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厚生労働省は、2026年1月14日に「2016年全国がん登録生存率報告」の結果を公開した。この「全国がん登録」は、すべての病院と都道府県が指定する診療所に対し、がん患者の情報の登録を義務付けた制度であり、2016年から登録が開始され、今回、初めて5年生存率が公表された。【調査概要】目的:全国がん登録によりがん医療の質向上、がんの予防推進、情報提供の充実およびそのほかのがん対策を科学的知見に基づき実施するため、がんの罹患、治療、転帰などの状況を把握し、分析する。調査期間:2016年1月1日~2021年12月31日対象:わが国で診断された日本人および外国人方法:病院などの管理者は、届出対象となっているがんの診断または治療をした場合に届出票を作成し、都道府県知事を介して厚生労働大臣に提出。集計は国立がん研究センターが実施。男性と女性で生存率の部位に差【5年純生存率】 思春期・若年成人(AYA)・成人(15歳以上)の2016年診断の5年純生存率は、胃がんで64.0%、大腸がん(直腸・結腸がん)で67.8%、肝および肝内胆管がんで33.4%、肺がんで37.7%、女性乳房のがんで88.0%、子宮がんで75.5%、前立腺がんで92.1%だった。 国際比較用の年齢調整5年純生存率では、胃がんで67.3%、大腸がん(直腸・結腸がん)で70.2%、肝および肝内胆管がんで37.5%、肺がんで43.3%、女性乳房のがんで86.8%、子宮がんで69.8%、前立腺がんで93.2%だった。 小児では、全分類で82.4%であり、網膜芽腫が97.6%、リンパ腫・リンパ網内系腫瘍が95.7%と高い純生存率を示している一方で、中枢神経系、そのほか頭蓋内、脊髄腫瘍は60.8%と低く、分類によって大きな差が見られた。 2016年の部位別5年純生存率では、男性で5年純生存率が比較的高い(70~100%)部位は、前立腺、甲状腺、皮膚、乳房、喉頭だった。その一方で、生存率が比較的低い(0~29%)部位は、胆のう・胆管、膵臓だった。女性で5年純生存率が比較的高い部位(70~100%)は、甲状腺、皮膚、乳房、子宮体部、喉頭、子宮頸部だった。生存率が比較的低い(0~29%)部位は、男性同様、胆のう・胆管、膵臓だった。【進展度別年齢調整5年純生存率】 進展度別の5年純生存率では、限局と診断されたがんでは、胃がんで90.8%、大腸がん(直腸・結腸がん)で91.6%、肝および肝内胆管がんで51.1%、肺がんで77.4%、女性乳房のがんで98.4%、子宮がんで93.9%、前立腺がんで105.3%となっていた。その一方で、遠隔転移まで進行すると、胃がんで6.0%、大腸がん(直腸・結腸がん)で17.0%、肝および肝内胆管がんで2.5%、肺がんで9.4%、女性乳房のがんで40.1%、子宮がんで21.0%、前立腺がんで53.0%だった。【年齢階級別5年純生存率】 AYA・成人(15歳以上)について、性別・年齢階級別5年純生存率の最大値と最小値の差で見ると、多くの部位で年齢階級を追うごとに生存率は低くなっていたが、前立腺がんでは若年の生存率のほうが低く、皮膚がんでは全年齢階級でほとんど生存率が変わらなかった。 男性では結腸がん、乳房のがん、食道がんおよび前立腺がん、女性では乳房のがん、結腸がんでも年齢階級による生存率の差は小さかった。その一方で、男性では白血病、脳・中枢神経系、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫、女性では卵巣、白血病、脳・中枢神経系で差が大きかった。年齢階級による生存率の差は、多くの部位で、男性に比べて女性のほうが大きかった。【罹患数、登録精度、生存率集計対象数】 罹患数、登録精度、生存率集計対象者数について、罹患数の総計は115万3,828例だった。そのうち、死亡情報のみの登録(DCO)が3万1,897例で全体の2.8%、悪性腫瘍以外13万2,492例(11.5%)、診断時年齢不詳および100歳以上1,512例(0.1%)、性別不詳9例(0.0%)を除外して集計対象とした。これらの除外基準は、症例によっては重複して当てはまるものがある。 この結果、生存率集計対象は98万8,985例(本集計時点での上皮内がんなどを含む2016年の罹患数の85.7%)だった。このうち小児の対象者は2,148例だった。【診断から5年後の予後状況】 診断から5年の予後について、全国では52.8%の患者が5年後に生存しており、最も高い55.2%から最も低い49.2%まで、ばらつきの範囲は6ポイントだった。