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COPD急性増悪、HOT+在宅NIVで予後改善/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪後に高炭酸ガス血症が持続する患者において、在宅酸素療法(HOT)に加え在宅非侵襲的換気療法(NIV)を併用することにより、12ヵ月以内の再入院または死亡までの期間が延長した。英国・セント・トーマス病院のPatrick B. Murphy氏らが、多施設共同無作為化非盲検並行群間比較第III相試験の結果を報告した。NIVを必要とするようなCOPD急性増悪後の転帰は悪く、再入院や死亡を予防するための治療はほとんどなかった。JAMA誌オンライン版2017年5月21日号掲載の報告。HOT+在宅NIVの有効性、12ヵ月以内の再入院・死亡までの期間で評価 研究グループは、2010~2015年に英国13施設において、呼吸性アシデミア(非代償性アシドーシス、動脈血pH>7.30)改善後の病状が安定した2~4週に高炭酸ガス血症が持続する患者(PaCO2>53mmHg)を登録し、HOT単独群とHOT+在宅NIV群に1対1の割合で無作為に割り付けた。肥満(BMI>35)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、他原因の呼吸不全などの患者は除外した。スクリーニングされた患者2,021例中適格症例は124例で、このうち116例が無作為化された。 主要評価項目は、これまでのCOPDによる入院回数、長期酸素療法の使用歴、年齢、BMIを補正した12ヵ月以内の再入院または死亡までの期間とした。統計解析には、Cox比例ハザード回帰モデルを使用した。再入院・死亡までの期間はHOT+在宅NIV療法で延長、死亡率に有意差なし 116例の患者背景は、平均(±SD)年齢67±10歳、女性53%、平均BMIが21.6(IQR:18.2~26.1)、平均1秒量0.6±0.2L、平均室内気吸入下PaCO2が59±7mmHgであった。HOT単独群59例(酸素流量中央値1.0L/分[IQR:0.5~2.0L/分])、HOT+在宅NIV群57例(酸素流量中央値1.0L/分[IQR:0.5~1.5L/分])で、12ヵ月間の試験を完遂したのは合計64例(HOT単独群28例、HOT+在宅NIV群36例)であった。在宅での換気設定中央値は、吸気気道陽圧24(IQR:22~26)cmH2O、呼気気道陽圧4(IQR:4~5)cmH2O、バックアップ換気回数14(IQR:14~16)回/分であった。 再入院または死亡までの期間中央値は、HOT+在宅NIV群4.3ヵ月(IQR:1.3~13.8ヵ月)に対し、HOT単独群は1.4ヵ月(IQR:0.5~3.9ヵ月)で、補正ハザード比は0.49(95%信頼区間[CI]:0.31~0.77、p=0.002)であった。12ヵ月間の再入院または死亡リスクは、HOT+在宅NIV群63.4%に対し、HOT単独群は80.4%、絶対リスク減少率は17.0%(95%CI:0.1~34.0)であった。12ヵ月時点での死亡は、HOT+在宅NIV群16例、HOT単独群19例であった。 なお、著者は、二重盲検デザインではないことや、HOT単独群に割り付けられた患者が主要評価項目に達した場合は在宅NIVを追加した実用的試験であることなどを研究の限界として挙げている。

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下気道感染症の抗菌薬処方戦略/BMJ

 合併症のない下気道感染症の若年および成人患者において、抗菌薬を即時処方してもその後の入院または死亡は減少しない。もともと、このような入院や死亡はまれである。英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らが、異なる抗菌薬処方戦略による有害転帰への影響を評価する前向きコホート研究(Cough Complication Cohort:3C)の結果を報告した。英国のGeneral Practice Research Database(GPRD)を用いた2つの試験では、抗菌薬の処方により肺炎リスクが減少する可能性が示唆されている。しかし、どちらの試験も、入院や死亡といった有害転帰への影響は記録されておらず、交絡因子も調整されていなかった。著者は、「医師が抗菌薬の処方を検討しているなら、病状悪化による再診の減少が認められた延期処方のほうが望ましい」と結論づけている。BMJ誌2017年5月22日号掲載の報告。抗菌薬処方戦略別に再診、入院/死亡を追跡調査 研究グループは、英国の一般診療クリニックを受診した16歳以上の下気道感染症患者2万8,883例を登録し、初回診察時に患者の症状や所見、抗菌薬処方戦略(処方なし、即時処方、延期処方)について記録した。初回診察時にX線検査で肺炎と診断された患者や、当日入院した患者、他の原因による急性の咳嗽、免疫不全患者などは除外した。 主要評価項目は、初回診察後30日以内の下気道感染症症状による再診、入院、死亡である。抗菌薬の処方傾向に関連する因子および医師のクラスタリングについて調整し、多変量解析を行った。延期処方で入院/死亡は19%、再診は36%減少、即時処方ではどちらも減少せず 登録された2万8,883例中、初回診察日にX線検査や入院目的で他院へ紹介、またはがんで入院した104例(0.4%)を除く2万8,779例が解析対象となった。2万8,779例において、初回診察日以降に入院または死亡した患者の割合は、抗菌薬処方なし群が0.3%(26/7,332例)、即時処方群が0.9%(156/1万7,628例)、延期処方群(延期日数中央値3日、四分位範囲:2~3日)が0.4%(14/3,819例)であった。 多変量解析の結果、延期処方群では統計学的に有意ではなかったものの入院および死亡が減少したが(多変量リスク比:0.81、95%信頼区間[CI]:0.41~1.64、p=0.61)、即時処方群では減少しなかった(多変量リスク比:1.06、95%CI:0.63~1.81、p=0.84)。新たな症状による再診(1,443/7,332例[19.7%])、症状悪化による再診(4,455/1万7,628例[25.3%])、症状が改善しないことによる再診(538/3,819例[14.1%])はよくみられ、これらは延期処方群で有意に減少したが(多変量リスク比:0.64、95%CI:0.57~0.72、p<0.001)、即時処方群では減少しなかった(多変量リスク比:0.98、95%CI:0.90~1.07、p=0.66)。

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肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA

 ブリストル・マイヤーズスクイブ社は2017年5月24日、米国食品医薬品局(FDA)が、ソラフェニブ治療歴のある肝細胞がん(HCC)を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)の適応拡大を求める生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したと発表した。FDAは、以前にHCC治療薬としてニボルマブを希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定しており、今回、本申請を優先審査の対象として受理した。FDAによる審査完了期日は、2017年9月24日である。 この申請は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス感染および非感染進行HCC患者に対するニボルマブの第I/II相試験CheckMate-040の結果に基づいている。この試験データは、Lancet誌に最近掲載され、本年(2017年)の米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会ポスターディスカッションセッションで発表される。■参考 ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社ニュースリリース El-Khoueiry AB, et al. Lancet. 2017 Apr 20. [Epub ahead of print] Checkmate-040試験(Clinical Trials.gov)

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高齢者にスタチンの1次予防効果はあるか~ALLHAT-LLT事後解析

 心血管疾患の1次予防としてスタチン治療が心血管疾患発症を減少させることが示唆されているが、全死亡率については知見が一致していない。また、75歳以上の高齢者に1次予防でのスタチン使用に関するエビデンスはほとんどない。今回、ALLHAT-LLTの事後解析の結果、中等症の高脂血症と高血圧症を有する高齢者での心血管疾患の1次予防として、プラバスタチンのベネフィットは認められず、また75歳以上では、有意ではないがプラバスタチン群で全死亡率が高い傾向があったことが報告された。JAMA internal medicine誌オンライン版2017年5月22日号に掲載。 本研究は、ALLHAT-LLT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)のLipid-Lowering Trial(LLT)における、65~74歳と75歳以上に対する心血管疾患の1次予防のためのスタチン使用に関する研究で、アテローム性冠動脈疾患を有さなかった65歳以上の参加者について事後解析を実施した。ベースライン時にアテローム性冠動脈疾患を有さない高血圧症の外来患者2,867例について、プラバスタチン(40mg/日)群と通常治療群に分けて比較した。なお、ALLHAT-LLTは1994年2月~2002年3月に513施設で実施された。ALLHAT-LLTの主要アウトカムは全死亡率、副次アウトカムは原因別死亡率、非致死性心筋梗塞と致死的冠動脈疾患の複合(冠動脈疾患イベント)であった。 主な結果は以下のとおり。・プラバスタチン群は1,467例で、平均年齢(SD)は71.3(5.2)歳、女性が704例(48.0%)、通常治療群は1,400例で平均年齢は71.2(5.2)歳、女性が711例(50.8%)であった。・ベースライン時の平均LDLコレステロール値(SD)は、プラバスタチン群では147.7(19.8)mg/dL、通常治療群で147.6(19.4)mg/dLであり、6年後はプラバスタチン群で109.1(35.4)mg/dL、通常治療群で128.8(27.5)mg/dLであった。・6年後、プラバスタチン群で253例中42例(16.6%)が、また通常治療群で71.0%がどのスタチンも服用していなかった。・通常治療群に対するプラバスタチン群の全死亡のハザード比は、全体(65歳以上)で1.18(95%CI:0.97~1.42、p=0.09)、65~74歳で1.08(同:0.85~1.37、p=0.55)、75歳以上で1.34(同:0.98~1.84、p=0.07)であった。・冠動脈疾患の発症率については2群間で有意差はなかった。多変量回帰分析でも有意ではなく、治療群と年齢との間に有意な交互作用はなかった。

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双極性障害、リチウムは最良の選択か

 双極性障害の治療ではリチウムが頻繁に使用されており、最も確立された長期治療法と考えられる。実際に、リチウムは再発リスクを最小限にとどめ、エピソード間の症状を改善するための治療の基本である。イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のGabriele Sani氏らは、双極性障害治療におけるリチウムの入手可能なエビデンスを検討した。それには、効能、限界、潜在的な利点や、別の製剤を考慮した有効性も含まれた。また、双極性障害患者への抗てんかん薬、抗うつ薬、抗精神病薬の長期的代替使用に関する、顕著な比較をオーバーレビューした。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年5月5日号の報告。双極性障害患者の多くに初期治療としてリチウムを使用すべき 双極性障害治療におけるリチウムの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。・入手可能なエビデンスによると、双極性障害患者は主としてリチウムで治療し、いくつかのケース(とくに急性期治療)では抗精神病薬と組み合わせ、リチウム不耐性または無効例では抗てんかん薬を用いるべきであると考えられる。・補助的な抗うつ薬の使用は、ブレークスルーうつ病エピソードに限定されるべきである。・自殺念慮や自殺行為に、リチウムの長期的な利点と潜在的な副作用についての十分な情報を有している場合には、双極性障害患者の多くに初期治療としてリチウムを使用すべきである。・疾患または抗精神病薬の経過を悪化させる、重大で長期的な副作用を引き起こす可能性があるなどの抗うつ薬との併用を行うことなく、多くの患者でリチウムは許容可能である。■関連記事双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は、自殺リスク要因か双極性障害の再発リスク、1年目で4割超双極性障害の自殺企図、“だれ”よりも“いつ”がポイント

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乳がんリスクが高い職業

 職業別の乳がんリスクについて、スウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Kullberg氏らが調査したところ、ホワイトカラーのほうがブルーカラーより高リスクで、専門職や管理職の女性でリスクが高いことがわかった。さらに、このリスク増加の要因として、生殖および生活習慣以外の因子の影響が大きいことが推測された。Occupational and environmental medicine誌オンライン版2017年4月29日号に掲載。 本研究は1991~96年に実施されたコホート研究で、スウェーデンのマルメ州の住民で1923~50年に生まれた女性1万4,119人が参加した。リスク因子に関する情報(年齢、出産歴、第1子出産年齢、授乳月数、ホルモン補充療法、身体活動、飲酒、喫煙、身長、BMIなど)および職歴についてアンケート調査した。侵襲性乳がんの診断は、スウェーデンがんレジストリで2013年12月31日まで確認した。 主な結果は以下のとおり。・計897人の女性が乳がんと診断された。・年齢調整後の解析で、ホワイトカラーはブルーカラーに比べて乳がんリスクが高く、専門職、管理職、簿記業務に従事する女性では、販売、運輸、生産、サービス業務に従事する女性よりも乳がんリスクが高かった。・乳がんリスクの差は、生殖および生活習慣に関連するリスク因子の調整後も、わずかに減少したのみであった。

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セリチニブALK陽性肺がんの1次治療に適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月26日、セリチニブ(商品名:ジカディア)に、ALK陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する通常承認を与えた。 セリチニブは2014年4月、クリゾチニブで病勢進行したか、クリゾチニブ耐性のALK陽性転移性NSCLCに対する迅速承認を得ている。これは、163例のシングルアーム試験での独立第3者評価機関(BIRC)による44%の奏効率(ORR)に基づいている。 今回の承認は、未治療のALK陽性NSCLCに対する多施設オープンラベル無作為化実薬比較試験ASCEND-4のデータに基づいたもの。ASCEND-4では31ヵ国201施設376例の対象患者が、セチニブ群またはプラチナ+ペメトレキセド化学療法群に無作為に割り付けられた。 結果、BIRC評価の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、セリチニブ群16.6ヵ月(95%CI:12.6~27.2)、化学療法群は8.1ヵ月(95%CI:5.8~11.1)と、セリチニブ群で有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73、p<0.0001)。また、ORRはセリチニブ群73%(95%CI:66~79%)、化学療法群27%(95%CI:21~34%)であった。■参考FDA(Resources for Information on Approved Drugs)ASCEND04試験(Clinical Trials.gov)■関連記事セリチニブがALK陽性肺がん1次治療の優先審査対象に:FDAALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

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うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大

 うつ病における残存症状は、予後に悪影響を及ぼす。しかし、アウトカムを予測するうえで各残存症状の影響については、ほとんど知られていない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、自己報告および臨床医評価に基づいて、どの症状がその後の再発を予測できるかを検討した。Psychopharmacology誌オンライン版2017年5月3日号の報告。 STAR*D(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression)試験において第1段階の治療(citalopramで14週間)で寛解を達成し、1回以上受診した後に、12ヵ月の自然経過フォローアップ期間に入った非精神病性うつ病の外来患者1,133例のデータを分析した。再発予測のフォローアップ項目における、16項目の簡易抑うつ症状尺度自己報告(QIDS-SR16)および臨床医評価(QIDS-C16)によって特定された残存症状は、Cox比例ハザードモデルを用いて確認した。 主な結果は以下のとおり。・不穏(HR:1.197、p=0.018)、過眠症(HR:1.190、p=0.009)、体重変化(HR:1.127、p=0.041)の3つのQIDS-SR16症状が、その後の再発と有意に関連していた。・フォローアップ時における不穏(HR:1.328、p=0.001)、入眠障害(HR:1.129、p=0.047)、体重増加(HR:1.125、p=0.045)の3つのQIDS-C16症状が、再発と有意に関連していた。 著者らは「オリジナルの試験は、うつ病の再発予測を評価するために行われたわけではなく、各症状は互いに関連している可能性があり機能的状態として扱われていない」としながらも、「不穏、不眠、体重変化などのいくつかの残存症状は、うつ病が再発しやすい患者を特定するのに役立つであろう。再発に対する各残存症状の影響は、自己報告と臨床医評価で類似していた」としている。■関連記事うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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統合失調症と気分障害の死亡率、高いのは

 精神疾患患者は、重大な公衆衛生上の懸念である過剰な死亡率を示す。韓国・延世大学校のWoorim Kim氏らは、統合失調症、気分障害、精神活性物質使用による精神的および行動的障害と診断された韓国人患者の全死因および自殺死亡率を調査し、これを一般人と比較した。Journal of Korean medical science誌2017年5月号の報告。 対象は、2002~13年の韓国National Health Insuranceコホートより得られた15歳以上の10万7,190例。10万人年当たりの死亡率を算出した。全死因および自殺死亡リスクに対するベースライン特性の影響を定量化するために、ポアソン回帰モデルを用いた。標準化死亡率(SMR)も算出した。 主な結果は以下のとおり。・全死因では、精神的および行動的障害の患者で最も高く(10万人年当たり1051.0)、次いで統合失調症患者(10万人年当たり949.1)、気分障害患者(10万人年当たり559.5)であった。・自殺死亡では、統合失調症患者で最も高く(10万人年当たり177.2)、次いで精神的および行動的障害の患者(10万人年当たり143.7)、気分障害患者(10万人年当たり59.7)であった。・全死因および自殺死亡率に対する率比(RR)は、若者および女性で低下した。・精神疾患患者は、一般集団よりも全死因死亡率が高かった(統合失調症SMR:2.4、95%信頼区間[CI]:2.2~2.5。気分障害SMR:1.4、95%CI:1.3~1.5。精神的および行動的障害SMR:2.6、95%CI:2.5~2.8)。・精神疾患患者は、一般集団よりも自殺死亡率が高かった(統合失調症SMR:8.4、95%CI:7.2~9.6。気分障害SMR:2.8、95%CI:2.1~3.5。精神的および行動的障害SMR:6.8、95%CI:5.7~7.9)。 著者らは「これらの知見より、精神疾患における過剰死亡率を減少させる努力がなされるべきである」としている。関連医療ニュースうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は重度な精神疾患+物質使用障害、自殺リスクへの影響統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

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イマチニブが重症喘息の気道過敏性を抑制?/NEJM

 KIT阻害薬イマチニブは、重症喘息患者の気道過敏性を抑制し、マスト細胞数とトリプターゼ放出を減少させることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKatherine N. Cahill氏らの検討で明らかとなった。これらの知見は、重症喘息の病態生物学的な基盤には、KIT依存性の過程とマスト細胞の寄与があることを示唆するという。研究の成果は、NEJM誌2017年5月18日号に掲載された。マスト細胞は、ステロイド治療を行っても重症喘息患者の気道に残存し、不良なQOLや不十分な喘息コントロールなどの疾患特性に関連する。幹細胞因子とその受容体KITは、組織での正常なマスト細胞の発育や生存に不可欠であり、イマチニブはKITのチロシンキナーゼ活性を阻害することで、慢性骨髄性白血病患者の骨髄中のマスト細胞数を著明に減少させ、血清トリプターゼ値を低下させることが知られている。原理を検証するプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、イマチニブが重症喘息の生理学的マーカーである気道過敏性や、気道のマスト細胞数とその活性化に及ぼす影響の評価を目的とする原理検証(proof-of-principle)試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢18~65歳、最大限の薬物療法を行っても、気道過敏性が認められるコントロール不良の重症・難治性喘息患者であった。これらの患者が、二重盲検下に、イマチニブを投与する群(200mg/日を2週間投与し、その後は400mg/日に増量)またはプラセボ群にランダムに割り付けられ、24週の治療が行われた。割り付け前と24週時に気管支鏡検査を実施した。 主要評価項目は、気道過敏性のベースラインから3ヵ月および6ヵ月までの変化(1秒量の20%低下に要するメサコリン濃度[PC20]で評価)とした。 試験期間は2010年11月~2015年7月であった。米国の7施設で62例が登録され、イマチニブ群に32例(平均年齢42.0歳、女性59%)、プラセボ群には30例(37.7歳、60%)が割り付けられ、それぞれ24例、26例が治療を完遂した。マスト細胞標的治療の臨床試験の土台となるデータ イマチニブ群は、プラセボ群に比べ気道過敏性が著明に低下した。3ヵ月時のメサコリンPC20は、イマチニブ倍量群がベースラインよりも平均値(±SD)で1.20±0.52(p=0.03)増加し、6ヵ月時には1.73±0.60(p=0.008)増加しており、いずれも有意な変化が認められたのに対し、プラセボ倍量群では3ヵ月時に0.03±0.42(p=0.94)、6ヵ月時には1.07±0.60(p=0.08)の増加にとどまり、試験期間を通じて両群間に有意な差が認められた(p=0.048)。 マスト細胞活性化のマーカーである血清トリプターゼ値も、イマチニブ群はプラセボに比し顕著に低下した。ベースラインの平均血清トリプターゼ値は、イマチニブ群が4.75±2.59ng/mL、プラセボ群は4.86±2.13ng/mLであり、6ヵ月時にはイマチニブ群が2.02±2.32ng/mL(42.7±31.6%)低下し、プラセボ群は0.56±1.39ng/mL(11.5±31.0%)の低下であった(p=0.02)。 気道のマスト細胞数は両群とも減少しており、有意な差はみられなかった(気道全体:-54.2±96.5 vs.-32.3±79.8/mm2、p=0.11、気道平滑筋:-102.7±167.9 vs.-79.2±157.3/mm2、p=0.07)。 全有害事象および重度有害事象の頻度は、両群に差はなかった。筋痙攣と低リン酸血症が、プラセボ群よりもイマチニブ群で多くみられた。イマチニブ群では2例が有害事象により試験を中止した(好中球減少と足の筋攣縮が1例ずつ)。 著者は、「これらのデータは、臨床的方向性を示すものではないが、重症喘息患者におけるマスト細胞を標的とするフォローアップ試験の土台となるものである」と指摘している。

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H7N9鳥インフルエンザに気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回はH7N9鳥インフルエンザという、ようやく読者の皆さまが興味を持ってもらえそうなテーマを扱いたいと思います。さすがにこの感染症は、われわれ日本の医療従事者にとって他人事ではないですからねえ。訪日客の1/3が流行地域の中国から来るどれくらい他人事じゃないのか。国際化が進む昨今、外国人旅行者がこの数年はうなぎ上りに増加しています。われわれもあちこちで外国人旅行者を見かけますよね。2016年の1年間に日本を訪れた外国人旅行者は、なんと2,400万人ッ! ちなみにその10年前の2006年は730万人ですから3倍以上の増加ッ! ただ事ではないッ! そして、今回取り扱うH7N9鳥インフルエンザは中国で発生しているわけですが、2016年の外国人旅行者2,400万人のうち、中国(香港含む)からの旅行者はなんと820万人ということで、実に外国人旅行者の3人に1人が中国からの旅行者なのであります。もちろん中国からの旅行者すべてにH7N9鳥インフルエンザの可能性があるわけではありませんが、昨今の流行状況を鑑みるに、いつ日本で患者が発生してもおかしくない状況なわけであります。中国で大流行の兆し今ほど「昨今の流行状況を鑑みるに」と言いましたが、まだ流行状況の説明をしていませんでしたね…失礼、失礼…とか悠長なことを言っていられないくらい、H7N9は大変なことになっていますッ!最初にH7N9のヒト症例が報告されたのは2013年…。この年には139例の確定例が報告され、99%の症例が入院し、34%の症例が死亡したという衝撃的な内容が“The New England Journal of Medicine”誌に報告されました1)。鳥への曝露、とくに食品市場の生きた鳥への曝露によってヒトに感染していると考えられており、中国政府は食品市場を閉鎖するなどの対応を行い、流行は終息しました。H7N9といえばこのときの印象が強いと思いますが、実はこの後も毎年冬になると流行しています。その次の年には304例と前年を超える症例数が報告されていますが、そこからは219例、118例と徐々に減少傾向を示していました。しかし、この2016-17シーズンは5月の時点ですでに報告数が650例を超えています(図1)2)。症例は海外からの輸入例もありますが、すべて中国国内で感染しています。画像を拡大する変異する!? 鳥インフルエンザウイルスさらにヤバイ事実が2つあります。1つは、今シーズンになって家族内感染と思われる事例が3例報告されていること3)。鳥インフルエンザは原則、ヒト-ヒト感染は起こさないのですが、まれに家族内感染例が報告されています。これらの事例ではヒト-ヒト感染が起こったことが否定できない、とのことです。ただし、現時点では持続的にヒト-ヒト感染する状態ではなく、限定的な状況でのみ起こるかもしれない、というものです(図2)。画像を拡大するもう1つは、高病原性のH7N9ウイルスが検出されていることです4)。これまでに報告されていたH7N9は、いわゆる低病原性鳥インフルエンザだったのですが、今シーズンになって少数ですが高病原性のウイルス株が報告されています。高病原性! ちゃばい! と思われると思いますが、この「高病原性」「低病原性」というのは鳥に対する病原性を意味するものであり、われわれ人間に対する病原性ではありません。ただ、高病原性鳥インフルエンザのほうが低病原性鳥インフルエンザよりもヒトが感染したときには重症化しやすいだろうとは言われていますが、そもそもH7N9に関しては低病原性と言われつつもヒトでの感染例は致死率が非常に高いため、低病原性であれ、高病原性であれ警戒が必要であることには変わりありません。私の原稿が遅すぎるせいで、すでに中国での症例発生のピークは過ぎていますが、まだ4月以降も報告が続いています! 中国からの旅行者、中国渡航後の発熱患者などの診療では、頭の片隅にH7N9鳥インフルエンザのことを置いておきましょう! 実際に鳥インフルエンザが疑われた場合には、何はともあれ管轄の保健所に連絡です!1)Li Q, et al. N Engl J Med. 2014;370:520-532.2)Zhou L, et al. Western Pac Surveill Response J. 2017;8:6-14.3)World Health Organization. Analysis of recent scientific information on avian influenza A(H7N9) virus. 10 February 2017.4)Zhu W, et al. Euro Surveill. 2017;22:pii=30533.

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脳卒中リスク因子の年齢別パターン

 脳卒中の血管リスク因子について、ユトレヒト大学のAllard J. Hauer氏らが脳卒中サブタイプ別・年齢別に調査した結果、主な心血管リスク因子を有する割合の年齢別パターンがサブタイプにより異なることが示された。Journal of the American Heart Association誌2017年5月8日号に掲載。 本研究は、多施設共同の大学病院ベースでのコホート4,033例における研究である。大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患または心原性による虚血性脳卒中患者、自然発症脳出血患者、動脈瘤性くも膜下出血患者(計5サブタイプ)が有していた血管リスク因子(男性、非白人、肥満、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、家族歴)を調査し、55歳未満、55~65歳、65~75歳、75歳以上の4群で各リスク因子を有する患者の割合を計算した。また基準年齢群(虚血性脳卒中および脳出血では65~75歳、動脈瘤性くも膜下出血では55~65歳)と比較した平均差と95%CIを計算した。 主な結果は以下のとおり。・55歳未満の患者は、非白人が有意に多く(とくに自然発症脳出血および動脈瘤性くも膜下出血患者)、喫煙頻度が最も高かった(動脈瘤性くも膜下出血患者で最も顕著)。・55歳未満の大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患による虚血性脳卒中患者は、心原性の虚血性脳卒中患者よりも、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度が高かった。・全体として、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度は、すべての脳卒中サブタイプで年齢とともに増加したが、喫煙は年齢とともに減少した。・年齢にかかわらず、大動脈アテローム性動脈硬化症/小血管疾患による虚血性脳卒中患者で、修正可能なリスク因子の累積が最も顕著であった。

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うつ病は認知症のリスクファクター or 初期マーカー

 うつ病は、認知症のリスクファクターとして知られているが、この関係が原因であるかはわかっていない。オーストラリア・西オーストラリア大学のO. P. Almeida氏らは、うつ病に関連する認知症が抗うつ薬使用により減少するか、うつ病への曝露と認知症が発症した時間との関係性を調査した。Translational psychiatry誌2017年5月2日号の報告。 71~89歳の健常男性4,922例を対象に14年間の縦断的研究を行い、うつ病歴、現在のうつ病、うつ症状の重症度に関連する情報を収集した。抗うつ薬の使用、年齢、教育、喫煙、病歴(糖尿病、高血圧、冠状動脈性心疾患、脳卒中)についても収集した。フォローアップ期間中の認知症発症および死亡は、西オーストラリア州データ連携システムによって確認した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病であった男性は682例であった(過去:388例、現在:294例)。・8.9年間のフォローアップ期間中、認知症を発症したのは903例(18.3%)、認知症でなく死亡したのは1,884例(38.3%)であった。・過去および現在うつ病を有している男性の、認知症のサブハザード比(SHR)は、それぞれ1.3(95%CI:1.0~1.6)、1.5(95%CI:1.2~2.0)であった。・抗うつ薬の使用は、このリスクを減少させなかった。・認知症のSHRは、うつ症状のない男性と比較して、うつ症状の疑い例1.2(95%CI:1.0~1.4)、軽度~中等度うつ症状例1.7(95%CI:1.4~2.2)、重度うつ症状例2.1(95%CI:1.4~3.2)であった。・うつ病と認知症は、フォローアップ期間の最初の5年間のみで関連が認められた。 著者らは「うつ病歴のある高齢者は、認知症発症リスクが高い。しかし、うつ病は認知症の修正可能なリスクファクターというよりも、初期認知症のマーカーである可能性が高い」としている。関連医療ニュース 65歳未満での抗うつ薬使用、認知症増加と関連 抑うつ症状は認知症の予測因子となりうるのか たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

7654.

ケアプログラムは、急性期病院での終末期の質を改善するか/Lancet

 Care Programme for the Last Days of Life(CAREFuL)と呼ばれる終末期医療プログラムは、継続的なモニタリングを要するものの、急性期病院の高齢者病棟における臨死期の医療を改善する可能性があることが、ベルギー・ブリュッセル自由大学のKim Beernaert氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年5月16日号に掲載された。英国の高齢者の50%以上が、終末期医療の質が最良とは言えない環境の急性期病院で死亡するという。また、CAREFuLと同様のプログラムとして、リバプール・ケア・パスウェイ(LCP)がよく知られているが、既報の急性期病院でのクラスター無作為化試験はイタリアで行われたがん患者を対象とするものが1件あるのみで、この試験ではケアの質改善は確認されていない。CAREFuLの有効性を評価するクラスター無作為化試験 本研究は、臨死期の高齢者への看取りの医療の快適性(comfort)や質の改善における、終末期医療プログラムCAREFuLの有効性を評価するクラスター無作為化対照比較試験である(The Flemish Government Agency for Innovation by Science and Technologyとベルギーがん協会“Kom Op Tegen Kanker”の助成による)。 CAREFuLは、既存の3つのLCP(英国、オランダ、イタリア)に基づいて開発されたプログラムで、終末期の処置の手引き、研修、支援文書、実施の手引きから成る。 2012年10月1日~2015年3月31日に、ベルギー、フランドル地方の10の急性期病院(クラスター)の高齢者病棟が参加した。これらの病院が、CAREFuLを行う群または標準的医療を行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。患者と家族には割り付け情報がマスクされ、医療者にはマスクされなかった。 主要評価項目は、看護師と家族介護者の評価による臨死期(死亡までの48時間)の快適性(End-of-Life in Dementia-Comfort Assessment in Dying[CAD-EOLD]で評価)および症状管理(End-of-Life in Dementia-Symptom Management[SM-EOLD]で評価)であり、intention to treat解析が行われた。看護師評価による快適性が良好、家族介護者の満足度は不良 解析には10病院の4,241床のベッドのうち451床(11%)が含まれた。2つの群に5病院ずつが割り付けられ、CAREFuL群の164例、対照群の118例が評価基準を満たした。このうち、看護師による評価はCAREFuL群が132例(80%、死亡時平均年齢85.8[SD 6.84]歳、男性53%、原死因:肺炎27%、肺炎以外の感染症19%、フレイル19%)、対照群は109例(92%、84.0[7.52]歳、男性56%、原死因:心不全24%、がん21%、肺炎20%)で、家族介護者による評価はそれぞれ48例(29%)、23例(19%)で行われた。 CAREFuL群は対照群に比べ、看護師評価による死亡までの48時間の快適性が有意に良好であった(CAD-EOLDの補正平均差:4.30、95%信頼区間[CI]:2.07~6.53、p<0.0001)。家族介護者評価による快適性(CAD-EOLD補正平均差:-0.62、95%CI:-6.07~4.82、p=0.82)、看護師評価による症状管理(SM-EOLD補正平均差:-0.41、-1.86~1.05、p=0.58)、家族介護者評価による症状管理(SM-EOLD補正平均差:-0.59、-3.75~2.57、p=0.71)には、両群間に差を認めなかった。 一方、死亡までの48時間の家族介護者評価による満足度(End-of-Life in Dementia-Satisfaction With Care[SWC-EOLD]で評価)は、CAREFuL群のほうが有意に不良であった(SWC-EOLD補正平均差:-4.00、95%CI:-7.87~-0.12、p=0.04)。また、対照群では、ベースラインに比べ介入終了後のSWC-EOLDがわずかに改善したのに対し、CAREFuL群にはこのような改善もみられなかった。 著者は、「CAREFuLは、急性期病院高齢者病棟における死の質および医療の質を改善する可能性が示唆されるが、医療への満足度に及ぼすCAREFuLの効果のよりよい理解を得るには、質に関するさらなる検討を要する」とし、「より良好な管理のもとでプログラムを実施することで、終末期医療が改善される可能性が高く、他の形態のプログラムを導入して評価を行うことも考慮に値するだろう」と考察している。

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収縮性心不全への鉄補充、経口投与での効果は?/JAMA

 鉄欠乏を伴う左室駆出率(LVEF)が低下した収縮性心不全(HFrEF)患者では、経口高用量鉄補充療法を行っても運動耐容能は改善しないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のGregory D. Lewis氏らが行ったIRONOUT HF試験で示された。鉄欠乏は、HFrEF患者の約半数にみられ、生活機能の低下や死亡の独立の予測因子とされる。静脈内投与による鉄補充の良好な結果が報告されているが、高価で外来患者にとっては定期的な受診が負担となるのに対し、経口鉄補充は安価で容易に行えるが、心不全に対する効果は明らかではない。JAMA誌2017年5月16日号掲載の報告。米国の225例で最大酸素摂取量の変化を評価 研究グループは、鉄欠乏を伴うHFrEF患者において、経口鉄補充療法による運動耐容能の改善効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験を実施した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成による)。HFrEFはLVEF<40%の心不全とし、鉄欠乏は血清フェリチン値15~100ng/mLまたはトランスフェリン飽和度<20%の場合は101~299ng/mLと定義した。2014年9月~2015年11月に、米国の23施設に225例が登録された。経口鉄補充群(鉄多糖類150mg、1日2回)に111例、プラセボ群には114例が割り付けられ、16週の治療が行われた。 主要評価項目は、ベースラインから16週までの最大酸素摂取量(peak VO2)の変化とした。副次評価項目には、6分間歩行距離、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値、健康状態(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire[KCCQ]:0~100点、スコアが高いほどQOLが良好)が含まれた。投与ルートの違いで効果に差がある可能性 ベースラインの全体の年齢中央値は63歳(IQR:55~70)、36%が女性であった。心不全の罹患期間中央値は5.7年(IQR:1.9~10.0)、HFrEFの病因の78%が虚血性心疾患であり、LVEF中央値は25%(20~34)であった。また、peak 2中央値は1,172mL/分(IQR:887~1,449)、6分間歩行距離中央値は363m(292~428)、NT-proBNP中央値は1,111pg/mL(453~2,412)、KCCQ臨床スコア中央値は75.5点(61.5~88.5)だった。 ベースラインから16週時のpeak VO2値の変化は、経口鉄補充群が23mL/分であり、プラセボ群の-2mL/分との間に有意な差を認めなかった(差:21mL/分、95%信頼区間[CI]:-34~76、p=0.46)。 同様に、ベースラインから16週時の6分間歩行距離の変化(差:-13m、95%CI:-32~6、p=0.19)、NT-proBNP値の変化(159pg/mL、-280~599、p=0.48)、KCCQ臨床スコアの変化(1.0点、-2.4~4.4、p=0.57)にも、両群間に有意な差はみられなかった。 有害事象(経口鉄補充群:35% vs.プラセボ群:39%、p=0.50)、重篤な有害事象(10 vs.9%、p=0.77)、永続的な投与中止(14 vs.15%、p=0.76)、死亡または心血管疾患による再入院(13 vs.11%、p=0.64)の頻度は両群で同等であり、初回有害事象の発現までの期間(経口鉄補充群のハザード比:0.85、95%CI:0.56~1.31、p=0.47)にも差はなかった。 著者は、「経口鉄補充による鉄貯蔵の改善効果も最小限であったことを含め、これらの結果は、類似の患者集団を対象とする静脈内投与による鉄補充の試験とは対照的であった。したがって、本試験でベネフィットが得られなかったのは、鉄補充戦略というよりも、投与ルートの問題である可能性が示唆される」と指摘している。

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高齢入院患者で担当医の年齢が上がるほど高い死亡率/BMJ

 内科疾患で緊急入院した65歳以上の患者の30日死亡率は、年間の担当患者数が多い医師を除き、若手医師の治療を受けた患者よりも年長医師の治療を受けた患者で高かった。米国・ハーバード公衆衛生大学院の津川友介氏らが、米国の急性期病院に入院したメディケア受給高齢患者のデータを用い、担当医の年齢で転帰に違いがあるかを検証し、報告した。これまでの研究で、年長医師は若手医師と比べて、医学的知識が乏しく、ガイドラインに準じた標準治療を行わないことが多く、診断・スクリーニング・予防的治療の質も劣ることが示唆されていた。しかし、医師の年齢が死亡率など患者の転帰に及ぼす影響は不明であった。BMJ誌2017年5月16日号掲載の報告。65歳以上の入院患者約74万人とその担当医約2万人のデータを解析 研究グループは、Medicare Inpatient Carrier and Medicare Beneficiary Summary Files、Doximityにより収集された医師データ、および米国病院協会年次調査の複数のデータベースを用い、2011年1月1日~2014年12月31日に内科疾患で救急病院に入院した、65歳以上のメディケア出来高払い受給者のうち無作為に抽出した73万6,537人、ならびにその患者を治療したホスピタリスト(勤務予定に基づいて割り当てられ診療を行う、入院患者の治療に特化した総合診療医)1万8,854人(年齢中央値41歳)のデータを解析した。 主要評価項目は患者の30日死亡率、退院後30日再入院率、治療費で、それぞれ医師の年齢との関連を調べた。患者特性(年齢、性別、人種、主要診断、併存疾患、世帯収入など)は、医師の全年齢層で類似していた。担当患者数が多い医師を除き、医師の年齢が上がるほど死亡率が上昇 患者特性、医師特性(性別、卒業した医学部)、ならびに病院を固定効果(同一病院内の医師同士を比較)として補正した後の患者の30日死亡率は、治療を行った医師の年齢が40歳未満で10.8%(95%信頼区間[CI]:10.7~10.9)、40~49歳11.1%(95%CI:11.0~11.3、対40歳未満の補正後オッズ比:1.04、p<0.001)、50~59歳11.3%(11.1~11.5、1.07、p<0.001)、60歳以上12.1%(11.6~12.5、1.17、p<0.001)であった。しかし、担当患者数が多い(年間>200例)医師では、医師の年齢と患者の死亡率との間に関連性はなかった。 再入院率は、医師の年齢による違いは認められなかった。一方で、治療費は医師の年齢が上がるにつれわずかに上昇した。 同様の結果は、一般内科医全体や複数の感度解析(緊急病状の患者、予定入院患者、20~64歳の患者など)においても確認された。 なお、著者は研究の限界として、医師の年齢は医師能力の関連要因の1つにすぎないこと、非メディケア集団や、外科医または他の専門医による治療を受けた患者などには一般化できない可能性を挙げている。

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難治性EGPAにメポリズマブは有用か?/NEJM

 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者において、標準治療へのメポリズマブ併用はプラセボ併用と比較し、寛解維持期間が有意に長く、持続的寛解を達成した患者の割合も高く、ステロイドの使用量も減少した。ただし、メポリズマブ群においてプロトコルで定義した寛解が得られた患者は、約半数のみであった。米国・National Jewish HealthのMichael E. Wechsler氏らが、EGPA患者を対象としたメポリズマブの第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果を報告した。EGPAはチャーグ・ストラウス症候群として知られていた多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症で、患者の多くがステロイド治療に依存しており、再発することが多い。これまでの研究で、抗IL-5モノクローナル抗体薬であるメポリズマブは、好酸球数を減少させ、EGPA治療の効果が期待できると示唆されていた。NEJM誌2017年5月18日号掲載の報告。メポリズマブの有効性を累積寛解維持期間と寛解率で評価 研究グループは、ステロイド(プレドニゾロンまたはプレドニゾン)を含む標準治療を4週以上受けている、再燃または難治性EGPA患者136例を、標準治療にメポリズマブ(300mgを4週ごとに皮下投与)を加える群とプラセボを加える群に無作為に割り付け(各群68例)、52週間投与した。 主要評価項目は、累積寛解維持期間(0週間、>0~<12週間、12~<24週間、24~<36週間、≧36週間の各期間寛解状態にあった患者の割合)、ならびに持続的寛解達成率(36週および48週の両時点で寛解状態にあった患者の割合)。副次評価項目は、初回再発までの期間、48~52週におけるステロイドの1日平均投与量、年間再発率、安全性などであった。 寛解は、バーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS)が0、かつステロイド投与量が4.0mg/日以下(プレドニゾロンまたはプレドニゾン換算)と定義された。メポリズマブで累積寛解維持期間が長く、持続的寛解率も高い メポリズマブ群はプラセボ群と比較して有意に累積寛解維持期間が長く(24週間以上の累積寛解維持期間を達成した患者の割合:28 vs.3%、オッズ比[OR]5.91、95%信頼区間[CI]:2.68~13.03、p<0.001)、持続的寛解達成率も高値であった(32 vs.3%、OR:16.74、95%CI:3.61~77.56、p<0.001)。寛解を達成できなかった患者の割合はメポリズマブ群47%、プラセボ群81%で、年間再発率はそれぞれ1.14および2.27であった(率比:0.50、95%CI:0.36~0.70、p<0.001)。また、48~52週におけるステロイドの平均投与量が4.0mg/日以下であった患者の割合は、メポリズマブ群44%に対しプラセボ群は7%であった(OR:0.20、95%CI:0.09~0.41、p<0.001)。 安全性については、両群で有害事象の発現率に有意差はなく、メポリズマブの安全性プロファイルは先行研究と類似していた。 なお、著者は、BVASは血管炎の評価法でEGAPの標準的な評価法ではないこと、試験登録時のステロイド投与量はさまざまであったこと、すでに炎症マーカーが抑制されていた可能性があるなどを、研究の限界として挙げている。

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認知症にならず長生きするために

 フランス・共同研究ユニット(UMR)のLeslie Grasset氏らは、スポーツ習慣例で紹介されている、死亡と認知症のいくつかの疫学的指標に対するリスク因子の影響を分析した。PLOS ONE誌2017年4月17日号の報告。 PAQUID試験より得られた65歳以上の非認知症者3,670例を、22年間追跡調査した。スポーツ習慣は、ベースライン時に記録した。認知症(DSM-III-R基準)および死亡は、来院時ごとに評価した。認知症および死亡リスク、確率、平均寿命に関する結果は、Illness-Deathモデルを用いて分析した。主な結果は以下のとおり。・非認知症者743例(20.2%)が、定期的なスポーツ習慣に参加していた。・フォローアップ中、スポーツ習慣を有する高齢者では、死亡率が低かったが、認知症の割合は同様であった。・調整モデルでは、スポーツ習慣を有する高齢者は、認知症リスク低下(HR:0.84、0.72~1.00)、非認知症者の死亡リスク低下(HR:0.61、0.51~0.71)を示したが、両スポーツグループともに、認知症による死亡リスクは同様であった。・認知症なしで生存する確率は、スポーツ習慣を有する高齢者で高く、死亡率は低かった。・認知症でない平均寿命は、スポーツ習慣を有する高齢者では3年長かったが、認知症者では、平均寿命は同様であった。 著者らは「認知症よりも死亡を予防するのに有効な保護因子による予防措置は、認知症にならず寿命を延ばすことができる。たとえ認知症の発症リスクが低下したとしても、認知症の症例数は変わらない。この動態は、高齢者のための医療、社会サービスの必要性を予測するうえで重要である」としている。関連医療ニュース 長生きしても認知症にならないためにできること 認知症になりやすい職業は 米国の認知症有病率が低下、その要因は

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米国医師の半数が企業から金銭受領、年総額2,600億円/JAMA

 2015年に企業から金銭を受け取った米国医師は全体の48%を占め、その総額は24億ドル(1ドル110円とすると2,640億円)であったことが明らかにされた。金銭受け取り者の割合は外科医がプライマリケア医と比べて約1.7倍高く、また、男性のほうが女性よりも高いことなども判明した。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のKathryn R. Tringale氏らが、米国公的医療保険の運営主体であるメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が作成する、企業から医師・医療機関への金銭供与に関する公開報告書「Open Payments」2015年版を基に調査・分析したもので、JAMA誌2017年5月2日号で発表した。93万人超の米国医師について調査 研究グループは、「Open Payments」2015年版を基に、企業から米国医師への金銭供与の額とその種類などについて後ろ向き観察研究を行った。 調査対象となったのは、93万3,295人の米国医師M.D.(Doctor of Medicine)とD.O.(Doctor of Osteopathic Medicine)で、そのうち男性は62万166人(66.4%)、女性は31万3,129人(33.6%)だった。 医師の性別や、プライマリケア医、外科医、専門医、心血管インターベンショニストなどの専門科別で回帰分析を行い、結果を比較評価した。金銭受け取りは、外科医61%、プライマリケア医48% 2015年に企業からの金銭を受け取った医師は、全米で44万9,864人(うち女性は29.8%)と、医師全体の約48%を占めた。その総額は24億ドルで、内訳をみると、コンサルティング料や飲食代などでの名目支払いが18億ドル、持分(ロイヤリティやライセンス料)供与が5億4,400万ドル、研究費への支払いが7,500万ドルだった。 金銭を受け取った医師の割合は、プライマリケア医が47.7%だったのに対し、外科医は61.0%と約1.7倍高かった(絶対差:13.3%、95%信頼区間[CI]:13.1~13.6、オッズ比[OR]:1.72、p<0.001)。また、受け取り額も、プライマリケア医が平均2,227ドル(同:2,141~2,314)に対し、外科医は平均6,879ドル(同:5,895~7,862)と高額だった。 地域性や医師が個人事業主か否かで補正後の検討では、同じ専門科の中で男性医師が女性医師よりも、コンサルティング料などを受け取る割合が大きかった。具体的には、外科医では男性が62.5%、女性が56.5%(OR:1.28)、プライマリケア医ではそれぞれ50.9%と43.0%(OR:1.38)、専門医は36.3%と33.4%(OR:1.15)、インターベンショニストは58.1%と40.7%(OR:2.03)だった(いずれもp<0.001)。 同様に、ロイヤリティやライセンス料の供与を受けた割合も男性医師が女性医師よりも高く、外科医ではそれぞれ1.2%と0.03%(OR:43.20)、プライマリケア医は0.02%と0.002%(OR:9.34)、専門医は0.08%と0.01%(OR:3.67)、インターベンショニストが0.13%と0.04%(OR:7.98)だった(いずれもp<0.001)。

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緑内障患者の眼圧測定、GAT値の補正は誤差を拡大か

 緑内障の診断と治療においては、眼圧の正確な測定が重要となる。ゴールドマン圧平眼圧計(GAT)による測定では、補正が行われることがあるが、補正式の客観的な臨床評価はなされていない。スイス・チューリッヒ大学のJosephine Wachtl氏らは、前向きケースシリーズ研究を行い、角膜が薄く緑内障が進行している眼ではPascal dynamic contour tonometry(DCT)による測定値とGAT値の差が大きいことを明らかにした。補正式を用いてGAT値を補正することは、予測不可能な測定誤差をさらに拡大する危険性があることから、著者らは、「とくに角膜厚が薄い眼では、GAT値を当てにしないほうがいい。いかなる補正もやめるべきである」と警告を発している。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年5月11日号掲載の報告。 研究グループは、GAT値、補正GAT値およびDCT値間の差、ならびにその差と緑内障のステージとの関連について調査する目的で、前向き横断研究を行った。 対象は、2011年7月1日~2016年5月31日の間に、チューリッヒ大学病院眼科とTalacker Eye Centerを受診した白人の緑内障患者112例である。GATおよびDCTにて順序は無作為で眼圧を測定し、GAT値は5つの補正式で補正した。 主要評価項目は、未補正または補正GAT値とDCT値の差、副次評価項目は、眼圧測定値の差と緑内障重症度スコア(Glaucoma Severity Score)で評価される緑内障のステージとの関連とした。 主な結果は以下のとおり。・112例の患者背景は、女性67例、男性45例、平均年齢66.3(SD 13.1)歳、左眼63眼(56.3%)、85例(75.9%)は眼圧降下薬使用中であった。・眼圧(平均±SD)は、DCTで20.3±4.5mmHg(95%信頼区間[CI]:19.4~21.1)、GATで17.0±4.1mmHg(95%CI:16.3~17.8)であった。・DCT値とGAT値の差(IOP DCT-IOP GAT、平均±SD)は、3.3±2.0mmHg (95%CI:2.9~3.6)であった。・DCT値と5つの補正GAT値との差(IOP DCT-IOP 補正GAT)は、2.7~5.4mmHgの範囲であった。・Dresdner補正式を用いた補正GAT値(17.6±4.1mmHg)が、DCT値との差が最も小さかった。・緑内障重症度スコア(平均±SD)は、4.7±3.4(95%CI:4.1~5.4)であった。・DCT値とGAT値の差(IOP DCT-IOP GAT)は、緑内障重症度スコアと正の相関(rs=0.33、p<0.001)を、中心角膜厚と負の相関(rs=-0.22、p=0.02)を示した。

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