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SAPIEN 3のTAVR、intermediate riskの高度AS症例における1年間の治療成績はSAVRに優る(解説:許 俊鋭 氏)-528

 外科的AVR(SAVR)がintermediate riskと考えられる症例で、SAPIEN 3を用いたTAVRとSAVRの長期成績を比較した。SAVR症例は、PARTNER 2A試験の背景のpropensity scoreを一致させたSAVR症例と、1年の全死亡、脳卒中合併症率、再手術率、大動脈弁周囲逆流発生率を比較した。primary end pointは、全死亡、脳卒中合併症率、中等度~高度大動脈弁周囲逆流発生率の複合治療成績を比較した。 TAVR群1,077例の1年の死亡数は79例(7.4%、transfemoral-access症例では6.5%)で、後遺症を残した脳卒中は24例(2%)に、AVR再手術は6例(1%)に、中等度~高度大動脈弁周囲逆流は13例(2%)に発生した。  propensity scoreを一致させたSAVR症例との比較分析では、TAVR 963例とSAVR 747例が分析に組み込まれた。primary end point として、全死亡、脳卒中合併症率、中等度~高度大動脈弁周囲逆流発生率の複合治療成績は、SAVRに対してTAVRの非劣性(p<0.0001)および優位性(p<0.0001)が共に証明された。 結論として、SAPIEN 3を用いたTAVRは、1年の全死亡、脳卒中合併症率、中等度~高度大動脈弁周囲逆流発生率の複合治療成績はSAVRより良好で、SAPIEN 3を用いたTAVRが、intermediate risk症例に対してもより好ましい治療選択である可能性が示唆された。【コメント】 従来、SAVR不能例あるいはSAVRに対するhigh risk 症例に対して、TAVRが適応されてきた。しかし、SAPIEN 3の導入によるデバイスの進歩と術者の手技習熟度の向上に伴い、TAVRの治療成績は向上しつつあり、本論文はintermediate risk症例にTAVRを適応拡大することの優位性を証明するために報告された論文である。 本論文の経過観察は1年と短いが、さらなるデバイスの進歩に伴い、TAVRの適応拡大が進むことを予測させる論文である。今後、1年以上の長期経過観察で、長期予後を慎重に検討していく必要がある。

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音楽療法にうつ症状改善は期待できるか

 高齢者のうつ病のマネジメントにおける音楽療法の有効性について、中国・蘭州大学のK Zhao氏らが検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年4月19日号の報告。 著者らは、系統的レビューと無作為化比較試験のメタ解析を行った。抑うつ症状の変化は、さまざまなスケールで測定した。それぞれの治療群と対照群の比較において、標準化平均差を算出した。 主な結果は以下のとおり。・包括的な検索により得られた2,692件のうち、19件が選択基準を満たした。・標準的な治療に加えて音楽療法を行うことで、高齢者の抑うつ症状の有意な改善が認められることが、メタ解析により示唆された(標準化平均差:1.02、95%CI:0.87~1.17)。 著者らは、「この系統的レビューとメタ解析により、音楽療法は抑うつ症状の改善にある程度の効果を及ぼすことが示唆された。しかしながら、音楽療法の抑うつ症状における効果を評価するためには、高品質な試験が必要とされる」としている。関連医療ニュース 音楽療法が不眠症に有用 うつ病への呼吸リラクゼーション併用療法 統合失調症へのヨガ補助療法、その有用性は

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バレニクリン、精神神経系リスク増大せず/Lancet

 禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)およびbupropionは、プラセボやニコチンパッチと比べ、精神神経系有害事象リスクの有意な増大は認められないことが示された。被験者に精神疾患の既往があっても同リスクは増大せず、また、バレニクリンはプラセボ、ニコチンパッチ、bupropionのいずれと比べても、禁煙達成率が高かった。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRobert M. Anthenelli氏らが、禁煙希望の喫煙者8,144例を対象に行った大規模臨床試験「EAGLES」(Evaluating Adverse Events in a Global Smoking Cessation Study)の結果、明らかにした。バレニクリンやbupropionの禁煙補助薬の精神神経系への安全性に関する懸念は払拭されていない。これまでに行われたニコチンパッチとの比較検討は間接的な試験であり、安全性、有効性に関する情報は精神疾患を有する患者に限られていた。Lancet誌オンライン版2016年4月22日号掲載の報告。不安症、うつ病、異常感など精神神経系リスクの発生率を比較 研究グループは、2011年11月~15年1月にかけて、16ヵ国、140ヵ所の医療機関を通じて、禁煙を希望する喫煙成人8,144例を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。被験者を精神疾患歴のある群(4,116例)と非既往群(4,028例)に分け、そのうえで、それぞれを無作為に4群に分け、バレニクリン(1日2回、1回1mg)、bupropion(1日2回、1回150mg)と、そのコントロール群としてニコチンパッチ(1日21mgで開始し漸減)、プラセボを投与した。 主要エンドポイントは、不安症、うつ病、異常感など精神神経系有害事象の複合とした。また、主要有効性エンドポイントは、9~12週の生化学的に確認された禁煙とした。9~12週の禁煙、対プラセボのバレニクリンのオッズ比は3.61 結果、精神疾患の非既往患者では、主要複合エンドポイントの発生率は、バレニクリン群が1.3%、bupropion群が2.2%、ニコチンパッチ群が2.5%、プラセボ群が2.4%だった。バレニクリン群対プラセボ群、bupropion群対プラセボ群のリスク差は、それぞれ-1.28(95%信頼区間[CI]:-2.40~-0.15)、-0.08(同:-1.37~1.21)で、いずれも有意差はなかった。 精神疾患既往患者では、主要複合エンドポイントの発生率は、バレニクリン群が6.5%、bupropion群が6.7%、ニコチンパッチ群が5.2%、プラセボ群が4.9%だった。バレニクリン群対プラセボ群、bupropion群対プラセボ群のリスク差は、それぞれ1.59(95%CI:-0.42~3.59)、1.78(同:-0.24~3.81)であり、いずれも有意差はなかった。 9~12週の禁煙率については、バレニクリン群が、対プラセボ群、対ニコチンパッチ群、対bupropion群でみた場合、いずれも有意に高率で、オッズ比(OR)はそれぞれ、3.61(95%CI:3.07~4.24)、1.68(同:1.46~1.93)、1.75(同:1.52~2.01)だった(いずれもp<0.0001)。 また、対プラセボ群でみた場合、bupropion群(OR:2.07、95%CI:1.75~2.45)、ニコチンパッチ群(同:2.15、1.82~2.54)も禁煙率はそれぞれ有意に高率だった(いずれもp<0.0001)。 コホート全体で治療群単位でみた最も頻度の高い有害事象は、悪心(バレニクリン群25%)、不眠(bupropion群12%)、異常な夢(ニコチンパッチ群12%)、頭痛(プラセボ群10%)だった。治療群間の有効性は、コホート全体の解析でも違いはみられなかった。

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PARTNER 2試験:TAVRのintermediate riskの高度AS症例における2年間の治療成績はSAVRと同等(解説:許 俊鋭 氏)-527

 第1世代のデバイス(SAPIEN)を用いたTAVR(Transcatheter Aortic-Valve Replacement)は、手術不能大動脈弁狭窄症(AS)および手術がhigh riskと考えられるASに対する治療として、すでに認知されてきた。その後、術者の習熟度が高まるとともにデバイスの改良がなされ、より治療成績が向上し、TAVRはlow riskあるいはintermediate risk 症例に適応が拡大しつつある。 しかし、その根拠は少数例の観察研究に基づくものであり、さらなるTAVR適応の拡大には厳格な臨床研究が必要と考えられる。 本論文は、PARTNER 2 cohort A無作為化割付試験に組み込まれた57施設の2,032例のintermediate riskの高度AS症例を対象として、第2世代デバイス(SAPIEN XT)を用いたTAVRと外科的AVR(SAVR)の治療成績を比較したものである。 76.3%はtransfemoral-access cohortに、23.7%はtransthoracic-access cohort (transapical:174例、transaortic:62例)に割り付けられた。94例(4.6%)は割り付け後に、主として当該治療を受けたくないという患者の決定で脱落例(TAVR:17例、SAVR:77例)となった。TAVR(1,011例)、SAVR(1,021例)で患者背景に差はなく、平均年齢82歳、STS risk scoreは共に5.8であった。 2年間の経過観察で、primary end point(死亡+後遺症を伴った脳卒中の発生率、TAVR:SAVR=19.3%:21.1%、p=0.25)に有意差はなかった。transfemoral-access cohortでは、primary end pointの発生率TAVRはSAVRより低かったが、transthoracic-access cohortでは同等であった。TAVRではSAVRよりも大きな弁口面積が得られ、低い腎機能障害・高度出血・新しい心房細動の発生率であったが、逆にSAVRはTAVRよりも重大血管合併症および大動脈弁周囲逆流の発生率は低かった。結論として、TAVRとSAVR の治療成績は、primary end point(死亡+後遺症を伴った脳卒中の発生率)からみて同等であった。【コメント】 従来、SAVR不能例あるいはSAVRに対するhigh risk 症例に対して、TAVRが適応されてきた。しかし、第2世代デバイス(SAPIEN XT)の導入によるデバイスの進歩と術者の手技習熟度の向上に伴い、TAVRの治療成績は向上しつつあり、本論文は、intermediate risk症例に適応拡大することの合理性を証明するために報告された論文である。 今後さらにデバイスの進歩に伴い、TAVRの適応拡大が進むことを予測させる論文である。ただ、TAVRで大動脈弁周囲逆流の発生率は相変わらず高く、2年以上の長期経過観察で、大動脈弁周囲逆流の発生が長期予後に与える影響を慎重に検討していく必要がある。

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第2世代抗精神病薬、賦活と鎮静作用の違いを検証

 若者に対する第2世代抗精神病薬(SGAs)の賦活や鎮静の効果について、米国・ニューヨーク大学ランゴン医療センターのZainab Al-Dhaher氏らが検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年4月19日号の報告。 若者に対する第2世代抗精神病薬治療の適応症、有効性、忍容性(SATIETY)を評価する自然主義的コホート研究の一環として、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者における賦活や鎮静症状の主観的評価を、Treatment Emergent Symptoms尺度(TESS)を使用し、3ヵ月間毎月収集した。中止率、TESSからの報告症状率、重症度は、臨床や治療パラメータに関連していた。TESSの測定は、任意の日中の賦活(ACTIVATION+)と鎮静症状(SEDATION+)の2つが定義された。 主な結果は以下のとおり。・4件の研究から得られた、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者327例における鎮静による中断率は、クエチアピンが最も高く(13.0%)、次いでオランザピン(7.3%)、リスペリドン(4.2%)、アリピプラゾール(2.0%)であった(p=0.056)。・抗精神病薬未治療の若者257例(13.8±3.6歳、男性率:57.8%)の使用開始薬剤は、アリピプラゾール40例、オランザピン45例、クエチアピン36例、リスペリドン135例であり、ベースライン後1回以上のフォローアップを実施した。・ベースラインの有病率は、ACTIVATION+(39.9%)、SEDATION+(54.1%)で、SGAs間に差は認められなかった。・ACTIVATION+とSEDATION+は、時間とともに有意に変化した(ACTIVATION+ 減少:p=0.0002、SEDATION+ 増加:p<0.0001)。それぞれのSGAs間でわずかな違いが認められ、オランザピンのACTIVATION+は低く(p=0.002)、フォローアップ中のアリピプラゾールのACTIVATION+ はやや高く(p=0.018)、アリピプラゾールのSEDATION+ は低かった(p=0.018)。・4つのSGAsにおいて、不眠症は減少し(p=0.001)、過眠症が増加した(p<0.001)。・ベースライン後の傾眠の有病率は、最も頻繁にみられたが、TESSの訴えは85%が軽度であり、SGAs間の違いはなかった。・年齢の低さが、賦活症状と関連し、年齢の高さが鎮静症状と関連していた。そして、ベースライン時の機能の低さは、両方の増加と関連していた。・精神運動遅滞率は、統合失調スペクトラム障害において高かった。一方で、診断にかかわらず、ADHD治療と精神運動興奮との関連が認められた。 結果を踏まえ、著者らは「単独TESSによるレイティングの独立予測因子は、SGA間の特異的な差よりも、むしろ臨床パラメータを含んでいる。このことから、特定のSGAsに注意を払うよりも、慎重な個別化治療戦略の必要性が示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方 抗精神病薬の治療域、若年者と高齢者の差はどの程度か 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは

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PATHWAY-2試験:治療抵抗性高血圧例の治療に非常に参考になるが、解釈には十分な注意が必要な研究結果(解説:桑島 巖 氏)-525

 カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬/ARB、サイアザイド系利尿薬の3剤併用しても、降圧不十分な高血圧は治療抵抗性と呼ばれるが、日常診療でもしばしば遭遇し、次に何を追加するべきかに悩むことは少なくない。一般にはα遮断薬、β遮断薬、抗アルドステロン薬のいずれかを選択することになるが、その優劣に関するRCTによるエビデンスはほとんどなかった。 PATHWAY-2試験は、抗アルドステロン薬が、最も降圧効果に優れているという結果を示した点で、そのような疑問に1つの示唆を与えてくれる臨床研究である。とくに、ベースライン時の血漿レニン活性が低い例ほど降圧率が高いという結果は、低レニンを呈する副腎過形成によるアルドステロン分泌過多による高血圧では、スピロノラクトンが有効であることを示唆している。 しかし、本試験には注意すべき重大な点がいくつかある。 まず、eGFR<45mL/分の慢性腎臓病合併例は完全除外されており、対象例の平均eGFR 91.1±26.8という腎機能良好な症例のみの成績である点は認識すべきである。 一般に、治療抵抗性高血圧は、多かれ少なかれ腎障害が進行した症例にみることが多く、そのような例では抗アルドステロン薬によって高カリウム血症を誘発したときに死に至ることもある。本研究のエンドポイントは疾患発生や死亡ではないので、この点は明らかにできない。また、試験期間も1年間と短い。 とくに、心不全に対する抗アルドステロン症の有用性を証明したRALES試験では、試験結果発表後、爆発的にスピロノラクトンの処方が増加し、高カリウム血症による合併症および死亡率が増加したことを想起する必要がある1)。 本試験は臨床的に意義があるが、結果の解釈と臨床への適用に当たっては十分な注意が必要である。

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EuroPCR 2016 開催地パリのおすすめスポット

ケアネットでは、学会に参加しながら芸術と食の都パリを十分に楽しんでいただけるよう、会員の方々からおすすめの観光名所、レストランなどの情報を募集しましたので、ここにご紹介します。また、最近までパリに留学していた荒井 隆秀氏(慶應義塾大学医学部 循環器内科)からおすすめのレストラン、息抜きスポットを教えていただきました。ぜひご活用ください。EuroPCR 2016 注目の演題はこちら荒井氏のおすすめはこちら美術館さすが芸術の都パリということで、やはり、美術館に関する投稿を数多くいただきました。セーヌ川沿いにはルーブル、オルセー、オランジェリーという3大美術館が隣接しています。ルーブル美術館言わずと知れたルーブル美術館。展示面積6万m2以上、すべての作品を観覧するのに1週間はかかるといわれています。入場の待ち時間も含め、見学には十分時間を取っておいたほうがよさそうです。会員の方からはこのような声が。「パリといえば、まずルーブル美術館を訪れて、人類の歴史と共に歩んできた、さまざまな美術品をじっくりと鑑賞することをぜひおすすめします」(Fujita3)「何といってもルーブル博物館とその周囲のしゃれたレストラン」(kerokatsu)なお、ルーブル美術館内でスリ被害が多発しているそうです。最寄りの警察署には、パスポートを盗まれて駆け込む日本人が多いとか。外では警戒している人も、美術館内では気が緩んでしまうのかもしれません。美術館のパンフレットを広げて、何か尋ねてくる人には十分お気を付けください。[アクセス] メトロ Palais-Royal/Musée du Louvre(駅直結)オルセー美術館1900年のパリ万国博覧会開催時に作られたオルセー駅の駅舎旧駅舎を改築した美術館で、名物の大時計が昔の駅の面影を残しています。「ルーブル美術館よりもこちらの絵画を鑑賞するほうが、断然おすすめです(パリ大好き中年)」という声も。[アクセス] メトロ Solférino駅オランジェリー美術館モネの睡蓮がパノラマ展示されていることで有名ですね。オランジュリー+オルセー美術館16ユーロというペア券もあるようです。[アクセス] メトロ Concorde駅ジャックマール・アンドレ美術館「ベルサイユのばら」(池田理代子作)の中心人物である、男装の麗人オスカルの邸宅モデルとなった建物でもあるそうです。[アクセス] メトロ Saint-Philippe-du-Roule駅、Miromesnil駅建物美術館だけでなく歴史的建造物に関する投稿も数多く頂きました。エッフェル塔エッフェル塔という声も負けず劣らず数多く寄せられました。パリ万博のためにつくられたわけですが、日本の明治時代に当たる1900年にこれだけの建造物ができたとは驚きです。日本のタワー類に比べると入場料もリーズナブルです。ただし、入場チケット購入窓口は長蛇の列になることが多いです。ネットで予約して行かれたほうがよいかもしれません。ちなみに、英語だとエッフェルというよりアイフル。アイフルタワーに近いようです。[アクセス] メトロ Bir Hakeim 駅、Trocadero 駅、 Ecole Militaire駅凱旋門ご存じ、シャンゼリゼ通り西端のシャルル・ド・ゴール広場にある凱旋門。この門を中心に、多くの通りが放射状に延びており、地図上で星のように見えるので、「星=etoileの広場(エトワール広場)la place de l'Etoile」と呼ばれているそうです。凱旋門、実は入場料 9.5ユーロで登れます。シャンゼリゼから凱旋門をバックにした記念撮影は世界の定番ですが、シャンゼリゼは結構な上り坂ですので、途中でめげないように。[アクセス] メトロ Charles de Gaulle Etoile駅ベルサイユ宮殿あのベルサイユ宮殿はパリから22キロ。ちょっと足を伸ばすだけで行けます。ただし、当日チケットを購入しようとすると、この世のものとは思えないくらいの大行列に並ばなければなりません。時間がない方は、PARIS MUSEUM PASSという事前チケットを購入するか、入場料込みのバスツアーなどで行くほうがよいかもしれませんね。[アクセス] RER C線 Versailles Rive Gauche駅スポット壁抜け男モンマルトルのムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏手に、作家のマルセル・エイメの名前のついた小さな広場(Place Marcel-Ayme)があります。その壁には、エイメの小説に出てくる「壁抜け男(Le Passe-muraille)」の像が! 観光客も少ない(ほとんどいない)ので、ぜひご自身も同じポーズでお写真を。サクレ・クール寺院からも歩いて行けます(西に約400m)。[アクセス] メトロ Lamarck-Caulaincourt駅とAbbesses駅の中間愛の壁Abbesses駅を出てすぐにある公園にあるタイルの壁です。この壁には世界各国の愛の言葉が書かれていて、もちろん日本語も。ちなみに、Abbesses駅はパリのメトロの中で1番地下が深いので、階段よりエレベーターがおすすめです。[アクセス] メトロ Abbesses駅レストラン食の都パリだけにレストランについてのご意見も数多くいただきました。Epicureパリの名門ホテルHôtel Le Bristolのメインダイニングで、ミシュラン3つ星の高級レストラン。フランス大統領も来店するとか。[アクセス] メトロ Miromesnl駅BIstro Volnayオペラ座の近くにある、パリのBistro部門第1位(2010年)のカジュアルなお店です。あまり広くはありませんが、ワインが充実し、味もさすがです。ちなみに、バゲットについてくるリエットもおいしくて人気があるそうです。[アクセス] メトロ OPERA駅LeJules Verneフランス料理界の巨匠アラン・デュカスがプロデュースしたエッフェル塔内にあるミシュラン星付きのレストラン。しかも、レストラン専用の予約者用入口から入ると、長蛇の列に並ばずエッフェル塔に上れます。ただし、日曜日になると急に値段が跳ね上がること、キャンセルは48時間以前にしないと予約時に伝えたクレジットカードから全額引き落としになることに注意です。[アクセス] メトロ Bir Hakeim 駅、Trocadéro 駅、 Ecole Militaire駅弁慶(Benkay)パリには日本人シェフのお店が数多くあります。こちらは会員の方からの情報です。セーヌ川を望みながら、鉄板焼きや和食をいただける、NOVOTEL PARISホテル内のレストランです。「ノルマンディー地方の牛など、フランス食材を生かした日本食がおいしい」(KEN603)[アクセス] メトロ arrêt Bir-Hakeim駅、arrêt Javel ou Charles Michels駅勇鮨(Isami Zushi)ノートルダム寺院の近く、セーヌ川の中州シテ島にある寿司屋。れっきとした日本人による経営ですが、お客さんはフランス人のほうが多いようです。女優の岸恵子さんがパリ在住時に足しげく通っていたことでも有名です。Sebastien Gaudardこのお店の塩キャラメルの板チョコ「PUR IVOIRE CARAMELISE A LA FLEUR DE SEL」は世界から買いに来るとのこと。お土産にはもってこいかもしれません。クロワッサンもおいしく、2013年クロワッサンコンクールで2位に輝いています。ルーブル美術館近くに2号店があります。PAUL至るところにあるパン屋さんで、バゲットやサンドイッチなど種類がとても豊富です。朝食は3ユーロくらいから食べられます。ちなみに、ホットドリンク+デニッシュペストリーまたは2分の1バケットのセットが4.45ユーロでした(2015年)。PAULは日本にも進出していますが、本場は日本とは比べものにならないほど安くておいしいです。アクティビティセーヌ川ディナークルーズツアーを行っている会社が数社あります。日本でいえば、東京湾の屋形船のようなものですが、パリではまったく雰囲気が違いますね。エッフェル塔近くで停泊し、毎時に行われるエッフェル塔のシャンパンフラッシュを間近で見せてくれます。ただし、帰りが遅くなるので注意が必要です。バトー・ムッシュのクルーズバトー・パリジャンのクルーズ2CVパリツアーシトロエンの往年の名小型車、2CVでパリ市内を巡ってくれます。英語対応もあります。コンバーチブルの2CVならオープンエアドライブも可能。ただし、寒さには気を付けて。荒井氏のおすすめレストラン私自身はそれほど多くのレストランに行っているわけではありませんが、パリ在住の日本人に好評のレストランをいくつか挙げます。Le Pario15区にあるフレンチレストランです。2013年にオープンしたボーグルネル・ショッピングセンターからも近いので買い物のついでに立ち寄ることもできます。ここのフレンチは結構日本人好みなのではないかと思います。しかも値段もそれほど高くないので気軽に行けるお店です。基本的にフランスのレストランは接客が遅く、注文を取りにくるのも、料理が来るまでもとても時間がかかります。しかし、ここは接客がとてもスムーズで時間もそれほどかからず、そういった点でも快適に過ごせるお店です。Restaurant Solaパリ在住の日本人に大人気のお店です。日本人シェフによるフランス料理で、ミシュランの1つ星を獲得したそうです。予約が必須です。息抜きスポットパリ旅行で行く所といえば、エッフェル塔、凱旋門、ルーブル美術館などが定番ですが、そのような観光地は人が多く混雑していて行くだけで疲れてしまいます。そんなときは公園で息抜きすることをおすすめします。パリの公園はきれいに整備されていて大変気持ちよくて癒されます。近くのパン屋でサンドイッチやコーヒーを買って公園の芝生で食べるのもよい過ごし方です。なかでもおすすめの公園を挙げます。モンスーリ公園 Parc Montsourisこれは私が住んでいた家から徒歩2分ほどの所にあった公園ですが、パリの中で1番良い公園ではないかと思ったほどでした。パリ花公園 Parc Floral de Parisパリのはずれにあるヴァンセンヌの森の中にある公園で、その名の通り花がたくさんあり、春夏はとくにきれいです。ソー公園 Parc de Sceauxここはパリから20分ほど電車で行った所にありますが、桜の名所として有名です。13区セーヌ川沿い(Googleマップ)公園ではありませんが、13区のセーヌ川沿いは再開発が進んで、国立図書館や映画館などができています。ここを散歩するのは大変気持ちがよくおすすめです。川岸にはビニールシートを張ったレストランがいくつもあり、味はまあまあですが、とても雰囲気がよいのでゆったりとした時間が過ごせます。またセーヌ川に浮かぶプールもあります。

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海外学会開催地オススメ情報「パリ」

ケアネットでは、学会に参加しながら芸術と食の都パリを十分にお楽しみいただくため、会員の方々から現地の名所、おすすめのレストラン情報などを募集しましたので、ここでご紹介します。※掲載されている情報は2016年5月時点のものです。名所ルーブル美術館言わずと知れたルーブル美術館。展示面積6万m2以上、すべての作品を観覧するのに1週間はかかるといわれています。入場の待ち時間も含め、見学には十分時間を取っておいたほうがよさそうです。会員の方からはこのような声が。「パリといえば、まずルーブル美術館を訪れて、人類の歴史と共に歩んできた、さまざまな美術品をじっくりと鑑賞することをぜひおすすめします」(Fujita3)「何といってもルーブル博物館とその周囲のしゃれたレストラン」(kerokatsu)なお、ルーブル美術館内でスリ被害が多発しているそうです。最寄りの警察署には、パスポートを盗まれて駆け込む日本人が多いとか。外では警戒している人も、美術館内では気が緩んでしまうのかもしれません。美術館のパンフレットを広げて、何か尋ねてくる人には十分お気を付けください。[アクセス] メトロ Palais-Royal/Musée du Louvre(駅直結)オルセー美術館1900年のパリ万国博覧会開催時に作られたオルセー駅の駅舎旧駅舎を改築した美術館で、名物の大時計が昔の駅の面影を残しています。「ルーブル美術館よりもこちらの絵画を鑑賞するほうが、断然おすすめです(パリ大好き中年)」という声も。[アクセス] メトロ Solférino駅オランジェリー美術館モネの睡蓮がパノラマ展示されていることで有名ですね。オランジュリー+オルセー美術館16ユーロというペア券もあるようです。[アクセス] メトロ Concorde駅ジャックマール・アンドレ美術館「ベルサイユのばら」(池田理代子作)の中心人物である、男装の麗人オスカルの邸宅モデルとなった建物でもあるそうです。[アクセス] メトロ Saint-Philippe-du-Roule駅、Miromesnil駅エッフェル塔エッフェル塔という声も負けず劣らず数多く寄せられました。パリ万博のためにつくられたわけですが、日本の明治時代に当たる1900年にこれだけの建造物ができたとは驚きです。日本のタワー類に比べると入場料もリーズナブルです。ただし、入場チケット購入窓口は長蛇の列になることが多いです。ネットで予約して行かれたほうがよいかもしれません。ちなみに、英語だとエッフェルというよりアイフル。アイフルタワーに近いようです。[アクセス] メトロ Bir Hakeim 駅、Trocadero 駅、 Ecole Militaire駅凱旋門ご存じ、シャンゼリゼ通り西端のシャルル・ド・ゴール広場にある凱旋門。この門を中心に、多くの通りが放射状に延びており、地図上で星のように見えるので、「星=etoileの広場(エトワール広場)la place de l'Etoile」と呼ばれているそうです。凱旋門、実は入場料 9.5ユーロで登れます。シャンゼリゼから凱旋門をバックにした記念撮影は世界の定番ですが、シャンゼリゼは結構な上り坂ですので、途中でめげないように。[アクセス] メトロ Charles de Gaulle Etoile駅ベルサイユ宮殿あのベルサイユ宮殿はパリから22キロ。ちょっと足を伸ばすだけで行けます。ただし、当日チケットを購入しようとすると、この世のものとは思えないくらいの大行列に並ばなければなりません。時間がない方は、PARIS MUSEUM PASSという事前チケットを購入するか、入場料込みのバスツアーなどで行くほうがよいかもしれませんね。[アクセス] RER C線 Versailles Rive Gauche駅壁抜け男モンマルトルのムーラン・ド・ラ・ギャレットの裏手に、作家のマルセル・エイメの名前のついた小さな広場(Place Marcel-Ayme)があります。その壁には、エイメの小説に出てくる「壁抜け男(Le Passe-muraille)」の像が! 観光客も少ない(ほとんどいない)ので、ぜひご自身も同じポーズでお写真を。サクレ・クール寺院からも歩いて行けます(西に約400m)。[アクセス] メトロ Lamarck-Caulaincourt駅とAbbesses駅の中間愛の壁Abbesses駅を出てすぐにある公園にあるタイルの壁です。この壁には世界各国の愛の言葉が書かれていて、もちろん日本語も。ちなみに、Abbesses駅はパリのメトロの中で1番地下が深いので、階段よりエレベーターがおすすめです。[アクセス] メトロ Abbesses駅モンスーリ公園 Parc Montsourisパリ花公園 Parc Floral de Parisパリのはずれにあるヴァンセンヌの森の中にある公園で、その名の通り花がたくさんあり、春夏はとくにきれいです。ソー公園 Parc de Sceauxここはパリから20分ほど電車で行った所にありますが、桜の名所として有名です。13区セーヌ川沿い(Googleマップ)公園ではありませんが、13区のセーヌ川沿いは再開発が進んで、国立図書館や映画館などができています。ここを散歩するのは大変気持ちがよくおすすめです。川岸にはビニールシートを張ったレストランがいくつもあり、とても雰囲気がよいのでゆったりとした時間が過ごせます。またセーヌ川に浮かぶプールもあります。レストランEpicureパリの名門ホテルHôtel Le Bristolのメインダイニングで、ミシュラン3つ星の高級レストラン。フランス大統領も来店するとか。[アクセス] メトロ Miromesnl駅BIstro Volnayオペラ座の近くにある、パリのBistro部門第1位(2010年)のカジュアルなお店です。あまり広くはありませんが、ワインが充実し、味もさすがです。ちなみに、バゲットについてくるリエットもおいしくて人気があるそうです。[アクセス] メトロ OPERA駅LeJules Verneフランス料理界の巨匠アラン・デュカスがプロデュースしたエッフェル塔内にあるミシュラン星付きのレストラン。しかも、レストラン専用の予約者用入口から入ると、長蛇の列に並ばずエッフェル塔に上れます。ただし、日曜日になると急に値段が跳ね上がること、キャンセルは48時間以前にしないと予約時に伝えたクレジットカードから全額引き落としになることに注意です。[アクセス] メトロ Bir Hakeim 駅、Trocadéro 駅、 Ecole Militaire駅弁慶(Benkay)パリには日本人シェフのお店が数多くあります。こちらは会員の方からの情報です。セーヌ川を望みながら、鉄板焼きや和食をいただける、NOVOTEL PARISホテル内のレストランです。「ノルマンディー地方の牛など、フランス食材を生かした日本食がおいしい」(KEN603)[アクセス] メトロ arrêt Bir-Hakeim駅、arrêt Javel ou Charles Michels駅勇鮨(Isami Zushi)ノートルダム寺院の近く、セーヌ川の中州シテ島にある寿司屋。れっきとした日本人による経営ですが、お客さんはフランス人のほうが多いようです。女優の岸恵子さんがパリ在住時に足しげく通っていたことでも有名です。Sebastien Gaudardこのお店の塩キャラメルの板チョコ「PUR IVOIRE CARAMELISE A LA FLEUR DE SEL」は世界から買いに来るとのこと。お土産にはもってこいかもしれません。クロワッサンもおいしく、2013年クロワッサンコンクールで2位に輝いています。ルーブル美術館近くに2号店があります。PAUL至るところにあるパン屋さんで、バゲットやサンドイッチなど種類がとても豊富です。朝食は3ユーロくらいから食べられます。ちなみに、ホットドリンク+デニッシュペストリーまたは2分の1バケットのセットが4.45ユーロでした(2015年)。PAULは日本にも進出していますが、本場は日本とは比べものにならないほど安くておいしいです。Le Pario15区にあるフレンチレストランです。2013年にオープンしたボーグルネル・ショッピングセンターからも近いので買い物のついでに立ち寄ることもできます。ここのフレンチは結構日本人好みなのではないかと思います。しかも値段もそれほど高くないので気軽に行けるお店です。基本的にフランスのレストランは接客が遅く、注文を取りにくるのも、料理が来るまでもとても時間がかかります。しかし、ここは接客がとてもスムーズで時間もそれほどかからず、そういった点でも快適に過ごせるお店です。Restaurant Solaパリ在住の日本人に大人気のお店です。日本人シェフによるフランス料理で、ミシュランの1つ星を獲得したそうです。予約が必須です。アクティビティセーヌ川ディナークルーズツアーを行っている会社が数社あります。日本でいえば、東京湾の屋形船のようなものですが、パリではまったく雰囲気が違いますね。エッフェル塔近くで停泊し、毎時に行われるエッフェル塔のシャンパンフラッシュを間近で見せてくれます。ただし、帰りが遅くなるので注意が必要です。バトー・ムッシュのクルーズバトー・パリジャンのクルーズ2CVパリツアーシトロエンの往年の名小型車、2CVでパリ市内を巡ってくれます。英語対応もあります。コンバーチブルの2CVならオープンエアドライブも可能。ただし、寒さには気を付けて。

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左室駆出率低下の心不全、年齢・性別問わずβ遮断薬が有効/BMJ

 左室駆出分画(LVEF)が0.45未満の心不全患者に対するβ遮断薬は、年齢や性別を問わず、死亡リスクや心不全による入院リスクをいずれも低下する効果があることが、11の無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析の結果、明らかになった。英国・バーミンガム大学のDipak Kotecha氏らが行った試験で明らかにしたもので、BMJ誌オンライン版2016年4月20日号で発表した。同服薬について、現状では高齢や女性の患者において、効果が実証された用量よりも少ない量を服用している場合が少なくないという。結果を踏まえて著者は、「年齢、性別を問わず、低LVEFの心不全患者はβ遮断薬を投与されるべきである」とまとめている。全死因死亡率や心不全による入院率を比較 研究グループは、ベースラインで正常洞調律を保ち、LVEFが0.45未満の心不全患者を対象にしたプラセボ対照無作為化試験についてメタ解析を行い、β遮断薬の有効性および忍容性と、被験者の年齢および性別との関連を検証した。 分析対象としたのは、11試験、被験者総数1万3,833例で、被験者の年齢は40~85歳(中央値64歳)、女性の割合は24%だった。 主要評価項目は、全死因死亡率、主な副次的評価項目は心不全による入院とした。解析はintention-to-treatにて、補正後一段法Cox比例ハザードモデルを用いて行った。β遮断薬による入院リスク低下効果は、年齢が上がるにつれ減少 結果、中央値1.3年の追跡期間中、β遮断薬による死亡率の絶対低下幅は4.3%、治療必要数(NNT)は23だった。 β遮断薬服用群はプラセボ群に比べ、年齢を問わず死亡率低下の効果が認められた。年齢で区切った第1四分位群(年齢中央値:50歳)では、β遮断薬群のプラセボ群に対する死亡ハザード比は0.66(95%信頼区間[CI]:0.53~0.83)だったのに対し、第2四分位群(同:60歳)は0.71(同:0.58~0.87)、第3四分位群(同:68歳)は0.65(同:0.53~0.78)、第4四分位群(同:75歳)は0.77(同:0.64~0.92)であり、年齢を連続変数とみた場合、β遮断薬による死亡リスク減少効果との関連はみられなかった(p=0.10)。 心不全による入院リスクも、β遮断薬によって有意な低下がみられた。ただしその効果は年齢が上がるにつれて減弱がみられた(交互作用に関するp=0.05)。 一方、β遮断薬の性別による効果の差は、どの年齢群においても認められなかった。服用中止率は、実薬かプラセボか(14% vs. 15.6%)、また年齢や性別にかかわらず同程度だった。

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冠動脈バイパス術が長期生命予後改善効果を有することが22年ぶりに報告された(解説:大野 貴之 氏)-524

 虚血性心筋症(EF35%以下の低心機能を伴った安定冠動脈疾患)に対する治療として、薬物治療群(602例)とCABG群(610例)を比較したランダム化試験がSTICH試験である。2011年に追跡期間5年の結果が報告されたが、心臓血管死に関してはぎりぎり有意差を検出したが、全死亡に関して有意差は検出されなかった。今回、追跡10年間の結果が報告された。その結果、全死亡は薬物群66.1%に対してCABG群58.9%(p=0.02)、心臓血管死は49.3%対して40.5%(p=0.006)であった。 CABGの真の治療効果とその大きさを評価することは、薬物治療と比較したランダム化試験により可能であると考えている。現時点では、STICH試験以外で該当するのはYusuf氏らのメタ解析(1994年報告)、MASS II試験(2010年報告)、BARI II試験試験(2010年報告)の3つしかない。全死亡は、最もハードなエンドポイントであり、CABGの治療効果をかなり正確かつ客観的に評価することが可能である。Yusuf氏らは、安定冠動脈疾患患者2,649例を対象として、追跡5年から10年間において薬物治療よりもCABGが優れていることを報告した。このレベルAのエビデンスが、その後長い期間にわたり心臓外科医が自信を持ってCABGを執刀する支えとなってきた。しかし、最近は薬物治療が古い、とくにスタチンがない時代の試験結果であるとの批判が出てきた。また、心臓外科医の立場からみれば90%は内胸動脈を使用しておらず、10年以上にわたる長期の治療効果は期待できない。また、MASS II試験はおそらく対象患者は少ないこと、BARI II試験も対象患者は少なく追跡期間も5年と短期間であることから、全死亡に関しては有意差を認めていない。 今回のSTICH試験の結果は、Yusuf氏ら以来、22年ぶりに「冠動脈バイパス術が長期生命予後改善効果を有する」ことを報告したものである。EF35%以下の低心機能を伴った安定冠動脈疾患を対象としているが、対象患者数は1,212例と比較的多く、追跡期間も内胸動脈を使用したCABGの生命予後改善効果が十分に発揮される10年に達している。また、その治療効果の大きさを治療効果発現必要症例数number needed to treat(NNT)で表すと10年間でNNT=14となる。「この10年間で、NNT=14という数字をどのように解釈するのか?」に関するコメントは難しい。参考になるエビデンスを2つ挙げる。SYNTAX試験結果、3枝病変に対するPCIと比較したCABGの生命予後改善効果の大きさは、5年間でNNT=19、FREEDOM試験では糖尿病・多枝病変に対するPCIと比較したCABGの生命予後改善効果の大きさも5年間でNNT=19となる。この2つの試験結果により、米国・ヨーロッパの新しいガイドラインは、共に3枝病変あるいは多枝病変・糖尿病患者ではCABGが第1選択であるという考え方に基づいて作成されている。

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EuroPCR 2016 注目の演題

2016年5月17~20日、フランス・パリでEuroPCR 2016が開催されます。EuroPCRでは今年も魅力的な最新研究が多数発表されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考としていただけるよう、Late Breaking Trialをはじめとした注目演題に関するアンケートを実施し、その結果を学会開催前にご紹介します。また、観光名所やレストランなど開催地パリのおすすめスポットについて、会員の方々から情報をお寄せいただきました。ぜひご活用ください。EuroPCR 2016 開催地パリのおすすめスポットはこちら欧州留学中の循環器内科医が選んだEuroPCR 2016注目の演題はこちら※演題名および発表順は4月20日時点でEuroPCR 2016のウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Update on BRSChairperson: A. Al Nooryani M. JonerPanellist: S. Cook M. Sabaté M. Valgimigli R. Vijayvergiya P. Vranckx A. Yildirim<5/17(火) 12:00-13:30、Theatre Bordeaux>1.Two-year clinical, angiographic and serial OCT follow-up after implantation of everolimus-eluting BRS and everolimus-eluting metallic stent: insights from the randomised ABSORB Japan trial2.Six-year follow-up of the first-in-man use of a polylactide everolimus-eluting BRS for the treatment of coronary stenosis: an assessment of FFR by multislice CT3.Effect of DAPT termination at 12 months on very late scaffold thrombosis in regular clinical practice: data of a regional collaboration including 868 patients 4.Thirty-day results of the Italian diffuse / multivessel disease ABSORB prospective registry (IT-DISAPPEARS)5.Clinical outcomes following coronary revascularisation with the everolimus-eluting BRS in patients with diabetes: the ABSORB trial diabetic study6.Thirty-day outcome of the Italian ABSORB registry (RAI), a prospective registry of consecutive patients treated with biovascular scaffold7.France ABSORB registry: in-hospital and one-month results in 2,000 patientsQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLate-breaking trials and trial updates in coronary interventionsChairpersons: T. Cuisset J.F. TanguayPanellist: S. Cook M. Sabaté M. Valgimigli R. Vijayvergiya P. Vranckx A. Yildirim<5/17(火) 15:30-17:00、Theatre Bordeaux>1.The balance of thrombosis and bleeding in patients at high bleeding risk from Leaders Free trial2.Six-month versus 12-month DAPT following long-length everolimus-eluting stent implantation3.Randomised, double-blinded, placebo-controlled trial of intramyocardial autologous bone marrow CD133+ cells on left ventricle perfusion and function in patients with inducible ischaemia and refractory angina (REGENT-VSEL) 4.The final 5-year results from the COMPARE II trial: the first real long-term results between biodegradable polymer biolimus-eluting stent and durable polymer everolimus-eluting stent5.5-year non-enrolled TWENTE: clinical outcome of participants in the randomised TWENTE trial vs. non-enrolled eligible patients, treated with the same second-generation DES6.3-year clinical follow-up of the RIBS V randomised clinical trial7.A randomised control trial comparing two DES on the degree of early stent healing and late neointima progression using longitudinal sequential OCT follow-up: the OCT-ORION studyQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するTAVI-registriesChairpersons: A. Cribier A.S. PetronioPanellist: M. Chen U. Gerckens K. Hayashida<5/17(火) 15:30-17:00、Room Maillot>1.Late outcomes of TAVI in high-risk patients: FRANCE 2 registry2.SOURCE 3 post-approval registry - early outcomes in 1,946 TAVI patients with a third-generation balloon expandable transcatheter heart valve3.30-day registry results using a second generation transfemoral aortic valve implantation system for the treatment of patients with severe aortic stenosis 4.Implantation of novel balloon-expandable transcatheter heart valves into degenerated surgical aortic bioprostheses: matched comparison and insights from the Valve-In-Valve International Data (VIVID) registry 5.Acute and 30-day outcomes of women after TAVI: results from the first Women IN Transcatheter Aortic Valve Implantation (WIN-TAVI) real world registry 6.TAVI in hospitals with and without on-site cardiac surgery department: insights from the prospective German aortic valve replacement quality assurance registry (AQUA) in 17,919 patients7.The RESPOND study: safety and efficacy of a fully repositionable and retrievable aortic valve used in routine clinical practiceQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するAdvances in PCI procedural techniqueChairperson: I. Al Rashdan W. WijnsPanellist: D. Kettles R. Mohd Ali S. Nakamura S. Pala A.Pichard M. Singh Sandhu<5/18(水) 08:30-10:00、Theatre Bordeaux>1.Impact of radial vs. femoral access on acute kidney injury in patients with ACS invasively managed: the AKI-MATRIX (Acute Kidney Injury-Minimising adverse hemorrhagic events by TRansradial access site and systemic Implementation of angioX) substudy2.The first report of a prospective, controlled, randomised, open-labeled, multicentre, clinical study “rap and beat trial” to evaluate safety and efficacy of novel 6Fr small outer diameter sheath for transradial coronary angiography and intervention.3.What is the better stent and the better access for the treatment of the left main in the era of second-generation DES? Insights from the FAILS-2, a multicentre registry including 1,270 patients 4.Upper extremity function post-transradial (TR)-PCI: interim results 5.Sealing intermediate non-obstructive coronary SVG lesions with DES as a new approach to maintaining vein graft patency and reducing cardiac events: the VELETI II randomised clinical trial6.Prospective randomised comparison of clinical and angiographic outcomes between everolimus-eluting vs. zotarolimus-eluting stents for treatment of coronary restenosis in DES: IVUS volumetric analysis 7.Impact of coronary CT angiography on planning of bifurcation PCI8.Structural damage of jailed guidewire during the treatment of coronary bifurcations: a microscopic randomised trialQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するNew valvular interventions and enabling technologiesChairpersons: M. Buchbinder T. FeldmanPanellists: P.J. Fitzgerald R. Makkar G. Manoharan I. Reda<5/18(水) 14:45-16:15、Room Maillot>1.Does use of a direct thrombin inhibitor prevent the occurrence of cerebral emboli during TAVI? Insights from the BRAVO-3 study2.A pooled analysis of triguard cerebral protection compared to unprotected transcatheter aortic valve replacement. Results of a pooled patient level analysis3.12-month results of a novel large access closure device: insights from the FRONTIER II trial4.LAA occlusion vs. standard care in patients with atrial fibrillation and intracranial hemorrhage: A propensity matched score follow-up study5.One-year follow-up date of a novel self-expanding TAVI system in a prospective, bi-centric, single arm pilot trial 6.Mitral valve repair using a novel percutaneous septal sinus shortening device7.Millipede percutaneous mitral annuloplasty ringQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するFFR/iFRChairperson: C. Di MarioPanellists: C. Berry N. Curzen J. Davies N.R. Holm<5/19(木) 10:30-12:00、Room Maillot>1.Impact of routine FFR on management decision and one-year clinical outcome of ACS patients insights from the POST-IT and R3F integrated multicentre registries - implementation of FFR in routine practice (PRIME-FFR)2.iFR/FFR and IVUS-guided percutaneous coronary revascularisation with new-generation DES in patients with De Novo three vessel disease: 30-day outcomes of the SYNTAX II trial3.DEFINE REAL: a prospective, observational, non-randomised, European, multicentre registry, collecting real-life information for the utilisation of instantaneous wave-free ratio (iFR) in assessing coronary stenosis relevance in the multivessel disease patients population4.Image-based FFR during coronary catheterisation5.Diagnostic accuracy of a fast computational approach to derive FFR from coronary X-ray angiography: results from the international multicentre FAVOR (Functional Assessment by Various flOw Reconstructions) pilot studyQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する欧州留学中の循環器内科医が選んだEuroPCR 2016注目の演題EuroPCR 2016開催に当たり、欧州で循環器内科臨床医として活躍する金子 英弘氏が注目の演題を厳選して紹介する。さすが世界最大のカテーテルインターベンション・ライブコース!というラインアップで、どれも注目演題ですが、個人的な興味も含めて紹介させていただきます。Two-year clinical, angiographic and serial optical coherence tomographic follow-up after implantation of everolimus-eluting bioresorbable scaffold and everolimus-eluting metallic stent: insights from the randomised Absorb Japan trial今回のEuroPCRでもBRS(bioresorbable scaffold:生体吸収性スキャフォールド)についての演題が目立ちます。その中で、Absorb Japan trialからのデータが、late-breaking trialとして発表されます。Absorb Japanについては、治療後12ヵ月のメインデータがすでに昨年のEuropean Heart Journal誌に掲載されていますが1)、今回は術後2年の臨床成績、そして血管造影・OCT解析の結果が報告されます。EuroPCRのlate-breaking trialということで世界的にも大きな注目を集める発表になりますが、日本でのBRS導入を間近に控えた今、日本からの参加者にとっては間違いなく見逃せない演題です。TAVI関連からは2つの演題を選びました。SOURCE 3 post-approval registry - early outcomes in 1946 TAVI patients with a third generation balloon expandable transcatheter heart valveSOURCE 3は、次世代TAVIデバイスであるSapien 3(Edwards Lifesciences社)の、CEマーク取得後のヨーロッパでの多施設レジストリです。Sapien 3は、ヨーロッパではすでにTAVIの標準デバイスとしての地位を確立し、先のACC 2016では外科大動脈弁置換術を上回る良好な結果が報告されたばかりです2)。近々、日本でも導入が予定されていることから、日本でTAVIを行っている施設の先生方も注目されるのではないかと思います。Implantation of novel balloon-expandable transcatheter heart valves into degenerated surgical aortic bioprostheses: matched comparison and insights from the Valve-In-Valve International Data (VIVID) registry変性した生体外科大動脈弁に対するTAVI(valve-in-valve)のレジストリからのデータです。欧米では標準的な治療として行われているvalve-in-valveの手技ですが、日本ではTAVIの適応から外れています。一方で、日本人の患者さんは長寿の方が多く、今後、生体弁による外科大動脈弁置換術手術を受けた方の再治療で、TAVIを考えざるを得ない患者さんに出会う機会も増えてくるのではないかと予想されます。今回のような大規模レジストリで良好な結果が報告されれば、日本でも将来的にvalve-in-valveにもTAVIの適応が広がる可能性があります。そういった意味でも、本試験の結果には注目が集まります。New valvular interventions and enabling technologiesのセッションにも注目演題が並びます。LAA occlusion vs. standard care in patients with atrial fibrillation and intracranial haemorrhage: a propensity matched score follow-up study脳出血の既往のある心房細動患者に対する抗凝固療法は、実臨床において非常に難しい判断を要します。そして、このような患者さんこそが左心耳閉鎖の最も良い適応と考えられます。現在、勤務している施設では左心耳閉鎖についてはconservativeな適応としていますが、それでも脳出血の既往のある方には、積極的に左心耳閉鎖を行っています。日本でも、このような患者さんを念頭に置いた左心耳閉鎖デバイスへの期待は高まっており、きわめて実臨床のニーズに即した研究です。Mitral valve repair using a novel percutaneous septal sinus shortening deviceMillipede percutaneous mitral annuloplasty ring僧帽弁閉鎖不全(MR)に対するニューデバイスに関する発表です。MRに対するカテーテル治療のデバイスとしては、MitraClip(Abbott Vascular社)が最も普及しており、ヨーロッパでのMRに対するカテーテル治療の98%以上がMitraClipを用いて行われていると言われています。しかしながら、MitraClipですべてのMRが治療できるわけではなく、現在、約40種類ものデバイスが開発中です。本セッションで紹介されるデバイスがMitraClipに続くデバイスとなるのでしょうか?これ以外にもHot Lineセッションを含め、EuroPCR 2016は見どころ満載です。初夏のパリを舞台に発表される、カテーテルインターベンションの最新知見の数々、非常に楽しみです。参考文献1)Kimura T, et al. Eur Heart J. 2015;36:3332-3342.2)Thourani VH, et al. Lancet 2016 Apr 1 [Epub ahead of print] .

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TIA後の心血管系イベントリスク、従来より低下/NEJM

 一過性脳虚血発作(TIA)発症後の心血管系イベントリスクは先行研究報告よりも低いことを、フランス・Bichat HospitalのPierre Amarenco氏らTIAregistry.org研究グループが、21ヵ国4,789例の患者を対象とした国際多施設共同前向き観察試験の結果、明らかにした。1997~2003年に行われた研究では、TIAまたは軽症脳卒中の発症後3ヵ月間の脳卒中または急性冠症候群発症のリスクは12~20%と推定されていた。その後、TIA治療は大きく変化したが、最近の患者の予後やリスクスコアシステムの有用性については明らかになっていない。研究グループによるTIAregistry.orgプロジェクトは、脳卒中専門医が緊急性を評価するようになった現行医療体制下で治療を受けた、TIAまたは軽症脳卒中患者の最新のプロファイル、再発等のリスク因子、そしてアウトカムを明らかにするようデザインされた研究であった。NEJM誌2016年4月21日号掲載の報告。21ヵ国61施設で4,789例を登録し前向き観察研究 試験は、2009~11年に21ヵ国61施設で4,789例を登録して行われた。 試験参加施設はいずれも、TIAの緊急性評価を行う体制が整備されており、被験者は発症から7日以内のTIAまたは軽症脳卒中患者であった。 研究グループは、1年後の脳卒中リスク、および脳卒中・急性冠症候群・心血管系が原因の死亡の複合アウトカムのリスクを推定。また、脳卒中リスクを評価するABCD2スコア(範囲:0[最低リスク]~7[最高リスク])、脳画像所見、およびTIAまたは軽症脳卒中発症と、1年間の脳卒中再発リスクとの関連を調べた。発症後1年時点の複合心血管転帰の発生率6.2%、脳卒中は5.1% 解析には被験者4,583例が組み込まれた。平均年齢は66歳、男性が60.2%を占め、病歴は高血圧が70.0%、脂質異常症69.9%など、元喫煙者は24.6%、現在喫煙者は21.9%などであった。入院期間中央値は4日、発症後24時間以内に脳卒中専門医の評価を受けたのは3,593例(78.4%)であった。臨床的症状で最もよくみられたのは、筋力低下(55.0%)、言語の異常(48.3%)。また、ABCD2スコアについて、発症後24時間以内に脳卒中専門医による評価を受けた患者のほうが(4.7±1.5)、24時間後に評価を受けた患者(3.8±1.6)よりも有意に高かった(p<0.001)。 また全体で、患者の33.4%(1,476/4,422例)で急性期脳梗塞が、23.2%に頭蓋外・頭蓋内血管の50%以上の狭窄が1ヵ所以上、および10.4%(410/3,960例)に心房細動が認められた。 被験者の91.0%(4,200例)が中央値27.2ヵ月の追跡を受けた。Kaplan-Meier法で推定した1年時点の複合心血管アウトカムの発生率は6.2%(95%信頼区間[CI]:5.5~7.0)であった。同法推定による脳卒中発生率は2日時点1.5%、7日時点2.1%、30日時点2.8%、90日時点3.7%、365日時点5.1%であった。 多変量解析において、「脳画像検査で認められた複数の梗塞」「大動脈のアテローム硬化」「ABCD2スコア6~7」のそれぞれについて、脳卒中リスク2倍超との関連が認められた。 著者は、「今回得られた所見は、現在のTIAまたは軽症脳卒中を発症した患者の、心血管イベント再発リスクが反映されたものである。ABCD2スコアは良好なリスク予測因子であることが明らかになった。脳画像検査で認めた複数梗塞、および大動脈アテローム硬化性疾患も血管系イベント再発の強力な独立予測因子であることが判明した」と述べ、今回の結果は将来的な無作為化試験の試験デザインと解釈に役立つだろうとまとめている。

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閾値下うつ病に対する効果的なプログラム:広島大

 青年期にみられる閾値下うつ病の主な行動特性は、環境中の報酬知覚の頻度が低い。そのため、単純な介入が短いセッションで行われており、積極的な補強活動を増加させることに焦点を当てることは、報酬の可能性を高めるうえで有効であると考えられる。広島大学の高垣 耕企氏らは、毎週60分間のセッションを5週間実施した行動活性化プログラムの有効性を調べるため、ランダム化比較試験を実施した。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月22日号の報告。 18~19歳の閾値下うつ病の大学生は、治療群(n=62)、対照群(n=56)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、BDI-II ベック抑うつ質問票スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・治療群は、対照群と比較して、抑うつ症状の有意な改善が認められた(エフェクトサイズ:-0.90、95%CI:-1.28~-0.51)。・治療群は、QOL質問票の評価と行動特性において有意な改善を示した。 著者らは、「この行動活性化プログラムの検討は短期間でシンプルな介入であったにもかかわらず、きわめて有意な効果を示しており、多くの異なる施設で利用可能であると考えられる。また、長期的影響については、今後の研究対象にすべきである」とまとめている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか 生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

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封入体筋炎〔sIBM : Sporadic Inclusion Body Myositis〕

1 疾患概要■ 概念・定義封入体筋炎は中高年に発症する、特発性の筋疾患である。左右非対称の筋力低下と筋萎縮が大腿四頭筋や手指・手首屈筋にみられる。骨格筋には、縁取り空胞と呼ばれる特徴的な組織変化を生じ、炎症細胞浸潤を伴う。免疫学的治療に反応せず、かえって増悪することもある。嚥下障害や転倒・骨折に注意が必要である。■ 疫学厚生労働省難治性疾患克服研究事業「封入体筋炎(IBM)の臨床病理学的調査および診断基準の精度向上に関する研究」班(研究代表者:青木正志、平成22-23年度)および「希少難治性筋疾患に関する調査研究」班(研究代表者:青木正志、平成24-27年度)による調査では、日本には1,000~1,500人の封入体筋炎患者がいると考えられる。研究協力施設の146例の検討により男女比は1.4:1で男性にやや多く、初発年齢は64.4±8.6歳、初発症状は74%が大腿四頭筋の脱力による階段登りなどの障害であった。嚥下障害は23%にみられ、生命予後を左右する要因の1つである。顕著な左右差は、27%の症例でみられた。認知機能低下が明らかな症例はなかった。深部腱反射は正常または軽度低下する。約15%の封入体筋炎患者には全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、サルコイドーシスなどの自己免疫性の異常が存在するが、多発筋炎や皮膚筋炎と異なり、肺病変、悪性腫瘍の発生頻度上昇などは指摘されていない。血清のクレアチンキナーゼ(CK)値は正常か軽度の上昇にとどまり、通常は正常上限の10倍程度までとされる。研究班の調査ではCK値の平均は511.2±368.1 IU/Lで2,000 IU/Lを超える症例はまれであった。約20%の封入体筋炎患者は、抗核抗体が陽性とされるが、いわゆる筋炎特異的抗体は陰性である。■ 病因封入体筋炎の病態機序は不明である。筋病理学的に観察される縁取り空胞が蛋白分解経路の異常など変性の関与を、また細胞浸潤が炎症の関与を想起させるものの、変性と炎症のどちらが一次的でどちらが副次的なのかも明らかになってはいない。変性の機序の証拠としては、免疫染色でAβ蛋白、Aβ前駆蛋白(β-APP)、リン酸化タウ、プリオン蛋白、アポリポプロテイン E、α1-アンチキモトリプシン、ユビキチンやニューロフィラメントが縁取り空胞内に沈着していることが挙げられる。β-APPを筋特異的に過剰発現させたモデルマウスでは筋変性や封入体の形成がみられることも、この仮説を支持している。しかしながら、多発筋炎や皮膚筋炎の患者生検筋でもβ-APPが沈着していることから疾患特異性は高くない。筋線維の恒常性の維持は、蛋白合成と分解の微妙なバランスの上に成り立っていると想像される。封入体筋炎の病態として、Aβ仮説のようにある特定の蛋白が発現増強し、分解能力を超える可能性も考えられるが、一方で蛋白分解系が破綻し、異常蛋白が蓄積するという機序も考えられる。蛋白分解経路に重要なユビキチンE3リガーゼの1つであるRING Finger Protein 5(RNF5)の過剰発現マウスでは、筋萎縮と筋線維内の封入体形成が観察されている。骨格筋特異的にオートファジーを欠損させたマウスでは、ユビキチンE3リガーゼの発現上昇や筋変性・萎縮がみられることも報告されている。封入体筋炎の骨格筋に、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子産物であるTDP-43およびFUS/TLSが蓄積することも観察されている。TDP-43陽性線維は、封入体筋炎患者の生検筋線維の25~32.5%と高頻度に検出され、その頻度は封入体筋炎の病理学的指標とされてきた縁取り空胞やAβ陽性線維よりも高頻度である。家族性ALS関連蛋白の蓄積は、縁取り空胞を伴う筋疾患に共通する病理学的変化であり、封入体筋炎に対する疾患特異性は低いと考えられてきている。ユビキチン結合蛋白であるp62は、TDP-43以上の頻度で封入体筋炎の筋線維に染色性が認められる。近年、骨パジェット病と前頭側頭型認知症を伴う封入体性ミオパチーの家族例において、蛋白分解系の重要な分子であるVCPの遺伝子異常が見出されたが、このVCPも蛋白分解経路の重要な因子である。蛋白分解経路の異常は、封入体筋炎の病態の重要な機序と考えられる。封入体筋炎の病態として、炎症の関与も以前より検討されてきた。炎症細胞に包囲されている筋線維の割合は、縁取り空胞やアミロイド沈着を呈する筋線維よりも頻度が高いことから、炎症の寄与も少なくないと考えられる。ムンプスウイルスの持続感染は否定されたが、HIVやHTLV-1感染者やポリオ後遺症の患者で封入体筋炎に類似した病理所見がみられる。マイクロアレイやマイクロダイセクションを用いた検討では、CD138陽性の形質細胞のクローナルな増殖が、封入体筋炎患者の筋に観察され、形質細胞の関与も示されている。炎症細胞のクローナルな増殖は、細胞障害性T細胞が介する自己免疫性疾患である可能性を示唆している。ただ、封入体筋炎は、臨床場面で免疫抑制薬の反応に乏しいことから、炎症が病態の根本であるとは考えにくい。また、多発筋炎でも観察される現象であることから、疾患特異的な現象とも言いがたい。封入体筋炎は、親子や兄妹で発症したという報告も散見され、HLAなど遺伝的背景が推定されているが、元来は孤発性の疾患である。■ 症状封入体筋炎は慢性進行性で、主に50歳以上に発症する筋疾患であり、初発症状から5年以上診断がつかない例も多い。多発筋炎・皮膚筋炎が女性に多いのと対照的に、封入体筋炎は男性にやや多い。非対称性の筋脱力と筋萎縮が大腿四頭筋や手指・手首屈筋にみられる。肩の外転筋よりも手指・手首屈筋が弱く、膝伸展や足首背屈が股関節屈曲よりも弱いことが多い。■ 分類診断基準を参照されたい。■ 予後多くの症例では四肢・体幹筋の筋力低下や嚥下障害の進行により、5~10年で車いす生活となる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)1975年にBohanとPeterは炎症性筋疾患の診断基準を提唱したが、当時は封入体筋炎という概念が十分に確立されていなかった。1995年にGriggsにより封入体筋炎の診断基準が提唱され、2007年のNeedhamらの診断基準とともに国際的に広く用いられている。前述の難治性疾患克服研究事業の研究班では、全国の後ろ向き調査を基に、国内外の文献を検討し、診断基準を見直した(表)。本診断基準は、日本神経学会および日本小児神経学会から承認も受けている。表 封入体筋炎(Inclusion Body Myositis:IBM)診断基準(2013)(厚労省難治性疾患克服研究事業:希少難治性筋疾患に関する調査研究班)診断に有用な特徴A.臨床的特徴a.他の部位に比して大腿四頭筋または手指屈筋(とくに深指屈筋)が侵される進行性の筋力低下および筋萎縮b.筋力低下は数ヵ月以上の経過で緩徐に進行する※多くは発症後5年前後で日常生活に支障を来す。数週間で歩行不能などの急性の経過はとらない。c.発症年齢は40歳以上d.安静時の血清CK値は2,000 IU/Lを超えない(以下は参考所見)嚥下障害がみられる針筋電図では随意収縮時の早期動員(急速動員)、線維自発電位/陽性鋭波/(複合反復放電)の存在などの筋原性変化(注:高振幅長持続時間多相性の神経原性を思わせる運動単位電位が高頻度にみられることに注意)B.筋生検所見筋内鞘への単核球浸潤を伴っており、かつ以下の所見を認めるa.縁取り空胞を伴う筋線維b.非壊死線維への単核球の侵入や単核球による包囲(以下は参考所見)筋線維の壊死・再生免疫染色が可能なら非壊死線維への単核細胞浸潤は主にCD8陽性T細胞形態学的に正常な筋線維におけるMHC classⅠ発現筋線維内のユビキチン陽性封入体とアミロイド沈着過剰リン酸化tau、p62/SQSTM1、TDP43陽性封入体の存在COX染色陰性の筋線維:年齢に比して高頻度(電子顕微鏡にて)核や細胞質における15~18nmのフィラメント状封入体の存在合併しうる病態HIV、HTLV-I、C型肝炎ウイルス感染症除外すべき疾患縁取り空胞を伴う筋疾患※(眼咽頭型筋ジストロフィー・縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー・多発筋炎を含む)他の炎症性筋疾患(多発筋炎・皮膚筋炎)筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン病※Myofibrillar myopathy(FHL1、Desmin、Filamin-C、Myotilin、BAG3、ZASP、Plectin変異例)やBecker型筋ジストロフィーも縁取り空胞が出現しうるので鑑別として念頭に入れる。特に家族性の場合は検討を要する。診断カテゴリー:診断には筋生検の施行が必須であるDefinite Aのa-dおよびBのa、bの全てを満たすものProbable Aのa-dおよびBのa、bのうち、いずれか5項目を満たすものPossible Aのa-dのみ満たすもの(筋生検でBのa、bのいずれもみられないもの)注封入体筋炎の診断基準は国際的に議論がなされており、歴史的にいくつもの診断基準が提案されている。本診断基準は専門医のみならず、内科医一般に広くIBMの存在を知ってもらうことを目指し、より簡便で偽陰性の少ない項目を診断基準項目として重視した。免疫染色の各項目に関しては感度・特異度が評価未確定であり参考所見とした。ヘテロな疾患群であることを念頭に置き、臨床治験の際は最新の知見を考慮して組み入れを行う必要がある。臨床的特徴として、「a.他の部位に比して大腿四頭筋または手指屈筋(とくに深指屈筋)が侵される進行性の筋力低下および筋萎縮」、「b.筋力低下は数ヵ月以上の経過で緩徐に進行する」とし、多くは発症後5年前後で日常生活に支障を来すことを勘案した。「数週間で歩行不能」などの急性の経過はとらず、診断には病歴の聴取が重要である。また、遺伝性異常を伴う筋疾患を除外するために「c.発症年齢は40歳以上である」とした。そして、慢性の経過を反映し「d.安静時の血清CK値は2,000 IU/Lを超えない」とした。さらに診断には筋生検が必須であるとし、「筋内鞘への単核球浸潤を伴っており」、かつ「a.縁取り空胞を伴う筋線維」、「b.非壊死線維への単核球の侵入や単核球による包囲」がみられるものとした。これらの臨床的特徴・病理所見の6項目すべてがみられる場合を確実例、臨床的特徴がみられるが、病理所見のいずれかを欠く場合を疑い例、病理所見が伴わないものを可能性あり、とした。欧米で取り入れられている免疫染色や電顕所見に関しては、縁取り空胞の持つ意義と同様と考え、診断基準には含めなかった。封入体筋炎の診断の際には、臨床経過が重要な要素であり、中高齢の慢性進行性の筋疾患では常に念頭に置くべきである。封入体筋炎症例の一部は病期が早いことにより、また不適切な筋標本採取部位などによって、特徴的な封入体を確認することができず、診断確定に至らない場合があると考えられる。最近、cN1Aに対する自己抗体との関連性が報告されているが、今後、病態解明の進展に伴い疾患マーカーが確立されることが望ましい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)封入体筋炎の治療は確立されていない。ほとんどの例でステロイドの効果はみられない。CK値が減少したとしても、筋力が長期にわたって維持される例は少ない。免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)は、封入体筋炎に対し、とくに嚥下に関して限定的な効果を示す例がある。しかし、対照試験では、一般的な症状の改善はわずかで、統計学的な有意差は得られず、治療前後の筋生検所見の改善のみが報告されている。根本的な治療がない現状では、運動療法・作業療法などのリハビリテーション、歩行時の膝折れ防止や杖などの装具の活用も有効である。さらに合併症として、致死的になる可能性のある嚥下の問題に関しては、食事内容の適宜変更や胃瘻造設などが検討される。バルーンカテーテルによる輪状咽頭部拡張法(バルーン拡張法)も封入体筋炎患者での嚥下障害改善に有効な可能性がある。4 今後の展望マイオスタチンの筋萎縮シグナル阻害を目的とした、アクチビンIIB受容体拮抗剤のBYM338を用いた臨床試験もわが国で行われている。5 主たる診療科神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 封入体筋炎(医療従事者向けのまとまった情報)希少難治性筋疾患に関する調査研究班班員名簿(27年度)(医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働省のホームページ 指定難病 封入体筋炎の概要・診断基準(医療従事者向けのまとまった情報)1)青木正志編、内野誠監修. 筋疾患診療ハンドブック. 中外医学社; 2013: p.75-82.公開履歴初回2014年02月06日更新2016年05月03日

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神経性過食症と境界性パーソナリティ障害との関連

 小児期のトラウマ歴に基づく神経性過食症患者の発症の誘因の調査や、臨床に関連する外部検証ツールを用いた境界性パーソナリティ障害の精神病理との比較のため、米国・ファーゴ神経精神研究所のLinsey M Utzinger氏らは経験的手法にて検討した。The International journal of eating disorders誌オンライン版2016年4月1日号の報告。 本研究では、神経性過食症女性133例において、小児期のトラウマおよび境界性パーソナリティ障害の精神病理との関連を検討した。小児期のトラウマ歴に基づく被験者の分類のために、潜在プロファイル分析(LPA)を用いた。被験者には、DSM-IV I軸人格障害のための構造化面接(SCID-I/P)、境界性パーソナリティ障害診断面接紙改訂版(DIB-R)、小児トラウマアンケート(CTQ)を行った。 主な結果は以下のとおり。・LPAにより、トラウマが少ないまたはない、感情的なトラウマ、性的トラウマ、多発性トラウマの4つのトラウマプロファイルが明らかとなった。・性的および多発性トラウマプロファイルは、DIB-Rスコアの有意な上昇を示した。トラウマが少ないまたはない、感情的なトラウマプロファイルは、DIB-Rスコアでの有意差が認められなかった。・2次分析では、神経性過食症単独の場合と比較し、神経性過食症と境界性パーソナリティ障害の両方を有する場合に、複合CTスコアレベルの上昇が明らかとなった。・これらの知見は、小児期の性的虐待と多発性トラウマの付加的影響の両方が、神経性過食症における境界性パーソナリティ障害に関する精神病理にリンクすることを示唆している。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害+過食症女性の自殺リスクは 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは 境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは

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急性腎障害、低所得国ほど市中感染が原因に/Lancet

 急性腎障害(AKI)は、その約6割が市中感染で、低所得国や低中所得国ではその割合は8割と高いことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRavindra L. Mehta氏らによる、世界72ヵ国、約4,000例のデータを対象に前向きに収集して行った国際横断研究「International Society of Nephrology Global Snapshot」の結果、明らかになった。治療7日目の死亡率は、低所得国・低中所得国では12%と、高所得国や高中所得国より高率だったという。Lancet誌オンライン版2016年4月13日号掲載の報告より。289医療施設、322人の医師が前向きに症例を報告 研究グループは2014年9月29日~12月7日にかけて、72ヵ国、289の医療施設(病院、非病院含む)の322人の医師から前向きに報告された、AKIの確定診断をした4,018例の小児・成人患者データを集めて分析した。報告を受けたのは、初回診察時の徴候や症状、併存疾患、AKIのリスク因子、治療プロセス、また治療7日目、退院時、死亡時のいずれか早い時点における透析の必要性、腎機能回復、死亡率についてだった。 集めたデータを基に、被験者居住国の2014年の1人当たり国民総所得に応じて、「高所得国」「高中所得国」「低中所得国と低所得国」の3群に分類し、AKIの原因やアウトカムを比較した。最も多い原因は低血圧症と脱水 被験者全体のうち、58%(2,337例)が市中感染性AKIだった。その割合について所得国別にみると、低中所得国・低所得国は80%(889/1,118例)、高中所得国は51%(815/1,594例)、高所得国は51%(663/1,241例)だった(高所得国 vs.高中所得国のp=0.33、その他のすべての比較はp<0.0001で有意差あり)。 AKIの原因として、最も多かったのは低血圧症(40%)と脱水(38%)だった。それぞれの原因について所得国別にみると、脱水は低中所得国・低所得国で46%と最も高率で、高中所得国では32%、高所得国では39%だった。一方、低血圧症は、高所得国で45%と最も高率で、高中所得国、低中所得国・低所得国はいずれも38%だった。 治療7日目の全体の死亡率は11%だった。所得国別にみると低中所得国・低所得国が12%と、高所得国の10%、高中所得国の11%に比べ高率だった。 研究グループは、「今回の研究で、国際的に共通する因子を特定した。それはAKI治療の早期発見と治療に関する標準的アプローチにかなうものとなるかもしれない」と述べる一方、試験は被験者が少数であることや低所得での本来のAKIの要因を過小評価している可能性などがあり限定的であると指摘。「地域医療におけるAKI検出のさらなる戦略を、とくに低所得国で開発する必要がある」と述べている。

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心室補助装置、急性心筋梗塞患者の長期予後に有用

 急性心不全や心原性ショックを合併した急性心筋梗塞(AMI)患者は、従来の治療では死亡率が高い。今回、植込み型心室補助装置(VAD)による治療を受けたAMI患者の転帰を評価した研究が、Journal of American College of Cardiology誌2016年4月26日号に発表された。VAD治療を受けたAMI患者502例、うち443例が左室補助装置、33例が両心室補助装置、26例が全置換型人工心臓を使用 対象は、INTERMACS(Interagency Registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)レジストリに登録された患者のうち、AMI発症後にVAD治療を受けた患者(AMI群)で、AMI以外の理由でVAD治療を受けた患者(非AMI群)と比較された。INTERMACSデータベースは、FDAが承認した植込み型VADによる治療を全米で受けた患者を対象にした前向きのレジストリであり、2006年6月に登録を開始した。VAD治療を受けたAMI患者502例のうち、443例は左室補助デバイス、33例は両心室補助デバイス、26例は全置換型人工心臓が使用された。年齢の中央値は58.3歳で、77.1%が男性であった。 植込み時、66%がINTERMACS profile 1(重度の心原性ショック)であった。AMI患者は非AMI患者と比べて、術前の大動脈内バルーンパンピング(IABP)の使用(57.6% vs.25.3%、p<0.01)、挿管の施行(58% vs. 8.3%、p<0.01)、ECMO(体外式膜型人工肺)の使用(17.9% vs.1.7%、p<0.01)、心停止発生(33.5% vs.3.3%、p<0.01)が多く、INTERMACS profileが高かった。 VAD治療1ヵ月後、91.8%のAMI患者はVADのサポート下で生存していた。7.2%はVAD使用下で死亡し、1%は心移植を受けていた。AMI後のVAD使用群は、非AMI群に比べて死亡ハザードが低い VAD治療1年後、52%のAMI患者は、引き続きVADのサポート下で生存し、25.7%は心移植を受け、1.6%は心室機能の改善に伴いVADが取り出され、20.7%はVAD使用下で死亡した。AMI群は非AMI群に比べて、未調整の早期ハザードが高い傾向にあり(HR:1.24、p=0.04)、後期の死亡に対するHRが優れていた(HR:0.57、p=0.04)。しかしながら、確立されているリスクを考慮し多変量解析を行うと、AMI群の早期HRは非AMI群と比べて高くない(HR:0.89、p=0.30)一方で、後期死亡のHRは低いままであった(HR:0.55、p=0.02)。AMIによる心不全患者、早期の植込み型VAD治療が有用 AMI後にVAD治療を受けた患者は、AMI以外の理由でVAD治療を受けた患者と比べ、治療前の状態が重篤であったにもかかわらず、予後に関して同様の成績を示した。著者らは、植込み型VADは有効な治療であり、AMIで心拍出量が低く薬物治療に反応しない患者には早期に考慮されるべきであると結論付けている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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肥満と乳がん予後の関連、BMIより腰囲が重要

 肥満と乳がんの予後との関連について、診断前にヒップ周囲径が100cmを超えていた女性は全死因死亡や乳がん死亡リスクが高く、BMIは生存率と関連していなかったとフランス国立保健医学研究所(INSERM)のMathilde His氏らが報告した。International journal of cancer誌オンライン版2016年4月22日号に掲載。 肥満は、乳がん患者における予後不良に関連しているが、ほとんどの研究はBMIに焦点を当てており、脂肪組織の分布を考慮しているものは少ない。著者らは、診断前の肥満状態と乳がんの生存率との関連について、BMI、ウエスト周囲径(WC)、ヒップ周囲径(HC)、ウエスト/ヒップ比(WHR)により検討した。 分析の対象は、フランスの前向き研究のE3Nコホートにおいて1995~2008年に原発性浸潤性乳がんと診断された3,006例の女性。腫瘍特性および生活習慣リスク因子を調整したCox比例ハザードモデルを用い、全生存率・乳がん特異的生存率・無病生存率について、全体およびStage・閉経状態・ホルモン状態・診断年ごとに検討した。 主な結果は以下のとおり。・診断前にHCが100cmを超えていた女性は、95cm未満の女性と比較して、全死因死亡リスク(ハザード比[HR]:1.38、95%信頼区間[CI]:1.02~1.86、傾向のp=0.02)、乳がんでの死亡リスク(HR:1.50、95%CI:1.03~2.17、傾向のp=0.03)、2次浸潤がんイベントでの死亡リスク(HR:1.36、95%CI:1.11~1.67、傾向のp=0.002)が高かった。・これらの関連は、BMI調整後のほうが強かった。・BMI、WC、WHRは乳がん診断後の生存率と関連していなかった。

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いま一度ガイドラインの功罪を考える(解説:野間 重孝 氏)-521

 エピネフリンは、強烈かつ即効的なα・β刺激作用により、強力な陽性変時作用、陽性変力作用に加え血管収縮作用を有する薬剤であり、何十年にもわたって心肺蘇生になくてはならない薬剤として使用されてきた。米国心臓協会が、初めて心肺蘇生についてのガイドラインを発表したときも(1974年)、本剤は当然のようにそのラインナップに加わっていた。しかし、一方でその使用根拠、使用法については議論が分かれるところであり、最新のAHAガイドラインにおいては、ショックに陥っていない不整脈患者においては3~5分おきに、ショックリズム(つまりVT、vf)患者に対しては2回目の除細動後3~5分後から使用を開始すべきだとしている。その表現も“it is reasonable to consider”という、遠回しというか歯切れの悪い表現でなされている。 つまり、伝統的に使用されてきた薬剤ではあるが、少なくとも心肺蘇生においてはどのように積極的な役割を果たしていいのかが科学的にはっきりしない以上、その使用は慎重に、といいたいのだろう。ちなみに、3~5分というのはエピネフリンの半減期に当たる。 では、実際にはこの薬剤はどのように使用されているのだろうか? この点に焦点を当てたのが今回の研究である。 研究班は、300超の参加施設から2,978例の心肺蘇生例を前向きに収集し、分析した。すると、AHAガイドラインを無視して最初の除細動から、しかも2分以内にエピネフリンが投与された例が51%あり、それらの例では、ガイドラインが順守された場合に比べて明らかに生存率、心拍再開率、機能アウトカムのいずれにおいても劣った成績を示すことが示された。評者としては、著者らの筆致がガイドラインを守れという上から目線のものではなく、とにかくこういった強力でかつ作用機序の完全に確立しているわけではない薬剤の使用については慎重にしましょう、というところで止めているのが印象的といえば印象的だった。今回についていえば、AHAの慎重な姿勢が功を奏したというべきだろう。 なお、本研究からは除細動前にエピネフリンが投与された例は除外されている。この点を述べておかないとわかりにくくなると考えるので、付け加える。 さて、ガイドラインという言葉を辞書で引いてみると「医療者と患者が特定の臨床状況での適切な診療の意思決定を行うことを助ける目的で系統的に作成された文書」といった、かなり型にはまった定義がされている。リアルワールドにおいて、学生たちにしてみればガイドラインを暗記していることが国家試験に受かるか落ちるかの境目だろうし、一般実地医家にしても、医療訴訟の場合にガイドラインが重大な意味を持つことは、いうまでもないだろう。 しかし、ガイドラインは定期的に改訂されるのである。それは、新しいエビデンスが提出されるから、ということになるのだが、技術的に成長の著しい分野や新発見のあった分野ならうなずけるが、そうではない分野でも改訂が行われているのである。これはなぜなのか? 理由は簡単で、ガイドライン通り治療しない医師が多数いるからなのである。そして、それを悪いとばかりもいえないのが医療の世界なのではないかと思う。 循環器以外の領域に例をとって恐縮なのだが、昨年発表された『脳卒中治療ガイドライン2015』では、脳卒中急性期における血管内治療に対して「急性期の経皮的血管形成術/ステント留置術やその他の手技を用いた再開通療法についての報告は、患者対照研究、症例集積研究のエビデンスレベルにとどまっており、勧告を行うための十分な資料がない」として、IIb-IIIの評価を与えた。これは、いわゆるHonolulu shockによるものであることをご存じの方も多いと思う。 2013年にHonoluluで開催された、International Stroke Conferenceで3つのランダム化試験が発表され、いずれにおいてもその有効性が否定されてしまったのである。これがHonolulu shockである。ところが、翌2014年、Nashvilleで開催された同学会において、逆に積極的なデータを示す3演題が話題になり、今度はNashville hopeと喝采を浴びた。私たち循環器科医からすると、急性期に血栓除去療法をすることのどこが悪いのかが当初わからず、脳循環器系と心臓の血管の性格の違いなのか、などと首をかしげていたのだが、少し胸のつかえが取れたような気がしている。もちろん、これからどうなるかはわからないが…。 つまり、ガイドラインは、一方で初学者や発展途上にいる医師たち、実地医家を強く縛りながら、もう一方ではこういったチャンバラが繰り広げられている世界なのである。 そこで今回の研究に戻るが、さて、なぜこの研究は立案されたのだろうか? 先ほどNashville hopeの話をしたが、一部の方々のひんしゅくを買うことを恐れずにあえて申せば、エピネフリンをどう使用するかというのは、それほど重要な課題なのだろうか?300超の施設が3,000例近い前向き研究をする研究課題なのだろうか? 実際、評者自身は、心肺蘇生でここ長らくエピネフリンを使用していない。 最近、取り扱う事柄の規模、重要性がそれほど高いと思えないにもかかわらず、大変な数の協力施設が集まり、驚くほどの症例数を集める研究に出会うチャンスが多い気がするのは評者だけではないと思うが、いかがだろうか? しかも勘繰れば、この研究には、もし良い結果が出れば「ガイドラインに改訂を迫る」と喧伝し、悪い結果が出れば「やはりガイドラインの慎重な姿勢に見習うべきだ」という、二股膏薬的なものを感じるといえば言い過ぎだろうか? その真意には真理の追究というより、大きなリスクを取ることなく業績集を厚くしたいという、安易な欲望が透けて見えてしまうのである。 ガイドラインは縛りにもなるが、一方で研究立案者たちにメシのタネを提供しているのではないか。もし、そうであるとすると悲しい気がする。評者の邪推であることを祈る。

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駆出率低下心不全、自家骨髄由来の細胞療法で転帰改善/Lancet

 ixmyelocel-T細胞療法は、虚血性拡張型心筋症に起因する駆出率が低下した心不全患者の転帰を改善することが、米国・ユタ大学のAmit N Patel氏らが行ったixCELL-DCM試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年4月4日号に掲載された。ixmyelocel-Tは、選択的に増殖させた患者骨髄由来の2種の単核細胞(CD90陽性間葉系幹細胞、CD45陽性/CD14陽性/自家蛍光陽性の活性化マクロファージ)を用いた細胞療法である。初期の臨床試験において、虚血性拡張型心筋症による心不全患者に心筋内投与し、臨床、機能、症状、QOLの転帰を改善する可能性が示唆されている。126例を対象にプラセボと比較する無作為化第IIb相試験 ixCELL-DCM試験は、駆出率が低下した心不全患者におけるixmyelocel-T細胞療法の安全性と有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第IIb相試験(Vericel社の助成による)。 対象は、年齢30~86歳、虚血性拡張型心筋症によりNYHA心機能分類III/IV度の心不全を来し、左室駆出率≦35%、植込み型自動除細動器(AICD)を装着した患者であり、再血行再建術を受けた患者は除外した。 被験者は、カテーテルを用いてixmyelocel-Tを経心内膜注入する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、12ヵ月のフォローアップが行われた。治療割り付け情報は、薬剤師、治療医、コーディネーターにはマスクされなかったが、フォローアップを行う医療チームは完全な盲検とされた。 主要評価項目は、全死因死亡、心血管疾患による入院、急性非代償性心不全の複合エンドポイントとし、独立の臨床審査委員会が判定を行った。 2013年4月2日~15年1月28日までに、北米の31施設に126例(ixmyelocel-T群:60例、プラセボ群:66例)が登録され、それぞれ58例、51例が有効性のper-protocol解析の対象となった。複合エンドポイント、重篤な有害事象が有意に良好 ベースラインの平均年齢は、ixmyelocel-T群が65.3(8.49 SD)歳、プラセボ群は64.7(9.94 SD)歳で、女性がそれぞれ5.2%、11.8%含まれた。 1年間に、全体で47例に複合エンドポイントが発生した。ixmyelocel-T群の発生率は38%(22/58例、イベント数:38件)であり、プラセボ群の49%(25/51例、イベント数:50件)に比べ有意に低かった(リスク比:0.63、95%信頼区間[CI]:0.42~0.97、p=0.0344)。 副次評価項目であるwin ratio(p=0.1391)および臨床的心血管イベントの初回発生までの期間(p=0.1667)に有意な差はみられなかった。 左室収縮末期容積(LVESV)、左室拡張末期容積(LVEDV)、左室駆出率で評価した左室内腔サイズの構造的変化にも、全体として有意な差は認めなかった。 また、6分間歩行距離およびNYHA心機能分類はいずれも、両群とも経時的に改善する傾向がみられ、1年時に有意な差はなかった(それぞれp=0.9303、p=0.8689)。 治療関連有害事象の発生率は、ixmyelocel-T群が20%(12/59例)と、プラセボ群の42%(23/55例)に比べ有意に良好であった(p=0.0154)。また、重篤な有害事象の発生率は、ixmyelocel-T群が53%(31/59例)であり、プラセボ群の75%(41/55例)に比し有意に少なかった(p=0.0197)。 著者は、「ixmyelocel-Tは、適切な薬物療法がないNYHA心機能分類III/IV度の虚血性うっ血性心不全患者に対する細胞療法の選択肢となる可能性がある」とまとめ、「患者自身の細胞を用いた生物学的製剤は、今後、うっ血性心不全の管理において大きな可能性を有すると考えられる」と指摘している。

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