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小児のCOVID-19、糞便からもウイルス検出

 小児のCOVID-19は通常軽度であるが、臨床プロファイルは不明である。中国・復旦大学附属小児病院のJiehao Cai氏らは、小児症例の疫学的曝露を明らかにするための調査を行ったところ、回復期の呼吸器および糞便検体から長期間にわたってウイルス排出が観察された。また、小児では発症までの期間が6.5日と、成人症例の5.4日よりも長かったことから、小児のCOVID-19ではウイルスの潜伏期間が長い可能性が示唆された。これを踏まえて、研究者らは「これらの疫学的特徴は小児症例を早期に認識して感染予防管理介入を適時に行うための重要な手がかりとなる。ただし、小児のCOVID-19の臨床的特徴と自然史を理解するには、さらなる研究とサーベイランスが必要」としている。Clinical infectious diseases誌オンライン版2020年2月28日号掲載の報告。 研究者らは2020年1月19日~2月3日の期間、COVID-19と診断された小児10例(上海、海南など武漢以外の小児病院に入院)を対象に、duplex one-step real-time RT-PCR法を行った。すべての患者は発症後2日以内に隔離病棟に入院し、鼻咽頭および咽頭スワブで検体を採取した。 入院中はインフルエンザウイルスA型およびB型の定期的な検査も行った。 主な結果は以下のとおり。・10例の年齢は3〜131ヵ月(平均年齢:74ヵ月) だった。・8例は、武漢へ旅行歴のある2019-nCoVに感染した成人と直接接触、もしくは武漢出身者と接触していた。・7例は家庭内暴露、2例はエンデミック、1例は武漢からの成人旅行者2名(バス旅行中に軽度の呼吸器症状を発症、武漢帰宅後にCOVID-19と診断された)から感染した。家庭内曝露7例のうち、子供を含む二次感染の症例数範囲は1~4人(平均:2.43人)だった。また、生後3か月の乳児症例の家庭では、両親が防護対策なしで乳児の世話をし、その7日後にCOVID-19に罹患した。・ 症状は、発熱(8例)、咳(6例)、咽頭痛(4例)、鼻づまり(3例)、くしゃみと鼻漏(2例)がみられ、下痢や呼吸困難はなかった。・発熱はピーク時37.7~39.2℃、発熱24時間後に消失した。・胸部レントゲン写真では4例に片側性の斑状影が認められた。・インフルエンザウイルスA型およびB型はすべて陰性だった。・全症例は酸素療法を必要とせず、対症療法として肺炎患者の一部は抗生物質による治療を受けた。・2019-nCoV RNAは、発症後6~22日(平均:12日)に鼻咽頭/咽頭スワブで採取した検体中から検出されなくなった。 ・6例に対し発症後3~13日の糞便検体を検査したところ、5例で陽性だった。2月19日の時点で、これら5例は発症後18~30日以内の糞便中に2019-nCoV RNAが検出されており、綿密な追跡調査を行っている。・5例について、発症2〜3日後の尿と血清を検査したが、すべて陰性だった。

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ロピナビル・リトナビルで治療したCOVID-19/日本感染症学会

 3月3日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特設ページの中で、宮下 馨氏(国際医療福祉大学熱海病院 糖尿病代謝内科)らによる「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告」を公開した。 症例報告は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船の70代・女性の症例。搬送時には無症状であったものの、のちに高熱と肺炎を生じ、抗HIV薬であるロピナビル・リトナビル配合剤(商品名:カレトラ)で治療を行ったもの。投与後は自覚症状の改善があり、入院後20日間でPCRの陰性化を確認し、退院に至った。症例の経過 2/4 PCR検査を実施し、陽性 2/7 当院に転送(入院時身体症状なし、X線・CT検査所見ともに肺炎像なし) 2/8 検温で37.4℃の発熱(19時) 2/9 検温で39.1℃(16時)。身体症状は倦怠感のみ、CT検査所見で左上葉や右中葉背側部にすりガラス影主体の陰影が出現 2/10 検温では38℃台で経過し、咳嗽や咽頭痛が顕在化 2/11 再度のCT検査でそれぞれの肺野異常陰影が拡大、悪化。カレトラの投与を開始する方針となった 2/12 カレトラ配合錠1回2錠(400/100mg)を1日2回、10日間の計画で投与開始 2/13 夜間に副作用と思われる水様下痢が出現。強い倦怠感は消失 2/14 解熱とともに、下痢に対し整腸剤を処方 2/16 CT検査所見では引き続き病変が増悪。新出病変も認められていた 2/21 CT検査所見で病変の改善が得られた 2/22と/25に喀痰検体によるPCRを実施し、ともに陰性。臨床症状改善とPCR陰性化を確認 2/26 退院重症化予防には肺炎診断を得た時点で治療介入 宮下氏らは考察として「高齢であり、重症化のリスクがあると判断し臨時の倫理委員会の審査のもと早期の介入を決定した」「画像所見の増悪に反し臨床経過は改善に転じており、本例の経過に限って言えばカレトラの投与は好意的に評価して良い」「酸素化低下などの重症化の徴候を待たず、肺炎の診断を得た時点で早期に治療介入を行うことで重症化の阻止、致命率の低下をもたらすことができるかもしれない」とレポートしている。 なお、今回の報告は通常のレポート公開ではなく、緊急性、重要性を鑑み、学会からの緊急報告としてのホームページでの情報公開のお願いにより公開されたものである。

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COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニドで改善、国内3症例の詳細

 国内における新型コロナウイルス感染症の患者を多く出したダイヤモンドプリンセス号。患者の一部について治療に当たった神奈川県立足柄上病院は3月2日、喘息治療の第1選択薬である吸入ステロイド薬のシクレソニドの投与により症状が改善した3例について、日本感染症学会のホームページにその詳細を報告した。いずれもCOVID-19による酸素化不良やCT所見などが見られたが、薬剤投与により良好な経過を得ているという。 症例の臨床的特徴や経過については、以下のとおり。症例1:73歳女性 2020年1月20日にダイヤモンドプリンセス号乗船、25日に香港に上陸。2月4日より咽頭痛、 倦怠感、食欲不振を認め、7日には38℃の発熱が出現。翌8日に検体が提出され、10日にPCR検査にてSARS-CoV-2陽性の判定となり、11日下船後、当該病院に搬送された。 入院時の採血では抗核抗体1,280倍で、手指の色調不良もあり、強皮症が疑われた。胸部レントゲンでは右下肺野に浸潤影を認め、CTでは両側中下肺野にかけてすりガラス陰影(GGO)が胸膜に沿って認められた。 当初は倦怠感が強く、ほとんど臥床状態であり、食事もできない状態であった。疎通不良や見当識障害も見られた。維持輸液およびセフトリアキソン、アジスロマイシンを開始したが改善せず、ロピナビル・リトナビル(LPV/r)を開始。解熱し、酸素化も改善したが、食欲は改善せず倦怠感が著明。GGOの陰影が増強し、領域の拡大も認められた。LPV/rの有害事象と見られる症状も出現したため、LPV/r中止後、シクレソニド吸入(200μg、1日2回)を開始(入院10日目)。開始後2日程度で発熱および酸素化が改善。食欲の回復も著明で、全身倦怠感も改善し、室内独歩可能に。鼻腔拭いPCRでSARS-CoV-2陰性を確認し、退院となった(入院19日目)。症例2:78歳男性 2020年1月20日にダイヤモンドプリンセス号乗船。2月6日より乾性咳嗽、倦怠感、食欲不振、下痢が出現し、固形物はほとんど食べられなくなった。37.4℃の発熱も見られた。16日のPCR検査でSARS-CoV-2陽性となり、16日に当該病院に入院した。 初診時の身体所見では、咽頭発赤やリンパ節腫脹はなく、肺野呼吸音に異常雑音はなかった。入院当初の胸部レントゲンでは右下肺野に浸潤影が認められた。入院5日目よりシクレソニド吸入(200μg、1日2回)を開始。来院時より水様便が持続し、食事もほとんど摂れない状態だったが、入院6日目から食欲が徐々に改善。下痢も回復し普通便となった。入院6日目には酸素中止が可能となり、倦怠感も改善。食事もほぼ全量摂取できるまでに回復した。咽頭拭いPCRでは、入院12日目の施行時にも陽性となり、シクレソニドを1,200μg/日(400μg、1 日3回)に増量して継続中。症例3:67歳女性 2020年1月20日にダイヤモンドプリンセス号乗船。2月6日より乾性咳嗽、8日より倦怠感、関節痛が出現。9日には38.9℃の発熱あり、その後食欲不振および下痢が出現し、食事がほとんどとれなくなった。16日のPCR検査でSARS-CoV-2陽性となり、そのまま当該病院に入院となった。 初診時の身体所見では、咽頭発赤やリンパ節腫脹はなく、肺野呼吸音に異常雑音はなかった。入院当初の胸部レントゲンでは右中肺野肺門部に浸潤影が認められた。来院時より倦怠感を認め、ベッドで横になっていることが多かった。食事は半量程度。増悪予防を目的として入院5日目からシクレソニド開始。入院6日目には胸部聴診で背側部からfine crackleが聴取され、CTでは両側下肺野背側にGGOを認めた。引き続き、シクレソニド投与のみで経過観察したところ、入院7日目ごろにはほとんどの症状が改善した。咽頭拭いPCRでは、入院12日目の施行時にも陽性となり、シクレソニドを1,200μg/日(400μg、1日3回)に増量して継続中。現在までの知見および考察・COVID-19に対し、シクレソニドの抗ウイルス作用と抗炎症作用が、重症化しつつある肺炎治療に有効であることが期待される。ただし、シクレソニド以外の吸入ステロイドには、COVID-19の抗ウイルス作用は現時点では認められない。・これまでの研究で、COVID-19に対するステロイド治療は、ウイルス血症を遷延させる可能性や糖尿病等の合併症があり推奨されないと報告されているが、シクレソニドはプロドラッグの吸入薬であり、肺の表面に留まるため、血中濃度増加はごく微量である。・投与時期は重症化する前の、感染早期〜中期あるいは肺炎初期が望ましく、ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待される。・新型コロナウイルスの増幅時間は6~8時間と考えられ、シクレソニドを頻回投与かつ肺胞に充分量を到達させるため、高用量投与を推奨する。・残存ウイルスの再活性化および耐性ウイルスの出現を避けるため、開始後は14日程度以上継続するのが望ましい。・ウイルスは肺胞上皮細胞で増殖しているため、吸入はできるだけ深く行うことが効果を高めると考えられる。・これらの知見から、以下の投与方法を提案する。 適応:COVID-19陽性確定者の肺炎 用法容量: (1)シクレソニド200μgを1日2回、 1回2吸入、14日分 (2)シクレソニド200μgを1日3回、 1回2吸入、約9日分・(1)を基本とし、重症例、効果不十分例に対しては(2)を検討する。

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慢性呼吸器疾患死が世界的に増加、死亡率は低下/BMJ

 1990~2017年の期間に、慢性呼吸器疾患による年間総死亡数は18%増加したが、年齢標準化死亡比は年間2.41%低下し、社会人口統計学的特性(SDI)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)、塵肺症、喘息による死亡率との間には負の相関がみられ、SDIが低い地域は疾病負担が多大であることが、中国・華中科技大学のXiaochen Li氏らによる195の国と地域のデータの解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年2月19日号に掲載された。慢性呼吸器疾患による死亡や健康損失に関するこれまでの研究は、限られたデータに基づいており、地域も限定的だという。GBD 2017のデータを系統的に分析 研究グループは、1990~2017年の世界195の国と地域の年齢別、性別の慢性呼吸器疾患による死亡と障害調整生命年(DALY)の経時的、空間的な傾向を評価する目的で、系統的な分析を行った(National Key R&D Program of Chinaなどの助成による)。 ベイズメタ回帰分析のツールであるDisMod-MR 2.1を用いて、「世界疾病負担研究(GBD)2017」のデータから、慢性呼吸器疾患の死亡率とDALYを推算した。ガウス分布による一般化線形モデルを用いて、年齢標準化死亡比の推定年間変化率を算出した。 死亡率とDALYは、社会人口統計学的特性(SDI)で層別化した。SDIは、国民1人当たりの所得と学歴、合計特殊出生率による複合指標であり、5つの段階(高、高中、中、低中、低)に分けた。スピアマンの順位相関係数を用いて、SDIと死亡率の関連の強度と傾向を評価した。また、曝露データから、慢性呼吸器疾患のリスク因子を解析した。喫煙、環境汚染、高BMIへの曝露の抑制が喫緊の課題 1990~2017年の慢性呼吸器疾患による年間DALYは、9,720万~1億1,230万にわたっていた。この間に、喘息や塵肺症ではDALYが改善したが、COPDや間質性肺疾患/肺サルコイドーシスでは悪化した。 慢性呼吸器疾患による年間総死亡数は、1990年の332万人(95%不確定区間[UI]:301万~343万)から、2017年には391万人(379万~404万)まで、18.0%増加した。 一方、同時期の慢性呼吸器疾患による年齢標準化死亡比は、平均で年間2.41%(95%UI:2.28~2.55)減少し、1990年と2017年の双方で男女間に大きな差が認められた。27年間で、年間年齢標準化死亡比は、COPDで2.36%(2.21~2.50)、塵肺症で2.56%(2.44~2.68)低下したのに対し、間質性肺疾患/肺サルコイドーシスは0.97%(0.92~1.03)増加した。 慢性呼吸器疾患による死亡数および年間死亡率の変動には、195の国と地域でかなり大きなばらつきが認められた。 27年間の死亡率とDALYの地域差、および改善の不均衡な分布の原因となる要因の評価では、SDIとCOPD、塵肺症、喘息による死亡の間に負の相関が認められた。低SDIの地域は、死亡率とDALYが最も高かった。 喫煙は、この間一貫してCOPDおよび喘息による死亡の主要なリスク因子であった。粒子状物質による環境汚染は、低SDI地域においてCOPDによる死亡の主要な寄与因子であった。2013年以降は、高BMIが喘息の最も重要なリスク因子となった。 著者は、「死亡率やDALYには、喫煙、環境汚染、高BMIなどのリスク因子が寄与していると推定され、これらへの曝露を抑制するために緊急の取り組みが必要である」としている。

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退院後に陽性のCOVID-19症例、CTに悪化みられず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者の一部にウイルスキャリアの可能性が示唆されたー。中国・武漢大学中南医院のLan Lan氏らは、中国で退院または隔離解除の基準を満たしたCOVID-19の4症例(臨床症状とCT異常所見の消失、および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応[RT-PCR]法による検査で2回とも陰性)が、退院・隔離解除5〜13日後にRT-PCR検査で陽性になったことを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年2月27日号のリサーチレターに報告した。 研究者らは2020年1月1日~2月15日までの期間、同病院に入院していた1例と隔離されていた3例(すべて医療者)について、RT-PCR検査で判定した。退院または隔離解除については、次のすべての基準を満たすものとした。(1)平熱が3日以上持続(2)呼吸器症状の改善(3)CT検査で胸部の急性滲出性病変の大幅な改善(4)1日以上あけて実施したRT-PCR検査の結果が2回連続で陰性 検査は咽頭スワブによって採取した検体を用いRT-PCR検査を実施。人口統計、検査所見、および放射線学的な特徴を電子カルテから収集した。退院・隔離解除後、患者には再度RT-PCR検査実施のための来院を要請した。 結果は以下のとおり。・4症例全員が医療従事中に感染した。うち2例は男性で、年齢範囲は30〜36歳だった。3例は発熱、咳嗽、またはその両症状を呈した。また、1例は、最初は無症候性だったが、感染患者への接触が認められたのでthin-section CTを受けた。・全症例のRT-PCR検査の結果は陽性であり、CT画像では肺のすりガラス状影(GGO:Ground-glass Opacification)またはmixed GGOと硬化が確認された。疾患重症度は軽度~中等度だった。・全症例に抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビル75mgを12時間ごとに経口投与)を投与。症状発現から回復までに12〜32日間を要した。これにより3例の臨床症状やCT異常所見が改善。残り1例のCT所見では、わずかなGGOが示された。・退院・隔離解除後も、患者は自宅で5日間の隔離状態を継続した。5〜13日後にRT-PCR検査が繰り返された結果、全員陽性だった。その後4〜5日間に3回のRT-PCR検査を繰り返したが、全員陽性だった。別メーカーのキットを使用し、追加RT-PCR検査を実施しても、全症例で陽性だった。・退院・隔離解除後、患者は問診では無症状、胸部CT所見も以前の画像から変化がみられなかった。・全症例とも呼吸器症状を有する人との接触はなく、家族の感染はなかった。

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「屋内の閉鎖的空間でクラスター発生か」新型コロナ専門家会議が見解

 新型コロナウイルス感染症を巡り、国の専門家会議(座長:脇田 隆字 国立感染症研究所所長)は3月2日、厚生労働省の対策本部が分析した内容に基づき現時点の見解をまとめた。国内では、これまで感染者が出ていなかった自治体においても日々新たな感染者が確認され、拡大傾向が続いていると見られる。見解では、北海道のデータ分析などにより、重症化する割合が低い若年層から多くの中高年層に感染が及んでいること、屋内の閉鎖的な空間における濃厚接触が、患者クラスターの発生および感染の急速な拡大を招く一因になっていることなどを挙げた。 「新型コロナウイルス感染症対策の見解」の主な内容は以下のとおり。【この一両日で明らかになったこと】・症状の軽い人も、気付かないうちに感染拡大に重要な役割を果たしている。・若年層は重症化する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及んでいる。・これまでの国内における感染者のうち、重症・軽症にかかわらず約80%は、ほかの人に感染させていない。・一方で、一定条件を満たす場所において、1人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されている。具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなど。・屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることで患者クラスターが発生する可能性が示唆される。・これまでのデータによると、有症者の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっているが、重症者の約半数は回復している。・重症者においても、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの判断がつきにくい。・重症者は、普通の風邪症状が出て約5~7日程度で症状が急速に悪化し、肺炎に至っている。【北海道の感染状況となすべき対策】・推定発症者数は、日ごとに急速に増加しており、この1~2週間は人と人との接触を可能なかぎり控えるなどの積極的対応が必要。・北海道には中国からの旅行者が多く、そこから感染が広がったと考えられる。・北海道の都市部においては、社会・経済活動が活発な人々が感染リスクの高い場所に多く集まりやすく、気付かないうちに感染していたと考えられる。なかでも、症状の軽い若年層が他圏域に移動することで複数地域に感染が拡大し、高齢層の有症者が報告されたことで感染の拡大状況が初めて把握された。・人と人との接触を最大限に避けるなどの適切な行動により、新規の感染者数は急速に減少すると見込まれる。ただし、潜伏期間があるため、患者数の減少を確認するまでにはタイムラグが生じる。おおむね2週間経過しなければ、行動変容の効果は評価できない。・感染症の中には、集団免疫の獲得により感染の連鎖が断ち切られるケースもあるが、現在の感染状況では集団免疫を期待できるレベルではない。・感染者の再感染についてもいまだ不明である。・感染拡大抑制のために、(1)軽い風邪症状でも外出を控える、(2)規模の大小にかかわらず、風通しの悪い空間で、人と人が至近距離で会話する場所やイベントは控える。・事業所活動については、テレワーク、リモートワーク、オンライン会議など、人と人が接触しない形態を活用し、出張は最低限に抑制する。【全国の10~30代へのお願い】・新型コロナウイルス感染による重症化リスクが低い世代だが、ウイルスの特徴により、軽症者が重症化リスクの高い人に感染を広める可能性がある。とくにこの世代は、人が集まる風通しが悪い場所を避けてほしい。

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COVID-19、無症状でもCTに異常、急速な進行も

 武漢の病院に入院したCOVID-19肺炎患者の胸部CT画像の所見と変化について、華中科技大学放射線科のHeshui Shi氏らがまとめた研究結果が発表された。疾患経過における複数時点でのCT所見を分析した結果、無症状の患者であってもCT画像には異常が認められ、1〜3週間以内に急速に進行するケースが示された。著者らは「CT画像と臨床および検査所見を組み合わせることで、COVID-19の早期診断が容易になるだろう」と述べている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2月24日号掲載の報告。 研究者らは、2019年12月20日~2020年1月23日に武漢の2病院に入院し、胸部CTによる経過観察が行われた81例(RT-PCR法あるいは次世代シーケンシングによる確定例)を遡及的に登録。患者は、発症と初回CT撮影までの時間に基づき4群(グループ1[15例:無症状で発症前に撮影]、グループ2[21例:発症から1週間以内]、グループ3[30例:1週間超~2週間以内]、グループ4[15例:2週間超~3週間以内])に分類された。画像所見とその変化を分析し、4群で比較した。 主な結果は以下のとおり。・81例の内訳は、男性42例(52%)、女性39例(48%)、平均年齢は49.5(SD:11.0)歳。・異常が見られた平均肺区域数は、全体:10.5(SD:6.4)、グループ1:2.8(3.3)、グループ2:11.1(5.4)、グループ3:13.0(5.7)、グループ4:12.1(5.9)であった。・異常の内訳は、両側性(64例 [79%])、末梢性(44例 [54%])、辺縁不整(66 例[ 81%])、すりガラス影(53例 [65%])が多く、主に右下葉(849区域中225 区画[27%])で発生していた。・グループ1の主な所見は、片側性(9例 [60%])、多発性(8例 [53%])、すりガラス影(14 例[93%])であり、急速に両側性に進展したケースが多かった(19例 [90%])・グループ2では、びまん性(11例 [52%])、すりガラス影優位(17例 [81%])が多かった。・一方で、グループ3、グループ4ではすりガラス影が減少し(17例[57%]、5例[33%])、湿潤影とすりガラス影の混合パターンが増加した(12例[40%]、8例[53%])。

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COVID-19への治療薬の考え方/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、今般の新型コロナウイルス感染症の治療に関し、「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を2月26日に公開した。 本指針は、現時点で収集されている知見より抗ウイルス薬に関するわが国における暫定的な指針を示すのが目的。そして、抗ウイルス薬の使用にあたっては、現在わが国ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しないことを前提に、行うことのできる治療は、国内ですでに薬事承認されている薬剤を適応外使用することであり、使用では各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行うことになるとしている。抗ウイルス薬の対象と開始のタイミング 現時点では、患者の臨床経過の中における抗ウイルス薬を開始すべき時期は患者が低酸素血症を発症し、酸素投与が必要であることが必要条件。そのうえで次の4点を考慮する。1)おおむね50歳未満の患者では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。2)おおむね50歳以上の患者では重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。3)糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態などのある患者においても上記2)に準じる。4)年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例では抗ウイルス薬の投与を検討する。抗ウイルス薬の選択 現時点でのわが国における入手可能性や有害事象などの観点より次の2剤を治療薬として提示。今後、臨床的有効性や有害事象などの知見の集積に伴い、COVID-19の治療のための抗ウイルス薬の選択肢や用法用量に関し新たな情報が得られる可能性が高い。●ロピナビル・リトナビル ロピナビルはHIV-1に対するプロテアーゼ阻害剤として有効性が認められ、シトクロームP450の阻害によりロピナビルの血中濃度を保つためリトナビルとの合剤として使用。・投与方法(用法・用量)1)ロピナビル・リトナビル(商品名:カレトラ配合錠):400mg/100mg経口12時間おき、10日間程度2)ロピナビル・リトナビル(同:カレトラ配合内用液):400mg/100mg(1回5mL)経口12時間おき、10日程度*上記は抗HIV薬としての承認用量であるが、高濃度のEC50を示す可能性があり、用量については有害事象のモニターと合わせ今後の検討が必要・投与時の注意点:(1)本剤の有効性に関し、適切な重症度や投与開始のタイミングは不明(2)使用開始前にはHIV感染の有無を確認し、陽性の場合には対応について専門家に相談(3)リトナビルによる薬剤相互作用があるため、併用薬に注意する(4)錠剤の内服困難者に内用液を使用する場合、アルコール過敏がないか確認する また、本指針には、国立国際医療研究センターでの本剤使用7症例の臨床経過(2020年2月21日まで)のほか、海外での臨床報告なども記載されている。●ファビピラビル 本剤は「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(但し,他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」に限定して承認。本剤のCOVID-19への使用実績は無い。・投与方法(用法・用量) ファビピラビル(同:アビガン)を3,600mg(1,800mgBID)(Day1)+1,600mg(800mgBID)(Day2以降)、最長14日間投与。・投与時の注意点:(1)本剤の有効性に関し、適切な重症度や投与開始のタイミングに関しては不明(2)以下の薬剤については、薬物相互作用の可能性があることから、本剤との併用には注意して使用する:1)ピラジナミド、2)レパグリニド、3)テオフィリン、4)ファムシクロビル、5)スリンダク(3)患者の状態によっては経口投与が極めて困難な場合も想定される。その場合は55°Cに加温した水を加えて試験薬懸濁液を調製する(簡易懸濁法)。被験者に経鼻胃管を挿入し、経鼻胃管が胃の中に入っていることを胸部X線検査で確認した後、ピストンを用いて懸濁液をゆっくりと注入する。その後、5mLの水で経鼻胃管を洗浄する(4)動物実験において、本剤は初期胚の致死および催奇形性が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない(5)妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で、投与を開始する。また、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中および投与終了後7日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導する。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師などに連絡するよう患者を指導する(6)本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中および投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)するよう指導する。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせない(7)治療開始に先立ち、患者またはその家族などに有効性および危険性(胎児への曝露の危険性を含む)を十分に文書にて説明し、文書で同意を得てから投与を開始する(8)本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討する 指針では以上の他にも、「COVID-19に対する治療に使用できる可能性のある抗ウイルス薬にはレムデシビル、インターフェロン、クロロキンなどがあるが、それらの効果や併用効果に関しては今後の知見が待たれる」と期待を寄せている。

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新型コロナウイルス感染の家族内感染クラスター事例(解説:浦島充佳氏)-1194

オリジナルニュースCOVID-19、家族クラスターにおける感染の経過/Lancet 一番注目するべきは、どこで感染したか明確にトレースできない患者が含まれる点と、発症直後より感染力を有する点である。SARSのときは、誰からどこで感染したということがほぼすべてのケースで同定できた。また、SARS患者は発症して5日目より感染力を増す傾向にあった。そのためSARS患者を4日以内に入院隔離すれば感染拡大を阻止し、封じ込めることができる。実際、発熱から入院までが平均3日となった時点より患者発生数が減り始めている。しかし、中国の対策チームは「新型コロナウイルスは潜伏期間にも感染させる可能性がある」と発表した。また上記論文からも、少なくとも発症日にすでに感染性を有する可能性も示された。もしもこれが事実なら、患者を入院させた時点で、すでに数人に感染させている可能性があり、封じ込めが難しい。数理モデルからすると、1人の患者が平均1人より多くに感染させると感染が拡大するが、1人未満であれば感染は終息のほうに向かう。だから隔離したときにすでに平均2人にうつしたとすると、患者数は指数関数的に増加することになる。 また家族7人中孫娘を除く6人、親戚5人中入院していた1歳息子を除く4人が感染したことを考えると、感染力は強いと考えるべきである。10歳孫息子が無症候性感染例(症状がないのに感染している症例)であった。この児はほかの人に明らかに感染させた証拠はない。もしも無症候性感染例が感染力を持つとすると封じ込めは厄介であろう。SARSでは誰から誰に感染したかしっかりトレースできた。インフルエンザでは誰からうつされたか不明のことも多い。これはSARSでは無症候性感染例に感染力がなく、インフルエンザでは感染力があるからである(あるいは発症前から感染力を呈するからである)。親戚の1人が武漢の生鮮市場で感染したとすると、無症候性感染者あるいは不顕性感染者(症状が軽い)から感染した可能性があり、今後も無症候性感染者あるいは不顕性感染者からの感染があるかないかを慎重に見極める必要があるであろう。  孫息子はマスクをしておらず肺炎を発症し、孫娘はマスクをしていて肺炎にはかからなかった。という話を聞くとマスクに感染予防効果があるように感じてしまうかもしれないが、偶然の可能性のほうが高いであろう。年齢が高いほど重症化しやすいことを考えると、小児年齢は感染し難いとも考えられる:10歳と7歳との違い。30代の両親の肺炎より祖父母の肺炎のほうが重症である。 両親は下痢症状を伴っていた。SARSの10%、MERSの30%は下痢を伴う。熱と咳が典型であるが、下痢で発症する場合も念頭に置くべきである。 CT像はウイルス性肺炎で、抗生剤が有効な細菌性肺炎とは異なる。現時点では一旦肺炎を発症すると対症療法しかなく、感染経路を遮断し、封じ込めに全力を注ぐのが最も重要である。

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“患者力向上”で医療をもっと成長させる【Oncologyインタビュー】第15回

がんをはじめ、近年の医学は目覚ましく進歩している。医療者は最先端の医学を患者に適切に提供し、個々の患者が人生を全うできるよう支援する必要がある。そのような中、一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトが「第1回 医療者がリードする“患者力向上”ワークショップ」を開催した。同ワークショップの主催者の1人である福島県立医科大学 白河総合診療アカデミーの東 光久氏に活動の趣旨と今後について聞いた。病気を自分事として捉えてほしい―今回のワークショップを開催された背景はどのようなものですか。「患者力」は、患者さんが病気を自分事として捉え、どう生きていくのかを自ら考えていく上で重要な能力だと考えています。医療者は患者さんに医学・医療について説明しますが、医療者と患者さんでは医学知識に大きな差があるため、医療者が説明した情報を理解できないことがあります。理解するために、患者さんはメディカルリテラシーとしての「患者力」を涵養する必要があります。しかし、患者さんが個人でその力を付けるのは容易ではありません。そこを医療者が同じ方向を向いて、サポートできたらと思っています。また、こういった考えに共感し協力する医療者の輪を広げるため、このワークショップを開きました。―「患者力」の有無が、どのように医療に影響するのか、具体的に教えていただけますか。たとえば、お任せタイプの患者さんがいます。「全部先生にお任せします」という方です。医療は常に不確実です。それを納得したうえで診療を進めていかなければいけません。しかし、お任せしているだけだと、進行がん患者に見られるように、症状が進行し最期を迎える間のどこかで、必ず後悔や医療者とのすれ違いが起こってきます。また、医療に否定的な患者さんもおられます。こういった方には、「もう来なくていいです」と突き放すのではなく、協調関係を醸成し維持することで行動変容が見られる場合があります。こういった“患者力の不足”による弊害もある一方、“患者力の向上”で良い展開を招いたケースもあります。夕張市の公立病院が経営破綻でなくなり入院診療が出来なくなりましたが、この地域の死亡率は上昇していません。3大死因である『がん』『心疾患』『肺炎』による死亡は男女ともに減少し、『老衰』が増えて結果的に死亡率は変化しなかったのです。医療費も減少しています。他の3大疾患が減り、老衰が死因として上昇したこと、医療費が減少したことは、患者が自分の人生の最終段階において、濃厚な医療を望まず、自然な経過を望んだということであり、それはまさしく患者力に他ならないと思います。また、小児科医が不足して夜間の小児救急が維持できない状況になった兵庫県のある地域では、お母さん方が中心となり、『コンビニ受診を控えよう』『かかりつけ医を持とう』『お医者さんへ患者の気持ちを伝えよう』を行動指針として活動した結果、小児科の不要受診が減少し、小児科医の補充もあって小児救急が継続できるようになりました。これらの事例は、一般の方の患者力がマクロ的な視点で発揮された実例だと思われます。つまり、その患者さんなりに十分納得し理解したうえで、われわれと共に歩んでくれるという関係をつくる必要があります。柳田 邦男さんの言葉で2.5人称の死という言葉があります。医療者として、患者さんの苦しみ、葛藤、喜びを共有することで、他人ではない関係(2人称的立場)が構築されますが、一方で、医療のプロとして3人称の立場で患者さんを適切に導く必要があります。まさにその両者の立場を求められる医療者の役割りは、2.5人称で「患者力」をempowermentするということだと思っています。患者力の重要性に気付き始めた医療者たち―医療者は「患者力」を高めることの重要性に気付いているのでしょうか?昨年のがん治療学会で「患者力」のシンポジウムを開催したのですが、フロアがあふれるくらい多くの方に参加いただきました。おそらく「患者力」の重要性を潜在的に感じている医療者は多かったのだと思います。感じてはいたけれども、言語化されていなかったものが、「ああ、これだ」と見える形になった結果が参加者の多さに現れたのだと思います。今後この考え方は医療者の中で広がっていくと思います。―今後の活動は、どのようにお考えでしょうか?今回は真剣に取り組んでくれる影響力のあるコアメンバーでワークショップを実施しました。今後もこういう思いのあるメンバーを増やしていくために、ワークショップを継続していきたいと思います。また、学会での活動も行っています。看護師、薬剤師、がん関連の学会でシンポジウムやランチョンセミナーを予定しています。いずれは各職種、各がん種の学会の一般演題にチーム医療などと並び「患者力」のカテゴリーを作ったり、患者力の教科書を作りたいと思っています。さらに、臨床研究も実施したいと考えています。たとえば、患者力のスコアリングを作り、「患者力」の高い人と低い人の治療効果の違いや、低い人をどう高くできるかといった介入につなげていければと思っています。―視聴者にメッセージをお願いします。「患者力」は医療者と患者の関係に、なくてはならないキーワードだと思います。本ワークショップを通じて、「患者力」に関して皆で考えを深めていきたいと思います。日本の医療は医療者の熱意によって維持されている部分がありますが、医療者だけでは良い医療はつくれません。「患者力」というものを通じ、どう医療を生かし発展させていくか、患者さんや一般の方と一緒に取り組んでいきたい、そういう思いでこれからも邁進していきます。

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COVID-19、家族クラスターにおける感染の経過/Lancet

 中国・深セン市の家族7人における、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染および臨床経過が報告された。香港大学のJasper Fuk-Woo Chan氏らによる、Lancet誌2月15日号(オンライン版1月24日号)掲載の報告。 2019年12月29日から2020年1月4日まで武漢市に滞在した家族6人を、1月10日から登録。うち5人で感染が確認された。さらに、旅行していないもう1人において、家族のうち4人と数日間接触した後、SARS-CoV-2陽性が確認された。本研究では、同家族の疫学的、臨床的、実験的、放射線学的、および微生物学的所見を報告している。 各人のベースライン特性と検査結果は以下の通り(疾患歴/検査結果)。患者1(母親、65歳):高血圧および治療済の良性腫瘍/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者2(父親、66歳):高血圧/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者3(娘、37歳):なし/RT-PCR陰性、CTスキャン陽性患者4(義理の息子、36歳):慢性副鼻腔炎/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者5(孫・男児、10歳):なし/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者6(孫・女児、7歳):不明/RT-PCR陰性、CTスキャン陰性患者7(患者4の母・旅行歴なし、63歳):糖尿病/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性 主な疫学的・臨床的・放射線学的・微生物学的特徴は以下の通り。・家族の誰も武漢の市場や動物への接触はなかったが、患者1~6は武漢に住む親類と滞在中毎日接触し、患者1と患者3は武漢の病院を訪れていた。・患者1~4は発熱、上気道または下気道症状、下痢、これらの組み合わせを曝露(武漢到着)後3~6日に示した。患者5は無症候性であった。・60歳以上の患者は、より全身性の症状、広範なすりガラス状病変、リンパ球減少、血小板減少のほか、CRPおよびLDHの増加を示した。・30代の患者では、下痢のほか、咽頭痛、鼻詰まり、鼻漏などの上気道症状がみられた。・point-of-care multiplex RT-PCRでは、6例とも既知の呼吸器病原性菌に対し陰性。SARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼ (RdRp)をエンコードするRT-PCRでは5例が陽性で、同ウイルス表面のスパイク状タンパク質を認め、サンガーシークエンス法により確定された。陰性の1例(患者3)は、武漢の病院への曝露という疫学的に強い関連があり、多発性のすりガラス状病変が確認されたため、感染症例とみなされた。・患者2の血清サンプルのみが陽性であり、他のすべての患者の血清、尿、および糞便サンプルは、SARS-CoV-2について陰性であった。・6例全員が隔離され、支持療法下で入院。2020年1月20日時点で病状は安定していた。

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COVID-19、今検討すべき各医療機関の対応/日本医師会

 政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を連日開催し、25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表。26日には、全国的なスポーツ・文化イベントについて、今後2週間は中止もしくは延期、規模縮小するよう要請し、日本医師会もこれに準じた対応を呼び掛けている。今後、感染疑い患者の受け入れを想定した検討を 各地域の医療機関では、周辺の流行状況に応じた対策が求められるが、まずは標準予防策を徹底することが非常に重要だ。釜萢 敏氏(常任理事)は、「今後、一般の医療機関でも新型コロナウイルス感染疑い患者の受け入れが必要になる事態に備え、各医療機関では、診療時間や動線を区分するなどの感染対策がどこまで可能なのか、事前に確認してほしい」と呼び掛けた。 なお、感染疑い例を一般の医療機関で受け入れるかどうかは地域で協議し、診察を行わない医療機関(例:腎臓内科、産婦人科など)を事前に検討しなければならない。あわせて、重症患者を多数受け入れる感染症指定医療機関から順に、帰国者・接触者外来を段階的に縮小する見込みだ。標準予防策、共用設備の保護など、堅実な対策が有効 国内では、感染経路が明らかでない患者が散発的に発生しており、一部地域では、小規模患者クラスター(集団)が把握されている。この状況を受け、横倉 義武氏(会長)は、「今後1~2週間の行動がきわめて重要。国民が一体となって、感染拡大防止に努めなければならない」と強調した。 また、手指の消毒、手洗い・うがいなど、標準的な予防策に加え、ドアノブやエレベーターのボタンなど、不特定多数の人の手が触れる部分のこまめな消毒や、フィルムなどを貼って適宜交換することも有効だという。 同氏は「報道のインパクトから、新型コロナウイルスは“非常に危険”という印象を国民に与えてしまっている。しかし、多くの患者は通常の風邪症状で、重症患者の多くは基礎疾患などのリスクを持っていた可能性が高い。国民の皆さんには、ウイルスに抵抗する免疫力を高めるために、規則正しい生活・食事などをぜひ心掛けてほしい」と語った。 PCR検査の事例調査を開始、是正を求めていく姿勢 今は何としても、重症者の把握や集団感染の発生を徹底的に防ぐことが重要であり、そのためにも、PCR検査は有効な手段だ。しかし、検体の採取には感染の危険が伴うことから厳重な検査件数の増加には検査体制の確立も踏まえ、十分な感染管理が必要である。 PCR検査の必要性の判断は医師に委ねられている中で、現場からは「医師が検査が必要と判断したにもかかわらず、検査に結びつかなかった、あるいは不適切と考えられる事例」が寄せられている。同会は、都道府県医師会を通じて同様の事例に関する調査を行うとともに、その是正を求めていく考えを示した。

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新型コロナウイルスあれこれ(2)【Dr. 中島の 新・徒然草】(312)

三百十二の段 新型コロナウイルスあれこれ(2)相変わらず猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、一連のニュースを見ていると、こちらも色々と考えさせられます。そのあたりの事をいくつか述べましょう。その1:清潔とはなんぞや、不潔とはなんぞや厚生労働省副大臣がツイッターに投稿して話題となったダイヤモンド・プリンセス内部の写真。そのドアには「清潔」「不潔」の表示がありました。医療従事者にはなじみの深い「清潔」「不潔」ですが、よく考えてみると場面によって複数の意味が使い分けられているようです。つまり手術室の中では無菌状態のことを「清潔」と呼び、無菌状態でないことを「不潔」と呼んでいます。一方、感染症と戦う時には、汚染された状態を「不潔」と呼び、汚染されていない状態を「清潔」と呼んでいます。これらのことをわかりやすく整理すると、無菌、通常、汚染という3つの状態のうち、手術室での「清潔」は無菌状態、「不潔」は通常状態および汚染状態ということになります。一方、ダイヤモンド・プリンセス号の中での「清潔」は無菌状態および通常状態であり、「不潔」は汚染状態だけに使われる用語になります。我々医療従事者は、いつも「清潔」「不潔」という用語を用いていますが、無意識のうちに2種類の「清潔」と2種類の「不潔」を正確に使い分けていたんですね。今回のことではじめて気付きました。その2:自主的に行う手洗い、マスクこれまでは、院内でICT(Infection Control Team:感染制御チーム)の人たちに「手洗いをしましょう」「マスクをしましょう」と何度言われても無視していた医師たちが、自分からこまめに手洗いやマスクをするようになりました。もちろん私もその1人で、接触感染の恐怖から丹念に速乾性アルコールを用いて手を消毒し、少しでも飛沫感染を避けるためにサージカル・マスクの着用をしています。現段階ではさすがにN95マスクまではしていません。一方、あのカモノハシみたいなマスクを他の人がしているのをみると、つい手で摘まんで引っ張りたくなってしまいます。そんな事を考えているのは私だけでしょうか?その3:ランダムの恐怖コロナウイルス感染では、高齢者や持病のある人が重症化しやすい、ということになっていますが、北海道では20代の女性が重症化し、中国では武漢の新型肺炎を「告発」した李文亮医師が33歳の若さで亡くなっています。「重症化するのは高齢者であり、若者は大丈夫だ」というのならわかりやすいのですが、そんな単純な話でもなさそうです。「大部分の感染者は治療しなくても自然に回復するが、中には重症化する人もおり、重症化するかしないかは運だ」と言う方が正しいのかもしれません。とはいえ、ランダムに人が死ぬなどというのは、恐怖そのものです。その4:中国を見直した有無を言わせずあの1,000万都市の武漢を封鎖し、コロナウイルスと戦いながらもLancetやNew England Journal of Medicineにどんどん論文を発表しているのを見ると、中国の底力を認めざるを得ません。日本からもダイヤモンド・プリンセス号のデータを用いた英語論文が出てほしいものです。というわけで、新型コロナウイルスのニュースを見ながら思ったこと感じたことを自由に述べました。読者の皆様はどのようにお考えでしょうか。最後に1句コロナ見て あれこれ思う 冬の空

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COVID-19、重症肺炎の臨床経過や投与薬剤は?/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連肺炎の重症例について、臨床経過・転帰などを調査する目的で中国・華中科技大学のXiaobo Yang氏らがレトロスペクティブスタディを実施。その結果、SARS-CoV-2感染症による重症肺炎患者の死亡率の高さが明らかとなった。また、死亡者の生存期間は集中治療室(ICU)入室後1〜2週間以内の可能性があり、併存疾患や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する高齢者(65歳以上)では死亡リスクの上昇もみられた。Lancet誌オンライン版2020年2月24日号掲載の報告。 研究者らは、2019年12月下旬~2020年1月26日の期間、武漢市・Jin Yin-tan hospitalのICUに入院したSARS-CoV-2関連肺炎の重症患者52例を登録。人口統計、症状、検査値、併存疾患、治療、および臨床結果などのデータを収集し、生存者と死亡者のデータを比較した。2020年2月9日時点での主要評価項目は28日間の死亡率だった。副次評価項目は、SARS-CoV-2関連のARDSの発生率と人工呼吸器を使用した患者割合だった。 主な結果は以下のとおり。・SARS-CoV-2関連肺炎710例のうち、重症患者は52例だった。・52例の内訳は、平均年齢:59.7歳(±SD:13.3)、男性:35例(67%)、慢性疾患を有する:21例(40%)で、51例(98%)が発熱した。・32例(61.5%)が28日で死亡し、死亡者のICU入室から死亡までの中央値は7日(四分位範囲:3~11日)だった。・死亡者は生存者と比較して高齢(64.6歳±11.2 vs.51.9歳±12.9)で、ARDSを発症する可能性が高い(26例[81%]vs.9例[45%])、侵襲的または非侵襲的な機械的換気を受ける可能性が高い(30例[94%]vs.7 例[35%])患者だった。・ほとんどの患者は臓器機能の障害を有し、ARDS:35例(67%)、急性腎障害:15例(29%)、心機能障害:12例(23%)、肝機能障害:15例(29%)、気胸:1例(2%)が含まれた。・37例(71%)が人工呼吸器を必要とした。・院内感染は7例(13.5%)で認められた。・治療として抗ウイルス薬が投与されたのは23例(44%)で、18例にオセルタミビル、14例にガンシクロビル、7例にロピナビルが投与された。

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COVID-19、そのまま渡せる「感染予防ハンドブック」を無料公開

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大を続ける中、東北医科薬科大学は市民向けにCOVID-19の基礎知識と対応策をまとめた感染予防ハンドブックを作成し、PDFをサイトで公開している。医療者にとって、患者からの問い合わせに応える一助となる内容だ感染予防ハンドブックで触れられていない情報 2月25日に公開されたこの「新型コロナウイルス感染症~市民向け感染予防ハンドブック」は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)そのものに関する情報からはじまり、感染した場合の症状、潜伏期間、感染経路の可能性などについて解説。とくに「かからない・うつさないための対策」として手洗いや咳エチケットについてイラストを交え、ページを割いて丁寧に解説している。同大の感染症学教室特任教授の賀来 満夫氏の監修のもと、2月25日時点の情報に沿ってまとめられたもので全19ページ、出典を記載したうえで自由に印刷・配布ができる。 感染予防ハンドブックに掲載されているのは感染症予防における普遍的な内容であり、逐次変更される可能性の高い「医療機関受診の目安」や「問い合わせ窓口」などの情報は触れられていない。そうした問い合わせに対しては厚労省サイト(新型コロナウイルスに関するQ&A/新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安/新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター一覧)などをあわせて案内する必要がある。

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新型コロナウイルス感染妊婦の臨床症状と垂直感染の可能性(解説:小金丸博氏)-1193

オリジナルニュース新型肺炎は母子感染するのか?妊婦9例の後ろ向き研究/Lancet(2020/02/17掲載) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する論文が次々と公表され、一般集団における臨床像、画像所見の特徴などが少しずつ判明してきた。これまで妊婦に関するデータは限定的であったが、今回、新型コロナウイルス肺炎と確定診断された妊婦9例の臨床症状と、児への垂直感染の可能性を検討した論文がLancet誌オンライン版(2020年2月12日号)に報告された。 妊婦9例の年齢は26~40歳で基礎疾患はなく、全例妊娠第3期だった。臨床症状としては、発熱(7例)、咳嗽(4例)、筋肉痛(3例)、咽頭痛(2例)、倦怠感(2例)を認めた。2月4日時点で感染妊婦に重症例、死亡例は確認されなかった。子宮内垂直感染の有無を確認するために、9例中6例で羊水、臍帯血、新生児の咽頭拭い、母乳中のRT-PCR検査が実施されたが、すべて陰性だった。 本論文では、新型コロナウイルス肺炎を発症した妊婦の臨床症状の特徴は妊娠していない成人と同様であり、妊娠後期に感染した妊婦から児へ垂直感染することを示すエビデンスは得られなかった。感染妊婦において重症例、死亡例を認めなかったのは朗報であるが、9例という少数の後ろ向き調査の結果のみで判断することには限界があり、さらなる症例の蓄積が必要である。 今回の妊婦はすべて妊娠第3期に新型コロナウイルス肺炎を発症しており、妊娠早期に感染した場合の妊婦や胎児への影響については評価できない。また、全例帝王切開術で分娩しており、経膣分娩した場合の産道感染のリスクについても評価することはできない。これらの疑問に対する答えは、今後の研究結果を待ちたい。 本邦でも感染者数が増加すると、妊婦の患者も含まれてくることが予想される。インフルエンザや風疹など妊娠中に感染すると妊娠経過や胎児へ影響を及ぼす感染症が多く存在するため、新型コロナウイルス感染妊婦においても慎重に経過を追う必要があると考える。

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浙江省のCOVID-19症例、3割に基礎疾患/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した中国・浙江省の患者の臨床的特徴について、中国・浙江大学のXiao-Wei Xu氏らがレトロスペクティブ研究を行った結果、 2020年2月初旬時点では、武漢で感染した患者と比較して、浙江省の患者の症状は比較的軽度であることが明らかとなった。BMJ誌オンライン版2020年2月19日号掲載の報告。 研究者らは2020年1月10日~26日の期間、中国・浙江省でCOVID-19患者受け入れ登録施設である 7病院に検査入院し、SARS-CoV-2感染が確認された62例のデータを収集・調査した。疫学的データとして、武漢渡航歴や体温測定結果、曝露履歴、潜伏期間などを収集し、定形の症例報告書に臨床データを集約した。 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢区分は、19~40歳:25例(40%)、41~65歳:33例(53%)、65歳以上:2例(3%)、残り2例(3%)は10歳と11歳だった(中央値41歳、四分位範囲:32~52歳)。・患者の半数以上は男性だった(36例、58%)。・62例のうち集中治療室への入室は1例のみ、調査中に死亡した患者はいなかった。・62例中23例(37%)が武漢市に居住し、残り39例(63%)は発症前に武漢へ旅行していた。また、 56例(90%)でSARS-CoV-2感染が確認されている人との濃厚接触を確認した。・浙江省の感染患者は感染源とされる華南海鮮市場への出入りはなかった。・全症例の感染経路は、ヒト-ヒト感染だった。・62例中20例(32%)に基礎疾患があり、肝疾患:7例(11%)、高血圧症:5例(8%)、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、腎疾患、脳血管疾患患者は各1例であった。・主な症状は、発熱:48例(77%)、咳嗽:50例(81%)、喀痰:35例(56%)、頭痛:21例(34%)、筋肉痛または疲労感:32例(52%)、下痢:3例(8%)、喀血:2例(3%)だった。・入院中に呼吸困難を訴えたのは2例(3%)のみだった。・感染から発症までの時間中央値は4日(四分位範囲:3〜5日)であり、症状発現から入院までに要した時間は2日(同:1〜4日)だった。

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COVID-19、無症状でもウイルス量は発症者と同等/NEJM

 中国・広東省疾病管理予防センターのLirong Zou氏らが、COVID-19の患者18例について、鼻と喉から採取したサンプルを調べたところ、鼻で高いウイルス量が検出され、ウイルスの広がり方は、ゲノム配列が類似しているSARS-CoVよりもインフルエンザに近いことがわかった。NEJM誌オンライン版2020年2月19日号CORRESPONDENCEでの報告。 本研究では、中国・広東省珠海市で新型コロナウイルス陽性と確認された患者18例について、無症状であった1例を除く17例の鼻腔スワブ72本と咽頭スワブ72本から検体を採取。発症日とウイルス量の相関を連続的にモニタリングした。 主な疫学的・臨床的特徴は以下のとおり。・患者の年齢中央値は59歳(範囲:26~76)、男性・女性ともに9例ずつで、うち4例は2つの家族内における2次感染例。・初めに発症した14例は2020年1月7日~26日までに武漢市帰りで37.3度以上の発熱が見られ、COVID-19と診断された。このうち13例については、CTで肺炎の所見が見られた。その後3例はICUでの治療を必要としたが、ほかはいずれも中程度~軽度の症状であった。・1例は臨床症状が見られなかったが、発症者との接触7~11日後に採取された鼻腔スワブ(サイクル閾値[Ct]:22~28)および咽頭スワブ(Ct:30~32)から新型コロナウイルス陽性の反応が確認された。・発症者17例については、発症直後に高いウイルス量が検出された。また、咽頭よりも鼻腔においてより多くのウイルスが検出された。・COVID-19におけるウイルス核酸の放出パターンはインフルエンザと類似している。・無症候者から検出されたウイルス量は、発症者のウイルス量と同程度であり、無症候者およびごく軽症者からの感染の可能性を示唆している。

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