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Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 医療関連感染症編

第1回 医療関連感染症診療の原則と基本第2回 カテーテル関連血流感染症第3回 カテーテル関連尿路感染症第4回 院内肺炎第5回 手術部位感染第6回 クロストリジウム・ディフィシル感染症第7回 免疫不全と感染症第8回 発熱性好中球減少症第9回 細胞性免疫不全と呼吸器感染 あの医療者必携のベストセラー書籍「感染症プラチナマニュアル」のレクチャー版!岡秀昭氏による大人気番組「感染症プラチナレクチャー」の第2弾は医療関連感染症編です。医療関連感染症は、どの施設でも避けることのできない感染症であり、その対策にはすべての医療者が取り組まなくてはなりません。この番組では、医療関連感染症診療の原則と、その診断・治療・予防について臨床の現場で必要なポイントに絞って岡秀昭氏が解説していきます。2019年4月の診療報酬改定で、抗菌薬適正使用を推進するため、入院患者を対象とした「抗菌薬適正使用支援加算」が新設されています。その中心を担うAST(抗菌薬適正使用推進チーム)やICTはもちろん、その他の医療者の教育ツールとしてもご活用ください。さあ、ぜひ「感染症プラチナマニュアル2019」を片手に本番組をご覧ください。※書籍「感染症プラチナマニュアル」はメディカル・サイエンス・インターナショナルより刊行されています。該当書籍は以下でご確認ください。amazon購入リンクはこちら ↓【感染症プラチナマニュアル2019】第1回 医療関連感染症診療の原則と基本初回は、医療関連感染症診療の原則と基本について解説します。基本的に原則は市中感染症編と“いっしょ”です。この番組を見る前にDr.岡の感染症プラチナレクチャー市中感染症編 第1回「感染症診療の8大原則」をご覧いただくとより理解が深まります。ぜひご覧ください。入院患者の感染症は鑑別診断が限られるため、一つひとつ確認しながら進めていけば、診断は比較的容易です。まずは、その鑑別診断について、考えていきましょう。第2回 カテーテル関連血流感染症今回のテーマはカテーテル関連血流感染症(CRBSI:catheter related blood stream infection)です。重要なことは、医療関連感染のCRBSIは「カテーテル感染」ではなく、「血流感染」であるということです。そのことをしっかりと頭に入れておきましょう。番組では、CRBSIの定義、診断、治療そして予防について詳しく解説します。第3回 カテーテル関連尿路感染症今回のテーマはカテーテル関連尿路感染症(CAUTI:Catheter-associated Urinary Tract Infection)です。院内感染が疑われた患者さんに膿尿・細菌尿がみられたら尿路感染症と診断していませんか?とくに医療関連感染で起こる尿路感染症は、特異的な症状を呈さないことも多く、Dr.岡でさえ、悩みながら、自問しながら、診断する大変難しい感染症です。その感染症にどう立ち向かうか!明快なレクチャーでしっかりと確認してください。第4回 院内肺炎今回のテーマは院内肺炎(HAP:hospital-acquired pneumonia)です。医療関連感染である院内肺炎は診断が非常に難しく、また、死亡率が高く、予後の悪い疾患です。その中で、どのように診断をつけ、治療を行っていくのか、診断の指針と治療戦略を明快かつ、詳細に解説します。また、医療ケア関連肺炎(HCAP:Healthcare-associated pneumonia)に関するDr.岡の考えについてもご説明します。第5回 手術部位感染今回のテーマは手術部位感染(SSI:Surgical Site Infection)です。手術部位感染の診断は簡単でしょうか?確かに、手術創の感染であれば、見た目ですぐに感染を判断することができますが、実は「深い」感染はかなり診断が難しく、手術部位や手術の種類によって対応も異なります。もちろん、手術を行った科の医師が対応すべきことですが、基本的なことについて理解しておきましょう。第6回 クロストリジウム・ディフィシル感染症今回はクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI:Clostridium Difficile Infection)です。院内発症の感染性腸炎はほとんどがCDIであり、それ以外だと非感染性(薬剤、経管栄養など)になります。CDIの診断と抗菌薬治療、そして感染予防について、明快にレクチャーします。とくに抗菌薬選択に関しては、アメリカのガイドラインだけに頼らない、岡秀昭先生の経験を基にした臨床での対応方法をお教えします。第7回 免疫不全と感染症免疫不全だからといって、ひとくくりにして、一律に広域抗菌薬を開始したり、やみくもにβ-Dグルカンやアスペルギルス抗原をリスクのない患者で測定するようなプラクティスをしていませんか?本当に重要なのは、まずは、どのような免疫不全かを判断すること。そのうえで、起こりうる病態、病原微生物を考えていきましょう。第8回 発熱性好中球減少症今回は発熱性好中球減少症(FN: Febrile Neutropenia)についてです。発熱性好中球減少症は診断名ではなく、好中球が減少しているときにおこる発熱の状態のことです。白血病やがんの化学療法中に起こることがほとんどです。FNは感染症エマージェンシーの疾患ですので、原因微生物や、臓器を特定できなくても、経験的治療を開始します。どの抗菌薬で治療を開始すべきか、またどのように診断をつけていくのか、治療効果の判断は?そして、また、その治療過程についてなど、岡秀昭先生の経験を交え、詳しく解説します。第9回 細胞性免疫不全と呼吸器感染最終回!今回は細胞性免疫不全者の呼吸器感染(肺炎)について、解説します。細胞性免疫不全者の呼吸器感染は、多様な微生物が原因となりうるため、安易に経験的治療を行わず、まずは微生物のターゲットを絞ることが重要となります。番組では、原因となる微生物の分類、そして、臨床像やCT画像で微生物を鑑別するポイントや、必要となる検査など、臨床で必要となる知識をぎゅっとまとめて、しっかりとお教えします。

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新型コロナウイルス肺炎41例の臨床的特徴(解説:小金丸博氏)-1186

オリジナルニュース新型コロナウイルス、感染患者の臨床的特徴とは?/Lancet(2020/01/28掲載)論文に対するコメント: 2019年12月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(2019-nCoV)による感染症が世界中に拡大しつつあり、本稿執筆時点(2020年2月4日)で確定患者は2万人を超え、そのうち約400人が死亡したと報告されている。そんな中Lancet誌オンライン版(2020年1月24日号)より、2020年1月2日までに新型コロナウイルス肺炎で入院となった41例の患者背景、臨床症状、臨床経過、放射線画像検査の特徴などが報告された。結果の概要は以下のとおりだが、今回の報告は肺炎を発症し入院となった重症患者のまとめであり、自然軽快する軽症例は含まれていないことに留意しながら結果を解釈する必要がある。患者背景: 患者の73%が男性で、年齢の中央値は49.0歳(四分位範囲:41.0~58.0)だった。32%が何らかの基礎疾患(糖尿病、高血圧、心血管疾患など)を有していた。66%が感染源と推測されている華南海鮮市場と何らかの接点があった。男性が多い理由としては、海鮮市場の関係者が多く含まれていることが要因と思われる。臨床症状: 頻度の高い症状は、37.3℃以上の発熱(98%)、咳嗽(76%)、呼吸困難(55%)、筋肉痛または疲労感(44%)だった。ウイルス性肺炎であるためか喀痰は28%とそれほど多くなかった。下痢などの消化器症状の報告は少なく、鼻汁、咽頭痛などの上気道症状をほとんど認めなかったことも特徴的である。臨床経過: 重症例では、発症から約1週間で入院、8日目ごろに呼吸困難が出現、9日目ごろに急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を合併し、10日目以降に集中治療室(ICU)へ入室するという経過をたどった。合併症としてARDS(29%)、急性心障害(12%)、2次感染(10%)などを認めた。32%がICUへ入室し、15%が死亡した。軽症例を含めれば、合併症発生率や致死率は低下することが予想される。放射線画像所見: 胸部CT画像では、98%で両肺野に浸潤影を認め、非ICU入室患者ではスリガラス影が典型的な所見だった。治療: 全例に抗菌薬の投与、93%に抗ウイルス薬(オセルタミビル)の投与、22%に全身ステロイド投与が行われた。ステロイドの有用性については、さらなる症例の集積が必要である。また、新型コロナウイルス感染症に対して、抗HIV薬であるロピナビルとリトナビルの併用療法の有用性を検討するランダム化比較試験が開始されている。 本論文は、新型コロナウイルス肺炎の臨床的特徴を初めて記載したものである。今後さらに症例を蓄積していくことで、軽症例や無症候例の存在、伝染性、正確な致死率などが判明していくと思われる。 コロナウイルスはいわゆる「風邪」の原因ウイルスであるが、ヒトに対して強い病原性を示したSARSやMERSの原因ウイルスでもある。今までの報告からはSARSやMERSほど致命率は高くないと考えられるものの、まだ明らかとなっていないことが多く、今後の動向を注視したい。医療従事者への院内感染事例も報告されており、手指衛生や咳エチケットなどの標準予防策に加え、適切な経路別予防策の実施を心掛けたい。

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2019-nCoV、類似ウイルスのゲノムと86.9%が一致/NEJM

 2019年12月、中国・湖北省武漢市で、海鮮卸売市場に関連する原因不明の肺炎患者集団が確認された。中国疾病対策予防センター(CDC)は、同年12月31日に武漢市へ迅速対応チームを派遣し、疫学および病因調査を実施。肺炎患者の検体でのシークエンシングから、今まで知られていなかったβコロナウイルスを発見した。この新たなウイルスをヒト気道上皮細胞を用いて分離し「2019-nCoV」と命名。MERS-CoVおよびSARS-CoVとは異なる、ヒトに感染する7番目のコロナウイルスであることが明らかにされた。これら一連の新型コロナウイルスの特定と、臨床的特徴が入手できた肺炎患者2例について、中国CDCのNa Zhu氏らがNEJM誌オンライン版2020年1月24日号で報告している。下気道4検体から2019-nCoVを特定・分離 2019-nCoVの特定は、2019年12月21日以降に原因不明の肺炎を呈した患者から採取した下気道由来の4検体(気管支肺胞洗浄液[BAL法検体]を含む)を用いて行われた。患者はいずれも臨床症状を呈する直前に、武漢市の海鮮市場にいたことが確認されている。対照として、北京の病院の原因不明の肺炎患者から採取された7検体を用いた。 検体から核酸を抽出して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により22の病原体(18ウイルスと4バクテリア)について解析するとともに、PCRで同定できない病原体については、不偏ハイスループットシークエンスを用いてシーケンスを探索した。 ウイルス分離は、採取したBAL法検体を用いて行った。遠心分離で得た上清をヒト気道上皮細胞に接種して培養した後、細胞変性効果を示したヒト気道上皮細胞培地から上清を採取し超遠心機で分離し、ネガティブ染色を行い透過型電子顕微鏡で観察した。また、BAL法検体と培養上清から抽出されたRNAを使用し、イルミナシークエンスとナノポアシークエンスを組み合わせてウイルスゲノムを特定した。発熱・咳症状を認めてから、1例は4日後に入院、1例は7日後に呼吸困難に 患者の臨床的特徴については、2019年12月27日に、重症肺炎で武漢市の病院に入院した成人患者3例について報告している。 症例1は、49歳女性、海鮮卸売市場の小売業者で基礎疾患なし。2019年12月23日に発熱(体温37~38℃)と胸部不快感を伴う咳症状を認める。4日後、熱は低下したが、咳と胸部不快感が悪化。CTスキャンで肺炎と診断された。 症例2は、61歳男性、海鮮卸売市場を頻繁に訪れていた。2019年12月20日、発熱と咳症状を認める。7日後に呼吸困難となり、その2日後に状態が悪化し人工呼吸管理を開始したが、2020年1月9日に死亡した。生検検体は得られていない。 症例3は32歳男性。詳細情報は得られなかったが、この症例3と、前述の症例1は病状が回復し、2020年1月16日に退院した。コウモリ由来SARS-like CoVのゲノム配列と86.9%が同一 2019-nCoVの検出と分離は、2019年12月30日に武漢市金銀潭医院(Wuhan Jinyintan Hospital)で集められた3検体(BAL法による)を用いて行われた。 3検体すべて2019-nCoVが同定された。そのゲノム配列は、以前に公表されたコウモリ由来のSARS-like CoVで確認されたゲノム配列と86.9%が同一であった。また、2019-nCoVは、コウモリで検出されたいくつかのβコロナウイルスと相同性を示したが、SARS-CoVおよびMERS-CoVとは異なっていた。 2019-nCoVは、オルソコロナウイルス亜科βコロナウイルス属サルべコウイルス亜属に属する新しいクレードとして分類され、ヒトへ感染する7番目のコロナウイルスであることが明らかとなった。

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新型コロナウイルス感染症、“疑い例”の定義について/日本医師会

 刻々と状況が変化する中、新型コロナウイルス感染症の「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について、適時アップデートが行われている。2月5日の日本医師会の定例会見では、厚生労働省発出の文書に基づく現時点での定義や、今後の医療機関での対応の見通しについて、釜萢 敏常任理事が説明した。初めて“濃厚接触”を具体的に定義 厚生労働省では、2月4日付の感染症法に基づく届出基準の一部改正についての都道府県宛通知1)において、同感染症の「臨床的特徴」および「感染が疑われる患者の要件」を下記のように定義している。<臨床的特徴(2020年2月2日時点)> 臨床的な特徴としては、潜伏期間は2~10日であり、その後、発熱、咳、全身倦怠感等の感冒様症状が出現する。一部のものは、主に5~14日間で呼吸困難等の症状を呈し、胸部 X 線写真、胸部 CT などで肺炎像が明らかとなる。高齢者及び基礎疾患を持つものにおいては重症化するリスクが一定程度あると考えられている。<感染が疑われる患者の要件> 患者が次のア、イ、ウ又はエに該当し、かつ、他の感染症又は他の病因によることが明らかでなく、新型コロナウイルス感染症を疑う場合、これを鑑別診断に入れる。ただし、必ずしも次の要件に限定されるものではない。ア)発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるものイ)37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたものウ)37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるものエ)発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの※濃厚接触とは、次の範囲に該当するものである。・ 新型コロナウイルス感染症が疑われるものと同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があったもの・ 適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診察、看護若しくは介護していたもの・ 新型コロナウイルス感染症が疑われるものの気道分泌液若しくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高いもの 釜萢氏は上記イ、ウで示される「WHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域」について、中国湖北省が該当と説明。中国の湖北省以外の地域は該当しないのかとの問合せもあるが、検査対象となる疑い例イ、ウの定義としては、現時点では原則として同地域に限定されるとした。「帰国者・接触者相談センター」で受け付け、「帰国者・接触者外来」で受診・検査 また、厚生労働省は2月1日付の事務連絡2)で、都道府県宛に「帰国者・接触者相談センター」ならびに「帰国者・接触者外来」の設置を指示。相談センターは当面主に保健所が担い、帰国者・接触者外来は主に感染症指定医療機関が担う。ただし、今後検体が増加する可能性に備えて、標準予防策を講じられる医療機関については、感染症指定医療機関に限らず医療機関の同意のうえ指定の可能性があるとした。 一般医療機関においては、本来帰国者・接触者外来を受診すべき疑い例であることが判明した場合は、まず相談センターへ連絡のうえ、センターで検体採取が必要と判断された場合に、帰国者・接触者外来の受診という流れとなる。中国からの報告と、国内で診察した医師の印象は乖離か 中国からの報告では、2割強が重症例で、死亡率は2%台とされているが、まず前提としてこれらの報告が感染者のうちの肺炎患者に限られている点を同氏は指摘。一方、まだ数例ではあると前置きしたうえで、国内で症例を診察した医師の印象は中国からの報告から得られる印象とは乖離しているようだと話した。PCR法に代わる簡易検査法や治療薬(タイからの報告はまだエビデンスといえるレベルではない)の開発等にはまだ時間を要すると考えられ、収束の見通しについても正確な見極めはこれからの段階であると強調した。

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新型コロナウイルスのゲノムの特徴/Lancet

 2019年12月に中国・武漢市で患者が報告され、その後、病原体として同定された新型コロナウイルス(2019-nCoV)について、中国疾病予防管理センターのRoujian Lu氏らがゲノム配列を調べた。その結果、2019-nCoVはSARS-CoVとは異なり、ヒトに感染する新たなβコロナウイルスと考えられた。系統解析では、コウモリがこのウイルスの最初の宿主である可能性が示唆されたが、武漢市の海鮮卸売市場で販売されている動物はヒトでのウイルス出現を促進する中間宿主である可能性が示された。さらに構造解析から、2019-nCoVがヒトのアンジオテンシン変換酵素(ACE)2受容体に結合できる可能性が示唆された。Lancet誌オンライン版2020年1月30日号に掲載。 著者らは、入院患者9例(うち8例は海鮮卸売市場を訪れた症例)の気管支肺胞洗浄液サンプルと培養分離株の次世代シークエンシングを行った。これらの症例から全体および部分的な2019-nCoVゲノムシークエンスを取得し、2019-nCoVゲノムとほかのコロナウイルスの系統解析を用いてウイルスの進化について同定し、可能性のある起源を推定した。 主な結果は以下のとおり。・9例から得られた2019-nCoVの10のゲノム配列は非常に類似し、同一性は99.98%以上だった。・2018年に中国東部の舟山で収集された2匹のコウモリ由来の重症急性呼吸器症候群(SARS)様コロナウイルス(bat-SL-CoVZC45、bat-SL-CoVZXC21)は、2019-nCoV と88%の同一性であった。しかし、SARS-CoV(約79%)およびMERS-CoV(約50%)とは同一性は低かった。・系統解析により、2019-nCoVはβコロナウイルス属サルべコウイルス亜属に分類され、最も近縁のbat-SL-CoVZC45およびbat-SL-CoVZXC21より比較的長い分岐長を有し、SARS-CoVとは遺伝的に異なることが認められた。・ホモロジーモデリングから、2019-nCoVはキーである残基におけるアミノ酸変化にもかかわらず、受容体結合ドメイン構造がSARS-CoVと似ていることがわかった。

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新型コロナウイルス、ヒト-ヒト感染は12月中旬から/NEJM

 中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染による肺炎(NCIP)について、中国疾病管理予防センターのQun Li氏らが、2020年1月22日までにNCIPが確認された425人について調べ、疫学的特徴を明らかにした。平均潜伏期間は5.2日、基本再生産数の推定値は2.2で、早期段階では7.4日ごとに感染者が倍増していたことなどが判明したという。著者は「これらの情報は、2019年12月中旬から濃厚接触(close contact)によるヒト-ヒト感染が起きていたというエビデンスを示すものであった」と述べ、「もし同様の感染力がほかでも起きているようなら、感染を減らしアウトブレークをコントロールするには相当な努力が必要になるだろう。リスク集団で感染予防・抑制の手段を講じなければならない」と指摘した。NEJM誌オンライン版2020年1月29日号掲載の報告。2020年1月22日までに検査で確認・報告されたNCIP感染者425人を調査 研究グループは、2020年1月22日までに検査で確認・報告されたNCIP感染者425人について、人口統計学的特性、曝露歴、病状経過について情報収集し分析した。 症例の特徴を描出し、鍵となる疫学的遅延分布を推定。指数関数的に増加している時期に、疫学的患者倍加時間と基本再生産数を推定した。2019年12月中の感染者は47人、そのうち55%が武漢海鮮卸売市場と関連 感染が確認された初期の425人は、年齢中央値59歳(範囲:15~89歳)、男性が56%だった。2019年12月31日までの感染者は47人(11%)で、そのうち26人(55%)について武漢華南海鮮卸売市場との関連が認められた。一方、1月1日以降の感染者(~11日:248人、12~22日:130人)で同関連が認められたのは8.6%だった。 平均潜伏期間は5.2日(95%信頼区間[CI]:4.1~7.0)で、感染者の95パーセンタイルが12.5日であった。また、早期の段階では、7.4日で感染者が倍増した。 連鎖感染の連続症例について、その発症間隔の予測値は7.5日(95%CI:5.3~19)だった。基本再生産数の予測値は、2.2(同:1.4~3.9)だった。

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新型コロナウイルス肺炎99例の疫学的・臨床的特徴/Lancet

 中国・武漢市金銀潭医院のNanshan Chen氏らは、2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)による肺炎の疫学的・臨床的特徴を調べるため、自院の全症例について調査した。その結果、2019-nCoVは併存疾患のある高齢男性が感染するリスクが高く、急性呼吸窮迫症候群などの重症で致命的な呼吸器疾患を引き起こす可能性があることが示唆された。Lancet誌オンライン版2020年1月30日号に掲載。 著者らは、2020年1月1~20日に武漢市金銀潭医院で2019-nCoVが確認された全症例について後ろ向き調査を実施した。症例はリアルタイムRT-PCRで確認し、疫学的、人口統計学的、臨床的、放射線学的特徴および検査データを解析した。アウトカムは2020年1月25日まで追跡。 主な結果は以下のとおり。・2019-nCoV肺炎の99例のうち、49例(49%)が海鮮卸売市場を訪れていた。・平均年齢は55.5歳(SD:13.1歳)、男性67例、女性32例であった。・リアルタイムRT-PCRにより、全症例で2019-nCoVが検出された。・50例(51%)は慢性疾患を有していた。・症状は、発熱82例(83%)、咳嗽81例(82%)、息切れ31例(31%)、筋肉痛11例(11%)、錯乱9例(9%)、頭痛8例(8%)、咽頭痛5例(5%)、鼻漏4例(4%)、胸痛2例(2%)、下痢2例(2%)、悪心・嘔吐1例(1%)であった。・画像検査では、74例(75%)に両側性肺炎、14例(14%)に多くの斑状およびすりガラス状の陰影、1例(1%)に気胸が認められた。・17例(17%)が急性呼吸窮迫症候群を発症し、そのうち11例(11%)が短期間で悪化し多臓器不全で死亡した。

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第23回 意識しよう 免疫力を高めるビタミンDの食材一覧表【実践型!食事指導スライド】

第23回 意識しよう 免疫力を高めるビタミンDの食材一覧表医療者向けワンポイント解説ビタミンDは、紫外線(日光)を浴びることにより、皮膚で合成されるビタミンとしても有名です。しかし、皮膚合成だけでは不十分であるため、食事からの摂取が見直されつつあります。厚生労働省は、5年ごとに改定する「日本人の食事摂取基準」2020年版において、ビタミンDについても変更を加えています。ビタミンDの指標設定については、「骨折リスクを上昇させないビタミンDの必要量に基づき目安量を設定」とされ、2015年度に比べると18歳以上の男女ともに5.5μg/日から8.5μg/日に変更されています。ビタミンDの欠乏や不足におけるリスクは、くる病や骨軟化症のなどが有名ですが、ほかにも骨粗鬆症、感染症、自己免疫、炎症性疾患、心血管病変、がんなどが報告されています。また、ビタミンDは、自然免疫系を増強させ、獲得免疫系の制御をすると考えられ、風邪、インフルエンザ、肺炎など呼吸器感染症の予防が期待されています。また、ビタミンDの不足は糖尿病のリスクを高めるという報告もあります。しかし、糖尿病に関しては、「2型糖尿病の高リスク者に対して、ビタミンD補充をしても、リスクは低下しなかった」という報告*もあり、糖尿病に対して、ビタミンDを摂取すれば良いという考え方ではなく、日常の体づくりに対しての摂取を考えていくべきかもしれません。ビタミンDを食事から摂取しようとする場合、食材は限られており、多く含まれるのは、「魚」「きのこ類」「たまご」です。100gあたりのビタミンD量を比較すると、乾燥きくらげが圧倒的に多く85.4μgです。しかし、実際に1度の食事で摂取できる量は3g程度であり、ビタミンDに換算すると約2.6μgです。そのほか、きのこ類では、舞茸に多く含まれ、大きなパック1個分(100g)で約4.9μgとなります。魚では、サケなどが摂りやすく33μg/100gであり、切り身1枚(80g)程度でも約26.4μgと目安量を簡単に摂取することが可能です。しらす干しは大さじ1杯(5g)で約3μgのビタミンDが摂取できます。魚やきのこは嗜好や食生活の環境によって摂取量が左右されるため、毎日意識をして摂取することがカギとなります。*:Pittas AG, et al. N Engl J Med. 2019;381:520-530.

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新型コロナウイルス、推計感染者数は約7万6,000人か/Lancet

 中国湖北省・武漢市で発生し、急速に拡大している新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症を巡り、中国・香港大学李嘉誠医学院のJoseph T Wu氏ら研究グループは、2019年12月以降の感染の広がりについて予測。1月25日時点で、武漢市および周辺都市における感染者数は約7万6,000人に上ると見られる推計値を発表した。なお、中国保健当局が2月4日付で公表した中国国内の感染者数は約2万400例で、本研究の推計値とは3倍超の大きな開きがある。Lancet誌オンライン版1月31日号掲載の報告。 研究グループは、中国疾病管理予防センターが公表した症例報告数を基に、2019年12月1日~20年1月25日の間に、武漢市から国内外にさまざまな交通機関を利用して移動した人の追跡データを分析、移動先で確認された症例数からモンテカルロ法によって推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・推定基本再生産数は2.68(95%信頼区間[CI]:2.47~2.86)。・感染者数が2倍となるのに要したのは6.4日であった(95%CI:5.8~7.1)。・これらの計算から、武漢の患者数は1月25日時点で7万5,815人と推定(95%CI:3万7,304~13万330)。・武漢以外の主要都市でも局所的な感染の流行が見られ、重慶461例(95%CI:227~805)、北京113例(95%CI:57~193)、広州111例(95%CI:56~191)、上海98例(95%CI:49~168)、深セン80例(95%CI:40~139)などと推定。 著者らは、「人口レベルおよび個人レベルの両方で実質的かつ公衆衛生的な介入が即座に実施されなければ、中国と密接な交通輸送手段を有する海外の大都市においても、今後アウトブレイクの中心となる可能性がある」と述べている。

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出血ハイリスクの重症患者に対する予防的なPPI・H2RAは有用か?(解説:上村直実氏)-1177

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)など酸分泌抑制薬は胃食道逆流症に対する有用性により世界中で頻用されている一方、長期投与による肺炎や骨折のリスク、腸内細菌叢の変化に伴うClostridium difficile(CD)感染症のリスク増加などを危惧する報告が散見されている。このように酸分泌抑制薬の有用性と安全性のバランスは臨床現場で最も注目されている課題の1つである。 重症患者が主体のICUにおいて消化管出血の予防処置としてPPIやH2RAが当然のように投与されているが、薬剤のリスクを考慮した有用性に関する確実なコンセンサスが得られていないのが現状である。今回、この予防投与の有用性を検証するために、研究デザインの質やバイアスリスクを詳細に吟味したシステマティックレビュー/ネットワークメタ解析の結果がBMJ誌に掲載された。選択された72研究1万2,660例について検討した結果、消化管出血のハイリスク患者ではPPIやH2RAの予防投与は臨床的に消化管出血を減少する成績が示された一方、リスクの低い患者においては出血予防の有用性は統計学的には少ないものとされている。 ICUでは抗菌薬の使用が多く、PPI併用によるCD感染症の増加が危惧されるが、本研究の結果からCD感染症は予想より少ないと思われた。一方、酸分泌抑制薬により肺炎を惹起するリスクが増加することは確かなようであり、医療現場ではさらなる注意が必要である。 最も高いレベルの『エビデンス』とされるメタ解析やシステマティックレビューの評価には、選択された研究論文の質はもとより結果の解釈が大切であり、さらに選択論文のアウトカムのみでなく各研究の調査因子の違いにも注意が必要であること、調査因子が多くなると研究結果が不均一になる傾向にあること等、本研究論文から得られる教訓は多かった。EBM全盛時代となっているが、エビデンスレベルを研究デザインにより設定することが適切であるのか、また実際の診療現場では『エビデンス』を参考資料として個々の患者に対する最善の対処を行っているのか考えさせられた次第である。

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全身性強皮症〔SSc:systemic sclerosis〕

1 疾患概要■ 概念・定義全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)は、指趾から左右対称性に中枢側へと及ぶ線維性皮膚硬化を主徴とし、しばしば内臓(肺、食道病変の頻度が高い)にも線維性硬化を伴う慢性疾患である。■ 疫学わが国では約2万人が特定疾患として認定されている。しかし、見逃されている症例や他の膠原病とされている症例、軽症例では患者自身が受診していないことも多く、正確な患者数は不明である。男女比は1:12で、30~50歳代の女性に好発する。まれに、幼児期~小児期、70歳以降の高齢者に発症することもある。■ 病因SScの病因は不明である。本症は、(1)線維性硬化(皮膚におけるコラーゲンの過剰蓄積。内臓病変では臓器傷害部位をコラーゲンが置換する)、(2)末梢循環障害(レイノー現象、指趾潰瘍など)、(3)免疫異常(抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼ(Scl-70)抗体、抗RNAポリメラーゼIII抗体などの自己抗体産生)の3要素によって特徴付けることができる。ただし、自己抗体そのものが疾患を惹起しているわけではなく、SSc特異的自己抗体を産生しやすい遺伝的背景とSScを発症させる疾患感受性の遺伝的背景とが密接にリンクしていると考えられる。■ 症状初発症状としてはレイノー現象(典型例では、寒冷刺激などによって手指が白色、紫藍色、赤色の3相性に変化する。図1)、手指の腫脹・こわばり(図2)が多い。その後、強指症に代表される皮膚硬化が明確となり、皮膚潰瘍・壊疽、肺線維症(図3)、逆流性食道炎をしばしば伴う。手指の屈曲拘縮、肺高血圧症、心外膜炎、不整脈、右心不全、腎クリーゼ(乏尿と高血圧)、関節炎、筋炎、偽性イレウス(腸閉塞)(図4)、吸収不良、便秘、下痢など合併することがある。図1 レイノー現象による手指の蒼白化画像を拡大する図2 手指の浮腫性硬化画像を拡大する図3 肺線維症画像を拡大する図4 偽性イレウス画像を拡大する■ 分類強皮症にはSScと限局性強皮症(Localized scleroderma)とがある。SScは皮膚硬化が肘・膝を超えるびまん皮膚硬化型(diffuse cutaneous type SSc)と肘・膝より遠位側に留まる限局皮膚硬化型(limited cutaneous type SSc)とに分類される。びまん皮膚硬化型は内臓病変が重症である確率が高い。びまん皮膚硬化型では、抗トポイソメラーゼ(Scl-70)抗体、抗RNAポリメラーゼIII抗体の陽性率が高く、内臓病変は重症化しやすい。限局皮膚硬化型では抗セントロメア抗体の陽性率が高く、生命予後に関わる内臓病変として肺高血圧症がある。SSc特異的自己抗体の有無は病型判別に役立つ。なお、皮膚硬化が部分的に生じる限局性強皮症(localized scleroderma)とSScの限局皮膚硬化型(limited cutaneous type SSc)とは別疾患であり、混同してはならない。■ 予後日本人の成人発症SSc患者の10年生存率は88%である。先に述べたように、びまん皮膚硬化型SScでは内臓病変が重症化しやすく、内臓病変が生命予後を左右する。内臓病変は慢性に進行するわけではなく、重症例は発症5、6年以内に急速に進行することが多い。このような症例を正確に見極め、できるかぎり早期に治療を開始して組織破壊を抑制し、組織損傷を軽減することが重要である。一方、限局皮膚硬化型SScでは、肺高血圧症以外に重篤な内臓病変を合併することは少なく、生命予後について過度の心配は不要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)SScは、症例毎に多彩な症状を呈するため、診断に際しては皮膚病変、内臓病変の正確な評価が不可欠である。分類(診断)基準案として厚生労働省研究班(表1)のものと、欧米リウマチ学会のもの(表2)を示す。表2はポイント制であり、早期例の診断に有用性が高い。特に、爪上皮の出血、後爪郭部毛細血管異常は早期診断には重要である(図5)鑑別すべき疾患として、腎性全身性線維症(造影剤を使用された腎不全患者に発症)、汎発型限局性強皮症(斑状強皮症、帯状強皮症などの限局性病変が多発したもの)、好酸球性筋膜炎、糖尿病性浮腫性硬化症、硬化性粘液水腫、ポルフィリン症、移植片宿主病(GVHD)、糖尿病性手関節症、クロウ-フカセ症候群、ウェルナー症候群などが挙げられる(表1)。表1 全身性強皮症診断基準(厚生労働省研究班,2014)◎大基準両側性の手指を超える皮膚硬化◎小基準(1)手指に限局する皮膚硬化*1(2)爪郭部毛細血管異常*2(3)手指尖端の陥凹性瘢痕,あるいは指尖潰瘍*3(4)両側下肺野の間質性陰影(5)抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼIII抗体の何れかが陽性◎除外基準以下の疾患を除外すること腎性全身性線維症、汎発型限局性強皮、好酸球性筋膜炎、糖尿病性浮腫性硬化症、硬化性粘液水腫、ポルフィリン症、移植片宿主病(GVHD)、糖尿病性手関節症、クロウ-フカセ症候群、ウェルナー症候群【診断の判定】大基準、あるいは小基準(1)および(2)~(5)のうち1項目以上を満たせば全身性強皮症と診断する【注釈】*1:MCP関節よりも遠位に留まり、かつPIP関節よりも近位に及ぶものに限る*2:肉眼的に爪上皮出血点が2本以上の指に認められる、またはcapillaroscopyあるいはdermoscopyで全身性強皮症に特徴的な所見が認められる*3:手指の循環障害によるもので、外傷などによるものを除く表2 アメリカリウマチ学会と欧州リウマチ学会の分類(診断)基準(2013)画像を拡大する図5 後爪郭部の毛細血管拡張と爪上皮内の点状出血画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)現時点でSScを完治させる、あるいは進行を完全に抑制できる薬剤はない。しかし、ある程度の効果が期待できる治療薬は揃いつつある。(1)皮膚硬化に対する副腎皮質ステロイド(少量内服、20mg/日以下)(2)肺線維症(間質性肺炎)に対するシクロフォスファミド・パルス療法(点滴静注を1回/月、6回)(3)逆流性食道炎に対するプロトンポンプ阻害薬(内服)(4)末梢循環障害に対するプロスタサイクリンなど(5)肺高血圧症、手指潰瘍再発に対するエンドセリン受容体拮抗薬(内服)(6)腎クリーゼに対するアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(内服)4 今後の展望強皮症を含む自己免疫性リウマチ性疾患の発症機序は不明である。近年の研究成果からは、自然免疫(innate immunity)の制御異常が注目されている。自然免疫は獲得免疫(acquired immunity)が成立するまでの期間に働く生体防御システムであり、外来性病原体に由来する、あるいは我々自身の体細胞に由来する物質の刺激によって始動する。これらの物質は生体の恒常性を破綻させる可能性があるため、自然免疫システムは炎症を起こしてこれら物質を排除しようとする。この炎症が上手くコントロールされて適切な段階で終息すれば正常状態であるが、炎症が遷延化して臓器損傷が慢性に進行するのが異常状態であり、これこそが自己免疫性リウマチ性疾患の発症機序ではないかと推測されている。したがって、最初にスイッチオンする物質の種類、その後の自然免疫による炎症の強弱によって患者さんごとの多様な病態が形成されると考えられる。根本治療薬の開発は、発症機序の解明を待たねばならないが、炎症制御に関わるさまざまな生体物質を制御する薬剤(分子標的薬)の探索へと向かうであろう。5 主たる診療科皮膚科、膠原病内科(SScを専門とする医師がいることが望ましい)。罹患臓器の重症度によって呼吸器内科、循環器内科、消化器内科などに診療する。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター全身性強皮症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)平成26年度厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診断ガイドライン作成事業」(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2020年02月10日

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「がん免疫」ってわかりにくい?【そこからですか!?のがん免疫講座】第1回

はじめに約1世紀前にW. Coleyが「感染症によりがんが縮む」と報告したことが「がん免疫」の最初とされています1)。その後、20世紀初頭にP. Ehrlichが「免疫ががんから生体を防御している」という考えを唱え、M. BurnetとL. Thomasにより「がん免疫監視機構」としてまとめられました2)。がん免疫療法は期待されつつも長らく臨床応用されないままで、懐疑的に見られた時代もありましたが、近年ついに免疫チェックポイント阻害薬の効果がさまざまながんで証明されたことから、がん治療にパラダイムシフトをもたらしています3,4)。従来の抗がん剤やEGFR阻害薬といった分子標的薬は、一部の薬剤を除き、がん細胞を直接標的にすることでがん細胞の増殖を止めたり殺したりしています。一方、免疫チェックポイント阻害薬は、薬剤ががん細胞に直接作用するわけではなく、免疫細胞に作用することでがんを治療しています。さらに免疫細胞にもさまざまな種類が存在しており、これらのことががん免疫療法の理解を難しくしてしまっています。本連載では、あまり「がん免疫」に詳しくない方にも理解しやすい内容で、5回にわたってがん免疫の基礎から今後の展望まで紹介します。そもそも免疫って何しているの?「がんに対する免疫」について書く前に、「普通の免疫」について簡単に触れたいと思います。現在の死因第1位は皆さんご存じのように「悪性新生物」ですが、過去には死因第1位は「感染症」でした。これは、感染症が生物の生きていくうえで大きな問題になってきたことを示しています。現代でも肺炎は死因として大きなウエイトを占めていますし、悪性新生物という死因であっても最終的には感染症が原因で亡くなる方は非常に多く、常に問題になっています。その感染症の原因となる細菌やウイルスといった病原体から、自分の身を守るために身体に備わっているシステムが「免疫」です。つまり免疫とは、細菌やウイルスといった自分とは違う外来の異物(非自己)を排除し、自分の身体(自己)を守るためのシステムです。皆さんがインフルエンザにかかれば高熱が出ますが、あれは免疫が頑張ってインフルエンザウイルスを排除しようとしている証拠です。「自然免疫」と「獲得免疫」があるヒトの免疫は、大きく「自然免疫」と「獲得免疫」に分けられます(図1)。画像を拡大する自然免疫とは、病原体をいち早く感知し、それを排除する仕組みで、身体を守る最前線に位置しています。主に好中球やマクロファージ、樹状細胞といったものがこの役割を担っており、獲得免疫へ情報を伝達する橋渡しの役割も果たしています。獲得免疫とは、病原体を特異的に見分け、それを「記憶」することで同じ病原体に出会ったときに効率的に病原体を排除できる仕組みです。自然免疫に比べると、応答までにかかる時間は数日と長いですが、一度病原体を「記憶」してしまえば効率よく反応することができます。主にT細胞やB細胞といったリンパ球がこの役割を担っています。自然免疫は特定の病原体に繰り返し感染しても増強することはなく、この点が獲得免疫と異なります。「自己」を免疫が攻撃すると大変なことになる免疫は細菌やウイルスのような「非自己」を攻撃して自分の身体である「自己」を守る、と述べました。ですので、免疫はさまざまな仕組みで「自己」を攻撃しないようにしています。たとえば、われわれの身体ではT細胞ができてくる過程で「自己」を攻撃するようなT細胞を身体の中に極力残さないようにしています。さらに、万が一そういったT細胞が身体の中に残ってしまっても、それらが「自己」を攻撃しないようにする「免疫寛容」というセーフティーネットの仕組みを持っていたりもします。もし、これらの仕組みが働かず、免疫が「自己」を攻撃してしまうと、関節リウマチやSLEに代表される「自己免疫疾患」になってしまいます。このことはがん免疫療法特有の副作用につながってきますので、また次回以降に述べたいと思います。がん細胞も「非自己」として認識されれば免疫系が作用するさて、話をがんに戻します。段々おわかりかと思いますが、がん細胞も細菌やウイルスなどと同じように「非自己」として認識されれば、免疫にとっては排除の対象となるわけなのです。それが「がん免疫」です。「高齢の方は免疫系が落ちていてがんになりやすい」だとか「免疫抑制薬を使用している患者さんはがんになりやすい」といった事実から、「がん細胞に対しても免疫系が働いている」というのは感覚的には理解できるかと思います。それを証明したのがマウスの実験です。遺伝子改変で免疫不全状態になったマウスは、普通の野生型マウスに比べて、明らかに発がんしやすいことが報告されました。一時はがん免疫に対して懐疑的な時代もありましたが、これにより「やはりがん免疫は存在する」ということが徐々に受け入れられ、ついにはがん免疫療法の効果が証明されたのです。がん免疫に大事な「がん免疫編集」という考え方われわれ人間の身体では、1日3,000個くらいのがん細胞ができているといわれます。それが、そう簡単に「がん」になってしまったら大変です。今まで述べてきたように、免疫系が正常に働き、がん細胞を「非自己」として認識して排除することで臨床的な「がん」にはならないとされ、その段階を「排除相」と呼んでいます。一方で、がん細胞の中でも排除されにくいものが残ってしまい、完全には排除されていないものの進展が抑制されている平衡状態の「平衡相」になり、最終的には生存に適したがん細胞が選択され、積極的に免疫を抑制する環境を作り上げて免疫系から逃避してしまう「逃避相」として、臨床的な「がん」になるといわれています。がん細胞と免疫系の関係性をこの「排除相」「平衡相」「逃避相」の3つにまとめた考え方は「がん免疫編集」と呼ばれ5)、現代のがん免疫・がん免疫療法を考えるうえで非常に重要な概念です(図2)。英語ではそれぞれ“exclude”、“equivalent”、“escape”となるので、頭文字をとって“3E”とも呼ばれています。画像を拡大する基本的な話はこの辺にして、次回以降はもう少し臨床に近い話をしたいと思います。1)Wiemann B, et al. Pharmacol Ther. 1994;64:529-564.2)BURNET M. Br Med J. 1957;1:779-786.3)Topalian SL, et al. N Engl J Med. 2012;366:2443-2454.4)Brahmer JR, et al. N Engl J Med. 2012;366:2455-2465.5)Schreiber RD, et al. Science. 2011;331:1565-1570.

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新型コロナウイルスから医療現場を守るために/日本医師会

 相次ぐ新型コロナウイルス感染の報告を受け、厚生労働省は、国内でもヒト-ヒト感染が確認されたと発表した。日本医師会は、横倉 義武氏(会長)を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、対応している。 新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「指定感染症」(二類感染症相当)と検疫法の「検疫感染症」に指定する政令が閣議決定され、診療可能な医療機関として、第2種感染症指定医療機関(348施設)、第1種感染症指定医療機関(55施設)、特定感染症指定医療機関(4施設)が指定されている。 日本医師会・副会長の松原 謙二氏は、「武漢市から14日以内に帰国・入国した人あるいはこれらの人と接触した人で、咳や発熱などの疑わしい症状がある場合には、必ず医療機関を受診する前に、厚生労働省か最寄りの保健所に電話して指示を受けてほしい」と、正しい対応策の周知を呼び掛けた。・厚生労働省 電話相談窓口 電話番号:03-3595-2285(受付時間:9~21時) 日本医師会のホームページでは、新型コロナウイルス関連感染症に関する「患者さんへのお願い」として、掲示用の資料をダウンロードすることができる。・院内入口掲示用:患者さんへのお願い・院内掲示用:患者さんへのお願い

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新型肺炎で感染症2学会が声明「継続観察も、冷静な対応を」

 国内外で感染が拡大している新型コロナウイルス(2019-nCoV)を巡り、日本感染症学会と日本環境感染学会は、1月29日付で共同声明を出した。各学会員に対し、今後も本ウイルスについて継続的に観察および評価しつつも、「冷静な対応が必要」と呼び掛けている。 声明の主なポイントは以下のとおり。(1)感染症の専門家として冷静な対応を 情報が限られている中での難しい判断が必要だが、信頼できる情報を参考に本ウイルスの感染性、病原性を考慮した対応を指導してほしい。(2)2019-nCoVの病原性や伝播性が変化する可能性否定できず、継続観察が必要 2019-nCoVが、遺伝学的にSARS-CoVに近縁であることが報告されている。現段階で変異を起こしているという情報はないものの、外来遺伝子の獲得や突然変異により常に強毒化する可能性が考えられ、今後本ウイルスの病原性や伝播性が変化する可能性も否定できないことから、継続した観察が必要。(3)感染伝播の現状、広がりの可能性は推定難しい状況 現在、武漢市を中心に、ほぼ中国全土で感染例が報告されている。世界的には、日本をはじめ、アジア、米国、欧州など、20を超える国と地域で感染例が報告されている。これから数週間に渡って、検査人数の増加と相まって2019-nCoV感染患者の増加が予想されるが、感染源不明の2次感染例の検出頻度が重要な情報となる。2次感染例の推移を参考に、2019-nCoVの感染性および今後の広がりについての評価が重要となる。(4)2019-nCoVが直接原因の重症例・死亡例は、正しい評価困難 2019-nCoV感染例を巡っては、日々、刻々と状況が変化し、正確な数を把握できないことから、致死率および重症化率を推定することは困難。しかし、死亡数だけを見て国民がパニックになることが最も危険である。気を緩めることなく、感染症の専門家としての知識と経験を総動員し、冷静な対応が求められる。(5)感染対策は、標準予防策+飛沫・接触予防策の徹底 コロナウイルスは原則として飛沫感染で伝播し、現時点では空気感染の可能性はきわめて低い。そのため、感染対策は標準予防策に加えて飛沫・接触予防策の徹底が基本となる。ウイルスで汚染した手指を介した目・口の粘膜からの感染伝播にも注意。気管吸引、挿管などエアロゾル発生リスクが高い処置を行う場合には、一時的に空気感染のリスクが生じると考えられ、N95マスクを含めた空気予防策の実施も必要。(6)指定感染症となった2019-nCoV、公費負担で隔離可能に 1月28日、2019-nCoVを指定感染症とする政令が閣議決定され、2月1日から施行される。これにより、2019-nCoV患者を医療費の公費負担の下で隔離できるようになる。また、武漢市など中国からの訪問者で、臨床症状や検査から肺炎が疑われる場合には、ただちに行政機関に報告する必要がある。(7)2019-nCoV関連の重要情報 1.厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A 2.国立感染症研究所 3.CDC情報WHOが30日付で緊急事態宣言 WHO(世界保健機関)は、1月30日、2019-nCoVについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。緊急事態宣言は、アフリカ・コンゴで発生したエボラ出血熱の感染が拡大した2019年7月に出されて以来で、今回で6例目となる。

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日本人統合失調症患者に対するブロナンセリン経皮吸収型製剤の52週間長期投与試験

 ブロナンセリン経皮吸収型製剤は、日本において統合失調症治療に使用可能な薬剤であり、錠剤とは異なるいくつかの利点をもたらす可能性がある。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本人統合失調症患者におけるブロナンセリン経皮吸収型製剤の長期安全性および有効性の評価を行った。CNS Drugs誌オンライン版2019年12月27日号の報告。 日本の37施設において、成人の統合失調症患者を対象としたオープンラベル試験を実施した。対象患者は、コホート1またはコホート2のいずれかに登録された。コホート1は、ブロナンセリン錠8~16mg/日を6週間投与した後、ブロナンセリン経皮吸収型製剤40~80mg/日を52週間貼付した。経皮吸収型製剤の用量は、錠剤の用量に従って決定した。コホート2は、ブロナンセリン経皮吸収型製剤を40mg/日より開始し、40~80mg/日で52週間貼付した。両コホートともに、1~2週間のフォローアップを行った。 安全性のエンドポイントは、有害事象(AE)、治療関連AE、錐体外路系AE(DIEPSSスコアの変化量として評価)の発生、抗パーキンソン薬の併用、皮膚刺激を含む皮膚関連AEの発生とした。血清プロラクチン濃度、バイタルサイン、体重、心電図(ECG)の変化、補正QT(QTc)間隔などの検査値も評価した。自殺念慮は、コロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia-Suicide Severity Rating Scale:C-SSRS)スコアを用いて評価した。有効性は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計およびサブスケールスコア、臨床全般印象度(CGI-S)スコアを用いて、経皮吸収型製剤での治療期間を通じて評価した。その他のエンドポイントは、薬に対する構えの調査票(Drug Attitude Inventory 10:DAI-10)合計スコア、健康関連QOL評価尺度(EuroQol-5 Dimension:EQ-5D)効用値、剤形に関する患者アンケートを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、同意が得られた223例(コホート1:117例、コホート2:106例)であった。・コホート1の117例中108例がブロナンセリンの錠剤で治療を開始し、その後経皮吸収型製剤へ移行した97例について安全性分析が行われた。・コホート2では106例中、ブロナンセリン経皮吸収型製剤で治療された103例について安全性分析を行った。・全体で、男性は91例(45.5%)であった。・平均年齢は43.8歳であった。・治療中止は、コホート1で40例(41.2%)、コホート2で44例(42.7%)であった。・中止理由は、AEが18.6%(コホート1)および11.7%(コホート2)、同意の撤回が13.4%(コホート1)および20.4%(コホート2)、皮膚関連AEは全体で7例であった。・AEは、174例(87.0%)で報告された。重篤なAEは、13件12例(コホート1:6例、コホート2:6例)で認められた。・重篤なAEは、統合失調症関連が6件、その他が7件(衝動制御障害、骨折、鼻出血、喘息、誤嚥性肺炎、ヘモフィルス性肺炎肺炎)であった。・主なAEは、鼻咽頭炎62例(31.0%)、適用部位紅斑45例(22.5%)、適用部位そう痒感23例(11.5%)、アカシジア20例(10.0%)であった。・AE発生率は、コホート1で84.5%、コホート2で89.3%であり、類似していた。・錐体外路系AEは51例(25.5%)、皮膚関連AEは83例(41.5%)で認められた。・これらのAEは、いずれも重篤ではなかった。・52週目におけるDIEPSS合計スコアのベースラインからの平均変化量は、-0.1±1.55であり、顕著な影響は認められなかった。・併用薬に関しては、抗パーキンソン薬が、コホート1で33.0%(97例中32例)、コホート2で22.3%(103例中23例)に認められた。・皮膚関連AEの大部分は治療初期に発生し、外用療法で適切に管理できた。・ベースライン時に、すべてのC-SSRSカテゴリで「いいえ」と回答した患者129例中、自殺念慮の出現ありと評価された患者は13例(10.1%)であった。・ベースライン時に、すべてのC-SSRS自殺行動カテゴリで「いいえ」と回答した患者172例中、経皮吸収型製剤での治療中に自殺行動が認められた患者は1例(0.6%)であった。・プロラクチンレベル、バイタルサイン、体重、ECG、代謝関連パラメータ、QTc間隔を含む臨床検査値に有意な変化は認められなかった。・体重の平均変化量は、コホート1で-0.04±4.561kg、コホート2で-0.67±6.841kgであった。・52週目におけるPANSS合計スコアのベースラインからの平均変化量は、コホート1で-0.1±11.6、コホート2で-3.4±15.3であった。・PANSSスコアは、コホート1においてブロナンセリンの錠剤から経皮吸収型製剤へ切り替え後も変化することなく、52週間の治療でスコアの低下が認められた。・52週目におけるCGI-Sスコアのベースラインからの平均変化量は、両コホートを合わせて-0.2±1.03であった。・52週間の経皮吸収型製剤での治療後、DAI-10合計スコアは、データが利用可能な129例中82例(63.6%)において、ベースラインと比較し、増加または変化なしであった。・両コホートを合わせた200例におけるintention-to-treat分析では、最終評価時点でのEQ-5Dのベースラインからの平均変化量は、-0.0365±0.17603であった。・ブロナンセリン経皮吸収型製剤に対する患者の印象は、おおむね肯定的であった。 著者らは「ブロナンセリン経皮吸収型製剤は、統合失調症の長期治療に安全かつ効果的に使用できる薬剤である」としている。

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新型肺炎で緊張高まる中、感染症予防連携プロジェクトが始動

 東京オリンピック・パラリンピックを迎える年となる2020年1月、日本感染症学会・日本環境感染学会は感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU(ふせぐ)2020」を発足、発表会を行った。年頭から中国での新型コロナウイルス感染がニュースとなり、図らずとも感染症への一般の関心が高まる中でのスタートとなった。 挨拶に立った日本感染症学会理事長の舘田 一博氏は、本プロジェクトの意義を「オリンピックイヤーを迎え、マスギャザリング(一定期間、限定された地域において同一目的で多人数が集まること)に向けた注意喚起が重要。既に各学会・団体がさまざまな取り組みをしているがそれを連携させ、産官学が協働して一般市民を巻き込んで情報提供をしていく必要がある」と述べた。 東京オリンピックを昨年行われたラグビーW杯と比較すると、参加国・ボランティア数において約10倍の規模となり、政府は2020年の来日外国人旅行者数を過去最高の4,000万人と見込む。これまでもマスギャザリングにおける集団感染は頻繁に発生しており、前回のリオオリンピックではジカ熱、昨年のラグビーW杯では髄膜炎菌感染症の患者が出た。会期中のすべての感染症発生を防ぐことは難しくとも、予防と早期発見によりアウトブレイクにまで至らせないことが重要となる。 「FUSEGU」の具体的な活動として、昨年夏には患者の症状から考えられる感染症を解説する医療者向けサイト「感染症クイック・リファレンス」を開設したほか、一般市民/医療関係者/大会関係者/メディア関係者に区分けしたうえで「事前に受けておきたいワクチン」の推奨度を示す一覧表を作成し、メディア側にも発信を求めた。今後は「感染症に関する意識調査」をはじめ、大学生を対象にした感染症カレッジ、市民公開講座などを行っていく予定だ。 舘田氏は「1学会ができることには限界がある。各学会に連携を呼びかけたところ、すでにほかの9学会、製薬企業を中心とした12社から賛同表明をいただいた。今後もさらに各団体との連携を図っていきたい」とまとめた。

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新型コロナウイルス、感染患者の臨床的特徴とは?/Lancet

 中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が、急速に拡大している。中国・金銀潭医院のChaolin Huang氏らは、2020年1月2日までに新型コロナウイルスの感染が確認された入院患者について、現段階で判明している疫学的特徴と臨床転帰について前向きに調査、分析した。Lancet誌オンライン版1月24日号掲載の報告。 調査対象は、新型コロナウイルス感染が疑われ、武漢市内の指定病院に入院した患者のうち、RT-PCR法および次世代シーケンシングによって同症と特定された41例で、国際重症急性呼吸器・新興感染症協会(ISARIC)のデータを基に分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・41例中30例(73%)が男性であった。・年齢の中央値は49.0歳(四分位範囲:41.0~58.0)。・13例(32%)が何らかの基礎疾患を有していた(糖尿病:8例、高血圧:6例、心血管疾患:6例)。・27例(66%)が海鮮市場(華南海鮮城)に何らかの直接的関係があった。・最初に特定された症例の発症日は2019年12月1日で、当該例ではほかの家族に発熱や呼吸器症状は見られなかったが、その後1例の家族クラスターが判明している。・発症時の一般的症状は、発熱(98%)、咳(76%)および筋肉痛または疲労(44%)で、喀痰や頭痛、喀血および下痢などもわずかに見られた。・全症例で肺炎があり、胸部CTで異常な所見が認められ、98%で両側性病変を有していた。・40例中22例(55%)で呼吸困難が見られ、発症から呼吸困難までの期間の中央値は8.0日(四分位範囲:5.0~13.0)。・合併症として、急性呼吸促迫症候群(29%)、RNAaemia(15%)、急性心障害(12%)、2次感染(10%)などが見られた。・32%がICUに入り、15%が死亡した。 著者らは、本研究以降も感染者および死亡者数が急速に増加していることを踏まえ、「今回の新型コロナウイルスが効率的なヒト-ヒト感染能力を獲得したのではないかと懸念している」とし、「パンデミックの可能性があるため、今後の宿主適応、ウイルスの進化、感染性、伝染性および病原性を注意深く監視しなければならない」と述べている。

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再入院抑制施策の導入で、死亡は増大したのか/BMJ

 米国では再入院率を低下させるため、インセンティブ付きのプログラム「Hospital Readmissions Reduction Program(HRRP)」が施行されている。しかしそのために、直近の退院患者では再入院が必要となった場合も入院を拒否される可能性があり、死亡リスクが増大するのではとの指摘がある。実際にここ数年、心不全で入院が必要になったメディケア受給者で退院後30日死亡が増加しており、全米で経過観察病棟や救命救急部門(ED)での治療の増加が報告されているという。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのRohan Khera氏らは、HRRP対象症状で入院した患者の退院後間もないEDなどの利用データと患者アウトカムについて、プログラムの影響を評価する必要があるとして調査を行った。結果、プログラムの影響はみられなかったことが判明したという。BMJ誌2020年1月15日号掲載の報告。退院後30日間の死亡について、急性期治療の利用状況を詳細に分析 研究グループは、HRRP対象症状の入院患者が退院後30日間に再入院はしなかったが経過観察病棟やEDで治療を受けており死亡リスクが増大していたか、またそれら患者の退院後の入院、ED、経過観察病棟での急性期治療利用の時間的経過を、後ろ向きコホート研究にて評価した。 2008~16年のメディケア支払いデータを用いて、HRRP対象症状(心不全、急性心筋梗塞、肺炎)で入院した65歳以上の患者の退院後30日死亡を、その間の急性期治療の利用状況(退院後30日間および31~90日間の入院、経過観察病棟、EDの利用)とともに分析した。死亡増加は心不全例のみ、その半数がホスピスへの退院例 HRRP対象症状の入院は、心不全377万2,924例、急性心筋梗塞157万113例、肺炎313万1,162例であった。 退院後30日全死亡率は、心不全例8.7%、急性心筋梗塞例7.3%、肺炎例8.4%であった。リスク補正後の死亡率は、心不全例では年間0.05%増加(95%信頼区間[CI]:0.02~0.08)していた一方、急性心筋梗塞例では年間0.06%減少(-0.09~-0.04)していた。肺炎例では有意な変化はみられなかった。 とくに心不全例で死亡の増加がみられたのは、退院後あらゆる急性期治療を受けていなかった患者であり、年間当たりの増加は0.08%(95%CI:0.05~0.12)で、心不全例の退院後死亡率の全体の年間絶対増加率を上回っていた。 また、死亡増加は経過観察病棟やEDではみられなかった。 一方で、30日再入院率の低下とともに、経過観察病棟での滞在やEDの受診は、全3症状ともに、退院後30日間およびそれ以降の期間についても増加していた。しかし、退院後30日間の急性期治療の全利用について、有意な変化はみられなかった。症状別にみると、急性心筋梗塞を除き、心不全例と肺炎例では有意に低下していた。 著者は「死亡の増加は、プログラムの公表前に起きていたもので、退院後急性期治療を受けていない患者に集中しており、その患者の半数の退院先はホスピスであった」と述べるとともに、「退院後、経過観察病棟とEDの利用は増加したが、これら部門での治療と死亡リスク増大に関連性はみられなかった」としている。

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国内2例目の新型肺炎感染確認、厚労省が積極的疫学調査実施へ

 中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が急速に広がっている問題で、厚生労働省は24日、日本国内で2例目となる新型コロナウイルスに関連した感染症の症例が確認されたことを発表した。患者は武漢市から渡航した40代男性で、今月19日に来日。22日に発熱、咽頭痛があったため医療機関を受診したところ、肺炎像を認め、東京都内の医療機関に入院。国立感染症研究所が調べたところ、今日未明に新型肺炎の感染が確認された。 新型肺炎を巡っては、これまでに少なくとも18人が死亡、感染者は中国本土だけでも600人超が確認されている。厚労省は、23日付で「新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)」を発布。感染研が新型コロナウイルスの病原体検出のためのPCR用プライマーを作成して地方衛生研究所へ送り、医療機関に検査協力を呼び掛けるなど、積極的疫学調査に乗り出した。 一方、WHO(世界保健機関)は、日本時間の24日未明に緊急委員会を開いて協議した結果、現段階では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)」には該当しないと発表している。 中国は今日から春節で、30日まで1週間の大型連休に入る。日本国内はもとより、近隣のアジア諸国や米国でも新型肺炎の感染者が確認されている中、人の移動が増えることでさらに感染が拡大する恐れもある。 旅行者が不調を訴え受診した際には、武漢市への渡航歴や、「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴を聴取するなど、慎重に疑い例のスクリーニングを実施し、確定例および疑い例に対しては万全の感染対策を講じていただきたい。また、厚労省のウェブサイトでも特設ページで医療機関向けの情報が随時更新されている。

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