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乳幼児専用の腎代替療法機器が登場/Lancet

 多臓器不全を伴う新生児や乳幼児への持続的腎代替療法(CRRT)機器として開発された「CARPEDIEM」は、多様な治療やサポートを提供し有用であることがイタリア・聖ボルトロ病院のClaudio Ronco氏らにより報告された。腹膜透析導入を減らし、CRRT適用範囲を拡大し、CRRTによる外傷を減らし、その他の腎代替療法がなくても支持療法として用いることができるという。新生児の急性腎不全(AKI)例では腹膜透析が選択肢となるが、適用できなかったり効果的ではない場合がある。従来CRRT機器は、15kg未満の新生児には未承認使用されており、乳幼児向けにデザインされたものはなかった。Lancet誌2014年5月24日号掲載の報告より。承認後初となるヒトへの適用例を報告 CARPEDIEM(Cardio-Renal Pediatric Dialysis Emergency Machine)は、新生児および乳幼児向けに開発されたCRRT機器で、研究グループにより5年間の前向き開発プロジェクトによって考案、デザイン、作製されものだった。in-vitro試験評価と開発目的基準を満たし、ヒトでの使用ライセンスを取得。本報告は承認後初となる、重篤な新生児例への使用を評価したものであった。2.9kgの新生児に400時間適用、軽度腎機能障害のみで生存退院 CARPEDIEMの主な特徴は、低血流量(30mL未満)、小型ポンプ、1gの精度で調整可能な正確な濾過機能などで、in-vitro試験では、ハード面およびソフト面の両者で設計仕様が満たされたことが確認されていた。 研究グループは同機器を、出血性ショック、多臓器不全、重度体液過剰を伴う2.9kgの新生児に400時間超適用した。結果、65%体液過剰、クレアチニンおよびビリルビン値上昇、重度アシドーシスはすべて安全かつ効果的に管理され、重篤な疾患であったが、臓器機能は回復。新生児は命を取り留め、軽度腎機能障害のみで病院から腎代替療法を要しない状態で退院となったと報告されている。

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ビタミンDと透析患者の抑うつ症状との関連

 うつ病は、末期腎不全(ESRD)患者において最も広く知られている心理的問題である。また、うつ病とビタミンD不足との関連が示唆されていた。中国・浙江大学のJisheng Zhang氏らは、透析患者における高感度C反応性蛋白(HsCRP)値、ビタミンD値とうつ病との関連を検討した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年4月28日号の掲載報告。 本検討では、透析患者におけるHsCRP値、ビタミンD値とうつ病との関連を前向きに検討すること、またうつ病透析患者へのビタミンD3製剤カルシトリオール投与の効果を明らかにすることを目的とした。中国南部の2病院から透析患者を登録し、中国版ベックうつ病調査表(BDI)を用いてうつ病の評価を行った。被験者は全員、夏季におけるうつレベルの評価に関するBDI質問票に回答。研究グループは、カットオフ値を16点として、非うつ病群(グループ1)とうつ病群(グループ2)に分類したうえで、両群被験者に、0.5μg/日のカルシトリオールを1年間投与した。その後、再度BDIスコアを測定した。社会人口統計学的および臨床的データや血清ビタミン値のデータも集めて分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、18~60歳の透析患者484例(血液透析患者382例、腹膜透析患者102例)で、うち男性は247例(51.0%)であった。・抑うつ症状が認められたのは、213例(44.0%)であった。・ベースライン時のビタミンD値(D2とD3の合計)は、17.6±7.7nmol/Lであった。・抑うつ症状がみられた患者は対照群と比較して、血清HsCRP値が有意に高く、血清ビタミンD値は有意に低かった。・追跡調査1年後、0.5ug/日のカルシトリオールの投与は、平均血清HsCRP値の低下、血清ビタミンD値の改善にみられるように微小な炎症性の状態をわずかに改善したことは示されたが、抑うつ症状を有意に改善しなかった。・以上より著者は、「カルシトリオールは、透析患者の抑うつ症状を有意に改善しなかった。一方で、血清ビタミンD値が低い透析患者では抑うつ症状がより強かったことが明らかになった」と結論している。・そのうえで、「さらなる前向き無作為化試験を行い、ビタミンD値と抑うつ症状の程度との因果関係、あるいはビタミンD値と透析患者の特定のサブタイプとの関連を明らかにすることが必要である」とまとめている。関連医療ニュース うつ病治療にビタミンD投与は有用か うつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき アルツハイマー病にビタミンD不足が関連

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尿管結石の予測に有用な新たなスコアを開発/BMJ

 尿管結石有無の診断のために新たに開発されたSTONEスコアは、確実にその存在を予測することが、米国・エール大学のChristopher L Moore氏らによる前向きおよび後ろ向きコホート研究の結果、示された。同スコアが高い群で尿管結石が存在する割合が高く、その場合、ほかの急性重大症状を有する確率は低いことも確認された。結果を踏まえて著者は、「さらなる検討により、CT画像診断による放射線曝露、および画像診断そのものの過剰適用を制限するのに役立つことになるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年3月26日号掲載の報告より。尿管結石と関連する上位5つの因子を特定し、スコアリングシステムを開発 研究グループは、CT画像診断を行った患者の尿管結石の存在について、客観的な臨床予測因子を抽出し、その因子を用いたスコアを開発し検証試験を行った。検討に際して、尿管結石を有する確率の高い患者は、その他の重要所見が認められる確率は低いと仮定した。 都市部の3次緊急医療を提供する救急部門と、都市部近郊にある独立コミュニティ緊急センターで、腎結石が疑われ単純CT検査を受けた成人について、後ろ向き観察抽出コホートと前向き観察検証コホートの検討を行った。 後ろ向き観察抽出コホートは、2005年4月~2010年11月に無作為に選択したCT画像診断を受けた患者1,040例であった。前向き観察検証コホートは、2011年5月~2013年1月の間に包含された連続前向き登録患者491例であった。 抽出コホート試験では、症候性尿管結石と関連する可能性が高い因子を、カルテとCTの記録を結びつけて抽出し、診断に即して分類。また多変量ロジスティック回帰分析にて、尿管結石と関連する上位5つの因子を特定し、尿管結石が存在する確率(低、中、高)で層別化するスコアリングシステムを開発した。 前向き検証コホート試験では、開発したスコアをCTの結果を盲検化して適用し、尿管結石とほかの重大症状の存在を比較した。尿管結石が存在する確率が高い群88.6~89.6%を予測 結果、抽出コホート試験にて、尿管結石を最も予測する5つの因子として、「男性」「短い間隔の痛み」「非黒人」「悪心または嘔吐」「顕微鏡的血尿」が明らかになり、0~13のスコアからなるSTONEスコアを開発した。 尿管結石の存在について、スコアを適用して評価した結果、確率が低い群(スコア0~5の低スコア群)に該当した人は抽出コホート群8.3%、検証コホート群9.2%で、中等度群(スコア6~9の中スコア群)には同51.6%、51.3%、高い群(スコア10~13の高スコア群)には同89.6%、88.6%が該当した。 高スコア群に該当した人で、その他急性の重大所見がみられたのは、抽出コホート群0.3%、検証コホート群1.6%だった。

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急性心筋梗塞後にも心房細動患者にはCKDのステージに関わらずワルファリンを投与すべき!でも、日本でも同じ?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(190)より-

ワルファリンは、心房細動患者で心原性脳梗塞や全身性塞栓症を予防するには有効な薬剤で、出血のリスクはあっても、Net Clinical Benefitの点からCHADS2スコアを考慮して使用すべきとされている。しかし、CKDのステージが進行するにつれ出血のリスクが増加することから、ワルファリン投与についてはControversialであった。 Carreroらはスウェーデン国内のすべての病院から急性期心疾患の登録研究を用いて、急性心筋梗塞後に退院した心房細動患者でワルファリン治療の効果を検討した結果、CKDのステージに関係なくワルファリン投与が優れていることを示した。また同時に、本論文においては急性心筋梗塞であっても抗血小板薬よりワルファリンの投与を優先すべきであることも示唆した。 しかし、この結論をすぐにわが国における実臨床の場に適応できるかというと、2つの問題点をあげておかなければならない。 まず、ワルファリンのコントロール状況を示すTime in Therapeutic Range(TTR)は、スウェーデンでは実臨床において70%以上である。TTRが低下すれば、よりイベントは塞栓症の発症も出血も多くなることが知られている。わが国では循環器専門病院でも50~60%と報告されていることから考えれば、さらに実際は低いと考えられるので、スウェーデンと同等のワルファリンの効果が得られるかは疑問である。 次に、急性心筋梗塞の治療でのPCIを含めた血行再建の頻度である。この登録研究では、PCIとCABGを含めた血行再建の頻度が30%程度である。おそらく90%以上に血行再建が行われ、しかもステントがPCIのほとんどに使用されているわが国の状況では、アスピリンとチエノピリジン系の2剤の抗血小板療法(Dual Antiplatelet Therapy:DAPT)が通常処方されている。心房細動があれば、ワルファリンを加えた3剤投与(Triple therapy)が必要となり、さらに出血のリスクが増加すると予測される。 WOEST試験でもTriple therapyには疑問が出されている。この論文でも、DAPTの頻度がワルファリン使用群で16.8%であるのに比べ、ワルファリン非使用群では52.6%であることを考えれば、直ちにすべての患者、とくに出血リスクの高い進行したCKD患者で、しかも実臨床で厳密なTTRのコントロールが困難なわが国において、同様なアウトカムを出せるかは疑問である。 今後CKDを合併した心房細動を有する心筋梗塞患者は、わが国でも増加すると考えられる。これらの患者にどのような抗凝固・抗血栓療法を行うかは、われわれが解決しなければならない問題である。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第6回

第6回:無症状の成人における顕微鏡的血尿へのアプローチ 健診において尿試験紙検査は広く行われており、その際に無症候性血尿が認められることはよくあります。血尿の定義は、尿沈渣で赤血球5個/HPF以上とする事が多いです。これは日本の人口からの試算で、500万人近くになります。顕微鏡的血尿の頻度は加齢とともに増加し、男性より女性に多くみられます1)。尿潜血陽性時のアプローチについては悩ましいことが多いですが、患者と相談しつつ精査していくことになります。 以下、本文 American Family Physician 2013年12月1日号2)より顕微鏡的血尿1.背景2011年のUSPSTFによれば、無症状の成人に対しての膀胱がんスクリーニングに十分なエビデンスは認められない。しかし、健診では2%~31%に偶発的な血尿が認められており、エビデンスに則ったアプローチがプライマリ・ケア領域で求められている。大半の患者で原因が不明な事が多い一方、顕微鏡的血尿患者の5%、肉眼的血尿患者の30~40%までに悪性疾患が認められる。(表1) 【表1:顕微鏡的血尿の一般的な頻度】 不明 43~69% 尿路感染症 4~22% 前立腺肥大症 10~13% 尿路結石 4~5% 膀胱がん 2~4% 腎嚢胞性疾患 2~3% 腎臓病 2~3% 腎がん <1% 前立腺がん <1% 尿路狭窄性疾患 <1% 2.手順 1)尿試験紙検査が陽性で尿沈渣は陰性の患者では、6週あけて3回尿沈渣を行い、3回とも陰性であれば、追加の検査は不要である。 2)1回でも陽性であれば、尿路感染症や他の良性疾患(激しい運動、月経、最近の泌尿器科処置など)がないかを確認する。感染症治療後6週あけて、あるいは良性疾患の要因がなくなってから少なくとも48時間あけて、尿沈渣を再検、陰性なら追加検査は不要である。 3)これが陽性で、蛋白尿、赤血球円柱など腎疾患の可能性があれば、腎臓内科へ紹介する。腎疾患の可能性が低ければ、悪性腫瘍のリスクを評価し(表2)、初期評価として、病歴と身体所見、とくに血圧測定と腎機能評価を行う。また女性では内診を考慮し、男性には直腸診を行う。 【表2:危険因子】 35歳以上(日本のガイドラインでは40歳以上) 鎮痛薬の乱用 化学物質や染料への曝露 男性 喫煙者(既往も含む) 以下の既往 慢性的な体内異物留置 慢性的な尿路感染症 既知の発がん性物質や化学療法薬への曝露 肉眼的血尿 排尿時刺激症状 骨盤照射 泌尿器科疾患 3.画像診断【上部尿路評価】尿路造影CTは1回の検査で優れた診断的情報を提供する(感度91~100%、特異度94~97%)。腎機能低下例では、逆行性腎盂造影に単純CTまたは腎臓エコーを組み合わせて評価する(感度97%、特異度93%)。【下部尿路評価】リスク(表2)がある無症候性血尿患者には、年齢によらず膀胱鏡がすすめられる。尿細胞診は、膀胱がんに関して膀胱鏡に比べて感度が低く(48% vs. 87%)、リスクがない場合に、AUAガイドラインにおけるルーチン評価としてはもはや推奨されていない。4.フォローアップ適切な検査でも原因不明の場合には、尿検査を年1回、最低2年間行い、2回とも陰性であれば将来の悪性リスクは1%未満である。血尿が持続する場合は、3~5年以内に精査を繰り返すべきである。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本腎臓学会ほか. 血尿診断ガイドライン2013 2) Victoria J.Sharp,et al. Am Fam Physician. 2013;88:747-754.

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どのCKDステージにおいてもワルファリンは有用/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)で急性心筋梗塞後に心房細動を呈した患者へのワルファリン治療は、CKDの重症度にかかわらず、出血リスクを高めることなく転帰を改善することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJuan Jesus Carrero氏らによる2万4,317例を対象とした多施設共同前向き観察試験の結果、示された。ワルファリン非使用群と比べた1年時点の複合アウトカム(死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中)ハザード比(HR)は0.57~0.87であり、出血リスクのHRは0.52~1.10だった。これまで、CKDが進行した心房細動患者に対する、ワルファリン治療と死亡・虚血性脳卒中発生との関連については、相反するエビデンスが報告されていた。JAMA誌2014年3月5日号掲載の報告より。2万4,317例について前向き観察研究 研究グループは、スウェーデン国内の全病院から急性期心疾患の治療データが提供・登録されている「SWEDEHEART」レジストリデータを用いて、心血管疾患および心房細動患者におけるワルファリン治療とアウトカムとの関連を腎機能で層別化して調べた。 分析には、2003~2010年に登録された、急性心筋梗塞後に心房細動を呈し、血清クレアチニン値が明らかであった2万4,317例が含まれた。eGFR値でCKDステージ別に分類し、次の3点を主要評価項目として検討した。すなわち、(1)死亡・心筋梗塞再入院・虚血性脳卒中の複合エンドポイント、(2)出血(出血性脳卒中、消化管出血、貧血、その他による再入院の複合)、(3)退院後1年間の(1)(2)の総計であった。死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中の発生ハザード比0.57~0.87 2万4,317例のうち、退院時にワルファリン治療を受けていたのは5,292例(21.8%)であった。また、51.7%がeGFR値60mL/分/1.73m2未満(eGFR<60)のCKDステージ3以上の患者であった(ステージ3:41.7%、4:8.1%、5:2.0%)。 分析の結果、ワルファリン非使用と比べてワルファリン治療は、いずれのCKD層別化群においても、初発複合アウトカムのイベント発生を抑制した。各層別化群のイベント発生率は、eGFR>60群では、100人年当たりワルファリン群28.0件 vs. 非使用群36.1件(補正後HR:0.73)、以下同じくeGFR>30~60群は48.5 vs. 63.8(0.73)、eGFR>15~30群は84.3 vs. 110.1(0.84)、eGFR≦15群は83.2 vs. 128.3(0.57)だった。 一方で、ワルファリン治療による出血リスクの増大は、いずれのCKD層別化群においても有意ではなかった。eGFR>60群では、100人年当たり5.0件vs. 4.8件(補正後HR:1.10)、以下同じくeGFR>30~60群は6.8 vs. 6.3(1.04)、eGFR>15~30群は9.3 vs. 10.4(0.82)、eGFR≦15群は9.1 vs. 13.5(0.52)だった。 イベント総計でみた比較でも、各CKD層別化群ともワルファリン治療群のほうが、イベントは抑制されたことが認められた。eGFR>60群では、100人年当たり32.1件vs. 40.0件(補正後HR:0.76)、以下同じくeGFR>30~60群は53.6 vs. 69.0(0.75)、eGFR>15~30群は90.2 vs. 117.7(0.82)、eGFR≦15群は86.2 vs. 138.2(0.55)だった。

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CKD(慢性腎臓病)の定義

CKD(慢性腎臓病)とは腎炎、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などの総称で、進行すると人工透析が必要になります定義は以下の通りです①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、とくに0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要②GFR<60mL/分/1.73m2①、②のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続するCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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生体腎提供によって末期腎不全のリスクは高まるか/JAMA

 生体腎移植のドナーが末期腎不全(ESRD)を有するリスクは、適合健常非ドナーと比べ有意に高いが、非スクリーニング一般集団と比べると、絶対リスクの増加はわずかであることが明らかにされた。米国ジョンズ・ホプキンス大学のAbimereki D氏らが、米国の生体腎ドナー9万6,217例を追跡調査して報告した。これまで腎ドナーのESRDリスクについて、一般集団との比較は行われておりリスクが高いことが報告されていた。しかし、非スクリーニング一般集団という高リスク集団との比較は行われておらず、ドネーション後の後遺症をより適切に推定しうるスクリーニング健常非ドナーとの検討も十分ではなかった。著者は、「今回の結果は、生体腎提供を考えている人への検討材料の一助となるだろう」とまとめている。JAMA誌2014年2月12日号掲載の報告より。全米腎ドナー9万6,217例を最長15年追跡 研究グループは、ESRDのリスクについて、腎ドナーと健常非ドナーコホート(腎疾患リスクが低く、生体移植に対する支障がないことをスクリーニングで確認)を比較する検討を行った。また、人口統計学的(年齢、人種など)層別化による比較も行った。 被験者は、1994年4月~2011年11月に生体腎提供を行った全米9万6,217例の腎ドナーと、第3次全米健康栄養調査(NHANES III)の参加者2万24例(うち健常非ドナー参加者は9,364例)。後者の9,364例のデータから、前者と比較するために適合させた健常非ドナーコホート(9万6.217例)を作成した。メディケア&メディケイドセンターのデータからESRDの発症、維持透析開始、移植リスト登録、および生体もしくは死体腎移植を受けたかについて確認し、最長15.0年追跡し検討した(腎ドナー群7.6年、適合健常非ドナー群15.0年)。 主要評価項目は、ESRDの累積発生率と生涯リスクだった。推定生涯リスク、1万当たりドナー90、健常非ドナー14、一般集団326 追跡期間中、生体腎ドナーでESRDを発症したのは99例、発症までの期間はドネーション後平均8.6年(SD 3.6年)だった。一方、適合健常非ドナーでは36例※で、発症までの期間は登録後10.7年(SD 3.2年)だった。(※健常非ドナー9,364例におけるESRDイベント発生17例より算出) ドナー群の術後15年時点のESRD発症の推定リスクは、1万当たり30.8(95%信頼区間[CI]:24.3~38.5)、同期間の適合健常非ドナー群は3.9(同:0.8~8.9)だった(p<0.001)。 同様のドナーと適合健常非ドナー間の推定リスク差は、人種別にみた場合も有意な差がみられた。格差は黒人で最も大きく、ヒスパニックが続き,白人で最も小さかった。 また、生体腎ドナー群における累積発生率は、年齢によって有意差がみられた。50歳未満と比べて50歳以上で有意に高く(p<0.001)、また、累積発生率が最も低かったのは40~49歳群で1万当たり17.4、次いで18~39歳群29.4(対40~49歳群とのp=0.06)、50~59歳群54.6、60歳以上群70.2だった。累積発生率について、血縁の有無で有意差はみられなかった(p=0.15)。また追跡期間中の経時的傾向もみられていない(傾向p=0.92)。 一方、推定生涯リスクについてみると、1万当たり生体腎ドナー群は90、健常非ドナー群は14、非スクリーニング非ドナー(一般集団)では326であった。

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第22回 添付文書を味方につけた裁判例。医師vs.審査委員会

■今回のテーマのポイント1.腎疾患で一番訴訟が多い疾患は腎不全であり、争点としては、感染症および透析導入の遅れが多い2.添付文書に従った薬剤の使用は、保険診療上適正な診療といえる3.添付文書の内容に解釈の余地がある場合には、ガイドラインなどを参照し判断する事件の概要原告は、慢性腎不全患者に対する人工透析を専門に行っている医療法人社団AクリニックおよびAクリニックの開設者であるX医師です。X医師は、人工透析施行中の腎性貧血患者に対し、ヘモグロビン濃度12.0g/dLを超えた場合には、休薬または減薬をするという方針で、エリスロポエチン製剤を投与していました。エリスロポエチン製剤の添付文書には、【使用上の注意】として、「a 本剤の投与は貧血症に伴う日常生活活動の支障が認められる腎性貧血患者に限定すること。なお、投与対象はヘモグロビン濃度で10g/dl(ヘマトクリット値で30パーセント)未満を目安とする。b 本剤投与中はヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を定期的(投与初期には週1回、維持投与期には2週に1回程度)に観察し、必要以上の造血(ヘモグロビン濃度で12g/dl以上、あるいはヘマトクリット値で36パーセント以上を目安とする)にならないように十分注意すること。必要以上の造血を認めた場合は、休薬するなど適切な処置をとること」と記載されていました。X医師は、被告である神奈川県国民健康保険診療報酬審査委員会(以下「審査委員会」と略します)に対し、診療報酬の支払請求をしたところ、審査委員会は、ヘモグロビン濃度10.0g/dLを超えた投与について、「過剰と認められるもの」または「その他不適当または不必要と認められるもの」を減額事由として減額査定をしました。これに対し、原告は、再審査部会に再審査を申し立てたところ、一部の投与単位数および投与回数については増額査定がなされたものの、約237万円分につき、査定が維持されました。そこで、XおよびAクリニックは、神奈川県国民健康保険診療報酬審査委員会に対し、慰謝料を含め287万円の支払いを求める訴訟を提起しました。事件の判決原告の勝訴国民健康保険法40条1項は、保険医療機関等が国民健康保険の療養の給付を担当する場合の準則については厚生労働省令である療養担当規則の例によるものと定めていることから、委任の本旨に従った適正な療養の給付がなされたか否かについては、第1次的には保険医療機関等の行った医療行為が療養担当規則に適合しているか否かが判断基準となる。しかし、療養担当規則は、投薬については、その20条で、「投薬は、必要があると認められる場合に行う」とか、「同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない」等のごく概括的な基準を定めるのみであるから、エリスロポエチン製剤のような個々の薬剤の投与が適正な療養の給付にあたるか否かの判断の具体的な基準とはなり得ない。他方、医薬品は、薬事法に定める製造承認を受けて薬価基準に収載されることによって保険診療上の医薬品としての取扱いを受けるものであるが、このような医薬品については、当該医薬品の適用を受ける患者の安全を確保し適正使用を図るために、薬事法52条により、その医薬品の添付文書に「用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意」を記載すべきものとされており、この添付文書の記載が個別具体的な薬剤毎の投与の際の基準となるものであるから、保険医療機関等がこの添付文書の記載に従った投与をしたのであれば適正な療養の給付を行ったものといえる。もっとも、さまざまに異なる症状や身体条件の患者を扱う医療行為の性質上、このような添付文書の記載も、薬剤の用法、用量等を一義的・固定的な基準で定めるのではなく、使用する医師に一定の裁量的判断の余地を残した記載となっている場合も多く、また、ときには添付文書の記載自体が必ずしも明確でないために異なった解釈が生じうることもあるが、このような場合には、実際の臨床の場における標準的な取扱いや医学的知見も参酌しながら、当該薬剤の投与が添付文書の記載する用法、用量等の基準に従った適正な療養の給付といえるか否かを判断することとならざるを得ない。本件においては、原告らがエリスロポエチン製剤を添付文書の記載する用法、用量その他の基準に従って透析施行中の腎性貧血患者に投与したのであれば、適正な療養の給付を行ったものと認められ、原告らは、被告に対し、診療報酬の支払を請求することができるものというべきである。・・・・・(中略)・・・・・添付文書は、「使用上の注意」として、「本剤投与中はヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を定期的に観察し、必要以上の造血(ヘモグロビン濃度で12g/dl以上、あるいはヘマトクリット値で36パーセント以上を目安とする)にならないように十分注意すること。必要以上の造血を認めた場合は、休薬するなど適切な処置をとること」と記載しており、投薬開始後の患者についてはヘモグロビン濃度が10g/dlを超えた検査値となることを当然の前提とする記載内容となっている上、必要以上の造血とはヘモグロビン濃度で12g/dl以上(ヘマトクリット値で36パーセント以上)が目安となることを明示している。・・・・・(中略)・・・・・また、全国の透析治療に携わる医師らで構成される日本透析医会の作成した保険診療マニュアル(平成10年改訂版)(甲第55)でも、「腎性貧血の治療は透析患者の全身倦怠等の症状を著しく改善するだけでなく死亡のリスクを低下させるためにも大切であり、ヘマトクリット値30ないし35パーセント程度を目標にエリスロポエチン製剤等を用いて治療する」旨が記載されており、保険診療においても改善目標値がヘマトクリット値で35パーセント程度まで及びうることが前提とされている。・・・・・(中略)・・・・・以上のとおりであるから、添付文書はエリスロポエチン製剤の投与による腎性貧血の治療の結果ヘモグロビン濃度が12g/dl(ヘマトクリット値で36パーセント)程度に至ることを想定しており、被告主張のように、ヘモグロビン濃度が10g/dl(ヘマトクリット値で30パーセント)を超えたからといって、直ちに原則として投与対象から除外されたり、維持投与量に限定されたりするものとはいえない。保険医療機関等としては、必要以上の造血であるヘモグロビン濃度12g/dl(ヘマトクリット値で36パーセント)以上にならないように注意しつつ、上記のような患者の症状や生活状況等を考慮して添付文書所定の投与量の範囲内で投与し、定期的に行った検査の値がヘモグロビン濃度12g/dl(ヘマトクリット値で36パーセント)以上となった場合には休薬その他の適切な処置をとっていれば、エリスロポエチン製剤を添付文書の記載する用法、用量その他の基準に従って投与したものということができ、適正な療養の給付を行ったものと認められる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(横浜地判平成15年2月26日判時1828号81頁)ポイント解説■腎疾患の訴訟の現状今回は、腎疾患です。腎疾患で最も訴訟となっているのは腎不全です(表1)。腎不全に関する訴訟で最も多く争点となっているのは、感染症治療に関してであり、2番目に多い争点が透析導入の遅れとなっています(表2)。■診療報酬の審査と添付文書今回紹介した判例は、腎不全に関する訴訟ではありますが、医療過誤訴訟ではなく、診療報酬の審査に関する事案となっています。医療機関が、保険診療を行った場合、診療報酬の一部(現役世代は3割)を患者本人より受け取り、残余については、保険者である健康保険組合などに対し、診療報酬明細書(レセプト)を提出し、診療報酬の支払いを請求することとなります。保険医療機関より提出されたレセプトは、健康保険組合から審査および支払に関する事務を委託された国民健康保険団体連合会において、支払を行うか否か審査されます。支払いの可否は、保険医療機関および保険医療養担当規則(以下「療担規則」と略します)に基づいて判断されるのですが、本判決にも示されているように、療担規則は、「投薬は、必要があると認められる場合に行う」とか、「同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない」など、抽象的な文言で書かれていますので、個別具体的な判断基準とはなり難いといえます。本判決の1つ目のポイントは、添付文書に従った薬剤の使用は、療担規則上、適正といえるとしたことです。第12回で解説したように、添付文書に違反した場合には、過失が推定される(最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁)こととなりますが、その反面、添付文書に従った薬剤の使用をしている限りにおいては、療担規則上適正と判断されるのですから、当然、医療行為としても適法であるということになります。本判決の2つ目のポイントは、添付文書の解釈に幅がある(グレーゾーン)場合には、実臨床の場での標準的な取扱いや医学的知見を参酌して、添付文書の解釈を行うと示したことです。そして、実臨床の場での標準的な取扱いを判断するにあたっては、学会が作成したガイドラインが大きな役割を担うこととなります。上記2つのポイントをまとめると(表3)のようになります。添付文書も、ガイドラインもそれぞれ一長一短の面があることは事実ですが、少なくとも標準的な治療については、しっかりとしたガイドラインを作成していくことは、医師自身の適法行為の予見可能性を高めるすなわち、実際に診療している際に、自身がこれから行おうとする医療行為が適法か否かを予想できるようになることに加え、本判決で示されたように、診療報酬請求においても有用といえますので積極的に推進されるべきと考えます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)横浜地判平成15年2月26日 判時1828号81頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。最判平成8年1月23日 民集50号1巻1頁

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夜間血圧は慢性腎臓病の発症に関連~大迫研究

 自由行動下血圧は標的臓器障害との関連が報告されているが、慢性腎臓病(CKD)発症の予測に意味を持つかどうかは確認されていない。仙台社会保険病院の菅野 厚博氏らは、大迫研究(Ohasama Study)において、一般の日本人843人のベースライン時の自由行動下血圧とCKDの発症率との関連を検討した。その結果、夜間血圧がCKD発症の予測因子として日中の血圧より優れており、CKDへの進行リスクの評価には自由行動下血圧測定が有用と考えられることを報告した。Journal of hypertension誌2013年12月号に掲載。 著者らは、ベースライン時にCKDを発症していなかった一般の日本人843人について、自由行動下血圧を測定し、その後のCKD[尿蛋白陽性もしくは推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/分/1.73m2未満]の発症率を調べた。ベースライン時の自由行動下血圧とCKD発症率との関連について、性別、年齢、BMI、習慣的な喫煙、習慣的な飲酒、糖尿病、高コレステロール血症、心血管疾患の既往、降圧薬の服用、ベースライン時のeGFR、フォローアップ検査回数、ベースライン検査の年について調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は62.9±8.1歳で、71.3%が女性、23.7%が降圧薬を服用していた。・追跡期間中央値は8.3年で、その間に220人がCKDを発症した。・日中および夜間の収縮期血圧の1標準偏差増加によるCKDの調整ハザード比は、それぞれ、1.13(95%CI:0.97~1.30)、1.21(95%CI:1.04~1.39)であった。・日中と夜間の血圧を同じモデルに相互に調整した場合、夜間血圧のみがCKDの独立した予測因子のままであった。

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治療抵抗性高血圧に対する腎デナーベーションの治験、一時中断

 米Medtronic社は、1月9日、治療抵抗性高血圧患者を対象とした腎デナーベーションの臨床試験(SYMPLICITY HTN-3)において、試験実施前に計画していた降圧効果が得られなかったとの結果を公表した。なお、データ安全性モニタリング委員会は、試験において安全性には問題ないと発表している。この結果を受けて、倫理的な観点からMedtronic社は、腎デナーベーションに関するすべての臨床試験(日本でのHTN-Japanを含む)を一時中断し、詳細な分析結果より今後の方向性を判断するとしている。 腎デナーベーションは、脳と腎の間で血圧調整シグナルを伝えている腎交感神経を、腎動脈にカテーテルを挿入し、高周波によって遮断する治療法。腎デナーベーションが治療抵抗性高血圧患者の血圧を低下させることはすでに示されていた。治療中の高血圧者の10%以上で、異なるクラスの降圧薬を3剤以上投与しても血圧が目標値にまで下がらない治療抵抗性高血圧が存在すると報告されており、腎デナーベーションは治療抵抗性高血圧の革新的な治療法として期待されていた。【参照コンテンツ】カテーテルベースの腎除神経術、治療抵抗性高血圧の降圧に有用治療抵抗性高血圧の根治術:腎交感神経アブレーションの無作為比較試験・The Symplicity HTN-2 Trialのエビデンス治療抵抗性高血圧患者への腎アブレーション:施行3年後の成績/Lancet高血圧はカテーテルで治す時代がくるか? SYMPLICITY HTN-3 は、治療抵抗性高血圧症(収縮期血圧≧160 mmHg)を対象とし、腎デナーベーションの安全性と有効性を評価するために設計された無作為化盲検化比較試験で、腎動脈にカテーテルを挿入するが高周波を発生させないという対照群を置いた試験はこれが初めて。試験期間中、全対象が降圧薬の服用を継続するという設計であった。主要エンドポイントは、6ヵ月時点における外来血圧と主要な有害事象の発生率。 わが国でも迅速かつ慎重に本治療の導入活動をしてきた日本高血圧学会は、1月15日、このニュースを公式サイトで紹介している。腎神経焼灼術に基づいた高血圧治療についての米国からのニュース

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aHUS診断基準公表による、早期診断・早期治療に期待

 非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)は、志賀毒素産生性大腸菌由来尿毒症症候群(Shiga toxin-producing E. coli hemolytic uremic syndrome:STEC-HUS)とADAMTS13 (a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs:member13)活性著減による血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP) 以外の血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy:TMA)と定義される。 aHUSの主徴は、「微小血管症性溶血性貧血」、「血小板減少」、「急性腎障害(acute kidney injury:AKI)」の3つである。 近年、このaHUSの病因として補体制御機構の異常が注目されている。50-60%の症例でH因子をはじめとするさまざまな補体制御因子の遺伝子異常が報告され、目下aHUSにおける病態解析は急速に進んでいる。 aHUSは、発症早期にはSTEC-HUSやTTPとの鑑別が必ずしも容易ではなく、積極的な治療が遅れると腎不全に進行するリスクが高い症候群であることから、早期に診断し、機を逃すことなく適切な治療を実施することが重要である。 これらを背景に、日本腎臓学会・日本小児科学会は非典型溶血性尿毒症症候群診断基準作成委員会を発足し、徳島大学大学院 発生発達医学講座(小児医学)香美 祥二 委員長、東京女子医科大学 腎臓小児科 服部 元史 氏、東京大学大学院 腎臓内科学、内分泌病態学 南学 正臣 氏らによってわが国で初めてとなる「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診断基準」を公表した。 この診断基準の公表により、今後、日本におけるaHUS患者の早期診断・早期治療への道が開かれ、ひとりでも多くの患者さんの予後改善につながることが期待される。さらに、aHUS に対する治療のエビデンスを構築することにより、将来的に新しい治療ガイドラインの作成にも結び付くことが望まれる。「非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診断基準」の詳細は下記のいずれかのURLより閲覧いただけます。日本腎臓学会日本小児科学会

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CORAL研究が動脈硬化性腎動脈狭窄症の診療にもたらすもの(コメンテーター:冨山 博史 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(163)より-

CORAL研究は、重症動脈硬化性腎動脈狭窄(血管造影で80%以上狭窄あるいは60~80%未満狭窄で圧格差20mmHg以上と定義)で、高血圧(2剤以上の降圧薬服用だが収縮期血圧[SBP]155mmHg以上と定義)あるいは慢性腎臓病(eGFR 60mL/分/1.73m2未満と定義)を有する症例に対する腎動脈形成術・ステント留置術(renal revasculalization stenting: RRVS)の効果を検討した多施設共同前向き研究である。  被験者は、薬物療法+腎動脈ステントを受ける群(467例)と薬物療法のみを受ける群(480例)に割り付けられ、重大心血管・腎イベント(心血管あるいは腎イベントが原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院、進行性腎障害、腎代替療法の必要性の複合エンドポイント発生)について平均3.5年の追跡を受けた。 動脈硬化性腎動脈狭窄に対するRRVSは、腎機能障害増悪を予防し、透析導入回避、血圧コントロール改善、さらに心血管疾患発症予防に有用である可能性が報告されてきた1)。たしかに、RRVSにて腎機能改善、血圧コントロール改善、心不全改善の症例を経験する。しかし、われわれがRRVSの効果を認める症例は一部であり、多くの症例はRRVSの効果を明確に確認できないことを経験的に知っている。しかし、RRVSの恩恵を受ける症例を選別する方法がなく、一方、RRVS実施がデメリットである十分な根拠もない。ゆえに、血圧・腎機能が安定した動脈硬化性腎動脈狭窄症例について、その診療方針は十分確立されていなかった1)。 ASTRAL研究は、2009年に報告された動脈硬化性腎動脈狭窄症例における腎機能・血圧に対するRRVSの効果を検討する前向き研究であり、RRVSの効果に否定的な研究結果であった2)。しかし、ASTRAL研究では、“腎動脈狭窄の程度評価が厳密でなく”、“重症狭窄例は各施設試験担当者がRRVSを実施していた”などの問題が指摘されていた。 CORAL研究は、こうした先行研究の限界に解答を提示した。CORAL研究は、腎動脈狭窄の程度はCore laboで確認され、薬物治療群、薬物+RRVS群の割り振りもランダム化して実施された。そして血圧コントロールが不良でなく、かつ、腎機能障害がないか軽度で増悪を認めない動脈硬化性腎動脈症例では、RRVSを実施する大きなメリット(腎機能障害改善、心血管疾患発症予防、顕著な降圧効果)がないことを示した。 一方、高齢者では潜在性の動脈硬化性腎臓脈狭窄の症例は多数存在するとする報告がある(65歳以上では6%に腎動脈狭窄を合併する)3)。しかし、そういった症例を積極的に検出する臨床的意義は明確にされていなかった。CORAL研究の結果は、高齢者で腎機能・血圧が安定している症例では、積極的に腎動脈狭窄を検出する必要性が少ないことも示唆している。 これまでRRVS実施が推奨される症例として、1.血圧コントロールが不良になった。2.腎機能障害が進展増悪している。3.原因不明の肺水腫、心不全を繰り返す。などが挙げられていた1)。 しかし、CORAL研究では難治性高血圧、3ヵ月以内の心不全発症、血清クレアチニン 3.0mg/dL以上の症例は除外している。ゆえに、CORAL研究はこのようなRRVS実施推奨例へのRRVS実施の妥当性を検証する研究ではない。 CORAL研究の結果を踏まえてわれわれができることは、1.降圧薬で血圧がコントロールされ、血清クレアチニン 3.0mg/dL以下で腎機能障害の増悪のない症例にはRRVS実施の必要はなく、慎重な経過観察を行う。そして、血圧コントロール不良・腎機能の増悪を認めた場合にRRVS実施の可否を検討する。ただし、今後こういった症例に対する新たな治療法が開発される可能性もある4)。2.難治性高血圧、腎機能障害増悪、原因不明の肺水腫・繰り返しの心不全の症例については基本、これまでと同様の診療方針となる。ただし、CORAL研究では、RRVS施行は薬物治療単独実施群にくらべて有意に血圧を低下させるが、顕著な降圧は得られなかった。ゆえに、難治性高血圧症例にはRRVSと腎交感神経焼灼術の併用も将来的に検討する必要がある1)。また、CORAL研究では3ヵ月以上前に発症した心不全の既往はRRVSの効果への有意な影響因子でないことが確認されている。ゆえに、単に心不全の既往のみでRRVS実施の有用性を判断するのは否定的と考えられる。原因不明の肺水腫・繰り返しの心不全をRRVS実施の根拠とする場合は慎重に適応を検討する必要がある。さらに、腎機能増悪については血清クレアチニン 3.0mg/dL以上への増加が一つの目安となるかも知れない。 いずれにしても、CORAL研究にて、動脈硬化性腎動脈狭窄に対するRRVS実施の可否をIntervention実施医師のみで決定することは終焉を迎えた。今後、動脈硬化性腎動脈狭窄症例の診療には、高血圧専門医、腎臓専門医、循環器専門医が、密接なコミュニケーションをもってあたることが適切である。

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腎動脈ステントは薬物療法を超えるか?/NEJM

 アテローム硬化性腎動脈狭窄で、高血圧あるいは慢性腎臓病を有する患者への腎動脈ステントは、薬物療法単独と比べて臨床イベントの予防に関して有意なベネフィットをもたらさないことが明らかになった。米国・トレド大学のChristopher J. Cooper氏らによる多施設共同オープンラベル無作為化対照試験「CORAL」の結果、報告された。高齢者に一般的にみられるアテローム硬化性腎動脈狭窄について、先行研究2件において、腎動脈ステントは腎機能改善にベネフィットがないことが示されていた。しかし、重大有害腎・心血管イベント予防に関しては不明であったことから本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。947例を薬物療法+ステント群と薬物療法単独群に無作為化して追跡 CORAL試験は、2005年5月16日~2010年1月30日の間に、5,322例がスクリーニングを受け、適格であった947例を無作為化して行われた。対象は、重症腎動脈狭窄で(血管造影で80%以上狭窄あるいは60~80%未満狭窄で圧格差20mmHg以上と定義)、高血圧(2剤以上の降圧薬服用だが収縮期血圧[SBP]155mmHg以上と定義)あるいは慢性腎臓病(eGFR 60mL/分/1.73m2未満と定義)を有する患者であった。 被験者は、薬物療法+腎動脈ステントを受ける群(467例)と薬物療法のみを受ける群(480例)に割り付けられ、重大心血管・腎イベント(心血管あるいは腎イベントが原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院、進行性腎障害、腎代替療法の必要性の複合エンドポイント発生)について2012年9月28日まで追跡を受けた。 評価は、試験開始後に同意を得ていた1施設16例を除外した931例(ステント群459例、薬物療法単独群472例)をintention-to-treat解析して行われた主要複合エンドポイント、全死因死亡の発生に有意差みられない 追跡期間中央値は、43ヵ月(範囲:31~55ヵ月)だった。 ステント群は、狭窄が68±11%から16±8%に有意に改善した(p<0.001)。透析導入は、両群共に無作為化後30日以内ではいなかったが、ステント群で30~90日に1例で開始となった。また薬物療法単独群で、無作為化当日に致死的脳卒中が1例発生した。 主要複合エンドポイントの発生は、両群間で有意差はみられなかった(ステント群35.1%vs. 薬物療法単独群35.8%、ハザード比[HR]:0.94、95%信頼区間[CI]:0.76~1.17、p=0.58)。 また、主要エンドポイントの各項目についても有意差はなかった。全死因死亡についても有意差はなかった(同:13.7%vs. 16.1%、0.80、0.58~1.12、p=0.20)。 ベースライン時の被験者の降圧薬服用数は、2.1±1.6剤だった。試験終了時の同服用数は、ステント群3.3±1.5剤、薬物療法単独群3.5±1.4剤で両群間に有意差はなかった(p=0.24)。 SBPの降圧は、ステント群16.6±21.2mmHg、薬物療法単独群15.6±25.8mmHgで、縦断的解析の結果、わずかだがステント群のほうが降圧効果は大きかった(-2.3mmHg、95%CI:-4.4~-0.2mmHg、p=0.03)。両群の差は追跡期間中、一貫してみられた。

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