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引用頻度が高いコロナ論文の多い国・大学は

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック開始から3年間、非常に多くのCOVID-19関連の論文が世界中で発表された。京都大学大学院医学研究科の船田 哲氏(現:慶應義塾大学)らの研究グループは、被引用数の多いCOVID-19関連論文を発表した国や機関、研究領域などの傾向を調査した。その結果、高被引用論文の件数は2021年末にピークに達した後、2022年末まで減少傾向を示し、発表数の多い国は当初の中国から米国および英国へと推移していることなどが判明した。JAMA Network Open誌2023年9月8日号に掲載。 本研究では、2020年1月~2022年12月の期間で、Clarivate社のEssential Science Indicators(学術論文の引用動向データを提供するデータベース)から、引用頻度の高い論文を、2ヵ月ごと18期間分を抽出した。それらの論文の固有のアクセッション番号に基づいて、論文データベースのWeb of Science Core Collectionを用いて書誌情報を照会し、COVID-19に関する論文を特定した。論文数は分数カウント法に基づいてカウントし、著者の国、所属機関、研究分野などを調査した。 主な結果は以下のとおり。・Essential Science Indicatorsで2020年1月~2022年12月の7万3,079件の高被引用論文が抽出された。Web of Science Core CollectionでCOVID-19関連論文を特定すると、2ヵ月ごとの各期間で重複を含む高被引用論文は1万5,262件、重複のない論文は4,131件であった。・発表されたCOVID-19関連の高被引用論文は、2020年1~2月には14件であったが、2021年11~12月に1,292件でピークに達し、その後は減少傾向を示し、2022年11~12月には649件であった。・2020年1~2月は臨床医学分野の研究が多かったが(14件中9件[64.3%])、2022年3~4月は427件、2022年11~12月は246件と、徐々に減少した。そのほかの分野の研究は時間の経過とともに増加し、とくに一般社会科学、精神医学/心理学、免疫学、分子生物学/遺伝学の分野で増加した。・2020年7~8月までは中国が2ヵ月当たりの高被引用論文数が最も多かった(中国138.3件、2位の米国103.7件)。・2020年9~10月以降は米国が中国を抜いて最多となった(2020年9~10月は米国159.9件、中国157.6件)。・その後、中国の2ヵ月当たりの高被引用論文数は減少した(2020年11~12月は179.7件、2022年9~10月は40.7件)。・英国は、2020年11~12月に86.5件、2021年5~6月に171.3件で中国を抜き、米国に次いで発表数が多くなった。・2022年3~4月から2022年11~12月にかけて、米国、英国、中国では2ヵ月当たりの高被引用論文数が大幅に減少した(2022年3~4月vs.2022年11~12月の件数は、米国:366.8件vs.190.6件、英国:243.7件vs.158.3件、中国:107.5件vs.45.5件)。・2020年5~6月に高被引用論文を発表した上位5機関はすべて中国であった(華中科技大学:14.7件、香港大学:6.8件、武漢大学:4.8件、浙江大学:4.8件、復旦大学:4.5件)。・2022年11~12月では、上位5機関が米国と英国であった(ハーバード大学:15.0件、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン:11.0件、オックスフォード大学:10.2件、ロンドン大学:9.9件、インペリアル・カレッジ・ロンドン:5.8件)。

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実臨床における喘息コントロールに生物学的製剤は有効か?/AZ

 アストラゼネカ(AZ)は2023年10月20日付のプレスリリースにて、日本における重症喘息の前向き観察研究であるPROSPECT studyの1年時解析から、実臨床における生物学的製剤の喘息コントロール改善効果が示されたことを発表した。本研究結果を踏まえて「本邦の実臨床でコントロール不良の重症喘息患者に対して適切に生物学的製剤を開始することで、疾病負荷を軽減できることが示された」としている。 重症喘息は頻回な増悪を繰り返し、著しい呼吸機能の低下、生活の質の低下を余儀なくされる。さらに、社会経済的な負担も大きく、その医療費は非重症喘息と比べて高いことが報告されている。複数のガイドラインで、コントロール不良の重症喘息患者に対して生物学的製剤の使用が推奨されているが、日本の実臨床における生物学的製剤の使用実態とその有用性はこれまで示されていなかった。 PROSPECT studyは、高用量吸入ステロイド剤とその他の長期管理薬を使用してもコントロール不良の成人(20歳以上)重症喘息患者を対象とする、国内34施設にて実施された追跡調査期間2年間の前向き観察試験である。主要評価項目は、試験登録12週間以内に生物学的製剤を開始した群(127例)と開始しなかった群(162例)における2年後の気管支拡張薬吸入後のFEV1※1(Forced Expiratory Volume in one second)のベースラインからの変化量の差と設定された。 今回のリリースでは、1年時解析の結果が発表された。 生物学的製剤開始群と非開始群における気管支拡張薬投与後の変化は以下のとおりであった(いずれもベースラインのリスク因子で調整)。・FEV1のベースラインからの変化量の差は130mL、p=0.007・喘息増悪発生率比は0.46、p=0.012・ACQ-5スコア※2のベースラインからの変化量の差は-0.67、p<0.001 本研究のScientific Advisory Committee委員長である、日本喘息学会理事長であり近畿大学病院病院長の東田 有智氏は、コントロール不良の重症喘息患者における疾病負荷と、適切な生物学的製剤の使用が推奨されながらも限定的である導入実態を振り返り、「この結果が、コントロール不良の重症喘息患者への生物学的製剤導入の治療機会の均てん化の促進に寄与することを願う」とコメントしている。※1 FEV1:1秒量(努力肺活量の1秒量)※2 ACQ-5スコア:5種類の症状(「夜間覚醒」「起床時の症状」「日常生活の制限」「息切れ」「喘鳴」)に関する質問から構成される喘息コントロール状態を評価する指標

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抗精神病薬の減量/中止と維持療法との比較~RADAR試験

 統合失調症や再発性精神疾患の患者には、抗精神病薬の継続投与が推奨されているが、副作用の負担が大きく、長期アウトカムに関するエビデンスは不十分である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJoanna Moncrieff氏らは、抗精神病薬の段階的な減量プロセスの有益性と有害性を維持療法と比較し評価するため、本検討を行った。その結果、2年間のフォローアップ調査では、抗精神病薬の段階的な減量プロセスは、社会機能に影響を及ぼさないことが明らかとなった。The Lancet Psychiatry誌2023年11月号の報告。 「PADAR試験」は、イングランドのNational Health Service Trustの19施設で実施された並行群間無作為化オープンラベル試験である。抗精神病薬の減量により、社会的機能が改善し短期的には再発リスクが増加する、と仮説を立て検証を行った。対象は、再発性非感情性精神病性障害と診断され、抗精神病薬を投与された18歳以上の患者。除外基準には、過去1ヵ月間でメンタルヘルスの不調または入院を経験した患者、自身または他者に重大なリスクをもたらすと治療臨床医が判断した患者、英国の精神保健法に基づき抗精神病薬の投与が義務付けられている患者を含めた。 対象患者は、独立したインターネットベースのシステムを通じて、治療臨床医の管理の下で段階的かつフレキシブルに抗精神病薬を減らす減量群、または維持群に1対1の割合でランダムに割り付けられた。試験参加者と治療臨床医はどちらの群に割り当てられたかを認識していたが、評価者はマスキングされた。フォローアップ期間は2年、主要アウトカムは社会機能評価尺度で評価した社会機能とした。主な副次的アウトカムは、要入院と定義された重度の再発とした。分析にはITT分析を用い、グループの独自性は考慮しなかった。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングを行った4,157例中253例がランダムに割り付けられた。・内訳は、男性168例(66%)、女性82例(32%)、トランスジェンダー3例(1%)であり、平均年齢は46±12歳(範囲:22~79歳)、白人171例(67%)、黒人52例(21%)、アジア人16例(6%)、その他12例(5%)であった。・試験期間中の任意の時点における減量率の中央値は67%であり、24ヵ月時点で33%であった。・24ヵ月時点で、減量群126例中90例、維持群127例中94例を評価したところ、社会機能評価尺度に差は認められなかった(β=0.19、95%信頼区間[CI]:-1.94~2.33、p=0.86)。・重度の有害事象は、減量群では49例で93件(主にメンタルヘルスの再発による入院)、維持群では29例で64件が認められた。

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JCOG1611で転移膵がん1次療法、ゲムシタビン+nab-パクリタキセルが最適(GENERATE)/ESMO2023

 2023年のASCO-GIで発表されたNAPOLI-3試験において、転移のある膵がんの1次療法として、ナノリポソーム型イリノテカンを使ったNALIRIFOX療法の、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP)療法に対する有意な改善が報告された。しかし、現在ではGnP療法とmFOLFIRINOX療法が同等の推奨とされており、さらにS-IROX療法(S-1、イリノテカン、オキサリプラチン)も第I相試験で高い奏効率が報告されている。これら3レジメンの有効性と安全性を直接比較することを目的とした第II/III相JCOG1611試験の中間解析結果を、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。JCOG1611試験の中間解析結果でGnP療法のOS中央値は17.1ヵ月・対象:切除不能転移膵がん、PS0~1・試験群:【GnP群】:nab-パクリタキセル(125mg/m2)、ゲムシタビン(1,000mg/m2)を4週ごと1、8、15日目に投与【mFOLFIRINOX群】:オキサリプラチン85mg/m2、イリノテカン150mg/m2、l-ロイコボリン200mg/m2、フルオロウラシル2,400mg/m2を2週ごと、1~3日目に投与【S-IROX群】:オキサリプラチン85mg/m2、イリノテカン150mg/m2、S-1 80mg/m2/日を2週ごと、1~7日目に投与・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性 JCOG1611試験の主な中間解析結果は以下のとおり。・JCOG1611試験では、2019年4月~2023年3月に国内45施設から527例が登録され、GnP群(176例)、mFOLFIRINOX群(175例)、S-IROX群(176例)に1対1対1で割り付けられた。・OS中央値はGnP群17.1ヵ月、mFOLFIRINOX群14.0ヵ月(ハザード比[HR]:1.31、95%信頼区間[CI]:0.97~1.77)、S-IROX群13.6ヵ月(HR:1.35、95%CI:1.00~1.82)であった。・PFSはGnP群6.7ヵ月、mFOLFIRINOX群5.8ヵ月(HR:1.15、95%CI:0.91~1.45)、S-IROX群6.7ヵ月(HR:1.07、95%CI:0.84~1.35)であった。・ORRはGnP群35.4%、mFOLFIRINOX群32.4%、S-IROX群42.4%であった。・Grade3以上の有害事象(TEAE)で多かったものは、好中球減少症でGnP群60%、mFOLFIRINOX群52%、S-IROX群39%で発現した。血液関連以外のTRAEである食欲不振(5%対23%対28%)、下痢(1%対9%対23%)は、GnP群よりもmFOLFIRINOX群、S-IROX群で多く発現した。 大場氏は「最終解析における優越性達成予測確率はmFOLFIRINOX群0.73%、S-IROX群0.48%とGnP群を上回る可能性がほとんどないため、本試験は中止となった。結果として、GnP療法が、mFOLFIRINOX療法やS-IROX療法と比較して、転移・再発膵がん患者の1次治療として推奨される」と結論付けた。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ‐O(アウトカム)設定の要点と実際 その2【「実践的」臨床研究入門】第37回

O(アウトカム)をより具体的で明確なものにする今回も前回に引き続き、O(アウトカム)を設定する際の要点と実際について解説します。Oの設定においても、P(対象)の設定と同様に具体的で明確(連載第35回参照)かつ測定可能なものにする必要があります。現状のOである1)末期腎不全(透析導入)は充分具体的で明確でしょうか。以前、筆者らが出版した、慢性腎臓病(CKD)患者をPとした末期腎不全(ESKF:end-stage kidney failure)発症予測モデル研究論文1)を紹介しました(連載第9回参照)。この論文は、わが国のCKD診療中核17施設から構成される、日本CKDコホート(Chronic Kidney Disease Japan Cohort:CKD-JAC)研究の解析結果を示したものです。CKD-JAC研究のプロトコル論文2)では、ESKFとは慢性(維持)透析導入もしくは腎臓移植と定義されています。透析療法への導入は慢性(永続的)だけでなく、急性腎障害などに対して一時的に行うこともあります。そのため、永続的な施行が必要とされる維持透析への導入、と定義を明確にしているのです。また、維持透析を経ることのない先行的腎移植もESKFに対して行われることがあります。ESKF発症予測モデル研究論文1)での、実際のアウトカムについての記述を見てみましょう。この論文の”Materials and methods"セクションの小見出し"Primary outcome"に、以下のように記されています。"The main outcome measure in this study was ESKF onset, defined as the need for dialysis or preemptive kidney transplantation."「本研究の主要なアウトカム指標は、ESKFの発症であり、これは透析または先行的腎移植の必要性として定義された(筆者による意訳)。」さらに以下の記述が続きます。"Time at risk was defined as the period from study enrollment to ESKF onset, departure from the study (as a result of death prior to ESKF onset, transfer to a non-CKD-JAC facility, or con-sent withdrawal), or the end of study follow-up."「リスク時間は研究への登録からESKF発症、研究からの離脱(ESKF発症前の死亡、CKD-JAC非参加施設への異動、研究参加同意の撤回)、または研究追跡期間終了まで、と定義された(筆者による意訳)。」この記述の意味を解説するために、「発生率(incident rate)」と「打ち切り(censoring)」の定義について説明します。われわれが今回、計画しているのは(後ろ向き)コホート研究です(連載第8回、第36回参照)。コホート研究は縦断研究ですので、あるat risk集団(連載第35回参照)におけるアウトカム発生のスピード(率)を計算することができます。発生率の計算式は以下のとおりです。発生率=一定の観察期間内のアウトカム発生数÷at risk集団の観察期間の合計この式の分子は、前回600例余りの症例のうち約30%でプライマリのアウトカムが観察されたことを確認しており、容易に計測できそうです。一方、この式の分母を計算するためには、「打ち切り」という概念の理解が必要となります。「打ち切り」とは、1)研究終了時点までに着目したアウトカム(われわれのRQではESKF発症)を発生しないで観察を終えること、2)何らかの事由による観察期間中での追跡不能、に大別されます。前述したESKF発症予測モデル研究論文1)の文例では、「研究からの離脱」に関する記述が「打ち切り」に該当します。また、この文例の主語である「リスク時間」が、先に示した発生率の分母(at risk集団の観察期間の合計)と同義となります。したがって、われわれのRQのOでは「打ち切り」についても定義を明確にし、以下のように改訂することにします。O:1)末期腎不全(慢性透析療法への導入もしくは先行的腎移植)*打ち切り(末期腎不全発症前の死亡、転院、研究参加同意撤回などによる研究からの離脱)、2)糸球体濾過量(GFR)低下速度1)Hasegawa T et al. Clin Exp Nephrol. 2019;23:189-198.2)Imai E et al. Hypertens Res. 2008;31:1101-1107.

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1型DM、週1回insulin icodec vs.1日1回インスリン デグルデク/Lancet

 1型糖尿病の成人患者において、週1回投与のinsulin icodec(icodec)は26週時の糖化ヘモグロビン値(HbA1c)低下に関して、1日1回投与のインスリン デグルデクに対し非劣性であることが認められたが、臨床的に重大な低血糖または重症低血糖の合併が有意に高率であった。英国・Royal Surrey Foundation TrustのDavid Russell-Jones氏らが、12ヵ国の99施設で実施された52週間の無作為化非盲検第IIIa相試験「ONWARDS 6試験」の結果を報告した。著者は、「1型糖尿病の特性を考慮すると、基礎インスリン注射を毎日から週1回に変更することは困難な可能性があるが、持続血糖モニタリングのデータとリアルワールド研究のさらなる解析により、icodec週1回投与の低血糖リスク軽減のための投与量調節に関する洞察が得られる可能性はある」とまとめている。Lancet誌2023年10月17日号掲載の報告。1型糖尿病患者約600例を無作為化 研究グループは、インスリン治療歴が1年以上でHbA1c値が10.0%未満の1型糖尿病成人患者を、icodec週1回皮下投与群(icodec群)またはインスリン デグルデク1日1回皮下投与群(デグルデク群)に、1対1の割合に無作為に割り付けた。両群とも、インスリン アスパルト(1日2回以上、食直前皮下投与)との併用下で、52週間(icodecの最終投与は51週目)投与した。なお、本試験は、スクリーニング期間2週間、治療期間52週間(主要評価期間26週間、安全性延長期間26週間)、追跡期間5週間で構成された。 主要エンドポイントは、26週時におけるベースラインからのHbA1cの変化量で、無作為化されたすべての患者を解析対象とし、非劣性マージンを両群の差の95%信頼区間(CI)の上限が0.3%未満とした。 2021年4月30日~10月15日に655例がスクリーニングされ、このうち582例がicodec群(290例)またはデグルデク群(292例)に割り付けられた。全例が1回以上試験薬の投与を受け、有効性および安全性の解析対象集団となった。26週時点で血糖コントロール改善は同等だが、臨床的に重大な低血糖はicodecで多い icodec群およびデグルデク群のHbA1c値は、ベースラインでそれぞれ7.59%、7.63%から、26週時には推定平均変化量として0.47%、0.51%低下した。推定平均変化量の群間差は0.05%(95%CI:-0.13~0.23)であり、icodec群のデグルデク群に対する非劣性が確認された(p=0.0065)。 ベースラインから26週時までの臨床的に重大な低血糖(54mg/dL未満)または重症低血糖の発生頻度は、icodec群19.9件/人年、デグルデク群10.4件/人年で、icodec群が統計学的に有意に高かった(推定率比:1.9、95%CI:1.5~2.3、p<0.0001)。57週時の評価においても、icodec群ではデグルデク群と比較し臨床的に重大な低血糖または重症低血糖の発生頻度が統計学的に有意に高かった(17.0件/人年vs. 9.2件/人年、推定率比:1.8、95%CI:1.5~2.2、p<0.0001)。 重篤な有害事象は、icodec群で24例(8%)に39件、デグルデク群で20例(7%)に25件報告された。icodec群で頭蓋内出血による死亡が1例認められたが、icodecとの関連性は低いと判断された。

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アジアの緩和ケアについて【非専門医のための緩和ケアTips】第62回

第62回 アジアの緩和ケアについて今回は日常の臨床から離れ、海外に目を向けたいと思います。2023年10月にアジア全域の緩和ケアに関する国際学会が韓国で開催されます。国際学会と聞くとワクワクしますよね。今回はそんな国際的な緩和ケアの話題について、お話しします。今回の質問先日、メディアで海外の支援活動をしている医師が取り上げられていました。緩和ケア領域においても、こういった国際的な交流はあるのでしょうか?今回は、これまであまり触れてこなかった話題に関するご質問をいただきました。緩和ケアを通じた国際交流、期待で胸が膨らみますよね。実は、今私が最も関心があり、将来的に活躍の場を広げたいのが、この領域です。10月に韓国で開催される「第15回アジア太平洋ホスピス緩和ケア会議 APHC(Asia Pacific Hospice Palliative Care)2023」に参加します。これはアジアの各国が参加する、アジアで最大級の緩和ケアに関する国際学会です。とくに研究領域では、アジア各国の若手が今後の国際的な研究の取り組みを議論するなど、刺激的な場です。私が今回参加する目的は、各国で異なる緩和ケアの提供モデルを共有し、私たちの取り組む緩和ケアをより良くするアイデアを得るためです。私も10年以上緩和ケア領域に従事し、患者さんに必要なさまざまなことに取り組んできました。そして、「今後10年、さらに何に取り組んでいくかべきか」を考える時期にあります。まったく異なる環境で緩和ケアを実践している方と議論することが、知らず知らずのうちに自分がつくっていた“限界”を取っ払ってくれるのではないか、と期待しています。先日、私の病院にカンボジア出身の医師が見学に来たのですが、彼の話もいろいろ考えさせられました。カンボジアは内戦などがあり、医療体制はこの30年ほどでつくられたものです。緩和ケアなどの領域はまだ広がっておらず、緩和ケアを教え、広げる人材もこれから育てていく必要がある、という話でした。さらに数年前、インドネシアやフィリピンの医療従事者と話した際は、多くの島に人口が分布している地理的特性の中でどのように緩和ケアを提供するのか、というのが大きな問題となっていました。日本でも沖縄をはじめとした離島医療において議論されるテーマです。こうしてみると、日々の臨床から少し視野を広げ、アジア各国における緩和ケアが置かれた状況を考えることが、自分たちの強みと今後の伸び代を考える機会になるかもしれません。今回のTips今回のTipsアジアの一員としての日本を、緩和ケアを通じて意識してみるのも刺激になりますよ。

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CAD患者へのスタチン、種類による長期アウトカムの差は?/BMJ

 冠動脈疾患(CAD)成人患者においてロスバスタチンvs.アトルバスタチンは、3年時点の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中または冠動脈血行再建術の複合に関して有効性は同等であった。ロスバスタチンはアトルバスタチンと比較し、LDLコレステロール(LDL-C)値の低下に対して有効性が高かったが、糖尿病治療薬を必要とする糖尿病の新規発症および白内障手術のリスクが上昇した。韓国・延世大学校医科大学のYong-Joon Lee氏らが、韓国の病院12施設で実施した多施設共同無作為化非盲検試験「Low-Density Lipoprotein Cholesterol-Targeting Statin Therapy Versus Intensity-Based Statin Therapy in Patients With Coronary Artery Disease trial:LODESTAR試験」の2次解析結果を報告した。LDL-Cの低下作用はスタチンの種類によって異なり、冠動脈疾患患者におけるロスバスタチンとアトルバスタチンの長期的な有効性および安全性を直接比較した無作為化試験はほとんどなかった。BMJ誌2023年10月18日号掲載の報告。CAD患者4,400例をロスバスタチン群とアトルバスタチン群に無作為化 研究グループは2016年9月~2019年11月に、冠動脈疾患を有する19歳以上の患者4,400例を、2×2要因デザイン法を用いて、ロスバスタチン群(2,204例)またはアトルバスタチン群(2,196例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、3年時点の全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中・冠動脈血行再建術の複合で、副次アウトカムは安全性(糖尿病の新規発症、心不全による入院、深部静脈血栓症または肺塞栓症、末梢動脈疾患に対する血管内血行再建術、大動脈インターベンションまたは手術、末期腎不全、不耐容による試験薬の中止、白内障手術、および臨床検査値異常の複合)とした。3年時点の複合アウトカム、両群で同等 4,400例中4,341例(98.7%)が試験を完遂した。3年時点の試験薬の1日投与量(平均±SD)は、ロスバスタチン群17.1±5.2mg、アトルバスタチン群36.0±12.8mgであった(p<0.001)。 主要アウトカムの複合イベントは、ロスバスタチン群で189例(8.7%)、アトルバスタチン群で178例(8.2%)に確認され、ハザード比(HR)は1.06(95%信頼区間[CI]:0.86~1.30、p=0.58)であった。 投与期間中のLDLコレステロール値(平均±SD)は、ロスバスタチン群1.8±0.5mmol/L、アトルバスタチン群1.9±0.5mmol/Lであった(p<0.001)。 ロスバスタチン群はアトルバスタチン群と比較し、糖尿病治療薬の導入を要する糖尿病の新規発症率(7.2% vs.5.3%、HR:1.39[95%CI:1.03~1.87]、p=0.03)、ならびに白内障手術発生率(2.5% vs.1.5%、1.66[1.07~2.58]、p=0.02)が有意に高かった。その他の安全性エンドポイントは、両群で差は確認されなかった。

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IBSの2次治療、低用量アミトリプチリンが有用/Lancet

 プライマリケアにおける過敏性腸症候群(IBS)の2次治療として、低用量アミトリプチリンはプラセボと比較し、6ヵ月後のIBS重症度尺度(IBS Severity Scoring System:IBS-SSS)スコアが有意に低く、安全性および忍容性も良好であることが示された。英国・リーズ大学のAlexander C. Ford氏らが、英国のプライマリケア55施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Amitriptyline at Low-Dose and Titrated for Irritable Bowel Syndrome as Second-Line Treatment:ATLANTIS試験」の結果を報告した。IBS患者の多くはプライマリケアで管理されている。IBSに対する1次治療が無効であった場合、英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは2次治療として低用量の三環系抗うつ薬を考慮することが推奨されているが、プライマリケアにおける有効性は不明であり処方頻度は低い。Lancet誌オンライン版2023年10月16日号掲載の報告。1次治療後に症状持続のIBS患者をアミトリプチリン群とプラセボ群に無作為化 研究グループは、プライマリケアでIBS(サブタイプを問わずRome IV基準を満たす)と診断され、食事の改善、水溶性食物繊維、鎮痙薬、下剤、止瀉薬などの1次治療の効果が得られず、IBS-SSSスコアが75点以上の症状を有し、ヘモグロビン、白血球数、血小板数およびCRPが正常、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体陰性、自殺念慮がない18歳以上の患者を、アミトリプチリン群とプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、6ヵ月間投与した。投与量は、1日1回(夜)10mgより開始し、症状や副作用に応じて3週間で1日最大30mgまで漸増した後、試験期間中は症状や副作用に応じて変更可とした。 主要アウトカムは、無作為化後6ヵ月時点のIBS症状(IBS-SSSで評価)で、ITT解析を実施した。安全性については、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者を対象として評価した。6ヵ月後のIBS重症度尺度スコアはアミトリプチリン群で有意に低値 2019年10月18日~2022年4月11日に、463例(平均年齢48.5±16.1歳、女性68%、男性32%)がアミトリプチリン群(232例)またはプラセボ群(231例)に無作為に割り付けられ、338例が試験を完遂した。 主要アウトカムである6ヵ月時点のIBS-SSS合計スコアにおいて、アミトリプチリン群はプラセボ群より有意に優れていた(群間差:-27.0点、95%信頼区間[CI]:-46.9~-7.1、p=0.0079)。 6ヵ月以内に投与中止に至った患者は、アミトリプチリン群46例(20%)(有害事象による投与中止は30例[13%])、プラセボ群59例(26%)(同20例[9%])であった。重篤な副作用は5例(アミトリプチリン群2例、プラセボ群3例)、試験薬と関連のない重篤な有害事象は5例(それぞれ4例、1例)報告された。

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高齢統合失調症患者における認知症発症の神経病理学的根拠

 統合失調症患者は、そうでない人よりも認知症発症リスクが高いことが、臨床研究で報告されている。しかし、過去の神経病理学的研究では、統合失調症患者におけるアルツハイマー病の発症率は対照群と差異がないことが示唆されている。これらの一貫性のない結果は、アルツハイマー病以外の認知症を包含したことが原因である可能性があるが、高齢統合失調症患者を対象とした現在の神経病理学的分類に基づく臨床病理学的研究は、ほとんど行われていなかった。名古屋大学の荒深 周生氏らは、高齢統合失調症患者における認知症発症の神経病理学的根拠を調査するため、本研究を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年9月14日号の報告。高齢統合失調症患者の認知症に2つのタイプ 高齢統合失調症患者32例を対象に、標準化された病理学的手法を用いて、システマティックに脳検査を実施した。認知症に関連する神経病変の重症度の分析には、標準化された半定量的評価法を用いた。神経病理学的基準を満たす患者を除外した後、認知症を発症した患者と発症しなかった患者の臨床病理学的変数を比較し、潜在的な差を特定しようと試みた。 高齢統合失調症患者における認知症発症の神経病理学的根拠を調査した主な結果は以下のとおり。・病理学的基準を満たした統合失調症患者は7例であり、その内訳は、アルツハイマー病3例、嗜銀顆粒性認知症(AGD)2例、レビー小体型認知症1例、AGD/進行性核上性麻痺(PSP)1例であった。・神経病理学的所見が認められなかった統合失調症患者25例のうち、10例は認知症に罹患していたが、残りの非認知症患者15例と比較し、臨床病理学的所見に差は認められなかった。 著者らは、「高齢統合失調症患者では、2つのタイプの認知症がみられる。すなわち、1つは神経変性疾患併発タイプ、もう1つは現在の分類に基づく病理学的基準を満たさないタイプ」であるとし、「高齢統合失調症患者における認知症発症の神経生物学的側面を理解するためには、認知症発症を従来の認知症関連神経病理の併存疾患として分析するだけでは不十分であり、さらなる臨床病理学的研究が必要である」とまとめている。

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人違いの秋【Dr. 中島の 新・徒然草】(500)

五百の段 人違いの秋先週金曜日に広島に行ってきました。国立病院総合医学会という学会があったからです。小雨は降ったものの暑くもなく寒くもない、ちょうどいい気候でした。午前中は「医療従事者の心理的安全を確保するための工夫」というタイトルでの講演。午後からは「若手医師フォーラム」のディスカッサントです。今回は若手医師フォーラムについてお話ししましょう。これは毎年恒例のもので、卒後10年以下の若手医師が症例報告や研究発表を英語で行います。合計で8演題ですが、採点による上位2名は表彰されて豪華副賞が授与されるというものでした。4名のディスカッサントに2つずつの演題が割り当てられており、それぞれが質問をして場を盛り上げるという仕組みです。例年はディスカッサントの専門を考慮して、私には脳外科かせいぜい神経内科といった関連領域の演題しか割り当てられなかったのですが、今年はランダムです。私には膠原病と感染症が割り当てられてしまい、学会前に大急ぎで勉強する羽目になりました。隣に座っていたディスカッサントの先生は、専門が肝臓であるにもかかわらず脳動脈瘤の研究が当たってしまい「私は適当なことしか聞けないので、中島先生も質問をお願いします」と頼まれてしまいました。皆さんそれぞれに苦労されたようです。私自身も、にわかにリウマトイド血管炎やアスペルギルス性感染性心内膜炎を勉強しなくてはなりません。幸い前日くらいに、いくつかの質問を準備することができてホッとしました。リウマトイド血管炎の発表をしたのは卒後4〜5年前後の先生でしたが、single-cell spatial transcriptome analysisを使った野心的な研究です。生まれて初めて耳にする実験方法ですが、一通り勉強してみると「世の中は進んでいるなあ」と感心させられました。自分がまったく知らない分野も、勉強してみると何かと興味深いものです。たまたまですが、演者の名字が私の同級生の名字と一緒だったので、セッションの後で「ひょっとしてお父さんは○井×彦先生?」と彼女に尋ねてみると「阪大生の時代からよく聞かれたんですが、そうではありません。私の父はサラリーマンです」という答えでした。先入観のせいか、顔なんかよく似ていたような気がしたのですが……さて、英語での発表というのは誰にとってもハードルの高いもので、非常に上手な演者もいれば、そうでない演者も混在していました。が、こういうことは挑戦することが大切だと思います。そして、たとえうまくいかなかったとしても、そのことを勉強のモチベーションにつなぐべきですね。かくいう私も久しぶりの英語でのやり取りを何とか無難にこなしたものの、やはり勉強の必要性を感じさせられました。新たに英語の勉強を再開しましたが、こういうのは目標が必要です。オンライン英会話とか、英検・TOEICの受験とか、何か目標を見つけなくてはなりません。何らかの本番を設定して、迫りくる恐怖に怯えながら勉強するか、思うようにいかなかった悔しさをバネに勉強するか、あるいは両方ともでしょうか。引き続き精進を重ねたいと思います。次回は自分自身が発表した「医療従事者の心理的安全を確保するための工夫」について述べたいと思います。最後に1句秋深し 知人の娘は 別の人

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治療抵抗性統合失調症患者に対するクロザピン治療は早期開始すべきか

 クロザピンは、治療抵抗性統合失調症患者に対して有効性が証明されている唯一の抗精神病薬である。藤田医科大学の波多野 正和氏らは、クロザピン治療開始の遅延が長期アウトカムに及ぼす影響を評価する目的で、多施設共同レトロスペクティブコホート研究を実施した。その結果、長期治療中の精神科再入院を防ぐため、治療抵抗性統合失調症患者に対するクロザピン治療は早期に開始すべきであることが示唆された。BMC Psychiatry誌2023年9月15日号の報告。 対象は、2009年7月~2018年12月にクロザピン治療を開始した患者。統合失調症の診断からクロザピン治療開始までの期間に応じて、早期開始群(9年以内)、中期開始群(10~19年)、後期開始群(20年以上)の3群に分類した。エンドポイントは、3年以内の精神科再入院およびすべての原因によるクロザピン治療中止とした。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、Fine and Gray法またはCox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3年以内の精神科再入院の発生率(累積発生関数)は、早期開始群32.3%、中期開始群29.7%、後期開始群62.2%であった。・後期開始群は、早期開始群よりも精神科再入院リスクが有意に高かった(HR:2.94、95%CI:1.01~8.55、p=0.016[Gray's test])。・早期開始群と中期開始群との間に、精神科再入院リスクの有意な差は認められなかった。・3年以内のすべての原因によるクロザピン治療中止の割合(カプランマイヤー法)は、早期開始群13.0%、中期開始群10.6%、後期開始群20.1%であった。・すべての原因によるクロザピン治療中止の割合は、各群間で有意な差は認められなかった。・後期開始群では、他の群よりも、身体疾患による死亡のためクロザピン治療が中止となった患者が多かった。

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切除可能NSCLC、周術期ペムブロリズマブ上乗せでOS・EFS改善(KEYNOTE-671)/ESMO2023

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたKEYNOTE-671試験の第1回中間解析において、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法、術後補助療法としてペムブロリズマブを用いた場合、術前補助療法として化学療法を用いた場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)が有意に改善したことが報告されている1)。今回、KEYNOTE-671試験の第2回中間解析の結果が、カナダ・McGill UniversityのJonathan Spicer氏により、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表され、EFSと全生存期間(OS)が有意に改善したことが示された。本試験の結果から、米国食品医薬品局(FDA)は2023年10月16日に切除可能なNSCLC患者に対する術前・術後補助療法としてペムブロリズマブの使用を承認したことを発表している2)。・試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第III相試験・対象:切除可能なStageII、IIIA、IIIB(N2)のNSCLC患者(AJCC第8版に基づく)・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン[75mg/m2]+ゲムシタビン[1,000mg/m2を各サイクル1、8日目]またはペメトレキセド[500mg/m2])を3週ごと最大4サイクル→手術→ペムブロリズマブ200mgを3週ごと最大13サイクル(ペムブロリズマブ群:397例)・対照群:プラセボ+化学療法(同上)を3週ごと最大4サイクル→手術→プラセボを3週ごと最大13サイクル(プラセボ群:400例)・評価項目:[主要評価項目]EFSおよびOS[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)、病理学的奏効(mPR)など・解析計画:計2回の中間解析が事前規定され、今回の中間解析はEFSの最終解析とした。今回の解析におけるOSの有意水準は片側α=0.00543であった。・データカットオフ日:2023年7月10日 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は36.6ヵ月(範囲:18.8~62.0)であり、254例(31.9%)が死亡した。・OS中央値はプラセボ群が52.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:45.7~推定不能)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では未到達(同:推定不能~推定不能)であり、ペムブロリズマブ群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.56~0.93、片側p=0.00517)。・3年OS率はプラセボ群64.0%、ペムブロリズマブ群71.3%、4年OS率はそれぞれ51.5%、67.1%であった。・OSのサブグループ解析においてもペムブロリズマブ群が良好な傾向であったが、PD-L1発現状況別にみたOSのHR(95%CI)は、PD-L1(TPS)50%以上が0.55(0.33~0.92)、1~49%が0.69(0.44~1.07)、1%未満が0.91(0.63~1.32)であり、PD-L1発現が少ないほどペムブロリズマブ群のベネフィットは減少する傾向にあった。また、東アジア人集団のHR(95%CI)は1.05(0.64~1.73)、喫煙歴のない集団は1.00(0.41~2.46)であった。・EFS中央値はプラセボ群が18.3ヵ月(95%CI:14.8~22.1)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では47.2ヵ月(同:32.9~推定不能)であり、第1回の中間解析に続き、ペムブロリズマブ群が有意に改善した(HR:0.59[95%CI:0.48~0.72])。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はプラセボ群37.8%、ペムブロリズマブ群45.2%に認められ、治療中止に至ったTRAEはそれぞれ5.3%、13.6%、死亡に至ったTRAEはそれぞれ0.8%、1.0%に認められた。 本結果について、Spicer氏は「OSの有意な改善が認められ、新たな安全性シグナルは検出されなかったことから、本試験の周術期レジメンは切除可能なStageII、IIIA、IIIBのNSCLCに対する新たな標準治療となる」とまとめた。

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ER+/HER2-乳がんの術前ニボルマブ、pCRを有意に改善(CheckMate 7FL)/ESMO2023

 高リスクのER陽性(+)/HER2陰性(-)早期乳がん患者を対象とした第III相CheckMate 7FL試験の結果、術前化学療法および術後内分泌療法にニボルマブを上乗せすることで、病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善し、さらにPD-L1陽性集団ではより良好であったことを、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのSherene Loi氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。・対象:ER+/HER2-、T1c~2 cN1~2またはT3~4 cN0~2、Grade2(かつER 1~10%)またはGrade3(かつER≧1%)の新たに診断された乳がん患者 510例・試験群(ニボルマブ群):ニボルマブ(3週ごと)+パクリタキセル(毎週)→ニボルマブ+AC療法(隔週または3週ごと)→手術→ニボルマブ(4週ごと)+内分泌療法 257例・対照群(プラセボ群):プラセボ+パクリタキセル→プラセボ+AC療法→手術→プラセボ+内分泌療法 253例・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/is ypN0)[副次評価項目]PD-L1陽性集団のpCR、全体およびPD-L1陽性集団の腫瘍残存率(RCB)、安全性・層別化因子:PD-L1発現状況、Grade、腋窩リンパ節転移、AC療法の投与スケジュール 2022年4月に主要評価項目は修正ITT集団のpCR率のみに修正され、PD-L1陽性集団のpCR率は副次評価項目となった。今回がCheckMate 7FL試験結果の初報告で、全体およびPD-L1陽性集団のpCRとRCBが報告された。 主な結果は以下のとおり。・ニボルマブ群およびプラセボ群の年齢中央値は50歳/51歳、Grade3が98%/99%以上、StageIII期が46%/42%、PD-L1 IC≧1%が34%/33%、腋窩リンパ節転移陽性が80%/79%で、両群でバランスがとれていた。・修正ITT集団全体のpCR率は、ニボルマブ群24.5%、プラセボ群13.8%で、ニボルマブ群が有意に高かった(調整差10.5%[95%信頼区間[CI]:4.0~16.9]、オッズ比[OR]:2.05、p=0.0021)。・PD-L1陽性集団におけるpCR率は、ニボルマブ群44.3%、プラセボ群20.2%(調整差:24.1%[95%CI:10.7~37.5]、OR:3.11)であった。なお、PD-L1陰性集団では14.2%/10.7%であった。・リンパ節転移の有無、Stage、年齢、AC療法の治療スケジュールにかかわらずニボルマブ群のほうがpCR率は良好であった。・全体におけるRCB 0~1の割合は、ニボルマブ群30.7%、プラセボ群21.3%(調整差:9.2%[95%CI:2.0~16.5]、OR:1.65)であった。・PD-L1陽性集団におけるRCB 0~1の割合は、ニボルマブ群54.5%、プラセボ群26.2%(調整差:28.5%[95%CI:14.6~42.4]、OR:3.49)であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、ニボルマブ群35%、プラセボ群32%に発現し、安全性プロファイルは既報と一致していた。免疫介在性有害事象はニボルマブ群のほうが多かった。ニボルマブ群では死亡が2例(肺炎、肝炎)認められた。 これらの結果より、Loi氏は「高リスクのER+/HER2-早期乳がん患者の術前化学療法にニボルマブを追加することで、pCRは10.5%改善するとともにRCB 0~1率も9.2%改善した。この恩恵はPD-L1陽性集団でより大きかった。安全性プロファイルはこれまでと同様で、新たな有害事象は報告されなかった」としたうえで「バイオマーカーに関する追加データは今後の学会で発表する予定である」とまとめた。

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胃がん1次治療、周術期ペムブロリズマブはEFS延長せず(KEYNOTE-585)/ESMO2023

 切除可能な局所進行胃・胃食道接合部(G/GEJ)がん患者における免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められているが、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において術後療法にニボルマブの上乗せを検証したATTRACTION-5試験では上乗せ効果は示されなかった。同じくG/GEJがん患者を対象として、術前術後の化学療法にペムブロリズマブの上乗せ効果を検証した無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-585試験においても、無イベント生存期間(EFS)に有意な延長はみられなかったことがすでに報告されている。本試験の詳細について、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。・対象:未治療の局所進行、切除可能G/GEJがん、PS0~1・試験群(メインコホート):術前にペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン+カペシタビンまたはシスプラチン+5-FU)を3サイクル、術後にペムブロリズマブ+化学療法を3サイクル実施、さらにペムブロリズマブ単剤を最大11サイクル投与(ペムブロ群)・対照群:術前・術後にプラセボ+化学療法、さらにプラセボ単剤投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]病理学的完全奏効率(pCR率)、EFS、全生存期間(OS)[副次評価項目]安全性 主な結果は以下のとおり。・804例が登録され、ペムブロ群とプラセボ群に1対1で割り付けられた。追跡期間中央値は47.7ヵ月だった。アジア人47%、欧米人26%、その他27%だった。・pCR率はペムブロ群で12.9%(95%信頼区間[CI]:9.8~16.6)、プラセボ群で2.0%(95%CI:0.9~3.9)だった。・EFSはペムブロ群で改善したが(中央値44.4ヵ月vs.25.3ヵ月、HR:0.81、95%CI:0.67~0.99、p=0.0198)、わずかな差であったものの、事前に規定された有意差を示すには至らなかった。・OS中央値はペムブロ群で60.7ヵ月、プラセボ群で58.0ヵ月で、有意差はなかった。・Grade3以上の薬物関連有害事象はペムブロ群で64%、プラセボ群で63%で発生した。 設楽氏は「未治療の局所進行切除可能G/GEJがん患者において、周術期のペムブロ+化学療法は残念ながらEFSに有意な改善はみられなかったが、pCR率は大幅に改善した。周術期における免疫チェックポイント阻害薬の有効性を確かめるためには、さらなる研究が必要だ」とした。 続いて発表された、本試験同様に胃がん周術期の免疫チェックポイント阻害薬投与を検討するMATTERHORN試験(術前化学療法にデュルバルマブ上乗せ)がポジティブな結果となったことを踏まえ、発表後のディスカッションでは、差異が出た要因や適切な化学療法の種類、恩恵を受ける患者の特性などについて、盛んな議論が交わされた。

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日本人の冠動脈石灰化リスクに関連する腸内細菌叢

 冠動脈疾患患者の腸内細菌叢は健康人とは異なるが、冠動脈疾患が発症する前に違いがあるのかどうかはわかっていない。今回、滋賀動脈硬化疫学研究SESSAにおいて、日本人における冠動脈石灰化(CAC)の進行や冠動脈疾患の発症における新たなリスクや予防因子を特定するべく、CACや冠動脈疾患に関連する腸内細菌叢を調査した。その結果、Firmicutes門とBacteroidetes門の比率(F/B比)、とくにFirmicutes門とLactobacillales目がCACスコアおよび冠動脈疾患の既往と関連しており、これらの細菌群にCAC進行のリスク因子または腸内バイオマーカーが含まれている可能性があることを、滋賀医科大学の岡見 雪子氏らが報告した。American Heart Journal誌オンライン版2023年10月5日号に掲載。 本横断研究では、日本人男性663人にCTおよび腸内細菌検査を行い、Agatston法を用いて算出したCACスコアにより、0、0<かつ≦100、100<、冠動脈疾患既往ありの4群に分けた。細菌の16SリボソームRNA遺伝子を増幅し、MiSeq SystemでDNA配列を決定した。また、QIIME2とLEfSeを用いて腸内細菌叢を解析し、4群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は68.4歳(範囲:46~83歳)だった。・CACスコア0が219人、0<かつ≦100が200人、100<が193人、冠動脈疾患既往ありが51人で、F/B比中央値は順に1.50、1.52、1.67、1.80だった(p=0.020)。・Firmicutes門、Bacilli綱、Lactobacillales目は冠動脈疾患リスクが1.3~1.4倍高く、また、CACスコアが高かった。・Streptococcaceae科、Streptococcus属は冠動脈疾患リスクが高かった。

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抗インフル薬、国内で最も処方頻度が高いのは?/NCGM国府台病院

 国立国際医療研究センター(NCGM)国府台病院総合内科の酒匂 赤人氏らの研究グループと国立国際医療研究センター病院は共同でわが国の全国規模のインフルエンザ診療の実態を調べ、その結果を報告した。 研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算だった。PLoS One誌2023年10月4日号の報告。世界的には特有な日本の抗インフルエンザ薬の処方実態 わが国には抗インフルエンザ薬としてザナミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルなどが承認・使用されている。世界的にはインフルエンザ迅速検査で陽性となった場合、若年で持病などがなければ治療薬の処方はされないが、わが国では抗インフルエンザ薬がこうした若く持病のない患者にも処方されている。これはわが国特有の状況とされるが、全国的な抗インフルエンザ薬の処方実態に関するデータは不足している。そこでリアルワールドデータを解析することで、わが国の抗インフルエンザ薬の使用状況を明らかにすることを目的に研究が行われた(アマンタジン、ファビピラビルは本研究では対象外)。 方法としてわが国の個々の患者の性別、年齢、受けた検査、処方、手術などのデータが含まれるレセプト情報・特定健診等情報データベース(National Database:NDB)を解析し、2014~20年度のNDBオープンデータを用いて記述疫学研究を実施した。その際、抗インフルエンザ薬を処方された年間患者数、処方された薬剤、患者の年齢・性別分布、薬剤費、地域格差を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2014~19年に抗インフルエンザ薬が処方された患者数は年間670~1,340万例。・薬剤費は年間223~480億円と推定される。・インフルエンザ迅速抗原検査は2,110〜3,200万件実施され、その費用は301〜471億円だった。・2017年に最も処方頻度の多かった抗インフルエンザ薬はラニナミビル(48%)、オセルタミビル(36%)の順だった。・2018年は新たに登場したバロキサビルが40.8%を占めた。・新型コロナウイルス感染症の流行後、2020年に抗インフルエンザ薬を処方された推定患者数はわずか1万4,000例にまで減少した。・2018年、抗インフルエンザ薬が処方された37.6%が20歳未満の患者であったのに対し、65歳以上の患者は12.2%であった。・入院患者への抗インフルエンザ薬の処方は1.1%で、年齢が高くなるにつれて割合が増加し、入院中に抗インフルエンザ薬が処方されるのは女性よりも男性のほうが多かった。 今回の研究結果を踏まえ、酒匂氏らのグループは「わが国におけるインフルエンザの臨床管理の実態を明らかにしたうえで、今後は抗インフルエンザ薬を積極的に処方することについて臨床的・経済的側面を評価する必要がある」と展望を述べている。

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中等症~重症の乾癬、リサンキズマブの実臨床の有効性は?

 インターロイキン(IL)-23阻害薬リサンキズマブによる治療を受けた中等症~重症の乾癬患者は、治療開始1年後において、多くの患者が高い皮疹消失レベルを達成した。また、乾癬症状も改善し、労働生産性・活動障害も改善した。米国・イェール大学のBruce Strober氏らが、中等症~重症の乾癬に対するリサンキズマブの実臨床における治療効果の検討を目的として実施した、後ろ向き観察研究の結果を報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年9月20日号掲載の報告。 研究グループは米国およびカナダの乾癬データベースCorEvitas Psoriasis Registryを用いて、中等症~重症の乾癬と診断され、リサンキズマブによる治療開始後12±3ヵ月時点でリサンキズマブを継続使用していた成人患者287例を対象とした後ろ向き観察研究を実施した。皮疹の重症度(Investigator Global Assessment[IGA]スコア、Psoriasis Area Severity Index[PASI]など)、患者報告アウトカム(Dermatology Life Quality Index[DLQI]スコアに基づくQOL、VASで評価した疲労・皮膚疼痛・そう痒、Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire[WPAI]に基づく労働生産性・活動障害)を検討した。 主な結果は以下のとおり。・治療開始1年時点において、多くの患者が皮疹の消失を達成した(IGAスコア0:55.4%[158/285例]、PASI 100[ベースラインから100%改善]:55.8%[159/285例])。また、多くの患者が皮疹の消失/ほぼ消失を達成した(IGAスコア0/1:74.4%[212/285例]、PASI 90[ベースラインから90%改善]:65.6%[187/285例])。・生活への影響なし(DLQIスコア0/1)の割合は67.7%(174/257例)であった。・乾癬症状(疲労、皮膚疼痛、そう痒)が有意に改善し(いずれもp<0.001)、労働生産性・活動障害も有意に改善した(いずれもp<0.001)。 著者らは本研究の限界として、CorEvitas Psoriasis Registryが米国およびカナダの成人乾癬患者を必ずしも代表しているわけではないこと、患者のアドヒアランスを評価していないことを挙げている。

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ニボルマブベースの非小細胞肺がん周術期レジメンが有効性示す(CheckMate 77T)/ESMO2023

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブベースの周術期レジメンが良好な結果を示した。 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において米国・MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏が発表した、同集団に対する術前ニボルマブ+化学療法、術後ニボルマブを評価する無作為化二重盲検第III相CheckMate 77T試験の中間解析の結果である。・対象:切除可能なStageIIA〜IIIB (American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版) のNSCLC・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+プラチナダブレット化学療法 3週ごと4サイクル→手術→ニボルマブ480mg 4週ごと1年間(NIVO+化学療法/NIVO群、n=229)・対照群:プラチナダブレット化学療法 3週ごと4サイクル→手術→プラセボ4週ごと1年間(化学療法/PBO群、n=232)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価の無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)および主要な病理学的奏効(MPR)(ともに盲検下独立病理学審査[BIPR]評価)、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は25.4ヵ月であった。・BICR評価のEFS中央値は、NIVO+化学療法/NIVO群は未到達、化学療法/PBO群は18.4ヵ月で、NIVO+化学療法/NIVO群で有意に改善していた(ハザード比[HR]:0.58、97.36%信頼区間[CI]:0.42〜0.81、p=0.00025)。・12ヵ月EFS率はNIVO+化学療法/NIVO群73%、化学療法/PBO群59%、18ヵ月EFS率はそれぞれ70%と50%であった。・BIPR評価のpCR率はNIVO+化学療法/NIVO群25.3%、化学療法/PBO群4.7%(オッズ比[OR]:6.64、95%CI:3.40〜12.97)、BIPR評価のMPR率はそれそれ35.4%と12.1%であった(OR:4.01 、95%CI:2.48〜6.49)。・全期間における全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、NIVO+化学療法/NIVO群の89%、化学療法/PBO群の87%に発現した。術前期間のTRAE発現はそれぞれ86%と85%、術後期間のTRAE発現はそれぞれ50%と30%であった。 Cascone氏は、CheckMate 77T試験の結果は、ニボルマブベースの周術期レジメンが切除可能NSCLCにとって有望な新しい治療選択肢であることを支持するものだと結んだ。

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多がん早期検出血液検査は、がんスクリーニングで実行可能か/Lancet

 多がん早期検出(multicancer early detection:MCED)血液検査は、腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)のがん特異的DNAメチル化パターンを検出し、がんシグナルが確認された場合はその起源(cancer signal origin:CSO)を予測することから、1回の採血で50以上のがん種の検出が可能とされる。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDeb Schrag氏らは、「PATHFINDER研究」にてMCED血液検査を用いたがんスクリーニングは実行可能であることを確認し、今後、臨床的有用性を検証する研究を進める必要があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2023年10月7日号で報告された。米国の前向きコホート研究 PATHFINDER研究は、がんスクリーニングにおけるMCED検査の実行可能性(feasibility)を調査する前向きコホート研究であり、米国の7つの医療ネットワークに属する腫瘍科およびプライマリケア外来施設が参加した(米国・GRAILの助成を受けた)。 対象は、年齢50歳以上、がんの徴候や症状がなく、MCED検査と1年間の電子健康記録の追跡調査に同意した集団であった。 参加者の血液を採取してcfDNAの解析を行い、結果を参加施設の医師に伝えた。がんを示唆するメチル化シグネチャーを検出した場合は、予測されるCSOを知らせた。 主要アウトカムは、MCED検査で陽性となった後、がんの有無を確定するのに要した時間と、確定診断までに行った検査の範囲であった。検査から確定診断までの期間は79日 2019年12月12日~2020年12月4日に6,621人を登録した。年齢中央値63.0歳(四分位範囲[IQR]:56.0~70.0)、女性63.5%、白人91.7%で、がん既往参加者は24.5%であった。 がんシグナルは6,621人のうち92人(1.4%)の参加者で検出した。このうち、がんと診断された真陽性は35人(38%)で、残りの57人(62%)はがんと診断されず偽陽性であった。 MCED検査の結果が出る前に診断のための評価が開始された2人を除くと、診断が確定するまでの期間中央値は79日(IQR:37~219)であった。偽陽性者の診断までの期間中央値は162日(44~248)である一方、真陽性者では57日(33~143)と短かった。 がんシグナルを検出した90人(上記の2人を除く)の多くが、診断が確定するまでに臨床検査(真陽性者79%[26/33人]、偽陽性者88%[50/57人])と画像検査(真陽性者91%[30/33人]、偽陽性者93%[53/57人])を受けていた。 また、処置(非外科的または外科的)を受けた参加者の割合は、真陽性者(82%[27/33人])に比べ偽陽性者(30%[17/57人])で低く、外科的処置を受けた参加者はほとんどいなかった(真陽性者3人、偽陽性者1人)。 著者は、「これらの知見は、がんスクリーニング戦略としてのMCED検査の安全性、有用性、臨床的有効性を調査するための大規模研究の基礎を築くものである」としている。

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