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経口ビスホスホネート製剤と食道がんリスクとの関係

 骨粗鬆症の予防や治療に用いられる経口ビスホスホネート製剤を服用する患者には、消化不良、吐き気、腹痛、びらん性食道炎、さらに食道潰瘍といった副作用が一般にみられることは報告されている。さらに最近の症例報告では、食道がんリスクの増加が示唆されている。英国オックスフォード大学のJane Green氏らのグループは、「経口ビスホスホネート製剤服用者において食道がん(胃・大腸ではない)リスクは増加する」との仮説検証を目的に、UK General Practice Research Databaseを用いたコホート内ケース・コントロール解析を行った。BMJ誌2010年9月11日号(オンライン版2010年9月1日号)より。英国40歳以上住民を対象にケース・コントロール解析を実施 解析に用いられたデータベースは、英国のプライマリ・ケア対象住民約600万人を擁する。その中から、ビスホスホネート製剤の処方記録のあった40歳以上男女で、1995~2005年に、食道がん(2,954例)、胃がん(2,018例)、大腸がん(1万641例)と診断された人をケース群とし、ケース群1症例につき、年齢、性、一般医療、観察期間で合致した各5例を対照群とし検証が行われた。 主要評価項目は、喫煙、飲酒、BMIで補正後の、食道・胃・大腸がん発生の相対リスクとした。「10回以上」「5年以上」服用者の食道がん発病率は、非服用者の倍と推計 経口ビスホスホネート製剤を過去に1回以上処方されたケースでは、処方されたことのないケースと比較して食道がんの発病率は高まった(相対リスク:1.30、95%信頼区間:1.02~1.66、P=0.02)。 食道がんリスクは、1~9回処方されたケース(同:0.93、0.66~1.31)と比べて10回以上処方されたケース(同:1.93、1.37~2.70、不均一性P=0.002)で、また3年以上服用していたケースで有意に高かった(平均5年、処方なしのケースに対する相対リスク:2.24、95%信頼区間:1.47~3.43)。 食道がんリスクは、ビスホスホネート製剤のタイプによる有意な違いはなかった。 10回以上処方された場合のリスクは、年齢、性、喫煙、アルコール摂取、BMIによる変動はなかった。また、骨粗鬆症、骨折、上部消化器疾患、さらに制酸薬、NSAIDsやステロイドの処方による変動もなかった。 胃がんと大腸がんは、ビスホスホネート製剤処方との関連は認められなかった。「1回以上処方」対「処方なし」の相対リスクは、0.87(95%信頼区間:0.64~1.19)、0.87(同:0.77~1.00)だった。 研究グループは、「食道がんに関する特異性は試験の方法論的な限界の反証となる」としつつ、「食道がんリスクは、経口ビスホスホネート製剤の10回以上の処方、または5年以上にわたる処方によって増加する」と結論し、「ヨーロッパと北米の60~79歳の食道がん発病率は、非服用者は5年で人口1,000対1だが、服用者では1,000対2に倍増することが見込まれる」と述べている。

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経口ビスホスホネート、食道がんや胃がんの発症リスク増大せず

 骨粗鬆症薬として用いられる経口ビスホスホネート製剤を長期に服用しても、食道がんや胃がんの発症リスクは増大しないようだ。英国Queen’s University Belfast公衆衛生センターのChris R. Cardwell氏らが、4万人超の治療群と同数のコントロール群について、約4年半追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月11日号で発表した。ビスホスホネートの服用による副作用として食道炎は知られるが、食道がんとの関係についての信頼性の高い研究は、これまでなかったという。約4万2,000人の治療・コントロール群を4.4~4.5年追跡 同研究グループは、英国General Practice Researchデータベースを基に、1996年1月~2006年12月の間に、ビスホスホネートを服用した4万1,826人と、同数のコントロール群について追跡し、食道がんや胃がんの発症リスクについて分析した。 被験者の81%が女性で、平均年齢は70.0歳(SD:11.4歳)だった。平均の追跡期間は、治療群が4.5年、コントロール群が4.4年だった。追跡期間が6ヵ月未満の人は、除外された。食道がんまたは胃がん、食道がんのみの発症リスクいずれも両群で同等 結果、追跡期間中に食道がんまたは胃がんを発症したのは、治療群の116人(うち食道がんは79人)に対し、コントロール群では115人(同72人)だった。食道がんまたは胃がんの罹患率は、治療群・コントロール群ともに、0.7/1,000人・年だった。食道がんの罹患率は、治療群が0.48/1,000人・年、コントロール群が0.44/1,000人・年だった。 食道がんまたは胃がんの発症リスクについて、治療群とコントロール群の間に、有意差はみられなかった(補正後ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.74~1.25)。 食道がんのみの同補正後ハザード比も1.07(同:0.77~1.49)と、両群に有意差はなかった。なお、ビスホスホネートの服用期間による、食道がんまたは胃がん発症リスクにも有意差はみられなかった。

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心筋梗塞のリスクがカルシウム・サプリメントで増大

 サプリメントとしてのカルシウムの使用(ビタミンDは併用しない)により、心筋梗塞のリスクが有意に増大することが、ニュージーランド・オークランド大学のMark J Bolland氏らが行ったメタ解析で判明した。カルシウムは高齢者の骨格系の健康維持を目的としたサプリメントとして一般的に用いられている。ところが、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞や心血管イベントのリスクを増大させる可能性があることが、プラセボを対照とした無作為化試験で示唆されているという。BMJ誌2010年8月7日号(オンライン版2010年7月29日号)掲載の報告。カルシウム・サプリメントと心筋梗塞などの心血管イベントの関連をメタ解析 研究グループは、カルシウム・サプリメントと心血管イベントのリスク増大の関連の評価を目的に、患者レベルおよび試験レベルのデータに関してメタ解析を行った。 1966年~2010年3月までのデータベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)などを用いて、100例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上のカルシウム・サプリメント(≧500mg/日)に関するプラセボ対照無作為化試験を抽出した。 これらの試験の筆頭著者からデータの提供を受け、心筋梗塞などの心血管アウトカムは患者自身の報告、入院記録、死亡診断書で確認した。心筋梗塞リスクがカルシウム・サプリメント群で約30%増大 15試験が適格基準を満たした。患者レベルのデータは5試験[8,151例、フォローアップ期間中央値3.6年(四分位範囲2.7~4.3年)]で得られ、試験レベルのデータは11試験(1万1,921例、平均試験期間4.0年)から得られた。 5試験の患者レベルのデータの解析では、心筋梗塞の発症はカルシウム・サプリメント群が143例と、プラセボ群の111例に比べリスクが有意に31%増加していた(ハザード比:1.31、95%信頼区間:1.02~1.67、p=0.035)。 脳卒中(ハザード比:1.20、95%信頼区間:0.96~1.50、p=0.11)、心筋梗塞/脳卒中/突然死の複合エンドポイント(同:1.18、同:1.00~1.39、p=0.057)、死亡(同:1.09、同:0.96~1.23、p=0.18)については有意なリスクの増大を認めなかった。 試験レベルのデータの解析でも同様の結果が示された。すなわち、心筋梗塞を発症した296例のうち、166例がカルシウム・サプリメント群で、プラセボ群は130例であり、リスクはサプリメント群で有意に27%増加していた(ハザード比:1.27、95%信頼区間:1.01~1.59、p=0.038)。 著者は、「カルシウム・サプリメント(ビタミンDの併用なし)は心筋梗塞のリスクを有意に増大させることが明らかとなった」と結論し、「この大きいとは言えない心筋梗塞のリスク増大も、カルシウム・サプリメントの使用の拡大に伴って、膨大な疾病負担をもたらす可能性がある。骨粗鬆症の治療におけるカルシウム・サプリメントの役割の再評価が急務である」と指摘する。

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骨粗鬆症患者は、治療薬への期待と効果にギャップを感じている?

日本イーライリリー株式会社は7月30日、骨粗鬆症治療の現状を把握するため、代表的な治療薬である骨吸収抑制剤で薬物治療中の65歳以上の女性患者103名を対象に実施した、現在の病状や治療薬に関するインターネット調査の結果を発表した。調査の実施時期は2010年5月。その結果、現在治療中の患者の約半数(47.6%)は服用中の治療薬について十分な満足を感じておらず、最も不満を感じているのは「効果を実感するまでの期間」(37.5%)であることがわかった。さらに、治療を開始してから骨密度が「減っている」(4.8%)または「変わらない」(51.5%)と答えた人が半数以上(56.3%)おり、また、約1割(10.7%)の患者が治療薬服用中に骨折を経験していることも確認できたという。一方、患者の多くが、「骨密度を増やしたい」(76.7%)、「骨折をしたくない・繰り返したくない」(54.4%)、「骨粗鬆症を完治させたい」(42.7%) という目的を持って治療を開始しており、治療薬への期待と実際に感じる効果にギャップがあることが明らかになったとのこと。詳細はプレスリリースへhttps://www.lilly.co.jp/pressrelease/2010/news_2010_15.aspx

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若い肥満女性は予定外の妊娠をしやすい:男女1万人の無作為抽出調査

BMIと性行動、有害な性的健康アウトカムとの間には関連があり、肥満女性は避妊医療サービスの利用度が低く、予定外妊娠の傾向が高いことが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のNathalie Bajos氏らCSF(Contexte de la Sexualité en France)研究グループの調査で明らかとなった。男性の肥満が勃起不全と関連することは複数の試験で示されているが、性的満足度、望まない妊娠、中絶などの性的な健康アウトカムと肥満との関連ははっきりしていない。これまでに実施された調査のほとんどが高齢男性や病的肥満男性を臨床的サンプルとしたものであり、女性を対象とした試験はほとんどないという。BMJ誌2010年7月10日号(オンライン版2010年6月15日号)掲載の報告。約1万人の男女を対象としたBMI別の性行動に関する無作為抽出調査CSFの研究グループは、肥満者におけるBMIと性的活動性、性的満足度、望まない妊娠、中絶の関連について解析し、調査対象者とそのパートナーのBMIを考慮した公衆衛生学的な診療の意義について考察するために、性行動に関する無作為抽出調査を実施した。2006年にフランス在住の18~69歳の男女1万2,364人の中から、女性5,535人、男性4,635人が無作為に抽出された。そのうち、正常体重(BMI:≧18.5、<25kg/m2)が女性3,651人、男性2,725人、過体重(BMI:≧25、<30 kg/m2)がそれぞれ1,010人、1,488人、肥満(BMI>30kg/m2)は411人、350人であった。肥満者は男女とも性的活動性が低く、若年の肥満女性は避妊に積極的でない肥満女性は、過去12ヵ月間に性的パートナーがいたと回答した者の割合が、正常体重女性に比べ有意に低かった(オッズ比:0.71、95%信頼区間:0.51~0.97)。肥満男性は、同時期に1人以上の性的パートナーがいたと回答した者の割合が正常体重男性に比べ有意に低く(オッズ比:0.31、95%信頼区間:0.17~0.57、p<0.001)、勃起不全と回答した者の割合が有意に高かった(同:2.58、同:1.09~6.11、p<0.05)。女性では、性的機能不全とBMIには関連を認めなかった。30歳未満の肥満女性は、避妊医療サービスに当たる割合が有意に低く(オッズ比:0.37、95%信頼区間:0.18~0.76)、経口避妊薬の使用率も有意に低値であり(同:0.34、同:0.15~0.78)、予定外の妊娠が有意に多くみられた(同:4.26、同:2.21~8.23)。著者は、「BMIと性行動、有害な性的健康アウトカムとの間には関連があり、肥満女性は避妊医療サービスの利用度が低く、予定外妊娠の傾向が高い。これらの女性における望まない妊娠の予防は、性・生殖医療の重要課題である」と結論し、「医療従事者は、性的健康サービスを提供する際には、体重と性別との関連性に留意する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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スタチンの思わぬ効果・有害事象

スタチンの想定されていない効果および有害事象について検討する、英国人男女200万人超を対象とする前向きコホート研究が、英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らにより行われた。思わぬ効果として、食道がんリスク低下の有益性が認められた一方、様々な有害事象リスク上昇との関連が確認されたという。BMJ誌2010年6月5日号(オンライン版2010年5月20日号)掲載より。スタチン各種、用量、投与期間ごとに効果・有害事象を定量化Hippisley-Cox氏らは、スタチンの思わぬ効果・有害事象について、種類・用量・投与期間別に定量化することを目的とし、イングランドおよびウェールズの開業医(GP)368人の診療データをQResearch databaseから収集し検討した。200万4,692例分の患者データ(30~84歳)のうち、スタチン服用新規患者は、22万5,922例(10.7%)だった。処方の内訳は、15万9,790(70.7%)がシンバスタチン(商品名:リポバスなど)、5万328例(22.3%)がアトルバスタチン(商品名:リピトール)、8,103例(3.6%)がプラバスタチン(商品名:メバロチンなど)、4,497例(1.9%)がロスバスタチン(商品名:クレストール)、3,204例(1.4%)がフルバスタチン(商品名:ローコールなど)だった。検討された主要評価項目は、心血管疾患の初回発生、中等度~重度ミオパシー、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、静脈血栓塞栓症、パーキンソン病、認知症、関節リウマチ、白内障、骨粗鬆症性骨折、胃がん、食道がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がん。食道がんリスク低下、肝機能障害・急性腎不全・ミオパシー・白内障リスク増大スタチンとの関連が有意ではなかったのは、パーキンソン病、関節リウマチ、静脈血栓塞栓症、認知症、骨粗鬆症性骨折、胃がん、大腸がん、肺がん、メラノーマ、腎臓がん、乳がん、前立腺がんの各リスク。食道がんリスクについては低下が認められた。一方で、中等度~重度肝機能障害、急性腎不全、中等度~重度ミオパシー、白内障のリスクは増大することが認められた。有害事象は、スタチンの種類を問わず同等にみられた。ただし肝機能障害についてはフルバスタチンでリスクが高かった。用量反応効果は、急性腎不全、肝機能障害で明瞭だった。服用期間中の全リスク増加は、最初の1年目が最も高かった。白内障リスクは男女とも、服用中止後1年以内で標準に戻った。食道がんのリスクは、女性は1年以内に男性は1~3年以内で標準に戻った。急性腎不全リスクは、男女とも1~3年以内に、肝機能障害リスクは、女性は1~3年以内に男性は3年以降に標準に戻った。心疾患リスク20%閾値に基づく5年予防NNT(治療必要数、対患者1万例)は、女性の場合、心血管疾患が37例(95%信頼区間:27~64)、食道がんは1,266例(850~3,460)だった。男性はそれぞれ、33例(24~57)、1,082例(711~2,807)だった。一方、5年NNH(有害必要数、対患者1万例)は、女性の場合、急性腎不全が434例(284~783)、中等度~重度ミオパシーは259例(186~375)、中等度~重度肝機能障害136例(109~175)、白内障33例(28~38)だった。男性のNNHは、ミオパシーのNNHが91例(74~112)だった以外は、全体として女性と同等だった。Hippisley-Cox氏は、「食道がん以外の有益性は証拠立てることができなかったが、有害事象については母集団に潜在する事象が確認でき定量化できた。さらに、有害事象の最もリスクの高い患者をモニターできるよう個別リスクのさらなる検討を進める必要がある」と結論している。

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約4割の主婦が過去1年以内に検診を受けていない?

主婦の約4割が「過去1年以内に検診を受けていない」という結果が、ソニー損害保険株式会社が27日に発表した「主婦の健康診断・健康意識に関する調査」より明らかになった。この調査は、2010年5月14日~5月17日の4日間、20歳~49歳の主婦(パート/アルバイト、専業主婦)に対し、インターネットリサーチで実施し、1,000名の有効回答を得たもの。過去1年間に受けた検診の種類を複数回答で聞いたところ、「過去1年以内にどの検診も受けていない」が39.8%と最も多い結果だった。過去1年以内にどの検診も受けていない398名に、検診を受けていない理由を複数回答で聞いたところ、「検診にお金がかかる」が39.4%と、経済面での理由が約4割となり、続いて「検診へ行く時間がない」32.7%、「面倒くさい」31.9%、「今のところ特に体に異常がみられない」29.1%となった。過去1年以内に検診したガンの種類を複数回答で聞いたところ、「子宮けいガン」が33.4%と最も多く、主婦の3人に1人が子宮けいガン検診を受けていたようだ。次に多かったのは「乳ガン」の25.9%で、「子宮体ガン」14.1%、「胃ガン」8.4%、「大腸ガン」5.7%、「肺ガン」4.1%となっている。全回答者1,000名に、あなたが受けてみたいと思う検診を複数回答で聞いたところ、1位「500円で受けられるワンコイン検診」58.5%、2位「自宅でできるキット検診」40.8%、3位「検診後に昼食が付いているランチ付き検診」30.0%となり、経済的かつ手軽に受けられる検診が求められていることがわかったという。また、ガン以外の女性特有の病気や女性がかかりやすい病気の中で気になっているものを複数回答で聞いたところ、「更年期障害」で62.8%、「子宮筋腫」 55.5%、「骨粗鬆症」33.0%、「子宮内膜症」31.8%、「貧血」29.5%となった。「更年期障害」と回答した割合は年齢があがるにつれて高くなっており、20代主婦で42.2%、30代主婦で59.2%、40代主婦では70.2%となっている。また、20代主婦では他の年代よりも回答した割合が高いものが多く、「貧血」(51.8%)、「子宮内膜症」(50.6%)、「卵巣のう腫」(38.6%)、「膀胱炎」(32.5%)で他の年代より10ポイント以上高くなっていた。詳細はこちらhttp://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2010/05/20100527_1.html

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骨粗鬆症治療薬lasofoxifeneのイベントリスク減少に関する評価:PEARL試験

 非ステロイド性の選択的エストロゲン受容体調節物質であるlasofoxifeneについて、骨粗鬆症の閉経後女性の、骨折および乳がん、心血管疾患のリスクが減少するかを評価する「PEARL試験」の結果が、米国カリフォルニア大学のSteven R. Cummings氏らによって報告された。高用量投与(0.5mg/日)では、骨折、乳がん、冠動脈疾患、脳卒中のリスクは減少が確認されたが、静脈血栓塞栓のイベントリスクは増加がみられたという。NEJM誌2010年2月25日号掲載より。骨粗鬆症の閉経後女性8,556例、5年時点の評価 PEARL(Postmenopausal Evaluation and Risk-Reduction with Lasofoxifene)試験は、国際的な無作為化プラセボ対照試験(32ヵ国113施設から登録)で、大腿骨頸部または脊椎の骨密度Tスコアが-2.5以下の59~80歳(平均年齢67歳)女性8,556例を対象に行われた。被験者は、lasofoxifene投与群(1日1回0.25mgまたは0.5mg)と、プラセボ投与群に無作為化され、5年時点でアウトカムの評価が行われた。 主要エンドポイントは、脊椎骨折、非脊椎骨折、エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんとした。副次エンドポイントは、主な冠動脈疾患イベント、脳卒中とした。0.5mg/日は、骨折、乳がん、冠動脈疾患、脳卒中リスクを減少 結果、lasofoxifene 0.5mg/日群(1,777例)は、プラセボ群(1,820例)と比べて、脊椎骨折リスク減少(ハザード比:0.58、p<0.001)、非脊椎骨折リスク減少(同:0.76、p=0.002)、ER陽性乳がんリスク減少(同:0.19、p<0.001)、冠動脈疾患イベントリスク減少(同:0.68、p=0.02)、脳卒中リスク減少(同:0.64、p=0.04)との関連が認められた。 0.25mg/日群(1,753例)は、プラセボ群と比べて、脊椎骨折リスク減少(ハザード比:0.69、p<0.001)、脳卒中リスク減少(同:0.61、p=0.03)との関連が認められた。 一方、0.25mg/日群、0.5mg/日群ともに、プラセボ群と比べて、静脈血栓塞栓イベント増加(ハザード比はそれぞれ2.67、2.06)との関連が認められた。 子宮体がん発症は、0.25mg/日群に2例、0.5mg/日群に2例、プラセボ群3例。1,000人当たりの死亡率はそれぞれ、7.0、5.7、5.1だった。

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炎症性腸疾患の静脈血栓塞栓症リスク、外来再燃時に最も高い

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患患者では、静脈血栓塞栓症の発症リスクが増大しており、特に緩解導入後の急性再燃時にそのリスクが高いことが、イギリスNottingham大学疫学・公衆衛生学のMatthew J Grainge氏らによるコホート研究で明らかとなった。下肢の静脈血栓塞栓症による短期的死亡率は6%で、肺循環に塞栓が発生した場合は20%にも達することが示されている。この生命に関わる疾患には感染や炎症が関与しており、特に炎症性腸疾患患者はリスクが高く、血栓塞栓症の発現時には活動性の炎症性腸疾患がみられることが多いという。Lancet誌2010年2月20日号(オンライン版2月9日号)掲載の報告。大規模データベースから約14年間の患者と対照の記録を抽出研究グループは、炎症性腸疾患の活動性の各段階における静脈血栓症の発症リスクをプロスペクティブに検討するコホート研究を行った。800万例以上のプライマリ・ケア記録が集積されたイギリスの大規模な縦断的データベースであるGeneral Practice Research Database(GPRD)を用いて1987年11月~2001年7月までに記録された炎症性腸疾患患者を同定し、個々の患者に対し年齢、性別、一般診療の内容でマッチさせた対照を5人まで選択した。疾患活動性を、緩解、再燃(フレア:初回コルチコステロイド処方から120日間と定義)、慢性活動性に分け、入院後の静脈血栓塞栓症のリスクを評価した。リスクは外来再燃時が最も高い、1次予防の臨床試験の実施を炎症性腸疾患患者13,756例[潰瘍性大腸炎6,765例(49%)、クローン病4,835例(35%)など]および対照群71,672人が解析の対象となった。静脈血栓塞栓症は、炎症性腸疾患患者の139例、対照群の165人でみられた。静脈血栓塞栓症の全体の発症リスクは対照群に比べ患者群で有意に高く、絶対リスクは1,000人・年当たり2.6であった(補正ハザード比:3.4、p<0.0001)。患者の静脈血栓塞栓症リスクの増大は再燃時の方がより顕著であった(補正ハザード比:8.4、p<0.0001、絶対リスク:9.0/1,000人・年)。再燃時の相対リスクは、入院治療期(同:3.2、p=0.0006、同:37.5/1,000人・年)よりも外来治療期(同:15.8、p<0.0001、同:6.4/1,000人・年)の方がより高かった。「静脈血栓塞栓症の予防の可能性を探るために、1次予防に関する臨床試験の実施が正当化される」と著者は結論しており、「炎症性腸疾患患者は静脈血栓塞栓症の発症リスクの評価時にはすでにリスクが増大しており、再燃患者では外来治療によるリスク低減は困難なことを明記すべきである。コルチコステロイド治療には骨粗鬆症の懸念もあるため、入院治療で使用されている低分子量ヘパリンの短期投与などを外来で施行する戦略も検討に値する」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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ulipristal acetate、無防備な性交後の緊急避妊に高い効果

ulipristal acetateは不用意な性交後の緊急避妊薬として5日間まで有効であり、その効果はレボノルゲストレル(商品名:Norlevo)よりも優れることが、イギリス・ロジアン国民保険サービス(NHS)のAnna F Glasier氏らが実施した無作為化試験とメタ解析で示された。現在、緊急避妊薬は世界140ヵ国以上で用いられ、そのうち約50ヵ国では医師の処方箋なしで使用可能であり、先進国のほとんどで認知されているという。現在の標準薬であるレボノルゲストレルは性交後72時間以内に投与する必要があり、時間の経過とともに効果が減弱し、排卵前でなければ十分な効果は期待できないため、より有効な薬剤の開発が望まれていた。Lancet誌2010年2月13日号(オンライン版2010年1月29日号)掲載の報告。緊急避妊薬投与後の妊娠率を評価する非劣性試験研究グループは、緊急避妊薬としてのulipristal acetateの効果と安全性をレボノルゲストレルと比較する多施設共同無作為化非劣性試験を行った。イギリス、アイルランド、アメリカの35の家族計画クリニックに、無防備な性交後5日以内の月経周期が正常な女性2,221人が登録され、ulipristal acetate 30mgを経口投与する群(1,104人)あるいはレボノルゲストレル1.5mgを経口投与する群(1,117人)に無作為に割り付けられた。被験者には割り付け情報は知らされなかったが、医師にはマスクされなかった。予測される次回月経日後5~7日間までフォローアップを行った。主要評価項目は、無防備な性交後72時間以内に緊急避妊薬の投与を受けた女性の妊娠率とした。メタ解析で、妊娠率が有意に32%低減有効性の評価は1,696人(ulipristal acetate群844人、レボノルゲストレル群852人)で可能であった。妊娠率は、レボノルゲストレル群の2.6%(22/852人)に比べ、ulipristal acetate群は1.8%(15/844人)と32%低減した(オッズ比:0.68)。性交後72~120時間に緊急避妊薬の投与を受けた203人のうち3人が妊娠したが、いずれもレボノルゲストレル群の女性であった。最も高頻度にみられた有害事象は頭痛であった(ulipristal acetate群19.3%、レボノルゲストレル群18.9%)。薬剤に起因する可能性がある重篤な有害事象として、ulipristal acetate群でめまいが1人に、レボノルゲストレル群では奇胎妊娠が1人に認められた。メタ解析(性交後72時間以内)を行ったところ、妊娠率はレボノルゲストレル群の2.2%(35/1,625人)に対し、ulipristal acetate群は1.4%(22/1,617人)と有意に避妊効果が高かった(オッズ比:0.58、p=0.046)。著者は、「ulipristal acetateは不用意な性交後5日まで使用可能であり、女性や医療者にとって有効な緊急避妊薬の選択肢である」と結論し、「ulipristal acetateは安全性のデータが十分に集積されるまでは容易に入手できないため、性交後72時間以上が経過した妊娠リスクの高い女性に限定して使用される可能性がある。しかし、72時間以内の場合にレボノルゲストレルなどの薬剤を用いれば、多くの女性は自分の月経周期を明確に把握していないため避妊できず混乱が起きる可能性がある。課題は残るものの、5日以内であればulipristal acetateを使用すべきと考えられる」と考察する。(菅野守:医学ライター)

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活性型ビタミンD3誘導体エルデカルシトールの製造販売承認申請へ

中外製薬株式会社および大正製薬株式会社は22日、中外製薬が創製し両社で骨粗鬆症を予定適応症として共同開発を行ってきた活性型ビタミンD3誘導体(一般名:エルデカルシトール、中外製薬開発コード「ED-71」、大正製薬開発コード「CT-081」)について、中外製薬が製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。国内で実施された第III相臨床試験では、骨粗鬆症患者を対象としてエルデカルシトールの有効性および安全性を、アルファカルシドールを対照薬とした無作為化二重盲検群間比較試験にて検討した。1,087名の患者を無作為にエルデカルシトールもしくはアルファカルシドールを投与する群に割付け、3年間での新たな椎体骨折の発生頻度を観察した。その結果、エルデカルシトールを投与された患者では、アルファカルシドールを投与された患者と比較して骨折発生頻度は統計学的に有意に低下し、骨折予防効果に関する優越性が証明されたという。なお、本剤の安全性はアルファカルシドールと同様であり、特有の問題は認められなかったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeTable.jsp;jsessionid=STV4OYW1I340ECSSUIHSFEQ?documentId=doc_16113&lang=ja

432.

60歳以上男女の9割以上が骨粗鬆症を理解しているにもかかわらず、検査を受けたことがない人が6割

万有製薬株式会社は9日、臨床内科医と骨粗鬆症のハイリスク群である60歳以上男女を対象に実施した、骨粗鬆症に関する意識調査の結果を発表した。アンケートは、60歳以上の男女各200名(計400名)の骨粗鬆症のハイリスク群を対象に骨粗鬆症に関する認識についてと、臨床内科医100名を対象に骨粗鬆症の治療の実態について、実施された。60歳以上男女への調査結果では、9割が主な症状を理解していながら、骨粗鬆症の検査を受けたことがない人が6割に上っていた。検査を受けない理由は「自分は骨粗鬆症とは思わない」、また「どこで骨粗鬆症の検査ができるかわからない」という回答が主だった。一方、臨床内科医の調査結果では、別の疾患で通院している骨粗鬆症のハイリスク群に対して、骨粗鬆症を積極的に診察している医師は5%にとどまるとの結果が出た。しかし、患者が積極的に受診を希望すれば、6割の医師が積極的に診察するとの回答が得られている。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/product_news_1009.html

433.

骨粗鬆症治療剤「エビスタ」をルーマニアで販売

第一三共株式会社と連結子会社のランバクシー・ラボラトリーズ(本社:インド共和国デリー市、以下「ランバクシー」)は1日、ランバクシー傘下のTerapia S.A.(以下「テラピア・ランバクシー」)を通じて、骨粗鬆症治療剤EVISTA(一般名:raloxifene、以下「エビスタ」)をルーマニア国内において販売開始すると発表した。第一三共は、ギリシャを除く全欧州(34カ国)においてエビスタの販売の権利をイーライリリー・アンド・カンパニー(本社:米国インディアナ州)より取得していて、欧州子会社の第一三共ヨーロッパGmbHグループを通じて販売している。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/1017/20090901_%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E9%80%A3%E6%90%BA%EF%BC%88%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2%EF%BC%89_final.pdf

434.

新しい骨粗鬆症治療薬として期待されるdenosumab:FREEDOM

 骨粗鬆症の治療に有用ではないかと期待されているdenosumabは、破骨細胞の形成、作用に不可欠なサイトカインであるRANKL(receptor activator of nuclear factor-κB ligand)に作用し、骨吸収を抑制し骨密度を増加する完全ヒトモノクローナル抗体である。骨粗鬆症、がんの骨転移、関節リウマチによる関節破壊などさまざまな骨代謝異常の治療・予防を目的に開発が行われている。本論は、FREEDOMと呼ばれる国際間無作為プラセボ試験からの報告。NEJM誌2009年8月20日号(オンライン版2009年8月11日号発表)にて掲載された。骨密度-2.5未満の60~90歳女性7,868例をdenosumab 60mg群とプラセボ群に無作為化 REEDOM試験(Fracture Reduction Evaluation of Denosumab in Osteoporosis Every 6 Months)は、60~90歳の女性で腰椎または股関節の骨密度Tスコアが、-2.5未満(-4.0まで)の7,868例が参加し行われた。 被験者は無作為に、denosumab 60mg群とプラセボ群に割り付けられ、皮下投与が6ヵ月毎に36ヵ月間行われた。 主要エンドポイントは、X線上の新規の椎体骨折。副次エンドポイントは、非椎体および股関節の骨折とされた。新規の椎体骨折リスク68%低いなど骨折リスクが低減 プラセボ群と比べてdenosumab群は、新規の椎体骨折リスク発生が相対的に68%低かった。累積発生率は、プラセボ群7.2%に対しdenosumab群2.3%で、リスク比は0.32(95%信頼区間:0.26~0.41、P<0.001)。 股関節骨折もdenosumab群のほうが、相対的に40%低かった。累積発生率は、プラセボ群1.2%に対しdenosumab群0.7%で、ハザード比は0.60(同:0.37~0.97、P=0.04)。 非椎体骨折もdenosumab群のほうが、相対的に20%低かった。累積発生率は、プラセボ群8.0%に対しdenosumab群6.5%で、ハザード比は0.80(同:0.67~0.95、P=0.01)。 がん、感染症、心血管疾患、治癒の遅れ、低カルシウム血症のリスク増加は認められず、顎骨壊死例やdenosumabの投与有害反応はなかった。

435.

骨粗鬆症椎体骨折への椎体形成術、有益な効果が認められず

モナッシュ大学(オーストラリア)臨床疫学部門のRachelle Buchbinder氏らは、有痛性の骨粗鬆症椎体骨折における、PMMA(polymethylmethacrylate)経皮注入による椎体形成術に関する無作為化試験を行った。同治療は一般的になっているが、その施行を支持する十分なエビデンスはない。NEJM誌2009年8月6日号掲載より。多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験試験は多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験で行われた。本試験は追跡期間2年を設定し、被験者登録は2004年4月~2008年10月末まで行われた。被験者は、12ヵ月未満に1あるいは2椎体の有痛性骨粗鬆症骨折を起こし治癒しておらず、MRIにて確認された患者で、椎体形成術を受ける群と偽処置を受ける群に割り付けられた。評価は、対象患者を、治療施設、性別、疼痛持続期間(6週未満か6週以上)で層別化し、術後1週、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月時点の結果が評価された。主要転帰は、3ヵ月時点での、全般的な疼痛度(スケール:0~10、10が考えられる最大疼痛)とした。登録被験者は78例(椎体形成術群:38例、偽処置群:40例)、うち71例(91%、同:35例、36例)が6ヵ月間の追跡調査を完了した。術後1週、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月時点、いずれにおいても優位性認められず椎体形成術群は、いずれの評価時点でも、アウトカムに優位性は認められなかった。両群とも、評価時点を追うごとに、全体的な疼痛度は有意に低下していた。3ヵ月時点での疼痛スコアは平均(±SD)、椎体形成術群群で2.6(±2.9)、偽処置群で1.9(±3.3)、それぞれ低下していた。補正後の群間差は、0.6(95%信頼区間:-0.7~1.8)。同様の改善効果が、夜間疼痛、安静時疼痛、身体機能、QOLに関して認められた。なお、6ヵ月の追跡期間中に椎体骨折7例(椎体形成術群3例、偽処置群4例)が発生した。Buchbinder氏は、「偽処置と比べて、いずれの評価時点でも、椎体形成術の有益な効果を見いだせなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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味の素、P&Gから骨粗鬆症治療剤リセドロネート事業に関する特許・商標など取得

味の素株式会社(以下味の素(株))は、7月31日、The The Procter & Gamble社およびProcter &Gamble Pharmaceuticals社(本社:アメリカ、以下あわせてP&G社)より、日本における骨粗鬆症治療剤リセドロネート(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)事業に関する特許、商標等の資産を、総額210百万USドル(消費税込み:約210億円)で譲り受ける契約を締結したと発表した。味の素(株)は、同契約の締結により、これまでライセンス製品であった日本におけるリセドロネート事業の研究開発、製造および販売の権利をP&G社から取得する。セドロン酸ナトリウム水和物は、P&G社が開発したビスフォスフォネート系製剤。日本では、骨粗鬆症の効能・効果で、2002年5月に1日1回2.5mg投与製剤、2007年6月に週1回の投与で1日1回の投与と変わらない効果が得られる週1回17.5mg投与製剤の販売を開始している。また、週1回17.5mg投与製剤については、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けて、骨ページェット病に対する開発を行い、2008年7月に効能追加承認も取得。同製剤は世界の約100カ国で広く使用されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.ajinomoto.co.jp/press/2009_07_31.html

437.

高血圧予防には、リスクを低下する6つの生活習慣を:女性

米国ハーバード医科大学/ブリガム&ウィメンズ病院腎臓病部門のJohn P. Forman氏らは、女性における、高血圧症発症と食事・生活習慣との関連を評価した。高血圧は、女性において重要な、死が予防可能なリスク因子である。しかし高血圧症発症のための改善可能なリスク因子が特定される一方で、それらリスク因子の組み合わせや配分に関しては評価が行われていなかった。JAMA誌2009年7月22・29日合併号より。27~44歳女性83,882例の6つの生活習慣と高血圧発症との関連を評価Forman氏らは、第2次「Nurses’Health Study」の参加者で、1991年時点で高血圧、心血管疾患、糖尿病、がんの病歴がなく、正常血圧(収縮期血圧120mmHg、拡張期血圧80mmHgと定義)だった27~44歳83,882例を対象に前向きコホート研究を行った。追跡期間は2005年までの14年間。高血圧に関する6つの改善可能な(高血圧リスクを低下する)生活習慣を定め、それら生活習慣の組み合わせと高血圧発症との関連を調べた。リスクを低下する生活習慣とは、(1)BMI:25未満、(2)毎日平均30分の運動、(3)ダイエット食(DASH:Dietary Approaches to Stop Hypertension)の高摂取、(4)適度(10g/日)な飲酒、(5)週1回未満の非麻薬性鎮痛薬の服用、(6)葉酸サプリ(400μg/日以上)の服用で、3つ〔(1)~(3)〕、4つ〔(1)~(4)〕、5つ〔(1)~(5)〕、6つ〔(1)~(6)〕の各組み合わせと高血圧発症との関連が検討された。主要評価項目は、自己申告に基づく高血圧発症の補正ハザード比、および母集団寄与率(PARs)。高血圧症の報告は、合計12,319例だった。追跡期間における、全6つの改善可能なリスク低下因子(生活習慣)は、高血圧症発症のリスクと独立して相関していた。年齢、人種、高血圧症の既往歴、喫煙状態、経口避妊薬服用で補正後も変わらなかった。最も強力な予測因子はBMI全6つのリスク低下因子を有していた女性(母集団の0.3%)の、高血圧症発症のハザード比は、0.22(95%信頼区間:0.10~0.51)だった。推定PARは、78%(同:49%~90%)。これは、もし全女性が6つのリスク低下因子を実行していていた場合、高血圧症の新規発症が回避される人は、推定78%に上ることを示す。発症率の絶対差(ARD)は、1,000人・年当たり8.37例であった。5つのリスク低下因子を有している女性(母集団の0.8%)のPARは、72%(95%信頼区間:57%~82%)、ARDは1,000人・年当たり7.76例だった。4つのリスク低下因子を有している女性(母集団の1.6%)のPARは、58%(同:46%~67%)、ARDは1,000人・年当たり6.28例だった。3つのリスク低下因子を有している女性(母集団の3.1%)のPARは、53%(同:45%~60%)、ARDは1,000人・年当たり6.02例だった。高血圧症の最も強力な予測因子はBMIで、BMIが25以上だった人の補正後PARは25未満の人との比較で40%(同:38%~41%)だった。Forman氏は「リスクを低下する生活習慣は、高血圧症の低下と有意に関連していた。これら習慣を取り入れることは、若い女性の高血圧の新規発症を、相当数予防できることにつながるだろう」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

438.

「テリパラチド」がグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症治療薬として適応追加承認取得

 イーライリリー・アンド・カンパニーは7月23日(現地時間)、米食品医薬品局(FDA)がテリパラチド(一般名。米国での販売名:Forteo [遺伝子組み換え、注射剤])の追加適応症を承認したと発表した。新しい適応は、「骨折リスクの高い男女における継続的全身グルココルチコイド(ステロイド)療法に関連する骨粗鬆症の治療」。グルココルチコイド(ステロイド)療法は、続発性骨粗鬆症の最も多い原因であり、骨量の減少と骨折リスク上昇を引き起こすという。 グルココルチコイド(ステロイド)誘発性骨粗鬆症(GIO: glucocorticoid-induced osteoporosis)は、関節リウマチや閉塞性肺疾患などの炎症性疾患に対して処方されるグルココルチコイド(ステロイド)剤の長期的使用が関与して起こる。データによれば、50歳以上の成人100名のうち3名までがグルココルチコイド(ステロイド)剤を使用。長期的にグルココルチコイド(ステロイド)療法を受けている患者のうち約50%は骨粗鬆症による骨折を起こす可能性があり、グルココルチコイド(ステロイド)剤を使用すると骨形成が低下する恐れがあるとのこと。テリパラチドは、骨形成を促進することによって、これに対抗することが示されているという。 FDAによる今回の新適応症の審査過程で、同社は「グルココルチコイド(ステロイド)誘発性骨粗鬆症の患者において、テリパラチドが腰椎骨密度(BMD)をベースラインから18カ月で7.2%上昇。大腿骨近位部では3.6%、大腿骨頸部では3.7%の上昇だった」とする臨床試験のデータを提出したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2009_19.cfm

439.

アリミデックス、閉経後乳がん術後療法の長期投与による骨折は増加傾向を示さず

アストラゼネカ株式会社は13日、閉経後乳がん術後療法におけるアリミデックスの骨折に関する国内レトロスペクティブ調査より、アリミデックスの長期投与によって骨折が増加する傾向は見られなかったと発表した。この調査報告は3日に東京で開催された第17回日本乳癌(がん)学会学術総会にて発表された。同剤は、ホルモン感受性閉経後乳がん患者に対する術後療法の標準治療薬と位置付けられている薬剤で、日本においては使用成績調査結果から安全性・有効性が確立しているという。一方、同剤を含むアロマターゼ阻害剤(AI剤)はその薬理作用により投与後、骨粗鬆症や骨折が発現しやすいと考えられていて、平成19年3月、AI剤共通の注意喚起として、骨密度など骨状態を定期的に観察することが望ましいと添付文書に追記されたとのこと。今回の同剤の骨折に関する国内レトロスペクティブ調査は、同社が同剤の骨への影響を明らかにすること、また日常診療下における骨密度の定期的な観察の実態を把握し、適正使用に関する情報を得ることを目的に実施。 同剤の使用成績調査に登録された術後療法の患者2,416名を対象とし、使用成績調査で収集されたデータと本調査で新たに収集されたデータをあわせて解析した結果、以下が明らかになった。●全体の骨折率は1.13%/年(95%CI 0.90-1.41%/年)で、投与期間と骨折率に関連は認められなかった。●年齢と関節炎、関節痛の既往が骨折の増加に寄与していた。   ・年齢:75歳以上 vs 75歳未満 HR2.99 p

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骨粗鬆症治療剤リカルボンとボノテオが新発売

小野薬品工業株式会社とアステラス製薬株式会社は、両社が国内共同開発し、1月21日付で製造販売承認を取得した骨粗鬆症治療剤を、それぞれ「リカルボン錠1mg(小野薬品)」「ボノテオ錠1mg(アステラス製薬)」(一般名:ミノドロン酸水和物)の名で、4月7日に国内で新発売した。ミノドロン酸水和物は、日本で初めて創薬された経口ビスホスホネート系骨粗鬆症治療剤であり、同系統の薬剤の中でも極めて強力な骨吸収抑制作用を有する。また、同剤は、第III相臨床試験(二重盲検比較試験)において、日本人骨粗鬆症患者におけるプラセボ(偽薬)に対する骨折抑制効果の優越性を検証できた初めての薬剤である。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-42.html

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