6.
急性期虚血性脳卒中患者において、脳卒中臨床意思決定支援システム(CDSS)の使用により、通常ケアと比較し3ヵ月後の新規血管イベントの発生が有意に減少したことが示され、脳卒中CDSSによる介入は脳卒中ケアの質の向上と長期的な血管イベントの減少に有効であることが、中国・首都医科大学のXinmiao Zhang氏らが実施した「GOLDEN BRIDGE II試験」で示された。人工知能(AI)を用いた脳卒中CDSSは、脳卒中のアウトカムと医療サービスを改善するための革新的で有望なアプローチであるが、脳卒中医療におけるAIの応用は無作為化比較試験による厳密な評価を受けておらず、脳血管疾患の治療におけるCDSSの使用は現状では限定的であった。BMJ誌2026年3月21日号掲載の報告。中国の77施設でクラスター無作為化試験を実施 GOLDEN BRIDGE II試験は、中国の23省の77施設で実施されたクラスター無作為化臨床試験で、2021年1月~2023年6月に患者を登録した。 対象は、症状発現後7日以内に脳画像検査(MRI)により急性期虚血性脳卒中と確認された18歳以上の患者であった。一過性脳虚血発作、出血性脳卒中などは除外された。 研究グループは、77施設を所在地域(東部、中部、西部)、病院の機能(2次、3次)で層別化し、介入群または通常ケア(対照)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群の施設では、AIを用いた画像解析、脳卒中の原因分類、エビデンスに基づいた治療推奨を含む脳卒中CDSSのサポートが提供され、対照群の施設では通常ケアが提供された。 主要アウトカムは、発症後3ヵ月以内の新規血管複合イベント(虚血性脳卒中、出血性脳卒中、心筋梗塞、および血管死)。副次アウトカムは、急性期虚血性脳卒中ケアの質に関するエビデンスに基づくパフォーマンス指標の複合指標順守率(実際に実施されたパフォーマンス指標の総数を、実施可能なパフォーマンス指標の総数で割った値と定義)、発症後6ヵ月・12ヵ月時点の新規血管イベント、発症後3ヵ月・6ヵ月・12ヵ月時点での障害(修正Rankin Scaleスコア3~6)および全死因死亡。安全性アウトカムは、中等度または重度の出血イベントおよびすべての出血イベントとした。脳卒中CDSSによる介入、新規血管イベントの発生率が低く脳卒中ケアの質も向上 2万1,689例が登録され、登録後1日以内に同意撤回した86例を除く2万1,603例(介入群1万1,054例、対照群1万549例)が解析対象となった。 発症後3ヵ月以内の新規血管イベントは、介入群で2.9%(320/1万1,054例)、対照群で3.9%(416/1万549例)に発生し、補正後ハザード比(HR)は0.74(95%信頼区間[CI]:0.58~0.93、p=0.01)であり、CDSS介入効果はクラスターレベルの回帰分析においても有意であった(効果量:-0.01、95%CI:-0.02~-0.004、p=0.003)。 副次アウトカムについては、介入群で複合指標の順守率が高く(91.4%[7万7,049/8万4,276]vs.89.8%[7万794/7万8,834]、調整オッズ比1.21[95%CI:1.17~1.26]、p<0.001)、12ヵ月時点の新規血管イベント発生率は介入群で有意に低かった(4.0%[440/1万1,054例]vs.5.5%[576/1万549例]、補正後HR:0.73[95%CI:0.56~0.95]、p=0.02)。 障害および全死因死亡率は、両群で有意差は認められなかった。中等度または重度の出血、ならびにすべての出血は、両群間で有意差はなかった。