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イキサゾミブ、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫の維持療法に適応追加/武田

 武田薬品工業は、2021年5月27日、イキサゾミブ(製品名:ニンラーロ)について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得した。 今回の承認は、主に無作為化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際第III相試験であるTOURMALINE-MM4試験の結果に基づくものである。同試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、同剤がPFSを統計学的に有意に改善することが確認された。イキサゾミブの維持療法における安全性プロファイルは、単剤療法における既知の安全性プロファイルと同様であり、TOURMALINE-MM4試験で新たな懸念は確認されなかった。 イキサゾミブは、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能効果で、2017年3月に厚生労働省より製造販売承認を取得し2017年5月24日から発売。2020年3月25日に「多発性骨髄腫における自家造血幹細胞移植後の維持療法」に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得している。

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骨髄腫に、ダラツムマブの皮下注新発売/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは、2021年5月19日、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した皮下投与製剤ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)の販売を開始した。ダラキューロは、本年3月23日に多発性骨髄腫を効能又は効果として製造販売承認を取得している。 ダラツムマブの点滴静注製剤(以下、ダラツムマブ IV)は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドラインでも推奨されている。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要する。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者の負担が軽減されることが期待されている。 ダラキューロについては、日本人を含む再発・難治性の多発性骨髄腫を対象とした国際共同第III相試験(MMY3012試験[COLUMBA試験])において、ダラツムマブ IVに対する非劣性が単剤療法にて示され、安全性が確認されている。また日本人集団における薬物動態および有効性は全体集団と一貫しており、安全性に明らかな差異は認められなかった。ダラキューロ配合皮下注製品概要・製品名:ダラキューロ配合皮下注・一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)・効能又は効果:多発性骨髄腫・用法及び用量:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には本剤1回15mL(ダラツムマブ(遺伝子組換え)として1,800mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として30,000単位(2,000単位/mL))を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、以下のA法又はB法の投与間隔で皮下投与する。 A法:1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。 B法:1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。・製造販売承認日:2021年3月23日・薬価基準収載日:2021年5月19日・発売日:2021年5月19日・薬価:15mL 1瓶 434,209円・製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社

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COVID-19感染流行下における血液疾患診療の指針まとめ/日本血液学会【Oncologyインタビュー】第32回

日本血液学会は3月半ば、「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について」と題した声明を発表した。血液腫瘍を専門とする医療者に向け、疾患別に分けたうえで新型コロナ流行下での診療方針と、患者へのワクチン接種の推奨について留意事項をまとめたものだ。この声明をまとめた日本血液学会理事、造血器腫瘍診療ガイドライン委員会委員長である筑波大学の千葉 滋氏(血液内科 教授)に作成の経緯と狙いを聞いた。インタビューはzoom形式で行われた―このタイミングで声明を出された経緯は?これまでも、学会としては米国血液学会(ASH)や欧州血液学会(EHA)が発表した情報(Q&Aなど)を紹介、アップデートしてきました。ただ、日本は感染蔓延状況が欧米に比べればマイルドであり、また治療を入院で行うか外来で行うかが異なることもあります。このため、欧米における危機対応の判断の中には必ずしも日本の現状にそぐわない点もある、という声がありました。そこで、作業のためのワーキングチームで議論を始めました。また、学会誌である「臨床血液」の2月号がCOVID-19の特集号となっており、こちらと相互補完的に情報共有ができればよい、とも考えました。―COVID-19の影響で血液疾患の治療にはどんな変化がありましたか?日本では感染者の絶対数が北米や欧州諸国ほど多くありません。日本で血液疾患を診療しているのは中〜大規模医療機関が主体ですが、こうした病院において血液疾患の診療を大幅に抑制せざるを得なくなったところはあまり多くないのではと思います。血液疾患には「急速に病態が進む」ものと「緩やかな経過をたどる」ものがあります。急速に病態が進む疾患は、COVID-19感染リスクを勘案したとしても、治療を待てないケースが大半です。一方で、緩やかな経過をたどる疾患では、計画どおり治療を進めるべきか、COVID-19感染リスクを考慮して計画を変更すべきか、慎重に判断すべき時期があります。血液疾患は疾患そのものが要因で免疫不全になり、さらに治療によって一段と深刻になるケースが多いため、治療のベネフィットと感染リスクの見極めが必要になるからです。たとえば悪性リンパ腫の中で緩やかな経過をたどる疾患における寛解後の維持療法では、ベネフィットがリスクと比して少ないと医師が判断した場合には、治療を延期・中断するなどの判断が行われると思います。日本血液学会のサイト上で公開されている声明他のがんでは、「COVID-19による受診控えでがんの診断や治療が遅れる」といった問題も指摘されてきました。しかし、血液腫瘍は病態進行の速さから何ヵ月も受診を控えることが現実的でない場合が多いですし、一般に血液腫瘍が疑われるとなるべく早く専門施設の受診を勧められるケースが大半です。ですから、COVID-19蔓延のための受診控えによって治療の遅れが多数のケースで生じた、ということはなかったのではないかと想像しています。血液学会で計画されている「COVID-19レジストリ―研究ワーキンググループ」の調査により、血液疾患を持つ新型コロナ感染者の実態の一部が明らかになると思います。―今回の声明では、ASH等の海外学会が発信しているQ&Aと違う意見が述べられているのでしょうか?米国はもともと人口当たりの病床数が日本に比べて圧倒的に少なく、入院費用も非常に高額であるため入院期間が短く、日本では入院となるような治療(たとえば自家造血幹細胞移植など)でも外来で行われてきたという実態がありました。ここに、日本よりも2桁多い累計3,000万人を超えるような数の新型コロナの感染者が発生したことから、外来・入院それぞれで病院機能が受けた影響は日本に比べ格段に大きかったと推察されます。このために、血液疾患の治療も平時の治療から変更せざるを得ないケースが出てきて、そのノウハウが情報発信されているものです。一方で、日本では先にお話ししたように、血液疾患の治療を平時のものから変更しなければならないような事態には必ずしも至っていないため、今回の声明でも「従来のガイドラインに沿った治療を継続すべき」との見解が多くなっています。ただ、一部には、通院間隔を空けるため投与間隔の長い薬剤に変更する、維持療法を見送る、等の提案をしている箇所もあります。―血液疾患患者に対するワクチン接種の推奨はどのようになっていますか?基本的には「打てる状況ならば、打っておいたほうがいい」というスタンスです。実際には、ワクチン開発中の治験に組み入れられた血液疾患の患者はおらず、エビデンスが蓄積されるのはこれからです。一般にがん患者がCOVID-19に罹患すると重症化リスクが高いとさまざまに報告されており、ワクチンの有効性のデータからも血液がんあるいは他の血液疾患で接種を推奨しない理由はありません。ただ、実際はそれほど単純ではありません。血液疾患患者は免疫不全状態にあることが多く、抗がん剤や免疫抑制剤による治療中であればさらにそれが顕著となります。結果として、一般の方よりもワクチンの効果が低くなることが予想されます。もともとワクチン接種による免疫獲得の成功率は100%ではありませんが、血液疾患患者の成功率はさらに下がる可能性が高い。とくに同種造血幹細胞移植後の患者さんは免疫がほとんど消えてしまいます。移植後に免疫が回復するには時間がかかりますので、これまでも移植後は6ヵ月経過し免疫抑制剤を中止した後に、肺炎球菌や麻疹・風疹などへの予防接種をしていました。生ワクチンは移植後1年経過してからです。新型コロナワクチンについては、移植後いつ接種すべきかが一層深刻な問題です。免疫回復を待っている間にも感染する危険がありますので。こうした点について声明では、欧米の推奨と共に、基本的な考え方を記述しています。一方、新型コロナワクチンを優先接種したすぐ後で抗がん剤治療や移植を実施すれば、ワクチンの効果が消えてしまう可能性もあります。「消えたら再接種ができるのか」という問題はまだ議論もされていない状況ですから、抗がん剤治療や移植が計画されている場合にいつ接種するかは、慎重な判断が求められるわけです。骨髄腫など治療が長期に及ぶ疾患においても、治療中のどのタイミングでワクチンを接種するのか、という別の判断が必要です。骨髄腫についてはつい先頃、日本骨髄腫学会が独自に留意点などを公表しています。こう見ていくと、大多数の血液疾患の患者さんにワクチン接種は推奨されるものの、実際にどのタイミングで接種するかは、個々の患者さんの疾患と治療の段階に応じて主治医と相談しながら決めていただく、という結論になるでしょう。血液疾患といっても多種多様です。血液学会のほかに移植・免疫療法、骨髄腫、血栓・止血、小児血液・がんなどの専門学会があるので、そちらからの声明もご確認いただければと思います。参考サイト日本血液学会「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について-留意事項-」日本骨髄腫学会「骨髄腫患者に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について」

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多発性骨髄腫、CRd療法でダラツムマブ追加の有効性確認/JAMA Oncol

 最近の研究によって、多発性骨髄腫の1次治療として、プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンの3剤併用(VRd療法)にダラツムマブを追加することの有用性が確認されたが、プロテアソーム阻害薬をカルフィルゾミブに代えたCRd療法においても、ダラツムマブ追加の有効性が示されたという。米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのOla Landgren氏らの非ランダム化MANHATTAN試験の結果によるもので、JAMA Oncology誌4月15日号オンライン版に掲載された。 2018年10月1日~2019年11月15日の間にメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターで新たに多発性骨髄腫と診断された患者41例が登録された。治療開始からの追跡期間中央値は20.3(95%CI:19.2~21.9)ヵ月だった。 カルフィルゾミブ(1、8、15日)、レナリドミド(1~21日)、デキサメタゾン(週次)、ダラツムマブ(1、8、15、22日[1~2サイクル]、1、15日[3~6サイクル]、1日[第7、8サイクル])投与を、28日間・8サイクル実施した。主要評価項目は、微小残存病変(MRD)率、副次的評価項目は安全性と忍容性の評価、奏効率の評価、無増悪生存率(PFS)と全生存率(OS)だった。 主な結果は以下のとおり。・41例の年齢中央値は59歳(範囲:30~70歳)、25例(61%)が女性で、20例(49%)が高リスクの多発性骨髄腫であった。・主要評価項目である骨髄でのMRD陰性化(感度<10-5)は、41例中29例(71%、95%CI:54%~83%)で達成され、試験の成功が判断された。・MRD陰性化までの期間中央値は6(範囲:1~8)サイクルだった。・副次評価項目である全奏効率は100%(41/41)、非常に良好な部分奏効率または完全奏効率は95%(39/41)だった。・最も多かった(2例以上)グレード3または4の有害事象は、好中球減少(12例[27%])、発疹(4例[9%])、肺感染症(3例[7%])、アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(2例[4%])だった。死亡例はなかった。 著者らは、CRd療法+ダラツマブ併用療法は安全性と忍容性に優れている可能性があり、新たに多発性骨髄腫と診断された患者において高い残存病変陰性率と高いPFSを示すことが示唆された、としている。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液

第1回 急性・慢性白血病第2回 悪性リンパ腫第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植第5回 貧血性疾患・造血不全第6回 出血・血栓性疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。血液については、渡邉純一先生が講義します。数々の新薬の登場による血液腫瘍の治療法の変化が最大のポイントです。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 急性・慢性白血病第1回のテーマは、急性・慢性白血病です。急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病について、近年のガイドラインの改訂や、新規薬剤の情報を整理して解説します。第2回 悪性リンパ腫血液の第2回は、悪性リンパ腫について解説します。悪性リンパ腫については、低悪性度から高悪性度B細胞リンパ腫など、各種それぞれのリンパ腫に適した、多数の新規薬剤が登場し、治療のスタンダードとなっています。臨床データを押さえながら、新しい治療薬について説明します。第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency血液の第3回は、多発性骨髄腫とOncology emergencyについて解説します。近年、さまざまな新規薬剤によって、予後が改善している多発性骨髄腫。ただし、完治が厳しい疾患であることには変わりなく、共存を目的とした治療計画が立てられています。薬剤のメカニズムと副作用も重要なポイントです。悪性腫瘍の経過で、急速に悪化した場合の緊急治療Oncology emergencyについて、血液内科領域の対応や基礎疾患、症状を確認します。第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植骨髄増殖性腫瘍には、真性多血症、原発性骨髄繊維症、本態性血小板血症があります。年齢によってリスクが変化するため、治療方針も異なります。使用する薬剤のメリットとデメリットも確認しましょう。造血幹細胞移植には、自家移植と同種移植があります。とくに同種移植について、合併症のリスクや保険適用となった新薬の解説をします。第5回 貧血性疾患・造血不全骨髄不全の疾患である、再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、骨髄異形成症候群について解説します。近年ガイドラインが改訂された、再生不良性貧血の診療指針の変更点や、骨髄異形成症候群のリスク分類を確認しておきましょう。造血不全による貧血性の疾患は、各種貧血の病態や、保険適用となっている薬剤など、基本をしっかり復習します。第6回 出血・血栓性疾患出血・血栓性疾患には、血小板減少を伴うものと、凝固異常を伴うものがあります。特発性血小板減少性紫斑病と血栓性血小板減少性紫斑病のガイドラインには、新薬が加えられました。播種性血管内凝固は、診断基準がアップデートされたので注意しましょう。後天性血友病、フォンウィルブランド病、抗リン脂質抗体症候群、先天性血友病についてもポイントを説明します。

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FDA、再発・難治多発性骨髄腫に対するイサツキシマブのカルフィルゾミブ・デキサメタゾンとの併用を承認 /サノフィ

 サノフィは、2021年3月31日、米国食品医薬品局(FDA)が前治療歴が1~3の再発又は難治性多発性骨髄腫の成人患者に対してカルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法に追加する医薬品としてイサツキシマブ(商品名:サークリサ)を承認したと発表。 イサツキシマブはすでに、レナリドミドとプロテアソーム阻害薬を含む2レジメン以上の前治療歴を有する再発・難治多発性骨髄腫の成人患者に対して、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法に追加して用いる医薬品として承認されている。 今回のFDAの承認は、無作為化多施設共同非盲検第III相IKEMA試験のデータに基づいたもの。この試験は、16ヵ国69施設で治療を受けている再発多発性骨髄腫の患者302例を対象に行われ、イサツキシマブを標準治療であるカルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法に追加した患者群は、病勢進行または死亡のリスクが45%低下した(ハザード比:0.548、95%CI:0.366〜0.822、p=0.0032)。

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多発性骨髄腫へのide-celのCAR-T細胞療法、奏効率70%超/NEJM

 3種のクラスの薬剤による前治療歴のある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、イデカブタジェン ビクルユーセル(ide-cel、bb2121)は高い全奏効割合をもたらし、微小残存病変(MRD)の陰性化の割合も良好であるが、多くの患者でGrade3/4の血液毒性やサイトカイン放出症候群などの有害事象が発現することが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のNikhil C. Munshi氏らが実施した「KarMMa試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年2月25日号に掲載された。3種の主要クラスの骨髄腫治療薬(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体製剤)による治療を行っても、病勢が進行した多発性骨髄腫患者では、標準治療が確立されておらず、完全奏効(CR)はまれで、無増悪生存(PFS)期間中央値は3~4ヵ月、全生存(OS)期間中央値は8~9ヵ月と転帰は不良である。ide-celは、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であり、再発・難治性多発性骨髄腫の第I相試験で有望な有効性が報告されている。3つの用量の単群第II相試験 研究グループは、再発・難治性多発性骨髄腫患者における3つの用量のide-celの有効性と安全性を評価する目的で、単群第II相試験を行った(bluebird bioとCelgeneの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上で、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体製剤を含む少なくとも3レジメンの治療を受け、最終レジメンの最終投与から60日以内に再発した多発性骨髄腫の患者であった。 被験者は、3つのCAR陽性T細胞の目標用量(150×106、300×106、450×106)のうち1つの投与を受け、少なくとも24ヵ月の経過観察が行われた。 主要エンドポイントは、全奏効(部分奏効[PR]以上)とした。重要な副次エンドポイントは、CR以上(CRおよび厳格なCR[sCR])であった。全奏効割合は73%、MRD陰性化割合は26% 2017年12月~2018年11月の期間に140例が登録され、白血球アフェレーシスを受けた。このうち128例がide-celの投与を受けた。150×106群が4例、300×106群が70例、450×106群は54例であった。全体の年齢中央値は61歳(範囲:33~78)、男性が76例(59%)で、診断からの経過期間中央値は6年(範囲:1~18)、前治療レジメン数中央値は6レジメン(範囲:3~16)だった。 フォローアップ期間中央値13.3ヵ月の時点で、73%(94/128例)でPR以上の奏効が得られ、このうち33%(42例)がCR以上で、最良部分奏効(VGPR)以上は52%(67例)であった。用量別の内訳は、全奏効割合は150×106群が50%(2/4例)、300×106群が69%(48/70例)、450×106群は81%(44/54例)であり、CR以上の割合はそれぞれ25%(1/4例)、29%(20/70例)、39%(21/54例)だった。 MRD陰性(有核細胞<10-5個)は128例中33例で得られ、陰性化の割合は26%であり、PR以上の42例では79%(33例)で陰性化が達成された。また、初回奏効までの期間中央値は1.0ヵ月(範囲:0.5~8.8)、CR以上達成までの期間中央値は2.8ヵ月(1.0~11.8)で、全体の奏効期間中央値は10.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.0~11.3)、450×106群では11.3ヵ月(10.3~11.4)であった。 全体のPFS期間中央値は8.8ヵ月(95%CI:5.6~11.6)であり、450×106群では12.1ヵ月(8.8~12.3)、CR以上では20.2ヵ月であった。また、OS期間中央値は19.4ヵ月(18.2~評価不能)で、1年OS率は78%だった。 頻度の高い毒性として、好中球減少が117例(91%)、貧血が89例(70%)、血小板減少が81例(63%)認められ、このうちGrade3/4はそれぞれ114例(89%)、77例(60%)、67例(52%)であった。サイトカイン放出症候群は107例(84%)で報告され、このうち7例(5%)でGrade3/4のイベントがみられた。神経毒性は23例(18%)で発現し、4例(3%)はGrade3であったが、Grade3を超える神経毒性はなかった。 また、細胞動態解析では、CAR陽性T細胞は、投与後6ヵ月の時点で49例中29例(59%)で、12ヵ月時には11例中4例(36%)で確認された。 著者は、「これらの知見は、CAR陽性T細胞の目標用量範囲150×106~450×106におけるide-celの実質的な抗腫瘍活性を支持するものであり、450×106は他の用量に比べ有効性がわずかに高かった」としている。

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造血器腫瘍遺伝子パネル検査を開発/大塚製薬・イルミナ

 大塚製薬と次世代シークエンサーの世界トップ企業であるIllumina,Inc.(以下、イルミナ社)は、造血器腫瘍を対象とするがん遺伝子パネル検査を体外診断用検査キットとして開発および商業化する契約を締結したと発表。 今回の契約締結により、大塚製薬は、同社が国内主要施設と共同研究を進めている日本で初めての造血器腫瘍を対象としたがん遺伝子パネル検査を、イルミナ社の医療機NextSeq 550Dxシステムで使用できる体外診断用検査キットとして開発する。本契約により、日本国内のほぼ全ての造血器腫瘍を対象とした「診断」、「治療法選択」、「予後予測」が加速されることが期待される。 ここ数年、固形がんを対象にした遺伝子パネル検査が医療機器として承認および保険適用されているが、血液がんを対象としたものはない。

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教育講演:ALアミロイドーシス【Oncologyインタビュー】第25回

出演:日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイド―シスセンター長 鈴木 憲史氏ALアミロドーシスは希少疾患であるが、内科領域に潜在的な患者は数多く存在する可能性がある。今後、治療大きく進化する同疾患を日本赤十字社医療センター鈴木憲史氏が解説する。

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ゾレドロン酸の顎骨壊死発生率とリスク因子/JAMA Oncol

 ゾレドロン酸は、骨転移のあるがん患者において骨修飾薬(BMA)として用いられている。米国の多施設共同前向き観察コホート試験(SWOG Cancer Research Network S0702)の結果、投与後累積3年の顎骨壊死の発生率は2.8%であることが明らかにされた。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。 試験は、BMA治療が限定的または治療歴がなく、試験登録から30日以内、ゾレドロン酸の使用などの治療計画があり、骨転移のあるがん患者を対象とした。ベースラインおよび6ヵ月ごとに提出された医学的、歯科学的および患者によるアウトカム報告に基づき、顎骨壊死(確立された基準で定義)の発生を3年間にわたり追跡評価した。 主要評価項目は、確認された顎骨壊死の累積発生率で、頭蓋領域への同時放射線療法が行われていない状態で8週間以上、顎領域に骨の露出領域が認められた場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。・SWOG S0702試験には、3,491例が登録された(女性1,806例[51.7%]、年齢中央値63.1歳)。1,120例が乳がん、580例が骨髄腫、702例が前立腺がん、666例が肺がん、423例がその他の悪性腫瘍であった。・ベースラインの歯科学的検査が行われたのは2,263例(64.8%)であった。・全体で、顎骨壊死の確定発生は90例であった。累積発生率は1年時0.8%(95%信頼区間[CI]:0.5~1.1)、2年時2.0%(1.5~2.5)、3年時2.8%(2.3~3.5)であった。・3年累積発生率は、骨髄腫の患者で最も高率だった(4.3%、95%CI:2.8~6.4)。・ゾレドロン酸の投与計画間隔が5週間未満だった患者は、5週間以上だった患者と比べて顎骨壊死の発生が有意に多かった(ハザード比[HR]:4.65、95%CI:1.46~14.81、p=0.009)。・顎骨壊死の発生率の高さは、歯の総数が少ないこと(HR:0.51、95%CI:0.31~0.83、p=0.006)、義歯(入れ歯)があること(1.83、1.10~3.03、p=0.02)、現在喫煙(2.12、1.12~4.02、p=0.02)と関連していた。

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教育講演:多発性骨髄腫【Oncologyインタビュー】第24回

出演:日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイド―シスセンター長 鈴木 憲史氏多発性骨髄腫の治療は進化し、生命予後は改善している。しかし、実地医家において十分に啓発が行われているとは言えない。同領域のスペシャリストである日本赤十字社医療センター鈴木憲史氏が、最近の多発性骨髄腫治療と今後の展望ついて紹介する。

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抗CD38抗体ダラツムマブ、全身性ALアミロイドーシスに国内承認申請/ヤンセン

 ヤンセンファーマは、2020年12月2日、ダラツムマブについて、「全身性ALアミロイドーシス」の適応取得を目的とした製造販売承認を申請したと発表。 全身性ALアミロイドーシスは国の指定難病で、2014年に実施された全国疫学調査による国内推定患者数は、3,200例とされている。異常形質細胞より産生されるアミロイド蛋白の沈着により多臓器障害を引き起こし、その臓器障害により生存率の低下や疾患の転帰に影響を及ぼす予後不良の疾患である。 全身性ALアミロイドーシスの治療は、その病態が多発性骨髄腫と類似しているため、自己造血幹細胞移植(ASCT) や悪性形質細胞を標的とする薬物療法(抗形質細胞療法)が実施されており、国内外のガイドラインで推奨されている。抗形質細胞療法の中でも、CyBorD(シクロホスファミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)療法は、多くの有効性、安全性について報告されている治療法の1つである。ダラツムマブは、多発性骨髄腫の適応が承認されているCD38を標的とするモノクローナル抗体である。 この申請は、2020年6月に開催された第25回欧州血液学会議(EHA)年次総会で発表された国際共同第III相試験(AMY3001、ANDROMEDA)試験に基づいている。同試験は、CyBorD療法に対するダラツムマブの上乗せ効果を検討し、未治療の全身性ALアミロイドーシス患者に対する有効性と忍容性が確認されている。

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高リスク多発性骨髄腫、バックボーンレジメンへのダラツムマブ追加/JAMA Oncol

 多発性骨髄腫(MM)バックボーンレジメンへのダラツムマブの追加投与は、細胞遺伝学的に定義された高リスクMM(HRMM)の治療においても有益なのか。米国・アラバマ大学のSmith Giri氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析の結果、新規診断または再発あるいは治療抵抗性のHRMM患者において、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示されたという。バックボーンMMレジメンへのダラツムマブの追加投与は、奏効率およびPFSを改善することは知られていた。JAMA Oncology誌オンライン版2020年9月24日号掲載の報告。 研究グループは、HRMM患者においてバックボーンMMレジメンへのダラツムマブ追加がPFSと関連するかを調べる目的で、システマティック・レビューとメタ解析を行った。MEDLINE、Embase、PubMed、Scopus、Web of Science Core Collection、Cochrane Library、臨床試験レジストリおよび学会ライブラリーを、創刊から2020年1月2日まで、「多発性骨髄腫」「ダラツムマブ」を反映する用語で検索した。 解析には、新規診断または再発あるいは治療抵抗性のMMにおいて、バックボーンMMレジメンと同一レジメン+ダラツムマブを比較していた第III相無作為化試験を包含した。介入群と対照群の唯一の違いはダラツムマブを使用していることで、アウトカムは細胞遺伝学的リスクによって報告されていた。高リスクMMの定義は、t(4;14)転座、t(14;16)転座、del(17p)転座の発現とした。 ガイドライン報告のための「システマティック・レビューおよびメタ解析のための優先的報告項目(PRISMA)」を用いて、2人の研究者が各々試験データを抽出した。意見が対立した場合は3人目の研究者の意見を取り入れ解決した。試験の質はCochraneバイアスリスク法によって評価した。 有効性のデータをPFSのハザード比(HR)を使用して抽出し、相対的log-HRをDerSimonian-Lairdランダム効果モデルを用いて統合評価した。不均一性はCochran QおよびI2統計量で評価した。 主な結果は以下のとおり。・5,194試験がスクリーニングされ、第III相の6試験が適格となり包含された。・3試験に新規診断MM患者2,528例(そのうちHRMM患者は358例)が、また3試験に再発または治療抵抗性MM患者1,533例(同じくHRMM患者222例)が含まれていた。・新規診断HRMM患者において、バックボーンレジメンへのダラツムマブ追加は、PFS改善と関連していた(統合HR:0.67、95%信頼区間[CI]:0.47~0.95、p=0.02)。不均一性のエビデンスはみられなかった(Cochran Qのp=0.77、I2=0%)。・同様の結果が、再発または治療抵抗性HRMM患者についてもみられた(統合HR:0.45、95%CI:0.30~0.67、p<0.001)。不均一性のエビデンスもみられなかった(Cochran Qのp=0.63、I2=0%)。

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多発性骨髄腫、selinexor上乗せでPFS改善/Lancet

 1~3ラインの前治療歴を有する多発性骨髄腫(MM)患者において、週1回のselinexor+ボルテゾミブ+デキサメタゾン3剤併用療法は、ボルテゾミブ+デキサメタゾン2剤併用療法と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することが示された。ポーランド・シレジア医科大学のSebastian Grosicki氏らが、21ヵ国123施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「BOSTON試験」の結果を報告した。selinexorはエクスポーチン1(XPO1)を阻害する経口投与可能な選択的核外輸送阻害薬で、デキサメタゾンとの併用により既治療のMM患者に対する有効性が示され、第Ib/II相試験ではボルテゾミブ+デキサメタゾンとの3剤併用療法により、ボルテゾミブの用量制限毒性である末梢神経障害の発現は低く、高い奏効率を得ていた。今回の結果を踏まえて著者は、「既治療MM患者において、有効で使いやすい新たな治療選択肢が示された」とまとめている。Lancet誌2020年11月14日号掲載の報告。1~3ラインの前治療歴ありMM患者、3剤併用(SVd)vs.2剤併用(Vd) 研究グループは、プロテアソーム阻害薬を含む1~3ラインの前治療歴のある18歳以上のMM患者を、selinexor(100mg週1回)+ボルテゾミブ(1.3mg/m2週1回)+デキサメタゾン(20mg週2回)3剤併用群(SVd群)、またはボルテゾミブ(1.3mg/m2を最初の24週間は週2回、その後は週1回)+デキサメタゾン(20mgを最初の24週間は週4回、その後は週2回)2剤併用群(Vd群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた(層別化因子:プロテアソーム阻害薬による治療歴の有無、治療ライン、MMのステージ)。 主要評価項目は、intention-to-treat集団におけるPFSであった。安全性については、治験薬を少なくとも1回投与された患者を解析対象集団に含んだ。PFSはSVd群13.93ヵ月、Vd群9.46ヵ月 457例がスクリーニングを受け、402例がSVd群(195例、49%)とVd群(207例、51%)に無作為に割り付けられ、2017年6月6日~2019年2月5日に初回投与が行われた。追跡調査期間中央値(四分位範囲)はSVd群13.2ヵ月(6.2~19.8)、Vd群16.5ヵ月(9.4~19.8)であった。 PFS期間中央値はSVd群13.93ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.73~評価不能)、Vd群9.46ヵ月(95%CI:8.11~10.78)であった(ハザード比[HR]:0.70、95%CI:0.53~0.93、p=0.0075)。 主なGrade3/4の有害事象は、血小板減少症(SVd群39% vs.Vd群17%)、疲労(13% vs.1%)、貧血(16% vs.10%)、肺炎(11% vs.11%)であった。Grade2以上の末梢神経障害は、SVd群(41例、21%)がVd群(70例、34%)より少なかった(オッズ比:0.50、95%CI:0.32~0.79、p=0.0013)。SVd群で47例(24%)、Vd群で62例(30%)が死亡した。 なお本試験は進行中で、2020年2月20日時点で55例が治療を継続中である。

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再発難治性多発性骨髄腫、ベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの成績(BELLINI)/Lancet Oncol

 再発難治性多発性骨髄腫に対するベネトクラクス+ボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(VBd療法)の、第III相多施設共同二重盲検無作為化試験「BELLINI試験」の結果が、米国・メイヨー・クリニックのShaji K. Kumar氏らにより論文発表された。VBd療法は、第I相試験で忍容性と安全性が確認され、臨床効果が示唆されていた。BELLINI試験は16ヵ国90病院で行われ、VBd療法はボルテゾミブ+デキサメタゾン療法(Bd療法)と比較して、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間を有意に改善することが示された。ただし、主に感染症の発現増加によりVBd療法において死亡の増加がみられ、著者は「VBd療法については患者を適切に選択することが重要である」とまとめている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年10月29日号掲載の報告。 BELLINI試験は、ECOG PSが2以下で1~3レジメンの治療歴がある18歳以上の再発難治性多発性骨髄腫患者を対象とし、被験者はVBd群またはプラセボ+Bd群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。ベネトクラクスは800mg/日、ボルテゾミブは1.3mg/m2、デキサメタゾンは20mgとし、最初の8サイクルは1サイクル21日、9サイクル以降は1サイクル35日として、病勢進行、許容できない毒性発現または患者の同意撤回まで投与を継続した。 主要評価項目は、ITT集団における独立評価委員会判定によるPFS。安全性については、治験薬を少なくとも1回投与された患者を解析対象集団に包含し評価した。 主な結果は以下のとおり。・2016年7月19日~2017年10月31日に、291例がVBd群(194例)またはBd群(97例)に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値18.7ヵ月において、主要評価項目のPFS中央値は、VBd群22.4ヵ月、Bd群11.5ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.44~0.90、p=0.010)。・主なGrade3以上の有害事象は、好中球減少(VBd群193例中35例[18%]vs.Bd群96例中7例[7%])、肺炎(30例[16%]vs.9例[9%])、血小板減少(28例[15%]vs.29例[30%])、貧血(28例[15%]vs.14例[15%])、下痢(28例[15%]vs.11例[11%])であった。・重篤な有害事象は、VBd群で93例(48%)、Bd群で48例(50%)に発現した。・治療下で発現した致死的感染症は、VBd群8例(4%)、Bd群0例であった。・VBd群の3例の死亡(肺炎2例、敗血症性ショック1例)は、治療との因果関係ありと判定された。Bd群で治療と関連のある死亡は報告されなかった。

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「ゾメタ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第18回

第18回 「ゾメタ」の名称の由来は?販売名ゾメタ点滴静注 4mg/100mLゾメタ点滴静注 4mg/5mL一般名(和名[命名法])ゾレドロン酸水和物(JAN)効能又は効果○悪性腫瘍による高カルシウム血症○多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変用法及び用量ゾメタ点滴静注 4mg/100mL<悪性腫瘍による高カルシウム血症> 通常、成人には1ボトル(ゾレドロン酸として4mg)を15分以上かけて点滴静脈内投与する。なお、再投与が必要な場合には、初回投与による反応を確認するために少なくとも1週間の投与間隔をおくこと。<多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変> 通常、成人には1ボトル(ゾレドロン酸として4mg)を15分以上かけて3~4週間間隔で点滴静脈内投与する。ゾメタ点滴静注 4mg/5mL<悪性腫瘍による高カルシウム血症> 通常、成人にはゾレドロン酸として4mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液(5%)100mLに希釈し、15分以上かけて点滴静脈内投与する。なお、再投与が必要な場合には、初回投与による反応を確認するために少なくとも1週間の投与間隔をおくこと。<多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変> 通常、成人にはゾレドロン酸として4mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液(5%)100mLに希釈し、15分以上かけて3~4週間間隔で点滴静脈内投与する。警告内容とその理由警告<効能共通>1.本剤は点滴静脈内注射のみに用いること。また、投与は必ず15分間以上かけて行うこと。5分間で点滴静脈内注射した外国の臨床試験で、急性腎障害が発現した例が報告されている。<悪性腫瘍による高カルシウム血症>2.高カルシウム血症による脱水症状を是正するため、輸液過量負荷による心機能への影響を留意しつつ十分な補液治療を行った上で投与すること。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分又は他のビスホスホネート系薬剤に対し、過敏症の既往歴のある患者2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性※本内容は2020年9月23日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年9月改訂(第14版)医薬品インタビューフォーム「ゾメタ®点滴静注4mg/100mL・ゾメタ®点滴静注4mg/5mL」2)ノバルティス ファーマ:DR's Net

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「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」6年ぶりの改訂

 『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版』が7月22日に発刊された。今回の改訂は2014年版が発刊されてから6年ぶりで、ヒドロモルフォン(商品名:ナルサスほか)、トラマドール塩酸塩の徐放性製剤(商品名:ワントラム)などの新規薬物の発売や新たなエビデンスの公表、ガイドライン(GL)の作成方法の変更などがきっかけとなった。本書の冒頭では日本緩和医療学会理事長の木澤 義之氏が、「分子標的薬ならびに免疫チェックポイント阻害薬をはじめとするがん薬物療法が目覚ましい発展を遂げていることなどを踏まえて改訂した」と述べている。 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版の主な改訂点については、8月9日~10日にWeb開催された「緩和・支持・心のケア 合同学術大会」での教育講演「『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)』の概要」でも発表され、馬渡 弘典氏(横浜南共済病院 緩和支持療法科)が解説した。がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインとして必要な情報に絞る まず、がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインの改訂版は作成方法の変更により計325ページから185ページへと大幅にボリュームダウン。大幅に絞られた臨床疑問は65項目から28項目に絞られ、Appendixには委員会で討論したが根拠が乏しく解説文に記載しなかったこと、現場の臨床疑問・現在までの研究と今後の検討課題が記載された。以前まで取り上げられていた「麻薬に関する法的・制度的知識」「がん疼痛マネジメントを改善するための組織的な取り組み」「薬物療法以外の痛み治療法(放射線療法、神経ブロック、骨セメント)」はがん疼痛の薬物療法に関するガイドラインの枠組みでは扱いづらくなったとのことで2020年版では割愛されたが、「大切な事項なので書籍などで確認を」と述べた。2020年版では突出痛の定義が近年の考えを加味して変更された 馬渡氏はがん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版を作成する際に生じたエビデンスと推奨のギャップについて解説した上で、疼痛強度に応じた鎮痛薬の使用方法を説明した。まず、中等~高度のがん疼痛についてはCQ3~7*を示し、「中等~高度の疼痛がある患者に対して、強オピオイド間の優劣については今回のシステマティックレビューでは認められなかったため、本ガイドラインではどの薬剤を選択しても良いと結論付けられている」と説明。CQ6(がん疼痛のある患者に対して、フェンタニルの投与は推奨されるか?)については、今年6月末にフェンタニルの貼付剤(商品名:フェントステープ)がオピオイド鎮痛剤未使用のがん疼痛患者へ適応となったことにも触れた。また、それ以前に決定稿になったことを断ったうえで、フェンタニルによる初回投与は、『投与後に傾眠、呼吸抑制の重篤な有害作用の有無を継続して観察出来るとき』の条件付き推奨となったことを述べた。さらに、「添付文書にも 増量時の注意事項が書かれているので、注意して経過観察してほしい」と述べた。*CQ3~7は、「がん疼痛のある患者に対して、各薬剤(モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドン、フェンタニル、タペンタドール)の投与は推奨されるか?」について記載。 次に、2018年のWHOのガイドライン改訂で、3段階ラダーの表現が本文から付録に相当するANNEXに移ったが、がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版でも中等度のがん疼痛では「強い推奨が弱オピオイドから強オピオイドに変更された」点について説明。CQ8(がん疼痛のある患者に対して、コデインの投与は推奨されるか?)やCQ9(がん疼痛のある患者に対して、トラマドールの投与は推奨されるか?)、CQ23(がん疼痛のある患者に対して、初回投与のオピオイドは、強オピオイドと弱オピオイドのどちらが推奨されるか?)の内容に反映されている。 突出痛については、「突出痛の定義は国際的に決まったものはないが、『持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強』から『定期的に投与されている鎮痛薬で持続痛が良好にコントロールされている場合に生じる、短時間で悪化し自然消失する一過性の痛み』へと、近年の考えを加味して変更された」と解説した。また、がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインにおける突出痛に投与するオピオイドの薬剤の用語の統一についても触れ、総称区分を以下のように示した。●速放性製剤:経口モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドンなど●経粘膜性フェンタニル:フェンタニル口腔粘膜吸収製剤●レスキュー薬:突出痛に投与するオピオイドの経口薬、注射剤、坐剤すべてがん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版の変更点 このほか、がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版の変更点として、腎機能低下時の投与や便秘時について解説。CQ17(オピオイドが原因で、便秘のあるがん患者に対して、下剤、その他の便秘治療薬の投与は推奨されるか?)やCQ22(がん疼痛のある、高度の腎機能障害患者に対して、特定のオピオイドの投与は推奨されるか?)を示し、「高度の腎機能障害患者にフェンタニルやブプレノルフィンの“注射剤”を推奨していること。コデイン、モルヒネを投与する場合は短期間で少量から投与すること。軽度から中等度の腎障害では減量すればどのオピオイドも投与可能。ただし、ブプレノルフィンは高度の腎機能障害がある時や、ほかの強オピオイドが投与できない時に限定する」と述べた。<今回からがん疼痛の薬物療法に関するガイドラインに追加された主な新規薬剤>・ヒドロモルフォン(商品名:ナルサス、ナルラピド、ナルペイン)・オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠(同:オキシコンチンTR錠)[オキシコンチン錠の販売中止に伴う]・トラマドール塩酸塩(同:トラマールOD錠、ワントラム)とアセトアミノフェン配合剤(同:トラムセット)[カプセル剤の販売中止に伴う]・ミロガバリン(同:タリージェ)・ナルデメジン(同:スインプロイク)とその他の便秘治療薬(ポリエチレングリコール製剤、リナクロチド[同:リンゼス]、エロピキシバット[同:グーフィス])<がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインから削除された主な薬剤>・モルヒネ製剤の一部(同:カディアン、ピーガード)・エプタゾシン(同:セダペイン)、ジヒドロコデインリン酸塩(同:リン酸ジヒドロコデイン)、ペチジン塩酸塩(同:ペチジン塩酸塩「タケダ」) 今後の予定として、同氏は2020年版のガイドライン作成過程で用いた各種のテンプレートを掲載した詳細資料を作成し、『本ガイドライン作成の経過やより詳細な内容を知りたい読者がインターネット上で閲覧できるようにする』『CQ、ステートメントを英文化し、国際紙に掲載する』などを掲げた。また日本緩和医療学会より一般市民向けに2017年に出版されている「患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド 増補版」も改訂が必要とされれば速やかに改訂を行うこととすると述べ、「教科書などとうまく使い分けて役立ててもらえれば」と締めくくった。

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再発・難治性多発性骨髄腫、KdD療法でPFS改善/Lancet

 再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療において、プロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブ+デキサメタゾン+抗CD38モノクローナル抗体製剤ダラツムマブ(KdD)による3剤併用療法は、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)に比べ、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、ベネフィット・リスクのプロファイルも良好であることが、ギリシャ・アテネ大学のMeletios Dimopoulos氏らが実施した「CANDOR試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年7月18日号に掲載された。新規に診断された多発性骨髄腫の治療では、レナリドミド+ボルテゾミブにより生存期間が改善されているが、多くの患者は病勢の進行または毒性により治療中止に至るため、再発・難治性多発性骨髄腫における新たな治療法の必要性が高まっている。カルフィルゾミブ+ダラツムマブは、第I相試験(MMY1001試験)において再発・難治性多発性骨髄腫に対する実質的な有効性と忍容可能な安全性が報告されている。ダラツムマブ併用の有用性を評価する無作為化第III相試験 研究グループは、再発・難治性多発性骨髄腫の治療におけるKdDとKdの有効性と安全性を比較する目的で、非盲検無作為化第III相試験を行った(Amgenの助成による)。 対象は、北米、欧州、オーストラリア、アジアの102施設から登録された1~3レジメンの前治療を受けた再発・難治性多発性骨髄腫患者であった。被験者は、KdDまたはKdによる治療を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、intention to treat集団におけるPFSであった。1年後のCRかつMRD陰性の割合:13% vs.1% 2017年6月13日~2018年6月25日の期間に466例が登録され、KdD群に312例(年齢中央値64.0歳、女性43%)、Kd群には154例(64.5歳、41%)が割り付けられた。前治療ライン数中央値は両群とも2.0で、2ライン以上の患者の割合は両群とも54%であった。KdD群で、造血幹細胞移植歴(63% vs.49%)のある患者が多く、75歳以上(9% vs.14%)の患者が少なかった。 全体の42%がレナリドミドを含むレジメン、90%はボルテゾミブを含むレジメンの投与歴があり、33%がレナリドミド抵抗性、29%はボルテゾミブ抵抗性だった。 フォローアップ期間中央値が約17ヵ月の時点でのPFS期間中央値は、KdD群が未到達、Kd群は15.8ヵ月であり、KdD群で有意に延長していた(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.46~0.85、p=0.0027)。18ヵ月PFS率は、KdD群が62%、Kd群は43%だった。事前に規定されたすべてのサブグループで一貫して、KdD群においてPFSのベネフィットが認められた。 全奏効割合は、KdD群が84%と、Kd群の75%に比べ有意に高く(オッズ比[OR]:1.925、95%CI:1.2~3.1、p=0.0080)、非常によい部分奏効(VGPR)以上の達成割合はそれぞれ69%および49%であり、完全奏効(CR)の達成割合は29%および10%であった。また、12ヵ月時の微小残存病変(MRD)陰性割合は、KdD群が18%、Kd群は4%であり(5.8、2.4~14.0、p<0.0001)、12ヵ月時のCR+MRD陰性の割合は、それぞれ13%および1%(11.3、2.7~47.5、p<0.0001)だった。 全生存(OS)期間中央値は、両群とも未到達であり、18ヵ月OS率は、KdD群が80%、Kd群は74%だった。治療期間中央値は、KdD群が70.1週と、Kd群の40.3週に比べ長かった。 Grade3以上の有害事象は、KdD群が82%、Kd群は74%で発現し、重篤な有害事象はそれぞれ56%および46%にみられた。全Gradeの有害事象で、KdD群で頻度の高いものとして、血小板減少症(37% vs.29%)、下痢(31% vs.14%)、上気道感染症(29% vs.23%)、疲労感(24% vs.18%)が認められた。 Grade3以上の注目すべき有害事象として、気道感染症(KdD群29% vs.Kd群16%)、心不全(4% vs.8%)、急性腎不全(3% vs.7%)、虚血性心疾患(3% vs.3%)、ウイルス感染症(6% vs.2%)などが認められた。治療中止の原因となった有害事象は、KdD群が22%、Kd群は25%にみられた。 著者は、「カルフィルゾミブ+デキサメタゾン+ダラツムマブによる3剤併用療法は、レナリドミド曝露歴のある患者やレナリドミド抵抗性の患者を含め、再発・難治性多発性骨髄腫の治療における有効かつ忍容可能な新たな治療選択肢として検討を進める必要がある」としている。

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多発性骨髄腫、3剤併用療法の長期アウトカムは?/JCO

 多発性骨髄腫に対する3剤併用(レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン:RVD)療法の有効性について、最大規模のコホートで長期追跡したアウトカムの結果が報告された。米国・エモリー大学のNisha S. Joseph氏らによる検討で、移植後患者の奏効率は90%近くに上り、リスクに留意した維持療法により、先例のない長期アウトカムがもたらされる可能性があることが示されたという。RVD療法は、移植治療の適格・不適格を問わず、導入療法としての有効性は高く、重宝するレジメンであることが示されていた。Journal of Clinical Oncology誌2020年6月10日号掲載の報告。 研究グループは、2007年1月~2016年8月にRVD導入療法を受けた、新規に診断された多発性骨髄腫の連続患者1,000例について検討した。 施設内倫理委員会が承認した多発性骨髄腫のデータベースから、被験者の人口統計学的および臨床的特性とアウトカムデータを入手。International Myeloma Working Group Uniform Response Criteriaに準じて奏効率と病勢進行を評価した。 主な結果は以下のとおり。・全奏効率(ORR)は、導入療法後97.1%、移植後98.5%であった。・移植後患者において、追跡期間中央値67ヵ月時点で、最良部分奏効(VGPR)または良好(better)の達成割合は89.9%であり、厳格完全奏効(sCR)の達成割合は33.3%であった。・無増悪生存(PFS)期間の推定中央値は、全集団で65ヵ月(95%信頼区間[CI]:58.7~71.3)、高リスク集団で40.3ヵ月(同:33.5~47)、標準リスク集団で76.5ヵ月(同:66.9~86.2)であった。・全生存(OS)期間の推定中央値は、全集団で126.6ヵ月(95%CI:113.3~139.8)、高リスク集団で78.2ヵ月(同:62.2~94.2)、標準リスク集団では未達成であった。・5年OS率は、高リスク集団57%、標準リスク集団81%であり、10年OS率はそれぞれ29%、58%であった。

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イサツキシマブ、再発・難治の骨髄腫に国内承認/サノフィ

 サノフィは、2020年6月29日、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)が「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能又は効果で製造販売承認を取得したと発表。  CD38は多発性骨髄腫細胞に幅広くかつ高発現しており、イサツキシマブは、多発性骨髄腫細胞のCD38受容体にある特異的なエピトープを標的とする新規のモノクローナル抗体製剤である。 今回の承認は、イサツキシマブをポマリドミド・デキサメタゾン併用療法に追加する無作為化第III相試験(ICARIA-MM試験)のデータに基づいており、この試験では、イサツキシマブ併用群において無増悪生存期間の統計学的に有意な改善が認められた。本国際共同治験には、日本も参加している。

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