サイト内検索|page:377

検索結果 合計:11840件 表示位置:7521 - 7540

7521.

米国成人のドライアイ有病率は約7%

 米国では、1,600万人超の成人がドライアイと推定されると、米国・Shire社のKimberly F. Farrand氏らが、地域住民を対象とした横断研究の結果を報告した。ドライアイの有病率は、男性より女性で高く、年齢とともに増加することも示された。また、著者は「18~34歳の若年者でもドライアイがみられることに注目すべきである」と述べている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年7月10日号掲載の報告。 研究グループは、2013年のNational Health and Wellness Surveyの参加者7万5,000例のデータを用い、18歳以上の米国成人におけるドライアイの現在の有病率を推定するとともに、年齢や性別などの人口統計学的因子とドライアイとの関連について多変量ロジスティック回帰分析により検討した。 主な結果は以下のとおり。・重み付き推定値に基づき、ドライアイと診断された人は、米国成人集団の6.8%(~1,640万人)と見積もられた。・有病率は、年齢とともに増加し(18~34歳:2.7%、75歳以上:18.6%)、男性(4.5%、~530万人)より女性(8.8%、~1,110万人)で高かった。・ドライアイの補正後有病率/リスクは、人種、教育または国勢調査地域で大きな差はなかったが、18~34歳と比較して45~54歳(オッズ比[OR]:1.95、95%信頼区間[CI]:1.74~2.20)および75歳以上(OR:4.95、95%CI:4.26~5.74)で高リスクであった。・また、男性に比べ女性(OR:2.00、95%CI:1.88~2.13)で、保険の未加入者に比べ加入者(OR:2.12、95%CI:1.85~2.43、公的および民間保険 vs.保険なし)で、ドライアイのリスクが高かった。

7522.

院外心停止後の低体温療法、24時間 vs.48時間/JAMA

 院外心停止患者に対する低体温療法の、至適施行時間を検討する国際多施設共同無作為化試験が、デンマーク・オーフス大学病院のHans Kirkegaard氏らにより行われた。国際的な蘇生ガイドラインで推奨される標準の24時間と、より長時間の48時間施行を比較した結果、長時間の施行としても6ヵ月後の神経学的アウトカムは、改善を示したが有意差は認められなかった。しかしながら結果について著者は、「本試験は、臨床的に意味のある差の検出能に限界があり、さらなる検討を行うことが是認される結果であったと思われる」と述べている。JAMA誌2017年7月25日号掲載の報告。6ヵ国10ヵ所のICUで無作為化優越性試験 国際的な蘇生ガイドラインが推奨する院外心停止・意識消失患者への低体温療法は、摂氏33~36度で少なくとも24時間施行するとされているが、至適施行時間は不明である。研究グループは、33度48時間の施行で、現行推奨されている標準時間の24時間施行と比べ、神経学的アウトカムがより良好になるかを調べた。 検討は、欧州6ヵ国にわたる大学病院10施設の集中治療室(ICU)10ヵ所において、並行群プラグマティックに行われた優越性試験。研究者主導でアウトカム評価者は盲検化がなされた。2013年2月16日~2016年6月1日に907例を登録後、試験適格であった355例の成人患者が、低体温療法(33±1度)48時間施行群(176例)または24時間施行群(179例)に無作為に割り付けられた。施行後は両群とも0.5度/時ずつ37度まで復温した。 主要アウトカムは良好な6ヵ月神経学的アウトカムとし、Cerebral Performance Categories(CPC)スコア1または2で定義した。副次アウトカムは、6ヵ月死亡率、死亡までの期間、有害事象の発生、ICUリソース使用であった。最終フォローアップは2016年12月27日。無作為化を受けた355例(平均年齢60歳、男性295例[83%])のうち、試験を完遂したのは351例(99%)であった。48時間としても改善の有意差は示されなかったが試験結果は限定的 6ヵ月神経学的アウトカムが良好であったのは、48時間群69%(120/175例)、24時間群64%(112/176例)であった(差:4.9%、95%信頼区間[CI]:-5~14.8%、相対リスク[RR]:1.08、95%CI:0.93~1.25、p=0.33)。 6ヵ月死亡率は、48時間群27%(48/175例)、24時間群34%(60/177例)(差:-6.5%、95%CI:-16.1~3.1%、RR:0.81、95%CI:0.59~1.11、p=0.19)。死亡までの期間について両群間で有意な差はなかった(ハザード比:0.79、95%CI:0.54~1.15、p=0.22)。 有害事象は、48時間群(97%)が24時間群(91%)よりも頻度が高かった(差:5.6%、95%CI:0.6~10.6%、RR:1.06、95%CI:1.01~1.12、p=0.04)。 ICUの滞在期間は、48時間群が24時間群よりも有意に長かったが(中央値151 vs.117時間、p<0.001)、入院期間は、24時間群のほうが長かった(11 vs.12日、p=0.50)。 なお試験の限界の1つとして著者は、主要アウトカムの6ヵ月神経学的アウトカムに関する群間の絶対差を事前に15%と設定したことを挙げている。今回の試験結果で示された95%CI値から、15%の差がつく可能性は低く、群間差の5%超値には臨床的に意味のある可能性があると指摘。ただし、それには約3,000例の大規模試験規模の実施が必要だとしている。また、ICU入室時の脳幹反射の有無についてなど重要データが施設間でばらついていた可能性があり、CPCスコア1または2を良好とした評価指標についても厳格さに乏しく、介入の潜在的効果について結論付けができないと述べている。

7523.

遺伝性血管性浮腫の発作予防、遺伝子組換え製剤は有用か/Lancet

 全身に浮腫を繰り返す遺伝性血管性浮腫の発作予防に対する遺伝子組換えヒトC1エステラーゼ阻害薬(Ruconest)の有効性と安全性を評価した、第II相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験の結果が発表された。米国・カリフォルニア大学のMarc A. Riedl氏らによる検討で、週2回(至適)または週1回の静脈内投与で臨床的に意味のある有意な発作頻度の減少が認められ、忍容性は良好であった。遺伝性血管性浮腫の発作は、C1インヒビター機能の低下によって生じる。血漿由来C1エステラーゼ阻害薬(Cinryze)の点滴静注は、遺伝性血管性浮腫の発作を抑止することが確認されているが、遺伝子組換えヒトC1エステラーゼ阻害薬の発作予防効果については、これまで厳密に検討されていなかった。Lancet誌オンライン版2017年7月25日号掲載の報告。週2回、週1回またはプラセボ投与中の発作回数を評価 試験は、カナダ、チェコ共和国、イスラエル、イタリア、マケドニア、ルーマニア、セルビア、米国の10施設で行われた。13歳以上、機能的C1インヒビター濃度が正常値の50%未満、遺伝性血管性浮腫の発作歴が試験開始前の少なくとも3ヵ月間に月4回以上あった患者が登録された。 研究グループは被験者を6つの治療シーケンスのうち1つを受けるよう、1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。各治療シーケンスでは、「遺伝子組換えヒトC1エステラーゼ阻害薬(50 IU/kg、最大4,200 IU)の静脈内投与を週2回」「同投与を週1回とプラセボ投与を週1回」「プラセボ投与を週2回」の治療を、1週間のウォッシュアウトを挟んでクロスオーバーして、それぞれ4週間ずつ行った。患者、研究者、患者ケアに関わった試験関係者の全員が試験期間中、割り付け群についてマスキングされた。 主要有効性エンドポイントは、各4週間の治療期間中に観察された遺伝性血管性浮腫の発作回数で(発作症状は毎日記録)、intention-to-treat集団で評価した。安全性は、試験薬を少なくとも1回静脈内投与された全患者について評価した。発作回数、週2回投与群2.7回、プラセボ群は7.2回 2014年12月29日~2016年5月3日に35例が登録され、32例(91%)が無作為化を受けた(intention-to-treat集団)。試験を完遂したのは26例(81%)であった。 4週間の治療期間中の遺伝性血管性浮腫発作の平均回数は、プラセボ群(7.2回[SD 3.6])と比較して、遺伝子組換えヒトC1エステラーゼ阻害薬の週2回投与群(2.7回[2.4])、同週1回投与群(4.4回[3.2])は有意な減少が認められた。プラセボ群との平均差は2回投与群が-4.4回(p<0.0001)、1回投与群は-2.8回(p=0.0004)であった。 有害事象は、週2回投与群は29例中10例(34%)で、週1回投与群は29例中13例(45%)で、またプラセボ群は28例中8例(29%)で報告された。最も頻度の高い有害事象は、頭痛(週2回投与群)と鼻咽頭炎(週1回投与群)であった。遺伝子組換えヒトC1エステラーゼ阻害薬の治療に関連があると考えられた有害事象は2例(疲労および頭痛:7%)であったが、いずれも追加治療なしで回復した。血栓性または血栓塞栓症イベント、全身性のアレルギー反応(アナフィラキシーを含む)、中和抗体の発現は報告されなかった。 なお、遺伝子組換えヒトC1エステラーゼ阻害薬の血漿中半減期は3時間で、血漿由来C1エステラーゼ阻害薬の8分の1以下と短い。この薬物動態プロファイルも踏まえて著者は、「今回の試験結果で、C1インヒビター補充療法の効果はC1インヒビターの血漿トラフ濃度と直接的関与はない可能性が示唆された」と述べている。

7524.

血中カルシウム濃度に関連する遺伝子多型が冠動脈疾患・心筋梗塞発症に関与するか(解説:今井 靖 氏)-708

 カルシウム濃度あるいはカルシウム経口補充に伴うカルシウム血中濃度上昇が、冠動脈疾患・心筋梗塞に関連するとするいくつかの疫学研究がある。しかし、ヒトの長い生涯におけるカルシウム濃度上昇が、冠動脈イベント発症に関連するか否かについては明らかではない。 今回の論文では、メンデル無作為群間比較Mendelian randomizationという遺伝疫学手法でアプローチが行われている。この方法は、生下時から遺伝的に規定されている遺伝子型別に中間形質とその後の最終表現型(イベント発症)を検証するもので、「ポストゲノム時代の自然が行うランダム化試験」といわれている。2008年ごろから行われるようになり、例を出せば、中間表現型(たとえばhs-CRP)と最終表現型(たとえば心筋梗塞)との因果関係を証明するために、そのもととなる遺伝子多型(たとえばCRP産生に関与する遺伝子多型)と最終表現型(心筋梗塞)との関連を示すものであり、最近の代表的な研究のひとつとして、LDLコレステロール低値が冠動脈疾患発症低下につながることを、LDLコレステロール低下を伴うPCSK9遺伝子多型が冠動脈疾患発症低下に関与することで示した報告も、この手法によるものであり、この遺伝疫学的研究手法の有用性が理解されてきている。 今回の論文では、カルシウム血中濃度に相関することが大規模なゲノム解析で検出された7つの一塩基多型SNPについて糖尿病、脂質異常症、肥満などの冠危険因子に相関するものを1つ除いた後の6SNPsに関して、欧米人主体の冠動脈疾患患者6万801例、非罹患者12万3,504例で遺伝子多型頻度を調査したところ、遺伝素因から推定されるCa血中濃度が0.5mg/dL(ほぼ1SDに相当)上昇は、冠動脈疾患、心筋梗塞をそれぞれオッズ比1.25、1.24と有意に上昇させることが示されている。 ただ、この研究の限界として、個々のSNPが必ずしも冠動脈疾患・心筋梗塞発症との関連が示されていないことがある。また、この研究成果からカルシウム経口補充をどうするのかといった点、日本人にその成果を外挿できるかどうかについては回答は得られない。

7525.

認知症の睡眠障害、その悪影響は

 睡眠障害の症状は、アルツハイマー病(AD)患者において、共通して認められる。しかし、AD患者の睡眠障害症状が、介護者の負担やQOLに及ぼす影響については、あまり知られていない。米国・ペンシルベニア大学のPhilip Gehrman氏らは、AD患者の睡眠障害の罹患率を明らかにし、介護者の負担やQOLを予測する症状を特定するため検討を行った。また、患者の睡眠障害の症状が介護者に及ぼす影響を他の介護者と比較し、介護者のQOLを予測する際の患者の特徴について検討を行った。Geriatric nursing誌オンライン版2017年7月3日号の報告。 介護者の負担は、Screen for Caregiver Burden(介護負担尺度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者の60%が、1つ以上の睡眠障害を有していた。・介護者と患者130組において、夜間覚醒、夜間徘徊、いびきが介護者の負担を予測していた。・多変量モデリングでは、介護者の負担、介護者の身体的および精神的健康、介護者の抑うつ症状が、介護者のQOL全体の予測因子であることが示唆された。 著者らは「患者の睡眠障害や介護者のメンタルヘルス症状を治療し、介護者の生活を改善することによって、公衆衛生上、大きなインパクトをもたらすと考えられる」としている。■関連記事認知症者のせん妄、BPSDにより複雑化認知症の不眠にはメラトニンが有用アルツハイマー介護負担、日本と台湾での比較:熊本大学

7526.

2次予防のLDL-C管理が厳格に―動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017

 日本動脈硬化学会が、先般「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」を改訂した。2012年から5年ぶりとなる。今回の改訂のポイントとしては、従来、NIPPON DATA80を使用していた絶対リスク評価を吹田スコアに変更したことと、動脈硬化性疾患の2次予防のLDL-C管理目標値が100mg/dLから70mg/dLに変更され、より厳格化されたことなどが挙げられる。 以下、主だった改訂点を紹介する。1.クリニカルクエスチョンとシステマティックレビューの導入 「危険因子の評価における脂質異常症」「動脈硬化性疾患の絶対リスクと脂質管理目標値」「生活習慣の改善における食事療法と薬物療法」を取り扱う項において、クリニカルクエスチョンとシステマティックレビューを初めて導入した。システマティックレビューの対象文献は2015年末までに報告されたものとなる。2.絶対リスクの算出法に吹田スタディを採用 リスクの評価については、絶対リスクで行うことを今改訂でも継続する。ただし、リスクの算出方法については、NIPPON DATA80から吹田スコアに変更された。従来のNIPPON DATA80は、スタチンがない時代にベースライン調査が行われており、自然歴の観察に適しているなど有用性は高いものの、アウトカムが「発症」ではなく「死亡」であること、LDL-CやHDL-Cの情報がないことなど、いくつかの問題点があった。一方、吹田スタディは冠動脈疾患の「発症」がアウトカムであり、全体リスク評価を冠動脈疾患発症率とすることにより、各リスクの重要性がより明確に提示できるようになる。3.高リスク病態の追加 動脈硬化リスクをより広く集めるという観点から、高リスク病態として従前挙げていた糖尿病や高血圧に加え、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群も考慮すべき病態として新たに追加した。動脈硬化病変への関与やその程度についてはそれぞれ差があるものと考えられるが、包括的管理の観点から念頭に置くべきとしている。4.2次予防における高リスク病態でのLDL-C管理の厳格化 家族性高コレステロール血症や急性冠症候群など、2次予防での高リスク病態においては、従来のLDL-C管理目標値を「<100mg/dL」から「<70 mg/dL」に変更。より厳格なLDL-C管理が提言されている。5.家族性高コレステロール(FH)の記載拡充 PCSK9阻害薬などの新薬が登場したことや、小児FHへのスタチン適応拡大(2015年6月より10歳以上の小児FHに対しピタバスタチンを適応)などに伴い、FHの診断・治療についての記載がより詳細に。とくに治療法に関してはフローチャートを用いて明解に記されている。6.エビデンスレベルと推奨レベルは前回同様 エビデンスレベルは治療介入と疫学調査で、それぞれ表記方法を分けている。診断・治療に関するエビデンスレベルに関しては、1+(質の高いRCTなどがある)~4(エビデンスレベルの弱い研究)の5分類。疫学に関しては、E-1a(コホート研究のメタアナリシス)~E-3(記述研究)の4分類となっている。新規採用の吹田スコア、算出アプリも開発 今改訂で新たに採用された吹田スコアは、(1)年齢(2)性別(3)喫煙(4)血圧(5)HDL-C(6)LDL-C(7)耐糖能異常(8)早発性冠動脈疾患家族歴、の8項目の合計点により算出する。ただ、同スコアの算出が煩雑な点を鑑み、日常診療で容易に使えるものにするため、日本動脈硬化学会は独自のアプリを作成。医療従事者向けであり、同学会のホームページや、ガイドラインに記載されたQRコードからダウンロードでき、(1)~(8)を入力すると、冠動脈疾患発症の予測パーセンテージと、リスク分類(低・中・高)および脂質管理目標値が表示される。■参考日本動脈硬化学会

7527.

巨細胞性動脈炎の寛解維持にトシリズマブが有用/NEJM

 巨細胞性動脈炎患者において、26週間のprednisone漸減中にトシリズマブを毎週または隔週で投与した群は、26週間または52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較して、糖質コルチコイドなしでの寛解維持が優れていたことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のJohn H. Stone氏らが行った、糖質コルチコイド漸減中にインターロイキン-6受容体α阻害薬トシリズマブを投与することで、糖質コルチコイドなしで高率の寛解維持が可能かについて検討した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の1年間の結果で、NEJM誌2017年7月27日号で発表された。巨細胞性動脈炎の寛解維持に糖質コルチコイドは有用だが、長期に使用すると副作用が伴う。しかし、漸減すると再燃が生じるため糖質コルチコイド中断後も寛解維持可能な治療の登場が待たれている。26週間または52週間で漸減しプラセボ投与と比較 試験は50歳以上の巨細胞性動脈炎患者251例を、次の4群に2対1対1対1の割合で無作為に割り付けて行われた。26週間のprednisone漸減中に、(1)トシリズマブ(1回162mg)を毎週皮下投与する群、(2)同隔週皮下投与する群、(3)プラセボを投与する群、(4)52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与する群。 主要アウトカムは、26週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較した、両トシリズマブ投与群の52週時点の糖質コルチコイドなしでの寛解維持率とした。また、52週間のprednisone漸減中にプラセボを投与した群と比較した、両トシリズマブ投与群の寛解維持率を、主な副次アウトカムとした。 トシリズマブ隔週投与群に割り付けた1例が、試験薬の投与を受けなかったため、intention-to-treat集団および安全性集団には250例が包含された。52週間の試験を完遂したのは216例(86%)であった。毎週または隔週投与群ともプラセボ投与群より有意に寛解維持に優れる 52週時点の寛解維持率は、トシリズマブ毎週投与群56%、同隔週投与群53%であったのに対し、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は14%(主要アウトカム、p<0.001)、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は18%であった(主な副次アウトカム、p<0.001)。 52週間のprednisoneの累積用量中央値は、両トシリズマブ群が1,862mgであったのに対し、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は3,296mg(両群間比較のp<0.001)、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は3,818mg(両群間比較のp<0.001)であった。 重篤な有害事象の発生頻度は、トシリズマブ毎週投与群で15%、同隔週投与群で14%、26週間のprednisone漸減中プラセボ投与群22%、52週間のprednisone漸減中プラセボ投与群は25%であった。なお、トシリズマブ隔週投与群の1例で前部虚血性視神経症の発症が報告された。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる追跡調査を行い、トシリズマブによる寛解の持続性と安全性を確定する必要がある」とまとめている。

7528.

米国、電子タバコ利用増で禁煙率上昇/BMJ

 過去15年間の米国成人喫煙者における電子タバコ使用の大幅な増加が、国民レベルの禁煙率上昇と統計的に有意に関連していることが、米国・カリフォルニア大学のShu-Hong Zhu氏らの検討で明らかになった。著者は「電子タバコの規制政策の立案やタバコのコントロール介入計画において、慎重な検討を要する所見だといえる」とまとめている。BMJ誌2017年7月26日号掲載の報告。2001~15年に行われた5期分の全米サーベイのデータを分析 米国では2010年頃から電子タバコの使用が目立ち始め、2014年までに劇的に増加した。そこで研究グループは、電子タバコ使用の増加が、国民レベルの禁煙率の変化と関連しているかを調べた。サンプル調査法による全米サーベイ(US Current Population Survey-Tobacco Use Supplement:CPS-TUS)の5期分(2001~02年、2003年、2006~07年、2010~11年、2014~15年)のデータを分析した。 電子タバコ使用に関するデータは、2014~15年CPS-TUSの全サンプル(16万1,054例)から入手した。禁煙率は、サーベイ実施前12ヵ月間の喫煙者(2万3,270例)のデータから得た。2014~15年CPS-TUSの喫煙率は、2010~11年CPS-TUS(2万7,280例)の喫煙率と比較し、それ以前の3期分の喫煙率とも比較を行った。 主要評価項目は、禁煙試行者の割合と禁煙成功者の割合とした。禁煙は、少なくとも3ヵ月間禁煙で定義した。電子タバコ使用者は非使用者よりも、禁煙試行者、禁煙成功者が多い傾向 2014~15年サーベイの回答者16万1,054例のうち、現在喫煙者は2万2,548例、直近の禁煙者は2,136例であった。そのうち、現在喫煙者の38.2%が、また直近禁煙者の49.3%が電子タバコを試し、現在喫煙者の11.5%、直近禁煙者の19.0%が現在も電子タバコを使用していた(毎日または数日に1回)。 電子タバコ使用者は非使用者と比べて、禁煙を試みる例が多い傾向がみられた(65.1% vs.40.1%[変動=25.0%、95%信頼区間[CI]:23.2~26.9%])。また禁煙に成功する例も多い傾向がみられた(8.2% vs.4.8%[3.5%、2.5~4.5%])。 サーベイ集団全体の禁煙率も、2014~15年(5.6%)が2010~11年(4.5%)よりも有意に高率であった(1.1%、0.6~1.5%)。また、その他のサーベイ年(禁煙率の範囲:4.3~4.5%)と比べても有意に高率であった。

7529.

母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

 ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)のリスクは、妊娠前の母親の肥満などの環境的要因の影響を受ける可能性がある。これらの関連を調査したこれまでの研究では、異なる見解が得られている。デンマーク・オーフス大学病院のChristina Hebsgaard Andersen氏らは、これらの関連をさらに調査するためADHD、ASDおよびADHDとASDが併存した小児における大規模出生コホートを行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2017年7月15日号の報告。 対象は、デンマーク国民出生コホート(DNBC:Danish National Birth Cohort)に参加している母子8万1,892人。妊娠前の体重および身長に関する情報は、妊娠16週目に収集し、BMIに基づき分類し、分析した。ADHD、ASDまたは併存の臨床診断を受けた小児は、デンマークヘルスレジストリにおいて平均年齢13.3歳で確認された。ハザード比(HR)は、時間事象分析(time-to-event analysis)を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・正常体重の母親と比較し、過体重(HR:1.28、95%CI:1.15~1.48)、肥満(HR:1.47、95%CI:1.26~1.71)、重度の肥満(HR:1.95、95%CI:1.58~2.40)の母親は、ADHD児を有するリスクが有意に増加した。・ADHDとASDが併存した患者でも、同様なパターンが認められた。・ASDに関しては、低体重(HR:1.30、95%CI:1.01~1.69)および肥満(HR:1.39、95%CI:1.11~1.75)の母親で、リスク増加が認められた。・サブグループ解析では、ADHDにおける関連は、主に過活動グループに起因する可能性があることが明らかとなった。 著者らは「妊娠前の母親の肥満は、小児ADHDの危険因子である。また、母親の肥満および低体重は、ASDリスク増加と関連している可能性がある」としている。■関連記事妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較小児ADHDの合併症有病率と治療成績

7530.

「尿酸値が気になる」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第7回

■外来NGワード「ビールを焼酎に変えなさい!」「プリン体の少ないビールにしなさい!」「プリン体を含む食品を極力、控えなさい!」■解説 尿酸はDNAやATPが分解されるとできる老廃物です。成人男性の尿酸プールは約1,200mgで、食物から摂取される尿酸に比べ、体内で合成される尿酸のほうが圧倒的に多いそうです。そして、腎臓から排泄されるのが約500mgで、腎臓以外から排泄されるのが約200mgとされています。この尿への尿酸排泄は肥満があると低下します。また、アルコールは生ビール1杯程度ならば、焼酎やウィスキーなどプリン体の少ないアルコール飲料に変えることで、尿酸値の上昇を抑えることが期待できます。ところが、焼酎も3杯を超えるとアルコール自体が尿酸値に悪さをします。ということは、プリン体の制限にばかり注目するのではなく、体重コントロールや節酒にも注目する必要があるようです。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者先生、尿酸値はどうですか? この間から、プリン体カットのビールに変えたんですよ。それとも焼酎のほうがいいですかね?医師量はどのくらい飲まれますか?患者ビール1缶と焼酎2、3杯です。医師なるほど。ほかにはどんなことに気を付けていますか?患者レバー類、白子、エビ、イワシ、カツオ、干しシイタケは食べないようにしています。医師なるほど。プリン体の少ないものに控えているんですね。それよりも尿酸値を下げるいい方法がありますよ!患者それはどんな方法ですか?(興味津々)医師尿酸を体の中で作らないのと、尿酸を尿から効率的に出す方法です。患者尿酸を体の中で作らない?医師そうです。アルコールも1杯くらいならプリン体カットの効果があるようですが、3杯目からは何を飲んでも一緒だそうです。患者えっ、そうなんですか!? お酒の種類を変えるだけじゃダメなんですか(驚きの表情)。医師それに。患者それに?医師肥満になると、尿への尿酸排泄が悪くなり、血液中の尿酸値が上昇してしまいます。患者やっぱり、このお腹を何とかしないといけませんね(気付きの言葉)。■医師へのお勧めの言葉「尿酸値を下げるいい方法がありますよ!」1)Sharon Y, et al. Curr Rheumatol Rep. 2016;18:37.

7531.

うつ病患者への抗精神病薬処方は適切に行われているか

 成人うつ病のコミュニティ治療における抗精神病薬の役割を明らかにするため、米国・ラトガース大学のTobias Gerhard氏らが検討を行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年7月5日号の報告。 US national Medicaid data(2001~2010)より、うつ病治療の新規エピソードを有する患者(ICD-9-CM:296.2、296.3、300.4、311)を特定した。統合失調症や双極性障害のような、ICD-9-CMで抗精神病薬治療適応症とされる患者は除外した。各患者は、抗精神病薬および抗うつ薬の特徴を明らかにするため、新たな抗精神病薬治療適応症が発現するまで1年以上追跡した。抗精神病薬治療開始後45日目までに別の適応症が認められない患者では、うつ病治療のために抗精神病薬を使用したと考えた。本研究の中では、抗精神病薬治療開始前に最小限の適切な抗うつ薬治療が行われていたかを、抗精神病薬治療開始日を含む31日以上の積極的な抗うつ薬治療と定義した。 主な結果は以下のとおり。・発症後1年以内に抗精神病薬の処方が開始された患者は、14.0%であった。・抗精神病薬治療開始患者の41.3%は、治療開始後45日以内にうつ病以外の抗精神病薬適応症を発症した。もっともよく認められた疾患は、双極性障害または精神病性うつ病であった。・抗精神病薬治療開始患者の残りの58.7%は、非精神病性うつ病であると考えられる。・このうち、抗精神病薬治療開始前に最小限の適切な抗うつ薬治療を行っていなかった患者は、71.3%であった。 著者らは「抗精神病薬は、新規エピソードうつ病患者の約7人に1人に使用されている。12人に1人の患者については、抗精神病薬の使用が非精神病性うつ病に向けられていると考えられる。これらの患者の約4分の3は、抗精神病薬治療開始前に最小限の適切な抗うつ薬治療が行われていなかった。この結果は、重大な副作用や医学的リスクを伴う薬効群が、潜在的に不相応および早期に使用されている可能性を示唆している」としている。■関連記事精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効かSSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

7532.

atalurenはデュシェンヌ型筋ジスに有用か?/Lancet

 ジストロフィン遺伝子にナンセンス変異を認めるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)患者(7~16歳男児)に対する、ataluren治療の有効性と安全性を評価する第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果が発表された。主要エンドポイントとした6分間歩行(6MWD)のベースラインからの変化について、intention-to-treat(ITT)集団および事前規定サブグループのうちベースラインの6MWDが300m未満群または400m以上群においては、ataluren群とプラセボ群で有意差は示されなかったが、同300m以上400m未満群ではataluren群の有意な改善が記録されたという。米国・カリフォルニア大学デービス校のCraig M. McDonald氏らによる検討で、結果はLancet誌オンライン版2017年7月17日号で発表された。atalurenの有効性と安全性をナンセンス変異を有する男児で評価 DMDは、重篤な進行性の稀少神経筋疾患であり、X連鎖性の遺伝性疾患である。疾患の基礎を成すのはジストロフィン蛋白の欠如で、その産生を回復するための変異遺伝子に特異的な治療法の開発が進められている。atalurenは、ナンセンス変異のリードスルーを促進することでジストロフィン遺伝子機能をフルレンジさせる作用を有し、これまでの第IIa、IIb臨床試験でその薬効について有望視される所見が示されていた。2014年には欧州医薬品庁が、5歳以上のDMD患者の治療薬として条件付き承認をしている。 研究グループは、約10~15%のDMD患者にみられるナンセンス変異を有する男児を対象に、外来設定でのatalurenの有効性と安全性を評価した。試験は北米、欧州、アジア太平洋地域、中南米から18ヵ国54施設が参加して行われた。 被験者は、ナンセンス変異を有する7~16歳、ベースライン6MWDが150m以上、身長が年齢予測標準値の80%以下であるDMD男児。1対1の割合で無作為にatalurenを1日3回(40mg/kg/日)経口投与する群もしくは適合プラセボ群に割り付け追跡評価を行った。割り付けについては、患者、保護・介護者、施設関係者、製剤製造元社員ほかすべての試験関係者に対して、データベースをロックするまでマスキングがされていた。 主要エンドポイントは、ベースラインから48週までの6MWDの変化で、intention to treatで評価した。また、主要エンドポイントについて、事前規定のサブグループについても解析を行い、その結果が疾患進行の1年予測率と関連するかについても評価した。ataluren群は300m以上400m未満群でのみ有意な改善 2013年3月26日~2014年8月26日に、230例がataluren投与群(115例)またはプラセボ群(115例)に無作為に割り付けられた。intention-to-treat集団は228例であった。 ベースライン~48週の6MWDの変化の最小二乗平均値は、ataluren群-47.7m(SE:9.3)、プラセボ群-60.7m(SE:9.3)であった(差:13.0m[SE:10.4]、95%信頼区間[CI]-7.4~33.4、p=0.213)。 事前規定のサブグループについて、同変化値のataluren群とプラセボ群の差は、ベースライン6MWDが300m未満群では-7.7m(SE:24.1、95%CI:-54.9~39.5、p=0.749)、ベースライン6MWDが300m以上400m未満群では42.9m(同15.9、11.8~74.0、p=0.007)、ベースライン6MWDが400m以上群では-9.5m(17.2、-43.2~24.2、p=0.580)であった。 atalurenの忍容性は概して良好で、治療で発現した有害事象の大半は軽度~中等度のものであった。重篤な有害事象は8例(各群4例、3%)で報告されたが、プラセボ群での報告1例(おそらく治療に関連があると考えられる肝機能の異常)を除き、治療とは無関係と考えられるものであった。 なお、atalurenによる有意な改善が認められたサブグループ群のベースライン6MWD値(300m以上400m未満)は、1年間の予測される疾患進行がより低いこととの関連が認められ、著者は、「この所見は、今後の6MWDをエンドポイントとしたDMD試験のデザインに影響を及ぼすものと考えられる」と述べている。

7533.

新たなエビデンスを生み続けるMAMS(解説:榎本 裕 氏)-704

 STAMPEDE試験といえば、2016年のLancet誌に出た報告が記憶に新しい。未治療の進行前立腺がんに対し、標準的なADTにドセタキセル(DTX)化学療法を6コース追加することで全生存率の有意な改善を示したものである。前年に同様の結果を報告したCHAARTED試験とともに、未治療進行前立腺がんの治療を変容しつつある(本邦では保険適応の問題から、普及にはまだ遠いが)。 STAMPEDE(Systemic Therapy in Advancing or Metastatic Prostate cancer: Evaluation of Drug Efficacy)は、初回ホルモン治療(ADT)を行う局所進行ないし転移性前立腺がん患者を対象とした前向き臨床試験で、複数のRCTを同時進行で行うMAMS(multiarm, multistage)プラットフォームを特徴としている。今回の報告は、ADT単独療法を対照として、アビラテロン(ABI)+プレドニゾロン(PSL)の追加がOSを改善するかどうかを検討した。 STAMPEDEでは、未治療転移性がんだけではなく、未治療局所進行がん、さらには前立腺全摘や根治照射後の再発例も対象に含んでいる。今回の解析対象患者のうち再発症例は4~7%のみであるが、遠隔転移がなく根治照射を予定している患者が41%程度含まれていることは注意が必要だ。遠隔転移のある症例では病勢進行までADT(またはADT+ABI+PSL)が継続されるが、遠隔転移がなく根治照射を行った例では病勢進行がない場合、薬物治療は最長2年間となっている。 今回の試験結果では、転移性がんではABI+PSLの追加が有意なOS改善をもたらした(HR:0.61)。この結果は、同時に発表されたLATITUDE試験の結果を再現している。転移のない症例でもOSは改善傾向であったが、40ヵ月という追跡期間では十分な差を出せていない。転移性がんについていえば、ADT+DTXが引き続き今後の標準治療になるのか、ADT+ABI+PSLが取って代わるのか、はたまたADT+DTX+ABI+PSLの併用に進んでいくのか、今後の研究に期待したい。

7534.

侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第43回

第43回:CTLA-4を標的にしてリウマチとがんがぶつかっています(視聴者からの質問)キーワードイピリムマブアバタセプトリウマチ膠原病メラノーマ肺がんUemura M,et al.Selective inhibition of autoimmune exacerbation while preserving the anti-tumor clinical benefit using IL-6 blockade in a patient with advanced melanoma and Crohn's disease: a case report.J Hematol Oncol.2016 Sep 5.[Epub ahead of print]

7535.

HER2陽性乳がんの延長アジュバントにneratinib承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年7月17日、早期のHER2陽性乳がんの長期アジュバント治療に、pan-HERチロシンキナーゼ阻害薬neratinibを承認した。neratinib治療は、この対象患者で初となる延長アジュバント療法であり、がんの再発リスクをさらに下げるため初回治療後に行われる。neratinibの適応患者はトラスツズマブレジメンの既治療患者である。 今回の承認は、第III相ExteNET 試験と、第II相CONTROL 試験の結果に基づくもの。ExteNET 試験の初回解析では、2年間の無浸潤無病生存率(iDFS)は、neratinib治療患者では94.2%、プラセボ患者では91.9%であった(HR:066、95% CI:0.49-0.90、p=0.008)。 neratinibの安全性と有効性は、過去2年間にトラスツズマブで治療を完了した早期HER2陽性乳がん患者2,840例の無作為化試験で研究された。neratinibの主な副作用は、下痢、悪心、腹痛、疲労感、嘔吐、皮疹、口内炎、食欲不振、筋痙攣、消化不良、肝障害(ASTまたはALT上昇)、爪障害、乾燥皮膚、腹部膨満、体重減少、尿路感染症であった。 国立がん研究所(NCI)は、本年、米国では約25万人の女性が乳がんと診断され、4万人が乳がんにより死亡すると推定している。また、HER2陽性患者は乳がんの約15%である。■参考FDAニュースリリース

7536.

季節農家の労働者はうつ病になりやすいのか

 農家労働者の生活困難は、ストレスやうつ病リスク上昇をもたらすといわれている。これまでの限られた研究では、主に季節農家に集中していたが、先行研究では、移住農家労働者または両集団を調査している。米国・イーストカロライナ大学のBeth H. Chaney氏らは、季節農家労働者のうつ病レベルおよび抑うつ症状の予測因子について調査を行った。International journal of environmental research and public health誌2017年6月30日号の報告。 対象は、ラテン系季節農家労働者150人。対象のストレスおよびうつ病レベルを評価し、年齢、性別、婚姻状況、教育水準、居住期間、文書による健康管理の問題、言語の障壁、交通、コスト、医療保険、ストレスレベルなどの共変量がうつ病の重要な予測因子かどうかを検討した。有意な共変量を確認するため、階層的バイナリロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・統計学的に有意な共変量は、健康保険の補償(p=0.025)とストレス(p=0.008)のみであった。・健康保険未加入の農家労働者は、加入者と比べてうつ病症状を有する割合が1.8倍であり、ストレスレベルが高いほどうつ病症状の出現する割合については7倍以上であった。■関連記事公園や緑地が少ないとうつ病になりやすいのか職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

7537.

遠隔医療で炎症性腸疾患の外来受診と入院が減少/Lancet

 炎症性腸疾患(IBD)患者に対する遠隔医療(myIBDcoach)は安全で、標準治療と比較し外来受診と入院の頻度を減少させることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのMarin J de Jong氏らによる実用的多施設無作為化比較試験の結果、明らかとなった。IBDは、疾患の複雑さ、外来診療所へのプレッシャーの高まり、罹患率増加などにより、従来の状況では厳格で個別的な管理が困難となっているという。これまでに開発されたIBD患者の遠隔医療システムは、疾患活動性が軽度~中等度の特定の患者用でその効果は一貫していなかった。今回開発されたシステムはサブタイプを問わず適用可能であり、著者は「この自己管理ツールは、治療の個別化と価値に基づく医療(value-based health care)に向けたIBD治療の改革に役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月14日号掲載の報告。遠隔医療システムを用いた介入と標準治療で、外来受診者数と医療の質を比較 研究グループは2014年9月9日~2015年5月18日に、オランダの大学病院2施設および一般病院2施設にて試験を実施した。対象は、回腸嚢肛門吻合術または回腸嚢直腸吻合術の既往がなく、インターネットにアクセス可能でオランダ語が堪能な18~75歳のIBD外来患者909例。疾患の活動性などをモニターし記録する遠隔医療システム(myIBDcoach)による介入群と、標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付け(コンピュータが作成した割振りと最小化法を使用)、12ヵ月間追跡調査を行った。なお、患者、医療従事者およびアウトカムの評価者は盲検化されていない。 主要評価項目は、消化器内科医または看護師の外来診療所を受診した数と患者報告による医療の質(0~10点の視覚アナログスケールで評価)、安全性評価項目は、フレア数、ステロイド治療数、入院数、救急外来受診数、外科手術数で、intention to treat解析が実施された。遠隔医療群で外来受診数と入院数が有意に減少、患者が報告した医療の質は同等 遠隔医療群465例、標準治療群444例において、12ヵ月時における平均外来受診数(±SD)は、それぞれ1.55±1.50および2.34±1.64と遠隔医療群が有意に少なく(差:-0.79、95%信頼区間[CI]:-0.98~-0.59、p<0.0001)、平均入院数も同様の結果であった(0.05±0.28 vs.0.10±0.43、差:-0.05、95%CI:-0.10~0.00)、p=0.046)。 12ヵ月時における患者が報告した医療の質の平均スコアは、両群ともに高値であった(8.16±1.37 vs.8.27±1.28、差:0.10、95%CI:-0.13~0.32、p=0.411)。フレア数、ステロイド治療数、救急外来受診数、外科手術数は両群間で差はなかった。 なお、著者は「患者と医師のいずれも盲検化されておらず、追跡調査期間が短いことなど研究の限界がある」と述べている。

7538.

ebselenは騒音性難聴の予防に有効か?/Lancet

 騒音性一過性閾値変化(TTS)の予防に、新規グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPx1)様物質ebselenの投与(400mgを1日2回)は有効かつ安全であることが示された。米国・Sound Pharmaceuticals社のJonathan Kil氏らが、若年成人を対象とした第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究において、急性騒音曝露後にGPx1活性が減少することや、ebselenが一過性騒音性難聴および永久性騒音性難聴の両方を軽減させることが動物実験で示されていた。騒音性難聴は、職業性または娯楽に関連した難聴の主たる原因であり、加齢性難聴の主要な決定要素でもあるが、その予防薬あるいは治療薬は開発されていない。著者は、「今回の結果は、急性騒音性難聴におけるGPx1活性の役割を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月14日号掲載の報告。騒音曝露後の一時的な聴力低下をebselenとプラセボとで比較 研究グループは2013年1月11日~2014年3月24日に、フロリダ大学単施設で試験を実施した。対象は18~31歳の健常成人83例で、ebselen 200mg、400mg、600mgまたはプラセボを1日2回4日間経口投与する群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた(無作為化は独立した第三者機関が作成した割り振り順番を用いて実施)。治験薬投与開始2日後に来院してもらい、騒音を再現した負荷試験(calibrated sound challenge:ロックもしくはポップスの楽曲を4時間、挿入型イヤホンを介して聞いてもらい、リアルワールドの複合的騒音を体験させる)の前および15分後、1時間15分後、2時間15分後および3時間15分後に純音聴力検査を行った。 主要評価項目は、負荷試験15分後の4kHzの平均TTSで、プラセボ群と比較してebselen群で50%減少した場合を臨床的に意義があると判定した。統計解析は、治験薬を1回以上服用し負荷試験を受けた参加者を有効性評価解析対象とし、また無作為化された参加者全員を安全性解析対象とした。ebselen 400mg群で4kHzの平均TTSが68%減少 83例(ebselen 200mg群22例、400mg群20例、600mg群21例、プラセボ群20例)中、ebselen 200mg群の2例が選択基準を満たさないため負荷試験前に中止となり、有効性解析から除外された。 4kHzの平均TTS(±標準誤差[SE])は、ebselen 400mg群1.32±0.91dB、プラセボ群4.07±0.90dBであり、ebselen 400mg群で68%有意に減少した(差:-2.75dB、95%信頼区間[CI]:-4.54~-0.97、p=0.0025)。また、プラセボ群と有意差はなかったが、ebselen 200mg群で21%減少(3.23±0.91dB vs.プラセボ群4.07±0.90dB、差:-0.84dB、95%CI:-2.63~0.94、p=0.3542)、ebselen 600mg群で7%減少した(3.81±0.90dB vs.プラセボ群4.07±0.90 dB、差:-0.27、95%CI:-2.03~1.05、p=0.7659)。 ebselenのすべての用量群について忍容性は良好であり、血液学的、血液生化学的および放射線学的検査に関して、ebselen群とプラセボ群で差は認められなかった。

7539.

1日6杯超の飲酒で胃がんリスクはどれだけ増えるか

 近年、多量飲酒と胃がんリスクとの関連が報告されているが、飲酒量について課題が残っている。今回、症例対照研究のプール解析であるStomach cancer Pooling(StoP)Projectにおいて、これらの関連性がより詳細に示された。International Journal of Cancer誌オンライン版2017年7月18日号に掲載。 本研究は、欧州、アジア、北米の計20研究におけるケース9,669例およびコントロール2万5,336例のプール解析である。ランダム効果メタ回帰モデルを使用して、研究ごとのオッズ比(OR)をプールし、要約オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・4杯/日以下の飲酒者の胃がんリスクは非飲酒者と比べて増加しなかったが、多量飲酒者(4杯/日超~6杯/日)ではORが1.26(95%CI:1.08~1.48)、超多量飲酒者(6杯/日超)では1.48(95%CI:1.29~1.70)であった。・4杯/日超の飲酒者の胃がんリスクは、生涯非喫煙者ではORが1.87(95%CI:1.35~2.58)と、現喫煙者の1.14(95%CI:0.93~1.40)より高かった。・非噴門部(OR:1.28、95%CI:1.13~1.45)より噴門部(OR:1.61、95%CI:1.11~2.34)の胃がん、びまん型(OR:1.29、95%CI:1.05~1.58)より腸型(OR:1.54、95%CI:1.20~1.97)のがんで、多量飲酒とやや強い関連が認められた。・この関連は、H.pylori感染者(OR:1.52、95%CI:1.16~2.00)および非感染者(OR:1.69、95%CI:0.95~3.01)において同程度であった。

7540.

20歳頃~中年での体重増、慢性疾患リスクを増大/JAMA

 20歳前後から55歳にかけて体重が2.5~10.0kg増加した人は、ほぼ安定していた人に比べ、2型糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの発症リスクが有意に高く、慢性疾患や認知機能・身体的障害などを有さずに健康な状態で年を重ねられる割合は低減することがわかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYan Zheng氏らが、看護師健康調査(Nurses’ Health Study:NHS)と医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-Up Study:HPFS)を基に行ったコホート研究の結果で、JAMA誌2017年7月18日号で発表した。女性18歳と男性21歳、55歳での体重変化と健康アウトカムを検証 研究グループは、NHS(1976~2012年6月30日)に参加した女性およびHPFS(1986~2012年1月31日)に参加した男性で、女性は18歳時、男性は21歳時の体重について記憶があり、55歳時の体重を報告した人を対象に、20歳前後から中年にかけての体重変化とその後の健康アウトカムとの関連を調べた。 被験者の疾患アウトカム発生について、55歳時からフォローアップを行った。心血管疾患、がん、死亡については、診療記録やNational Death Index(国民死亡記録)で確認。また、11種の慢性疾患、主な認知機能障害または身体的障害がない状態として定義した複合健康加齢アウトカムを評価した。2型糖尿病発症率、中程度体重増加群は安定群に比べ2倍近く 分析対象者は、女性9万2,837例(うち白人は97%、37年間の平均[SD]体重増:12.6[12.3]kg)と、男性2万5,303例(うち白人は97%、34年間の平均[SD]体重増:9.7[9.7]kg)だった。 2型糖尿病発症率(10万人年当たり)について体重増加の程度で比較したところ、中程度増加群(2.5kg以上10kg未満)の女性では207に対し、安定群(体重減2.5kg以下、体重増2.5kg未満)の女性では110だった(10万人年当たり群間絶対率差[ARD]:98、95%信頼区間[CI]:72~127)。男性では、それぞれ258と147だった(ARD:111/10万人年、同:58~179)。 高血圧症発症率は、女性はそれぞれ3,415と2,754(ARD:662、95%CI:545~782)、男性はそれぞれ2,861と2,366(同:495、281~726)。心血管疾患の発症率は、女性はそれぞれ309と248(同:61、38~87)、男性はそれぞれ383と340(同:43、-14~109)。 肥満に関連したがん発症率は、女性がそれぞれ452と415(同:37、4~73)、男性がそれぞれ208と165(同:42、0.5~94)だった。 複合健康加齢アウトカムの達成者の割合は、体重が中程度増加群では、女性24%(3,651例)、男性37%(2,405例)に対し、安定群は、女性27%(1,528例)、男性39%(989例)だった。複合健康加齢アウトカムについて、体重が中程度増加群の安定群に対する多変量補正後オッズ比は、女性が0.78(95%CI:0.72~0.84)、男性は0.88(同:0.79~0.97)だった。 体重増が大きいほど主な慢性疾患発症のリスクは増大し、複合健康加齢アウトカムの達成低下との関連が認められた。

検索結果 合計:11840件 表示位置:7521 - 7540