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アプロチニン自体は術後腎機能低下要因ではない

手術の際、出血抑制(組織の接着・閉鎖)に使用される線溶系抑制剤アプロチニンは近年、心臓手術に用いた際の腎毒性の有無が議論となっているが、「ACE阻害薬服用者にoff-pumpで手術を施行した場合にのみ、アプロチニンは術後腎障害リスクを増加させる」可能性を指摘する論文が、Lancet誌2008年2月9日号に掲載された。英国Bristol Royal InfirmaryのRonelle Mouton氏らによるレトロスペクティブ(振り返り)観察研究である。単一施設における成績のレトロスペクティブ解析解析対象となったのは、Bristol Royal Infirmaryにて2000年1月から2007年9月の間に心臓手術を受けた9,875例中、アプロチニン、またはトラネキサム酸を使用、あるいは線溶系抑制剤非使用で、かつACE阻害薬併用の有無と術前の腎機能が明らかだった9,106例。術後腎機能低下オッズ比(vs. 線溶系抑制剤非使用 [対照] 群)を、on-pump術群(5,434例)とoff-pump群(3,672例)別にアプロチニン群とトラネキサム酸群に分け、さらに術前ACE阻害薬服用歴の有無で2分して比較した。対照群とのマッチングにあたっては、propensityスコアを用いて予後因子の均一化を図った。術後「腎機能低下」は「血清クレアチニン2.26mg/dL(200μmol/L)以上」かつ「術前からの1.5倍以上増加」とした。もっともな主張と思われるが…結果は以下の通り──・術後腎機能低下は7%に認められ、そのうち20%で透析が必要となった。・腎機能低下オッズ比が対照群に比べて有意に増加していたのは「ACE阻害薬服用例に対するoff-pump手術+アプロチニン」(オッズ比:2.87、95%信頼区間:1.25~6.58)のみだった。・残りの群も全て、対照群に比べ術後腎機能低下オッズ比は増加傾向を示したが(1.14~1.93)、いずれも有意ではなかった。以上よりMouton氏らは、「アプロチニン自体は心臓外科手術後の腎機能低下要因ではない可能性がある」と結論し、「ACE阻害薬服用例にoff-pump手術をする場合、アプロチニンの使用は避けるべきだ」と主張している。もっともな主張と思われるが、「off-pump手術をするならばACE阻害薬服用を、特に腎機能低下例では中止すべきだ」というのはいかがなものだろうか──。(宇津貴史:医学レポーター)

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高リスク糖尿病患者に対する積極的降圧療法の有用性が示される:ADVANCE試験

心血管系高リスクあるいは既往を認める糖尿病患者では、血圧に関わりなくACE阻害薬+利尿薬を用いた降圧により血管系イベントが減少することが、 Lancet誌9月8日号に掲載されたADVANCE試験の結果より明らかになった。本研究は論文掲載に先立ち、欧州心臓病学会(ESC)において報告されている。高リスク糖尿病を対象、血圧は不問本試験の対象は55歳以上の2型糖尿病患者11,140例だが、心血管系イベント既往あるいは心血管系リスクを有する「心血管系高リスク」患者だった。心血管系リスクとされたのは「細小血管症」、「糖尿病性眼症」、「喫煙」、「脂質異常症」、「微量アルブミン尿」、「糖尿病歴10年以上」か「65歳以上」 ──である。試験参加に関し、血圧値は問われなかった。これら11,140例はACE阻害薬ペリンドプリルと利尿薬インダパミドの合剤を服用する「降圧薬群」(5,569例)と「プラセボ群」(5,571群)に無作為割り付けされ、二重盲検法で追跡された。試験開始時の背景因子は、平均年齢66歳、2型糖尿病発症平均年齢が58歳、32%に心血管系イベント既往を認めた。また降圧治療を受けていたのは69%、血圧平均値は145/81mmHgだった。1次評価項目は9%有意に減少4.3年間の平均追跡期間の血圧平均値は、「降圧薬群」で5.6/2.2mmHg有意に低かった。特に収縮期血圧は「降圧薬群」では試験開始6ヵ月後以降135mmHg前後が保たれていたのに対し、プラセボ群では常に140mmHg前後だった。その結果、1次評価項目である「大血管症(心血管系イベント)+細小血管症」の発生率は「プラセボ群」16.8%に対し「降圧薬群」では15.5%で、相対的に9%の有意な減少となった(95%信頼区間:0-17%、p=0.041)。年齢、試験開始時高血圧の有無や血管症既往の有無などで分けて検討しても、「降圧薬群」で1次評価項目が増加傾向を示すサブグループはなかった。また1次評価項目を大血管症と細小血管症に分けて比較すると「降圧薬群」における減少は有意差ではなくなるが、「主要冠動脈イベント」と「その他の冠動脈イベント(血行再建術施行や無症候性心筋虚血、不安定狭心症による入院)」を併せた「全冠動脈イベント」のリスクは相対的に14%、「降圧薬群」で有意に低下していた。同様に、「微量アルブミン尿出現」も「降圧薬群」において相対的に21%、有意にリスクが低下していた。これらより報告者らは、「ペリンドプリルとインダパミド合剤は、血圧の高低にかかわらず2型糖尿病患者の大血管症+細小血管症を減少させるだろう」と結論している。なお同号に掲載された「論評」ではUniversity of Texas(米国)のNorman M. Kaplan氏が、プラセボ群の83%が何らかの降圧薬(55%はペリンドプリル)を服用していたにもかかわらず5.6/2.2mmHgの血圧差があった点など、いくつか考慮すべきポイントを指摘している。(宇津貴史:医学レポーター)

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メディケア・パートDの処方薬リストから広適用薬を探し出せ

65歳以上の高齢者を対象とした米国の医療保険メディケアは2006年1月から、それまで保険給付外だった外来患者の処方薬を給付対象とした。これはメディケア・パートDと呼ばれ、メディケア発足以来の大改革と言われているが、薬代を給付する民間保険会社と契約している患者ごとに処方薬リストが異なるため、少なからず混乱を招いている。 ハワイ大学医学部のチェン・ウエン・ツェン氏らは、カリフォルニア州とハワイ州をサンプルに、各保険会社の処方薬リストがどのような薬をカバーしているのかを調査した。その結果、各リスト間には多くの相違があり、開業医が処方薬を把握するのは容易でないことが明らかになった。JAMA誌2007年6月20日号に掲載。115処方薬リストから8療法の広適用薬を調査メディケア受給者が全米で最も多いカリフォルニア州(72の処方薬リストがある)と、受給者数が少ないハワイ州(43リスト)の2州で、処方頻度の高い治療薬それぞれにおいて、大多数のパートDで適用される広適用薬が少なくとも1つあり、それを医師が確認できるかどうかを調べた。両州のパートD処方薬リストの適用範囲を調べるため、2006年3月1日から4月15日にかけてメディケアのウェブサイトで、高血圧、高脂血症、うつ病治療で使われる8療法(〔1〕ACE阻害薬、〔2〕ARB、〔3〕β遮断薬、〔4〕カルシウムチャネル遮断薬、〔5〕ループ利尿薬、〔6〕SSRI、〔7〕スタチン、〔8〕チアジド利尿薬)を調査(保険の事前承認なし、患者負担≦$35、リスト収載率≧90%)。主要評価項目は、広適用薬を少なくとも1つ持つとした。ジェネリック73%、ブランド薬6%が広適用薬カリフォルニア州では、確認できた薬が75例で、それぞれの適用範囲は7%から100%まで幅があった。しかしこうした変動幅はあったが、8療法のうちARBを除く7療法には、少なくとも1つの広適用薬が含まれていた。そして34例の広適用薬(45%)のうち、2例以外はジェネリック医薬品だった。リスト収載率を≧95%、患者負担≦$15に制限しても、8療法中7つには最低1つの広適用薬が含まれていた。また全体として、73%のジェネリック薬と6%のブランド薬は広適用薬と言えた。この所見はハワイにおいても同様で、処方薬リストはかなり異なっていたが、ARBを使った療法以外は少ない患者負担分で1つ以上の広適用薬があった。ツェン氏らはこの結果を受け、「医師にとって容易ではないが、ジェネリック薬品のすべてが広適用薬ではないこと、また、ブランド薬の多くは広適用薬ではないことを認識し、処方を書く前にどの薬が広適用薬であり、どこまでが適用範囲かを確認する必要があるようだ」と述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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