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Onyx stent(Medtronic; Santa Rosa, CA, USA)とOrsiro stent(Biotronik; Bulach, Switzerland)を比較した単盲検(assessor-blinded and patient-blinded)国際多施設無作為化非劣性試験の結果である。1,243症例がOnyx群に1,245症例がOrsiro群に割り付けられ、主要評価項目を1年でのtarget vessel failure(TVF:a composite of cardiac death, target-vessel-related myocardial infarction, and target vessel revascularisation)として、ほとんど除外基準のないall-comerデザインで検討された。 1年でのTVFは4.5% vs.4.7%(Onyx群vs.Orsiro群)で非劣性が証明された。また、ステント血栓症(definite or probable)は、0.1% vs.0.7%(Onyx群vs.Orsiro群)と、Onyx群で有意(p=0.0112)に少なかった。 よって、1年までの臨床成績はOnyx stentとOrsiro stentで同等ということになる。ステント血栓症がOnyx群で少なかった結果については、今後新たに臨床試験を実施して検討しなければ、現時点では確定的なものとは言えない。 このような非劣性試験が次々に報告されるが、1年の成績によってその後の長期成績は予測できず、1年の成績には単なる経過報告の価値しかないだろう。容認できないほどの重篤なイベントがいずれかの群で有意に多いのでなければ、5~10年の長期成績が出て初めて、どちらのステントを使うべきかを考える判断材料となりうると考える。それよりも、画像診断や病理所見からいずれかのステントにおいて、将来問題となる可能性のある所見が認められないか、ステント血栓症が真にOrsiro群で多いとすればどのような機序によるものなのか、といった詳細な検討を行うことが重要であろう。 また、IVUSガイドによる至適拡張が大きく結果を向上させるというエビデンスが出ている現在において、IVUS/OCTの使用率が1.0%であるこの試験の結果が、IVUS/OCTの使用率が100%に近い日本でのPCIにも該当するかどうかは不明である。