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胆道がんのアンメットニーズ充足へ、デュルバルマブ適応追加/AZ

 アストラゼネカは、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が2022年12月23日に「治癒切除不能な胆道癌」「切除不能な肝細胞癌」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応症とした承認を取得したことを受け、「進行胆道がん治療におけるイミフィンジの役割とは~免疫チェックポイント阻害剤による胆道がん治療の変革~」をテーマとして、2023年2月7日にメディアセミナーを開催した。 胆道がんの1年間の罹患数は2万2,201例(2018年)、死亡数は1万7,773例(2020年)と報告されている1)。一般的に、胆道がんは予後不良であり、手術による切除例や切除不能例を含めた胆道がん全体での5年生存率は、20~30%とされている1)。多くの場合、胆道がんは進行期になってから診断され、遠隔転移が認められてから診断される割合は全体の4割に上るという報告もある2)。また、遠隔転移のある場合、1年生存率は14~16%と非常に予後が悪いことも報告されている3)。このように、胆道がんはアンメットメディカルニーズの高いがんといえる。 セミナーの前半では、アストラゼネカが実施した「胆道がん患者調査」の結果4)について、調査を監修した古瀬 純司氏(神奈川県立がんセンター総長)が解説した。セミナーの後半では、古瀬氏が「胆道がんに対する治療選択と薬物療法」をテーマとして、胆道がんの薬物治療の変遷や、治癒切除不能な胆道がん患者を対象にデュルバルマブの有用性を検証した国際共同第III相試験「TOPAZ-1試験」を中心に解説した。胆道がんの認知度向上が早期発見・支援には重要 アストラゼネカは、胆道がん患者の診断~治療の過程での経験や治療に伴う生活の変化を明らかにすることを目的として、全国の胆道がん患者203例を対象にアンケート調査を実施した4)。 胆道がんの年間罹患数は2万2,201例(2018年)と報告されているが1)、胆道がん患者調査では、胆道がん患者の80%は診断される前に胆道がんを知らなかったという。このように胆道がんの認知度が低いこと、胆道がんには特徴的な症状が乏しいことから、「体調の変化があって自ら受診した」ことで診断がついた患者の割合は34%にとどまった。実際に、診断される前の症状として多く挙げられたものは、「みぞおちや右わき腹の痛み(36%)」「食欲不振(34%)」「体重減少(33%)」であり、いずれも胆道がんに特徴的な症状ではなかった。胆道がんに多いとされる「黄疸」を挙げた割合は25%であった。また、体調の変化があってから1週間以内に受診した患者の割合は25%にとどまり、1週間以上経過してから受診した理由として「重大な病気だとは思わなかった(52%)」「普段の生活に影響がない程度だった(45%)」が多く挙げられ、早期診断の難しさを反映する結果であった。 早期診断に向けて、古瀬氏は「胆道がんに多い黄疸の症状に気付いたらすぐに受診してほしい。消化器症状が出たときには胃の異常を疑うだけでなく、患者が『膵臓がん、胆道がんはないでしょうか』と医師に聞くくらい、胆道がんの認知を向上させたい」と語った。 胆道がんの認知度の低さは、早期発見の障壁となるだけでなく、患者が病気について周囲に知らせることや治療についての困りごとの相談の障壁にもなる。胆道がん患者調査において、胆道がんと診断されたことを身近な人に知らせることの障壁となった理由として多く挙げられたものは、「相手が胆道がんという病気をあまり知らなかった(35%)」「胆道がんがどのような疾患か説明するのが難しかった(28%)」「相手に説明できるほど自分自身が胆道がんについて理解できていなかった(26%)」であり、認知度の低さに関する理由が上位を占めた。 古瀬氏は、本調査結果についての結論を以下のとおりまとめた。・胆道がんは初期症状や特有の症状に乏しく、受診につながりにくいため早期発見の取り組みが必要である。・セカンドオピニオン、治療内容について、患者はとくに情報を求めている。・治療のみならず、日常生活の変化を支える情報提供・サポート体制が必要である。・胆道がんの認知度の低さが、患者の周囲への打ち明けにくさにつながるため、疾患の認知度向上が重要である。デュルバルマブが胆道がん1次治療の新たな選択肢に 本邦の胆道癌診療ガイドラインおよび肝内胆管癌ガイドラインでは、切除不能胆道がん、切除不能肝内胆管がんに対する1次治療の薬物療法として、「ゲムシタビン+シスプラチン併用療法」「ゲムシタビン+S-1併用療法」「ゲムシタビン+シスプラチン+S-1併用療法」が推奨されている5,6)。2019年以降、免疫チェックポイント阻害薬・がんゲノム医療の時代となってきたが、これまで胆道がんにおける免疫チェックポイント阻害薬は、2次治療以降の位置付けであった。そこで、新たな1次治療の開発が行われており、その1つが治癒切除不能な胆道がん患者を対象にデュルバルマブの有用性を検証した、国際共同第III相試験「TOPAZ-1試験」である。デュルバルマブは、本試験の結果をもとに「治癒切除不能な胆道癌」を適応症とした承認を取得している。 TOPAZ-1試験7-9)は、治癒切除不能な胆道がん患者685例を対象に、1次治療として「デュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチン(デュルバルマブ+GC群)」または「プラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン(プラセボ+GC群)」に1:1に無作為に割り付け、3週間間隔で最大8サイクル投与し、その後デュルバルマブまたはプラセボを4週間間隔で、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで投与した試験である。主要評価項目は全生存期間(OS)、主要な副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)であった。その他の副次評価項目として、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)などが評価された。 有効性について、中間解析時においてデュルバルマブ+GC群はプラセボ+GC群に比べて、OSが有意に延長し、優越性が検証された(OS中央値:12.8ヵ月vs.11.5ヵ月、ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.66~0.97、p=0.021[両側有意水準0.0300])。24ヵ月時点の全生存率は、デュルバルマブ+GC群24.9%、プラセボ+GC群10.4%であった。ORRはそれぞれ26.7%、18.7%であり、デュルバルマブ+GC群が有意に高率であった(オッズ比:1.60、95%CI:1.11~2.31、p=0.011)。奏効が認められた患者のDoR中央値はそれぞれ6.4ヵ月、6.2ヵ月であった。12ヵ月以上奏効が持続した患者の割合はそれぞれ26.1%、15.0%であった。 安全性に関して、Grade3または4の有害事象の発現率はそれぞれ73.7%、79.2%であった。この結果について、古瀬氏は「デュルバルマブ上乗せにより懸念される有害事象はなかった」と述べた。ただし、「免疫チェックポイント阻害薬に共通することとして、免疫介在性有害事象が認められる。一つひとつの事象の頻度は高くないが、注意が必要である」とも述べた。 米国のNCCNガイドライン第5版には、すでに「デュルバルマブ+GC療法」が切除不能な胆道がんに対するpreferred regimensの1つとして記載されており10)、古瀬氏は「本邦のガイドラインも改訂作業に入っており、遠からず掲載されるだろう」と語った。■参考文献1)公益財団法人がん研究振興財団. がんの統計20222)九州大学病院がんセンター. 九州大学病院のがん診療 胆道がん3)大阪国際がんセンター. 胆のう・肝外胆管がん4)アストラゼネカの「胆道がん患者調査」で判明、胆道がんの認知度の低さが周囲に病気を知らせることや困りごとを相談するハードルになっている5)日本肝胆膵外科学会、胆道癌診療ガイドライン作成委員会編. エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版. 医学図書出版;2019.6)日本肝癌研究会編. 肝内胆管癌診療ガイドライン 2021年版. 金原出版;2020.7)承認時評価資料:Imfinzi社内資料(一次治療の進行胆道癌患者を対象とした国際共同第III相試験[TOPAZ-1試験]、2021)8)承認時評価資料:Imfinzi社内資料(一次治療の進行胆道癌患者を対象とした国際共同第III相試験[TOPAZ-1試験]:日本人集団、2021)9)Oh DY, et al. NEJM Evid. 2022;1:1-11.10)National Comprehensive Cancer Network. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology Hepatobiliary Cancers Version 5, 2022

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抗CTLA-4抗体トレメリムマブ+デュルバルマブ、非小細胞肺がん1次治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)と、新たな抗CTLA-4抗体トレメリムマブ(同:イジュド)の併用療法が、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症で承認されたと発表した。 今回の承認は、切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、1次治療として、デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法、デュルバルマブ+化学療法と化学療法を比較した第III相無作為化非盲検多施設共同国際試験POSEIDONの結果に基づくもの。 ESMO2022のPOSEIDON試験の発表では、長期追跡(36.5ヵ月)においても、トレメリムマブ+デュルバルマブ+化学療法の全生存期間(OS)延長のベネフィットが報告されている。

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TS-1、ER+HER2-乳がん術後療法に適応拡大/大鵬

 大鵬薬品工業は2022年11月24日、経口抗がん薬TS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、商品名:ティーエスワン配合カプセルT20・T25/ティーエスワン配合顆粒T20・T25/ティーエスワン配合OD錠T20・T25)について、新たな適応として「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の承認を、厚生労働省より取得したことを発表した。TS-1がエストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法としてiDFS延長 今回の承認は、医師主導臨床試験である「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するTS-1術後療法」(POTENT試験)の結果に基づく。同試験では、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳がんに対する術後補助療法において、標準的な治療法である内分泌療法(5年間)を対照群とし、この内分泌療法(5年間)と経口抗がん薬TS-1(1年間)を併用する治療法を試験群として、再発抑制効果が高まることを無作為化比較第III相試験により検証することが目的とされた。主な評価項目は、浸潤性疾患のない生存期間、全生存期間および安全性などで、2012年2月~2016年2月の症例登録期間中に全国の乳がん専門施設139施設から1,959例が登録された。 POTENT試験の結果より、TS-1と内分泌療法の併用は、再発中間リスク以上のエストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の原発性乳がん患者に対し、臨床的に意義のある浸潤性疾患のない生存期間(Invasive Disease Free Survival:iDFS)の延長を認めた。また、安全性はこれまでにTS-1で報告されているプロファイルと同様であり、POTENT試験で新たな懸念は確認されなかった。<TS-1製品概要>・販売名:ティーエスワン配合カプセルT20・T25ティーエスワン配合顆粒T20・T25ティーエスワン配合OD錠T20・T25・一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム・効能・効果:胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法・用法・用量:<ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法>内分泌療法剤との併用において、通常、成人には次の投与量を朝食後および夕食後の1日2回、14日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1クールとして最長1年間、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜増減する。初回基準量を超える増量は行わないこと。体表面積1.25m2未満:40mg/回*体表面積1.25m2以上1.5m2未満:50mg/回体表面積1.5m2以上:60mg/回*初回基準量(テガフール相当量)・承認取得日:2022年11月24日

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オシメルチニブのEGFR変異陽性肺がん術後補助療法が国内承認/AZ

 アストラゼネカは、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)について、2022年8月24日、「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」の適応症について、厚生労働省の承認を取得したと発表。 肺がんは罹患率が高く、死亡率の高いがん種である。日本を含むアジアにおいては、非小細胞肺がん(NSCLC)の約30〜40%がEGFR遺伝子変異陽性と診断されており、欧米と比較してその割合が高いことが知られている。また、NSCLC患者全体の最大30%が、切除可能な早期NSCLCと診断されるが、依然として再発することが課題であり、これまでに、IB期と診断された患者の半数近く、IIIA期と診断された患者の4分の3以上が、5年以内に再発を経験していると報告されている。 今回の承認は、オシメルチニブの病理病期II期およびIIIA期のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法における無病生存期間(DFS)を主要評価項目とした第III相ADAURA試験のデータに基づいている。同試験でオシメルチニブはDFSのハザードリスクを83%減少させている(ハザード比[HR]:0.17、99.06%CI:0.11~0.26、p<0.001)。 ADAURA試験のデータ解析は2022年の予定であったが、オシメルチニブが顕著な有効性を示したことから、独立データモニタリング委員会の勧告に従って早期(2020年)に試験結果が報告された。

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アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後補助療法が承認/中外

 中外製薬は2022年5月26日、アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)について、「PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対する適応追加の承認を取得した。 PD-L1発現状況の確認は、ロシュ・ダイアグノスティックスの病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP263)」によって行う。同検査用キットはコンパニオン診断として2022年5月23日に適応追加の承認を取得している。 今回の承認は、非小細胞肺がんの術後補助療法における第III相臨床試験IMpower010試験の成績に基づいている。同試験は、腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現しているII期~IIIA期の非小細胞肺がんの手術および化学療法を実施後の患者において、支持療法と比較して、アテゾリズマブによる治療が再発または死亡のリスク(無病生存期間、DFS)を34%低下させた(ハザード比:0.66、95%信頼区間:0.50~0.88)。主な副作用(5%以上)は、甲状腺機能低下症、そう痒症、発疹、AST増加、ALT増加、甲状腺機能亢進症、発熱、関節痛等であった。■関連記事アテゾリズマブによるNSCLCアジュバント アジア人の成績(IMpower010)/日本臨床腫瘍学会免疫治療薬による非小細胞肺がん術後アジュバント「IMpower010」アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後アジュバントが米国で承認/ロシュアテゾリズマブによるNSCLCアジュバントの成績は?(IMpower010)/ASCO2021

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世界初、RET融合遺伝子TKIのセルペルカチニブ発売/日本イーライリリー

 2021年9月末にセルペルカチニブ(商品名:レットヴィモ)が「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」に対する治療薬として世界で初めて承認され、日本イーライリリーは発売に合わせ12月16日にプレスセミナーを開催した。セルペルカチニブはRET融合遺伝子陽性のがんでRETキナーゼを選択的に阻害 日本における肺がんの罹患全国推定数は約12万人(2017年)、がん種別の死亡数では男女とも1位(2019年)。従来の手術、化学療法、放射線療法に加え、近年の分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により、治療が著しく進化している。セミナーでは国立がん研究センター東病院の後藤 功一氏が、肺がんにおける遺伝子治療の現状やセルペルカチニブ承認の基となったデータを解説した。 セルペルカチニブはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の1つで、RET融合遺伝子変異はNSCLCの約2%に発生する希少変異。RET融合遺伝子陽性のがんでは、がん細胞の増殖と生存がRETキナーゼの活性化に依存しており、活性化されたRETキナーゼを選択的に阻害することで腫瘍の増殖を阻害する、というのが作用機序となる。 現在NSCLCではEGFR、ALK、ROS1、BRAF、NTRL、MET、そして今回のRETを含めた7つの変異をターゲットとした薬剤が承認済だが、発現頻度の高いEGFR、ALK変異等をターゲットにした薬剤が優先して開発されてきた経緯がある。後藤氏は「希少変異は製薬メーカー主導の開発が難しいため、国立がん研究センターを中心とした研究基盤であるLC-SCRUM-Asiaで遺伝子変異解析と医師主導治験を進めてきた」と説明した。 今回のセルペルカチニブの承認は、国際共同治験LIBRETTO-001の結果を受けたもの。後藤氏は「参加16ヵ国83施設746例中、日本からは13施設64例が参加し、大きな役割を果たした」と紹介した。LIBRETTO-001におけるセルペルカチニブの奏効率(CR+PR)は未治療例で70.5%(95%CI:54.8~83.2)、既治療例で56.9%(49.8~63.8)。「従来の化学療法の奏効率は30%程度、ICI単剤の場合15%程度なので、セルペルカチニブに限らずTKIは非常に奏効率が高い」(後藤氏)。さらにセルペルカチニブは中枢神経系に対する奏効率も82%と高く、脳転移に対する効果も期待される。 有害事象としては、高血圧36.6%(Grade3以上19.2%)、ALT増加32.6%(同9.8%)、AST増加32.6%(同8.3%)が高頻度だった。後藤氏は「セルペルカチニブはRETの選択性が高いために全体的に毒性が低く、外来でも十分マネジメントは可能と考える。発疹をはじめとした過敏症が認められるケースがあったが、そうしたケースも休薬・減薬とステロイド投薬で対応できており、投薬中止例はほとんどなかった」と解説した。 最後に「今後1、2年で肺がんではHER2、KRAS、EGFRエクソン20挿入変異に対するTKIも臨床応用されるようになり、遺伝子解析と個別化医療がさらに一般的なものとなるだろう」とした。

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ロルラチニブがALK陽性肺がんの1次治療に追加承認/ファイザー

 ファイザーは、2021年11月25日、第3世代ALK-TKIロルラチニブ(製品名:ローブレナ)が「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」(以下、ALK陽性肺がん)の治療薬として、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請の承認を取得したと発表。ロルラチニブは米国でも同様の適応症で2021年3月に承認を取得 今回のロルラチニブの承認は、未治療のALK陽性肺がんを対象とした第III相試験CROWN試験の結果に基づくもの。 この承認取得により、ロルラチニブは、ALK陽性肺がんの2次治療以降だけでなく、1次治療薬としても使用することが可能となる。 米国においてもロルラチニブは同様の適応症で2021年3月に承認を取得している。ロルラチニブは、2018年9月に世界に先駆けて日本で「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症で承認を取得し、同年11月に発売した。  また、非小細胞肺がん治療におけるロルラチニブのコンパニオン診断薬として「ベンタナ OptiView ALK(D5F3)」が、2021年11月15日に一部変更を承認取得している。

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セルペルカチニブがRET陽性非小細胞肺がんに国内承認/イーライリリー

 日本イーライリリーは、2021年9月27日、セルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ)について、厚生労働省より「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する治療薬として、製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、国際共同第I/II相試験であるLIBRETTO-001試験に基づいたもの。 セルペルカチニブは、RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対して世界で初めて承認された、RETのキナーゼ活性を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬である。 RETの活性化は、RETのキナーゼドメインとパートナータンパク(CCDC6、KIF5B、NCOA4 等)の二量体化ドメインが融合することで、リガンドに依存せず恒常的にキナーゼが活性化した状態になる染色体再構成(RET融合遺伝子)により起こると考えられている。セルペルカチニブは、活性化されたRETを選択的に阻害することで、腫瘍の増殖を阻害すると考えられている。

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アナモレリン、がん悪液質に新たな治療選択肢/小野薬品

 小野薬品工業は、2021年4月21日、グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)について、「悪性腫瘍(非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌)におけるがん悪液質」の効能又は効果で国内において新発売した。アナモレリンの効果はがん悪液質患者の体重および筋肉量の増加並びに食欲の増加 がん悪液質は、がんに伴う体重減少(特に筋肉量の減少)や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群であり、がん患者の生活の質(QOL)や予後に顕著な影響を及ぼすことが分かってきているが、これまでに国内でがん悪液質の治療薬として承認された薬剤はなかった。 グレリンは、主に胃から分泌される内在性ペプチドである。グレリンがその受容体に結合すると、体重、筋肉量、食欲および代謝を調節する複数の経路を刺激する。アナモレリンはグレリン様作用で、がん悪液質患者における体重および筋肉量の増加並びに食欲の増加効果を示している。アナモレリンの製品概要エドルミズ錠50mgの概要・製品名:エドルミズ®錠 50mg・一般名:アナモレリン塩酸塩・効能又は効果:下記の悪性腫瘍におけるがん悪液質        非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌・用法及び用量:通常、成人にはアナモレリン塩酸塩として100 mgを1日1回、空腹時に経口投与する。・製造販売承認日:2021年1月22日・薬価基準収載日:2021年4月21日・薬価:246.40円/錠・製造販売:小野薬品工業株式会社

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器

第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)第3回 咳嗽・喀痰第4回 喘息第5回 肺炎第6回 肺癌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。呼吸器については、島根大学医学部附属病院の長尾大志先生がレクチャーします。ガイドラインの改訂がとくに顕著な呼吸器領域。疾患の概念や治療方針に関する大きな変更点、新たに採用された診断基準に注目します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。2018年のガイドライン改訂により、炎症だけでなく非炎症性機転も重視され、FEV1の数値と合わせて、各症状の程度を加味した総合的な重症度の判断が求められるようになりました。喘息とCOPDを合併したACOは、COPD全体の10~20%を占め、治療には吸入ステロイドを併用します。増悪した際の治療手順も試験で問われやすいポイントです。第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)特発性間質性肺炎(IIPs)は、明らかな原因を特定できない間質性肺炎の総称。主要6疾患と、その他の希少疾患に分類されます。各疾患名だけでなく、対応する病理組織パターンもしっかり確認しておきましょう。中でも重要なのが特発性肺線維症(IPF)。IPFの診断は、病理診断は必須ではありませんが、アルゴリズムに沿って複数の項目をチェックします。他のIIPsと唯一異なるIPF治療のポイントは、ステロイドを使用しないこと。第3回 咳嗽・喀痰「咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019」では、咳嗽と密接に関連している喀痰の項目を新たに追加。咳嗽と喀痰の原因疾患は、急性と慢性に大別されます。狭義の感染性咳嗽、いわゆる風邪には、抗菌薬は不要です。多彩な疾患が鑑別に上がる遷延性・慢性の咳嗽。鑑別診断では、結核や肺癌など危険な疾患を見逃すことなく、後鼻漏の原因となる好酸球性副鼻腔炎や、喘息、胃食道逆流症なども念頭に置きます。※この番組は2020年3月に収録したものです。新型コロナウイルス感染症については取り上げていません。第4回 喘息変動性を持った気道狭窄や咳などの症状を起こす喘息。これまで明確な診断基準は示されていませんでしたが、「喘息とCOPDのACO診断と治療の手引き2018」に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)値が診断に有効な指標として記載されました。近年の重要な治療方針の変更点は、以前は重症のみに使用されていた抗コリン薬が、比較的初期から吸入ステロイドと併用可能になったこと。重症例に効果的な抗体医薬も増えているので、しっかり押さえておきましょう。第5回 肺炎市中肺炎、院内肺炎、医療・介護関連肺炎の3つの肺炎が統合されたガイドラインが2017年に発表されました。終末期の症例が含まれる院内肺炎と医療・介護関連肺炎を1つの診療群とし、市中肺炎と区別した診療プロセスが示され、終末期における患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアのあり方が重要なトピックとなっています。肺炎の種別の重症度スコアリング法や、段階別の治療戦略、適応できる薬剤を解説します。第6回 肺癌今回は非小細胞肺癌について詳しく解説します。肺癌については新規薬剤の開発が盛んで、それに伴ってガイドラインもオンラインで頻繁に更新されています。まずTMN分類で、手術、放射線治療、または薬剤治療のどれを採用するか適応判断。キナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、生存期間の延長が見込めるようになりました。副作用に耐えられるか、患者さんの体力も考慮しながら使用できる薬剤を選択します。

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ALK陽性肺がん1次2次治療にブリグチニブ国内承認/武田薬品

 武田薬品工業は、2021年1月22日、ブリグチニブ(商品名:アルンブリグ)について、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応とする1次および2次以降の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 今回の承認は主に、ALKチロシンキナーゼ阻害薬治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者72例を対象とした国内臨床第II相試験であるBrigatinib-2001 (J-ALTA)およびALKチロシンキナーゼ阻害薬による治療歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした海外臨床第III相試験であるAP26113-13-301(ALTA-1L)の結果に基づくもの。 ブリグチニブの治療を受けた日本人の患者において報告された最も一般的な副作用(≥25%)は、血中CPK増加、下痢、高血圧、悪心、リパーゼ増加、アミラーゼ増加、AST増加および口内炎であった。

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ペムブロリズマブをMSI-High大腸がん1次治療にがん国内申請/MSD

 MSDは、2020年9月10日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名:キイトルーダ)について、切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんに対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。 今回の製造販売承認事項一部変更承認申請は、治療歴のない切除不能な進行・再発のMSI-Highまたはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を有する結腸・直腸がん患者を対象とする多施設共同無作為化非盲検対照薬比較試験であるKEYNOTE-177のデータ等に基づいたもの。 ペムブロリズマブは、2017年2月15日に国内販売を開始し、これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」「がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮癌」の効能・効果について承認を取得している。また、乳がん、前立腺がん、胃がん、肝細胞がん、小細胞肺がん、子宮頸がん、進行性固形がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中である。

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METエクソン14スキッピング肺がん治療薬カプマチニブ発売/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ、2020年8月26日、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として、カプマチニブ (商品名:タブレクタ)を発売した。 カプマチニブはMETに対する選択的な経口阻害薬で、NSCLCにおける発がんドライバー因子であるMETex14変異に対しても阻害活性を有する。 METex14変異陽性のNSCLCは、肺がんの中でも予後不良な集団で治療選択肢が限られており、METex14を標的とする治療法の開発が望まれていた。METex14変異はNSCLC患者の約3~4%に報告されており、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者数は日本国内では約3,000名程度と推定される。 カプマチニブのの適応判定は、2020年6月25日に厚生労働省より承認を取得しているFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルによって行う。 カプマチニブは、米国では2019年9月に画期的治療薬指定、本年2月に優先審査品目指定、5月に承認を取得している。本邦においては2019年5月に「MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品指定を受け、 2020年6月29日に製造販売が承認されている。

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ペムブロリズマブ、6週ごと投与の用法・用量を追加/MSD

 MSDは、2020年8月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)のすべての効能・効果における用法・用量について、単剤または併用療法を問わず、これまでの「1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」に加えて、「1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する」が追加となったと発表。 今回の用法・用量追加は、薬物動態シミュレーション、曝露量と有効性または安全性との関係に基づいて検討した結果、新規用法・用量である1回400mgを6週間間隔で投与した場合の有効性または安全性は、既承認の用法・用量である1回200mgを3週間間隔で投与した場合と明確な差異がないと予測され、承認に至ったもの。 ペムブロリズマブは、2017年2月15日に国内で販売を開始した。これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」の効能・効果について承認を取得している。また、乳がん、大腸がん、前立腺がん、肝細胞がん、小細胞肺がん、子宮頸がん、進行固形がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中である。

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FDA、EGFR変異陽性肺がんに対するラムシルマブとエルロチニブの併用の1次治療を承認/イーライリリー

 イーライリリーは、2020年5月29日、米国食品医薬品局(FDA)がEGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者への1次治療に対して、ラムシルマブとエルロチニブの併用療法を承認したと発表。ラムシルマブとエルロチニブ併用療法はEGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCにおいて、FDAが承認した初めてで唯一の抗VEGFR/EGFR-TKI併用療法。今回の承認は、無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第III相試験であるRELAY試験から得られた有効性および安全性に基づいている。 本試験は2015年に開始され、北米、欧州、アジアで449例を組み入れた。RELAY試験の主要評価項目はPFS、主な副次評価項目には安全性、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、全生存期間(OS)が含まれている。主要評価項目である治験責任医師の評価によるPFSでは、ラムシルマブ+エルロチニブ併用療法(n=224)において、PFS 中央値が統計的に有意かつ臨床的意義のある改善を示し、ラムシルマブ+エルロチニブ併用療法の19.4ヵ月に対しプラセボ+エルロチニブ療法は12.4ヵ月だった(HR:0.59、95%CI:0.46~0.76、p<0.0001) 。PFSは、エクソン19とエクソン21のサブグループでも一貫していた。今回のPFSの最終解析時においては、OSデータ解析に必要なイベントが26%のみの発現であったため、OSは十分なイベントが観察されていなかった(HR:0.83、95%CI:0.53〜1.30)。OSの最終解析は300イベントに到達した後に実施する計画。

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テポチニブ、METΔex14変異肺がんに国内承認/メルクバイオファーマ

 メルクバイオファーマは、2020年3月25日、MET遺伝子エクソン14(METex14)スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬テポチニブ(商品名:テプミトコ)について、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表。テポチニブの全奏効率は42.4%、奏効期間中央値は12.4ヵ月 今回のテポチニブの承認は、METex14スキッピング変異のあるNSCLCを対象とした国際共同第II相VISION試験の結果に基づくもの。同試験でのテポチニブの全奏効率は独立判定委員会(IRC)による評価で42.4%、奏効期間中央値は12.4ヵ月であった。また、テポチニブの副作用のほとんどはGrade1または2であり、死亡に至った副作用が1例(急性呼吸不全)認められた。Gradeを問わず10%以上の件数が報告された副作用は、末梢浮腫(53.8%)、悪心(23.8%)、下痢(20.8%)、および血中クレアチニン増加(13.8%)、低アルブミン血症(10.8%)、およびアミラーゼ増加(10.0%)であった。 テポチニブのコンパニオン診断薬は、同様に承認となったArcher METコンパニオン診断システムで、血液検体、腫瘍組織検体のどちらでも利用可能。製品概要製品名:テプミトコ錠250mg一般名:テポチニブ塩酸塩水和物効能又は効果:MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌用法及び用量:通常、成人にはテポチニブ塩酸塩水和物として1回500mgを1日1回食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。国内製造販売承認取得日:2020年3月25日製造販売:メルクバイオファーマ株式会社

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FoundationOne CDx、エヌトレクチニブのROS1肺がんコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は、2019年12月26日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」に関し、現在承認申請中であるエヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)のROS1融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌に対するコンパニオン診断としての使用目的の追加について、厚生労働省より承認を取得したと発表。本プログラムは、ROS1融合遺伝子を検出することにより、ロズリートレクの非小細胞肺がんにおける適応判定を補助する。なお、ロズリートレクのROS1融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌の適応拡大については、2019年3月15日に承認申請を行っている。 本プログラムは、米国のFoundation Medicine, Inc.により開発された、次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。患者の固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常および再編成などの変異等の検出および解析、ならびにバイオマーカーとして、マイクロサテライト不安定性の判定や腫瘍の遺伝子変異量の算出を行う。また、国内既承認の複数の分子標的薬のコンパニオン診断として、適応判定の補助に用いることが可能である。

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扁平上皮肺がんの抗EGFR抗体ネシツムマブ発売/日本化薬

 日本化薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:涌元厚宏、以下「日本化薬」)は、2019年11月22日、抗悪性腫瘍剤ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体ネシツムマブ(商品名:ポートラーザ)を発売した。ネシツムマブは、進行・再発扁平上皮非小細胞肺がんの治療薬としてイーライリリー・アンド・カンパニーが2015年より欧米にて販売しているヒト型抗EGFRモノクローナル抗体である。2019年8月1日付で日本化薬が日本イーライリリー社より製造販売権を承継し、発売準備を行っていた。・製品名:ポートラーザ点滴静注液 800mg・一般名:ネシツムマブ(遺伝子組換え)・効能・効果:切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌・用法・用量:ゲムシタビン及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはネシツムマブ(遺伝子組み換え)として1回800mgをおよそ60分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

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ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブ、国内承認/中外

 中外製薬は、2019年6月18日、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)について、「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」を効能・効果とした製造販売承認を厚生労働省より取得したと発表。エヌトレクチニブは、先駆け審査指定制度対象品目、希少疾病用医薬品の指定を受けていた。エヌトレクチニブは経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害薬 今回のエヌトレクチニブの承認は、主にオープンラベル多施設国際共同第II相臨床試験(STARTRK-2試験)の成績に基づいている。有効性評価は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんの成人患者51例を対象として行った。また、小児の有効性評価は海外第I/Ib相臨床試験(STARTRK-NG試験)に登録されたNTRK融合遺伝子陽性の固形がんの患児5例で行った。一方、安全性評価はSTARTRK-2試験に加え、2つの海外第I相臨床試験(STARTRK-1試験およびALKA試験)の3つの試験に登録された339例を中心に行った。エヌトレクチニブの有効性評価 ・STARTRK-2試験において、RECIST ver.1.1に基づく独立評価委員判定による奏効率は56.9%(95%CI:42.3~70.7%)であった。・STARTRK-NG試験において、RECIST ver.1.1およびRANO規準に基づく主治医判定では、5例中4例に奏効が認められた。エヌトレクチニブの安全性の概要 ・最も一般的な有害事象は、疲労、便秘、味覚異常、浮腫、めまい、下痢、吐き気、知覚異常、呼吸困難、痛み、貧血、認知障害、体重増加、嘔吐、咳、血中クレアチニン増加、関節痛、発熱、および筋肉痛であった。 エヌトレクチニブは、ROS1およびTRKファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害薬であり、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。エヌトレクチニブは、前治療後に病勢進行した、または許容可能な標準治療がないNTRK融合遺伝子陽性の局所進行または遠隔転移を有する成人および小児の固形がんに対し、米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapyに、欧州医薬品庁(EMA)よりPRIME(PRIority MEdicines)に指定されている。国内では2019年3月に「ROS1融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌」を対象とした承認申請を行っている。

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ダコミチニブ、EGFR変異陽性NSCLCに国内承認/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2019年1月8日、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の効能・効果で、EGFR-TKIダコミチニブ(商品名:ビジンプロ錠15mg、同45mg)の製造販売承認を取得した。 ダコミチニブの有効性と安全性は、ダコミチニブとゲフィチニブを直接比較した国際共同第III相ARCHER1050試験の結果により確認された。盲検下での独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間中央値は、ダコミチニブ群では14.7ヵ月、ゲフィチニブ群では9.2ヵ月で、ダコミチニブ群はゲフィチニブ群と比べ、優れた改善を示した。また、全生存期間中央値は、ダコミチニブ群では34.1ヵ月、ゲフィチニブ群では26.8ヵ月であった。ダコミチニブは約7ヵ月間の審査期間を経て承認 ダコミチニブは、日本においては優先審査品目に指定され、2018年5月28日に製造販売承認を申請後、約7ヵ月間の審査期間を経て承認となった。米国では、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査に指定され、2017年9月27日にEGFR活性化変異を有する転移のある非小細胞肺がん治療の1次治療薬として承認を取得している。ビジンプロの概要・製品名:ビジンプロ錠15mg/45mg(VIZIMPRO Tablets 15mg/45mg)・一般名:ダコミチニブ水和物(Dacomitinib Hydrate)・効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌・用法・用量:通常、成人にはダコミチニブとして1日1回45mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・製造販売承認取得日:2019年1月8日・製造販売元:ファイザー株式会社

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