サイト内検索|page:35

検索結果 合計:1046件 表示位置:681 - 700

681.

CKD治療抵抗性高血圧症、patiromer併用でスピロノラクトン服薬率上昇/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の慢性腎臓病(CKD)患者に対し、カリウム吸着薬patiromerを用いることで、より多くの患者が高カリウム血症を呈することなくスピロノラクトンによる治療が継続可能なことが示された。米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。スピロノラクトンは、治療抵抗性高血圧症で血圧コントロール不良の患者において、降圧効果があることが示されている。しかし、CKDが併存する患者では高カリウム血症を呈することからスピロノラクトンの使用は制限される場合があることが課題となっていた。Lancet誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。12週後のスピロノラクトン服薬継続率を比較 研究グループは、10ヵ国(ブルガリア、クロアチア、ジョージア、ハンガリー、ウクライナ、フランス、ドイツ、南アフリカ共和国、英国、米国)、62ヵ所の外来医療センターを通じ、推定糸球体濾過量(eGFR)が25~45以下mL/分/1.73m2のCKDで、コントロール不良の治療抵抗性高血圧症を有する18歳以上を対象に試験を行った。最終スクリーニングですべての適格基準を満たした患者を、血清カリウム値(4.3~4.7未満mmol/Lまたは4.7~5.1mmol/L)と糖尿病歴の有無で層別化した。 被験者を双方向ウェブ応答システムで無作為に1対1の割合で割り付け、非盲検下で投与したスピロノラクトン(25mgを1日1回から開始)とベースラインで服用中の高血圧治療薬に加えて、patiromer(8.4gを1日1回)またはプラセボのいずれかを投与した。patiromerの用量漸増は1週間後、スピロノラクトンは3週間後に可能とした。 被験者、投薬管理と血圧測定を行う試験チーム、および研究者は、割り付け治療群に対してマスキングされた。 主要エンドポイントは、12週後のスピロノラクトン服薬継続率の群間差だった。有効性のエンドポイントと安全性は、無作為化を受けた全被験者(intention-to-treat集団)で評価された。スピロノラクトン服薬継続率、patiromer群86%、プラセボ群66% 2017年2月13日~2018年8月20日にスクリーニングを受けた574例のうち、すべての基準を満たした295例(51%)を対象に無作為化試験を行った。patiromer群147例、プラセボ群148例だった。 12週後、スピロノラクトンを服薬継続していたのは、プラセボ群98/148例(66%)に対し、patiromer群126/147例(86%)と有意に高率だった(群間差:19.5%、95%信頼区間[CI]:10.0~29.0、p<0.0001)。 有害イベントは大半が軽度~中等度で、プラセボ群79/148例(53%)、patiromer群82/147例(56%)で発生した。 これらの結果を踏まえて著者は、「こうしたCKDが進行した患者集団において、治療抵抗性高血圧症の治療のために、スピロノラクトン継続使用が可能となることは、臨床的に意味がある」と述べている。

682.

低LDL-C・SBP値に関連の遺伝子変異体、CVリスクを減少/JAMA

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値・収縮期血圧(SBP)値の低下に関連する遺伝子変異体を有する人は、心血管リスクが有意に低いことを、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、約44万人のバイオバンク登録者を追跡し明らかにした。これまで、LDL-C値とSBP値がより低いことと心血管疾患リスクとの関連は完全には定量化されていなかった。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。遺伝的LDL-C・SBPスコアにより被験者を4群に分類 研究グループは、2006~10年に英国バイオバンクに登録した43万8,952人について、2018年まで追跡調査を行った。被験者を、遺伝的LDL-Cスコアと遺伝的SBPスコアにより、それぞれの中央値以下・超で4群に分け、両スコアともに中央値以下の群を基準群とした。 主要アウトカムは主要冠動脈イベント(冠動脈死、非致死的心筋梗塞、冠動脈血行再建術のいずれかの発生で定義)のオッズ比(OR)。低LDL-C値、低SBP値、またはその両者の生涯曝露との関連を検証した。両スコアが高い群の冠動脈イベントリスクを低下する定量値が明らかに 被験者43万8,952人の平均年齢は65.2歳(範囲:40.4~80.0)、女性は54.1%だった。2万4,980人に初回主要冠動脈イベントが発生した。 基準群に比べ、遺伝的LDL-Cスコアが中央値超の群では、LDL-C値の14.7mg/dL低下で、主要冠動脈イベント発生に関するORは0.73だった(95%信頼区間[CI]:0.70~0.75、p<0.001)。また、遺伝的SBPスコアが中央値超の群では、SBP値の2.9mmHg低下で、主要冠動脈イベント発生に関するORは0.82だった(同:0.79~0.85、p<0.001)。 遺伝的LDL-Cスコア・遺伝的SBPスコアともに中央値超の群では、LDL-C値は13.9mg/dL、SBP値は3.1mmHg低下することで、同オッズ比が0.61となることが示された(95%CI:0.59~0.64、p<0.001)。 4×4要因デザイン解析の結果、両遺伝的スコアの増加とLDL-C値・SBP値の低下は、用量依存的に主要冠動脈イベントリスクを低下することが示された。また、メタ回帰分析の結果、LDL-C値の38.67mg/dL低下とSBP値の10mmHg低下により、主要冠動脈イベント発生に関するORは0.22(95%CI:0.17~0.26、p<0.001)に、心血管死の同ORは0.32(同:0.25~0.40、p<0.001)に低下することが示された。 ただし今回の結果について著者は、「リスク因子の治療による達成可能なベネフィットの大きさを意味するものとは言えない」と指摘している。

683.

sacubitril -バルサルタンのHFpEFへの有効性/NEJM

 左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)患者において、ネプリライシン阻害薬sacubitrilとARBバルサルタンの合剤(sacubitril/バルサルタン)は、心血管死およびすべての心不全入院の複合エンドポイントを有意に低下させるという結果には至らなかった。米国・ハーバード・メディカル・スクールのScott D. Solomon氏らが、HFpEF患者を対象にsacubitril/バルサルタンとバルサルタンを比較する無作為化二重盲検試験「PARAGON-HF試験」の結果を報告した。LVEFが低下した心不全患者においては、sacubitril/バルサルタンにより心血管死および心不全による全入院のリスクが低下することが示されていたが、HFpEFに対する有効性はこれまで不明であった。NEJM誌オンライン版2019年9月1日号掲載の報告。sacubitril/バルサルタンとバルサルタンの有効性をHFpEF患者約5,000例で比較 研究グループは、2014年7月18日~2016年12月16日の間に、NYHA心機能分類II~IV、LVEF 45%以上、NT-proBNP高値で構造的心疾患を認める50歳以上の心不全患者4,822例を、sacubitril/バルサルタン群(sacubitril97mg/バルサルタン103mgを1日2回)またはバルサルタン群(160mgを1日2回)に無作為に割り付けた。 sacubitril/バルサルタンとバルサルタンを比較する主要評価項目は、心血管死および心不全による全入院(初回および再入院を含む)の複合エンドポイントであった。 主要評価項目の各項目、ならびに8ヵ月後におけるNYHA心機能分類のベースラインからの変化、腎機能の悪化(e-GFRの50%以上の低下、腎不全末期、腎不全による死亡)、カンザスシティー心筋症質問票(KCCQ)による臨床スコア(スコア:0~100、スコアが高いほど症状と身体的制限が少ないことを示す)の変化などの副次評価項目、安全性についても評価した。intention-to-treat解析を実施した。sacubitril/バルサルタン群とバルサルタン群では心血管死と心不全入院で有意差なし 主要評価項目の複合エンドポイントは、sacubitril/バルサルタン群で562例894件、バルサルタン群で557例1,009件が確認された(率比:0.87、95%信頼区間[CI]:0.75~1.01、p=0.06)。心血管死の発生率はsacubitril/バルサルタン群8.5%、バルサルタン群8.9%(ハザード比[HR]:0.95、95%CI:0.79~1.16)、心不全による全入院はそれぞれ690件および797例(率比:0.85、95%CI:0.72~1.00)であった。 NYHA心機能分類は、sacubitril/バルサルタン群で15%、バルサルタン群で12.6%の患者に改善が認められた(オッズ比:1.45、95%CI:1.13~1.86)。腎機能悪化はそれぞれ1.4%および2.7%で確認された(HR:0.50、95%CI:0.33~0.77)。8ヵ月時点におけるKCCQ臨床スコアの平均変化量は、sacubitril/バルサルタン群が1.0ポイント(95%CI:0.0~2.1)高値であった。 sacubitril/バルサルタン群で、低血圧および血管性浮腫の発現率が高く、高カリウム血症の発現率が低かった。事前に定義したサブグループ解析の結果、LVEFが低い患者および女性患者においてsacubitril/バルサルタンが有効である可能性が示唆された。

684.

後期早産・妊娠高血圧腎症妊婦、計画出産は有益か/Lancet

 後期早産・妊娠高血圧腎症の女性における計画出産は、待機的管理と比較して、母体の障害発生や重症高血圧の頻度は低い一方で、新生児治療室への入室が多いことが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが行ったPHOENIX試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年8月28日号に掲載された。後期早産・妊娠高血圧腎症の女性では、母体の疾患進行に関連する制約と、新生児の合併症とのバランスをとる必要があり、至適な分娩開始時期は不明だという。英国の46施設が参加した無作為化試験 研究グループは、後期早産・妊娠高血圧腎症女性では、計画された早期の出産開始が、待機的管理(通常治療)と比較して、新生児/乳幼児の転帰を悪化させずに、母体の有害な転帰を抑制するかどうかを検証する目的で、多施設共同非盲検無作為化対照比較試験を実施した(英国国立衛生研究所[NIHR]健康技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、妊娠期間が34~<37週で、単胎または2絨毛膜2羊膜双胎の妊娠高血圧腎症または加重型妊娠高血圧腎症の女性であった。被験者は、48時間以内に計画的に出産を開始する群または待機的管理を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 母体の主要評価項目は、障害発生(fullPIERSモデルの転帰:母体死亡、中枢神経系・心肺・血液・肝臓・腎臓の障害、胎盤早期剥離)と、割り付け後の収縮期血圧≧160mmHgの複合とし、優越性の評価を行った。周産期の主要評価項目は、出産から7日以内の新生児の死亡と、新生児の退院前の新生児治療室への入室の複合とし、非劣性の評価を行った(非劣性マージンは10%)。 2014年9月29日~2018年12月10日の期間に、イングランドとウェールズの46の産科施設で参加者の登録が行われた。分娩時期の共同意思決定のために、転帰のトレードオフを説明すべき 901例の女性が登録され、計画出産群に450例、待機的管理群には451例が割り付けられた。intention-to-treat(ITT)解析の対象は、計画出産群が448例の女性(平均年齢30.6[SD 6.4]歳)と471例の乳幼児、待機的管理群は451例の女性(30.8[6.3]歳)と475例の乳幼児であった。 母体の複合アウトカムの発生率は、計画出産群が65%(289例)と、待機的管理群の75%(338例)に比べ有意に低く、優越性が確認された(補正後相対リスク[RR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.79~0.94、p=0.0005)。 一方、周産期の新生児の複合アウトカムの発生率は、計画出産群は42%(196例)であり、待機的管理群の34%(159例)と比較して有意に高かった(補正後RR:1.26、95%CI:1.08~1.47、p=0.0034)。per-protocol(PP)解析でも、同様の結果が示され(1.40、1.18~1.66、p<0.0001)、周産期の複合アウトカムに関して、計画出産群は待機的管理群に劣ると判定された。 副次評価項目である母体の障害発生(計画出産群15% vs.待機的管理群20%、補正後RR:0.76、95%CI:0.59~0.98)および収縮期血圧≧160mmHg(60% vs.69%、0.85、0.77~0.94)はいずれも計画出産群が優れ、重症妊娠高血圧腎症への進行(64% vs.74%、0.86、0.79~0.94)も計画出産群のほうが良好だった。 死産、出産後7日以内の新生児の死亡、退院前の新生児の死亡は、両群とも認められなかった。新生児治療室への入室は、計画出産群で頻度が高かった(42% vs.34%、補正後RR:1.26、95%CI:1.08~1.47)。また、母親と新生児を合わせた医療費は計画出産群のほうが安価だった(p=0.00094)。 重篤な有害事象は、計画出産群の9例、待機的管理群の12例で認められた。このうち両群2例ずつが介入に関連する可能性があり、待機的管理群の1例は介入に関連する可能性が高いと判定された。 著者は、「この母体と新生児の転帰のトレードオフについては、分娩時期に関する共同意思決定(shared decision making)のために、後期早産・妊娠高血圧腎症女性と話し合う必要がある」と指摘している。

685.

ダパグリフロジン、HFrEF患者でCV死・心不全悪化リスク26%低下(DAPA-HF)/ESC2019

 2型糖尿病合併の有無を問わず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者における心血管死と心不全悪化の発現率を有意に低下させた。フランス・パリで開催された欧州心臓病学会(ESC2019)で、グラスゴー大学循環器リサーチセンターのJohn McMurray氏が、第III相DAPA-HF試験の結果を発表した。 DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。 HFrEF患者(NYHA心機能分類IIからIV、LVEF;40%以下、NT-proBNP≧ 600pg/mL)に対し、標準治療への追加療法としてダパグリフロジン10mgを1日1回投与し、その有効性をプラセボとの比較で評価した。主要複合評価項目は、心不全イベント発生(入院または心不全による緊急受診)までの期間、または心血管死であった。 主な結果は以下のとおり。・ダパグリフロジン群に2,373例、プラセボ群に2,371例が無作為に割り付けられた。・ベースライン特性は、両群ともに平均LVEF:31%、平均eGFR:66mL/分/1.73m2、2型糖尿病罹患率:45%でバランスがとれていた。・心不全治療薬の使用状況は、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬:ダパグリフロジン群94% vs.プラセボ群93%、β遮断薬:両群ともに96%、MRA:両群ともに71%。・心血管死または心不全悪化の主要複合評価項目は、ダパグリフロジン群において有意に低下した(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.65~0.85、p=0.00001)。各項目の解析をみると、心不全悪化の初回発現リスク(HR:0.70、95%CI:0.59~0.83、p=0.00003)、心血管死のリスク(HR:0.82、95%CI:0.69~0.98、p=0.029)ともにダパグリフロジン群で低下した。主要複合評価項目におけるダパグリフロジンの影響は、2型糖尿病の有無を含む、検討された主要サブグループ全体でおおむね一貫していた。・全死亡率においても、100患者・年当たり1イベント換算で患者7.9例 vs.9.5例とダパグリフロジンで名目上有意な低下を示した(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.022)。・Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire (カンザスシティ心筋症質問票:KCCQ)の総合症状スコアに基づいた、患者報告アウトカムの有意な改善が確認された。・安全性プロファイルについて、心不全治療において一般的な懸念事項である体液減少の発現率は7.5% vs.6.8%、腎有害事象の発現率は6.5% vs.7.2%、重症低血糖の発現率はともに0.2%であった。

686.

第2回 心房細動の早期発見、プライマリケア医の協力が不可欠

循環器疾患に関連した学会は数多く存在するが、そのなかでも教育活動に力を注いでいるのが日本心臓病学会である。9月13~15日の学術集会開催を前に、本学会の教育委員長を務める清水 渉氏(日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野 大学院教授)が本学会の強みについて語った。若手医師、非専門医への心臓病診療の普及を目指すプライマリケアの現場で診療される先生方の患者には、糖尿病や脂質異常症を合併している方や高齢者が多くいらっしゃるのではないでしょうか。近年、心房細動と心原性脳梗塞の発症数は増加傾向にあります。どちらもQOLを低下させ、健康寿命を縮める要因になります。CKDや睡眠時無呼吸症候群などの既往がある患者で発症しやすい心房細動は、不整脈の1つです。国内では100万人もの患者が存在し、高齢者では10~20人に1人が発症しています。これ自体は命に関わるような危険な不整脈ではありませんが、長生きすることで心不全へ発展してしまうため、大きな問題になっています。高齢者の心房細動発症者は自覚症状に乏しく「疲れやすい」「動けないのは歳のせい」などの表現をする患者もいるため、早期発見が難しく、80~90歳代の患者が心不全を発症して、緊急搬送される事例もあります。また、心原性脳梗塞の患者の場合、治療により症状が安定すれば抗凝固療法を継続した状態で退院します。とくに高齢者の場合は、脳梗塞予防として抗凝固療法の長期継続が必要になるため、退院後のフォローにはプライマリケア医の協力、つまり、病診連携が頼みの綱となるわけです。このような現状を踏まえ、高齢者や合併症を有する患者を抱える非専門医の方々にも、心房細動などの自覚症状を見極める能力や問診力を培っていただける、診断や治療に役立つ知識を共有してもらえるように、日本心臓病学会では教育講演などの企画に努めています。プライマリケア医がおさえておくべき循環器疾患の現状もう一つ、心臓病診療のトレンドを多くの医療者にしっかり理解いただくことも本学会の大きな目的です。たとえば、私の専門である不整脈治療におけるカテーテルアブレーション実施件数は、2010年に約3.5万件だったのが、この10年で2倍以上も増加し、現在は約9万件も実施されています。一方で、心筋梗塞の治療法の1つであるPCI(経皮的冠動脈インターベンション)は、技術の進歩によって再狭窄リスクが低下したため、実施件数が横ばいになっています。なぜ、このようにアブレーション件数が増えているかというと、2012年に発表された「カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン」から「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年版改訂)」に改訂された際に、適応疾患が拡大し、動悸などの症状を有していれば、カテーテルアブレーションを第1選択できるようになったためです。そのため、心房細動患者に対するアブレーション件数は年々増加を続け、この領域は薬物療法から非薬物療法へ変遷を経ています。非会員でも参加できる教育セミナー今回の学術集会とは離れますが、本学会は、日ごろから医療者に対する教育に力を入れています。会員のみならず非会員でも参加できる仕組みを作り、学術集会での教育講演のほかに、「教育セミナー」に注力しています。教育セミナーは年に2回、2月と6月に開催され、アドバンスコース(専門医向け)とファンダメンタルコース(非専門医、医療者向け)の2つのコースを設け、毎回200~300名の方が受講する盛況ぶりです。受講内容は毎年変わり、不整脈、虚血性心疾患、心不全、動脈疾患など循環器疾患全般を幅広く網羅しています。「脳卒中・循環器病対策基本法」が昨年12月に成立したことを踏まえ、今後は、本学会でも若手医師や非専門医の方々に、この法律の重要性を理解してもらえるような取り組みも行っていく予定です。メッセージ(動画)

688.

第1回 心臓病は社会の中で全身から診る視点が必要

9月13日から3日間、名古屋国際会議場で、第67回日本心臓病学会学術集会が開催される。心臓病の実臨床に重点を置く同学会。大会長の三重大学循環器・腎臓内科学教授の伊藤正明氏は「循環器科の先生はもちろん、他科の先生、開業医、コメディカルの方々を含めた幅広い学びの場を提供したい」と語る。循環器科は心臓だけを診ていてはいけない第67回の日本心臓病学会学術集会では、「原点を学び、未来を創る」「全身を診る、心臓をみる」という2つのテーマを掲げました。「原点」というのは、身体診察で理学的所見を取る、問診で患者さんの訴えを聞く、といういわば医師の基本のこと。若い先生方は、血液検査や心エコーやCTといった画像診断に頼り過ぎ、脈を取る、心臓の音を聞く、といった循環器医の基本をともすればおろそかにしがちです。心臓病学会は、歴史的に実臨床に重きを置いてきた学会なので、今回改めて、そのことを強調させていただきました。一方で、心エコー、CT、MRIといった画像検査が現在の心臓病診療に不可欠なのは言うまでもありません。さらに、それらから得られた情報をIoTなどを使ってより質の高い治療につなげていく、AI、遠隔診療、ロボット手術といったものが「未来」です。これらについては、私のたちの世代のほうがむしろしっかり勉強して、追いついていかなければならない。これからの心臓病の臨床には両方とも大切だと考え、多数のプログラムを用意しました。もう1つ「全身を診る、心臓を診る」というテーマを打ち出したのは、心臓病を全身から捉えるという視点が近年ますます重要になっているためです。心臓病はそれ単独で発症するというわけではなく、全身疾患の一病態として起こるケースが多い。糖尿病や脂質異常症が心筋梗塞の危険因子になるといったことはもちろんですが、肺高血圧症は呼吸器症状として現れ、アミロイドーシスやサルコイドーシスなどは、全身に出る症状や所見を理解していなければ診断できません。こうした観点から考えると、循環器医はもはや心臓だけを診ていてはいけない。心臓をきちんと診られるのは当たり前ですが、全身疾患の中でそれを評価し治療していかなければならないのです。逆に言うと、他科の先生にも心臓病にもっと関心を持って、理解してほしいと思います。循環器とがんが重なる領域であるオンコカーディオロジーが昨今注目されていますが、これなども典型的な流れと言えます。本学会でも「会長特別企画」の1つとして、オンコカーディオロジーのほか、感染症、膠原病、透析、周産期などの境界領域でのプログラムを設けています。心不全パンデミックを防ぐ地域での医療ケア連携現在、私たちの研究室で最も力を入れているは、心不全です。私自身はもともと基礎研究を中心にやってきましたが、今地域に目を向けると、心不全パンデミックとも言われる、高齢化に伴う心不全患者の急増への対応が喫緊の課題だと感じます。しかし、心不全診療は、循環器専門医だけのものではありません。急性期は大学病院をはじめとする大病院で対応しますが、その後の慢性期は地域で継続的にフォローしていただかなければならない。地域の開業医の先生方との連携は不可欠ですし、さらに在宅、施設でケアに携わる多職種のコメディカルスタッフとチームで、社会の中で患者さん一人ひとりを診ていく必要があります。日本心臓病学会の伝統として、ケースを大切にするということがあります。「地域医療/実地医家活動委員会」の企画で、今回は全国9チームでJCCケースカンファレンスを行ってもらいます。「症例から深く学ぶ」と題したシンポジウムも、1例1例を大事にする心臓病学会らしい企画だと思います。地域医療のケースも多数扱いますので、開業医の先生方やコメディカルの方々にも、多岐にわたる最新の心臓病の実臨床を学んでほしいですね。また今回、ACC Asia ConferenceがCourse Directorの福田 恵一氏(慶應義塾大学)とAaron D. Kugelmass氏(米国・タフツ大学)の下、同時開催されます。過去2回は中国で開かれており、日本開催は初めてです。ACC(American College of Cardiology)は教育中心の学会で、欧米タイプの学びを身近で体験する良い機会になると思います。メッセージ(動画)

689.

ダパグリフロジンがHFrEF患者で主要評価項目達成、同クラスで初/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者:パスカル・ソリオ)は2019年8月26日までに、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の心不全に対する有効性を検討した第III相DAPA-HF試験において、主要評価項目を達成したことを発表した。2型糖尿病合併の有無を問わず、心不全患者の標準治療への追加治療として、SGLT2阻害薬の有効性および安全性が実証されたのは初となる。 第III相DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。 HFrEF(NYHA心機能分類IIからIV、LVEF;40%以下)患者に対し、標準治療への追加療法としてダパグリフロジン10mgを1日1回投与し、その有効性をプラセボとの比較で評価した。主要複合評価項目は、心不全イベント発症(入院または心不全による緊急受診)までの期間、もしくは心血管死であった。 ダパグリフロジン群ではプラセボ群と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるリスク低下を示し、主要複合評価項目を達成した。本試験におけるダパグリフロジンの安全性プロファイルは、これまでに確立された同剤のプロファイルと一貫していた。AstraZenecaはプレスリリースの中で、同試験の全結果は、今後の学術集会において発表予定としている。 なお、ダパグリフロジンについては、HFpEF(左室駆出率が保持された心不全)患者対象の第III相DELIVER試験、HFrEFおよびHFpEF患者対象の第III相DETERMINE試験も進行中である。

691.

透析患者のEPO抵抗性貧血の解決になるか(解説:浦信行氏)-1102

 同時報告の保存期CKDでも述べたように(「保存期CKD患者の貧血治療が経口薬で」)、roxadustatは経口投与の低酸素誘導因子(HIF)の分解酵素阻害薬であり、結果的にHIFを安定化させて内因性エリスロポエチン(EPO)の転写を促進して腎性貧血の改善を促す。併せて、ヘプシジンの産生を抑制して、鉄利用を高める作用も持つ。 今回の透析例における第III相の結果は、EPO製剤投与群と比較して貧血改善効果は同等であった。従来のEPO製剤は、高用量を要するEPO抵抗性の症例が存在する。今回の検討ではCRPの値で2群に分けて検討しており、CRP高値群では反応性の低下からEPOの用量を多く必要としたが、roxadustat群ではCRPの高低にかかわらず良好な反応を示し、炎症に左右されない効果を発揮することが明らかとなった。 ところで、保存期CKDの成績ではあるが、従来のEPO製剤での治療でHb値を13g/dL以上にすると死亡や心不全による入院のリスクが増加し(CHOIR試験)、脳卒中リスクが増加する(TREAT試験)可能性が報告されている。しかし、リスクと相関していたのはHb値よりも高用量のEPO製剤であったとされる。この点からもHIF刺激薬は有利である可能性がある。ちなみに、炎症がヘプシジンを増加させるので、両治療群でCRP高低の2群間のヘプシジンの差を比較すると、機序の1つの解明につながる可能性があるが、残念ながらそのような解析結果は示されていない。 一方、やや気に掛かるのは、HIF刺激薬群で有害事象による中止と中断例が多いことである。本来EPO製剤投与群を2群に分けて試験に入っているので、EPO製剤による有害事象例や中断例が事前に除外されている結果なのかもしれないが、これら有害事象と中断を合わせた脱落率が15%であることは、やはり気に掛かる。

692.

第12回 低血糖、シックデイ、アドヒア―注射剤にまつわる問題への対処法【高齢者糖尿病診療のコツ】

第12回 低血糖、シックデイ、アドヒア―注射剤にまつわる問題への対処法前回に引き続き、GLP-1受容体作動薬とインスリンそれぞれについて、高齢者での使い方のポイントをご紹介します。低血糖や、GLP-1受容体作動薬での消化器症状、そしてきちんと打てているかが心配な注射剤のアドヒアランスについて、状態を確認する方法と対処法をまとめます。Q1 低血糖や消化器症状、シックデイが心配。どのようにコントロールしますか?1)低血糖について高齢者では発汗・動悸といった典型的な低血糖症状が出づらく、めまいや脱力感が前面に出る場合が多く、低血糖症状が見逃されることがあります。また、低血糖症状がせん妄として現れることもあり、注意が必要です。インスリン使用者あるいはGLP-1製剤にSU薬やグリニド薬を併用している例では、低血糖のリスクがあるため、定期受診時に非典型的な症状も含めて症状の有無を確認します。また、HbA1cの下限も意識し、過度のコントロールにならないようにインスリンやSU薬、グリニド薬を減量します。2)消化器症状について肥満の非高齢者では好ましいGLP-1受容体作動薬の食欲低下作用ですが、高齢者では脱水やサルコペニアを惹起する可能性があり、食思不振や過度の体重減少に注意が必要です。そのため、筋肉量が少ないと予想される「やせ型」の高齢者にはあまりいい適応ではありません。週1回のGLP-1受容体作動薬は消化器症状が比較的出づらいといわれていますが、リスクはあるため、定期外来受診時は食欲と体重の推移に注意する必要があります。3)シックデイについて水分や炭水化物の摂取などの一般的なシックデイ対応が前提ですが、ここでは注射製剤の取扱いについて記述します。GLP-1受容体作動薬は血糖依存性にインスリン分泌を促進するため、基本的には食事量が少なくても中止する必要はありませんが、嘔気などの消化器症状が強い場合は増悪させる危険性があるため中止します。持効型や中間型などの作用時間の長いインスリンは中止しないことが原則です。とくに、1型糖尿病などインスリン依存状態の場合は、たとえ食事摂取ができなくとも持効型製剤は絶対に中止しないように指導します。2型糖尿病でインスリン分泌能が保たれている場合には投与量を減量する場合もあります。超即効型製剤は、食事(炭水化物)量に応じ調整(例:食事摂取量が半量ならインスリン半量など)するように指導し、紙に書いて渡していますが、高齢者では対応困難な場合が多く、強い症状が半日以上続く、24時間以上経口摂取ができないなどといった場合1)は医療機関を受診するように指導しています。Q2 手技指導のポイントがあれば、教えてください。1)自己注射の可否の判断認知機能の低下した高齢者にとって新たに注射手技を獲得することは非常に困難です。DASC-8や時計描画試験を含むMini-Cogなどを用いて認知機能をスクリーニングし(第4回参照)、本人への指導を行うかを検討します。本人が難しい場合には介護者への指導を行うことになりますが、老々介護の世帯も多く、介護者への指導も難しいこともあり、インスリン分泌能が保たれている場合には、訪問看護やデイケアの看護師が行う週1回のGLP-1製剤が有用な選択肢として考えられます。また、注射自体は患者本人が可能なものの、インスリンの準備やその単位設定が困難な場合があるので、注射手技の一部を介護者に依頼することもよくあります。2)自己血糖測定本人や介護者が注射手技は獲得できても、自己血糖測定が困難な場合もあるため、指導状況をみながら自己血糖測定の指導を行うかどうか検討します。GLP-1製剤のみを使用している場合で、低血糖リスクが少ないと判断した場合は、血糖測定は必須ではありません。インスリン注射の場合で血糖測定が困難なときには、低血糖回避のため、やむを得ず血糖コントロール目標を緩和することがあります。自己血糖測定が可能な場合には、低血糖を回避するために、食前または眠前の血糖値100mg/dL未満が継続する場合にその前の責任インスリンの減量(1~2単位)を考慮します。また、血糖値の変動が大きい場合には、インスリンボールができていないかどうかを確認し、固くない場所に注射するように指導します。3)注射のアドヒアランス自己注射を行えていた例でも、加齢に伴って打ち忘れがあったり、注射の実施が困難になったりする場合もあります。明らかな誘因がなくコントロールが悪化したときは、注射の打ち忘れと注射手技を確認します。とくに眠前の持効型インスリンは、つい早く寝てしまって、打ち忘れが起こりやすいので、朝食前や夕食後に変更することがあります。外出や旅行の際のインスリンの打ち忘れも起こりやすいので、あらかじめバッグに予備の注射薬を入れておくように指導します。インスリン注射は実施できていても単位を間違えることが懸念される場合は、多少の血糖上昇には目をつぶり、毎回のインスリン量を同じにする、10単位など覚えやすい単位数に設定するなどの工夫をすることもあります。インスリン単位数は処方箋の記載だけでなく、必ず紙に書いて(多くは自己血糖記録用紙に)渡すようにし、外来受診時に何単位打っているかを患者さんに答えてもらって、単位数の間違えがないかを確認しています。独居で介護者がいない場合は低血糖リスクを極力下げるため、血糖管理目標を緩和します。訪問看護を導入すると、インスリンの残量を確認することで実際に打てているかどうかをわかることがあります。インスリン注射が必要であるが、自己管理が困難で、かつ介護者が不在の場合は外来での対応は困難であり、入院あるいは短期入所のうえ環境調整が必要です。入院・入所を拒否された場合でも、説得を続けながら地域包括支援センターなどに相談します。1)日本老年医学会・日本糖尿病学会編著. 高齢者糖尿病診療ガイドライン2017.南江堂;2017.

693.

保存期CKD患者の貧血治療が経口薬で(解説:浦信行氏)-1101

 従来、CKDに合併する腎性貧血は透析例も含めて赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が治療の主体であった。roxadustatは経口投与の低酸素誘導因子(HIF)の分解酵素阻害薬であり、結果的にHIFを安定化させて内因性エリスロポエチン(EPO)の転写を促進して腎性貧血の改善を促す。現在、roxadustatを含めて5製剤が開発中である。同時に鉄吸収や肝臓からの鉄の放出を抑えるヘプシジンの産生を抑制して、鉄利用を高める作用も併せ持つ。 今回の第III相の結果は貧血改善に著効を呈し、しかも反応も2~3週間後の早期から期待できるようだ。これにはEPO産生の増加だけでなく、EPOの受容体も活性化し、加えて鉄供給・利用も連動することによると考えられる。これまでは保存期CKDは2~4週ごとのESAの皮下または静脈注射を余儀なくされ、また、EPO抵抗性の症例もあることから、HIF刺激薬は治療利益が大きいと考えられる。また、LDLコレステロールも25.3mg/dL低下し、有意な減少であったため付加価値的要素もあるが、同時にHDLコレステロールも10mg/dL程度低下するため、その価値は大きくはなさそうである。一方でHIF刺激の結果、長期的には血管新生を惹起する可能性は否定できず、糖尿病症例の網膜症悪化や、腫瘍進展のリスクの懸念は残るので、長期的なリスクの評価が必要と考える。

694.

糖尿病外来患者の検査、施設でばらつき

 「全国のレセプトデータを調査し、糖尿病診療の質指標を測定した研究」について、国立国際医療研究センターと東京大学大学院医学系研究科などで構成される研究グループが、7月30日に研究結果を発表し、“Diabetes Research and Clinical Practice”1)にも掲載された(発表者:杉山 雄大氏[国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長])。 糖尿病診療では、血糖・血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だとされている、しかし、これまで一部の保険者や施設の実施割合の報告はあったものの、全国における状況を調べた研究はなかったことから今回行われたものである。 本研究では、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」を用いて、2015年度に糖尿病薬の定期処方を受けている外来患者(約415万例)が、『糖尿病治療ガイド』(日本糖尿病学会 編・著)などで推奨されている糖尿病関連の検査を受けている割合を糖尿病診療の質指標として測定した。同時に、都道府県別、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別の指標も計算し、さらに施設単位の指標のばらつきを観察した。網膜症検査と尿検査の実施割合の低さが顕著 主な結果は以下のとおり。・血糖コントロール指標(HbA1c またはグリコアルブミン)を測定したのは96.7%・網膜症検査を受けたのは46.5%(都道府県別範囲:37.5−51.0%、認定有無別:44.8%(認定無し)対59.8%(認定有り))・尿定性検査を受けたのは67.3%(都道府県別範囲:54.1−81.9%、認定有無別:66.8%対92.8%)・尿アルブミンまたは蛋白の定量検査を受けたのは19.4%(都道府県別範囲:10.8−31.6%、認定有無別:18.7%対54.8%) 以上から血糖コントロール指標の測定は良好ではあるものの、網膜症検査と尿検査の実施割合が低く、また詳細な解析においては都道府県別・施設別のばらつきが課題であることが判明した。着実な検査の実施が糖尿病診療の質の向上に寄与 研究グループでは、新しい検査・治療の開発などにより、取るべき指標や指標の定義も変わることもあるとしながらも、「これらの数値は糖尿病診療の質指標と捉えることができ、医療従事者が着実な検査実施に注意を払うことで、今後の糖尿病診療の質が向上することが期待されるとともに、都道府県が医療計画などを立案する際や診療報酬改定に関して議論を行う際の資料になるなど、エビデンスに基づいた政策立案を推進することが考えられる」と展望を述べている。

695.

ミネブロ錠:3剤目のミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬

2019年5月13日、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬、ミネブロ錠(一般名:エサキセレノン)が高血圧治療薬として新たに販売開始となった。高血圧治療に残された課題日本の高血圧患者は4,300万人と推計され、そのうち治療によって適切に血圧がコントロールされているのはわずか1,200万人。残りの3,100万人は治療をしていてもコントロール不良、もしくは治療を行っていないという。このような状況の中、日本高血圧学会は2019年に、5年ぶりの改訂となる「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」を発表し、高血圧対策を進めていく必要性を訴えた。今回の改訂では合併症のない75歳未満の成人、脳血管障害患者、冠動脈疾患患者は130/80mmHg未満に、75歳以上の高齢者は140/90mmHg未満に、それぞれ降圧目標値が10mmHgずつ引き下げられている。降圧目標達成のためには個人レベルでの取り組みだけでなく、社会全体での積極的な取り組みが必要であることが強調されており、降圧目標達成率や疾患啓発など、高血圧治療に課題が残されていることがうかがえる。新しく登場したミネブロ錠は高血圧治療の新しい選択肢となり、課題解決に寄与する可能性がある。MR拮抗薬の作用機序について尿細管に存在するMRへ、アルドステロンが過剰に結合し続けると、尿中のナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進させ、循環血量の増加により、血圧が上昇する。ミネブロ錠はMRをブロックし、ナトリウム排泄を促進することで血圧低下効果を発揮する。このMRをブロックするという作用機序から、食塩感受性高血圧の患者さんや原発性アルドステロン症の患者さんで有効性を示すことが期待されている。国内臨床試験成績:中等度腎機能障害に使えるMR拮抗薬国内第III相試験において、I度またはII 度の本態性高血圧症患者を対象に、単剤および他の降圧薬との併用の両方で試験が行われた。単剤投与では2.5mgを1日1回、12週間投与した結果、収縮期血圧は13.7mmHg低下し、エプレレノン(投与量:50mg)に対する非劣性が検証された。また、長期投与試験では52週を通して安定した降圧効果の持続が確認されただけでなく、ARBやCa拮抗薬との併用でも観察期に比べて有意な降圧効果を示している。さらに、中等度腎機能障害を合併した患者やアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併した患者を対象とした試験では1.25mgを1日1回投与し、どちらの患者でも収縮期血圧は10mmHg以上低下している。ARBやCa拮抗薬を用いても降圧目標を達成できず、あと10mmHg程度を下げたいケースに追加する薬剤として良いだろう。そして、最大の特徴の1つは、これまでのMR拮抗薬では禁忌であった中等度腎障害の患者にも使用できるようになっている点である。ただし、副作用である高カリウム血症には注意が必要であり、とくに腎機能が低下している患者では、注意を払いながら使用していくことが求められる。カリウム値のモニタリングを行うなどして、患者に合わせて投与量を調整しながら使用していくことが重要となってくる。今後の可能性ミネブロ錠は単独投与、併用投与どちらでも10mmHg以上の血圧低下効果を示している。今後は、あともう少し血圧を下げたい場合や、これまでMR拮抗薬を使いたいが使えなかった症例において、新しい選択肢の1つとなるのではないか。さらに、MR拮抗薬はアルドステロンの作用を阻害するため、腎臓や心臓などの臓器保護効果を示す可能性があり、ミネブロ錠は高血圧症以外の適応拡大を目指して、糖尿病性腎症患者を対象とした第III相臨床試験が進められている。

696.

長期透析患者の貧血、roxadustat vs.エポエチンアルファ/NEJM

 透析を受ける中国人患者の貧血治療において、経口roxadustatは非経口製剤のエポエチンアルファに対して非劣性であることが示された。中国・上海交通大学医学院のNan Chen氏らが、roxadustatの有効性および安全性を評価した第III相無作為化非盲検実薬対照比較試験の結果を報告した。roxadustatは、経口投与が可能な低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬で、赤血球造血を刺激し鉄代謝を調整することが実証されている。透析施行中の貧血患者に対する治療薬として、標準治療である赤血球造血刺激因子製剤と比較した場合の有効性と安全性に関して、さらなるデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2019年7月24日号掲載の報告。エポエチンアルファ投与中の透析患者約300例を対象に無作為化試験を実施 研究グループは、エポエチンアルファ治療を6週間以上受けている透析患者を、roxadustat群またはエポエチンアルファ群に2対1の割合で無作為に割り付け、週3回26週間投与した。各群、ヘモグロビン(Hb)値が10.0~12.0g/dLに維持されるよう投与量を調整し、鉄剤投与はレスキュー療法以外での使用は控えることとした。 主要評価項目は、投与23~27週におけるベースラインからの平均Hb値変化量であった。roxadustat群とエポエチンアルファ群の群間差の両側95%信頼区間(CI)の下限が-1.0g/dL以上の場合に非劣性とした。また、有害事象および臨床検査値異常により安全性を評価した。 合計305例が無作為化され(roxadustat群204例、エポエチンアルファ群101例)、256例が26週間の治療を完遂した(それぞれ162例、94例)。ベースライン時の平均Hb値は10.4g/dLであった。roxadustatの有効性は、エポエチンアルファに対して非劣性 投与23~27週におけるベースラインからの平均Hb値変化量(±SD)は、roxadustat群0.7±1.1g/dL、エポエチンアルファ群0.5±1.0g/dLで、群間差0.2±1.2g/dL、95%CIは-0.02~0.5であり、roxadustatの非劣性が検証された。 エポエチンアルファ群と比較してroxadustat群では、トランスフェリン値の増加(群間差:0.43g/L、95%CI:0.32~0.53)、血清鉄の維持(群間差:25μg/dL、95%CI:17~33)、トランスフェリン飽和度低下の抑制(群間差:4.2ポイント、95%CI:1.5~6.9)が認められた。 27週時において、総コレステロール値の低下は、roxadustat群がエポエチンアルファ群より大きく(群間差:-22mg/dL、95%CI:-29~-16)、LDLコレステロール値も同様であった(群間差:-18mg/dL、95%CI:-23~-13)。平均ヘプシジン値の低下も、roxadustat群(-30.2ng/mL、95%CI:-64.8~-13.6)がエポエチンアルファ群(-2.3ng/mL、95%CI:-51.6~6.2)より大きかった。 有害事象は、roxadustat群で高カリウム血症および上気道感染症、エポエチンアルファ群で高血圧の発現頻度が高かった。

697.

保存期CKD患者の貧血、roxadustatが有効/NEJM

 人工透析を導入していない保存期慢性腎臓病(CKD)の中国人患者において、roxadustat(FG-4592)投与はプラセボと比較して、8週後のヘモグロビン(Hb)値を増加したことが示された。中国・上海交通大学医学院のNan Chen氏らが患者154例を対象に行った、第III相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年7月24日号で発表された。roxadustatは、経口の低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素阻害薬で、赤血球新生を促進し、鉄代謝を調整する。CKD患者が参加した第II相試験で、roxadustatは内因性エリスロポエチン値を生理的閾値内または閾値近くまで増大させ、Hb値についても上昇し、鉄代謝を改善することが示されていた。 roxadustatを週3回投与 研究グループは、保存期CKD患者の貧血治療について、roxadustatの有効性と安全性に関する付加的データを得る第III相試験を行った。中国29ヵ所の医療機関を通じて、CKD患者154例を無作為に2対1の割合で2群に分け、一方にはroxadustatを、もう一方にはプラセボを、いずれも週3回8週間投与した。被験者のベースライン時Hb値は7.0~10.0g/dLだった。 8週間終了後に、非盲検下でさらに18週間追跡し、期間中は被験者全員にroxadustatを投与した。非経口的な鉄投与は見合わせられた。 主要エンドポイントは、ベースラインから7~9週後のHb値の平均変化値だった。8週間のHb値増加量、roxadustat群で1.9g/dL 8週間の主要試験期間において、ベースラインから7~9週後の平均Hb変化値は、プラセボ群が-0.4±0.8g/dLに対し、roxadustat群は1.9±1.2g/dLだった(p<0.001)。 ヘプシジン値のベースラインから9週後の平均減少量も、プラセボ群が15.10±48.06ng/mLに対し、roxadustat群は56.14±63.40ng/mLと減少幅が大きかった。ヘプシジン値が高い貧血患者では、ヘプシジン値の減少は概して、鉄供給量の増加を示している。 また、総コレステロール値のベースラインからの減少量も、プラセボ群が7.7mg/dLに対し、roxadustat群は40.6mg/dLだった。 roxadustatによるHb値増加は、18週間の非盲検追跡期間も維持された。 なお、高カリウム血症と代謝性アシドーシスの発症率が、roxadustat群でより高率だった。

698.

第24回 心電図の壁~復刻版~(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第24回:心電図の壁~復刻版~(前編)今でこそ心電図に関するさまざまなテキストを出版し、多くの講義・セミナーの機会をいただいているDr.ヒロですが、かつては心電図や不整脈が不得手だったのです…多くの人と同じか、それ以上に苦労して何度もくじけそうになりました。そんなボクだからこそ、いかにして困難を乗り越えたかを語ることで、心電図学習で悩む人へ勇気を与えられるのではないかと、かつて、医学書院の「内科医の道」という若手医師向けのシリーズ企画の中で、あるエッセイ*を執筆しました。このシリーズは、著名な先生方が若手に向けたメッセージをWEB上で発信するもので、ボク自身も時々興味深く読んでいた企画でした。もちろん自分には分不相応だとは思いつつ…当時のボクは承諾してしまいました。その時つけたタイトルが『心電図の壁』。大先輩でもある養老 孟司先生の影響を受けていないとは言いません(笑)。*杉山裕章. 内科医の道[電子版エッセイ]. 医学書院;2012.第48回. (※2018年に公開終了)ニガテ・キライ・ムリの状態から、どう“壁”を乗り越えてきたか-そのプロセスが心電図を学びたい“迷える子羊”たちのお役に少しでも立てればと懸命に書きました。この自分の成長日記とも言えるエッセイも、今では時の流れで“閲覧不能”となってしまいましたが、医学書院と交渉し、自らツッコミ的な補足も追加しつつ、本連載の番外編として2回シリーズでお届けできることになりました。いつものようなレクチャー調でもなく、気軽にご笑読いただけたら嬉しいです。では、はじまり、はじまり~。注)黄緑枠部分がエッセイ、グレー枠部分が現在のDr.ヒロによるツッコミです。原稿依頼をいただいた時、若手医師へ向けたWebエッセイ企画とのことで、本当はお断りしたかった。なぜって、自分こそ“読者”たるべき若者1)だから。でも、いろいろと考えた挙句、心電図についての“苦労話”を皆さんに聞いてもらうことで、少しはお伝えできることもあろうかと思ってお引き受けした。学生時代を思い返してみると、お世辞にも真面目とは言えなかったと思う。でも、外部病院実習2)で配属になった循環器の先生方のカテーテル室やCCUを駆け回るパワフルな姿がとてもカッコ良く見え、自分もやってみたくなったのだ3)。でもオレって…シンデンズとか全然ダメじゃん(泣)。当時は何だかよくわからないけれど心電図が循環器の“象徴”な気がして、試験そのほかでもひどい目にあった記憶が頭から離れなかったからかもしれない。とにかく心電図が大のニガテだった。1:当時33~34歳。冷静になってみるとそんなに若くはないか…。2:とくに印象的だったのは、T病院とM病院の2つ。3:今も最前線で活躍されておられる某医師。当時、若くてバリバリの彼に向けられたナースたちの眼差しはとても印象的だった。容姿もカッコよく、しかもデキる…まさに“完璧”!そんな自分を少しだけ変えたのは、ひょんなことから参加した学内の“心電図ゼミ”だった。有志の勉強会なんてものに参加したことなんて一度もなかったが、わらをもつかみたい気持ちが背中を押してくれたか4)。それは毎週1人1枚、ナマの心電図波形が与えられ、ノーヒントの状態で担当教授と十数人の同級生の前で自分なりの診断・解釈を述べるものであった。ボクが普段やっている“マルチョイ”方式のクイズとはレベルが違う。今で言う、“リアル・ガチ”だ(頼みの綱の自動診断結果も消されていた…)。ほかの人が読んできた心電図もコピーして配布されるため、1回このゼミに行くと、必ず十数個の新しい課題が生まれた。正しく読み切れたときもあれば、全然アサッテの診断をしてしまったことも多々あった5)。出席者の多くも皆、それなりに間違った。しかし、その教授は、たとえ間違った診断をしても決してけなすことなく、その場で“どう読むのか”を、逐一教えてくれた6)。プロ(循環器)の視点に触れた瞬間はしばしば身震いがした。4:実は、当時仲良くしていた友人が参加すると言ったため、何か不安になって一緒について行った。5:今でこそ「系統的判読法」などと1枚の心電図から漏れなく所見を拾い上げることの重要性を強調してるが、当時は指定教科書とブツ(心電図)とをウンウンうなって見比べながら恥をかきたくない一心で必死でやっていたっけなぁ(その甲斐なく敗れさったことも数知れず)。6:同教授は退官されるまで毎年同ゼミを開催されていたそう。心電図はいわんや、まさに教育のプロフェッショナル!約半年間、なぜだか休まず通った。必修の授業だってサボることのあった“劣等生”が。いつしか、自分が担当でない問題にも自分なりの所見をつけてからセッションに参加するようにもなった7)。ただ、その後は苦労の連続だった。国家試験にどうにか通って医師1年目、大学病院で入院サマリーや諸雑用に追われ、心電図はおろか、ほとんど勉強なんてできなかった。もともと自分の要領が悪く、種々のストレスや疲労にも悩まされることもあったのだが。ゼミで築いた“土台”も見事に退化してしまった。7:学生時代に用いていた教科書の大半は廃棄したが、この心電図“教材”は捨てずにファイリングして残してあるほど愛着アリ。2年目は“野戦病院”8)に出た。当然、心電図の講義なんてない。でも、そこでダメ研修医に再度転機が訪れた。1つ上の先生が、「あなた、循環器に興味があるのなら、心電図の“下読み”してみたら? ○○先生が添削してくれるから勉強になるわよ」と勧めてくれたのがキッカケだった9)。それは、院内で毎日記録される山のような心電図の所見を他科のドクターにもわかるよう紙に記載する仕事だった10)。この“下読み”に、コワモテ循環器部長が目を通し、間違っていれば赤ペンで修正してくれるというのだ。しかも、生理検査室の人は、訂正が入った心電図と“正解”できたものとを別に分けておいてくれた11)。それ以後1年近くの間、頼まれてもないのに院内ほぼすべての心電図に目を通す、出来の悪い下読み工場をオープンさせた。はじめのうちはドン引きするくらい直され、不整脈やペースメーカーの心電図などは最後までまったく歯が立たなかった。だが、毎回ドキドキしながら添削結果と向き合った経験は貴重ではあり、一度は失いかけた心電図への“情熱”が徐々に湧き上がってくるのを感じた12)。 8:飲み屋街としても有名な神楽坂付近の病院で、名称は変わっても現在も同じ場所にある。 9:何度か一緒に飲みに行き(ご馳走になっていた)、「腎臓内科の紹介でこの病院に来たんですけど、今更ながらやっぱり循環器やりたいなぁって思ってるんです」なーんて相談したような気が…。10:当時はまだ電子カルテはなく、複写式の短冊状の紙にボールペンで所見を書いた。個々人に“ポケベル”が手渡されており、それが鳴るたび近くの電話機にダッシュしていたなぁ…。11:悩みに悩んでつけた所見が予想通り“誤り”であったもの、そして逆に自分では難なく診断できたと思っていたのに訂正が入り、「そう考えるのか」と多々学ぶことも。悩んだ末に出した回答が“正解”だった時は、ニコニコとスキップして病棟に戻るくらい喜んだなぁ。12:現在でも循環器レジデントなどのdutyとして心電図“下読み”があるようだが、“添削”まで入る環境は比較的少ないのでは。研修自体はいろいろ苦労もしたけれど、この点は恵まれていたと思う。今回はここまで。今振り返ると、かつての教授や部長と同じような立ち居振舞いや試みは、現時点でのボクにはできていません。時勢も変化も踏まえ、Dr.ヒロが選んだのは書籍やWEBでの連載による講義に重点を置くという道です。ただ、それでも“胸のうちは一つ。医学生や研修医・レジデント諸氏に以下のTake home messageを実践してもらいたい―それだけです。今回はDr.ヒロのライフ・ワークの根幹に触れる話をお届けしました。次回は、循環器医になってからの“心電図の壁”への挑戦ストーリーをお届けします。お楽しみに!Take-home Message教科書や問題集だけではなく“生”の心電図に数多く触れよ!心電計の自動診断や先輩の読みに頼らず、自分なりの所見・診断をつける“訓練”をすべし!自分がわからなかった心電図をプロ(循環器医)がどう読んだかチェックして真似よ!【古都のこと~心リハ学会2019教育講座】今回は夏休み特別編をお送りします。2019年7月13日、大阪国際会議場にて第25回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(大会長:木村 穣氏[関西医科大学健康科学科])が開催され、Dr.ヒロは教育基礎講座『心電図とのつき合い方、教えます!~心臓リハビリテーション編~』*のレクチャーをする機会に恵まれました。実は、本学術集会への参加は初めてだったのですが、医師もさることながら、理学療法士や看護師などのコメディカルの方々の熱気がダイレクトに伝わってくる、本当に素晴らしい学会であり、今まで不参加であった自分を恥じました。当日は600人収容の会場が超満員、立ち見が数十人どころか会場の外まで人がギッシリ! こうした状況で講演をさせてもらえることは非常に光栄に感じます。さらに、ボクがレジデント時代を過ごした際の恩師が座長という別のプレッシャーもありました(笑)。ただ、いざ始まってしまえば、いつも通り「心電図・不整脈が好きだー」という情熱を前面に押し出す“熱血講義”スタイルで行うことができました。写真はタイトルスライドで、本連載での著者紹介イラスト、背景は伏見稲荷大社(伏見区)の千本鳥居の様子です。心電図は循環器領域の“言葉”の一つであり、その重要性はもちろん心臓リハビリテーションの世界でも変わらないと思います。聴講してくださった皆さんが、レクチャーから何かしらの「ヒント」を感じ取り、ひいては彼ら彼女らが担当する患者さんの健康回復につながるとしたら、演者冥利に尽きるものです。*:当日使用したスライド資料はこちらから

699.

膜性腎症、リツキシマブvs.シクロスポリン/NEJM

 膜性腎症へのリツキシマブ静脈内投与は、シクロスポリン経口投与に対して、12ヵ月(1年)時点の蛋白尿の完全寛解または部分寛解の導入について非劣性であることが示された。また、24ヵ月(2年)時点までの蛋白尿寛解の維持について優越性が示された。米国・メイヨークリニックのFernando C.Fervenza氏らが、130例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年7月4日号で発表した。膜性腎症にはB細胞異常が関与しており、リツキシマブによるB細胞除去は、同患者の蛋白尿の完全寛解・部分寛解の導入・維持について、シクロスポリン治療に対して非劣性となる可能性が示されていた。24ヵ月時点の蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合アウトカムを評価 研究グループは、膜性腎症で24時間の蛋白尿が5g以上、定量クレアチニンクリアランス値が40mL/分/1.73m2体表面積以上で、アンジオテンシン系阻害薬を3ヵ月以上投与されている患者130例を対象に、無作為化試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはリツキシマブを静脈内投与(1回1,000mgを14日間隔で計2回投与、部分奏効の場合は6ヵ月後に再投与)、もう一方の群にはシクロスポリンを経口投与し(開始用量3.5mg/kg体重/日を12ヵ月間)、24ヵ月間フォローアップした。 主要アウトカムは、24ヵ月時点での蛋白尿の完全寛解/部分寛解の複合だった。臨床検査値と安全性についても評価を行った。完全寛解/部分寛解、リツキシマブ群60%、シクロスポリン群20% 12ヵ月時点で、完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群65例中39例(60%)に対し、シクロスポリン群65例中34例(52%)だった(リスク差:8ポイント、95%信頼区間[CI]:-9~25、非劣性のp=0.004)。 24ヵ月の時点で完全寛解/部分寛解が認められたのは、リツキシマブ群39例(60%)、シクロスポリン群13例(20%)だった(リスク差:40ポイント、95%CI:25~55、非劣性・優越性ともp<0.001)。 寛解を認めた抗ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)抗体陽性の被験者では、抗PLA2R自己抗体価の低下がリツキシマブ群でシクロスポリン群よりも速く、その程度も大きく持続期間も長かった。 重篤な有害事象の発現は、リツキシマブ群11例(17%)、シクロスポリン群20例(31%)で認められた(p=0.06)。

700.

ダパグリフロジン、糖尿病患者の腎保護示す-DECLARE‐TIMI 58サブ解析

 近年、SGLT2阻害剤はアテローム性動脈硬化症患者の腎アウトカムに対し、有益な効果を示すことが明らかになりつつある。今回、イスラエル・Hadassah Hebrew University Hospital のOfri Mosenzon氏らがDECLARE-TIMI 58のサブ解析を実施。ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、腎機能を保持している2型糖尿病患者において、アテローム性動脈硬化症の有無にかかわらず、プラセボと比較して腎疾患の予防および進展抑制を示す結果が得られた。Lancet Diabetes & Endocrinology誌オンライン版2019年6月10日号に掲載された。 研究者らは、複合アウトカムの構成要素、サブグループ解析、さまざまな時点でのeGFRの変化を調査する目的でサブ解析を実施。HbA1cが6.5〜12.0%(47.5〜113.1mmol/mol)の2型糖尿病で、アテローム性動脈硬化症または複数の危険因子を有し、クレアチニンクリアランス60mL/分以上の患者を、1日1回ダパグリフロジン10mg服用群またはプラセボ服用群に1対1に無作為に割り付けた。事前に規定した副次評価項目としての心腎複合アウトカムは、eGFR(推定糸球体濾過量)60mL/分/1.73m2未満かつ40%以上の持続的低下、末期腎不全(90日以上の透析、腎移植、またはeGFRが15mL/分/1.73m2未満を持続)、あるいは腎・心血管系による死亡であった。また、腎特異的複合アウトカムからは、心血管死を除外した。 主な結果は以下のとおり。・試験は2013年4月25日~2018年9月18日に実施された。・追跡期間中央値は4.2年(四分位範囲3.9~4.4)だった。・参加者1万7,160例が無作為に割り付けられた。・各参加者のベースライン時のeGFRは、90mL/分/1.73m2以上が8,162例(47.6%)、60〜90mL/分/1.73m2未満が7,732例(45.1%)、60mL/分/1.73m2未満が1,265例(7.4%)であった(eGFRのデータ消失が1例)。・6,974例(40.6%)はアテローム性動脈硬化症を発症し、1万186例(59.4%)は複数の危険因子を有していた。・副次評価項目としての心腎複合アウトカムは、プラセボと比較してダパグリフロジンで有意に減少した(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.67~0.87、p

検索結果 合計:1046件 表示位置:681 - 700