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新しい骨粗鬆症治療薬として期待されるdenosumab:FREEDOM

 骨粗鬆症の治療に有用ではないかと期待されているdenosumabは、破骨細胞の形成、作用に不可欠なサイトカインであるRANKL(receptor activator of nuclear factor-κB ligand)に作用し、骨吸収を抑制し骨密度を増加する完全ヒトモノクローナル抗体である。骨粗鬆症、がんの骨転移、関節リウマチによる関節破壊などさまざまな骨代謝異常の治療・予防を目的に開発が行われている。本論は、FREEDOMと呼ばれる国際間無作為プラセボ試験からの報告。NEJM誌2009年8月20日号(オンライン版2009年8月11日号発表)にて掲載された。骨密度-2.5未満の60~90歳女性7,868例をdenosumab 60mg群とプラセボ群に無作為化 REEDOM試験(Fracture Reduction Evaluation of Denosumab in Osteoporosis Every 6 Months)は、60~90歳の女性で腰椎または股関節の骨密度Tスコアが、-2.5未満(-4.0まで)の7,868例が参加し行われた。 被験者は無作為に、denosumab 60mg群とプラセボ群に割り付けられ、皮下投与が6ヵ月毎に36ヵ月間行われた。 主要エンドポイントは、X線上の新規の椎体骨折。副次エンドポイントは、非椎体および股関節の骨折とされた。新規の椎体骨折リスク68%低いなど骨折リスクが低減 プラセボ群と比べてdenosumab群は、新規の椎体骨折リスク発生が相対的に68%低かった。累積発生率は、プラセボ群7.2%に対しdenosumab群2.3%で、リスク比は0.32(95%信頼区間:0.26~0.41、P<0.001)。 股関節骨折もdenosumab群のほうが、相対的に40%低かった。累積発生率は、プラセボ群1.2%に対しdenosumab群0.7%で、ハザード比は0.60(同:0.37~0.97、P=0.04)。 非椎体骨折もdenosumab群のほうが、相対的に20%低かった。累積発生率は、プラセボ群8.0%に対しdenosumab群6.5%で、ハザード比は0.80(同:0.67~0.95、P=0.01)。 がん、感染症、心血管疾患、治癒の遅れ、低カルシウム血症のリスク増加は認められず、顎骨壊死例やdenosumabの投与有害反応はなかった。

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骨粗鬆症椎体骨折への椎体形成術、有益な効果が認められず

モナッシュ大学(オーストラリア)臨床疫学部門のRachelle Buchbinder氏らは、有痛性の骨粗鬆症椎体骨折における、PMMA(polymethylmethacrylate)経皮注入による椎体形成術に関する無作為化試験を行った。同治療は一般的になっているが、その施行を支持する十分なエビデンスはない。NEJM誌2009年8月6日号掲載より。多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験試験は多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験で行われた。本試験は追跡期間2年を設定し、被験者登録は2004年4月~2008年10月末まで行われた。被験者は、12ヵ月未満に1あるいは2椎体の有痛性骨粗鬆症骨折を起こし治癒しておらず、MRIにて確認された患者で、椎体形成術を受ける群と偽処置を受ける群に割り付けられた。評価は、対象患者を、治療施設、性別、疼痛持続期間(6週未満か6週以上)で層別化し、術後1週、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月時点の結果が評価された。主要転帰は、3ヵ月時点での、全般的な疼痛度(スケール:0~10、10が考えられる最大疼痛)とした。登録被験者は78例(椎体形成術群:38例、偽処置群:40例)、うち71例(91%、同:35例、36例)が6ヵ月間の追跡調査を完了した。術後1週、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月時点、いずれにおいても優位性認められず椎体形成術群は、いずれの評価時点でも、アウトカムに優位性は認められなかった。両群とも、評価時点を追うごとに、全体的な疼痛度は有意に低下していた。3ヵ月時点での疼痛スコアは平均(±SD)、椎体形成術群群で2.6(±2.9)、偽処置群で1.9(±3.3)、それぞれ低下していた。補正後の群間差は、0.6(95%信頼区間:-0.7~1.8)。同様の改善効果が、夜間疼痛、安静時疼痛、身体機能、QOLに関して認められた。なお、6ヵ月の追跡期間中に椎体骨折7例(椎体形成術群3例、偽処置群4例)が発生した。Buchbinder氏は、「偽処置と比べて、いずれの評価時点でも、椎体形成術の有益な効果を見いだせなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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味の素、P&Gから骨粗鬆症治療剤リセドロネート事業に関する特許・商標など取得

味の素株式会社(以下味の素(株))は、7月31日、The The Procter & Gamble社およびProcter &Gamble Pharmaceuticals社(本社:アメリカ、以下あわせてP&G社)より、日本における骨粗鬆症治療剤リセドロネート(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)事業に関する特許、商標等の資産を、総額210百万USドル(消費税込み:約210億円)で譲り受ける契約を締結したと発表した。味の素(株)は、同契約の締結により、これまでライセンス製品であった日本におけるリセドロネート事業の研究開発、製造および販売の権利をP&G社から取得する。セドロン酸ナトリウム水和物は、P&G社が開発したビスフォスフォネート系製剤。日本では、骨粗鬆症の効能・効果で、2002年5月に1日1回2.5mg投与製剤、2007年6月に週1回の投与で1日1回の投与と変わらない効果が得られる週1回17.5mg投与製剤の販売を開始している。また、週1回17.5mg投与製剤については、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けて、骨ページェット病に対する開発を行い、2008年7月に効能追加承認も取得。同製剤は世界の約100カ国で広く使用されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.ajinomoto.co.jp/press/2009_07_31.html

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高血圧予防には、リスクを低下する6つの生活習慣を:女性

米国ハーバード医科大学/ブリガム&ウィメンズ病院腎臓病部門のJohn P. Forman氏らは、女性における、高血圧症発症と食事・生活習慣との関連を評価した。高血圧は、女性において重要な、死が予防可能なリスク因子である。しかし高血圧症発症のための改善可能なリスク因子が特定される一方で、それらリスク因子の組み合わせや配分に関しては評価が行われていなかった。JAMA誌2009年7月22・29日合併号より。27~44歳女性83,882例の6つの生活習慣と高血圧発症との関連を評価Forman氏らは、第2次「Nurses’Health Study」の参加者で、1991年時点で高血圧、心血管疾患、糖尿病、がんの病歴がなく、正常血圧(収縮期血圧120mmHg、拡張期血圧80mmHgと定義)だった27~44歳83,882例を対象に前向きコホート研究を行った。追跡期間は2005年までの14年間。高血圧に関する6つの改善可能な(高血圧リスクを低下する)生活習慣を定め、それら生活習慣の組み合わせと高血圧発症との関連を調べた。リスクを低下する生活習慣とは、(1)BMI:25未満、(2)毎日平均30分の運動、(3)ダイエット食(DASH:Dietary Approaches to Stop Hypertension)の高摂取、(4)適度(10g/日)な飲酒、(5)週1回未満の非麻薬性鎮痛薬の服用、(6)葉酸サプリ(400μg/日以上)の服用で、3つ〔(1)~(3)〕、4つ〔(1)~(4)〕、5つ〔(1)~(5)〕、6つ〔(1)~(6)〕の各組み合わせと高血圧発症との関連が検討された。主要評価項目は、自己申告に基づく高血圧発症の補正ハザード比、および母集団寄与率(PARs)。高血圧症の報告は、合計12,319例だった。追跡期間における、全6つの改善可能なリスク低下因子(生活習慣)は、高血圧症発症のリスクと独立して相関していた。年齢、人種、高血圧症の既往歴、喫煙状態、経口避妊薬服用で補正後も変わらなかった。最も強力な予測因子はBMI全6つのリスク低下因子を有していた女性(母集団の0.3%)の、高血圧症発症のハザード比は、0.22(95%信頼区間:0.10~0.51)だった。推定PARは、78%(同:49%~90%)。これは、もし全女性が6つのリスク低下因子を実行していていた場合、高血圧症の新規発症が回避される人は、推定78%に上ることを示す。発症率の絶対差(ARD)は、1,000人・年当たり8.37例であった。5つのリスク低下因子を有している女性(母集団の0.8%)のPARは、72%(95%信頼区間:57%~82%)、ARDは1,000人・年当たり7.76例だった。4つのリスク低下因子を有している女性(母集団の1.6%)のPARは、58%(同:46%~67%)、ARDは1,000人・年当たり6.28例だった。3つのリスク低下因子を有している女性(母集団の3.1%)のPARは、53%(同:45%~60%)、ARDは1,000人・年当たり6.02例だった。高血圧症の最も強力な予測因子はBMIで、BMIが25以上だった人の補正後PARは25未満の人との比較で40%(同:38%~41%)だった。Forman氏は「リスクを低下する生活習慣は、高血圧症の低下と有意に関連していた。これら習慣を取り入れることは、若い女性の高血圧の新規発症を、相当数予防できることにつながるだろう」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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「テリパラチド」がグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症治療薬として適応追加承認取得

 イーライリリー・アンド・カンパニーは7月23日(現地時間)、米食品医薬品局(FDA)がテリパラチド(一般名。米国での販売名:Forteo [遺伝子組み換え、注射剤])の追加適応症を承認したと発表した。新しい適応は、「骨折リスクの高い男女における継続的全身グルココルチコイド(ステロイド)療法に関連する骨粗鬆症の治療」。グルココルチコイド(ステロイド)療法は、続発性骨粗鬆症の最も多い原因であり、骨量の減少と骨折リスク上昇を引き起こすという。 グルココルチコイド(ステロイド)誘発性骨粗鬆症(GIO: glucocorticoid-induced osteoporosis)は、関節リウマチや閉塞性肺疾患などの炎症性疾患に対して処方されるグルココルチコイド(ステロイド)剤の長期的使用が関与して起こる。データによれば、50歳以上の成人100名のうち3名までがグルココルチコイド(ステロイド)剤を使用。長期的にグルココルチコイド(ステロイド)療法を受けている患者のうち約50%は骨粗鬆症による骨折を起こす可能性があり、グルココルチコイド(ステロイド)剤を使用すると骨形成が低下する恐れがあるとのこと。テリパラチドは、骨形成を促進することによって、これに対抗することが示されているという。 FDAによる今回の新適応症の審査過程で、同社は「グルココルチコイド(ステロイド)誘発性骨粗鬆症の患者において、テリパラチドが腰椎骨密度(BMD)をベースラインから18カ月で7.2%上昇。大腿骨近位部では3.6%、大腿骨頸部では3.7%の上昇だった」とする臨床試験のデータを提出したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2009_19.cfm

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アリミデックス、閉経後乳がん術後療法の長期投与による骨折は増加傾向を示さず

アストラゼネカ株式会社は13日、閉経後乳がん術後療法におけるアリミデックスの骨折に関する国内レトロスペクティブ調査より、アリミデックスの長期投与によって骨折が増加する傾向は見られなかったと発表した。この調査報告は3日に東京で開催された第17回日本乳癌(がん)学会学術総会にて発表された。同剤は、ホルモン感受性閉経後乳がん患者に対する術後療法の標準治療薬と位置付けられている薬剤で、日本においては使用成績調査結果から安全性・有効性が確立しているという。一方、同剤を含むアロマターゼ阻害剤(AI剤)はその薬理作用により投与後、骨粗鬆症や骨折が発現しやすいと考えられていて、平成19年3月、AI剤共通の注意喚起として、骨密度など骨状態を定期的に観察することが望ましいと添付文書に追記されたとのこと。今回の同剤の骨折に関する国内レトロスペクティブ調査は、同社が同剤の骨への影響を明らかにすること、また日常診療下における骨密度の定期的な観察の実態を把握し、適正使用に関する情報を得ることを目的に実施。 同剤の使用成績調査に登録された術後療法の患者2,416名を対象とし、使用成績調査で収集されたデータと本調査で新たに収集されたデータをあわせて解析した結果、以下が明らかになった。●全体の骨折率は1.13%/年(95%CI 0.90-1.41%/年)で、投与期間と骨折率に関連は認められなかった。●年齢と関節炎、関節痛の既往が骨折の増加に寄与していた。   ・年齢:75歳以上 vs 75歳未満 HR2.99 p

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骨粗鬆症治療剤リカルボンとボノテオが新発売

小野薬品工業株式会社とアステラス製薬株式会社は、両社が国内共同開発し、1月21日付で製造販売承認を取得した骨粗鬆症治療剤を、それぞれ「リカルボン錠1mg(小野薬品)」「ボノテオ錠1mg(アステラス製薬)」(一般名:ミノドロン酸水和物)の名で、4月7日に国内で新発売した。ミノドロン酸水和物は、日本で初めて創薬された経口ビスホスホネート系骨粗鬆症治療剤であり、同系統の薬剤の中でも極めて強力な骨吸収抑制作用を有する。また、同剤は、第III相臨床試験(二重盲検比較試験)において、日本人骨粗鬆症患者におけるプラセボ(偽薬)に対する骨折抑制効果の優越性を検証できた初めての薬剤である。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-42.html

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日本初のエストロゲンと黄体ホルモンの配合剤ウェ-ルナラ配合錠が発売

バイエル薬品株式会社は17日、エストロゲンと黄体ホルモンの配合剤として日本初となる閉経後骨粗鬆症治療薬「ウェールナラ配合錠」を発売した。ウェールナラ配合錠は、天然型エストロゲンである 17β-エストラジオール 1mg と、黄体ホルモンであるレボノルゲストレル 0.04mg を主成分とする経口配合剤で、2008年10月に厚生労働省より製造販売承認を得ている。閉経後骨粗鬆症は、閉経に伴うエストロゲンの欠乏に基づく骨吸収亢進が原因で骨量減少をきたすとされており、この治療にはエストロゲンの補充が有効であることが知られているが、子宮を有する女性にエストロゲンを単独で長期投与する場合、子宮内膜肥厚・過形成のリスクをもたらすことから、子宮内膜保護を目的とし、黄体ホルモン製剤を併用することが一般的とされている。ウェールナラ配合錠は、1剤でエストロゲンの補充と子宮内膜保護という2つの効果を示すことから、服薬コンプライアンスの向上が期待できる製剤として開発された。自然閉経または両側卵巣摘出に伴う骨粗鬆症患者 309名を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検試験では、1年間(52週間)の腰椎骨密度が約8%、2年間(104週)で約10%増加し、対照としたプラセボでは骨密度の増加は認められなかったという。副作用は57.9%に認められ、主なものとしては乳房不快感(23.6%)、乳房痛(10.0%)、性器分泌物(9.7%)であったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-02-17.html

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高齢者の軽度骨粗鬆症性骨折後、長期死亡リスクは増大

高齢者の軽度骨粗鬆症性骨折の後、5~10年後の死亡リスクは増大することが、オーストラリアSt Vincent’s HospitalのDana Bliuc氏らによって明らかになった。骨折5年以内の標準化死亡比は、約1.4~3.5に上るという。また再度骨折は、5年間の死亡リスクのさらなる増大につながることも報告された。これまで、骨粗鬆症性骨折後の長期死亡率については、あまりデータが発表されていなかった。JAMA誌2009年2月4日号より。股関節骨折後の標準化死亡率は2.43~3.51Bliuc氏らは、オーストラリアDubbo地域に住む60歳以上高齢者について、1989年から前向き疫学調査を行った。そのうち、1989~2007年の間に骨折をした60歳以上高齢者について、詳しく調べ、死亡率を比較した。調査期間中、軽度の骨粗鬆症性骨折を発症したのは、女性が952人、男性が343人だった。そのうち、女性の461人、男性の197人が死亡した。年齢補正後の標準化死亡率は、股関節骨折後の女性が2.43(95%信頼区間:2.02~2.93)、男性が3.51(同:2.65~4.66)で、脊椎骨折の女性が1.82(同:1.52~2.17)、男性が2.12(同:1.66~2.72)だった。骨盤や遠位大腿骨などの重度骨折後の標準化死亡率は、女性が1.65(同:1.31~2.08)で男性が1.70(同:1.23~2.36)、軽度骨折後の同率は女性が1.42(同:1.19~1.70)で男性が1.33(同:0.99~1.80)だった。骨折をしなかった人に比べ、骨折後5年以内の死亡率はすべての骨折で高く、また股関節骨折については骨折後10年間の死亡率も高かった。骨折による死亡率の増加分について見てみると、女性では1.3~13.2/百人・年、男性では2.7~22.3/百人・年だった。再度骨折は死亡リスクをさらに増大また、再度の骨折は死亡リスクの増大につながり、同ハザード比は女性で1.91、男性では2.99だった。骨折5年後の標準化死亡率は、再度骨折のあった人では女性が2.21、男性が3.53と、一度だけ骨折した人の同女性1.41や1.82に比べて高かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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骨粗鬆症治療剤リカルボンとボノテオに製造販売承認

小野薬品工業株式会社とアステラス製薬株式会社は21日、両社が国内共同開発し、2006年7月に承認申請していた骨粗鬆症治療剤「リカルボン錠1mg(小野薬品)/ボノテオ錠1mg(アステラス製薬)」(一般名:ミノドロン酸水和物)について、同日付で製造販売承認を取得したと発表した。ミノドロン酸水和物は、日本で初めて創製された経口ビスホスホネート系骨粗鬆症治療剤であり、同系統の薬剤の中でも極めて強力な骨吸収抑制作用を有する。同剤は、第III相臨床試験(二重盲検比較試験)において、日本人骨粗鬆症患者でのプラセボ(偽薬)に対する骨折抑制効果の優越性を検証できた初めての薬剤であり、小野薬品工業からは「リカルボン」、アステラス製薬からは「ボノテオ」の製品名で、それぞれ販売される。 詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-39.html

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eldecalcitolが骨粗鬆症の新たな椎体骨折の発生を抑制することを確認

中外製薬株式会社と大正製薬株式会社は16日、両社が骨粗鬆症を予定適応症として共同開発中の活性型ビタミンD3誘導体(一般名:eldecalcitol、中外製薬開発コード「ED-71」、大正製薬開発コード「CT-081」)の無作為化二重盲検群間比較試験において、骨粗鬆症患者の新たな椎体骨折の発生頻度を有意に抑制する結果が得られたと発表した。この結果の詳細は、論文および学会等で発表する予定だという。eldecalcitolは中外製薬が創製した活性型ビタミンD3誘導体で、国内で広く骨粗鬆症治療薬として使用されている活性型ビタミンD3製剤の骨に対する作用を高めた薬剤。2004年より開始した第III相臨床試験は、骨粗鬆症患者を対象としてeldecalcitolの有効性および安全性を、アルファカルシドールを対照薬とした無作為化二重盲検群間比較試験にて検討したもので、1,087名の患者を無作為にeldecalcitolもしくはアルファカルシドールを1日1回経口投与する群に割り付け、3年間での新たな椎体骨折の発生頻度を観察したもの。その結果、eldecalcitolを投与した患者さんでは、対照薬のアルファカルシドールを投与した患者さんと比較して、有意に骨折発生頻度の低下が認められ、骨折予防効果に関する優越性が証明されたという。承認申請は、この試験結果をまとめ、2009年に行う予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeTable.jsp;jsessionid=5THCOLTZYVXQWCSSUIHCFEQ?documentId=doc_12673&lang=ja

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閉経後骨粗鬆症に適応、ウェールナラ配合錠に製造販売承認とジュリナ錠に追加承認

バイエル薬品株式会社は10月20日、閉経後骨粗鬆症治療薬「ウェールナラ配合錠」の製造販売承認及び更年期障害治療薬「ジュリナ錠0.5mg」の閉経後骨粗鬆症での適応追加を10月16日付で取得したと発表した。ウェールナラ配合錠は、天然型エストロゲンである 17β-エストラジオール 1mg と、黄体ホルモンであるレボノルゲストレル 0.04mg を主成分とする国内初の経口投与で作用する配合剤。この配合錠は、一剤でエストロゲンの補充と子宮内膜保護という2つの効果を示すことから、服薬コンプライアンスの向上が期待できる製剤として開発された。自然閉経または両側卵巣摘出に伴う骨粗鬆症患者 309名を対象とした国内プラセボ対照無作為化二重盲検試験では、1年間(52週間)の腰椎骨密度が約8%、2年間(104週)で約10%増加し、対照としたプラセボでは骨密度の増加は認められなかったという。ジュリナ錠は、国際閉経学会、北米閉経学会等が推奨する低用量の経口エストロゲン製剤で、更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)、腟萎縮症状への適応で本年4月に厚生労働省から製造販売承認を取得し、9月16日に国内で新発売した製品。今回の適応追加により、閉経後骨粗鬆症の治療を目的とした処方が可能となった。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2008%2Fnews2008-10-20.html

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周産期うつ病に認知行動療法に基づく介入は有効か:パキスタンの場合

地域のプライマリヘルスワーカーによる認知行動療法に基づく心理学的介入は、周産期うつ病の治療として有効なことが、パキスタンで実施された無作為化試験で明らかとなった。周産期うつ病の発症率は高く、障害を引き起こしたり幼児の発達障害の原因となりうるため、その治療は公衆衛生学上の優先課題だという。イギリスLiverpool大学地域コミュニティ行動科学科のAtif Rahman氏が、Lancet誌2008年9月13日号で報告した。うつ病妊婦に対する認知行動療法に基づく介入のクラスター無作為化試験研究グループは、パキスタン非都市部において地域住民ベースのプライマリヘルスワーカーのルーチン業務に認知行動療法に基づく介入を統合し、この介入法が妊婦うつ病および新生児の予後に及ぼす効果を評価するためのクラスター無作為化対照比較試験を実施した。ラワルピンディ市非都市部の40のUnion Council(パキスタンの最小行政単位で約1万5,000~2万人の住民から構成される)をクラスターとして、介入群あるいは対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。対象は、妊娠第3期に周産期うつ病と診断された既婚女性(16~45歳)とした。介入群のプライマリヘルスワーカーはうつ病の母親に心理学的介入を行うための訓練を受けた。対照群のヘルスワーカーは訓練を受けずにうつ病の母親に対して介入群と同じ回数の訪問指導を行った。主要評価項目は出産後6ヵ月および12ヵ月の時点での新生児の体重および身長とし、副次評価項目は母親のうつ病とした。インタビュアーには母親がいずれの群に属するかは知らされなかった。介入群の母親はうつ病の発症率が有意に少ない各群に20ずつのクラスターが割り付けられ、介入群の母親は463例、対照群は440例であった。出産後6ヵ月の時点で大うつ病の判定規準を満たした母親の割合は、対照群の53%(211/400例)に対し介入群は23%(97/418例)と有意な改善効果が認められた(補正オッズ比:0.22、95%信頼区間:0.14~0.36、p<0.0001)。この効果は12ヵ月後も維持されていた[27%(111/412例) vs. 59%(226/386例)、補正オッズ比:0.23、95%信頼区間:0.15~0.36、p<0.0001]。両群の幼児の体重および身長のzスコアは、6ヵ月(それぞれ、p=0.7、p=0.3)および12ヵ月(p=0.3、p=0.07)の時点でいずれも有意な差は認めなかった。その一方で、介入群の幼児は下痢が少なく、予防接種率が高かった。また、介入群では母親の避妊薬の使用率が高く(乳幼児死亡率の低減には出産の間隔を十分に開けることが重要)、両親が子どもと遊ぶ時間が長いなどのベネフィットが確認された。著者は、「地域のプライマリヘルスワーカーによる認知行動療法に基づく心理学的介入は、周産期うつ病の治療として医療資源に乏しい地域の医療システムに統合しうる」と結論したうえで、この結果は「メンタルヘルスが公衆衛生プログラムの重要なコンポーネントとなりうることを示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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概ね必要適格なケアを受けている:イギリス50歳以上成人

健康問題を有する人へのヘルスケア介入は効果的に行われているのか。イギリスの50歳以上成人を対象とする調査が、イーストアングリア大学医学部健康政策実践部門のNicholas Steel氏らにより行われた。BMJ誌2008年8月13日号より。32の臨床指標と7つの質問を用いて評価調査は、面談方式による全国統一のサーベイアンケートで、公的・私的を問わず提供されたケアの質の評価をカバーできる指標を有する。参加者は、全イングランドの世帯を対象とする経時的研究(English longitudinal study of ageing)の8,688人で、そのうち4,417人は13の健康問題(虚血性心疾患、うつ、糖尿病など)のうち1つ以上を有していた。主要転帰は、32の臨床指標と7つの質問を用いて、患者である参加者が受けていると回答した介入の適格性の割合と集計スコア。障害や虚弱問題の領域では不十分調査の結果、患者は1万9,082種類の必要適格なケアを受けていた。必要適格なケアを受けているかは、参加者の健康状況によって異なった。最も適格にケアを受けていたのは「虚血性心疾患」の問題を有する患者で83%、「難聴」79%、「疼痛マネジメント」78%、「糖尿病」74%、「禁煙」74%、「高血圧」72%、「脳卒中」65%、「うつ病」64%、「要介護」58%、「視覚障害」58%、「骨粗鬆症」53%、「尿失禁」51%、「転倒マネジメント」44%、「変形性関節症」29%と続き、「全体的に」62%だった。ケアの適格性は、老化に伴う問題(55%)よりも医学的問題(74%)に関するもののほうが高い。また、一般開業医の報酬対象となっている健康問題のほうが(75%)、対象外となっている健康問題(58%)よりも高かった。Steel氏は「推奨されているケアは、障害や虚弱問題の領域では十分に提供されていなかった。よりよい健康アウトカムを成し遂げるためのケア改善の努力は広範囲にわたり必要だが、特に高齢者のQOLに影響を及ぼす慢性疾患の問題で必要である」と結論している。

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ビスホスホネートは骨粗鬆症女性の心房細動/粗動リスクを増やさない

 ビスホスホネートの使用により骨粗鬆症女性の心房細動/粗動のリスクが増大することを示すエビデンスはないことが、デンマークAarhus大学病院臨床疫学のHenrik Toft Sorensen氏らが実施した地域住民ベースの症例対照研究で明らかとなった。ビスホスホネートは骨粗鬆症の治療に広く使用されているが、一部の臨床試験のデータに基づいて心房細動のリスクを増大させる可能性が指摘されていた。BMJ誌2008年4月12日号(オンライン版2008年3月11日号)掲載の報告。医療データベースを用いた症例対照研究 研究グループは、心房細胞/粗動と骨粗鬆症女性に対するビスホスホネート使用との関連の評価を目的に、デンマークの医療データベースを用いた地域住民ベースの症例対照研究を行った。 心房細動/粗動群に1万3,586人が、対照群に6万8,054人が登録された。主要評価項目は心房細動/粗動の補正相対リスクとした。心房細動/粗動発症の補正相対リスクに有意差なし 心房細動/粗動群の3.2%(435人)および対照群の2.9%(1,958人)がビスホスホネートの投与を受けていた。エチドロネート(国内商品名:ダイドロネル)およびアレンドロネート(ボナロン、フォサマック)の使用頻度は、両群間でほぼ同じであった。 ビスホスホネート非使用者と比較して、使用者が心房細動/粗動を発症する補正相対リスクは0.95(95%信頼区間:0.84~1.07)であり、有意な差を認めなかった。新規使用者の相対リスクは0.75(0.49~1.16)と、概して継続使用者と類似していた(0.96、0.85~1.09)。 相対リスクの推計値は、処方数や退院記録にある心房細動/粗動の診断部位とは関連がなく、入院患者と外来患者の間でも類似していた。 これらの結果により、Sorensen氏は「ビスホスホネートの使用により骨粗鬆症女性の心房細動/粗動のリスクが増大することを示すエビデンスはない」と結論し、「われわれのデータは、最近報告されたリセドロネート(ベネット、アクトネル)を用いたプラセボ対照比較試験の再解析(約1万5,000例、フォローアップ期間3年)の結果と一致する」と指摘している。

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遺伝子LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関連

 低密度リポ蛋白質受容体である遺伝子LRP5の突然変異は、骨密度(BMD)の変化に基づく希有な症候群を引き起こすことが知られている。オランダ・エラスムス大学医療センターのJoyce B. J. van Meurs氏らGENOMOS Studyグループは大規模な研究を行い、LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関わることで、骨粗鬆症に関与していることを見いだしたと報告。JAMA誌 2008年3月19日号より。欧米の37,534例について腰椎、大腿骨頸部骨密度と骨折を検証研究は、LRP5遺伝子のうち一般的な異型であるMet 667とVal1330の2種と、類似するLRP6の異型Ile1062Valが、骨密度と骨折リスクに関係するのか、大規模なエビデンスを得るために、ヨーロッパと北アメリカの18研究機関が協力し合計37,534人分のデータを提供する、前向きの多施設共同研究として行われた。データは2004年9月~2007年1月にかけて収集され、2007年2月~5月にかけて分析された。骨密度は二重エネルギーX線吸光光度定量法で評価され、骨折はアンケート、診療記録またはX線撮影の書証で確認された。骨折データは別に利用するため、脊椎骨折のための放射線検査を含む通常の調査方法で確認された。主要評価項目は、腰椎と大腿骨頸部の骨密度およびすべての骨折と脊椎骨折の有病率とした。LRP5の一般的な異型2種とも独立してBMDに影響腰椎BMD減少との関連が認められたのは、Met667群(n=25,052、Met667当たりBMD 20-mg/cm2減少;P=3.3×10の-8乗)、Val1330群(n=24,812、Val1330当たりBMD 14-mg/cm2減少;P=2.6×10の-9乗)。大腿骨頸部BMDについても同様に関連がみられ、Met667(n=25,193、同11mg/cm2減少;P=3.8×10の-5乗)、Val1330(n=25,193、同8mg/cm2減少;P=5.0×10の-6乗)だった。脊椎骨折が認められたのは、Met667群では20,488例中2,001例(オッズ比:1.26、95%信頼区間:1.08~1.47)、Val1330では20,096例中1,988例(同1.12、1.01~1.24)だった。すべての骨折リスクは、Met667群、Val1330群とも増大していた。前者は31,435例中7,876例骨折(同1.14、対立遺伝子当たり95%信頼区間:1.05~1.24)、後者は31,199例中7,802例骨折(同1.06、1.01~1.12)。ハプロタイプ分析によって、Met667とVal1330異型が両方とも独立してBMDに影響を及ぼすことが確認された。年齢、体重、身長、閉経期状態およびホルモン療法の有無で補正しても変わりはない。他方、LRP6異型のIle1062Valは、どのような骨粗鬆症の現象とも関係していなかった。Meurs氏らは「LRP5は、骨粗鬆症に関わる現象について、初めて遺伝子レベルの有意性を示したケースかもしれない。まだ一個の遺伝標識が、あるリスク現象の一部を説明したにすぎないが、骨粗鬆症のリスク変化をいくつか確認できれば、臨床予測を改善し、新薬開発に寄与する可能性もある」と強調している。(朝田哲明:医療ライター)

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経口避妊薬は、市販後50年で約10万人の卵巣癌死を予防

経口避妊薬の使用により卵巣癌の発生率が低下することが知られている。卵巣癌は若年女性では少なく、加齢とともに増加するため、発生率低下の公衆衛生面への影響は使用中止後のリスク低下効果の持続時間に依存するという。Collaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancerの研究グループは45の疫学研究のデータを解析、経口避妊薬は市販後約50年の間に約20万人の女性の卵巣癌罹患を予防し、約10万人が卵巣癌による死亡から救われたと推計している。Lancet誌2008年1月26日号掲載の報告。使用状況と卵巣癌相対リスクを推計21か国の45の疫学研究から2万3,257人の卵巣癌症例と8万7,303人の非卵巣癌(対照)のデータを収集し解析を行った。経口避妊薬の使用状況と卵巣癌の相対リスクを推計し、さまざまな因子で層別化した。経口避妊薬の使用経験者は症例群が7,308人(31%)、対照群が3万2,717人(37%)であり、平均使用期間はそれぞれ4.4年、5.0年であった。卵巣癌診断年の中央値は1993年、診断時の平均年齢は56歳であった。今後数10年にわたり、年間3万人以上の卵巣癌罹患を予防経口避妊薬の使用期間が長いほど卵巣癌のリスクが低下した(p<0.0001)。また、このリスク低下効果は使用中止後30年以上が経過しても持続していたが、中止後10年までは29%、10~19年では19%、20~29年では15%と漸減した。経口避妊薬のエストロゲン含有量は年代によって異なり、1960年代は1980年代の2倍以上であった。しかし、60年代、70年代、80年代のリスク低下率は使用期間に応じて同等であり、エストロゲン量とは関連しなかった。組織型別の解析では、粘液性癌(全体の12%)は経口避妊薬の影響をほとんど受けていなかったが、他の組織型は同等のリスク低下率を示した。高所得国では、経口避妊薬を10年間使用した場合、75歳までの卵巣癌罹患率は100人当たり1.2から0.8人に、卵巣癌による死亡率は0.7から0.5人に低下すると推計された。これは、5,000人年当たり2人の罹患および1人の死亡が予防されることになる。研究グループは、「経口避妊薬の長期的な卵巣癌予防効果を確認した。市販後約50年で約20万人の卵巣癌罹患および約10万人の卵巣癌死を予防したと推計される」と結論、「卵巣癌罹患予防数は、今後、数10年以上にわたり、少なくとも年間3万人にのぼる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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高度外傷性骨折も骨粗鬆症、二次的骨折と関連する

自動車衝突事故や身長以上の高さからの落下などによる高度外傷性骨折は、骨粗鬆症や二次的骨折とは無関係であると広く考えられ、高度外傷性骨折経験者は骨粗鬆症研究やその他観察研究の対象から除外されてきた。SOF・MrOS研究に参加したDawn C. Mackey氏らは、その考え方に疑問を呈し、低骨密度(BMD)は高度外傷性骨折のリスクを増大し、高度外傷性骨折は二次的骨折のリスクを増大するとの仮説を立て検証を行った。JAMA誌11月28日号掲載より。米国65歳以上女性8,022例、男性5,995例を対象高齢男女の骨密度(BMD)と高度外傷性骨折との関連、および高度外傷性骨折と二次的骨折との関連は、米国65歳以上成人を対象に行われた男女2つの大規模な前向きコホート研究で検証された。1つはSOF(Study of Osteoporotic Fractures:1988年~2006年、追跡調査9.1年)で解析対象は女性8,022例。もう1つはMrOS(Osteoporotic Fractures in Men Study:2000年~2007年、追跡調査5.1年)で男性5,995例。主要評価項目は、二重X線骨密度測定装置で測定された股関節および脊椎のBMD。脊椎以外の骨折インシデントは、X線撮影の報告によって確認。また骨折について、BMDの情報有無を問わず、高度外傷(自動車衝突事故、身長以上の高さからの落下による)、または軽度外傷(身長程度の高さからの転落および重度未満の外傷による)に分類された。BMD減少と骨折リスク上昇は高度・軽度問わず相関初発の高度外傷性骨折があったのは女性264例、男性94例。初発の軽度外傷性骨折については女性3,211例、男性346例だった。女性の解析で、股関節BMDの1-SD当たりの減少と高度外傷性骨折のリスク上昇(多変量解析による相対ハザード1.45)、あるいは軽度外傷性骨折のリスク上昇(同1.49)はいずれも同様の相関が示された。この結果は男性でも同様だった(対高度外傷骨折相対ハザード1.54、軽度外傷性骨折1.69)。二次的骨折リスクは骨折経験者で高い二次的骨折リスク(女性)は、高度外傷性骨折の経験有無で比較すると、ある女性のほうが高く34%、軽度外傷性骨折でも、ある女性のほうが高く31%だった。二次的骨折リスクのモデル化は男性では行われなかったが、Mackey氏らは、「外傷性骨折(脊椎以外)および高齢期の二次的骨折のリスク増加は、骨折の程度にかかわらず、いずれも低BMDとの相関が確認された。したがって彼らも骨粗鬆症研究などの対象として含めるべきである」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

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経口避妊薬の長期使用により子宮頸癌のリスクが倍増、中止後は漸減

混合型経口避妊薬は、国際がん研究機関(IARC)により子宮頸癌の原因とされている。この関連性の公衆衛生学的な意義は、子宮頸癌は加齢とともに増加することから、経口避妊薬使用中止後における作用の持続性の影響を強く受ける。 「子宮頸癌の疫学に関する国際共同研究」の研究グループは、世界各国で実施された試験のデータをプールし、子宮頸癌と経口避妊薬の使用パターンの関連について検討した。11月10日付Lancet誌掲載の報告から。24試験の子宮頸癌、非子宮頸癌女性の経口避妊薬の使用状況を解析解析の対象となった24試験には26ヵ国が参加しており、その約半数は開発途上国であった。子宮頸癌16,573例[浸潤癌11,170例、子宮頸部上皮内腫瘍grade 3(CIN3)5,403例]および非子宮頸癌女性35,509名(対照)のデータを集積して再解析した。子宮頸癌の相対リスクはconditional logistic regressionを用いて解析し、試験、年齢、性交パートナー数、初回性交年齢、喫煙、スクリーニング法などで層別化した。使用期間5年以上で相対リスクが倍増、中止後は漸減経口避妊薬の現使用者においては、使用期間が長くなるに従って浸潤性子宮頸癌のリスクが増大し、使用期間5年以上の女性の相対リスクは非使用女性の約2倍に達した(相対リスク:1.90、95%信頼区間:1.69~2.13)。一方、使用中止後はリスクが低下し、10年以上が経過すると非使用者と同等のリスクに戻った。浸潤癌およびCIN3とも同じリスクパターンがみられ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染リスクの高い女性でも同様であった。また、患者背景の異なる女性間で、相対リスクの実質的な違いはみられなかった。長期使用により、累積発症率は開発途上国、先進国ともに上昇研究グループは、「子宮頸癌の相対リスクは経口避妊薬の使用により増加するが、中止後は低下する」と結論している。さらに、「20歳代の10年間、経口避妊薬を使用すると、50歳までの浸潤性子宮頸癌の累積発症率が開発途上国では1,000人当たり7.3人から8.3人へ、先進国では3.8人から4.5人へ上昇する」と解析している。(菅野 守:医学ライター)

460.

COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

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