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「進行がんだから仕方がない」は使わない ~外来通院の進行がん患者へのリハビリテーション~【Oncologyインタビュー】第45回

出演:関西医科大学 呼吸器腫瘍内科学講座 勝島 詩恵氏「進行がんだから仕方がない」。がん医療の現場で何げなく使ってしまう言葉ではないだろうか。この言葉を考え直す時期が来ているようだ。外来通院の進行がん患者へのリハビリテーション介入という新たな挑戦が始まっている。関西医科大学の勝島 詩恵氏に聞いた。進行がん患者治療の課題に立ち向かう外来通院がん患者は増加している。その反面、治療に適応するための対策は追いついていないという。外来通院ができるがん患者は、基本的に全身状態(PS)良好で身体機能が維持されているはずだが、実際は問題を抱えているケースが多い。外来通院が可能な状態であっても、進行がん患者である以上、薬物だけで治療は成立しない。患者の栄養状態、身体機能、精神面の安定があってこそ、より良いがん診療ができる。外来通院がん患者に対して、これから始まる、あるいは現在行っている治療に適合させるための介入(リハビリテーション)が必要だと考え、2020年、関西医科大学附属病院は「フレイル外来」を立ち上げた。多職種が連携した介入を実現大学病院などのハイボリュームセンターでは、連日100人を超える外来化学療法患者が受診する施設も珍しくない。そのため、主治医の診察から治療(点滴)開始まで、長い待ち時間が生じ、患者の大きな負担となっている。フレイル外来は、その待ち時間を有効利用する。患者は化学療法外来主治医の診療終了後、フレイル外来を受診する。化学療法レジメンに合わせて、月1~2回の通院が通常である。関西医科大学附属病院のフレイル外来では、腫瘍内科医(勝島氏)が診察を行い、患者の治療内容、副作用や経過などの理解を深める。それ以外にも、食欲不振や体重減少が強い患者には、栄養士への栄養指導の依頼や治療薬に関する主治医への相談を行う。介護保険申請を行っている患者や通院が困難となってきた患者には、デイケアや訪問リハビリテーションの紹介、精神的ケアや症状緩和が必要な患者には緩和ケア科と連携したサポートを行う。フレイル外来には、立ち上げからの3年間で360人の患者が紹介されている。外来の認知度と共に患者は増え、現在は月100人の患者がフレイル外来を受診する。呼吸器、消化器、乳腺などが主体であったが、最近は血液内科から造血幹細胞移植後の患者の紹介も多い。「外来の認知度が上がるにつれ、紹介が増えており、確実なニーズの増加を実感している」と勝島氏は述べる。病勢進行していなくても、半数以上が悪液質を合併していた勝島氏らは、フレイル外来を受診する進行再発肺がん患者の調査を実施した。定期的に外来通院にて化学療法を受ける肺癌患者は基本的にPS良好で、病勢もコントロールされているはずの外来患者だが、フレイル外来初診時、過半数(55.2%)が悪液質を合併していた1)。また、化学療法を受ける進行再発がん患者の悪液質は、低栄養状態、低身体活動が悪液質の臨床的特徴、もしくは、悪液質の特徴として独立した因子として抽出された。低身体活動については、10分以上続けて行う身体活動を評価する「IPAQ*」で評価できたが、従来のPSでは拾い上げられなかった1)。「医師が判断するPSは実際の活動量と乖離している可能性があるため、PSだけで判断すると危険」と勝島氏は言う。*IPAQ(International Physical Activity Questionnaire、国際標準化身体活動質問票):1週間における高強度および中等度の身体活動を行う日数および時間を質問する。治療成績向上、鍵は治療開始までの期間と悪液質の早期予防また、勝島らは、近年肺癌診療において、病期診断、病理診断に一定の時間を要し、その間に身体機能が落ちる患者がいることに着目して調査を行った。初診から治療開始までの期間が長いほど悪液質発症が高まる傾向が明らかになった。初診から治療開始までが45日以上の群では、治療開始までに悪液質発症が増加したが(初診時37%→治療開始時87%)、45日未満の群では増加しなかった(61%→61%)。悪液質の存在は化学療法の効果に悪影響を及ぼすことも示されている。悪液がない患者では、初回化学療法の病勢コントロール率(DCR)は100%、初回治療完遂率も100%であった。一方、悪液質がある患者での初回化学療法のDCRは66.7%、初回治療完遂率は58.7%と、有意差はないものの、悪液質がない患者よりも悪い傾向であった。しかし、悪液質の合併については、医療者も患者も危機意識は低い。勝島氏によれば、がんの確定診断を受けながら、治療開始までの待機期間にPSが悪化し、抗がん剤治療が受けられなくなってしまったケースも少なくないという。悪液質は決してがん終末期の病態ではなく、がん治療の早期にも現れ、抗がん剤治療に悪影響を及ぼす。迅速な診断と介入で、いかに悪液質がない状態で化学療法を実施できるかが、がん治療成功の鍵を握るといえる。これらの研究結果について勝島氏は、「多くの医療者が何となく気付いていたこと。少し全貌が明らかになった」と言う。がんリハビリテーションの質的なメリット進行再発がんリハビリテーションの真のエンドポイントは定まっていない。治療を行ったとしても最終的には病勢が進行する。そのため、体重や身体機能などの量的なエンドポイントは、いずれ達成できなくなってしまう。一方、フレイル外来通院患者の中には、病勢が進行しても受診を希望する患者も多い。そのため、進行再発がん患者へのリハビリテーションは、量的な効果だけでなく、質的な効果を持つのではないかという仮説を立てた。そして、フレイル外来通院患者に、リハビリテーションでの経験について、半構造化面接法によるインタビューを行った。その結果、がんリハビリテーションに取り組むことで、フレイル外来通院患者は「身体機能改善に対する期待感」「変化を客観的に把握できる安心感」「自分の存在意義の再確認」といったポジティブな経験をし、根治不能な進行がんとの付き合い方を見いだしていることがわかった2)。現時点でできることとはいえ、すべての施設で関西医科大学のような取り組みができるわけではない。そのような中、医療者ができることは何だろうか。まず、悪液質に対する危機意識を高めるべきだと勝島氏は強調する。また、医療者と共に患者の理解も重要だ。治療医の言葉は患者に大きな影響を与える。治療医から患者への「どれだけ動けて、痩せずに治療を受けられるか、で抗がん剤の効果も変わってくる」などの一言で、患者の理解も深まるという。多職種連携の最初の一石は医師しか投じられない。モチベーションが高い理学療法士や看護師は多いが、医師からの紹介がないと動くことはできないことも多い。勝島氏は「治療医から発信するがん悪液質診療を形作るべき」と述べる。前向き試験の取り組み前述の先行試験から、悪液質は初回治療前からでも存在し得ること、治療に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。勝島氏らは、次の段階として前向き試験を実施し、初回治療前からの運動・栄養療法が進行再発がんにおける悪液質の発症を抑制し、がん治療に良い効果を生み出すか否かを検証する予定である。今回の試験は治療前から介入するため、少なくとも化学療法の影響を受けない。交絡因子として化学療法の影響を受けないことから、がんリハビリテーションの効果をより純粋に評価できる可能性があるという。外来がんリハビリテーションの診療報酬獲得に結び付ける現在は、患者も医療者も、治療中の体重減少や身体機能低下の重要性について認識不足で、介入も遅れがちである。実際、フレイル外来には、痩せきって身体機能が落ちてから紹介されるケースも少なくないという。早期からのリハビリテーションの重要性を医療者が認識することで、治療効果が乏しくなる前に介入できる。勝島氏は、「痩せて筋力もない患者が、化学療法という大きな剣を無理やり持たされている状況が悪液質。それに対し、早期から多職種が介入して、身体機能や栄養状態、精神面を維持してもらうことで、大きな剣をしっかり振りかざすことができる」とし、「われわれの研究によって、運動療法・栄養療法という低コストの介入が、進行がん治療に寄与することが証明できれば、最終的には外来がんリハビリテーションの診療報酬獲得に結び付くかもしれない」と述べた。画像を拡大する画像を拡大する(ケアネット 細田 雅之)参考1)Katsushima U, et al. Jpn J Clin Oncol. 2024 Jan 11. [Epub ahead of print]2)勝島 詩恵ほか. Palliative Care Research.2022;17:127-134.

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英語で「慎重かつ前向きに」は?【1分★医療英語】第117回

第117回 英語で「慎重かつ前向きに」は?《例文1》 Let's prepare for the worst and hope for the best.(最悪の事態に備えて準備して、最善を祈りましょう)《例文2》He always has a glass-half-full mentality and never pessimistic.(彼は常に「コップが半分満たされている」という精神でいて、決して悲観的にならない)《解説》“cautiously optimistic”は英語の頻用表現です。“optimistic”は前向き、楽観的という意味で、“pessimistic”(悲観的)の対語です。医療現場では気軽に楽観的な言葉を掛けられない深刻な状況もありますが、「そんな状況でも患者さんを励ましたい」という場面で使うことができます。“cautiously”と前置きすることで、「医師として最大限に慎重に対応はしているが、そのうえで前向きに希望を持って臨みたい」という気持ちを伝えることができます。類似表現として、例文に示した“prepare for the worst and hope for the best”も同じような状況・意図で使われます。英語表現では楽観的・悲観的という性格を、“glass-half-full mentality” or “glass-half-empty mentality”と呼ぶことがあります。これは、水が半分入ったコップを見たときに、楽観的な人は「コップは半分まで満ちている」と言い、悲観的な人は「コップは半分まで空になっている」と言う、という逸話に由来します。講師紹介

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第21回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2024

 日本臨床腫瘍学会は2024年1月31日にプレスセミナーを開催し、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(2024年2月22日~24日)の注目演題などを紹介した。 今回は、国・立場・専門分野・職種・治療手段などのあらゆる障壁をなくし、世界を1つにして皆で語り、議論をして、その先に続く未来を切り拓いていきたいという願いを込め、「Break the Borders and Beyond ~for our patients~」というテーマが設定された。演題数は1,258となり、そのうち海外演題数は511と過去最多になる予定である。プレジデンシャルシンポジウムなどの注目演題 能澤 一樹氏(愛知県がんセンター ゲノム医療センターがんゲノム医療室・乳腺科部 医長)が、本会で企画されているプレジデンシャルシンポジウムを紹介した。プレジデンシャルシンポジウムは8セッション、シンポジウムは30セッション企画されている。プレジデンシャルシンポジウムは以下のとおり。【プレジデンシャルシンポジウム】会長企画シンポジウム1:Real World Data(RWD)活用に向けた基盤整備2月22日(木)9:00~10:20会長企画シンポジウム2:ICIで変わる、周術期治療2月22日(木)10:30~11:30会長企画シンポジウム3:腫瘍内科医に知って欲しい外科治療の進歩2月22日(木)15:30~17:00会長企画シンポジウム4:多学際領域との協働で奏でる臨床腫瘍学の未来2月23日(金)8:20~9:50会長企画シンポジウム5:超高齢社会のがん医療、日本はどうすべきか2月23日(金)9:50~11:20会長企画シンポジウム6:臨床開発や日常診療のためのReal World Data活用を考える2月24日(土)8:20~9:50会長企画シンポジウム7:がん診療は集約化か均てん化か2月24日(土)13:45~15:15会長企画シンポジウム8:新規薬剤開発における新しいドラッグロス2月24日(土)9:50~11:50 また、岩田 広治氏(愛知県がんセンター副院長 兼 乳腺科部長)は、プレジデンシャルセッションが充実していることを強調した。プレジデンシャルセッションで発表されるデータは、過去に国際学会で発表されたものではなく、世界で初めて発表されるデータとなっている。紹介された演題は以下のとおり。【プレジデンシャルセッション】・肺がんグローバル試験の日本人サブセット解析:1演題・肺がんグローバル試験のアジア人サブセット解析:1演題・肺がんグローバル試験の全生存期間アップデート:1演題・消化器がん大規模コホート研究からの新規データ(SCRUM-Japan MONSTAR SCREEN2、GALAXY Trial):3演題・血液がんの新規薬剤第I相試験:1演題・乳がん新規抗体薬物複合体のグローバル試験のアジア人サブセット解析:1演題・乳がん新規グローバル試験のバイオマーカー解析:1演題・日本での新規抗体薬物複合体の第I相試験データ:1演題・消化器がんの日本での第III相試験のバイオマーカー解析:1演題・消化器がんのグローバル試験の日本人サブセット解析:1演題・肝胆膵領域でのJCOG試験の追加解析結果:1演題新規薬剤のドラッグロスへの取り組み 室 圭氏(愛知県がんセンター 薬物療法部 部長)がドラッグロスについて解説した。ドラッグロスは、欧米にて承認されている薬剤が日本では開発されず、使用できないという問題であり、ドラッグロスに該当する抗がん剤は2016年時点で21剤であったのに対し、2020年時点では44剤に増加している。この原因として、海外新興企業が開発する薬剤の増加、臨床試験に日本が組み入れられないことなどが挙げられる。 そこで、わが国が直面する喫緊の問題の解決に向けて、以下のシンポジウムが企画されている。会長企画シンポジウム8:新規薬剤開発における新しいドラッグロス2月24日(土)9:50~11:50リアルワールドデータの活用に向けた諸問題 武藤 学氏(京都大学大学院医学研究科 腫瘍薬物治療学講座 教授)がリアルワールドデータの活用法と現状の課題について紹介した。国際的には、リアルワールドデータを用いて薬剤の承認申請を行うことが検討されており、実際に活用され始めている。日本でもさまざまなデータベースが利用できるようになっているが、アウトカムのデータが存在しない、デジタル化が遅れている、電子カルテメーカーや施設によって情報のコードやデータ構造が異なる、医療者によって記載方法が異なるナラティブデータの取り扱い方が定まっていないなど、課題が山積している。 そこで、リアルワールドデータの活用に向けて、以下のシンポジウムが企画されている。会長企画シンポジウム1:Real World Data(RWD)活用に向けた基盤整備2月22日(木)9:00~10:20会長企画シンポジウム6:臨床開発や日常診療のためのReal World Data活用を考える2月24日(土)8:20~9:50

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医療者の体重減少、1年以内のがん罹患リスク高い/JAMA

 過去2年以内に体重減少がみられなかった集団と比較して、この間に体重減少を認めた集団では、その後の12ヵ月間にがんに罹患するリスクが有意に高く、とくに上部消化管のがんのリスク増大が顕著なことが、米国・ハーバード大学医学大学院のQiao-Li Wang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年1月23/30日号に掲載された。米国の医療従事者を対象とする前向きコホート研究 研究グループは、米国のNurses’ Health Study(NHS)に参加した40歳以上の女性看護師(追跡期間1978年6月~2016年6月)と、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40歳以上の男性医療従事者(追跡期間1988年1月~2016年1月)のデータを用いた前向きコホート研究を行った(NHSとHPFSは米国国立衛生研究所[NIH]の助成を、今回の解析はSwedish Research Councilなどの助成を受けた)。 体重の変化は、両研究の参加者が2年ごとに報告した体重から算出した。また、減量の意思の強度を、減量促進行動としての身体活動の増強と食事の質の改善の有無で、高(両方の行動あり)、中(いずれか一方の行動あり)、低(両方の行動ともなし)の3つに分類した。10万人年当たりの1年がん罹患率:体重減少群1,362人vs.非減少群869人 15万7,474人(年齢中央値62歳[四分位範囲[IQR]:54~70]、女性11万1,912人[71.1%])を解析の対象とした。164万人年の追跡期間中に1万5,809人のがん罹患を同定した(罹患率964人/10万人年)。平均追跡期間は28(SD 10)年だった。 体重の変化を報告してから12ヵ月間のがん罹患率は、体重減少を認めなかった集団が869人/10万人年であったのに対し、10.0%を超える体重減少がみられた集団では1,362人/10万人年と有意に高かった(群間差493人/10万人年、95%信頼区間[CI]:391~594人/10万人年、p<0.001)。早期がん、進行がんのいずれも体重減少の可能性 減量の意思が低い集団における12ヵ月間のがん罹患率は、体重減少を認めなかった集団が1,220人/10万人年であったのと比較して、10.0%を超える体重減少がみられた集団では2,687人/10万人年であり、有意に高率だった(群間差1,467人/10万人年、95%CI:799~2,135人/10万人年、p<0.001)。 とくに上部消化管(食道、胃、肝臓、胆道、膵臓)のがんが、体重減少を認めた集団で多く、最近の体重減少がない集団では36人/10万人年であったのに対し、10.0%を超える体重減少がみられた集団では173人/10万人年であった(群間差:137人/10万人年、95%CI:101~172人/10万人年、p<0.001)。 著者は、「体重減少が0.1~5.0%および5.1~10.0%の集団でも、がん罹患率が有意に高かったが、10.0%超の減少がみられた集団でより顕著であり、減量の意思が“高”の集団よりも“低”の集団で高い傾向がみられた」と述べるとともに、「乳房、生殖器系、泌尿器のがん、脳腫瘍、悪性黒色腫などは体重減少との関連がなく、10.0%超の体重減少との関連を認めたのは、上部消化管のほか、血液、大腸、肺のがんであった」としている。 また、「体重減少の量は早期がんと進行がんで同程度であり、いずれのがんでも体重減少を認めると示唆された。年齢60歳以上で、体重が10.0%を超えて減少し、減量の意思が低い集団では、その後12ヵ月間にがんと診断される確率は3.2%であった」としている。

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CAR-T療法ide-cel、多発性骨髄腫の早期治療に承認の意義/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年12月に同社のCAR-T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel、商品名:アベクマ)が、再発または難治性の多発性骨髄腫の早期治療に承認されたことを受け、2024年1月31日にメディア向けプレスセミナーを開催した。セミナーでは日本赤十字社医療センター・血液内科の石田 禎夫氏が「早期ラインとしての CAR-T 細胞療法(アベクマ)が多発性骨髄腫(MM)の治療にもたらすもの」と題した講演を行い、新たな承認が臨床に与える意味について解説した。 多発性骨髄腫は抗体を産生する形質細胞ががん化し、骨病変、腎障害、免疫不全などを引き起こす疾患。10万人当たり6.2人(2017年)が罹患、高齢者に多い疾患で、高齢化に伴い患者数は増加傾向にある。 多発性骨髄腫の治療戦略は、65歳未満の初発患者は化学療法+自家造血幹細胞移植となり、65歳以上や移植不適患者、再発時には複数薬剤を併用する化学療法の適応となる。2次治療以降に使われる薬剤は、大きく分けてプロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗体薬、HDAC阻害薬があり、これらにステロイド薬デキサメタゾンを組み合わせ、3剤にして投与するレジメンが主流となっている。承認されているレジメンは複数あり、これまで多発性骨髄腫治療におけるCAR-T療法の承認は、これらの薬剤クラスの組み合わせがすべて不適となった4次治療以降だった。 今回の3次治療における承認は、第III相KarMMa-3試験の中間解析結果に基づいたもの。同試験はプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬、抗CD38モノクローナル抗体を含む2~4レジメンの前治療歴を有する患者を対象とし、ide-celと標準療法の有用性を比較した。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ide-cel群13.3ヵ月に対し標準療法群4.4ヵ月と、ide-cel群でPFSの有意な延長が認められ、かつ新たな安全性シグナルは認められなかった。 石田氏は「CAR-T療法は自身のT細胞を使うオーダーメードの治療法であり、投与までに2ヵ月ほどかかる。進行の速い患者さんでは手遅れになることもあり、早期段階で使えることには大きな意味がある。また、大量化学療法を受けて疲弊する前のリンパ球を使えることもメリットだ」とした。さらに「CAR-T療法が奏効した場合は、治療を停止することが可能となり、標準療法と比較して患者のQOLが上がることも大きな利点となる」と説明した。 今後、造血器腫瘍において広がりが見込まれる新規薬剤BiTE抗体(二重特異性T細胞誘導抗体)とCAR-T療法の使い分けについては、「BiTE抗体薬の作用機序として投与後に抗体が変異し、その後にCAR-T療法を行っても意味をなさない可能性がある。よってCAR-T療法を優先し、治療抵抗となったらBiTE抗体薬にスイッチする戦略が現実的ではないか」とした。

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ルスパテルセプトが骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血に承認取得/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは2024年1月18日、ルスパテルセプト(商品名:レブロジル)について、骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得した。 ルスパテルセプトは低リスクMDS患者の貧血治療に高い効果示す ルスパテルセプトは、赤血球成熟促進薬として造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導する新規作用機序の治療薬である。  今回のルスパテルセプト承認は、低リスクMDS患者を対象とした国際共同第III相試験(COMMANDS試験)、海外第III相試験(MEDALIST試験)、および赤血球輸血非依存の低リスクMDS患者を対象とした国内第II相試験(MDS-003試験)の結果にもとづいている。これらの試験から、ルスパテルセプトは赤血球造血刺激因子製剤の治療歴の有無ならびに赤血球輸血依存・非依存に関わらず、低リスクMDS患者の貧血の治療として、臨床的意義の高い効果を示した。ルスパテルセプトの安全性については、いずれの試験でも低リスク MDS患者に対して忍容性があり、 十分に管理可能な安全性プロファイルであることが示された。

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ハイゼントラ、プレフィルドシリンジの剤形追加承認を取得/CSLベーリング

 CSLベーリングは1月22日付のプレスリリースで、人免疫グロブリン製剤「ハイゼントラ20%皮下注」について、新剤形としてプレフィルドシリンジ製剤に対する医薬品製造販売承認を取得したことを発表した。 ハイゼントラは、効能・効果として2013年9月に「無又は低ガンマグロブリン血症」が承認され、2019年3月には「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」が追加された。2023年12月時点で米国、欧州を含む67以上の国と地域で承認されている。 同社の代表取締役社長である吉田 いづみ氏は、「このたびのプレフィルドシリンジ製剤の承認により、本剤を使用される患者さんおよび医療従事者の利便性向上と投与時の負担軽減につながることが期待されます。当社は、血漿分画製剤と免疫グロブリン補充療法のグローバル・リーダーとして、希少・難治性疾患の患者さんのアンメットニーズを満たし、患者さんの人生をより豊かなものにできるよう、これからも全力で取り組む所存です」としている。

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経口PNH治療薬ボイデヤ、C5阻害薬との併用で製造販売承認を取得/アレクシオン

 アレクシオンファーマは1月19日付のプレスリリースで、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として、経口補体D因子阻害薬ボイデヤ(一般名:ダニコパン)の製造販売承認を取得したことを発表した。本剤の効能または効果は「発作性夜間ヘモグロビン尿症」であり、「補体(C5)阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合に、補体(C5)阻害剤と併用して投与すること」としている1)。 PNHは、血管内溶血(IVH)として知られる血管内の赤血球破壊を主な病態とする重度の希少血液疾患であり、臓器障害や早期死亡に至る可能性がある2-4)。治療においては、C5阻害薬であるユルトミリス(一般名:ラブリズマブ)またはソリリス(同:エクリズマブ)が終末補体を抑制することで、症状および合併症を軽減し、患者の生存率に影響することが期待されている4-7)。しかし、C5阻害薬を投与中のPNH患者の約10~20%には、臨床的に問題となる血管外溶血(EVH)が顕在化し、持続的な貧血症状から定期的な輸血が必要となることがある2, 8-11)。ボイデヤは、このような特定のPNH患者のニーズに対応すべく、ユルトミリスまたはソリリスと併用投与する薬剤として開発されたファースト・イン・クラスの薬剤である。 今回の承認は、Lancet Haematology誌に掲載された、成人PNH患者を対象とした国際共同第III相試験「ALPHA試験」(検証的試験)から得られた肯定的な結果に基づく12)。 ALPHA試験において、臨床的に問題となるEVHを示す成人PNH患者※を対象に、ユルトミリスまたはソリリスにボイデヤを併用した際の有効性および安全性が評価された。その結果、プラセボ群と比較した投与12週時点のヘモグロビンのベースラインからの変化量という主要評価項目の達成のほか、輸血回避および慢性疾患治療の機能的評価-疲労(FACIT-Fatigueスケール)スコアの変化量を含む、主な副次評価項目を達成した。ボイデヤは概して良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は示されなかった。本試験で最も多く報告された有害事象は、頭痛、悪心、関節痛および下痢だった12)。※ヘモグロビンが9.5g/dL以下かつ網状赤血球数が120×109/L以上と定義 大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 招聘教授の西村 純一氏は、「ALPHA試験では、ボイデヤをユルトミリスまたはソリリスと併用投与することで、IVHを抑制しながらヘモグロビン値が改善され、輸血の必要性が軽減されました。今回の承認取得により、C5阻害薬を継続しながら、体へ負担のかかるEVH症状を呈する患者さんの転帰を改善することが期待されます」と述べている。 また、Alexion(米国)のマーク・デュノワイエ最高経営責任者(CEO)は、次のように述べている。「20年を超えるPNH研究により、この希少疾患を効果的に治療するうえでのC5阻害薬の役割が強固なものとなり、私たちはこの疾患を持つ患者さんのために引き続き革新を起こしてまいります。C5阻害薬へ追加投与されるボイデヤは、すでに確立されている治療を中断することなく、臨床的に問題となるEVHの影響を受けている患者さんのニーズに対応するという当社の決意を示しています。日本において、この症状を有するPNH患者さんに新たな進展をお届けできると期待しています」。 ボイデヤは、米国食品医薬品局よりブレークスルーセラピーの指定を、欧州医薬品庁よりPRIority MEdicines(PRIME)の指定を受けている。また、本剤は米国、欧州、日本において、PNHの治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けている。■参考文献1)電子添付文書「ボイデヤ錠50mg」2024年1月作成(第1版)2)Brodsky RA. Blood. 2014;124:2804-2811.3)Griffin M, et al. Haematologica. 2019;104:e94-e96.4)Hillmen P, et al. N Engl J Med. 2006;355:1233-1243.5)Lee JW, et al. Expert Rev Clin Pharmacol. 2022;15:851-861.6)Kulasekararaj AG, et al. Eur J Haematol. 2022;109:205-214.7)Kulasekararaj A, et al. Hemasphere. 2022;6(Suppl):706-707. 8)Kulasekararaj AG, et al. Presented at: European Hematology Association (EHA) Hybrid Congress. 8-11 Jun 2023; Frankfurt, Germany. Abs PB2056.9)Kulasekararaj AG, et al. Blood. 2019;133:540-549.10)Lee JW, et al. Blood. 2019;133:530-539.11)Roth A, et al. ECTH 2019. 2-4 Oct 2019; Glasgow, UK.12)Lee JW, et al. Lancet Haematol. 2023;10:e955-e965.

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第196回 「医師の働き方改革」本格実施直前、大学病院勤務医、教育・研究の「研鑽」は労働に該当と厚労省が通知で明示

能登半島地震、県内外の2次避難所に移ったのは避難者全体の17%にとどまるこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。能登半島地震から3週間が過ぎました。先週のこの連載では、被災者の地元外にある1.5次や2次避難所への移動が本格化してきたと書きましたが、1月22日付の日本経済新聞は、「進まぬ2次避難」というタイトルの記事で、「21日時点の県のまとめによると、県内外の2次避難所に移っているのは2,607人。徐々に増えているものの、避難者全体の17%にとどまる」と書いています。県などは2次避難所として約3万人分の受け入れ先を用意しているそうです。環境が整った避難所が用意されているのに移ろうとしない主な理由は、長年暮らした土地を離れたくない被災者が少なくない(高齢であればあるほど)のようです。テレビの報道でも、復旧の目処がまったく立たないのに、「ここを離れたくない」と語る被災者が多いことに驚きます。災害関連死を防ぐことは重要ですが、被災者の土地への強い愛着を無視しての移動要請は逆に大きなストレスの原因ともなります。被災地ではとても難しい選択が迫られているようです。「教育・研究のみならず、これらに不可欠な準備・後処理や直接関連性のある研鑽は労働時間」さて、今回は1月15日に厚生労働省が、医師の研鑽に係る労働時間に関する通知を一部改正しましたので、それについて書いてみたいと思います。今回の通知では、大学の附属病院等に勤務する教育・研究を本来業務とする医師について、教育・研究のみならず、これらに不可欠な準備・後処理や、直接関連性のある研鑽は、労働時間に含まれるとの見解が明示されました。「医師の働き方改革」の本格実施を直前に控えた昨年は、医師の教育や研究に携わる時間が労働時間に当たるかどうかの議論があちこちで沸き起こりました。神戸市の公益財団法人甲南会・甲南医療センターで勤務していた男性専攻医が昨年5月に自殺したことについて西宮労働基準監督署が労災認定した件や、名古屋大学病院が勤務医の時間外の教育・研究活動を労働ではない自己研鑽として原則扱っていた件などは、全国ニュースとなり、厚生労働省にも早急な対応が求められていました。「医師本人と上司の間で円滑なコミュニケーションを取り、理解の一致のために十分な確認を行うこと」1月15日に厚生労働省労働基準局監督課長名で発出された通知「『医師等の宿日直許可基準及び医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についての運用に当たっての留意事項について』の一部改正について」1)によれば、今回の改正は「解釈の明確化を図ったものであり、これまでの労働基準法の取扱いを変更するものではない」と説明、その上で、新たな「留意事項」2)で、大学病院に勤務し、診療のほかに教育・研究も本来の業務としている医師については、教育・研究に直接関連性のある研鑽は労働時間に該当すると明示しました。また、2019年に通知と同時に出された「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」3)に記述された「診療等の本来業務」について、大学病院の勤務医は「等」の中に教育・研究が含まれるとの見解を示しました。なお、大学病院の医師は研鑽と本来業務の明確な区分が困難な場合が多いことが考えられるため、研鑽の実施に当たっては、医師本人と上司の間で円滑なコミュニケーションを取り、双方の理解の一致のために十分な確認を行うことに特に留意する必要がある、としています。教育・研究活動を自己研鑽として原則扱っていた名古屋大学病院今回の通知改正のインパクトは、大学病院の勤務医に限って、教育・研究活動は本来業務として扱うことが明確化されたことでしょう。昨年11月、朝日新聞の報道等によって、名古屋大学病院が勤務医の時間外における教育・研究活動を、労働ではない自己研鑽として原則扱っていることが問題となりましたが、全国の大学病院における教育・研究に対する曖昧な取り扱いに、一定の方向性を示したものと言えます。2023年11月20日付の朝日新聞の報道によれば、名古屋大学病院では、病院に導入された勤怠管理システムにおいて、勤務時間内の行為はすべて業務として扱う一方、時間外の診療・教育・研究については業務か自己研鑽かを判断するための「区分表」をつくって、2022年11月から適用していたとのことです。たとえば、診療のうち、手術や患者対応は業務として認めていましたが、手術の練習、新薬の情報収集は自己研鑽としていました。一方で、教育と研究については、この時点では「大学院生・学部生への指導」「入試関係業務」「外部資金による研究業務」などが業務として認められており、また、休日の学会出席も業務として認められていたとのことです。しかし、こうした取り扱いをしたことで2022年11月~2023年3月、職員への時間外手当の支払いは月3,000万円ほど増えたそうです。朝日新聞によれば、2023年4月に名大病院は、このまま推移すれば「病院経営が立ちゆかなくなる」として時間外労働を減らす方針を打ち出し、勤怠管理システムの区分表から教育と研究に関する項目をすべて削除、業務とするには、上司の許可を得た上で、「その他」項目からしか申請できない仕様に変えたとのことです。教育と研究は自己研鑽に区分しておきながら論文数増加を要請していた名大こうした対応が朝日新聞等の記事になってしまったのには、また別の事情もからんでいたようです。私が同大の関係者から聞いた話では、勤怠管理システムの区分表から教育と研究に関する項目をすべて削除した直後、同病院の臨床研究中核病院(名古屋大学病院は全国に15ある臨床研究中核病院の一つです)の責任者から、医師宛に「論文数が減っているからもっと研究して論文を書くように」という趣旨のメールが届いたのだそうです。「勤怠システムで教育と研究は自己研鑽に区分しておきながら、もっと論文を書けとは何事か!と怒った誰かが新聞社にタレ混んだのではないでしょうか」とその人は話していました。専攻医が過労自殺した甲南医療センターは院長らが書類送検今回の通知は、教育・研究を本来業務として行う大学病院の勤務医の業務を対象とするもので、医局から派遣されて働く市中病院の勤務医は対象ではありません。そのため、市中病院では、自己研鑽か労働時間かの区分けについて、より実態に即した対応が求められることになります。本連載の「第177回 「令和の米騒動」と神戸・甲南医療センター専攻医自殺・労災認定で感じた共通する“病根”(前編)」、「第178回 同(後編)」で書いた専攻医が過労自殺した甲南医療センターについて、西宮労働基準監督署は12月19日、同センターを運営する公益財団法人甲南会と具 英成院長(代表理事・同法人の代表理事でもあります)、上司にあたる医師1人を、労働基準法違反容疑で神戸地検に書類送検しています。送検容疑は昨年4月、労使協定で定めた上限の95時間を超え、少なくとも113時間56分の時間外労働を専攻医にさせたというものです。各紙報道によれば、労基署はこの時間を「病院側の指揮命令下にあったと確実に認定できる時間」としているとのことです。なお、書類送検したことについて、武見 敬三厚生労働大臣は12月22日の閣議後会見で、「悪質な労基法違反は厳正に対処する」と述べています。自己研鑽か労働かの区分けは、病院がどこまで医師の人件費増に耐えられるかという経営の問題でもあります。2024年の診療報酬改定では、プラス部分の中に「40歳未満の勤務医師の賃上げに資する措置分」が含まれていると厚生労働省の文書に明記されていますが、医師の働き方改革の本格実施を前に、大学病院においても市中病院においても、経営の舵取りは今まで以上に難しくなりそうです。参考1)基監発0115第2号 令和6年1月15日/厚生労働省2)基監発0701第1号 令和元年7月1日、改正基監発0115第2号 令和6年1月15日/厚生労働省3)基発0701第9号 令和元年7月1日/厚生労働省

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デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。重大な副作用「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」追加 急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例)が集積したため。<該当医薬品>アセタゾラミドアセタゾラミドナトリウム重大な副作用「腫瘍崩壊症候群」追加 腫瘍崩壊症候群の症例を評価した結果、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)、プレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、メチルプレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、およびヒドロコルチゾン製剤(注射剤)について、腫瘍崩壊症候群との因果関係が否定できない症例(国内17例のうち6例、海外34例のうち22例)が集積したため。<該当医薬品>1.デキサメタゾン(経口剤)2.デキサメタゾンパルミチン酸エステル3.デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(注射剤)4.プレドニゾロン(経口剤)5.プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム6.プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム7.メチルプレドニゾロン8.メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム9.メチルプレドニゾロン酢酸エステル10.コルチゾン酢酸エステル11.ヒドロコルチゾン12.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む)13.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含まない)14.ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム 1、3~5、7~12のように効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む製剤については「重要な基本的注意」と「重大な副作用」の項に腫瘍崩壊症候群に関する記載を追記される。それ以外の製剤については「重要な基本的注意」の項に追記される。 なお、プレドニゾロン製剤(注腸剤)およびコルチゾン・ヒドロコルチゾン製剤(経口剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積はないが、同一の活性体などの集積を踏まえ、同内容に改訂することが適切と判断された。一方で、トリアムシノロン製剤(経口剤および注射剤)およびベタメタゾン製剤(経口剤、坐剤、注射剤および注腸剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積がないことから、現時点では使用上の注意の改訂は不要と判断された。

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英語で「そうは言いましたが」は?【1分★医療英語】第112回

第112回 英語で「そうは言いましたが」は?《例文1》That said, …(そうは言いましたが…)《例文2》Having said that, …(そうは言いましたが…)《解説》“with that being said”は超頻用の口語的な接続語です。何かを述べた直後に反対のことを言う際に、前置きとして使用します。直訳すると「そうは言いましたが…」となり、そのとおりの意味で和文でも意味が通じるので、比較的覚えやすい表現かと思います。類語としては、“however”や“nonetheless”があり、論文などのフォーマルな文章では、これらのほうが好ましいでしょう。ただし、口語表現においては、学会発表などのフォーマルな場であっても、“with that being said”は問題なく使用できます。また、一言だけの“however”と比べて少し間を取るため、話しやすく、また聞きやすくなることが多い印象です。少し省略して、“that being said”もしくは単に“that said”という表現もよく使われており、これもまったく同じ意味になります。“having said that~”も同じ意味になりますがこちらは能動態で使用します。講師紹介

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高校生のがん患者に必要な教育支援とは? 1月13日セミナー開催

 神奈川県立こども医療センターが、同センターの小児がん相談支援室主催にて、高校生のがん患者の教育支援に関するセミナーを開催する。 「長期治療が必要な高校生の教育保障を考える2023~好事例から考える、それぞれの支援者ができること~」と題した本セミナーでは、高校生の教育保障をテーマに、医師、神奈川県教育委員会、高等学校教諭、高等学校学校長がそれぞれの立場から、事例や具体的な取り組みなどについて説明する。 現場医師の立場として、同センター血液・腫瘍科の慶野 大氏から「治療と高校生の学習支援」について語られるほか、教育現場からは入院時等学習サポート制度について、「医療・学校・保護者・本人の合意形成の中から動き出した支援」の具体例が紹介される。 セミナーの概要と参加申し込み方法は下記のとおり。■日時:2024年1月13日(土)14:00~16:00■場所:神奈川県立こども医療センター 本館2階講堂およびWeb開催■参加申し込み方法:下記URLより受付フォームにアクセスし、必要事項を入力し送信(2024年1月10日まで)https://onl.tw/JAGEAwF

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CLLの1次治療、MRDに基づくアプローチが有望/NEJM

 未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)の治療において、測定可能残存病変(measurable residual disease:MRD)に基づいて投与期間を最適化するイブルチニブ(ブルトン型チロシンキナーゼ[BTK]阻害薬)+ベネトクラクス(BCL-2阻害薬)療法はフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し全生存期間(OS)も良好で、感染症のリスクは同程度であるものの心臓の重度有害事象の頻度が高かったことが、英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らが実施した「FLAIR試験」の中間解析で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年12月10日号で報告された。英国の無作為化第III相試験 FLAIR試験は、英国の96の病院が参加した非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2017年7月~2021年3月に患者の無作為化を行った(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。 未治療のCLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)で、FCRの適応と判定された患者を1対1対1の割合でイブルチニブ群、イブルチニブ+ベネトクラクス群、FCR群に割り付けた。本中間解析では、イブルチニブ+ベネトクラクス群およびFCR群の523例(年齢中央値62歳[四分位範囲[IQR]:56~67]、男性71.3%、イブルチニブ+ベネトクラクス群260例、FCR群263例)の結果を解析した。 イブルチニブ+ベネトクラクス群では、イブルチニブを単剤で2ヵ月間、1日1回経口投与したのち、ベネトクラクスを加えた併用投与を、アルゴリズムによるMRDに基づく中止基準を満たすか、病勢進行または許容できない毒性作用の発現に至るまで、最長で6年間実施した。FCRは、1サイクルを28日として6サイクル投与した。 主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS、奏効率、MRD陰性の割合、安全性などとした。 3年無増悪生存率:97.2% vs.76.8% 追跡期間中央値43.7ヵ月の時点で、病勢進行または死亡した患者は、イブルチニブ+ベネトクラクス群が12例(4.6%)、FCR群は75例(28.5%)であり、3年無増悪生存率はそれぞれ97.2%および76.8%であった。 両群ともPFS中央値には未到達であったが、病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.13(95%信頼区間[CI]:0.07~0.24)とイブルチニブ+ベネトクラクス群で有意に優れた(p<0.001)。また、免疫グロブリン重鎖可変部遺伝子(IGHV)変異陰性例ではイブルチニブ+ベネトクラクス群でPFS中央値が良好であった(HR:0.07、95%CI:0.02~0.19)が、陽性例ではこのような効果を認めなかった(0.54、0.21~1.38)。 OS中央値についても、両群とも未到達であったが、死亡のHRは0.31(95%CI:0.15~0.67)とイブルチニブ+ベネトクラクス群で良好であった。また、IGHV変異陰性例ではイブルチニブ+ベネトクラクス群でOS中央値が良好であった(HR:0.23、95%CI:0.06~0.81)が、陽性例ではこのような差はみられなかった(0.61、0.20~1.82)。 9ヵ月時の全奏効率は、イブルチニブ+ベネトクラクス群が86.5%(225/260例)、FCR群は76.4%(201/263例)であり(補正後オッズ比[OR]:2.00、95%CI:1.26~3.16)、完全奏効率はそれぞれ59.2%(154例)および49.0%(129例)だった(1.51、1.07~2.14)。MRDに基づくアプローチで3年時までに58.0%が投与を中止 3年時までに、イブルチニブ+ベネトクラクス群で、MRD陰性となったために投与を中止した患者の割合は58.0%であった。同群では、5年時に65.9%で骨髄中のMRDが、92.7%で末梢血中のMRDが検出不能であった。また、9ヵ月時に骨髄中のMRD陰性であった患者の割合は、イブルチニブ+ベネトクラクス群が41.5%、FCR群は48.3%だった。 1年以内に発生したGrade3~5の有害事象のうち頻度が最も高かったのは、好中球数減少(イブルチニブ+ベネトクラクス群10.3% vs.FCR群47.3%)、貧血(0.8% vs.15.5%)、血小板減少症(2.0% vs.10.0%)であった。感染症のリスクは両群でほぼ同様であったが、心臓の重度有害事象の割合はイブルチニブ+ベネトクラクス群で高かった(10.7% vs.0.4%)。死亡はイブルチニブ+ベネトクラクス群で8例、FCR群で23例に認め、それぞれ1例および6例が治療関連死の可能性があると判定された。 著者は、「末梢血においてMRD陰性となるまでプラトーはみられず、これはMRDに基づく治療の継続が正当であることを示唆する」としている。

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英語で「(薬の)用量の調節」は?【1分★医療英語】第111回

第111回 英語で「(薬の)用量の調節」は?《例文1》The titration will likely take a few weeks.(用量の調節には、数週間かかりそうです)《例文2》We will need to taper off gradually and monitor the response.(様子を見ながら、少しずつ用量を減らす必要があります)《解説》“titration”(タイトレーション)は、日本語では「滴定(てきてい)投与」に当たり、医療現場でこの用語を使うときは「薬の用量を少しずつ変えて調整する」ことを指します。少しずつ上げる“up-titration”や少しずつ下げる“down-titration”、ゆっくり変更する“slow titration”と、ほかの言葉と組み合わせて使うことも多いです。医療従事者同士の会話やカルテに記載するときはそのまま“titration”を使いますが、専門用語なので、患者さんによっては“titration”の意味がわからない場合もあります。そうした場合には、“gradually adjusting the dose”(徐々に投与量を調整します)や、“slowly changing your medication amount”(薬の量を少しずつ変えていきます)などと言い換えて説明します。また、例文にあるように、徐々に薬の用量を減らすとき、“taper down”や“taper off”という言い方もします。“taper”とは「先細り」という意味で、とくに徐々に減らして最終的には服用をやめる意図を含む際に使います。講師紹介

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移植適応多発性骨髄腫の1次治療、ダラツムマブ上乗せでPFS延長/NEJM

 新規に診断された移植適応多発性骨髄腫患者において、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)の導入/地固め療法+レナリドミド維持療法へのダラツムマブ皮下投与上乗せにより、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した。オランダ・エラスムスMCがん研究所のPieter Sonneveld氏らが、欧州およびオーストラリアの14ヵ国115施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相試験「PERSEUS試験」の結果を報告した。ヒト型抗CD38モノクローナル抗体のダラツムマブは、多発性骨髄腫に対する標準的な治療レジメンとして承認されているが、新規診断の移植適応多発性骨髄腫患者におけるダラツムマブ皮下投与とVRd併用療法の評価が求められていた。NEJM誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。ダラツムマブ皮下投与+VRd(D-VRd)vs.VRd単独に無作為化 研究グループは、2019年1月19日~2020年1月3日に、18~70歳で新たに多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法および自家造血幹細胞移植の適応があるECOG PS 0~2の患者709例を、移植前VRd導入療法+移植後VRd地固め療法+レナリドミド維持療法にダラツムマブ皮下投与を併用する群(D-VRd群)と、併用しない群(VRd群)に、国際病期分類(I、II、III)および細胞遺伝学的リスク(標準、高)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要評価項目はPFSとし、重要な副次評価項目は完全奏効以上の患者の割合(CR率)、微小残存病変が陰性(閾値10-5)の患者の割合(MRD陰性化率)、全生存期間(OS)であった。D-VRd群でPFSが有意に延長、疾患進行または死亡のリスクはVRd群より58%低下 追跡期間中央値47.5ヵ月(範囲:0~54.4)の時点で、D-VRd群では355例中50例(14.1%)、VRd群では354例中103例(29.1%)に病勢進行または死亡を認めた。 48ヵ月無増悪生存率は、D-VRd群84.3%(95%信頼区間[CI]:79.5~88.1)、VRd群67.7%(62.2~72.6)、D-VRd群のVRd群に対する病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.42(95%CI:0.30~0.59、p<0.001)であった。 CR率はD-VRd群がVRd群より高く(87.9% vs.70.1%、p<0.001)、MRD陰性化率も同様であった(75.2% vs.47.5%、p<0.001)。少なくとも12ヵ月間MRD陰性状態が持続した患者の割合は、D-VRd群64.8%、VRd群29.7%であった。 死亡はD-VRd群34例、VRd群44例であった。 Grade3または4の有害事象の発現率はD-VRd群91.5%、VRd群85.6%で、主な事象は好中球減少症(それぞれ62.1%、51.0%)、血小板減少症(29.1%、17.3%)、下痢(10.5%、7.8%)、肺炎(10.5%、6.1%)、発熱性好中球減少症(9.4%、10.1%)であった。重篤な有害事象はD-VRd群で57.0%、VRd群で49.3%に発現した。

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肥満手術で造血器腫瘍リスクが長期にわたって低下

 肥満が2型糖尿病や心血管疾患などの重篤な合併症と関連することは知られているが、肥満が悪性腫瘍の危険因子であることも明らかになってきた。肥満患者へ肥満手術を行うことでがんの発症リスクが低下するとされるが、新たな研究により、肥満手術が造血器腫瘍のリスクを低下させることが示された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のKajsa Sjoholm氏らによる本研究の結果は、Lancet Healthy Longevity誌2023年10月号に掲載された。 本試験では、前向き対照Swedish Obese Subjects研究で、肥満手術を受けた人と通常の治療を受けた人の全死亡率を比較した。参加者はスウェーデン全土で募集され、組み入れ基準は年齢37~60歳、検査前または検査時のBMIが男性34、女性38以上であった。主なアウトカムは造血器腫瘍の発生率と死亡率で、悪性リンパ腫、骨髄腫、骨髄増殖性新生物、急性および慢性白血病を含む造血器腫瘍のイベントは、Swedish Cancer Registryから収集した。 主な結果は以下のとおり。・1987年9月1日~2001年1月31日に計4,047例の肥満症患者(肥満手術群:2,007例、標準治療群:2,040例)が登録された。女性が多く(71%)、肥満手術群は胃バイパス術(266例)、胃バンディング術(376例)、垂直胃形成術(1,365例)を受け、標準治療群はプライマリ・ヘルスケア・センターで肥満に対する標準治療を受けたが、生活習慣への高度なアドバイスや専門的治療は受けなかった。・追跡期間中央値は肥満手術群24.4年、標準治療群22.7年であった。肥満手術群は2年後の追跡調査で体重が平均28.5kg減少し、10年後は20.8kg、15年後は21.2kg減少していた。標準治療群の体重変化は小さく、増減とも平均3kgを超えなかった。・造血器腫瘍と診断されたのは肥満手術群34例、標準治療群51例(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.39~0.92、p=0.020)、うち死亡例は肥満手術群3例、標準治療群13例であった(HR:0.22、95%CI:0.06~0.76、p=0.017)。・肥満手術は悪性リンパ腫の発生率低下とも関連していた(HR:0.45、95%CI:0.23~0.88、p=0.020)。・男女間で治療効果に有意差が認められ、女性では肥満手術は造血器腫瘍の発生率低下と関連したが(HR:0.44、95%CI:0.26~0.74、p=0.002)、男性では関連しなかった(HR:1.35、95%CI:0.58~3.17、p=0.489)(交互作用のp=0.031)。 研究者らは、「肥満手術は、とくに女性において、造血器腫瘍の発生率減少と関連していた。がん予防の分野で働く医療提供者および政策立案者は、肥満の人々に対する1次予防として肥満手術を考慮すべきである」としている。

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ヘムライブラ、重症血友病Aの乳児に対する早期予防投与でベネフィット/中外

 中外製薬は、未治療または治療歴の短い血液凝固第VIII因子に対するインヒビター非保有の重症血友病Aの乳児を対象とした第III相HAVEN 7試験の主要解析において、へムライブラ(一般名:エミシズマブ)の有効性および安全性が裏付けられたことを発表した。生後12ヵ月までの乳児において、ヘムライブラが臨床的意義のある出血コントロールを達成し、忍容性も良好であったことが示されたこの新しいデータは、2023年12月9日~12日にカリフォルニア州サンディエゴで開催された第65回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)年次総会で発表され、プレスプログラムにも採択された。 重症血友病Aによる乳児とその保護者や介護者への負担は大きい。これまでに複数の臨床試験により、早期からの出血抑制を目的とする治療が、長期にわたり転帰を改善し、かつ頭蓋内出血のリスクを低下させることが示されている。このことから、世界血友病連盟(WFH:World Federation of Hemophilia)の治療ガイドラインでは、定期的な出血抑制を目的とする治療を低年齢で開始することが血友病の標準治療とされている。ところが、多くの血友病Aの乳児では、生後1年までは出血抑制を目的とする治療が開始されていない。ヘムライブラは、すでに乳児に対しても承認、使用されており、出生時から皮下投与が可能である。また、維持投与においては複数のさまざまな投与間隔レジメンにより柔軟な治療選択が可能な薬剤である。 本剤の有効性、安全性、薬物動態および薬力学を評価する記述的な第III相単群試験であるHAVEN 7試験は、血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有しない重症血友病Aの乳児を対象として、血友病Aコミュニティと協働して実施された。55例のデータを含む本解析結果において、追跡調査101.9週間(中央値)の時点で、治療を要する出血が認められなかった被験者の割合は54.5%(30例)、治療の要否にかかわらずすべての出血が認められなかった被験者の割合は16.4%(9例)であった。いずれの被験者でも治療を要する自然出血は認められず、治療を要した出血はすべて外傷性であった(46例[83.6%]で合計207件の出血が認められ、そのうち87.9%が外傷性)。治療を要する出血のモデルに基づく年間出血率(ABR:annualized bleeding rate)は0.4(95%信頼区間:0.30~0.63)であった。新たな安全性シグナルは認められず、本剤と関連のある重篤な有害事象、頭蓋内出血または死亡は報告されなかった。血液凝固第VIII因子インヒビター陽性となった被験者は3.6%(2例)であり、これは本剤の投与により第VIII因子製剤の使用が少なかったことが理由と推察された。また、抗薬物抗体陽性となった被験者はおらず、中間解析およびこれまでに実施された第III相HAVEN試験群の肯定的な結果と一致していた。 ASHでは、HAVEN 7試験におけるバイオマーカーの追加研究の結果も発表され、本試験の有効性に関する主要解析を支持するものであった。この追加研究により、乳児におけるヘムライブラの薬力学プロファイルは、これまでに、より年長の小児および成人の血友病Aで観察されたものと同様であることが示された。また、この年齢層においては本剤が結合する凝固因子の存在量が少ないものの、想定される薬力学的反応を示すことが明らかにされた。HAVEN 7試験の結果は、より広範に実施されたピボタルなHAVEN試験群から得られたデータを補完し、乳児における血友病A治療の進展、および出生時から予防投与を開始することの影響に関する洞察を提供するものである。主要解析後には7年間の追跡調査期間が設けられている。 中外製薬 代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、「重症血友病Aに対する出血抑制を目的とした治療において、静脈内投与が困難な乳児に対し、皮下投与可能なヘムライブラは治療負担を軽減する選択肢となります。今回の試験では、乳児に対して初めて、ヘムライブラが有効な出血コントロールを示しました。これは、これまでに実施された臨床試験において示された幅広い年齢層におけるデータを補完し、ヘムライブラによる乳児における出血抑制を目的とした治療をより早期に開始することを支持するものです。本剤を必要とする方々により安心してお使いいただけるよう、長期データの収集をはじめ、引き続きエビデンスの構築に努めてまいります」と語っている。

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低リスク骨髄異形成症候群、imetelstatが有望/Lancet

 赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が無効または適応とならない、多量の輸血を受けた低リスク骨髄異形成症候群(LR-MDS)の治療において、テロメラーゼ阻害薬imetelstatはプラセボと比較して、赤血球輸血非依存(RBC-TI)の割合が有意に優れ、Grade3、4の有害事象の頻度が高いものの管理可能であることが、ドイツ・ライプチヒ大学病院のUwe Platzbecker氏らが実施した「IMerge試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年12月1日号で報告された。国際的な無作為化プラセボ対照第III相試験 IMerge試験は、17ヵ国118施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年9月~2021年10月に患者の登録が行われた(Janssen Research & DevelopmentとGeronの助成を受けた)。 年齢18歳以上、ESA投与で再燃または不応、あるいはESAが非適応のLR-MDS(国際予後予測スコアリングシステム[IPSS]基準で病変のリスクが低[low]~中等度-1[intermediate-1])の患者を、imetelstat 7.5mg/kgまたはプラセボを4週ごとに2時間で静脈内投与する群に2対1の割合で無作為に割り付け、病勢進行、許容できない毒性、患者による同意の撤回のいずれかに至るまで投与を継続した。 主要エンドポイントは8週間のRBC-TIとし、ITT集団における無作為化の日から次のがん治療(治療法がある場合)の開始まで、少なくとも8週間連続して赤血球輸血を受けなかった患者の割合と定義した。RBC-TI期間、HI-Eも良好 178例(年齢中央値72歳[四分位範囲[IQR]:66~77]、男性62%)を登録し、imetelstat群に118例、プラセボ群に60例を割り付けた。全体で、過去8週間に受けていた赤血球輸血の中央値は6.0単位以上であった。また、160例(90%)がESA、11例(6%)が赤血球成熟促進薬luspaterceptの投与を受けていた。追跡期間中央値は、imetelstat群が19.5ヵ月(IQR:12.0~23.4)、プラセボ群は17.5ヵ月(12.1~22.7)だった。 RBC-TIが8週間以上持続した患者の割合は、プラセボ群が9例(15%、95%信頼区間[CI]:7.1~26.6)であったのに対し、imetelstat群は47例(40%、30.9~49.3)と有意に優れた(群間差:25%、95%CI:9.9~36.9、p=0.0008)。 RBC-TIが24週間以上持続した患者の割合(28% vs.3%、群間差:25%、95%CI:12.6~34.2、p=0.0001)、主要エンドポイントを満たした患者におけるRBC-TIの期間中央値(51.6週間 vs.13.3週間、ハザード比[HR]:0.23、95%CI:0.09~0.57、p=0.0007)は、いずれもimetelstat群で優れ、改訂IWG 2018基準による血液学的改善-赤血球反応[HI-E]に基づく血液学的奏効率(42% vs.13%、群間差:29%、95%CI:14.2~40.8)も、imetelstat群で良好だった。Grade3、4の好中球減少、血小板減少の頻度が高い 主要エンドポイントを満たした患者における血中ヘモグロビン値の試験薬投与前から最も長いRBC-TI期間までの増分の中央値は、imetelstat群が3.55g/dL、プラセボ群は0.80g/dLであった。また、試験期間中における経時的な赤血球輸血量の減少の平均値はimetelstat群で大きかった(最小二乗平均差:-1.0単位、95%CI:-1.91~-0.03)。 試験期間中のGrade3、4の有害事象は、imetelstat群で91%(107/118例)に発現し、プラセボ群の47%(28/59例)に比べ高率であった。プラセボ群と比較してimetelstat群で頻度の高かったGrade3、4の有害事象として、好中球減少(68% vs.3%)と血小板減少(62% vs.8%)を認めたが、これらは可逆的で管理可能であった。治療関連死の報告はなかった。 著者は、「imetelstatは、LR-MDS患者の幅広い集団において治療選択肢となる可能性があり、この集団にはESAが奏効しなかった環状鉄芽球陰性の患者や、ESAが非適応の患者も含まれる」としている。

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二重特異性抗体エプコリタマブ、大細胞型B細胞リンパ腫3次治療以降の大きな選択肢に/ジェンマブ・アッヴィ

 2023年11月、二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ皮下注4mg、同48mg)の販売が開始された。適応は、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、および再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)。二重特異性抗体薬、EPCORE NHL-3試験での奏効率は55.6% 二重特異性抗体エプコリタマブ販売開始に伴い、同薬剤を共同開発するジェンマブとアッヴィは11月28日にメディアセミナーを行った。本薬剤の承認根拠となったEPCORE NHL-3試験の治験責任者である国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科長 伊豆津 宏二氏が、「再発・難治性LBCLの治療戦略とアンメットメディカルニーズ」と題した講演を行い、疾患と治療の現状と薬剤の作用機序を解説し、メディアからの質問に答えた。――LBCLはリンパ系に発生するがんである非ホジキンリンパ腫(NHL)の1つ。日本において悪性リンパ腫の90%以上を占めるNHLの総患者数は約12.4万人と推定されており、NHLのうち30%強をDLBCLが占めるとされる。好発年齢は65~75歳と高齢者に多い疾患だ。――LBCLの標準初回治療は、多剤併用の化学療法(R-CHOP療法、Pola-R-CHP療法)であり、6割程度の患者はこれで治癒するが、残りは再発難治となる。2次以降の治療戦略は自家移植の適応があるかで異なるが、移植で治癒に至る患者は限られ、1)再発難治後は多剤併用化学療法が奏効しにくい、2)移植後の再発が多い、3)年齢等の要因で自家移植適応の患者自体が限られる、といった要因から、2次治療不応例の効果的な治療選択肢がないことが問題となっていた。――2019年にDLBCL 3次治療にCAR-T療法が承認され、国内では3剤が使えるようになっているが、CAR-T療法にも1)実施できる施設が限られる、2)製剤と治療開始までに時間を要する、3)CAR-T療法後でも半数以上が再発難治となる、といった課題が残されている。――こうした状況で登場したエプコリタマブは、T細胞上のCD3とB細胞上のCD20に同時に結合する二重特異性抗体薬であり、海外第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験)および国内第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-3/GCT3013-04試験)の結果に基づいて承認された。――EPCORE NHL-3試験の奏効率は55.6%、完全奏効率は44.4%だった。主な有害事象はサイトカイン放出症候群(CRS)で全体の83%で発生し、Grade3はうち8%であったが、治療中止に至った例はなかった。初回、2回目までごく少量を投与し、3回目にfull doseを投与するステップアップ投与を行い、有害事象の多くが3回目の治療直後に起こるためマネジメントがしやすい。 講演後の質疑応答では、CAR-T療法との使い分けに関する質問が多く出た。伊豆津氏は「エプコリタマブは承認直後でエビデンスに乏しく、現時点ではガイドラインも含め、CAR-T療法が優先される。しかし、CAR-T療法が実施できない施設、CAR-T療法の実施を待てないケースなどでは、エプコリタマブも選択肢となりうるだろう。また、エプコリタマブ承認に至った治験にはCAR-T療法治療歴のある患者も含まれており、奏効率に大きな差はなかったことから、CAR-T療法不応例への治療選択肢となりうる点も魅力だ」とした。さらに「二重特異性抗体の単剤投与、あるいは化学療法やCAR-T療法との併用戦略は今後の大きなテーマであり、長期データの蓄積が待たれる」とした。

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