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認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか

 死亡診断書や処方箋データを用いた研究によると、認知症患者に対するハロペリドールによる治療は、心臓突然死のリスク増大と関連していることが示唆されている。ルーマニア・トランシルバニア大学のPetru Ifteni氏らは、ハロペリドールで治療した認知症患者の突然死例において心臓突然死率が高いかどうかを、剖検所見を用い調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2015年3月19日号の報告。 1989年から2013年までに、精神科病院に入院した行動障害を伴う認知症患者1,219例のうち、65例(5.3%)が突然死していた。突然死後、剖検を完了したのは55例(84.6%)であった。剖検例のうち27例(49.1%)が、経口ハロペリドール単剤(2.2㎎±2.1㎎/日)治療を受けていた。多変量比較および多変量回帰分析を用い、心臓突然死および非心臓突然死であった患者群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・死亡の主な原因は、心臓突然死(32.7%)、心筋梗塞(25.5%)、肺炎(23.6%)、脳卒中(10.9%)であった。・心臓突然死患者と解剖学的に死亡原因が特定された患者では、ハロペリドールの治療率に差はなかった(p=0.5)。・心臓突然死患者では、アルツハイマー型認知症(p=0.027)、心臓病の既往歴(p=0.0094)の割合が高く、気分安定薬による治療率が低かった(p=0.024)。しかし、これらはいずれも心臓突然死の独立した危険因子ではなかった。・剖検データによる本調査では、精神科入院認知症患者に対する経口ハロペリドールの使用は、心臓突然死リスクと関連しないことが示唆された。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

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~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【呼吸器編】

第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? 第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う? 第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?第7回 COPDの薬物療法は何から始める?第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?第13回 結核の発見と対応のポイントは?第14回 肺塞栓を疑うポイントは?第15回 肺の聴診のコツは? 日常診療におけるジェネラリストの素朴な疑問に一問一答で回答するQ&A番組!気管支喘息や肺炎、COPDなどの実臨床でよく見る呼吸器疾患の診察、検査、治療に関する15の質問を、番組MCの前野哲博先生が経験豊富なスペシャリスト・長尾大志先生にぶつけます!第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? プライマリ・ケアで扱うことも多い気管支喘息。寛解への近道は継続した投薬です。そのため、患者のアドヒアランスを高めることも治療のキーポイント。治療の原則と併せて、最も効果がある処方例をズバリお教えいたします!第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 吸入ステロイドは気管支喘息治療薬のスタンダードですが、その剤形やデバイスは年を追うごとに進歩しています。かつて主流だったMDIと、近年数多く発売されているDPI。それぞれの特徴と使い分けをズバリお教えいたします。また、気管支喘息治療でよく使用されるDPI合剤の使い分けについても伝授。吸入ステロイドの選択はこの番組でばっちりです!第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う?気管支喘息治療では発作時の対処も重要なポイント。発作止めとしてよく使用する経口ステロイドですが、怖いものと思って、おそるおそる使っては効果も半減してしまいます。今回は、効果的に使用するために重要な投与量と中止のタイミングをズバリ解説。救急での受診後に処方する場合など発作時以外の使い方も併せてレクチャーします。第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?風邪はプライマリ・ケアで最もよく見る症状のひとつ。風邪症状から肺炎を見逃さないために、風邪の定義、そして風邪をこじらせた場合、初めから肺炎だった場合など、様々なシュチエーションに応じた見分け方のコツをズバリお教えします。第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?インフルエンザに迅速診断は必要?肺炎を疑う場合に使うのはどの検査?信頼性は?迅速診断に関する疑問にズバリお答えします。マイコプラズマ、尿中肺炎球菌、レジオネラ菌。それぞれの原因微生物ごとの迅速診断の特徴やキットの使い勝手など実臨床に役立つ情報をお届けします。第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?肺炎だけど起炎菌が同定できない!そんなときに行うのがempiric therapyです。今回はプライマリ・ケアで多い市中肺炎に焦点をあてて、empiric thearpyの進め方を解説します。その際、最も重要なのは肺炎球菌なのかマイコプラズマなのか予想すること。この2つを見分けるポイントと、またそれぞれに適した薬剤をズバリお教えします。第7回 COPDの薬物療法は何から始める?急激に患者数が増加するCOPD。2013年にガイドラインが改訂され、第1選択薬に抗コリン薬とβ2刺激薬が併記されました。でも実際に専門医はファーストチョイスにどちらを使っているのか?抗コリン薬が使えない場合はどうする?喀痰調整薬ってどんな患者に有用?COPDの薬物療法についてズバリお答えします。第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?COPD治療に必要な呼吸リハビリテーション。専門の機械や人員のいないプライマリ・ケアでもできることはあるの?答えはYES!と長尾先生は断言します。専門病院のような細かいプログラムは不要。しかもプライマリ・ケア医の強みを活かせる指導なのです。第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?専門病院で導入された在宅酸素療法。どういうときならプライマリ・ケア医の判断で酸素量を増やしてもいいの?SpO2の管理目標値はどのくらい?嫌がる患者さんに在宅酸素を継続してもらうコツはある?などの疑問にズバリ答えます!第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?長引く咳を主訴に来院する患者さん、最も多い感染後咳嗽を除外したあとに残るのは慢性咳嗽です。慢性咳嗽の原因疾患は、副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流、咳喘息と多彩。これらをどのように鑑別するのか?ズバリそのキーポイントは喀痰のありなしなのです!今回の講義ではすぐに使える鑑別のノウハウをレクチャーします。第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?慢性咳嗽の代表的な鑑別疾患である、咳喘息とアトピー咳嗽。この2つはどう違うの?アトピー咳嗽という言葉はよく耳にするけれど、実は慢性咳嗽の半数は咳喘息なのだそう。今回は両者の違いを端的に解説。咳喘息の特徴的な症状や診断と治療を兼ねた処方例まで網羅します。第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?百日咳は近年、成人の罹患率が高まり、受診する患者も増えてきました。成人では特徴的な症状が見られにくく、診断ができるころには治療のタイミングを逸しているのも診療の難しいところ。今回はそんな百日咳の鑑別のコツや検査をすべき対象について、ズバリお教えいたします!第13回 結核の発見と対応のポイントは?再興感染症とも言われる結核。早期の発見治療にはプライマリケアでの対応が重要です。今回は特徴的な感染徴候やリスク因子をレクチャー。検査はクオンティフェロンと喀痰検査どちらがいい?周囲に感染者が出たと心配する患者さんにどう対応したらいい?などの質問にもズバリお答えいたします!第14回 肺塞栓を疑うポイントは?いち早く発見したい肺塞栓症。確定診断までの流れなどのベーシックな知識はもちろん、造影CTやDダイマーなどの検査ができないときでも肺塞栓を除外できる条件をズバリお教えします!第15回 肺の聴診のコツは?肺の聴診は基本的な手技。どうやってカルテに書いたら伝わりやすい?今回は代表的な4つの肺雑音の特徴とカルテの記載方法をレクチャーします。連続性か断続性か、高音か低音かなど、聞き分けるコツと、その機序も併せて解説。仕組みの講義で病態生理の理解も深まること間違いありません!

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PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。オランダ65歳以上8万4,496例を登録して無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は2008年9月15日~2010年1月30日にかけて、オランダ国内101地点で65歳以上高齢者を8万4,496例登録して行われた。被験者は1対1の割合で無作為に割り付けられ、4万2,240例がPCV13接種を、4万2,256例がプラセボの接種を受けた。追跡期間は中央値3.97年であった。 PCV13の有効性について、ワクチン型肺炎球菌性市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性市中肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の初回エピソードの予防について評価した。市中肺炎とIPDの特定は、標準的なラボ検査と血清型に特異的な尿中抗原検出アッセイにより行った。 追跡期間中に、肺炎またはIPDが疑われ試験協力病院を受診した人は、PCV13群1,552例、プラセボ群1,680例であった。このうち2,842例(88%)は、前年にインフルエンザワクチンの接種を受けていた。ワクチン型株市中肺炎への有効率、per-protocol解析で45.6% ワクチン型株による感染症の初回エピソードのper-protocol解析の結果、市中肺炎発生は、PCV13群49例、プラセボ群90例でワクチンの有効率は45.6%(95.2%信頼区間[CI]:21.8~62.5%)であった。非菌血症性・非侵襲性市中肺炎は、PCV13群33例、プラセボ群60例でワクチン有効率は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症は PCV13群7例、プラセボ群28例でワクチン有効率は75.0%(95%CI:41.4~90.8%)だった。有効性は試験期間中、持続していた。 修正intention-to-treat解析(安全性データを入手できなかった人を除外した8万4,492例)においても、ワクチン型株による感染症の初回エピソードに対するワクチン有効率は同程度であった(それぞれ37.7%、41.1%、75.8%)。 一方、あらゆる原因(非肺炎球菌性と肺炎球菌性を含む)による市中肺炎の初回エピソード発生例は、PCV13群747例、プラセボ群787例で、ワクチン有効率は5.1%(95%CI:-5.1~14.2%)だった。 重篤な有害事象と死亡は、両群で同程度であったが、PCV13群で局所反応が、より多く認められた。

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成人の季節性インフルエンザに対するオセルタミビルの効果:ランダム化比較試験のメタ解析(解説:吉田 敦 氏)-319

 ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは、現在世界で最も使用されている抗インフルエンザ薬であり、パンデミックに対する備えとしてもその位置付けは大きい。その効果についてはこれまで多くの臨床試験と経験が蓄積されてきたが、今回あらためてランダム化比較試験のメタ解析が行われ、成人例におけるオセルタミビルの効果と副作用が検証された。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号の発表。用いられたランダム化比較試験 対象として解析されたのは、成人に75mg 1日2回投与を行ったランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、これまで論文として発表された、あるいはロシュ社がスポンサーになって施行された未発表のものを含む。インフルエンザ様症状を訴えて来院した例についてランダム化して投与を行い、一部ではその後ウイルス分離あるいは抗体検査を行い、その結果によってインフルエンザウイルス感染症の証拠を得た(Intention-to-treat infected population)。すべての症状が消失するまでの時間をアウトカムとし、投与により短縮された時間を解析した。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度、入院数を比較した。9試験の集計結果 合計して4,328例が解析可能であった。上記の検査で、インフルエンザウイルスの感染が判明した集団(Intention-to-treat infected population)に絞った解析では、プラセボ群に比べ、オセルタミビル群は解熱までの期間が21%短かった(時間比0.79、95%CI:0.74~0.85、p<0.0001)。中央値で比較しても、プラセボ群122.7時間に対し、オセルタミビル群97.5時間であった。一方、検査の有無にかかわらず、インフルエンザ様症状を訴えた患者全体(Intention-to-treat population)を対象として解析すると、その効果はやや弱くなったが、それでも17.8時間の違いがみられた。合併症と副作用に及ぼす影響 Intention-to-treat infected populationでの解析では、抗菌薬の使用が必要となる下気道感染合併症を来した例は、やはりオセルタミビル群で少なく(リスク比0.56、95%CI:0.42~0.75、p=0.0001、オセルタミビル群4.9%、プラセボ群8.7%)、入院が必要となる例も少なかった(リスク比0.37、95%CI:0.17~0.81、p=0.013、オセルタミビル群0.6%、プラセボ群1.7%)。安全性については、オセルタミビル群で嘔気(リスク比1.60、95%CI:1.29~1.99、p<0.0001、オセルタミビル群9.9%、プラセボ群6.2%)と、嘔吐(リスク比2.43、95%CI:1.83~3.23、p<0.0001、オセルタミビル群8.0%、プラセボ群3.3%)が増加したが、精神神経疾患としての影響は見られず、重篤な副作用も認められなかった。オセルタミビルの位置付けと今後 今回のメタ解析では、オセルタミビルによる症状消失までの時間が約1日短くなること、下気道感染合併例・入院例が少なくなること、嘔気と嘔吐が増えたことが確認された。この結果はこれまでの観察研究や経験とおおよそ合致しており、わが国では比較的納得しやすい結果であろう。なお、メタ解析の基になった解析の中で、標本数の少ない解析についてはとくに、オセルタミビル群で差が出た解析に偏って報告されているバイアスは否定できない。しかし、これらの解析の重み付けは少なくなっている。 一方で著者らは、本研究の限界として、元々の解析では呼吸器感染症の合併をアウトカムに設定しておらず、特異的な診断法がなく診断されていること、入院例・肺炎例共に数が少ないことを挙げている。また、予防投与で用いられるような、長期投与での安全性・利便性についても、データを示していない。 オセルタミビルを含む抗インフルエンザ薬について、今後もさまざまな角度から検討がなされ、より厳密な情報が得られることに期待したい。登場してから10年余りでここまで広く使用されているが、それ以前と比べて何がよくなったのか、常に考えるべきではないだろうか。

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ロフルミラストは重度増悪リスクが高いCOPDに有効/Lancet

 ロフルミラスト(roflumilast、 国内未承認)は、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2遮断薬にチオトロピウムを併用しても高頻度の重度増悪発症リスクを有する重度慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、増悪を抑制し入院リスクを低減することが、米国・ワイルコーネル大学のFernando J Martinez氏らが行ったREACT試験で示された。ロフルミラストは、抗炎症作用を有する経口ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害薬で、とくに重度~きわめて重度のCOPD、慢性気管支炎の症状、増悪のリスクを有する患者において、中等度~重度の増悪や肺機能の有意な改善効果が示されているが、標準治療を施行しても増悪のリスクが高い患者に関する検討は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年2月12日号掲載の報告。追加による増悪抑制効果を無作為化試験で評価 REACT試験は、吸入ステロイド薬や長時間作用型β2遮断薬を併用しても、増悪のリスクのある重症COPD患者に対する、ロフルミラストによる増悪の抑制効果を評価する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III/IV相試験。 対象は、年齢40歳以上、喫煙歴が20pack-years以上で、重篤な気流制限や慢性気管支炎の症状を伴い、前年に2回以上の増悪を来した重度COPD患者であった。 被験者は、固定用量の吸入ステロイド薬と長時間作用型β2遮断薬とともに、ロフルミラスト500μgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。試験前からの吸入チオトロピウム投与例は、継続投与が可とされた。 患者と担当医には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、中等度~重度のCOPDの増悪の年間発症率とした。感度分析で13.2%の改善 2011年4月3日~2014年5月27日までに、21ヵ国203施設に1,945例が登録された。ロフルミラスト群に973例、プラセボ群には972例が割り付けられ、それぞれ969例、966例が解析の対象となった。平均年齢は両群ともに65歳、男性がそれぞれ74%、75%で、喫煙状況は両群とも48pack-yearsで、現喫煙者はそれぞれ42%、45%だった。 ポアソン回帰分析では、中等度~重度COPD増悪の発症率はプラセボ群に比べロフルミラスト群で13.2%減少し(0.805 vs. 0.927、率比[RR]:0.868、95%信頼区間[CI]:0.753~1.002、p=0.0529)、負の二項回帰モデルを用いた事前に定義された感度分析では、ロフルミラスト群で14.2%の減少が示された(0.823 vs. 0.959、RR:0.858、95%CI:0.740~0.995、p=0.0424)。 ベースラインから気管支拡張薬投与後52週までのFEV1の変化および重度COPD増悪率は、いずれもプラセボ群に比べロフルミラスト群で有意に良好であった(それぞれ、p<0.0001、p=0.0175)。 有害事象は、ロフルミラスト群で67%(648/968例)、プラセボ群では59%(572/967例)に発現した。有害事象関連の治療中止は、ロフルミラスト群が11%(104/968例)であり、プラセボ群の5%(52/967例)に比べ高率であった。 最も頻度の高い有害事象はCOPDの増悪であり、ロフルミラスト群で15%(145/968例)、プラセボ群では19%(185/967例)に認められた。また、下痢がそれぞれ10%、4%、体重減少が9%、3%、悪心が6%、2%、鼻咽頭炎が5%、5%、頭痛が4%、2%、肺炎が4%、5%にみられた。ロフルミラスト群の17例(2%)、プラセボ群の18例(2%)が治療期間(二重盲検期)中に死亡した。 著者は、「ロフルミラストは、許容されない副作用を発現せずに、臨床的に付加的ベネフィットをもたらす唯一の経口抗炎症薬である。本試験の知見は、既存の吸入薬の最大用量を使用しても重度の増悪のリスクがある重度~きわめて重度のCOPDと慢性気管支炎がみられる患者に対する、治療選択肢の情報として役立つだろう」と述べている。

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高CRPの重症市中肺炎、ステロイドで治療失敗減/JAMA

 重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者に対し、メチルプレドニゾロンを5日投与することで、治療失敗リスクは18ポイントほど低下することが明らかにされた。スペインのバルセロナ・ホスピタル・クリニックのAntoni Torres氏らが多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果、報告した。重症市中肺炎患者では、治療失敗と高度炎症反応とが関係しており、予後が不良となることが知られていた。こうした患者について、コルチコステロイドは炎症サイトカイン放出を調整するが、その治療の有益性については議論の的となっていた。JAMA誌2015年2月17日号掲載の報告より。入院36時間以内からメチルプレドニゾロンを5日投与 研究グループは、2004年6月~2012年2月にかけて、スペイン3ヵ所の教育病院で、重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはメチルプレドニゾロン(0.5mg/kg/12時間、61例)を、もう一方にはプラセボ(59例)を、入院36時間以内から5日間、それぞれ静脈内ボーラス投与した。 高度炎症反応については、入院時CRP値が150mg/L超と定義した。 主要評価項目は、(1)臨床的増悪によるショックの発症、(2)ベースライン時には不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生、(3)治療72時間以内の死亡、で定義した「初期治療失敗」。または、(1)X線検査で増悪を確認、(2)持続的な重度呼吸不全、(3)ショックの発症、(4)ベースライン時には不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生、(5)治療開始後72~120時間内の死亡、で定義した「後期治療失敗」のいずれかだった。治療失敗に関するメチルプレドニゾロン群のオッズ比は0.34 結果、治療失敗はプラセボ群18例(31%)に対し、メチルプレドニゾロン群は8例(13%)と、有意に低率だった(群間差:18%、95%信頼区間:3~32%、p=0.02)。 メチルプレドニゾロン群のプラセボ群に対する、治療失敗リスクに関するオッズ比は、0.34(同:0.14~0.87、p=0.02)だった。 一方で、院内死亡率はプラセボ群9例(15%)、メチルプレドニゾロン群6例(10%)で、有意差はみられなかった(p=0.37)。また、高血糖症が、メチルプレドニゾロン群11例(18%)で、プラセボ群7例(12%)で確認されたが有意差はみられなかった(p=0.34)。

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ICUの肥満パラドックス、該当する患者は?

 一般集団においては肥満が死亡率の増加と関連しているが、危篤状態の患者では、BMIが高いほど死亡率が低いという逆説的相関がみられる。これは「肥満パラドックス」と呼ばれているが、どのようなサブグループが最も影響されるのかは不明である。東京大学臨床疫学・経済学分野の笹渕 裕介氏らは、ICU入室患者について人口呼吸器の装着有無で比較することにより、肥満が低死亡率と関連するかどうかを検討した。その結果、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群では逆J字型の関連が認められた。また両群とも低体重患者の死亡率が高かった。Respiratory care誌オンライン版2015年2月17日号に掲載。 著者らは、全国のデータベースから、2010年7月~2012年3月に退院もしくは死亡したICU入室患者33万4,238例を評価した。主要転帰は院内死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・評価患者のうち23.3%が、ICU入室後2日以内に人工呼吸器管理を開始していた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、敗血症、肺炎、昏睡が多くみられた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、ICU入室後2日以内により多くの治療が施行された。・制限付き3次スプライン関数によると、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群ではBMIが増加するほど死亡率が増加した。

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心不全、心筋梗塞、肺炎で入院の高齢者の再入院・死亡リスク/BMJ

 心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院した高齢者は、退院後数ヵ月にわたり、再入院や死亡リスクが高い状態にあることが明らかにされた。初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日だった。米国・コロンビア大学医療センターのKumar Dharmarajan氏らが、メディケアに加入する米国高齢者300万人超のデータについて分析し明らかにした。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は退院後、しばらくの間は健康に関して用心することが必要である。一方、医療提供者は、退院後高齢患者の絶対リスクや回復への軌跡に関する知識を活用することで有害転帰を軽減する介入を行うことができるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2月5日号掲載の報告より。初回再入院と退院後1年死亡リスクの軌跡を分析 研究グループは、2008~2010年に米国内4,767ヵ所の病院に入院した65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者について、後ろ向きコホート試験を行った。300万人超の同プラン加入者のうち、心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院後、生存退院した人を対象に、退院後の入院や死亡リスクについて分析を行った。 主要評価項目は、初回再入院と退院1年後までの死亡の1日ごとの絶対リスクだった。そうしたリスクの軌跡をたどるため、再入院と死亡について、同リスクが最大値から50%まで減少するまでに要する日数などを求めた。死亡リスクが最大値から半減、心不全11日、心筋梗塞6日、肺炎10日 その結果、退院1年後までの再入院と死亡の発生率は、心不全で入院した患者はそれぞれ67.4%と35.8%、急性心筋梗塞で49.9%と25.1%、肺炎で55.6%と31.1%だった。 初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日、急性心筋梗塞で同13日、肺炎で同25日だった。死亡については、それぞれ11日、6日、10日だった。 初回再入院リスクが最大値から95%減少したのは、心不全で45日、急性心筋梗塞で38日、肺炎で45日だった。死亡リスクについて最大値から95%減少したのは、それぞれ21日、19日、21日だった。 一方、心不全、急性心筋梗塞、肺炎で入院した人は、入院をしていない人に比べて、退院後90日間の再入院リスクはそれぞれ8倍、6倍、6倍高かった。同期間の死亡リスクについても、それぞれ11倍、8倍、10倍高かった。

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高齢者における市中肺炎の危険因子

 聖マリア学院大学(福岡県)の鷲尾 昌一氏らは、わが国の高齢者において、病院外での肺炎発症に関連する因子を病院ベースの症例対照研究で検討した。その結果、地域に住む高齢者では低アルブミン血症が肺炎の危険因子である可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2015年2月5日号に掲載。 本研究では、新たに病院外で発症し肺炎と診断された患者をケースとし、それぞれに同病院の肺炎以外の外来患者1~3例をコントロールとした。すべてのケース(50例)とコントロール(110例)は65歳以上であった。 主な結果は以下のとおり。・肺炎患者では、コントロールと比較して、低アルブミン血症(3.5g/dL未満)と低BMI(18.0未満)が多く認められた。・自分自身で外出可能な(すなわちADLが自立)患者の割合と季節性インフルエンザのワクチン接種率は、肺炎患者のほうがコントロールより低かった。・年齢、性別、病院、上述の因子による調整後も、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:9.19、95%CI:3.70~22.81)。・季節性インフルエンザのワクチン接種は肺炎リスクを減少させた(OR:0.37、95%CI:0.16~0.85)。・老人ホーム入居者を除外しても、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:12.19、95%CI:4.29~34.63)。

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市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311

 市中肺炎では過剰な炎症性サイトカインによって肺が障害され、肺機能が低下すると考えられている。そのため、理論的には抗炎症効果を有するステロイドを併用することが有効と考えられ、肺炎の治療に有益かどうか1950年代から議論されてきた。しかしながら、最近報告された2つのランダム化比較試験においても相反する結果が得られており、いまだにステロイド併用の有益性について結論が出ていない1)2)。 本研究は、入院が必要な市中肺炎患者に対し、ステロイドを併用投与することの有用性を調べるために行った、多施設共同二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験である。18歳以上の市中肺炎患者785例を、(1)プレドニゾン50mg/日を7日間投与する群(392例)と、(2)プラセボ投与群(393例)に割り付けた。プライマリエンドポイントは、症状が安定化(バイタルサインが少なくとも24時間安定)するまでの日数とした。 その結果、症状が安定化するまでの期間の中央値は、プレドニゾン投与群が3.0日、プラセボ投与群が4.4日であり、プレドニゾン投与群のほうが有意に短かった(ハザード比1.33、95%信頼区間:1.15~1.50、p<0.0001)。プライマリエンドポイント以外の結果では、入院期間はプレドニゾン投与群のほうが約1日短かった。抗菌薬の総投与期間に有意差はなかったが、静脈注射での投与期間はプレドニゾン投与群で0.89日短かった。30日目までの肺炎関連合併症の発症率は両群間で有意差はなかったものの、プレドニゾン投与群で低い傾向がみられた。30日時点での総死亡率に差はなかった。 プレドニゾン投与群では、インスリンを要する高血糖の頻度が有意に高かった(19% vs 11%、オッズ比1.96、95%信頼区間:1.31~2.93、p=0.0010)。ステロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群間で差はなかった。 適切な抗菌薬にステロイドを短期間併用することで、全身状態が早く安定化するのは理解できる結果である。ステロイドを併用することによって、入院期間や抗菌薬の静注投与期間を短縮できるのであれば、結果として入院費を抑制でき、患者にとってメリットになるかもしれない。 しかし、この研究を根拠に、入院を要する市中肺炎患者全例にステロイドを併用するかどうかを決めることは難しいと思う。ステロイドは、高血糖以外にも多くの副作用がある薬剤であり、死亡率の改善など誰もが納得できる理由がなければ全例に投与する必然性は乏しい。本研究の「症状が安定化するまでの日数」というプライマリエンドポイントの設定には疑問が残る。 最後に、実臨床ではステロイドの併用が必要と思われる肺炎患者がいるのも事実である。現時点では患者の基礎疾患、重症度、肺障害の程度などから総合的にステロイドの適応を判断することが多いと思われる。とくにICUに入室するような超重症肺炎患者にステロイドを併用すべきかどうかのデータは不足しており、今後のさらなる研究が待たれる。

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重症患者の連日クロルヘキシジン清拭は無効?/JAMA

 連日のクロルヘキシジン(商品名:ヒビテンほか)清拭は、重症患者の医療関連感染(health care-associated infection)を予防しないことが、米国・ヴァンダービルト大学のMichael J Noto氏らの検討で確認された。入院中の院内感染(医療関連感染)は、入院期間の延長や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。入院患者の皮膚は病原菌の貯蔵庫であり、医療関連感染の機序には皮膚微生物叢の浸潤が関連すると考えられている。クロルヘキシジンは広域スペクトルの局所抗菌薬であり、清拭に使用すると皮膚の細菌量が減少し、感染が抑制される可能性が示唆されている。AMA誌2015年1月27日号掲載の報告。予防効果をクラスター無作為化クロスオーバー試験で評価 研究グループは、連日クロルヘキシジン清拭による、重症患者における医療関連感染の予防効果を検証するために、実臨床に即したクラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。対象は、2012年7月~2013年7月までに、テネシー州ナッシュビル市にある3次医療機関の5つの専門機能別ICU(心血管ICU、メディカルICUなど)に入室した9,340例の患者であった。 5つのICUは、毎日1回、使い捨ての2%クロルヘキシジン含浸タオルを用いて清拭する群(2施設)または抗菌薬を含まないタオルで清拭する群(対照、3施設)に無作為に割り付けられた。これを10週行ったのち、2週の休止期間(この間は抗菌薬非含浸使い捨てタオルで清拭)を置き、含浸タオルと非含浸タオルをクロスオーバーしてさらに10週の清拭治療を実施した。 主要評価項目は、中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、クロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染の複合エンドポイントとした。副次評価項目には、多剤耐性菌、血液培養、医療関連血流感染の陽性率などが含まれた。医療費の損失や耐性菌の増加を招く可能性も クロルヘキシジン群に4,488例(年齢中央値:56.0歳、男性:57.6%)、対照群には4,852例(57.0歳、57.8%)が割り付けられた。医療関連感染は、クロルヘキシジン清拭期に55例(CLABSI:4例、CAUTI:21例、VAP:17例、C.ディフィシル感染:13例)、抗菌薬非含浸清拭期には60例(4例、32例、8例、16例、)に認められた。 主要評価項目の発生率は、クロルヘキシジン清拭期が1,000人日当たり2.86、抗菌薬非含浸清拭期は同2.90であり、両群間に有意な差は認められなかった(発生率の差:-0.04、95%信頼区間[CI]:-1.10~1.01、p=0.95)。ベースラインの変量で補正後も、主要評価項目に関して両群間に有意差はみられなかった。 また、院内血流感染、血液培養、多剤耐性菌などの副次評価項目の発生率にも、クロルヘキシジン清拭による変化は認めなかった。さらに、事前に規定されたサブグループ解析では、各ICU別の主要評価項目の発生率にも有意な差はなかった。 著者は、「連日クロルヘキシジン清拭は、CLABSI、CAUTI、VAP、C.ディフィシルによる医療関連感染を予防せず、重症患者に対する連日クロルヘキシジン清拭は支持されない」とまとめ、「クロルヘキシジン清拭はいくつかの専門ガイドラインに組み込まれているが、医療費の損失やクロルヘキシジン耐性菌の増加を招いている可能性がある」と指摘している。

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高齢になるほど肺炎既往歴はその後の心血管疾患発症リスクに大きな影響を与える(解説:島田 俊夫 氏)-307

 高齢化の進んだわが国においては、肺炎による死亡が今や死因の第3位を占めるに至っている。周知のごとく、1位は悪性腫瘍、2位は心疾患である。 最近、JAMA誌(2015年1月20日号)に掲載された年齢構成の異なる(高齢と中高年)2地域住民コホートに基づいたカナダ・オタワ大学のVincente F. Corrales-Medina氏による研究成果によると、肺炎罹患入院歴を有する群は肺炎罹患入院歴のない対照群よりも、肺炎罹患後の経過中に高率に心血管疾患を発症すると報告されている。 これまで、一般的に肺炎罹患入院後の心血管疾患発症リスクに関する理解は十分とは言えない。本研究の目的は、肺炎入院歴が心血管疾患発症の短期および長期のリスクを高めるか否かを、平均年齢の異なる2地域住民コホートの観察を通して明らかにすることである。 その対象研究の1つがCardiovascular Health Study(CHS;研究参加者数は5,888人、参加者登録時年齢は65歳以上、動員期間は1989~1994年)と、もう一方がAtherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC;研究参加者数は1万5,792人、参加者登録時年齢は45~64歳、動員期間は1987~1989年)である。 研究参加者は2010年12月31日まで経過観察が行われた。いずれの研究においても、最初の15年間に肺炎で入院した症例ごとに背景のマッチした2人の対照を選択し、対照群を設けた。肺炎症例と対照群をマッチさせた後10年間にわたり、種々の時間間隔で心血管疾患発症に関して経過観察が行われた。人口構成、心血管危険因子、潜在する心血管病、合併症、身体機能状態等を調整後に心血管疾患発症ハザード比を算出した。 本研究での曝露因子は肺炎であり、主要評価項目は心血管疾患イベント(心筋梗塞、脳卒中および致命的冠動脈疾患)である。その結果、CHSの591人の肺炎症例中206人(34.9%)が肺炎で入院後、10年間にわたる経過観察中に心血管疾患に罹患した。対照群と比較すると、肺炎症例での心血管疾患発症リスクは肺炎入院後1年の期間が最も発症リスクが高く、10年間にわたる経過観察期間を通じて対照群よりも有意に高い心血管発症リスクを示した。 もう一方のARIC研究では、680人の肺炎症例中112人(16.5%)が肺炎入院後10年間にわたる経過観察中に心血管イベントを引き起こした。肺炎入院後2年目以降では、肺炎症例の心血管発症リスクは対照群のそれと比較して有意差を認めなかった。高齢群では心血管疾患発症リスクが明らかに高く、影響の持続も長い傾向を認めた。 要するに、高齢者肺炎による入院は短期および長期の心血管発症リスクの増加に関係しており、この事実は肺炎が心血管疾患発症の独立した危険因子であることを示唆する。 この論文は、2つの年齢構成の異なる疫学研究解析情報に基づいて結論が導かれている。原因についてはこの研究デザインのみで明らかにすることは難しいが、肺炎による感染症を契機に、炎症の遷延化、潜在する動脈硬化巣(プラーク)の不安定化、炎症に基づく凝固活性の亢進、加齢等の因子が複雑に交絡することにより心血管疾患発症が易誘発されることを示唆している。 このことを踏まえて、とくに高齢者肺炎罹患後のアフターケアに関して上記のリスク因子の関与軽減に取り組むことで、心血管発症リスク抑制につながる可能性が考えられる。

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事例38 特定疾患療養管理料(退院後1月以内)の査定【斬らレセプト】

解説腰痛と慢性胃炎が主病の患者に対して、B000 特定疾患療養管理料を算定したところ、C事由(医学的理由により不適当、重複〔国民健康保険連合会〕)で査定となった。初診日、再診日と診療内容からみて算定は妥当と思われた。カルテを確認したところ「○○病院、肺炎のため入院 12/3 ENT(退院証明書を拝見)」の記載があった。同管理料は、退院の日から1月以内に行った管理の費用は入院基本料に含まれるものとするとされている。したがって、他院の退院であっても退院後1月以内は同管理料の算定はできない。医療機関から問われないといわない患者も多い。しばらく来院のない患者には、入院の有無をかならず確認すべきであろう。この査定の件数が著しく増えている。その理由として審査機関のコンピュータチェックでは、レセプト請求後、すぐに他院レセプトも併せて電子的に突合が行われていることが考えられる。今回のように、診療録内に記載されていることを見逃さないようにするには、退院後1月以内の患者であることがわかるように、しおりを診療録に挟むなどの視覚に訴える工夫が有効である。電子カルテの場合は、退院日が登録できる機能を有効に活用して、画面上で警告もしくは算定制限がかかるようにするとよいであろう。※ なお2016年4月の診療報酬改定で本特定疾患療養管理料は、「退院日から」が「当該保険医療機関から退院した日から」に要件が変更され、該当する場合は算定可能となりますのでご注意ください。

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肺炎入院歴は心血管疾患のリスク因子/JAMA

 肺炎による入院歴がある集団では、これがない集団に比べ心血管疾患(CVD)の発症率が、短期的および長期的にも高いことが、カナダ・オタワ大学のVicente F. Corrales-Medina氏らの検討で示された。65歳以上では、30日発症率が約4倍に達し、その後10年まで有意なリスクの増大がみられ、65歳未満でも2年目まで有意なリスク上昇が確認された。CVDの至適な予防戦略を確立するには、リスク因子の特性化が重要であり、感染症はCVDの短期的、長期的なリスク因子である可能性が指摘されている。JAMA誌2015年1月20日号掲載の報告。2つのコホート研究から肺炎のCVDリスクを評価 研究グループは、肺炎による入院と、CVDの短期的、長期的リスクの関連を検討するマッチ化コホート試験(matched-cohort study)を実施した(国立心肺血液研究所[NHLBI]、国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]、国立老化研究所[NIA]の助成による)。 Cardiovascular Health Study(CHS、5,888例、登録時年齢65歳以上、登録期間1989~1994年)と、Atherosclerosis Risk in Communities study(ARIC、1万5,792例、登録時年齢45~64歳、登録期間1987~1989年)の、2つの地域住民ベースの多施設共同観察的コホート研究のデータを使用した。フォローアップは2010年12月31日まで行われた。 個々の研究の参加者のうち肺炎で入院した患者を選出し、それぞれの研究の対照群と背景因子をマッチさせた。マッチング後10年間、肺炎群と対照群におけるCVDの発症状況を追跡した。人口統計学的因子、CVDのリスク因子、潜在性CVD、併存疾患、身体機能状態などで補正したハザード比(HR)を推算した。CVD(心筋梗塞、脳卒中、致死性の冠動脈心疾患)の発症を主要評価項目とした。30日発症率がCHSで約4倍、ARICでも2倍以上に CHSの1,773例[肺炎群:591例(平均年齢73.9歳、女性57.8%)、対照群:1,182例(72.6歳、65.8%)]、ARICの2,040例[680例(55.8歳、53.8%)、1,360例(55.4歳、56.8%)]が解析の対象となった。 CHSの肺炎群591例のうち、入院から10年の間に206例(34.85%)がCVDを発症した[心筋梗塞104例(50.5%)、脳卒中35例(17.0%)、致死性冠動脈心疾患67例(32.5%)]。対照群と比較した肺炎群のCVDリスクは、入院後1年までが最も高く(0~30日:HR 4.07、95%信頼区間[CI]:2.86~5.27/31~90日:2.94、2.18~3.70/91日~1年:2.10、1.59~2.60)、その後10年にわたり有意に高い状況が持続した(9~10年:1.86、1.18~2.55)。 ARICでは、肺炎群の680例のうち入院後10年間で112例(16.5%)がCVDを発症した(心筋梗塞:33例[29.5%]、脳卒中36例[32.1%]、致死性冠動脈心疾患:43例[38.4%])。2年目までは、対照群に比べ肺炎群でCVDリスクが有意に高い状態が続いた(0~30日:HR 2.38、95%CI:1.12~3.63/31~90日:2.40、1.23~3.47/91日~1年:2.19、1.20~3.19/1~2年:1.88、1.10~2.66)が、2年以降は有意な差はなくなった(9~10年:1.54、0.74~2.34)。 著者は、「肺炎による入院は短期的および長期的にCVDリスクを増大させており、肺炎はCVDのリスク因子である」と結論している。感染がCVDリスクを増大させる機序については、短期的なメカニズムに関する議論はいくつかあるが、長期的メカニズムはほとんどわかっていないという。

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市中肺炎入院患者、ステロイド追加で早期回復/Lancet

 入院を要する市中肺炎患者の治療において、プレドニゾンの7日間投与による補助療法を行うと、臨床的安定の達成までの期間が有意に短縮することが、スイス・バーゼル大学病院のClaudine Angela Blum氏らの検討で示された。市中肺炎では、血中への炎症性サイトカインの過剰放出により肺機能障害が引き起こされるが、ステロイドは全身性の炎症過程を抑制し、さらに肺炎球菌性肺炎に対する効果も確認されている。一方、ステロイド補助療法のベネフィットに関する議論は1950年代から続いているが、最近の臨床試験の結果は相反するものだという。Lancet誌オンライン版2015年1月18日号掲載の報告。ステロイド追加の有用性をプラセボと比較 研究グループは、市中肺炎に対する短期的ステロイド療法の有用性を評価する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Swiss National Science Foundationなどの助成による)。対象は、年齢18歳以上、入院後24時間以内の市中肺炎患者であった。 被験者は、プレドニゾン50mg/日を7日間経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は臨床的安定までの期間(バイタルサインが24時間以上安定するまでの日数)とし、intention-to-treat(ITT)解析を行った。 臨床的安定は、体温37.8℃以下、心拍数100回/分以下、自発呼吸数24回/分以下、昇圧薬の投与なしで収縮期血圧90mmHg以上(高血圧患者の場合は100mmHg以上)、精神状態が発症前レベルに回復、経口摂取が可能、適正な酸素供給(PaO2≧60mmHgまたはパルスオキシメトリ≧90%)のすべてを満たす場合と定義した。臨床的安定までの期間が1.4日短縮 2009年12月1日~2014年5月21日に、スイスの7つの3次病院に785例(ITT集団)が登録され、ステロイド群に392例(年齢中央値74歳、男性61%)、プラセボ群には393例(73歳、63%)が割り付けられた。 臨床的安定までの期間中央値は、ステロイド群が3.0日と、プラセボ群の4.4日に比べ有意に短かった(ハザード比[HR]:1.33、95%信頼区間[CI]:1.15~1.50、p<0.0001)。 30日以内の肺炎関連合併症(急性呼吸促迫症候群、膿胸、肺炎の持続)の発現率は、ステロイド群が3%であり、プラセボ群の6%よりも低かったが、有意な差は認めなかった(オッズ比[OR]:0.49、95%CI:0.23~1.02、p=0.056)。 退院までの期間(6.0 vs. 7.0日、p=0.012)および抗菌薬静注投与期間(4.0 vs. 5.0日、p=0.011)はステロイド群で有意に短かったが、肺炎の再発や再入院、ICU入室、全死因死亡、抗菌薬治療期間などは両群間に差はなかった。 有害事象は、ステロイド群の24%、プラセボ群の16%に発現し、有意差が認められた(OR:1.77、95%CI:1.24~2.52、p=0.0020)。ステロイド群では、インスリン治療を要する高血糖の院内発症率が19%と、プラセボ群の11%に比し有意に高かった(OR:1.96、95%CI:1.31~2.93、p=0.0010)。他のステロイド投与に特徴的な有害事象はまれであり、プラセボ群との間に差を認めなかった。 著者は、「プレドニゾン7日間投与は、合併症を増加させずに臨床的安定を早期にもたらした」とまとめ、「この知見は患者の立場からも実際的な価値があり、入院費や有効性の決定要因としても重要である」と指摘している。なお、今回の結果をこれまでのエビデンスに加えてメタ解析を行ったところ、入院期間の有意な短縮が確認されたという。また、著者は「高血糖の発現は予期すべきであり、ステロイド禁忌についても考慮する必要がある」としている。

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在宅で診る肺炎診療の実際

■在宅高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎在宅高齢者の発熱の原因として最も多いのは肺炎である1)。在宅医療を受けている患者の多くは嚥下障害を起こしやすい、脳血管性障害、中枢性変性疾患、認知症を患っており、寝たきり状態の患者や経管栄養を行っている患者も含まれていて、肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎である。日本呼吸器学会は2005年に「成人市中肺炎診療ガイドライン(改訂版)」を、2008年には「成人院内肺炎診療ガイドライン」を作成したが、在宅高齢者の肺炎診療に適するものではなかった。その後、2011年に「医療介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン」が作成された。NHCAPの定義と発症機序は表1 2)および表2 2)に示されるように、在宅療養患者が該当しており、その特徴は市中肺炎と院内肺炎の中間に位置し、その本質は高齢者における誤嚥性肺炎を中心とした予後不良肺炎と、高度医療の結果生じた耐性菌性肺炎の混在したもの、としている。本稿では、NHCAPガイドライン(以下「ガイドライン」と略す)に沿って、実際に在宅医療の現場で行っている肺炎診療を紹介していく。表1 NHCAP の定義1.長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神病床も含む)2.90日以内に病院を退院した3.介護を必要とする高齢者、身障者4.通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬などによる治療)を受けている・介護の基準PS3: 限られた自分の身の回りのことしかできない、日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす、以上を目安とする表2 NHCAP の主な発症機序1.誤嚥性肺炎2.インフルエンザ後の2次性細菌性肺炎3.透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎(MRSA肺炎など)4.免疫抑制薬や抗がん剤による治療中に発症した日和見感染症としての肺炎を受けている■在宅での肺炎診断在宅患者の診察では、平素より経皮的酸素飽和度(SpO2)を測定しておき、発熱時には変化がないかを必ず確認する。高齢者は、咳や痰などの一般的症状に乏しいが、多くの場合で発熱を伴う。しかし、発熱を伴わない場合もあるので注意する。聴診所見では、必ずしも特異的な所見がなく、脱水を伴っている場合はcoarse crackleは聴取しにくくなる。血液検査では、発症直後でも上昇しやすい白血球数を参考にするが、数が正常でも左方移動がみられれば有意と考える。CRPは、発症直後には上昇しにくいので、発症当日のCRP 値で重症度を評価することはできない。必要に応じてX線ポータブル検査を依頼する。■NHCAPにおける原因菌ガイドラインによると原因菌として表3 2)が考えられている。表3 NHCAP における原因菌●耐性菌のリスクがない場合肺炎球菌MSSAグラム陰性腸内細菌(クレブシエラ属、大腸菌など)インフルエンザ菌口腔内レンサ球菌非定型病原体(とくにクラミドフィラ属)●耐性菌のリスクがある場合(上記の菌種に加え、下記の菌を考慮する)緑膿菌MRSAアシネトバクター属ESBL産生腸内細菌ガイドラインでは、在宅療養している高齢者や寝たきりの患者では、喀出痰の採取は困難であり、また口腔内常在菌や気道内定着菌が混入するため、起因菌同定の意義は低く、診断や治療の相対的な判断材料として用い、抗菌薬の選択にはエンピリック治療を優先すべきである、とされている。実際の現場では、喀出痰が採取できる患者は肺炎が疑われた場合、抗菌薬を開始する前にグラム染色と好気性培養検査を依頼し、初期のエンピリック治療に反応が不十分な場合、その結果を参考に抗菌薬の変更を考慮している。■ガイドラインで示された治療区分とはガイドラインでは、市中肺炎診療ガイドラインで示しているような重症度基準(A-DROP分類)では、予後との関連がはっきりしなかったため、治療区分という考え方が導入された。この治療区分(図1)2)に沿って抗菌薬が推奨されている(図2)2)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するここでのポイントは、耐性菌のリスクの有無(90日以内の抗菌薬の投与、経管栄養があり、MRSAが分離された既往歴)が、問われていることである。■在宅患者における肺炎の重症度判断PSI(pneumonia severity index)は、患者を年齢、既往歴、身体所見・検査所見の異常など20因子による総得点により、最も正確に肺炎の重症度判定ができる尺度として有名である。そこで筆者の診療所では在宅診療対象患者のみを対象に、血液検査・画像所見の結果がなくても肺炎の重症度を推定できる方法はないかを検討した。身体所見や患者背景から得られた総得点をPSI for home-care based patients(PSI-HC)と名付け、この得点を基に患者を分類したところ、血液検査や画像所見がなくても予後を反映するものであった3)。当院ではそれを基に「発熱フェイスシート」を作成し、重症度の把握と家族への説明に利用している(図3)。なお、図中の死亡率は1年間における97人の肺炎患者をレトロスペクティブにみた値であり、今後さらなる検討が必要な参考値である。画像を拡大する■在宅における肺炎治療の実際実際の現場では、治療区分で入院が必要とされるB群でも、連日の抗菌薬投与ができるようであれば在宅での治療も可能である。先述したように、喀出痰が採取できない症例が多いため、在宅高齢者の肺炎の起因菌についての大規模なデータはないが、グラム陰性菌、嫌気性菌が主な起因菌であるといわれている。グラム陰性菌に抗菌力が強く、ブドウ球菌や肺炎球菌などのグラム陽性菌や一部の嫌気性菌を広くカバーする、ニューセフェムやレスピラトリーキノロンを第1選択としている。●経口投与の場合:レボフロキサシン(商品名:クラビット[LVFX])、モキシフロキサシン(同:アベロックス[MFLX])LVFXは1日1回500mgを標準投与量・法とする。腎排泄型の抗菌薬であり、糸球体濾過量(GFR)に応じて減量する。MFLXは主に肝代謝排泄型の抗菌薬であり、腎機能にかかわらず、1日1回400mgを標準投与量とする。●静脈投与の場合:セフトリアキソン(同:ロセフィン[CTRX])血中半減期が7~8時間と最も長いので1日1回投与でも十分な効果を発揮し、胆汁排泄型であることからGFRの低下を認める高齢者にも安心して使用できる。CTRXは緑膿菌に対して抗菌力がほとんどなく、ブドウ球菌、嫌気性菌などにも強い抗菌力はないといわれており、ガイドライン上でも誤嚥性肺炎には不適と記載されているが、筆者らは誤嚥性肺炎を含む、肺炎初期治療としてほとんどの患者に使用し、十分な効果を認めている。また、過去90日以内に抗菌薬の使用がある場合にも、同様に効果を認めている。3日間投与して解熱傾向を認めないときには、耐性菌や緑膿菌を考慮した抗菌薬に変更する。嫌気性菌をカバーする目的で、クリンダマイシン内服の併用やブドウ球菌や嫌気性菌に、より効果の強いニューキノロン内服を併用することもある。■入院適用はどのような場合か在宅では、病院と比較すると正確な診断は困難である。しかし、全身状態が保たれ、介護する家族など条件に恵まれれば、在宅で治療可能な場合が多い。筆者らは、先述した在宅患者の肺炎の重症度(PSI-HC)を利用して重症度の把握、家族への説明を行ったうえで、患者や家族の意思を尊重し、入院治療にするか在宅治療にするかを決定している。在宅高齢者が入院という環境変化により、肺炎は治癒したけれども、認知機能の悪化やADL低下などを経験している場合も少なくない。過去にそのような体験がある場合には、在宅でできる最大限の治療を行ってほしいと所望されることが多い。ただ、医療的には、高度の低酸素血症、意識低下や血圧低下を伴う重症肺炎や、エンピリック治療で正しく選択された抗菌薬を使い、3日~1週間近く治療を行っても改善傾向が明らかでない場合に入院を検討している。また、介護面では重症度にかかわらず、介護量が増えて家族や介護者が対応できない場合にも入院を考慮している。■肺炎予防と再発対策誤嚥性肺炎の治療および予防として表42)が挙げられる。表4 NHCAP における誤嚥性肺炎の治療方針1)抗菌薬治療(口腔内常在菌、嫌気菌に有効な薬剤を優先する)2)PPV 接種は可能であれば実施(重症化を防ぐためにインフルエンザワクチンの接種が望ましい)3)口腔ケアを行う4)摂食・嚥下リハビリテーションを行う5)嚥下機能を改善させる薬物療法を考慮(ACE阻害薬、シロスタゾール、など)6)意識レベルを高める努力(鎮静薬、睡眠薬の減量、中止、など)7)嚥下困難を生ずる薬剤の減量、中止8)栄養状態の改善を図る(ただし、PEG〔胃ろう〕自体に肺炎予防のエビデンスはない)9)就寝時の体位は頭位(上半身)の軽度挙上が望ましいガイドラインではNHCAPの主な発症機序として誤嚥性肺炎のほか、インフルエンザと関連する2次性細菌性肺炎の重要性が提案されており、わが国でも高齢者施設におけるインフルエンザワクチン、そして肺炎球菌ワクチンの効果がはっきり示されたこともあり、両ワクチンの接種が勧められる4)。日々の生活の中では、口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションは重要であり、歯科医師・歯科衛生士や言語聴覚士との連携で、より質の高いケアを提供することができる。●文献1)Yokobayashi K,et al. BMJ Open. 2014 Jul 9;4(7):e004998.2)日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会. 医療・介護関連肺炎診療ガイドライン. 2011.3)Ishibashi F, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014 Mar 12 . [Epub ahead of print].4)Maruyama T,et al. BMJ. 2010 Mar 8;340:c1004.●関連リンク日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン

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Dr.ハギーの関節リウマチ手とり足とり~もっと工夫してみる~ <長期罹患編>

第1回 長期罹患患者への対応      ~時間の経過に逆らって~ 第2回 慢性的な痛みへの対応      ~「痛みに慣れる」ということは無い~ 第3回 リハビリテーション      ~患者さんを優しく導け!~第4回 注意すべきは関節外症状      ~RAは全身疾患だ!~ 第5回 合併症マネジメント     ~関節はもちろん、生活を守れ!~ 第6回 関節リウマチの手術療法     ~手術にも「機会の窓」がある!~ 第7回 リウマチ診療落ち穂拾い     ~外来診療スキルアップ~ 何十年と長期で関節リウマチを患っている患者は、近年著しく進歩した関節リウマチ診療の恩恵を十分に受けられていないのが現実です。しかしながら、長期罹患患者でも現在の関節炎と身体障害の程度を適切に評価し、可能な限り疾患活動性を低くする治療を行うことで、QOLを高めることはできます。つまり長期罹患患者に対しても、プライマリケア医ができることはたくさんあるのです。Dr.ハギーが実践している、プライマリケア医ができる長期罹患患者への診療の工夫を、手とり足とりお伝えします!第1回 長期罹患患者への対応 ~時間の経過に逆らって~ 何十年と長期にわたって関節リウマチを患っている患者さんの治療はどうすればよいのでしょうか?話題の生物学的製剤も、曲がってしまった関節を元に戻すことはできません。でも、あきらめてはいけません。適切な治療を行えば、患者の痛みをやわらげ、生活の質を高めることができるのです。Dr.ハギーが実践している、プライマリ・ケア医ができる長期罹患患者への診療の工夫を手とり足とりお伝えします。第2回 慢性的な痛みへの対応 ~「痛みに慣れる」ということは無い~ 関節が痛いと訴える患者さんに、漫然とNSAIDsやステロイドを投与していませんか?NSAIDsやステロイドは即効性に優れていますが、効きめがあるからといって長期間使用すると重篤な副作用をもたらすリスクが高まります。Dr.ハギーが推奨するのは、「可能な限りステロイドは減量し、NSAIDsの連用は避ける」ことです。そのために実践しているさまざまな工夫をレクチャーします。患者さんそれぞれに合った治療計画を考えていきましょう。第3回 リハビリテーション ~患者さんを優しく導け!~ 炎症のある関節に負担をかけると悪化するのでは?という考えから、関節リウマチ長期罹患患者へのリハビリテーション指導を躊躇される先生もいらっしゃるかもしれません。もちろん過度な関節の使用は控えなければなりませんが、関節を動かすのは関節そのものではなく付近に付着する腱・筋肉などで、その部分の無動が続くと動かしにくくなってしまいます。そのため関節を動かす筋肉のストレッチや、関節に負担をかけない「等尺性収縮運動」を指導することが大事になってくるのです。Dr.ハギーが実演する、診察室内でできるリハビリテーション指導を覚えて、明日からの診療に生かしてください。第4回 注意すべきは関節外症状 ~RAは全身疾患だ!~ 関節リウマチは関節だけの病気ではありません。実は、関節以外の様々な合併症を伴いやすい全身疾患なのです。昨今、重篤な関節外合併症は概ね減少傾向にありますが、肺疾患は依然として今日の関節リウマチ診療の中で大きな問題となっています。どんな肺疾患が起こるのか?肺に安全な抗リウマチ薬は?この回では、関節リウマチの肺合併症の中でも特に代表的な間質性肺炎を中心に、手とり足とり解説していきます。第5回 合併症マネジメント ~関節はもちろん、生活を守れ!~ 関節リウマチにおける心血管リスク因子として、「遷延する炎症」「NSAIDs/COX-2阻害薬の長期服用」「ステロイドの長期服用」が考えられます。これらリスク因子がどんな心血管疾患と結びつくのか?また、対処方法はあるのでしょうか?関節リウマチと心血管疾患とのつながりをしっかり押さえておきましょう。第6回 関節リウマチの手術療法 ~手術にも「機会の窓」がある!~ 関節リウマチの薬物療法の著しい進化はすでに解説してきましたが、近年、整形外科手術も大変進歩し、人工関節素材の向上や、3DプリンターとCT画像を組み合わせた精度の高い術前計画が立てられるようになりました。ここでのプライマリケア医が持つ重要な役割は、「整形外科医へのコンサルトのタイミングを逸さない」こと。関節リウマチ手術のタイミングは個々の症例によって異なります。どのような病態が手術適応となるのか?それによってどのくらいQOLの改善が期待できるのか?きちんと学んでいきましょう。第7回 リウマチ診療落ち穂拾い ~外来診療スキルアップ~ 長期に罹患している関節リウマチ患者に対してもできることはたくさんある、というDr.ハギーの思いのもと、適切な薬物療法や診察室でできるリハビリテーション、合併症についてなど、プライマリケア医ができる診療の工夫や知っておくべき項目を数々学んできました。最終回は、今後さらなる発展が期待できる画像検査や新規薬剤、栄養療法の3つを中心にレクチャーしていきます。「リウマチ科医の聴診器」としての地位を築きつつある関節・筋骨格の超音波検査や、新薬開発の今後など、これからの関節リウマチ診療の進展にもぜひ注目してください。

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