jovin氏らが実施したREVASCAT試験で示された。近年、機械的血栓除去療法の臨床的有効性が複数の無作為化試験によって報告されているが、脳卒中の血管内治療の試験では、間断のない連続的な患者登録が困難なことが問題とされる。その解決策として、本試験では地域住民ベースの前向き患者登録システムが用いられた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告。標準的薬物療法への追加の効果を無作為化試験で評価 REVASCAT試験は、急性期虚血性脳卒中の治療において、標準的な薬物療法への血栓除去術の追加の有用性を評価する無作為化第III相試験。対象は、年齢18~85歳、発症後8時間以内の前方循環近位部閉塞(画像検査で中大脳動脈M1部[主幹]の閉塞が確認され、内頸動脈閉塞を伴う場合も含む)で、広範梗塞巣のない患者であった。 被験者は、標準的な薬物療法に加えステント型リトリーバーによる血栓除去術を行う群または標準的薬物療法のみの群(対照群)に無作為に割り付けられた。全例が、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA、アルテプラーゼ)の投与で再灌流が達成されなかったか、または禁忌の患者であった。 主要評価項目は、90日後の修正Rankinスケール(mRS、0:無症状~6:死亡)による機能障害重症度とした。なお、本試験は690例の登録を予定していたが、試験期間中に他の同様の試験で血栓除去術の有効性が確認されたため早期中止となった。QOLも改善、死亡や頭蓋内出血に差はない 2012年11月~2014年12月までにスペイン・カタロニア地方の4施設に206例が登録され、血栓除去術群に103例(平均年齢65.7歳、男性53.4%、t-PA投与例68.0%)、対照群にも103例(67.2歳、52.4%、77.7%)が割り付けられた。全体の発症から割り付けまでの期間中央値は225分で、血栓除去術群のうち実際に除去術が行われたのは98例だった。 90日時点のmRSスコアの補正共通オッズ比(OR)は1.7(95%信頼区間[CI]:1.05~2.8)であり、血栓除去術群で有意に優れていた。また、90日時点の機能的自立(mRSスコア0~2:軽度の障害)の両群間の絶対差は15.5%(43.7 vs. 28.2%、補正OR:2.1、95%CI:1.1~4.0)であり、血栓除去術群で有意に良好だった。 劇的神経学的回復(24時間後のNIH脳卒中スケール[NIHSS]の8点以上の減少または0~2点の達成)の補正ORは5.8(95%CI:3.0~11.1)であり、血栓除去術群で有意に優れた。 さらに、90日時のNIHSS中央値の補正β係数は-2.4(95%CI:-4.1~-0.8)、Barthelインデックス(0~100点、点が高いほど日常生活動作が良好)の95~100点の達成の補正ORは4.2(95%CI:2.1~8.4)、EQ-5Dスコア(-0.33~1点、点が高いほどQOLが良好)中央値の補正β係数は0.11(95%CI:0.02~0.21)であり、いずれも血栓除去術群で有意に優れた。 24時間後の梗塞容積中央値(16.3 vs. 38.6mL、p=0.02)も、血栓除去術群で有意に小さかった。また、血栓除去術群の再灌流達成率は中央判定で66%、担当医判定では80%だった。 90日時点の死亡率(18.4 vs. 15.5%、p=0.60)および症候性の頭蓋内出血の発症率(1.9 vs. 1.9%、p=1.00)は、両群間に差はなかった。他の重篤な有害事象の発症率も両群間でほぼ同等だった。

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Dr.小川のアグレッシブ腹部エコー 肝臓編

第1回 基本を押さえて異常を知る!超音波解剖と走査のポイント第2回 びまん性肝疾患1 -脂肪肝を中心に-第3回 びまん性肝疾患2 -エコーパターンと肝内脈管評価を中心に-第4回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん1 -基本を押さえる- 第5回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん2 -バリエーションを学ぶ-第6回 肝腫瘤性病変3 -症例から学ぶ- 超音波検査は非侵襲的で触診感覚で行えることから、患者にとっても、医師にとっても非常に有用な検査です。その超音波を使いこなすにはどうすればよいのでしょうか。その答えは、この番組の中にあります。肝臓の疾患にフォーカスし、さまざまな症例の超音波画像から、何をどう見ていくのかを徹底的に解説します。これを見ると超音波画像がみるみる見えるようになるでしょう。第1回 基本を押さえて異常を知る!超音波解剖と走査のポイント超音画像を見てすぐに所見を述べられますか?なぜ答えることができないのでしょうか。それは超音波検査の「客観性の低さ」が問題なのです。その問題を解決するためには、撮影方法と肝臓の解剖理解して、標的臓器がわかるようになりそして、評価方法がわかるようになることです。そのためにも正常超音波画像を頭にたたき込みましょう。肝臓の超音波画像描出のコツは、メルクマールとなる門脈の描出、区域を意識する、呼吸の利用などなど、コツをしっかりと伝授します。まずは「基本を押さえて異常を知る」ことです。第2回 びまん性肝疾患1 -脂肪肝を中心に- びまん性肝疾患の評価方法、脂肪肝のエコー画像の特徴について解説します。肝臓を観察する上でのチェックポイントは大きく6つあります。1.肝臓の大きさ、2.肝臓の輪郭の評価(形態的な変化)、3.内部エコーの評価、4.肝内脈管・胆管の変化、5.肝外の随伴所見の有無、6.肝腫瘤性病変の有無です。今回は、前半の3つについて実際の症例画像を挙げながら詳しく説明していきます。CT画像や組織所見などとの比較も行います。これを見ればみるみる見えるようになるでしょう!第3回 びまん性肝疾患2 -エコーパターンと肝内脈管評価を中心に-内部エコーのエコーパターンは肝実質の線維化、壊死、胆汁うっ滞、血流障害などのさまざまな要因によって超音波の伝搬が不均一になるために現れる変化です。健常者では均一な像を呈していますが、肝硬変化、重症化するに伴い不均一化は進み、また、原因疾患によってそのパターンは異なります。また、肝内脈管の評価の際にも同様の変化を見ることができます。第3回では、第2回に続き、肝臓を観察する上での6つチェックポイント、1.肝臓の大きさ、2.肝臓の輪郭の評価(形態的な変化)、3.内部エコーの評価、4.肝内脈管・胆管の変化、5.肝外の随伴所見の有無、6.肝腫瘤性病変の有無 の3(エコーパターン)、4、5について解説していきます。第4回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん1 -基本を押さえる- 肝腫瘤性病変の評価方法と肝細胞がんの典型的な超音波画像について解説します。超音波装置の発展により、5mm大の結節性病変が散見されるようになったが、この結節をどう評価するか、CTやMRIで描出されない結節をどう扱うかなど悩んだことはありませんか?超音波は所見を撮りに行く検査です!なぜその所見が得られるか、何が臨床の場で重要なのかなど腫瘤性病変に関する考え方を学んでください。そうすれば撮り方も変わっていくでしょう。第5回 肝腫瘤性病変と肝細胞がん2 -バリエーションを学ぶ-肝腫瘤性病変の評価方法と肝細胞がんの典型的な超音波画像についての解説Part2です。腫瘤性病自体の画像の評価からはもちろんのこと、その周辺に起こる画像の変化から読み取ることもダジです。Halo(ハロー:腫瘤の辺縁環状低エコー帯)、側方エコー(Lateral Shadow:外側陰影)、後方エコーなど、なぜそのような画像の変化が起こるのか、突き詰めていきましょう。そして、その意味がわかれば、より適切に病態を把握できるようになります。第6回 肝腫瘤性病変3 -症例から学ぶ- 今回は、総まとめとして患者情報、検査結果、そしてエコー画像が提示される症例を診断していきます。これまでに学んだ肝臓観察時のチェックポイント-1.肝臓の大きさ、2、肝臓の輪郭、3.内部エコー、4.肝内脈管・胆管の変化、5.肝外随伴所見、6.肝内腫瘤性病変 を一つひとつ見ていきましょう。

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難治性うつ病発症に肥満が関連か

 肥満と大うつ病性障害(MDD)は公衆衛生上の大きな問題である。MDDは不均一な疾患であり、反復性MDD(MDD-R)と単一エピソードのMDD(MDD-S)とでは病因や予後が異なることが知られているが、肥満との関連性についてのエビデンスは不十分である。オランダ・フローニンゲン大学のYeshambel T Nigatu氏らは、一般住民を対象とした大規模観察研究において、肥満がとくにMDD-Rの発症と関連している可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この問題を十分に評価するためにはさらなる大規模研究が必要であり、MDDに対する肥満の影響を調べる場合はMDDの不均一性を考慮すべきである」とまとめた。BMC Public Health誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、PREVEND研究に参加した1,094例を対象とし、ベースラインおよび平均2年の追跡期間後のデータを分析した。MDD-SとMDD-Rの評価にはComposite International Diagnostic Interview(CIDI 2.1)を使用した。肥満はBMI 30以上と定義した。肥満がMDD-S/MDD-Rを予測するか、またはその逆の予測がなされるかどうかについて、潜在的交絡因子補正後、バイナリロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・予測分析において、ベースラインのBMIと追跡期間中のMDD-R発症の関連が示された(OR 1.32、95%信頼区間[CI]:1.11~1.57)。・しかし、MDD-S発症との関連は示されなかった(OR 0.98、95%CI:0.89~1.07)。・ベースラインの肥満は、追跡期間中のMDD-S発症と関連していなかった(OR 0.75、95%CI:0.25~0.23)。しかし、追跡期間中のMDD-R発症とは関連していた(同:11.63、1.05~128.60)。・2年の追跡期間中、MDD-SとMDD-Rのいずれも、追跡期間中の肥満への進展とは関連していなかった(それぞれOR 1.67、95%CI:0.64~4.29およびOR 2.32、95%CI:0.82~6.58)。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か  担当者へのご意見箱はこちら

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術前CT冠動脈造影、周術期心イベント予測能高まるが…/BMJ

 動脈硬化性疾患、またはそのリスクがある患者で非心臓手術が予定されている患者について、術前にCT冠動脈造影を行うことで、心血管死や術後30日以内の非致死的心筋梗塞発症リスクの予測能が高まることが示された。しかし同時に、そうしたイベントを発症しない人についても、ハイリスクと過剰評価してしまう傾向があることも示された。カナダPopulation Health Research InstituteのTej Sheth氏らが、955例の患者について行った前向きコホート試験で明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年4月22日号掲載の報告より。CT冠動脈造影の結果を4分類 検討は、8ヵ国、12ヵ所の医療機関を通じて、動脈硬化性疾患またはそのリスクがあり、非心臓手術を受けた955例の患者を対象に行われた。 被験者に対し、術前にCT冠動脈造影を行い、その結果を(1)正常、(2)非閉塞(狭窄50%未満)、(3)閉塞(1枝または2枝で狭窄50%以上)、(4)広範囲閉塞(冠動脈左前下行枝近位部を含む2枝、または3枝、もしくは左冠動脈主幹部で狭窄50%以上)の4つに分類した。結果については、左側主要疾患が疑われた場合を除き、医師には伝えなかった。 主要評価項目は、術後30日間の心血管死と非致死的心筋梗塞の複合アウトカムだった。なお、これらを従属変数として、また改訂版心リスク指標(revised cardiac risk index:RCRI)のスコアとCT冠動脈造影の所見を独立変数としてCox回帰分析で評価した。非発症者の約1割について「ハイリスク」と過剰評価も 主要アウトカムは74例(8%)の患者で発生した。 RCRIスコアやCT冠動脈造影の所見を加えた予測モデルの検討で、CT冠動脈造影は、独立した予後予測を提供可能であることが示された(p=0.014、C統計量:0.66)。補正後ハザード比は、非閉塞群が1.51(95%信頼区間:0.45~5.10)、閉塞群2.05(同:0.62~6.74)、広範囲閉塞群が3.76(同:1.12~12.62)だった。 RCRIスコアのみの予測モデルに比べ、CT冠動脈造影の所見を加味したモデルを用いることで、主要アウトカム発生の30日間のリスクカテゴリ(5%未満、5~15%、15%超)が再分類でき、予測が改善されることが示された。具体的に、患者サンプル1,000例における主要アウトカム発症者77例のうち17例について、より適切なハイリスク群へと評価分類することができた(p<0.001)。 一方で同予測モデルでは、主要アウトカムの非発症者923例のうち98例についても、誤ってハイリスクと過剰に予測してしまった。 周術期の心筋梗塞を発症した人のうち、術前に冠動脈に広範囲閉塞が認められた人は31%、閉塞は41%、非閉塞は24%、正常だった人は4%だった。

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ニボルマブ、非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)の効能追加承認を申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)は、ヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)について、2015年4月22日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(非扁平上皮がんを除く)」に対する効能追加承認申請を行った。 ニボルマブはPD-1とPD-1リガンドの経路を阻害する免疫チェックポイント阻害剤。化学療法治療歴を有する進行期肺扁平上皮がん患者に対する海外第Ⅲ相臨床試験(CheckMate-017)の中間解析において、ドセタキセルと比較して死亡リスクを41%低減させ、全生存期間(OS)の改善を示した。OS中央値はニボルマブ群が9.2ヵ月(95%CI:7.3~13.3)、ドセタキセル群が6.0ヵ月(95%CI:5.1~7.3)であった。 ニボルマブは2014年7月に「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として、日本で製造販売承認された。また、海外でも、2014年12月に米国で「イピリムマブでの治療後、かつ、BRAF V600変異陽性の場合は、BRAF阻害剤での治療後に病勢進行が認められた切除不能または転移性悪性黒色腫」の治療薬として迅速承認され、さらに2015年3月、「プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行・再発が認められた進行期肺扁平上皮がん患者の治療」の適応が追加承認された。小野薬品工業のプレスリリースはこちら。

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アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 レビューは、2015年3月2日時点でALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerを検索して行った。AD患者へのリバスチグミン治療について12週以上の検討を行っており、効果についてプラセボ並行群比較を行っている、またはリバスチグミンの2製剤が比較検討されているすべての非交絡二重盲検無作為化対照試験を適格とした。試験適格基準の判定、試験の質の評価、データ抽出は、1人のレビュー著者(筆頭執筆者)が行った。13試験が適格基準を満たして組み込まれた。試験期間は12~52週。古い年代の試験では12mg/日用量のカプセル剤の検討が行われており、2007年以降は、4.6、9.5、17.7mg/日の経皮パッチ製剤による検討が報告されていた。主要解析では、リバスチグミン経口投与6~12mg/日もしくは経皮的投与9.5mg/日の安全性および有効性について、プラセボと比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・解析には、7試験3,450例のデータが組み込まれた。すべてが多施設試験で、被験者のAD程度は軽症~中等度、平均年齢は約75歳であった。・治療26週後、リバスチグミン群はプラセボ群と比較して、認知機能(ADAS-Cog評価で平均差[MD]:-1.79、95%信頼区間[CI]:-2.21~-1.37;6試験3,232例)、Mini-Mental State Examination(MMSE)スコア(MD:0.74、95%CI:0.52~0.97;6試験3,205例)、ADL(標準化平均差[SMD]:0.20、95%CI:0.13~0.27;6試験3,230例)について、より良好なアウトカムと関連していた。・また、変化なし、あるいは悪化したリバスチグミン治療患者の割合は小数であり、医師による全般印象度の変化が認められた(オッズ比[OR]:0.68、95%CI:0.58~0.80、7試験3,338例)。・行動変化は3試験で報告されていた。プラセボとの差はみられなかった(SMD:-0.04、95%CI:-0.14~0.06、3試験1,529例)。・介護者への影響の評価は1試験で報告されていた(NPI-D尺度を利用)。プラセボとの差はみられなかった(MD:0.10、95%CI:-0.91~1.11、1試験529例)。・全体として、リバスチグミン群の被験者のほうが、試験脱落者(OR:2.01、95%CI:1.71~2.37、7試験3,569例)、試験期間中の有害事象経験者(同:2.16、1.82~2.57、7試験3,587例)が約2倍多かった。・副作用は、経皮パッチ剤のほうがカプセル剤よりも少ないようであったが、有効性は類似していた。・エビデンスの質はレビューされたすべてのアウトカムに関して、途中脱落者によるバイアスリスクのため、中程度であった。・分析に含まれた試験はすべて、企業による資金提供または後援があった。・本レビューでは、経済データについては検討されなかった。関連医療ニュース 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか

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日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か

 静岡てんかん・神経医療センターの井上 有史氏らは、日本人の成人難治性部分てんかん発作患者を対象に二重盲検プラセボ対照検証的試験を行い、レベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討した。その結果、主要有効性解析においてレベチラセタム群とプラセボ群の間で有効性に有意差は認められなかったが、探索的解析においてレベチラセタム3,000mg群はプラセボ群に比べ有意な発作減少が確認されたことを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年4月8日号の掲載報告。 日本人の成人難治性部分てんかん発作患者に対するレベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討するため、二重盲検プラセボ対照検証的試験を行った。適格例をレベチラセタム500、1,000、2,000、3,000mg/日群、またはプラセボ群に無作為に割り付け、16週間投与した。主要評価項目は、12週の評価期間における1週間当たりの発作頻度のベースラインからの減少率とした。忍容性についても評価を行った。そして、本結果と過去の無作為化二重盲検試験の結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングを行った401例のうち352例が無作為に割り付けられ、316例が試験を完了した。・1週間当たりの発作頻度のベースラインからの平均減少率は、プラセボ群の12.50%に対し、レベチラセタム500 mg/日群は12.92%、以下1,000mg/日群18.00%、2,000mg/日群11.11%、3,000mg/日群31.67%であった。・過去に実施された試験と異なり、レベチラセタム1,000および3000mg群とプラセボ群を比較した主要有効性解析において、統計学的有意差は認められなかった(p=0.067)。 ・探索的解析において、レベチラセタム3,000mg群とプラセボ群の発作減少率の差は14.93%(95%信頼区間:1.98~27.64、p=0.025)であった。・レベチラセタムの、すべての用量群で忍容性は良好であった。・2件の試験における主な違いは、今回の試験でプラセボ群の反応性が高かったことであった。・結果を踏まえて著者は「主要有効性解析では統計学的有意差には至らず、それはプラセボ群における予想外の高い反応によるものであった。とはいえ、探索的解析によりレベチラセタム3000mg/日投与は、わずかながら難治性部分てんかん発作患者に有効であることが示された」とまとめている。■関連記事難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か日本人、レベチラセタム静注の薬物動態レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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うつ再発にマインドフルネス認知療法が有望/Lancet

 うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。MBCT vs. 抗うつ薬維持療法の無作為化試験で検討 うつの再発経験がある人は、再燃リスクが高く、最低2年間の抗うつ薬維持療法が推奨されている。しかし患者の多くが、薬物療法に代わる治療法を望んでいる。 MBCTは、通常ケアとの比較で、再発・再燃リスクを減少することが示されているが、抗うつ薬維持療法と比較した検討は行われていなかった。 研究グループは、MBCT-TS(MBCTと併せて抗うつ薬を漸減または中断投与する療法)が抗うつ薬維持療法に優れるか、24ヵ月間のPREVENT試験を行った。多施設単盲検並行群間無作為化対照試験であった。 英国内の都市および周辺地域のプライマリケア一般医から、3回以上の重大うつエピソード経験があり、抗うつ薬維持療法を受ける患者を集めた。 参加者を、MBCT-TS群または抗うつ薬維持療法群に無作為に割り付けた。割り付けはコンピュータ生成乱数配列法にて行った。登録施設および症状で層別化した。参加者は治療割り付けを認識していたが、試験の評価者には治療割り付けはマスキングされた。  主要アウトカムは、うつの再発・再燃までの期間で、患者は24ヵ月間試験期間中5回にわたってフォローアップを受けた。主要解析は原則intention to treatに基づき行われた。24ヵ月間の再発・再燃リスクのハザード比0.89、両群差はなし 2010年3月23日~2011年10月21日の間に、2,188例の参加者について適格性を評価し、一般医95人から集めた424例の患者をMBCT-TS群(212例)と抗うつ薬維持療法群(212例)に無作為に割り付け検討した。 結果、うつの再発・再燃までの期間は、両群間で差はみられなかった。24ヵ月時点で再発・再燃がなかった人はMBCT-TS群44%、抗うつ薬維持療法群47%で、ハザード比は0.89(95%信頼区間[CI]:0.67~1.18、p=0.43)であった。 重篤有害事象の発生についても差はみられなかった。有害事象は5件報告され、うち2例が死亡(MBCT-TSと抗うつ薬維持療法の各群で報告)であったが、有害事象は、介入または試験に起因したものはなかった。

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高齢者の喫煙リスク~50万例でのエビデンス/BMJ

 高齢者においては、喫煙は心血管イベントや心血管死の独立した強力なリスク因子であるとの従来のエビデンスを、あらためて裏付ける知見が、ドイツがん研究センター(DKFZ)のUte Mons氏らCHANCESコンソーシアム(http://www.chancesfp7.eu/)が実施したメタ解析で得られた。一般に、喫煙は疾患や死亡の修正可能な主要リスク因子であり、禁煙は喫煙関連リスクの抑制に有効とされる。一方、心血管イベントのほとんどが高齢者で発現しており、この年齢層のデータを代用して一般化されているが、高齢者に焦点を当てた検討は少ないという。BMJ誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。25コホートのデータをメタ解析、RAPを算出 1964年に、男性喫煙者は冠動脈心疾患による死亡リスクが非喫煙者よりも高いとの研究結果が米国で初めて報告されて以降、その因果関係を支持する強力なエビデンスが蓄積されてきた。この50年間に、先進国ではタバコの消費量の減少に伴い心血管死亡率が低下しているものの、心血管疾患は主要な死亡原因であり続けている。 心血管疾患の発症率は加齢と共に増加し、イベントの多くは高齢者にみられる。現在の人口統計学的な傾向を考慮すると、心血管疾患の疾病負担を抑制するには、高齢者のリスク因子の管理による予防がきわめて重要とされる。 そこで、CHANCESコンソーシアムは、60歳以上のコホートにおける心血管死、急性冠イベント、脳卒中イベントに及ぼす喫煙および禁煙の影響の評価を目的にメタ解析を行った(欧州委員会DG-RESEARCHの第7次枠組計画などの助成による)。従来の疫学的な相対リスクに加え、心血管死の「リスク進展期間(risk advancement period:RAP)」を算出した。 喫煙のリスクや禁煙の効果を一般社会に伝えることは、禁煙の促進に有効な手段であるが、一般人にとって相対リスクは把握が難しい可能性があり、リスク情報伝達(risk communication)においてRAPが有用な方法として提唱されている。RAPは、「あるリスク因子に曝露した集団において、曝露していない集団と比較し、そのリスク因子に起因するイベント(たとえば疾患の発症や死亡)の発生が早まる期間」と定義される。 解析には、CHANCESコンソーシアムに参加する25のコホート(欧米23ヵ国)のデータを使用した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いてコホートごとに解析を行い、メタ解析により統合した。喫煙者は心血管死が5.5年早まる、禁煙はリスク抑制に有効 60歳以上の50万3,905例が解析の対象となった。60~69歳が86.6%、70歳以上が13.4%で、男性が56.0%であり、生涯非喫煙者が40.2%、元喫煙者が47.4%、現喫煙者は12.4%であった。このうち3万7,952例が心血管疾患で死亡した。5,966例が急性冠イベントを、5,497例が脳卒中を発症した。 ランダム効果モデルによる非喫煙者に対する喫煙者の心血管死のハザード比(HR)は2.07(95%信頼区間[CI]:1.82~2.36)、元喫煙者のHRは1.37(95%CI:1.25~1.49)であり、喫煙者、元喫煙者ともリスクが有意に高かった。 RAPは喫煙者が5.50年(95%CI:4.25~6.75)、元喫煙者は2.16年(95%CI:1.38~2.93)であり、いずれも心血管死が非喫煙者に比べ有意に早く発生した。また、喫煙者の心血管死のリスクはタバコの消費量が多いほど高く、元喫煙者のリスクは禁煙開始以降の時間が長いほど低かった。 これら喫煙関連の心血管死の相対リスクと同様のパターンが、急性冠イベントと脳卒中イベントにも認められたが、心血管死よりもわずかにリスクが低かった。 著者は、「これらの知見は、高齢者でも喫煙が心血管イベントおよび心血管死の独立の強力なリスク因子であるとの従来のエビデンスを支持し、さらに発展させるものである」とし、「禁煙は依然として過度のリスクの抑制に有効であることが示された」と指摘している。

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ニボルマブの非扁平上皮NSCLC試験早期終了

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は2015 年4月21日、既治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するニボルマブ(商品名:オプジーボ)の第III相非盲検無作為化試験(CheckMate-057)の結果について、独立データモニタリング委員会がニボルマブ投与群は対照群に対して優れた全生存期間(OS)を示し評価項目を達成したと結論付けたため、試験を早期に終了したと発表した。 CheckMate -057 試験は、治療歴を有する進行・再発性非扁平上皮NSCLCに対してニボルマブとドセタキセルを比較する第III相非盲検無作為化試験。582人の患者をニボルマブ2週間ごと3mg/kg 投与群とドセタキセル3週間ごと75mg/m2投与群に無作為に割り付け、主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は奏効率と無増悪生存期間(PFS)であった。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社プレスリリースはこちら。

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テレビの視聴時間が長いと肺がんのリスクが高まる?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第42回

テレビの視聴時間が長いと肺がんのリスクが高まる? >足成より使用 テレビを見るとこんなに弊害があるのかというほど文献は数多くありますが、賢明な読者の皆様はあまりテレビを怖がらないようにしてくださいね。別にテレビが健康に悪いというわけではなく、本稿の趣旨に合った論文を探しているとテレビがたまたま引っかかっただけです。 さて、紹介するのはテレビの視聴時間と肺がんの関連を調べた日本の論文です。 Ukawa S, et al. Prospective cohort study on television viewing time and incidence of lung cancer: findings from the Japan Collaborative Cohort Study. Cancer Causes Control. 2013;24:1547-1553. この論文はテレビの視聴時間が長い成人が肺がんになりやすいかどうかを検証したものです。日本の40歳から79歳の成人において行われた大規模コホート研究です。がんの既往のない5万4,258人(男性2万3,090人、女性3万1,168人)が登録され、中央値で15.6年フォローアップされました。Cox比例ハザードモデルを用いてテレビ視聴時間が肺がん発症に及ぼす影響を調べました。テレビの視聴時間は、アンケートによって「1日2時間未満」、「1日2~4時間」、「1日4時間以上」の3つに分類されました。フォローアップ後、798人の参加者が肺がんと診断されました。驚くべきことに、男性において1日4時間以上のテレビを視聴する参加者は、1日2時間未満の参加者と比較して肺がんを発症するハザード比が1.36(95%信頼区間1.04~1.80)という結果が得られました。テレビ視聴時間の長さは肺がんのリスクだけでなく、大腸がんのリスク(Howard RA, et al. Cancer Causes Control. 2008;19:939-953.)、卵巣がんのリスク(Zhang M, et al. Cancer Causes Control. 2004;15:83-89.)を上昇させる可能性が示唆されています。これは坐位が長時間に及ぶことが原因ではないかと考えられています。ちなみに日本人のテレビ視聴時間は1日平均3~4時間と考えられており、アメリカ人と比較すると1時間程度少ないそうです。インデックスページへ戻る

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TAF配合の新規抗HIV薬、TDF配合薬に非劣性/Lancet

 HIV-1感染症の初回治療としての新規抗HIV薬配合薬エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル-アラフェナミド(E/C/F/TAF、国内承認申請中)の安全性と有効性を、E/C/F/テノホビル-ジソプロキシルフマル酸塩(E/C/F/TDF、商品名:スタリビルド配合錠)と比較検討した2つの第III相二重盲検無作為化非劣性試験の結果が、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E Sax氏らにより報告された。48週時点で両投与群とも90%超の患者で抗ウイルス効果が認められた一方で、腎臓と骨への影響は、E/C/F/TAF投与群がE/C/F/TDF投与群に比べて有意に低かった。著者は、「いずれの試験も、骨折や腎障害といった臨床的安全性イベントを評価する検出力はなかったが、E/C/F/TAFは、良好で長期的な腎臓および骨の安全性プロファイルを有すると思われる」と結論している。Lancet誌オンライン版2015年4月15日号掲載の報告より。TDF配合薬と比較、国際多施設共同の二重盲検無作為化非劣性試験 テノホビルのプロドラッグである既存のTDFは、血漿中の高いテノホビル濃度に関連した腎臓や骨への毒性作用を引き起こす可能性が指摘されている。TAFはテノホビルの新規プロドラッグで、TDFと比べて血漿中テノホビル濃度を90%低く抑えることを可能とした。第II相の試験において、TAF配合薬はTDF配合薬に比べて、eGFR、尿細管性蛋白尿、骨密度への影響の低下がみられ、腎臓や骨の安全性を改善する可能性が示唆された。同所見を確認するため第III相試験では、腎臓と骨の安全性に関するプロトコルを事前に規定して検討された。 報告された2つの試験は、日本を含む16ヵ国178施設の協力の下で行われ、推定クレアチニンクリアランス50mL/分以上で未治療のHIV感染症患者を対象とした。 被験者は、E/C/F/TAF(各含有量は150mg/150mg/200mg/10mg)またはE/C/F/TDF(TDF含有量300mg)を投与する群に無作為に割り付けられた。無作為化はコンピュータ生成配列法(4ブロック)にて行われ、HIV-1 RNA量、CD4数、参加国(米国とそれ以外)による層別化も行った。 主要アウトカムは、FDA が定義したSnapshot アルゴリズム解析を用いて、48週時点で血漿中HIV-1 RNA値50コピー/mL未満の患者の割合(事前規定の非劣性マージン12%)と、事前規定の48週時点の腎および骨のエンドポイントであった。 有効性と安全性に関する主要解析は、試験薬を1回受けたすべての患者を含んでintention-to-treatにて行われた。抗ウイルス効果は同等、腎臓と骨のエンドポイントはTAF配合薬のほうが良好 2013年1月22日~2013年11月4日に2,175例の患者がスクリーニングを受け、1,744例が無作為に割り付けられ、1,733例が治療を受けた(E/C/F/TAF群866例、E/C/F/TDF群867例)。 結果、48週時点の血漿中HIV-1 RNA値50コピー/mL未満患者の割合は、E/C/F/TAF群800/866例(92%)、E/C/F/TDF群784/867例(90%)、補正後両群差は2.0%(95%信頼区間[CI]:-0.7~4.7%)で、E/C/F/TAFのE/C/F/TDFに対する非劣性が認められた。 また、E/C/F/TAF群のほうが、血清クレアチニンの平均値上昇が有意に少なく(0.08 vs. 0.12mg/dL、p<0.0001)、蛋白尿(ベースラインからの%変化中央値:-3 vs. 20、p<0.0001)や、脊椎(同:-1.30 vs. -2.86、p<0.0001)および腰椎(-0.66 vs. -2.95、p<0.0001)の骨密度低下が有意に低かった。

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