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          2018年度の調剤報酬改定で新設された「地域支援体制加算」の算定状況に関する調査結果が明らかになりました。2018年6月1日時点で地域支援体制加算を算定していた薬局は、全国で15,012軒あり、保険薬局全体(59,864軒)の25.1%であった。算定薬局数は、東京や大阪などの保険薬局が多い大都市をもつ都道府県が目立って多かったが、保険薬局数に対する割合をみると、最も割合が高かった都道府県は奈良(41.0%)であり、次いで、長野(40.2%)であった。(株式会社日本アルトマーク プレスリリース 2018年8月7日)薬局の機能を評価した基準調剤加算はもともと2段階に分かれていましたが、2016年度に一本化され、そして2018年度で廃止となり、地域支援体制加算が新設されました。基準調剤加算は調剤基本料1を算定している薬局のみが算定できましたが、地域支援体制加算ではその決まりはなくなりました。しかし、調剤基本料1を算定しているかどうかによって、算定の難易度は大きく異なります。調剤基本料1を算定している場合は、基準調剤加算のときと同様の施設基準に加えて下表の3項目すべて、調剤基本料1以外を算定している場合は地域医療への貢献実績8項目すべてを満たす必要があります。調剤基本料1を算定している場合調剤基本料1以外を算定している場合1.麻薬小売業者の許可2.在宅患者の管理および指導の実績3.かかりつけ薬剤師指導料等の届出1.夜間・休日等の対応実績:400回/常勤薬剤師/年2.重複投薬・相互作用等防止加算等の実績:40回/常勤薬剤師/年3.服用薬剤調整支援料の実績:1回/常勤薬剤師/年4.単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績:12回/常勤薬剤師/年5.服薬情報等提供料の実績:60回/常勤薬剤師/年6.麻薬指導管理加算の実績:10回/常勤薬剤師/年7.かかりつけ薬剤師指導料等の実績:40回/常勤薬剤師/年8.外来服薬支援料の実績:12回/常勤薬剤師/年調剤基本料1を算定できているか否かによって難易度が違いすぎるのでは、と思うのは私だけではないと思います。8項目の内容もですが、それぞれの回数が常勤薬剤師1人当たりの1年の実績であること、というのが鬼ポイントですよね。そうなると、紹介した記事の中にある地域支援体制加算を算定できた薬局1万5,012軒が調剤基本料1かどうかの内訳が気になるところではないでしょうか。それに関しても同プレスリリースで明らかにされています。調剤基本料1その他の調剤基本料合計1万4,984軒(99.8%)28軒(0.2%)1万5,012軒はい、ほぼ調剤基本料1ですね。しかも、その他の28軒のうち27軒は医療資源の少ない地域として調剤基本料1扱い(調剤基本料の注1ただし書きに規定)になっています。調剤基本料1を算定している薬局の中にも地域貢献の実績8項目を満たしている薬局はあるかもしれませんが、はっきりと8項目すべてを満たしたとわかるのは全国でたった1軒。ぜひこの薬局へ取材に行ってみたいものです。調剤基本料1以外の場合の要件が今後の求められる水準か?調剤基本料は、基本的にはグループ全体の処方箋受付回数と集中率によって決められているため、その薬局の機能というよりは、その薬局の立地や法人の規模の評価です。とにかく門前薬局を少なくしたい、という国の思惑はあるのでしょうが、私個人としては患者さんの視点とはあまり関係がないため、重要視しすぎるのはどうかと思っています。地域支援体制加算は「かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局に対して、夜間・休日対応等の地域支援の実績などを踏まえて評価」するものですが、それらが正当に評価された加算なのか? と少し疑問に思います。ただし、調剤基本料1の算定が、国の思い描く方向であるということは、地域支援体制加算における地域医療への貢献実績の難易度の差を見ても明らかです。そして地域医療への貢献実績として示された8項目は、これから先の調剤報酬改定でも何かしらの要件として出てくると思われます。厳しい要件ではありますが、必要な要件に後押しされてできることが増えていくのは悪いことではありません。まずは1件、と取り組み始めた在宅薬剤管理も、経験や件数を積むごとに在宅に興味を持つ薬剤師も増えてきて、薬局全体で取り組む仕組みができてきた、という話も耳にします。今回、地域支援体制加算を調剤基本料1を算定した場合の要件で算定できていたとしても、調剤基本料1以外を算定している場合の要件を意識し、少しずつでも地域貢献の指標となる機能を満たすことができるように体制を整えていったほうがいいかもしれません。