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ctDNA検出のMRDが術後NSCLCの再発予測バイオマーカーに?

 近年、非小細胞肺がん(NSCLC)における周術期治療において、さまざまな薬剤の臨床試験が進行しており、今後治療が変化していくことが予想される。しかし、アジュバントによるメリットを受ける患者層を特定するためには、再発リスクを評価するためのバイオマーカーが必要である。 中国・四川大学のLiang Xia氏らは、周術期の循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)が、分子残存病変(MRD)の早期発見と、術後再発予測のバイオマーカーとなりうるか、検討を行った。Clinical Cancer Research誌オンライン版2021年11月29日号掲載の報告。ctDNAベースのMRDはRFS予測への寄与率が高かった 本研究では、LUNGCA研究(手術適応となるNSCLC患者におけるctDNAの動的モニタリングに関する前向き多施設コホート)に基づき、StageI〜IIIのNSCLC患者330例の周術期3時点(術前、術後3日、術後1ヵ月)で得られた血漿サンプル950件を登録した。カスタマイズされた769遺伝子のパネルを用いて、腫瘍組織および血漿サンプル中の体細胞変異を次世代シーケンサーで同定し、ctDNAベースのMRD解析に活用した。 ctDNAがMRDの早期発見と術後再発予測のバイオマーカーとなりうるか検討を行った主な結果は以下のとおり。・術前のctDNA陽性は、無再発生存率(RFS)の低下と関連していた(ハザード比[HR]:4.2、p<0.001)。・MRDの存在(術後3日および/または術後1ヵ月時点のctDNA陽性)は、強力な再発予測因子であった(HR:11.1、p<0.001)。・ctDNAベースのMRDは、TNMを含む、どの臨床病理学的変数よりも、RFS予測への寄与率が高かった。・MRD陽性集団では、アジュバント治療を受けた患者は、アジュバント治療を受けなかった患者よりも、RFSが改善した(HR:0.3、p=0.008)。・MRD陰性集団では、アジュバント治療を受けた患者は、アジュバント治療を受けなかった患者よりも、RFSが低下した(HR:3.1、p<0.001)。・臨床病理学的変数で調整した後も、アジュバント治療の有無は、MRD陽性集団におけるRFSの独立因子であったが(p=0.002)、MRD陰性集団ではそうではなかった(p=0.283)。 周術期におけるctDNA解析は、NSCLCのMRDの早期発見と再発リスクの層別化に有効であり、NSCLC患者の管理に役立つ可能性がある、と著者らは結論付けている。

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進行食道扁平上皮がんの1次治療、ニボルマブを含むレジメンが有望/NEJM

 進行食道扁平上皮がん患者の1次治療では、抗プログラム細胞死1(PD-1)モノクローナル抗体ニボルマブ+化学療法の併用と、ニボルマブ+抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)抗体イピリムマブの併用は、化学療法単独と比較して、いずれのレジメンも全生存期間を有意に延長することが、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学の土岐祐一郎氏らが実施した「CheckMate 648試験」で示された。新たな安全性のシグナルは確認されなかったという。研究の成果は、NEJM誌2022年2月3日号に掲載された。3群を比較するアジア主体の国際的な無作為化第III相試験 本研究は、進行食道扁平上皮がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用、および免疫チェックポイント阻害薬2剤併用の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、2017年6月~2019年11月の期間に、日本を含む26ヵ国182施設で参加者の登録が行われた(Bristol Myers SquibbとOno Pharmaceuticalの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、根治治療の適用がなく、進行病変に対する全身療法の治療歴のない切除不能な進行、再発、転移性の食道扁平上皮がん患者であり、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現の有無は問われなかった。 被験者は、ニボルマブ(240mg、2週ごと、静脈内投与)+化学療法(4週を1サイクルとして、1~5日目にフルオロウラシル800mg/m2[体表面積]を静脈内投与し、1日目にシスプラチン80mg/m2を静脈内投与)、ニボルマブ(3mg/kg[体重]、2週ごと、静脈内投与)+イピリムマブ(1mg/kg[体重]、6週ごと、静脈内投与)、化学療法単独の投与を受ける3つの群のいずれかに、1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、全生存期間と無増悪生存期間とし、盲検下に独立の中央判定委員会によって判定された。検定は階層的に行われ、最初に腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者で、次いで患者全体(無作為に割り付けられた全患者)で実施された。 970例が無作為化の対象となった。ニボルマブ+化学療法群に321例(年齢中央値64歳、男性 79%)、ニボルマブ+イピリムマブ群に325例(63歳、83%)、化学療法単独群に324例(64歳、85%)が割り付けられた。680例(70%)がアジア人で、PD-L1の発現率が1%以上の患者は473例(49%)であった。奏効率と奏効期間も、ニボルマブを含むレジメンで良好な傾向 最も短い追跡期間が13ヵ月の時点における全生存期間中央値は、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者では、ニボルマブ+化学療法群が15.4ヵ月、化学療法単独群は9.1ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、99.5%信頼区間[CI]:0.37~0.80、p<0.001)で、患者全体では、それぞれ13.2ヵ月および10.7ヵ月(HR:0.74、99.1%CI:0.58~0.96、p=0.002)であり、いずれもニボルマブ+化学療法群で有意に優れた。 また、全生存期間中央値のニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法単独群との比較では、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者(ニボルマブ+イピリムマブ群13.7ヵ月vs.化学療法単独群9.1ヵ月、HR:0.64、98.6%CI:0.46~0.90、p=0.001)および全体(12.7ヵ月vs.10.7ヵ月、HR:0.78、98.2%CI:0.62~0.98、p=0.01)のいずれにおいても、ニボルマブ+イピリムマブ群で有意に良好だった。 一方、無増悪生存期間は、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者では、ニボルマブ+化学療法群が化学療法単独群よりも有意に延長した(6.9ヵ月vs.4.4ヵ月、HR:0.65、98.5%CI:0.46~0.92、p=0.002)が、全体では、両群間の差は事前に規定された有意差の境界(p=0.015)を満たさなかった(5.8ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:0.81、98.5%CI:0.64~1.04、p=0.04)。 無増悪生存期間のニボルマブ+イピリムマブ群と化学療法単独群との比較では、腫瘍細胞のPD-L1の発現率が1%以上の患者(ニボルマブ+イピリムマブ群 4.0ヵ月vs.化学療法単独群4.4ヵ月、HR:1.02、98.5%CI:0.73~1.43、p=0.90)において統計学的有意差の基準を満たさなかったため、全体(2.9ヵ月vs.5.6ヵ月、HR:1.26、95%CI:1.04~1.52)での検定は行われなかった。 客観的奏効率(PD-L1発現率1%以上の患者:ニボルマブ+化学療法群53%、ニボルマブ+イピリムマブ群35%、化学療法単独群20%、全体:47%、28%、27%)はニボルマブ+化学療法群で最も高く、奏効期間中央値(8.4ヵ月、11.8ヵ月、5.7ヵ月/8.2ヵ月、11.1ヵ月、7.1ヵ月)はニボルマブ+イピリムマブ群で最も長かった。 Grade3または4の治療関連有害事象の発現率は、ニボルマブ+化学療法群が47%と最も高く、ニボルマブ+イピリムマブ群は32%,化学療法単独群は36%であった。重篤な治療関連有害事象はニボルマブ+化学療法群が24%、ニボルマブ+イピリムマブ群は32%にみられ、化学療法単独群の16%よりも高率であった。免疫学的原因の可能性がある治療関連有害事象の多くはGrade1または2だった。 著者は、「この研究は、ニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブの比較や、特定のサブグループにどの治療を用いるべきかを評価するようにはデザインされていない。ニボルマブを含む2つのレジメンの有効性を予測する人口統計学的因子の特性やベースラインの疾患特性を同定するには、新たな探索的な事後解析が、これに資する可能性がある」としている。

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英語で「体重が増えました」は?【1分★医療英語】第15回

第15回 英語で「体重が増えました」は?How’ve you been since the last time I saw you?(その後いかがですか?)I’ve put on loads of weight in the last few months.(この数ヵ月でだいぶ体重が増えました)《例文1》I gained some weight during lockdown.(ロックダウン中に太りました)《例文2》Changing your eating habits is the best way to lose weight.(食習慣を変えるのが、一番良い体重の減らし方です)《解説》「体重が増えた」という表現は、“put on weight”や“gain weight”、“grow heavier/fatter”などと表現されます。一方で「体重が減った」場合には、“lose weight”や“slim down”、“become thinner”などの表現があります。米国、英国では、体重や身長を“pound”、“feet”、“inch”を使って表現します。1ポンド=約0.45kg、1フィート=30.48cm、1インチ=2.54cmです。また、とくに体重を表すときに、“stone”という単位もよく使われます。“stone”は14ポンド(約6.36kg)のことで、“To lose a stone”で「6.36kg減る」という意味になります。“I’ve put on 2 stones in the last year.”(ここ1年で約13キロ増えました)という感じで使います。講師紹介

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第99回 オミクロン株亜種BA.2を相手しうる治療抗体はたった1つ?

世界に広まった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン(Omicron)株の発見国である南アフリカではその亜種BA.2(B.1.1.529.2)が先立つBA.1型に取って代わって優勢となっています1)。同国政府の顧問を務める生物統計研究者Tulio de Oliveira氏によると不気味なことにいまや同国でのSARS-CoV-2感染(COVID-19)の実にほぼすべてがBA.2によるものとなりました2)。オミクロン株の発見の報告者としても知られるDe Oliveira氏はオミクロン株が後ろ盾の感染流行の第二波をBA.2がもたらしうるとかつて述べており、同国のCOVID-19のほぼ100%がBA.2になったことはその予想通りです。BA.2への既存の抗体薬の効果の検討が早速始まっています。感染症治療薬を開発する米国のバイオテクノロジー企業Vir Biotechnology社の先週9日の発表3)によるとBA.2を阻止する中和活性を同社がGlaxoSmithKline(GSK)と協力して取り組んでいる抗体sotrovimab(ソトロビマブ、S309)が幸いにも備えていました。ただし中和活性がどれほどのものかの具体的な説明はなく、代理ウイルスを使ったその実験結果の詳細は近々bioRxivに掲載されるとVir社はその発表に記しています。時を同じくして先週9日にbioRxivにすでに掲載済みのコロンビア大学の別の研究でもソトロビマブがBA.2中和活性を有することが確認されています。しかし残念なことにその活性はかつて流行した野生型D614G代理ウイルス(wild-type D614G pseudovirus)に対するのと比べて27分の1ほどでしかありませんでした4)。bioRxivへの提出後の追試でのソトロビマブのBA.2中和活性はさらに低かったと研究リーダーDavid Ho氏は言っています5)。一方、ソトロビマブとは対照的にEli Lilly社の抗体bebtelovimab(ベブテロビマブ、LY-CoV1404)はBA.2にも歯が立ち、野生型D614G代理ウイルスに対するのとほぼ同等にBA.2を中和しました。また、AstraZenecaの抗体一対cilgavimab(COV2-2130)/tixagevimab(COV2-2196)の片方cilgavimabもbebtelovimabには劣るもののBA.2とどうやら張り合うことができるようです。bebtelovimabのBA.2中和活性は野生型D614G代理ウイルス中和活性の1.1倍でほぼ同じだったのに対してcilgavimabのそれは2分の1ほどでした。コロンビア大学の研究ではそれら3抗体を含むあわせて19の抗体が検討され、結論としてそれらのうちBA.2に対抗しうるのはLillyのbebtelovimabとAstraZenecaのcilgavimabのみであり、GSK/Vir社のソトロビマブを含む他の17の抗体はBA.2阻止活性を全く持ち合わせていないか酷く損なっていました。折しも先週末11日に米国FDAはBA.2に勝ち目があるLillyのbebtelovimabを取り急ぎ認可しています6)。重症化する恐れがある外来の軽~中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者への使用が許可され、米国政府は少なくとも7億2000万ドルを払って同剤最大60万回投与分を購入します7)。同剤の投与は1回8)なので最大60万人分に相当します。BA.2を相手しうるもう1つの抗体cilgavimabを成分とするAstraZenecaの抗体薬も米国FDAに取り急ぎ認可されていますが、認可されたのはCOVID-19予防用途です9)。治療に使うことは認められていません。よってFDAがCOVID-19治療に使うことを認可した抗体のほぼすべてがBA.2におよそ歯が立たず、勝負できそうなのは今のところLillyのbebtelovimabのみであり、果てなく進化し続ける脅威・SARS-CoV-2を抑える新たな手段をわれわれも絶えずひねり出していく必要があるようです4)。参考1)Omicron BA.2 sub-variant dominant in S.Africa, says CDC / Reuters2)Omicron BA.2 Sub-Variant Close to 100% Dominant in South Africa / Bloomberg3)Data Suggest Sotrovimab Retains Neutralizing Activity Against Omicron Subvariant BA.2 / GlobeNewswire4)Antibody Evasion Properties of SARS-CoV-2 Omicron Sublineages. bioRxiv. February 09, 20225)Spreading version of Omicron resists all but one new drug / Reuters6)Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Authorizes New Monoclonal Antibody for Treatment of COVID-19 that Retains Activity Against Omicron Variant / PR Newswire7)Lilly's bebtelovimab receives Emergency Use Authorization for the treatment of mild-to-moderate COVID-19 / PR Newswire8)FACT SHEET FOR HEALTHCARE PROVIDERS: EMERGENCY USE AUTHORIZATION FOR BEBTELOVIMAB9)AZD7442 request for Emergency Use Authorization for COVID-19 prophylaxis filed in US / AstraZeneca

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追加接種でオミクロン株での入院が未接種の23分の1/CDC

 米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡での調査によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株優勢期におけるCOVID-19による入院率は、ワクチン未接種者では2回接種+追加接種者の23.0倍、2回接種者の5.3倍だった。ロサンゼルス郡公衆衛生局のPhoebe Danza氏らが、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月4日号に報告。 ロサンゼルス郡公衆衛生局は、COVID-19サーベイランスおよびCalifornia Immunization Registry 2のデータを用いて、2021年11月7日~2022年1月8日の年齢調整14日間累積感染率と入院率について、新型コロナワクチン接種状況および各変異株の優勢期ごとに調査した。SARS-CoV-2感染は、核酸増幅検査もしくは抗原検査で確認した。対象は18歳以上の成人で、BNT162b2(ファイザー製)、mRNA-1273(モデルナ製)、Ad.26.COV2.S(Johnson & Johnson製)の最初の連続接種が終了した日から14日後に2回接種完了とみなした。また、2回接種完了者が追加接種を受けた日から14日後に追加接種完了とみなした。 主な結果は以下のとおり。・2021年11月7日~2022年1月8日に報告されたSARS-CoV-2感染者42万2,966人のうち、ワクチン未接種者は14万1,928人(33.6%)、2回接種+追加接種者は5万6,185人(13.3%)、2回接種者の22万4,853件(53.2%)だった。・デルタ株優勢期の最終期である2021年12月11日までの14日間で、ワクチン未接種者の感染率は、2回接種+追加接種者の12.3倍、2回接種者の3.8倍で、入院率は、2回接種+追加接種者の83.0倍、2回接種者の12.9倍であった。・オミクロン優勢期(2022年1月8日で終わる週)では、ワクチン未接種者の感染率は、3回接種者の3.6倍、2回接種者の2.0倍で、入院率は、2回接種+追加接種者の23.0倍、2回接種者の5.3倍であった。・全解析期間において、ICU入院、人工呼吸器装着、死亡は、ワクチン未接種者が2回接種+追加接種者、2回接種者より多かった(p<0.001)。・感染率、入院率とも、いずれの時期においても未接種者が最も高く、2回接種+追加接種者が最も低かった。

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治療抵抗性うつ病の負担と課題

 治療抵抗性うつ病は、公衆衛生上の重大な問題である。ギリシャ・Psychiatric Hospital of AtticaのCharalampos Touloumis氏は、治療抵抗性うつ病に関する現状や課題についての報告を行った。Psychiatriki誌2021年12月号の報告。 主な報告は以下のとおり。・うつ病エピソード(単極性または双極性)を有する患者の約20~40%は、抗うつ薬治療に臨床的な治療反応(症状スケール50%以上低下)を示さないと考えられる。・症状が改善した患者の約半数は、機能の悪影響や再発の可能性が高まる残存症状が認められる。・うつ病エピソードの初回治療を受けた患者の20~40%は寛解が認められる(STAR*D研究では36.8%)。・治療目標として、症状重症度70%以上の低下またはHAMDスコア7以下/MADRSスコア10以下を目指す必要がある。・うつ病患者は、寛解達成後も回復や病前の職業的および社会的状態に戻るまでには、長い期間を有することが少なくない。また、良好な状態を維持するためには、長期にわたる治療が必要となる。・治療抵抗性うつ病は、高血圧、糖尿病、心不全などの併存疾患発生率が高く、入院率が2倍、入院期間が36%延長される。・治療抵抗性うつ病患者の自殺リスクは、治療反応が認められるうつ病患者と比較し、7倍であった。・治療抵抗性うつ病患者は、治療反応が認められるうつ病患者と比較し、死亡率が高く、すべての原因による死亡率は、29~35%上昇する。死亡率の高さは、13歳以上および非うつ病患者との比較でも同様であった。・治療抵抗性うつ病は、その発生率やうつ病治療において重要な問題であるにもかかわらず、専門家の考える基準は明確ではない。・治療抵抗性うつ病の最も一般的な基準は、コンプライアンスを確認したうえで、適切な用量および期間による2種類以上の異なる抗うつ薬(同クラスまたは異なるクラス)による治療に対して抵抗性を示すとされるが、有意な臨床的な結果を示すことはできない。・虚無主義を改善するための難治性うつ病、心理療法やECTなどの非薬物療法を併用する必要がある薬物治療抵抗性うつ病、複数の治療抵抗性うつ病、致死的なうつ病などを治療抵抗性うつ病として考える場合もある。・治療抵抗性うつ病に対する治療は、すべての臨床医にとって課題である。・治療抵抗性に対し不十分な治療レジメン、併存疾患(不安障害、摂食障害、パーソナリティ障害、薬物乱用や依存、PTSDなど)、治療不適合、未確認の有機的および慢性期的なストレス原因を除外した後、利用可能な治療法は、治療の最適化、注意深い経過観察、過去の治療反応、併用療法、追加療法、ECT、TMS、迷走神経刺激、光線療法、心理療法、脳神経外科的治療である。

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閉経前ER+早期乳がん患者への卵巣抑制+AI vs.タモキシフェン/Lancet Oncol

 卵巣機能抑制療法を受けているエストロゲン受容体(ER)陽性の閉経前早期乳がん患者における、アロマターゼ阻害薬とタモキシフェンの有効性について、Early Breast Cancer Trialists’Collaborative group(EBCTCG)が4つの無作為化試験のメタ解析により比較した。Lancet Oncology誌オンライン版2022年2月3日号に掲載の報告より。 LH-RHアゴニスト(ゴセレリンまたはトリプトレリン)または卵巣摘出術を受けている閉経前のER陽性乳がん患者を対象に、アロマターゼ阻害薬(アナストロゾール、エキセメスタン、またはレトロゾール)とタモキシフェンを3~5年間比較した無作為化試験の患者データを用いてメタ解析を行った。ベースライン特性、乳がんの再発または二次原発がん発生の日付と部位、および死亡の日付と原因に関するデータが収集された。 主要評価項目は、乳がんの再発率(遠隔、局所、または対側)、乳がんによる死亡、再発のない死亡、および全死因死亡とされた。標準的なITTログランク解析により、初回イベントのリスク比(RR)とその信頼区間を推定した。 主な結果は以下のとおり。・1999年6月17日~2015年8月4日までに登録されたER陽性の乳がん患者7,030例を含む、4つの試験(ABCSG XII、SOFT、TEXT、およびHOBOE試験)からデータを取得した。・追跡期間中央値は8.0年(IQR:6.1~9.3)。・乳がん再発率は、アロマターゼ阻害薬群でタモキシフェン群よりも低かった(RR:0.79、95%信頼区間[CI]:0.69~0.90、p=0.0005)。・アロマターゼ阻害薬による再発に対するベネフィットは、治療法が異なる0~4年目にみられ(RR:0.68、99%CI:0.55~0.85、p<0.0001)、5年再発リスクの絶対値が3.2%(95%CI:1.8~4.5)低下した(アロマターゼ阻害薬群6.9% vs.タモキシフェン群10.1%)。・5~9年目(RR:0.98、99%CI:0.73~1.33、p=0.89)および10年目以降では、さらなるベネフィットなし、およびベネフィットなしであった。・遠隔転移の再発率はアロマターゼ阻害薬群で低かった(RR:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.018)。・乳がんによる死亡(RR:1.01、95%CI:0.82~1.24、p=0.94)、再発のない死亡(RR:1.30、95%CI:0.75~2-25、p=0.34)、全死因死亡(RR:1.04、5%CI:0.86~1.27、p=0.68)に治療間の有意差は認められなかった。・アロマターゼ阻害薬群でタモキシフェン群よりも骨折が多かった(6.4% vs. 5.1%、RR:1.27、95%CI:1.04~1.54、p=0.017)。・乳がん以外の死亡(0.9% vs. 0.7%、RR:1.30、95%CI:0.75~2.25、p=0.36)と子宮内膜がん(0.2% vs. 0.3%、RR:0.52、95%CI:0.22~1.23、p=0.14)はまれであった。 著者らは、卵巣機能抑制療法を受けている閉経前の早期乳がん患者においては、タモキシフェンよりもアロマターゼ阻害薬の使用で、乳がんの再発リスクが低下することが示唆されたが、死亡率への影響を評価するには、より長いフォローアップが必要と考察している。 本論文へのDoctors' Picksでのコメントはこちら!

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HFpEF/HFmrEFへの心房シャント、運動時肺血管抵抗正常患者で転帰改善/Lancet

 駆出率(EF)が保持または軽度低下した心不全(HFpEF/HFmrEF)患者では、心房シャントデバイス(InterAtrial Shunt Device[IASD]System II、米国Corvia Medical製)の留置により全体的な健康状態は改善されないものの、運動時の肺血管抵抗(PVR)の頂値が正常範囲内の患者では利益が得られる可能性があることが、米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のSanjiv J. Shah氏らが実施したREDUCE LAP-HF II試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年2月1日号に掲載された。日本を含む89施設の無作為化第III相試験 本研究は、心房シャントはHFpEF/HFmrEF患者における心不全イベントを低減し、健康状態を改善するかの検証を目的とする第III相無作為化偽手術対照比較試験であり、米国、カナダ、欧州、オーストラリア、日本の89施設で、2017年5月~2020年7月の期間に参加者の登録が行われた(米国Corvia Medicalの助成による)。 対象は、年齢40歳以上の症候性心不全で、EFが40%以上、運動時の肺動脈楔入圧(PCWP)が25mmHg以上で右房圧を少なくとも5mmHg上回る患者であった。 被験者は、心房シャントデバイスを留置する群または偽手術を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。患者と転帰の評価者には無作為化の情報が知らされなかった。 主要エンドポイントは、12ヵ月の時点での心血管死または非致死的虚血性脳卒中、24ヵ月までの全心不全イベントの発生率、12ヵ月時の健康状態(カンザスシティ心筋症調査票[KCCQ]の全要約スコアの変化量)の階層的な複合とされた。安全性の複合エンドポイントにも差はない 626例が登録され、心房シャント群に314例、偽手術群に312例が割り付けられた。全体の年齢中央値は72歳(IQR:66~77)で、女性が62%を占め、NYHA分類はクラスIIIが最も多く、心房細動などの併存疾患を有する患者が多かった。EFの中央値は60%(IQR:55)で、582例(93%)がHFpEF、44例(7%)がHFmrEFだった。 複合主要エンドポイントの発生については、両群間に有意な差は認められなかった(win ratio:1.0、95%信頼区間[CI]:0.8~1.2、p=0.85)。 12ヵ月時の心血管死または非致死的虚血性脳卒中の頻度は低く、心房シャント群が4例、偽手術群は2例で発現した(p=0.41)。また、24ヵ月以内に少なくとも1件の心不全イベントがみられた患者は、心房シャント群が66例(21%)、偽手術群は60例(19%)であり(p=0.42)、追跡期間中央値691日の時点における全心不全イベント発生率は、それぞれ0.28件/人年および0.25件/人年だった。 12ヵ月後のKCCQ全要約スコアの変化量中央値は、心房シャント群が10.2(IQR:-1.8~26.8)、偽手術群は9.4(IQR:-2.1~22.9)であった。 事前に規定されたサブグループ解析では、3つのサブグループで両群間に治療効果の差がみられた。すなわち、強度20Wの運動時の肺動脈収縮期圧が>70mmHg(pinteraction=0.002)、右房容積が≧29.7mL/m2(pinteraction=0.012)、男性の患者(pinteraction=0.02)では、心房シャント群で心不全イベントの発生頻度が高かった。 このうちベースライン(無作為化前)の強度20W運動時の肺動脈収縮期圧による有意な交互作用の知見に基づき、侵襲的な血行力学マーカーの探索的事後解析を行った。その結果、運動時のPVRの頂値が1.74ウッド単位(正常上限値)未満の患者(382例)では、心房シャントの利益が得られた(win ratio:1.28、p=0.032、心不全イベントの発生率比:0.71、95%CI:0.42~1.20、プラセボで補正したKCCQ全要約スコアの変化量:5.5点、95%CI:1.6~9.5)のに対し、1.74ウッド単位以上の患者(188例)では、心房シャントは有害であった(心不全イベントの発症率比:2.48、95%CI:1.23~5.01、プラセボで補正したKCCQ全要約スコアの変化量:-6.2点、95%CI:-11.8~-0.7、pinteraction=0.031)。 安全性の複合エンドポイント(心血管死、非致死的虚血性脳卒中、腎機能不全[新規発症、悪化]、主要有害心イベント[心臓死、心筋梗塞、心タンポナーデ、緊急心臓手術]など7項目)には、両群間で差はなかった(心房シャント群 116例[38%]vs.偽手術群 97例[31%]、p=0.11)。 著者は、「運動時PVR頂値のサブグループ解析は事後解析であり、それゆえ探索的な評価であることを考慮し、この結果の解釈には注意を要する」と指摘し、「EFが40%以上の心不全で、運動中に肺血管疾患が認められない患者における、心房シャント治療の有効性、安全性、耐久性、長期的な臨床効果を評価するための新たな研究が求められる」としている。

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第46回 単相関係数とは?【統計のそこが知りたい!】

第46回 単相関係数とは?第44回で説明したように、2つの変数xとyについて、両者の間に直線的な関連性が認められるとき「xとyの間には相関関係がある」と言います。その相関関係の程度を表す数値を「単相関係数」(Single correlation coefficient)と言います。また、「ピアソンの積率相関係数」(Pearson's correlation coefficient)とも言われます。上図に示すように、単相関係数が±1に近いときは2つの変数の関係は直線的です。±1から遠ざかるに従って直線的関係は薄れていき、0に近いときは項目間に直線的な関係はまったくありません。つまり、単相関係数の値が±1に近づくと相関関係が強くなり、反対に0に近づくと弱くなります。0の場合のみ相関関係がありません。逆にいうと、わずか0.05でも相関は弱いながらあるのです。したがって、強弱の違いはあるものの、ほとんどのケースにおいて相関関係はみられます。大事なのは強い相関があるかどうかです。ところが、「いくつ以上あれば相関が強い」という統計学的基準はありません。基準は各々の分析者が経験的な判断から決めることになります。下表は一般的な基準です(統計学が定めた絶対基準ではありません)。単相関係数がマイナスの場合は、絶対値(マイナスの符号をとる)でこの表を適用します。たとえば、人口10万人当たりの病床数と1人当たりの入院医療費の単相関係数が+0.71だったとします。絶対値0.71はこの表では「0.5~0.8」の範囲に該当するため、両項目間には関連があると言えます。表 単相関係数の判断基準■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第44回 相関関係とは?「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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非糖尿病肥満患者に対するセマグルチド2.4mg/週の体重減少作用はリラグルチド3.0mg/日より優れている(解説:住谷哲氏)

 STEPは抗肥満薬としてのセマグルチド2.4mg/週の臨床開発プログラムである。セマグルチド1.0mg/週を対照薬としたSTEP 2を除いて、STEP 1~7はすべてプラセボ対照試験であったが、本試験STEP 8ではリラグルチド3.0mg/日がactive comparatorに設定された。試験デザインも他のSTEPと同様で観察期間は68週とされた。 結果は68週後の体重減少率はセマグルチド2.4mg/週の-15.8%に対してリラグルチド3.0mg/日では-6.4%であり、セマグルチド2.4mg/週群が有意に優れていた。一方、治療中断率はセマグルチド群13.5%に対してリラグルチド群27.6%であった。 セマグルチドとリラグルチドとの体重減少作用は、両者ともに摂取カロリーの減少によることが報告されている。しかしfood cravings(適当な訳語が見当たらないが、単なる空腹感hungerとは異なり、特定の食物に対する異常な空腹感を指す)を抑制する作用はリラグルチドよりもセマグルチドがより強力であることも知られている。本試験の結果だけを見ると、抗肥満薬としてセマグルチドではなくリラグルチドを選択する理由は見当たらないが、food cravingsがあまりない患者ではリラグルチドが有用である場合もあるかもしれない。 肥満が重大な健康問題である米国では、リラグルチド3.0mg/日およびセマグルチド2.4mg/週はそれぞれ抗肥満薬Saxenda®、Wegovy®として認可されている。英国でも近々Wegovy®が認可されるようであるが1)、英国での適応は米国よりも厳格で、BMI≧35kgm2で肥満関連健康障害を有する患者で、使用は2年以内に限定される。著明な肥満患者が増加しつつあるわが国においても、GLP-1受容体作動薬が抗肥満薬として認可されることが期待される。

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高度免疫グロブリン、COVID-19入院患者への有効性を認めず/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した健康成人の血漿から精製され、一定量かつ高濃度の抗体を含有するSARS-CoV-2高度免疫グロブリン静注製剤(hIVIG)について、レムデシビルを含む標準治療との併用は、末期臓器不全のないCOVID-19入院患者に対する有効性は認められないことが示された。米国・国立衛生研究所(NIH)の出資により実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin:ITAC試験」の結果を、オーストラリア国立大学のMark N. Polizzotto氏らが報告した。hIVIGによる受動免疫療法は、COVID-19のような感染症の発生に対し、迅速に利用できる特異的治療となる可能性があったが、hIVIGの無作為化臨床試験の実施はこれまで限られていた。Lancet誌2022年2月5日号掲載の報告。標準治療±レムデシビルへのhIVIG併用の有効性と安全性をプラセボ併用と比較 研究グループは、発症後12日以内で、急性終末臓器不全のないCOVID-19入院患者を、レムデシビル(禁忌ではない場合)あるいは他の標準治療に加えて、hIVIGを投与する群か、同量の生理食塩水を投与するプラセボ群のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けた。追跡期間は28日間である。 有効性の主要評価項目は、7日目における患者の臨床状態で、呼吸状態および肺外合併症を考慮した7段階(症状なしまたはわずか~死亡まで)の順序尺度を評価項目とした。また、安全性の主要評価項目は、7日目までの死亡、重篤な有害事象(臓器不全、重篤な感染症を含む)、およびGrade3/4の有害事象の複合とし、28日目はGrade3/4の有害事象を除く7日目の評価項目について評価した。有効性および安全性の主要評価項目は、症状持続期間、抗スパイク中和抗体の有無、その他のベースライン因子によるサブグループ解析を行うことが事前に規定された。 解析は、適格基準を満たし無作為割り付けされた治験薬のすべてまたは一部を投与された患者を対象とする修正intention-to-treat(mITT)法にて行った。7日時点でhIVIG併用の臨床的な有効性は確認されず 2020年10月8日~2021年2月10日の期間に、11ヵ国63施設で計593例(hIVIG群301例、プラセボ群292例)が登録され、579例がmITT解析に組み込まれた。 hIVIG群はプラセボ群と比較して有効性の主要評価項目を達成しなかった(補正後オッズ比[OR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.77~1.45、p=0.72)。 Infusion reactionの発現率はhIVIG群のほうが高かったが(hIVIG群18.6% vs.プラセボ群9.5%、p=0.002)、忍容性は良好であった。安全性の主要評価項目である7日目の安全性複合評価項目イベントの発現は、hIVIG群(24%)とプラセボ群(25%)で類似していた(OR:0.98、95%CI:0.66~1.46、p=0.91)。 サブグループ解析の結果、有効性の主要評価項目(7日目における患者の臨床状態)については検討したサブグループでORに変化はみられなかったが、安全性の主要評価項目については治療効果の不均一性が認められ、抗体陽性患者ではプラセボ群と比較してhIVIG群でリスクが大きく(OR:2.21、95%CI:1.14~4.29)、抗体陰性患者では逆にhIVIG群でリスクが小さかった(OR:0.51、95%CI:0.29~0.90、相互作用のp=0.001)。

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塩野義の経口コロナ治療薬、第IIa相試験で良好な結果確認

 2022年2月7日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の第II/III相試験 Phase 2a partの結果速報に関する説明会を開催し、抗ウイルス効果に関してプラセボ群と比較して良好な結果が確認されたことを報告した。 第II/III相試験Phase 2a partでは、12歳以上70歳未満の軽症/中等症および無症候/軽度症状のみのSARS-CoV-2感染者を対象にS-217622の1日1回、5日間の経口投与による有効性および安全性が評価された。intention-to-treat(ITT)集団はS-217622低用量群16例、高用量群14例、プラセボ群17例の計47例であり、各群におけるワクチン接種者は14例(87.5%)、12例(85.7%)、12例(70.6%)であった。 主要評価項目である各時点におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量、ならびにウイルスRNA量のベースラインからの変化量について、S-217622低用量群・高用量群ともプラセボ群に対する速やかな減少が確認された。ウイルス力価についてはDay4(3回投与後)にはウイルス力価陽性(≧0.8 Log10[TCID50/mL])患者の割合をプラセボ群に比較して約60~80%減少させたほか、ウイルス力価陰性(<0.8 Log10[TCID50/mL])が最初に確認されるまでの時間(中央値)をプラセボ群の111.1時間(95%信頼区間[CI]:23.2~158.5)に対してS-217622低用量群61.3時間(95%CI:38.0~68.4)、高用量群62.7時間(95%CI:39.2~72.3)と約2日短縮した。 重症化抑制効果については、治験開始後に病態が悪化し、担当医師により入院、あるいは入院に準ずる治療が必要と判断された症例(Ordinal Scale 3以上への増悪)はプラセボ群2/14例(14.3%)に対し、S-217622投与群では認められなかった。 また、安全性についてはS-217622投与群において高比重リポ蛋白(HDL)減少例の発現が多い傾向が認められたが、ほぼ全ての有害事象は軽度なものであった。 今後、軽症/中等症については2月9日よりPhase 3 partに移行予定、無症候/軽度症状のみについてはPhase 2b/3 partを継続する。S-217622については今回得られた試験結果をもとに、引き続き国内における最速の承認を目指すという。

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コロナ感染の抑制、政府・対人信頼度と関連/Lancet

 パンデミックの発生以来、各国の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)死亡率は大きく変動している。それらの変動の要因を検証したところ、パンデミックへの事前対策指標の高低とは関連が認められなかった一方で、政府への信頼度や対人信頼度が高いこと、また政府内の汚職が少ないことが、同感染率の低下と関連していたことを、米国・ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のJoseph L. Dieleman氏らCOVID-19 National Preparedness Collaboratorsが、177の国と地域のデータを基に検証し明らかにした。本検討は、将来のパンデミックへのより効果的な準備と対応のために不可欠な取り組みを明らかにする目的で行われたものだが、著者は、「今回の結果は、主要な修正可能なリスクに関する健康増進は、個々人が公衆衛生ガイダンスに抱く信頼を高めるようなリスクコミュニーケションやコミュニティ戦略へ、より大きな投資をすることで、死亡抑制に結びつくことを示唆するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月1日号掲載の報告。12のパンデミック事前準備指標、7つの医療体制能力指標などとの関連を検証 研究グループは177の国と地域および181の行政区画について、IHMEモデリング・データベースを基に、SARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率を抽出し、累積感染率や感染致死率(IFR)を予測し、環境要因、人口統計学的要因、生物学的要因、経済学的要因について標準化し検証した。 感染率については、季節環境(肺炎のリスク比で測定)、人口密度、1人当たり国内総生産(GDP)、標高100m未満の居住人口割合、その他のβコロナウイルス曝露の代理変数を因子として盛り込んだ。 IFRについては、人口年齢分布、平均BMI値、大気汚染曝露、喫煙率、他のβコロナウイルス曝露の代理変数、人口密度、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・がんの年齢標準化罹患率、1人当たりGDPを因子とした。 これらを、間接年齢標準化および多変量線形モデルを用いて標準化。標準化全国累積感染率とIFRについて線形回帰を用いて、12のパンデミック事前対策指標、7つの医療提供体制能力指標、その他10項目の人口統計学的・社会的・政治的状況との関連を検証した。 さらに、SARS-CoV-2感染率に影響を与える可能性のある重要な要因の経路を調べるため、対人信頼度、政府への信頼度や汚職の状況、人々の移動パターンの変化やCOVID-19ワクチン接種率との関連性についても検証した。デンマークレベルの対人信頼度に改善されれば世界の感染率は40.3%減少 2020年1月1日~2021年9月30日の、SARS-CoV-2累積感染率の変動の主な要因は、標高100m未満の居住人口割合(変動の5.4%[95%不確定区間[UI]:4.0~7.9])、1人当たりGDP(4.2%[1.8~6.6])、季節変化に起因する感染の割合(2.1%[1.7~2.7])だった。国別の累積感染率の変動については、その大部分が説明不能だった。 同期間のCOVID-19のIFRの変動に関する主な要因は、国の年齢構成(変動の46.7%[95%UI:18.4~67.6])、1人当たりGDP(3.1%[0.3~8.6])、国平均BMI(1.1%[0.2~2.6])だった。国別のIFR変動の44.4%(29.2~61.7)は、説明不能だった。 国の医療保障の目安となるパンデミック事前対策指標については、標準化感染率やIFRとの関連は認められなかった。 一方、政府への信頼度や対人信頼度、政府の汚職が少ないことと、低い標準化感染率について、強い統計的に有意な関連が認められた。これらの因子は、COVID-19ワクチンが広く普及する中~高所得国において、高いワクチン接種率とも関連していた。また、汚職が少ないことは移動の減少とも関連していた。  こうしたモデルの関連性に因果関係があると仮定した場合、すべての国の政府への信頼度または対人信頼度が、デンマークのレベル(全体の75パーセンタイルに相当)に達すれば、世界の感染率は、政府への信頼度の改善により12.9%(95%UI:5.7~17.8)、対人信頼度の改善では40.3%(24.3~51.4)、それぞれ減少できると予測された。同様に、すべての国のBMIが全体の25パーセンタイルに該当するよう抑制されれば、世界の標準化IFRは11.1%減少するとも予測された。

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家族性高コレステロール血症、世界的に診断遅れ/Lancet

 ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)患者について、38ヵ国を対象に調べたところ、世界的に診断年齢が高く、とくに非高所得国では、十分な治療がなされず初回の主要心血管有害イベントが20代で発生している現状が示された。オランダ・アムステルダム大学のTycho R. Tromp氏ら、HoFH患者の治療を行う医師らによるHoFH International Clinical Collaborators(HoFH国際臨床共同研究グループ)が明らかにし、Lancet誌オンライン版2022年1月28日号で発表した。38ヵ国、88ヵ所の医療機関で751例の患者を検証 研究グループは、38ヵ国、88ヵ所の医療機関を通じて、臨床または遺伝的にHoFHの診断を受けた751例の患者についてレジストリを作成し、後ろ向きコホート試験を行った。 HoFH患者の臨床・遺伝的特徴と、治療の現状、アウトカムへの影響を検証した。初回主要CV有害イベント発生、高所得国で中央値37.0歳、非高所得国では同24.5歳 被験者751例のうち565例(75%)で、両アレル病原性変異体が報告された。診断年齢中央値は12.0歳(IQR:5.5~27.0)だった。被験者751例のうち、女性は389例(52%)。人種が報告された527例のうち、白人は338例(64%)、アジア人は121例(23%)、黒人または混合人種は68例(13%)だった。 HoFH診断時点の65例(9%)で、すでにアテローム性心血管疾患(ASCVD)または大動脈弁狭窄の主な症状が認められた。 全体で、治療前のLDLコレステロール中央値は14.7mmol/L(IQR:11.6~18.4)だった。詳細な治療内容が得られた患者534例のうち、491例(92%)がスタチンを、342例(64%)がエゼチミブを、243例(39%)がリポ蛋白アフェレーシスをそれぞれ服用していた。 治療中のLDLコレステロール中央値は、非高所得国が9.3mmol/L(IQR:6.7~12.7)に対し、高所得国では3.93mmol/L(2.6~5.8)と低かった。3種以上の脂質低下療法(LLT)の実施率は、非高所得国より高所得国で高く(24% vs.66%)、その結果、ガイドライン推奨LDLコレステロール目標値の達成率も高所得国で高かった(3% vs.21%)。 初回主要心血管有害イベントの発生年齢は、非高所得国では中央値24.5歳(IQR:17.0~34.5)と、高所得国の中央値37.0歳(同:29.0~49.0)より10歳以上若い年齢で発生していた(補正後ハザード比:1.64、95%信頼区間:1.13~2.38)。 これらの結果を踏まえて著者は、「複数のLLTの実施率が高いほどLDLコレステロール値は低く、より良いアウトカムと関連する。治療レジメン、LDLコレステロール値のコントロール、および心血管イベントのない生存については、世界的に重大な格差が存在しており、こうした不平等を減らし、HoFHのすべての患者のアウトカムを改善するためには、世界的な健康政策の批判的な再評価が必要だ」としている。

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認定薬剤師研修の電子管理システムがようやくスタート【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第83回

薬剤師研修・認定電子システム「PECS(Pharmacist Education Certificate System)」による研修認定薬剤師の申請がようやく始まりました。PECSとは、研修受講管理や認定申請などすべての手続きを電子化するシステムで、これにより研修受講シールや薬剤師研修手帳は廃止となります。2021年1月にこのシステムが発表されたときは、「シールと手帳が廃止!」と衝撃が走りました。しかし、登録締め切りの7月末になっても何も起こらず、稼働予定の9月になっても何も起こらず…。事務手続きに時間がかかったなどの理由で、結局2022年1月に稼働開始となりました。PECSによる認定申請の変更点は以下のようなものがあります。これから新規申請をする場合は、従来の書面申請ではなく電子的申請のみとなり、支払いもクレジットカードまたはコンビニ払いになるなど、今の時代に合った手続きになります。1つ注意することは、新規申請の日からさかのぼって年間の区切りが設定されることから、新規申請の日が遅れると、単位取得日によっては申請に使用できなくなる単位が出てくる可能性があるということです。新規申請に必要な単位数の取得から3ヵ月が申請期限ですが、なるべくすぐに申請したほうがよいでしょう。一方、すでに認定を受けている方の多くが心配していることは、今までに入手した研修受講シールの扱いと、これから受講する認定講座の対応ではないでしょうか。まず、すでに手元にある受講シールについてですが、認定申請をPECSで行い、入力後に送信されるメールの印刷と研修手帳または受講シール整理表を日本薬剤師研修センター宛てに送付して手続きを行います。これから受講する認定講座がいつからこのシステムに移行するかについては、プロバイダーごとの対応になります。4月から稼働開始と公表しているところもあれば、現時点では何も公表していないところもあります。皆さんが利用するプロバイダーごとに時期が変わりますので、プロバイダーの情報を確認して移行に備えましょう。

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英語で「受診してください」は?【1分★医療英語】第14回

第14回 英語で「受診してください」は?Do I have to come see you before surgery?(手術前に再度受診しますか?)No, you are all set. See you on the day of surgery.(いいえ、大丈夫です。手術日にお会いしましょう)《例文1》医師Unfortunately, we don’t have the result yet.Could you please come see me again?(残念ながらまだ検査結果が出ていないです。再度受診していただけますか?)患者Well, I guess I can.(はい、大丈夫です)《例文2》Please come see me when you don’t feel well.(具合が悪いときは受診してください)《解説》日本語の「受診する」の直訳に当たる言葉は英語にはありませんが、代わりに“see”が使われます。今回の表現である“come see me”は、厳密に言えば“come to see me”もしくは“come and see me”が文法的には正しいです。ただし、口語表現では今回のように2つの動詞を直接つなげて使うことがよくあります。“go get your coffee”や“come talk to me”など、表現のバラエティは豊富です。ちなみに“come to the hospital”といった、直訳した「病院に来てもらう」という表現は、相手に意味は理解してもらえますが一般的ではありません。この表現はどちらかというと、「予定して受診する」というよりは「想定外の病気・けがのために受診する」というニュアンスになります。今回のような動詞2連続の表現はとても口語的なので、機会があればぜひ使ってみてください。あまり文法にとらわれず、英語を楽しむことも大切ですね。講師紹介

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第98回 オミクロン株ワクチンは必要なさそう

サルへの投与試験の結果、Moderna社の目下の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)元祖ワクチンmRNA-1273追加接種はオミクロン(Omicron)株に合わせたワクチンmRNA-1273.529(mRNA-Omicron)追加接種に比肩して同株を含むどの変異株への抗体反応も有意に高めました1)。肺感染予防効果も同等でした。サルの鼻や気管にオミクロン株を投与して肺検体(肺胞洗浄液)を調べたところ培養可能なウイルスはmRNA-1273追加接種群とmRNA-Omicron追加接種群のどちらからも検出されず、かたや対照群では全頭から検出され、抗体などの免疫反応に有意差が無かったのと同様にmRNA-1273はmRNA-Omicronに引けを取らず肺感染を予防しました。それらの結果によると、オミクロン株仕様ワクチンを接種してもModernaの今のワクチンmRNA-1273を上回る免疫反応や感染予防効果はどうやら期待できそうにありません。人に投与する臨床試験での結果が必要ですが、今あるワクチンを作り変えてオミクロン株仕様ワクチンを何が何でも揃える必要はないと研究の代表者Daniel Douek氏は言っています2)。人での検討はすでに始まっており、Moderna社のオミクロン株仕様ワクチンの臨床試験が最初の投与に至ったことが先月26日に発表されています。時を同じくしてPfizerのオミクロン株仕様ワクチンの試験も先月末に始まっており、結果は今年前半には判明する見込みです3)。それらの臨床試験でのオミクロン株仕様ワクチン追加接種はサルでの試験と同様の結果になりそうとコーネル大学のウイルス学者John Moore氏は予想しています3)。オミクロン流行中、ワクチン非接種でのCOVID-19入院率は追加接種済みの23倍実際、現在使われているワクチンの追加接種でオミクロン株感染やその重症化を減らすことができていることが米国の最近の動向で示唆されています4)。米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡で去年2021年11月の最後の週に初めて確認されたオミクロン株感染はその後急激に増え、今年1月8日までの一週間には調べた検体のほぼすべて(99%)を占めるようになりました。同郡での今年1月8日までのその一週間のSARS-CoV-2感染(COVID-19)はワクチン接種未完了(ワクチン接種の記録がないか1回目投与から14日未満)の人に比べて決まりの回数接種済みの人は2分の1、追加接種もした人はさらに低くおよそ4分の1で済んでいました。また、COVID-19入院も同様でワクチン接種未完了の人に比べて決まりの回数接種済みの人はおよそ5分の1、追加接種もした人は実に23分の1で済んでいました。その結果はCOVID-19ワクチンがオミクロン株を含む変異株感染の重症化を防ぐことを先立つ幾つかの試験と同様に示しており、COVID-19ワクチンの一通りの接種と追加接種を促す取り組みがCOVID-19関連の入院や重病を防ぐのに不可欠と著者は言っています。ワクチン非接種でのCOVID-19死亡率は追加接種済みより97倍高い米国政府の感染症対策の顧問Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏をして“COVID-19ワクチン追加接種の大事さは強烈に明らか(really stunningly obvious)”と言わしめたデータが先週2日に大統領官邸で発表されました5,6)。発表されたのは去年2021年12月4日までの1週間の米国25地区のCOVID-19ワクチン非接種、一通り接種済み、追加接種済みの人の死亡率の比較結果です。COVID-19で死亡した人の割合は非接種だと10万人当たり9.7人、一通り接種済みだと10万人当たり0.7人、追加接種済みでもあると10万人当たりほぼ皆無の0.1人であり、非接種の人に比べて一通り接種を済ませた人のCOVID-19死亡率は14分の1、追加接種も済ませた人ではさらに低く非接種の人の実に97分の1で済んでいました。米国のオミクロン株感染は減少に転じており、先月1月末までの1週間の1日当たりのCOVID-19例数平均はその前の週に比べて36%少ないおよそ45万人(44万6,355人)でした6,7)。1日当たりのCOVID-19入院数平均は14%減って1万7,133人となりました。しかし1日当たりのCOVID-19死亡数平均は2,288人へと約4%上昇しており、その死亡を防ぐワクチン追加接種の重要さをファウチ氏が強調するのも無理ありません。参考1)mRNA-1273 or mRNA-Omicron boost in vaccinated macaques elicits comparable B cell expansion, neutralizing antibodies and protection against Omicron. bioRxiv. February 04, 2022 2)Omicron-specific booster may not be needed, U.S. monkey study finds / Reuters3)Study suggests Omicron-specific booster may not provide more protection. STAT4)Danza P, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Feb 4;71:177-181.5)Press Briefing by White House COVID-19 Response Team and Public Health Officials / White House6)White Houseでの発表に使われたスライド(2022年2月2日)7)Boosted Americans 97 times less likely to die of virus than unvaccinated; CDC predicts 75,000 more deaths by Feb. 26: Live COVID-19 updates / USA Today

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ボルチオキセチンの改善効果予測因子~日本での臨床試験データ

 うつ病患者の治療では、抗うつ薬による治療効果が出るまで数週間を要する場合がある。東京医科大学の井上 猛氏らは、治療反応や寛解に対するボルチオキセチンの早期部分寛解の予測値について調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年12月18日号の報告。 20~75歳の日本人再発性うつ病患者(Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコア26以上)を対象としたボルチオキセチン(10mgまたは20mg)の8週間ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験の事後分析を行った。主要アウトカムは、ボルチオキセチン治療8週目における治療反応(ベースラインからMADRS合計スコア50%以上減少)および寛解(MADRSスコア10以下に減少)に対する早期部分寛解(ベースラインから2週目までのMADRSスコア20%以上減少)の予測値とした。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者数は478例、プラセボ群158例中62例、ボルチオキセチン10mg群162例中71例、ボルチオキセチン20mg群158例中66例が早期部分寛解患者であった。・ボルチオキセチン群(10mgまたは20mg)の早期部分寛解患者は、早期に部分寛解がみられなかった患者と比較し、8週目の治療反応率(71.2~73.2% vs.29.7~38.0%)および寛解率(50.7~51.5% vs.17.4~18.7%)が高かった。・ボルチオキセチンによる治療反応および寛解のポジティブ予測値はそれぞれ、約70%と約50%であり、ネガティブ予測値は約70%と約80%であった。 著者らは「うつ病患者に対するボルチオキセチン治療による改善は、MADRSスコアの早期部分寛解により予測される可能性がある。一部の患者では、早期部分寛解が認められなくても長期治療のベネフィットが得られる可能性があり、このことも臨床上の意思決定に役立つ可能性がある」としている。

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乳がんリスクの高い9遺伝子、腫瘍サブタイプや悪性度との関連は?/JAMA Oncol

 乳がんとの関連が報告されている9つの生殖細胞系列の遺伝子変異について、それぞれ腫瘍サブタイプや悪性度にどんな特徴があるのか? 多施設共同症例対照研究(BRIDGES研究)の結果を、英国・ケンブリッジ大学のNasim Mavaddat氏らがJAMA Oncology誌オンライン版2022年1月27日号に報告した。 本研究は1991~2016年の間に実施され、遺伝子解析と分析は2016~21年に行われた。ATM、BARD1、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2、RAD51C、RAD51D、およびTP53の9つの遺伝子変異について、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ERBB2の状態および腫瘍の悪性度(組織型、サイズ、TNM病期、リンパ節転移)によって定義された5つの乳がんサブタイプ(HR+ERBB2-低悪性度、HR+ERBB2+、HR+ERBB2-高悪性度、HR-ERBB2+、トリプルネガティブ)との関連が解析された。 主な結果は以下のとおり。・ヨーロッパまたは東アジアの38の研究から、家族歴とは無関係にサンプリングされた18~79歳の女性で構成される4万2,680人の乳がん患者と4万6,387人の対照参加者が含まれた。・面接(対照者)および診断(乳がん症例)時の平均(SD)年齢は、それぞれ55.1(11.9)歳および55.8(10.6)歳だった。・遺伝子変異別のサブタイプの分布にはかなりの不均一性がみられた。・RAD51C(OR:6.19、95%信頼区間[CI]:3.17~12.12)、RAD51D(OR:6.19、95%CI:2.99~12.79)、およびBARD1(OR:10.05、95%CI:5.27~19.19)の変異は、主にトリプルネガティブ乳がんと関連していた。・CHEK2の変異は、トリプルネガティブ乳がんを除くすべてのサブタイプ(OR:2.21~3.17)に関連していた。・ATMの変異は、HR+ERBB2-高悪性度サブタイプとの関連が最も強かった(OR:4.99、95%CI:3.68~6.76)。・BRCA1の変異はすべてのサブタイプのリスク増加と関連していたが、オッズ比は大きく異なり、トリプルネガティブ乳がんで最も高かった(OR:55.32、95%CI:40.51~75.55)。・BRCA2およびPALB2の変異もトリプルネガティブ乳がんと関連していた。・TP53の変異は、HR+ERBB2+およびHR-ERBB2+サブタイプと最も強く関連していた。・病的バリアント保持者で発生する腫瘍は、より高悪性度だった。・ほとんどの遺伝子変異とサブタイプでは、年齢が高くなるごとにオッズ比の低下が観察された。・9つの遺伝子変異は40歳以下の女性におけるトリプルネガティブ乳がんの27.3%に関連していた。

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ブースター接種、9種の組み合わせを評価~第I/II相試験/NEJM

 3種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[Moderna製]、Ad26.COV2.S[Johnson & Johnson-Janssen製]、BNT162b2[Pfizer-BioNTech製])は、最初の連続2回接種(Johnson & Johnson-Janssen製は1回接種)での種類を問わず、12週間以上の間隔をあけた追加接種にどのワクチンを用いても、安全性プロファイルは許容範囲内であり、明らかな免疫原性をもたらすことが、米国・ベイラー医科大学のRobert L. Atmar氏らが実施した「DMID 21-0012試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号に掲載された。9つの組み合わせを評価する米国10施設の非無作為化試験 本研究は、適応的デザインを用いた非盲検非無作為化第I/II相臨床試験であり、米国の10施設が参加し、2021年5月29日~8月13日の期間に参加者の登録が行われた(米国国立アレルギー感染症研究所[NIAID]の助成による)。 対象は、米国食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)の下で、12週以上前に、3種のCOVID-19ワクチンのいずれかの最初の連続接種を受け、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染歴やモノクローナル抗体の投与歴がない健康な成人であった。参加者の登録を迅速化するために、SARS-CoV-2検査は行われなかった。 被験者は、追加接種として、mRNA-1273(100μg)、Ad26.COV2.S(ウイルス粒子5×1010)、BNT162b2(30μg)のいずれかの接種を受けた(最初の連続接種とブースター接種で9つの組み合わせ)。 主要エンドポイントは、追加接種から15日目と29日目の安全性、反応原性、液性免疫原性とされた。 458人が登録され、追加接種として154人がmRNA-1273、150人がAd26.COV2.S、153人はBNT162b2を受けた(初回にAd26.COV2.Sの接種を受けた1人が、追加接種として予定されていたBNT162b2の接種を受けなかった)。9つの接種の組み合わせの平均年齢は48~57歳に、女性の割合は33~63%にそれぞれわたった。安全性プロファイルは最初の連続接種時とほぼ同様 追加接種の反応原性は、最初の連続接種で報告されたものとほぼ同様であった。重篤な有害事象は2件認められたが、いずれもワクチン接種とは関連がないと判定された。とくに注意すべき有害事象として、重度の嘔吐が1人(Ad26.COV2.S接種者)で発現した。 ワクチン接種と関連があると判定された有害事象は、mRNA-1273接種者で24人(16%)、Ad26.COV2.S接種者で18人(12%)、BNT162b2接種者では22人(14%)にみられたが、ほとんどが軽度または中等度であった。ワクチン接種関連の重篤な有害事象は4人で発現した(mRNA-1273接種者の1人で嘔吐、Ad26. COV2.S接種者の1人で嘔吐、同接種者の1人で疲労、同接種者の1人で異常感覚と不眠)。 注射部位の有害事象は頻度が高く、局所痛や圧痛が、mRNA1273接種者で75~86%、Ad26.COV2.S接種者で71~84%、BNT162b2接種者では72~92%に認められた。大部分が軽度で、重度は2人(mRNA-1273接種者とAd.26COV2.S接種者で1人ずつ)のみだった。倦怠感、筋肉痛、頭痛の頻度も高かった。 重度の全身性症状として、倦怠感/疲労が2.0~4.5%、筋肉痛が0~3.3%、頭痛が0.7~3.3%、吐き気が0~2.7%、悪寒が0~3.3%、関節痛が0.6~2.0%、発熱が0.7~2.7%でみられた。ほとんどの有害事象は、追加接種から3日以内に発現し、最初の連続接種のワクチンの種類や年齢層の違いで、発生頻度に明確なパターンはなかった。結合抗体価、中和抗体価、スパイク特異的Th1応答が増強 追加接種から15日までに、結合抗体価の幾何平均は9つの組み合わせで5~55倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(34倍)またはmRNA-1273(55倍)の接種を受けた集団で増加が大きかった。 また、追加接種から15日までに、SARS-CoV-2 D614G変異の擬似ウイルスに対する中和抗体価の幾何平均は、9つの組み合わせで4~73倍に増加し、最初の連続接種がAd26.COV2.Sで、追加接種としてBNT162b2(36倍)またはmRNA-1273(73倍)の接種を受けた集団で大きく増加した。最初の連続接種と追加接種に同じワクチンを接種した集団では、中和抗体価の増加が4~20倍であったのに対し、異なるワクチンを接種した集団では6~73倍に増加した。 15日までに、SARS-CoV-2スパイク特異的1型ヘルパーT細胞(Th1)の応答は、最初の連続接種と追加接種ともAd26.COV2.Sを接種した集団を除く、8つの組み合わせで増強した。また、CD8陽性T細胞レベルは、最初の連続接種がAd26.COV2.S接種者でより持続的であり、最初の連続接種としてmRNAワクチンを接種し、追加接種としてAd26.COV2.Sを接種した集団では、スパイク特異的CD8陽性T細胞の大幅な増加が認められた。 著者は、「これらのデータは、COVID-19ワクチンの追加接種では、最初の連続接種と追加接種で同じワクチンを用いても、異なるワクチンを使用しても、症候性SARS-CoV-2感染症に対する感染予防効果が増強することを強く示唆する」としている。

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