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COVID-19の救世主現る?(解説:岡慎一氏)-1221

オリジナルのニュース重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM(2020/04/16掲載) たった53例のCOVID-19患者の、しかもCompassionate useのremdesivirの結果が、NEJM誌のOriginal Articleに掲載された。やや驚きである。いかに世界中がCOVID-19の治療薬を欲しているかがよくわかる。もともとは、エボラ出血熱の治療薬として開発されたものである。 急にこの世に現れ、致死率が高いにもかかわらず感染力が強く、あっという間にPandemicになってしまったCOVID-19である。当然、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2に対する特異的な治療薬などまだないため、抗HIV薬のロピナビルや抗マラリア薬のクロロキンなど、いろいろな薬剤が治療薬の候補として浮かび上がっていた。しかし、これらの薬剤は、臨床試験(randomized controlled trial)によりその有効性は、ほぼ否定されてきた。残る有望株が、このremdesivirである。Compassionate useであるので、重症者に対して投与された。北米、欧州、日本など先進国で行われた。53例中34例は挿管されていた最重症患者であるが、それでも82%が回復した(死亡率:18%)。全体で治療前の状態より改善したのは36例68%、悪化(死亡7例を含む)したのは8例15%であった。 微妙な結果である。COVID-19全体での死亡率は、地域や検査件数にもよるが2%以下と推定されている。いずれもLancet誌に掲載された3つの中国からの報告では、ARDSやICU管理を必要とする最重症例の死亡率は、38%、45%、65%と報告により異なるが、今回の結果(18%)よりはるかに高い。繰り返すが、微妙な結果である。重症の定義や医療レベルなどそれぞれであるため、単純な比較はできない。まもなく米国NIHが中心となったrandomized placebo-controlled trialの結果が出てくる。remdesivirの有効性に関する最終評価は、その結果を待ちたい。

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COVID-19濃厚接触者の定義を変更し、網を拡大/国立感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「濃厚接触者」の定義について国立感染症研究所 感染症疫学センターは、4月20日に「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」を発表し、定義を変更した。 新しい「濃厚接触者」の定義では、「患者(確定例)」の感染可能期間(症状を呈した2日前から隔離開始までの間)に接触した者のうち、次の範囲に該当する者として4項目を示した。・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内などを含む)があった者・適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた者・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い者・その他:手で触れることのできる距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況など個々の状況周辺の環境や接触の状況など個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。 これにより、従来は発症日以降に接触した人から「発症の2日前から接触した人」に拡大され、また、「2m以内を目安に接触していた人」の定義を「1m以内を目安に15分以上接触した人」に変更された。 この定義は保健所などで聞き取り調査の際に使用され、より多くの感染疑い者の絞り込みに活用される。

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アイスランドの新型コロナウイルス、遺伝子型が変化/NEJM

 アイスランドでは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染陽性率が、10歳以上および男性と比較して、10歳未満児および女性では低いことが明らかになった。アイスランド・deCODE Genetics-AmgenのDaniel F. Gudbjarsson氏らが、同国における高リスクの特定集団と市民を対象に実施した住民ベースの調査結果を報告した。アイスランドでは2月末に初めてCOVID-19と診断された患者が発生したが、COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2が、どのようにアイスランドの住民に感染・拡大したかについてはデータが限られていた。今回の調査では、SARS-CoV-2のハプロタイプは多様で経時的な変化が認められること、一般市民で確認された感染陽性率はスクリーニング期間中あまり変化していないことも示され、著者は「封じ込め策が有効であったと考えられる」との見解を示している。NEJM誌オンライン版2020年4月14日号掲載の報告。感染リスクが高い特定集団と一般市民を対象にPCR検査を実施し実態を調査 研究グループは、アイスランドで行われた2つのSARS-CoV-2検査(感染リスクが高い人を対象とした検査と集団スクリーニング)について分析する検討を行った。 同国では2020年1月31日より、感染リスクが高いと考えられる住民(咳・発熱・関節痛・息切れなどの症状を有し、最近、高リスク国/地域から帰国した人、または感染者と接触した人)を対象とした検査を開始(特定集団群)。これに加えて3月13日より、無症状または軽度の風邪症状の同国在住者にも検査を拡充し、オンラインでの登録・検査が開始された(公募群)。 研究グループはこれらのデータに加えて、集団スクリーニングのサンプリング法を評価する目的で、20~70歳のアイスランド人6,782例を無作為に抽出し、3月31日~4月1日に携帯電話へメッセージを送信し、4月4日までに検査を受けてもらった(無作為抽出群)。 さらに、陽性例のうち643例についてSARS-CoV-2のシークエンシングを行った。4月4日時点で市中感染率は0.6%、10歳未満と女性は陽性率が低い 4月4日時点のSARS-CoV-2陽性者は、1月31日~3月31日に検査を受けた特定集団群は9,199例中1,221例(13.3%)、集団スクリーニングのうち3月13日~4月1日に検査を受けた公募群は10,797例中87例(0.8%)、4月1日~4日に検査を受けた無作為抽出群は2,283例中13例(0.6%)であった。全体で、検査を受けたのは人口の6%であった。 特定集団群のうち、初期(1月31日~3月15日)に検査を受けた1,924例では、SARS-CoV-2陽性者が177例(9.2%)で、このうち65%(115/177例)に最近の海外渡航歴(高リスク国を含む)があったのに対し、後期(3月16日~31日)に検査を受けた7,275例では陽性者が1,044例(14.4%)で、このうち海外渡航歴があったのは15.5%(162/1,044例)であった。 いずれの検査群でも、平均年齢は参加者全体(特定集団の初期群、特定集団の後期群、公募群、無作為抽出群でそれぞれ40.0、40.4、38.6、45.4歳)に比べ陽性者(それぞれ44.4、41.3、40.8、50.5歳)で高かった。特定集団群では、10歳未満(38/564例、6.7%)は10歳以上(1,183/8,635例、13.7%)と比較して陽性率が低い傾向にあり、この傾向は集団スクリーニング群でも同様であった(10歳未満0%、10歳以上0.8%)。また、女性のほうが男性より陽性率が低く、特定集団群では11.0% vs.16.7%(オッズ比[OR]:1.66、95%信頼区間[CI]:1.47~1.87)、集団スクリーニング群で0.6% vs.0.9%(1.55、1.04~2.30)であった。多様なSARS-CoV-2 ハプロタイプが広がっている 643検体から抽出したSARS-CoV-2 RNAのシーケンシングの結果、ハプロタイプは多様で経時的に変化していることが明らかになった。すなわち、特定集団の初期と集団スクリーニング群とでハプロタイプの構成が異なっており、初期はイタリアやオーストリアが起源のタイプがほとんどであったのに対して、3月中旬以降の集団スクリーニング群では当初高リスク国と見なされていなかった英国などから帰国した人によってアイスランドに持ち込まれたと考えられた。 集団スクリーニングにおける感染陽性率は20日間にわたり安定しており、公募群と無作為抽出群とで感染率に大きな違いはなかった。

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楽天のPCR検査キット、「大変危惧の念を抱いている」/日本医師会

 4月22日、日本医師会・釜萢 敏氏(常任理事)は、民間企業による新型コロナウイルスPCRキット販売に関して、「大変危惧の念を抱いている。(一般人が)自身で検体採取することはリスクが高いと考えざるを得ない」と強い懸念を示した。近日中に、問題点を具体的に示した専門家会議の意見が取りまとめられる見込み。東京都ほか4県の法人向けにPCR検査キットを販売 20日、楽天が「新型コロナウイルスPCR検査キット」を、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の法人向けに提供開始したことを発表した。同キットは、遺伝子検査キットを手掛けるジェネシスヘルスケアが、医療法人社団 創世会の協力を受けて開発したもの。定価は1キット1万4,900円(税込)で、100キットから購入できる。 なお、同社プレスリリースでは、「導入する法人は、検査キットを従業員等に配布し、利用者は同封されている説明書に従って、各自で自宅にて検査試料を自己採取後、防漏性容器に収めます。容器を三重密封できる封筒に入れていただき、封をして目安として2時間以上経過してから、法人が指定する場所に設置する専用回収ボックスに入れていただきます。ジェネシスヘルスケアによる回収後、結果通知までにかかる日数は最短即日から約3日以内(土日祝除く)となります」と説明している。自宅での検査実施は感染拡大リスクにつながる恐れ これについて、釜萢氏は「検体の採取は正確に行うことが必要。それが不適切であれば、結果も不正確になりかねない」として、「検査を実施した企業が、本キットの結果を見て出勤の可否などを判断すると、実際の陽性・陰性とは異なる結果が含まれることで、感染拡大を引き起こすなどの問題につながりかねない。結果を医療機関に持って来られても、対応は困難である」と懸念を表明した。また、検査に伴う危険の周知も十分でなく、結果の取り扱いにおける個人情報保護の問題も残されている。 同氏は、同日開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議においても、同検査キットに対し問題意識が示されたことを説明した。実際に企業が同キットを購入し検査を実施した場合は、大きな混乱を来たす可能性がある。 PCR検査がなかなか実施されない、希望しても受けられないことに対する策なのではないか、という意見に対し、「PCR検査は医師が必要と認めたケースにのみ実施することが大事で、国民全員に実施すべきものではない」との認識をあらためて強調し、「今後同様の事例が起きないよう、厚生労働省と協議を行い、国民の安全を確保する視点で対応していく」と述べた。 なお、米国において、コロナウイルスについての自己検体採取キットが緊急使用認可されているが、「米国の検体採取自己キットは通常承認ではないものの、米国食品医薬品局(FDA)が緊急に使用を認可したものであり、政府機関が関与している」、「使用に当たっては医師の指示が必要」という2点が、今回わが国で発売されたキットと大きく異なる点だ。

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SARS-CoV-2との戦いーACE2は、味方か敵か?(解説:石上友章氏)-1218

原著論文Renin-Angiotensin-Aldosterone System Inhibitors in Patients with Covid-19 COVID-19は、新興感染症であり、科学的な解明が不十分である。これまでの報告から、致死的な重症例から、軽症例・無症候例まで、幅広い臨床像を呈することがわかっており、重症化に関わる条件に注目が集まっている1,2)。中国からの報告により、疾病を有する高齢者、なかでも高血圧を有する高齢者が多く重篤化する可能性が指摘された3,4)。 SARS-CoV-2の類縁であるSARS-CoVは、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)の原因ウイルスである。標的である肺胞上皮細胞に感染する際に、細胞表面にあるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)を受容体として、ウイルス表面のスパイク蛋白と結合する。ACE2と結合したスパイク蛋白は、細胞表面の膜貫通型セリン・プロテアーゼであるTMPRSS2などにより切断され、標的細胞の細胞膜と融合することで細胞内に侵入することが知られている(『感染の成立』)5,6)。SARS-CoV-2の感染症であるCOVID-19でも、同様の機序が想定されている。 降圧薬(ACE阻害薬、ARB)の使用とCOVID-19との関係が注目されており、Vaduganathanらの手による、Special ReportがNEJM誌に掲載された7)。ACE2がSARS-CoV-2の感染の成立に重要な働きを有していることから、高齢者・高血圧患者におけるACE阻害薬、ARBの使用と、感染の重篤化との間に因果関係があるのではないかという疑問があがった。有効な治療法が確立していない現在、既存の蛋白分解酵素阻害薬である、ナファモスタット、カモスタットの、TMPRSS2の阻害作用により、SARS-CoV-2の感染を抑制する可能性があると報告されたことも、既存薬であるRA系阻害薬とCOVID-19との関連が注目された一因であろう8,9)。 図のように、ACE2はAng(1-7)-Mas受容体系に関与していると考えられており、ACE2の活性化はアンジオテンシンIIの働きに拮抗・相殺する作用であり、生体にとって好ましいとされている10)。ACE2が、SARS-CoV-2の感染の成立に重大な働きをすることから、直接的にCOVID-19の発症に関わっている可能性がある。ACE2活性の亢進や抑制が、COVID-19の発症・重篤化に関係しているのであれば、RA系阻害薬の内服によるACE2活性の変化によって、予後が決定される可能性がある。(原図:石上 友章氏) 個々の研究に目をやると、SARS-CoVによる重症肺炎が、ロサルタンの投与で軽快すると報告されている5)。またオルメサルタンには、ACE2活性化作用を介して、Ang II→Ang(1-7)への変換を促進し臓器保護作用があると報告されているが11)、いずれもげっ歯類を対象にした動物実験であり、ヒトではっきりと証明された報告はない。したがって、米国・欧州の主要な学会のポジション・ステートメントは、RA系阻害薬使用とCOVID-19との間の相関には否定的で、RA系阻害薬の内服の継続を推奨している。(https://www.eshonline.org/spotlights/esh-statement-covid-19/ほか) ARB(ロサルタン)ならびに、ACE2賦活薬(APN01:recombinant human soluble ACE2)を使った、臨床研究(NCT00886353、NCT04311177、NCT04312009)が計画されている。ヒトでのPOCがとれるか否かで、今回の降ってわいたような疑問への回答を得られることが期待される。References1)Bouadma L, et al. Intensive Care Med. 2020;46:579-582.2)Wu Z, et al. JAMA. 2020 Feb 24. [Epub ahead of print]3)Zhou F, et al. Lancet. 2020;395:1054-1062.4)Pan X, et al. Lancet Infect Dis. 2020;20:410-411.5)Kuba K, et al. Nat Med. 2005;11:875-879.6)Imai Y, et al. Circ J. 2010;74:405-410.7)Vaduganathan M, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 30. [Epub ahead of print]8)Yamamoto M, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2016;60:6532-6539.9)Hoffmann M, et al. Cell. 2020;181:271-280.e8.10)Ishigami T, et al. Hypertens Res. 2006;29:837-838.11)Agata J, et al. Hypertens Res. 2006;29:865-874.

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037)疲労困憊のコロナ電話対応【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第37回 疲労困憊のコロナ電話対応しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆新型コロナウイルスの流行で、公私共に落ち着かない日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私の皮膚科外来では、病院に来る患者さんの数がガクッと減り、少しずつ電話再診を希望する患者さんが増えてきています。緊急事態宣言の発令以降、病院が初診の受け付けを当面の間休止したこともあり、来られるのは定期処方の患者さんばかり。幼稚園や学童保育の休業により出勤できないスタッフもいるようで、スタッフも患者さんも少人数、広い外来棟が閑散としています。勤務医であるデルぽんは外来業務が減り、正直なところ手持ち無沙汰な状態です。一方、医師以外のスタッフは、電話での問い合わせ対応や、電話再診による処方箋の送付など、少ない人数でイレギュラーな業務に追われている様子。問い合わせの電話をしてくる患者さんの中には、芸能人の名前を出して30分間延々とクレームを言ってくる人や、無理難題を言ってごねる人も。身近な病院が、患者さんの不安な気持ちのはけ口になってしまっているようです。そうはいっても、医療者も限られた資源の中、精神をすり減らして対応しているので、どうかわかっていただきたいところ。感染症の最前線で戦う医療者の皆さまには、本当に頭があがりません。どうかご自愛ください。非日常で落ち着かない日々。早くこの事態が収まるとよいなと願っています。それでは、また~!

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COVID-19、早期診断や重症化の因子は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)の予測モデルに関する公表・公表前の試験結果についてシステマティック・レビューを行ったところ、31個の予測モデルが見つかったが、大半でバイアスリスクが高く、それら予測モデルを医療現場で活用することには、信頼性の点で懸念があることが示された。オランダ・マーストリヒト大学のLaure Wynants氏らによる検討で、BMJ誌2020年4月7日号で発表した。COVID-19は世界中の医療システムに負荷をもたらしており、効果的な早期検出、診断および予後に関する差し迫ったニードが生じている。ウイルス学的検査、胸部CTは診断の標準方法となっているが時間を要する。一方、先行研究報告で、高齢で、慢性疾患(COPD、心血管疾患、高血圧)がある患者や呼吸器症状のある患者は、重症となりやすく死亡率も高まることが示唆されていた。PubMed、Embase、medRxivなどをレビュー 研究グループは、COVID-19の感染が疑われる患者の診断に関する予測モデル、および罹患者の予後に関する予測モデル、さらにCOVID-19で入院となるリスクがある人を一般集団で検出するための予測モデルについて、公表・公表前の報告をレビューおよび批評した。 PubMed、Embase、Ovid、Arxiv、medRxiv、bioRxivを基に、2020年3月24日までに発表されたCOVID-19に関する試験結果についてシステマティック・レビューを行った。COVID-19関連の多変量予測モデルの開発または検証に関する試験を抽出し、評価した。2人以上の著者がCHARMSチェックリスト(予測モデル試験のシステマティック・レビューのためのクリティカルな評価とデータ抽出を行うためのツール)を用いてそれぞれがデータの抽出を行った。診断モデル18件、予後予測モデルは10件 スクリーニングを行った2,696本の論文中に、27試験・31個の予測モデルの記述があった。 そのうち、一般集団における肺炎およびその他イベント(COVID-19肺炎の代替アウトカムとして)による入院の予測モデルは3個、COVID-19感染を検出する診断モデルは18個(うちCT画像検査の結果に基づく機械学習が13個)、死亡リスクや重症化進行リスク、および入院日数を予測する予後モデルは10個だった。また、中国以外の患者データを用いていたのは1試験のみだった。 感染が疑われる患者について最も多かった予測因子は、年齢、体温、徴候および症状であり、また、重症化について最も多かった予測因子は、年齢、性別、CT画像検査の所見、CRP、乳酸脱水素酵素値、リンパ球数だった。 予測モデルのC統計量は、一般集団を対象としたモデル(3モデルすべてで報告)は0.73~0.81、診断モデル(18モデルのうち13モデルで報告)は0.81~0.99超、予後モデル(10モデルのうち6モデルで報告)は0.85~0.98だった。 一方で、全試験についてバイアスリスクが高く、予測モデルを実際に活用した際の予測能は試験結果より低い可能性が高いとの評価が示された。理由としては、被験者にCOVID-19患者以外が含まれていない(診断モデル)、試験終了までに評価アウトカムが発生しなかった被験者は除外されている(予後モデル)、およびサンプルサイズが小さいことによるモデルの過剰適合などだった。 結果報告の質にもばらつきがあり、多くが試験対象集団や予測モデルの使用意図についての説明がなく、また予測の較正はほとんどされていなかったという。

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新型コロナウイルス感染症患者に対するremdesivir人道的使用(解説:浦島充佳氏)-1220

オリジナルニュース重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM 現在、COVID-19に対する有効な治療薬はない。そこでSpO2 94%以下の低酸素症を伴うCOVID-19患者61例にremdesivirを使用した。しかし、結果の不明な7例と薬物使用量の不適切だった1例を除外し53例で解析が成された。投与開始中央値18日(IQR:12~23日)において53例中36例(68%)で酸素投与法の改善をみた。一方、有害事象として60%に肝臓酵素の上昇、下痢、発疹、腎機能障害、低血圧を認めた。23%に多臓器不全、敗血症性ショック、急性腎障害、低血圧を、人工換気をしている患者に認めた。 SARS-CoV-2はRNAウイルスであり、remdesivirのRNAポリメラーゼ阻害作用に期待しての人道的使用によるデータを集めての報告である。データを解釈するうえで気になった点は以下の4つである。1. 除外された8例の詳細がない2. アウトカム評価の方法が事前に決められていない3. 有害事象が多い4. 製薬会社(Gilead Sciences)主導の研究である 結論にも記載があるように、現在ランダム化プラセボ比較試験が進行中であり、その結果が待たれるところである。 SARSにおいてHIV治療薬の1つであるロピナビル・リトナビルを41例に投与したところ21日以内に呼吸窮迫症候群ないし死亡したケースは1例のみであった(2.4%)。一方、ロピナビル・リトナビルを投与しない過去のSARS 111例では、同アウトカムが32例(28.8%)に発生した1)。この研究デザインはhistorical controlであるが、今回のCOVID-19に対して非盲検ランダム化プラセボ比較試験が実施された2)。199例のCOVID-19患者を対象としたが、臨床症状の改善までの日数、死亡率ともに両群で有意差を認めなかった。 第II相試験で比較的良好な結果であり、第III相試験に進んでも効果が実証されないことは多い。米国の大規模臨床腫瘍グループの実施した第III相試験では、わずか28%(26/94試験)のみが、主要評価項目で既存治療に対する優越性を示したと報告した3)。 remdesivirのCOVID-19に関してもランダム化プラセボ比較試験の結果が待たれるところである。1)Chu CM, et al. Thorax. 2004;59:252-256.2)Cao B, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 18. [Epub ahead of print]3)Unger JM, et al. JAMA Oncol. 2016;2:875-881.

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新型コロナウイルス検出用抗体、開発に成功/横浜市立大

 横浜市立大学大学院医学研究科の梁 明秀氏(微生物学・分子生体防御学 教授)らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を特異的に検出できるモノクローナル抗体の開発に成功したことを2020年4月20日に発表した。今後は、本抗体を用い簡便かつ短時間にSARS-CoV-2だけを正しく検出できるイムノクロマトキットの開発を目指す。 今回作製された抗体は、近縁のSARSコロナウイルスや風邪の原因となるヒトコロナウイルスとは交差反応を示さず、SARS-CoV-2抗原にだけ正確に反応するという。現時点でSARS-CoV-2のみを的確に検出できる高性能なモノクローナル抗体は実用化されておらず、この開発が進めば国内初の検査キットの実用化となる。 研究成果のポイントは以下のとおり。・ コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法により作製した高品質な抗原を用いて、SARS-CoV-2を正確に検出できるマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを複数株、樹立することに成功。・ 本抗体は、SARS-CoV-2だけに高い親和性を示し、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、およびその他の一般の風邪症状を引き起こすヒトコロナウイルスとは交差反応しない。・ 今後、本抗体を用いて、簡便かつ短時間に、しかも正確にSARS-CoV-2が検出できるイムノクロマトキットが開発できれば、PCR法などの遺伝子検出法と比べて臨床現場の負担が軽くなり、検査数の大幅増が期待できる。

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新型コロナ、病棟の床や靴底、患者から4mの空気からも検出

 病棟における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の分布について、中国・武漢のCOVID-19専門病院である火神山医院の空気と環境表面のサンプルを調査したところ、SARS-CoV-2は、床、コンピュータのマウス、ゴミ箱、ベッドの手すり、靴底など広く分布し、患者から約4m離れた空気からも検出された。Academy of Military Medical Sciences(北京)のZhen-Dong Guo氏らが、Emerging Infectious Diseases誌オンライン版2020年4月10日号で報告した。 著者らは、2020年2月19日~3月2日、火神山医院の集中治療室(ICU)とCOVID-19一般病棟(GW)における環境表面と空気のサンプルを検査した。ICUは重症患者15例、GWは軽症患者24例を収容した。床、マウス、ゴミ箱、ベッドの手すり、患者用マスク、個人用防護具(PPE)、排気口のサンプルは湿らせた無菌スワブで採取し、空気のサンプルはSASS 2300 Wetted Wall Cyclone Samplerで採取した。計425サンプルをRT-PCRを用いて検査した。 主な結果は以下のとおり。・陽性の割合はGW(7.9%)よりICU(43.5%)で大幅に高かった。・床のサンプルの陽性率は比較的高く(ICU:70%、GW:15.4%)、患者がいない薬局の床のサンプルの陽性率が100%であった。さらに、ICUの医療スタッフの靴底のサンプルの半数が陽性であった。・陽性の割合は、医療スタッフや患者が触る表面も比較的高く、最高はマウス(ICU:75%、GW:20%)、次いでゴミ箱(ICU:60%、GW:0%)、病床の手すり(ICU:42.9%、GW:0%)、ドアノブ(GW:8.3%)であった。・医療スタッフの袖口と手袋のサンプルは、散発的な陽性結果が得られた。・ICUおよびGWの隔離病棟での空気サンプルは35%が陽性だった。サンプリング場所別の陽性率は、吹き出し口付近が35.7%、病室が44.4%、医師のオフィスエリアが12.5%であった。・GW内のSARS-CoV-2エアロゾルの分布から、SARS-CoV-2の最大伝播距離は4mに達する可能性が示唆された。 本調査から、SARS-CoV-2はICUとGWともに空気中および環境表面に広く分布し、医療スタッフに潜在的に高い感染リスクがあり、また、環境汚染はGWよりもICUで多く、ICUの医療スタッフについてはより厳しい対策が必要なことが示唆された。 著者らは、「3月30日時点で、病院のスタッフはSARS-CoV-2に感染しておらず、適切な予防策で効果的に感染を防ぐことが可能で、COVID-19疑い例の自宅での隔離は適切な管理戦略ではない可能性がある」と述べている。

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新型コロナウイルスあれこれ(5)【Dr. 中島の 新・徒然草】(319)

三百十九の段 新型コロナウイルスあれこれ(5)現在も世間はコロナ一色。私は手製のエクセルの表を眺めては溜息をついている毎日です。毎日のように発表されるニューヨーク、東京、大阪の感染者数や死亡者数のみならず、ノーガード戦法のブラジルの数値も入力して動向を見守っています。明るい話としては、累積死亡者数のdoubling timeがニューヨーク、東京、大阪で徐々に延び始めていること。私の計算間違いでなければ、1週間前と比べて現在のニューヨークが3.6日から6.0日に、東京が6.7日から11.7日に、大阪が7.0日から12.0日に、それぞれdoubling timeが延びました。これまで指数関数的に増えていた累積死亡者数が、徐々に直線的になってきたことを示します。厳戒態勢のニューヨークはともかく、東京や大阪の何が効を奏したのか。総理大臣の緊急事態宣言なのか、東京・大阪の両知事の必死の自粛要請が効いたのか?とはいえ、諸外国に比べて少ない日本のPCR検査数は常に批判にさらされているところ。普通の間質性肺炎での死亡とされた中に新型コロナウイルスによる死亡例が混ざっていて、カウントされていない、という可能性もあります。さて、医療機関でのコロナ対応は地域によって違いが大きいことと思います。大阪医療センターで私や周囲がどうやっているのか、簡単に述べましょう。まず、大阪府からの要請が色々あります。「〇〇の症例を△△人お願いします」という府からの指示。この、〇〇の部分と△△の部分がどんどん変化していきます。もちろん、状況に応じて各医療機関の役割や守備範囲が変わるのは当然のこと。でも、昨日まで対応していた症例に今日からは応需できない、ということがしばしばあり、患者さんや地域の先生方には迷惑をおかけしております。例えるならば、友軍が攻撃されているのに加勢にいけないもどかしさ、心が痛みます。本当にすみません。思わぬ患者さんからPCR陽性が出る、というのもコロナの特徴かもしれません。別の疾患で受診した人が翌日から熱と咳が出始め、まさかと思いつつ調べたらPCR陽性!慌てて関係した職員を休ませたり検査したり。幸い、私の知るかぎりで職員からPCR陽性者は出ていません。でも、いつ出てもおかしくない状況です。そんな中、無症状~軽症者のための宿泊施設確保は朗報です。大阪府はとりあえず400室確保し、いずれは3,000室にするとのこと。そうすれば、病院が中等症~重症患者さんだけに注力することができます。武漢やイタリアのような悲惨な状況だけは避けなくてはなりません。さて、新型コロナウイルスは我々の働き方も強制的に改革してしまいました。近所の人や患者さんに聞くと、多くの人が在宅勤務になっています。ある人の職場は2チームに分けられ、一方がやられても他方で持ちこたえるという作戦。別のIT系企業の人は、週1回、荷造りに会社に行くだけだとか。病院でも会議がほとんどなくなりました。さらに歓送迎会や研修会、学術集会もなくなったので、本来業務に集中できます。外来診療も電話で済ませて処方箋を郵送するので効率的です。体の不自由な方の多い脳外科では、患者さんからも好評です。もちろん、検査のある患者さんや体調不良の方は来院するので問題ありません。我々自身も従来の働き方を大きく変えられる気がします。最後に、このコロナ・パンデミック、いつ終息するのでしょうか?昨日、エレベーターで一緒になった看護師さんにいきなり尋ねられました。中島「僕は梅雨の時期に下火になり、夏が来たら終わるんじゃないかと思うよ」ナース「ホントですか?」中島「単なる推測やけどな。コロナは日本の高温多湿の夏を越えられんやろ」ナース「やったあ!」中島「でも夏の間は南半球に潜んでいて、秋になったらまた出てくるんじゃないかな」ナース「ええーっ!」中島「結局、毎年ワクチンを打つことになるんじゃないかな」ナース「1回で済まないんですか?」中島「インフルエンザも毎年ワクチン打っとるがな。あれがインフルとコロナの2本だてになるだけや」無責任な予想を披露したところで最後に1句 真夏きて コロナを倒して おくなはれ 

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COVID-19情報、一般市民はTVニュースからが8割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大について、一般市民の意識の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。 同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。●調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2020年3月20日 対象:セルフ型アンケートツール“freeasy”の登録者300人(20歳以上)■アンケート結果の概要・新型コロナウイルス感染症拡大について、約7割の人が「怖い」と思っている・新型コロナウイルス予防対策の実施は58.7%で、過半数を超えている・予防対策で行っている1位は「手洗い」、2位は「マスク着用」、3位は「うがい」・新型コロナウイルスの正しい情報を取得できていると思う割合は47.0%で半数(5割)に満たない状況・新型コロナウイルス情報の入手経路は、「TV などのニュース」が 80.3%でもっとも多い・新型コロナウイルスの拡大は、収入面に不安を与えているが43.0%・「持病あり」は、「新型コロナウイルスの拡大は怖い」「予防対策を実施している」「正しい情報を取得できている」でもっとも多い結果・咳・くしゃみをした後、痛い視線を感じる割合は、約4に1人(24.0%)■アンケート結果の詳細  質問1の「新型コロナウイルス拡大について、どう思いますか」では、「怖い」(69.7%)、「どちらでもない」(17.3%)、「怖くない」(13.0%)の回答結果であり、年齢別では「怖い」は70代でもっとも多かった。 質問2の「新型コロナウイルス予防対策を実施してますか」では、「実施している」(58.7%)、「どちらでもない」(23.7%)、「実施していない」(17.7%)の回答結果だった。 質問3の「新型コロナウイルス感染症予防策として行っていることはなんですか(複数回答)」では、「手洗い」(80.7%)、「マスク着用」(57.7%)、「うがい」(49.3%)、「アルコールなどでの消毒」、「集会などに参加しない」、「不要な外出を控える」の順で多かった。40代では「とくに対策をしていない」が17.7%と危機感の希薄化がうかがわれた。 質問4の「新型コロナウイルス感染症の正しい情報を取得できていると思う」では、「取得できてる」(47.0%)、「どちらでもない」(38.0%)、「取得できていない」(15.0%)の回答結果だった。とくに20~30代(21.4%)が「取得できていない」と一番多く回答し、情報取得に差があることが判明した。 質問5の「新型コロナウイルス感染症の情報をどのような経路で入手していますか(複数回答)」では、「TVなどのニュース」(80.3%)、「ネットのニュース」(42.3%)、「TVなどのワイドショー」(34.0%)の順で多く、かかりつけのクリニックなどの医療者からは4.3%、保健所からは1.3%と医療機関からの情報取得は少なかった。 質問6の「新型コロナウイルス感染症の拡大は、あなた自身の収入面に不安を与えていますか」では、「不安である」(43.0%)、「どちらとも言えない」(30.0%)、「不安でない」(27.0%)の回答で、半数近くは不安を抱えているという回答だった。 質問7の「あなたには持病がありますか(複数回答)」では、「高血圧」(23.7%)、「糖尿病」(9.0%)、「喘息を含む呼吸器病」(4.7%)の順で多く、約6割は「とくに無い」と回答していた。 質問8の「人混みや交通機関で、咳やくしゃみをしたときに、他人から痛い視線を感じることがある」では、「ある」(24.0%)、「どちらでもない」(31.3%)、「ない」(44.7%)の回答数で、とくに20~30代の32.1%が「ある」と感じていて多かった。

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中国でのCOVID-19、第2波の潜在的可能性は/Lancet

 中国では2020年1月23日に全国的な新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)拡散防止措置を実施後、国内の主な感染地域における感染者の再生産数(1人の感染者が生産する2次感染者数、Rt)は1未満へと大幅に減少し維持されていたことを、中国・香港大学のKathy Leung氏らが報告した。しかしながら、ウイルス再生産数のリスクは高く、とくに海外から持ち込まれるリスクが高いとして、著者は「潜在的な第2波に備えてRtと致死率の厳格なモニタリングを行いつつ、健康と経済活動の最適なバランスを取ることが必要である」としている。Lancet誌オンライン版2020年4月8日号掲載の報告。感染症モデルで第2波の可能性を検証 COVID-19のアウトブレイクを招いた中心地の湖北省武漢市を除くと、中国本土における感染者数は2020年3月18日時点で1万3,415例であり、死者は120例と報告されている。1月23日からは、全国的に大規模な公衆衛生上の介入を実施してアウトブレイクの食い止めを図っており、研究グループは、武漢市以外の主要地域におけるCOVID-19の第1波の感染状況と疾患重症度の評価を行った。 具体的に北京、上海、深セン、温州およびCOVID-19感染確認者数が多い10の中国地方都市について、瞬間的Rtを推算した。また、北京、上海、深セン、温州と全31地域について致死率(cCFR)を推算した。 感染症モデル「SIR(susceptible-infectious-recovered)モデル」を用いて、流行第1波後の拡散防止措置緩和による、第2波の可能性を検証した。第2波後には再度の拡散防止措置が必要に 調査対象の全市・省において、1月23日に拡散防止措置が実施された後、Rtは大幅に減少し、その後は1未満に維持されていた。 cCFRは、湖北省で5.91%(95%信頼区間[CI]:5.73~6.09)だったのに対し、湖北省以外では0.98%(0.82~1.16)と、およそ5分の1にとどまっていた。 また、感染の流行が小規模な段階で介入を緩和すれば、指数関数的に感染者数は増えていく(Rt>1)と推算されたこと、再び積極的拡散防止措置を実施しなければ、緩和以前の状態に戻すことは困難になることが示されたという。

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重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM

 抗ウイルス薬remdesivirを、重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者53例(日本からの症例9例を含む)に投与したところ、36例(68%)で臨床的改善がみられた。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのJonathan Grein氏らが、remdesivirの人道的使用によるコホート分析データを、NEJM誌オンライン版2020年4月10日号で発表した。<試験概要>・対象:COVID-19感染による重度急性呼吸器症状を呈する入院患者で、酸素飽和度≦ 94%もしくは酸素補充を受けている患者・治療概要: remdesivirの10日間投与(1日目に負荷投与量として200mg、その後 9 日間は100mgを1日1回静脈内投与)・観察期間:投与開始から28日間 本研究では、評価項目は事前に設定されていない。しかし分析の一環として、酸素補充の必要レベルの変更、退院、remdesivirの投与中止につながった有害事象(報告ベース)、死亡など、主要な臨床的事象の発生率を定量分析。本研究での臨床的改善を、WHOの「R&Dブループリント(戦略対策計画)」の推奨に従い、(1)退院、(2)入院や酸素補充の必要レベルなどで評価する6段階の評価基準でベースラインから2段階以上の改善の、少なくともどちらかを満たす場合と定義している。 主な結果は以下のとおり。・2020年1月25日~3月7日に少なくとも1回remdesivirを投与された61例のうち、8例のデータが除外された(7例で治療後のデータがなく、1例は投与エラーのため)。・データが分析された53例のうち、22例が米国、22例がヨーロッパまたはカナダ、9例が日本の症例。年齢中央値は64歳(四分位範囲:48~71)、40例(75%)が男性であった。・remdesivir投与開始前の症状持続期間の中央値は12日間。ベースライン時に30例(57%)が人工呼吸器、4例(8%)が体外式膜型人工肺(ECMO)を使用していた。・40例(75%)で10日間のフルコースの投与が実施され、10例(19%)は 5~9日間、3例(6%)は5日未満であった。・追跡期間中央値は18日間。この間、36例(68%)で酸素補充の必要レベルが改善し、人工呼吸器使用者30例のうち17例(57%)が抜管した。・Kaplan-Meier分析の結果、観察期間中に認められた臨床的改善の累積出現率は84%(95%信頼区間[CI]:70~99)。臨床的改善がみられた症例の割合は、侵襲的換気療法実施例(非侵襲的換気療法実施例に対するハザード比[HR]:0.33、95%CI:0.16~0.68)、70歳以上で低かった(50歳未満に対するHR:0.29、95%CI:0.11~0.74)。・25例(47%)が退院し、7例(13%)が死亡。死亡リスクは、70歳以上(70歳未満に対するHR:11.34、95%CI:1.36~94.17)、ベースライン時の血清クレアチニン値が相対的に高い症例(mg/dL ごとのHR:1.91、95%CI:1.22~2.99)、侵襲的換気療法実施例(非侵襲的換気療法実施例に対するHR:2.78、95%CI:0.33~23.19)で高い傾向がみられた。・32例(60%)がフォローアップ中に有害事象を報告した。最も一般的な有害事象は、肝酵素値の上昇、下痢、発疹、腎障害、低血圧。12例(23%)で多臓器不全症候群、敗血症性ショック、急性腎障害、低血圧等の深刻な有害事象が発生し、これらはベースライン時に侵襲的換気を受けていた症例で報告された。・4例が治療途中で投与が中止され、その理由は既存の腎機能障害の悪化が1例、多臓器不全が1例、肝酵素値の上昇が2例(うち1例は斑状丘疹状皮疹発現)であった。 著者らは、コホートサイズの小ささ、フォローアップ期間の短さ、無作為化対照群がないこと等の本研究の限界に触れ、支持療法の種類や施設での治療プロトコル、入院のしきい値の違いなどが、結果に寄与している可能性を指摘。そのうえで、今回の分析からはremdesivirが重症Covid-19患者に臨床的利益をもたらす可能性が示唆されたとし、進行中の無作為化プラセボ対照試験の結果が待たれるとしている。(ケアネット 遊佐 なつみ)専門家はこう見る:CLEAR!ジャーナル四天王

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COVID-19への対応を医療機関向けに公開/国立国際医療研究センター

 ほぼ全国で患者が確認されつつある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、COVID-19の国内発生の初期から本感染症患者の診療にあたってきた国立国際医療研究センター(NCGM)は、医療機関向けに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する当院の対応」を公開した。 本コンテンツでは、・入院患者(外来も準ずる)における COVID-19の感染対策 ・手術室における感染対策・個人防護具装着方法・個人防護具脱衣方法について、コンパクトかつ重要なポイントのみ記載され、臨床現場で使いやすいものとなっている。 今後のCOVID-19診療で参考にしていただきたい。

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非典型溶血性尿毒症症候群〔aHUS :atypical hemolytic uremic syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義非典型尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)は、補体制御異常に伴い血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を呈する疾患である。TMAは、1)微小血管症性溶血性貧血、2)消費性血小板減少、3)微小血管内血小板血栓による臓器機能障害、を特徴とする病態である。■ 疫学欧州の疫学データでは、成人における発症頻度は毎年100万人に2~3人、小児では100万人に7人程度とされる。わが国での新規発症は年間100~200例程度と考えられている。わが国の遺伝子解析結果では、C3変異例の割合が高く(約30%)、欧米で多いとされるCFH遺伝子変異の割合は低い(約10%)。■ 病因病因は大きく、先天性、後天性、その他に分かれる。1)先天性aHUS遺伝子変異による補体制御因子の機能喪失あるいは補体活性化因子の機能獲得により補体第2経路が過剰に活性化されることで血管内皮細胞や血小板表面の活性化をもたらし微小血栓が産生されaHUSが発症する(表1)。機能喪失の例として、H因子(CFH)、I因子(CFI)、CD46(membrane cofactor protein:MCP)、トロンボモジュリン(THBD)の変異、機能獲得の例として補体C3、B因子(CFB)の変異が挙げられる。補体制御系ではないが、diacylglycerol kinase ε(DGKE)やプラスミノーゲン(PLG)遺伝子の変異も先天性のaHUSに含めることが多い。表1 aHUSの原因別の治療反応性と予後画像を拡大する2)後天性aHUS抗H因子抗体の出現が挙げられる。CFHの機能障害により補体第2経路が過剰に活性化する。抗H因子抗体陽性者の多くにCFHおよびCFH関連蛋白質(CFHR)1~5の遺伝子欠損が関与するとされている。3)その他現時点では原因が特定できないaHUSが40%程度存在する。■ 症状溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害による症状を認める。具体的には血小板減少による出血斑(紫斑)などの出血症状や溶血性貧血による全身倦怠感、息切れ、高度の腎不全による浮腫、乏尿などである。発熱、精神神経症状、高血圧、心不全、消化器症状などを認めることもある。下痢があってもaHUSが否定されるわけではないことに注意を要する。aHUSの発症には多くの場合、感染症、妊娠、がん、加齢など補体の活性化につながるイベントが観察される。わが国の疫学調査でも、75%の症例で感染症を始めとする何らかの契機が確認されている。■ 予後一般に、MCP変異例は軽症で予後良好、CFHの変異例は重症で予後不良、C3変異例はその中間程度と言われている(表1)。海外データではaHUS全体における慢性腎不全に至る確率、つまり腎死亡率は約50%と報告されている。わが国の疫学データではaHUSの総死亡率は5.4%、腎死亡率は15%と比較的良好であった。特に、わが国に多いC3 p.I1157T変異例および抗CFH抗体陽性例の予後は良いとされている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ TMA分類の概念TMAの3徴候を認める患者のうち、STEC-HUS、TTP、二次性TMA(代謝異常症、感染症、薬剤性、自己免疫性疾患、悪性腫瘍、HELLP症候群、移植後などによるTMA)を除いたものを臨床的aHUSと診断する(図1)。図1 aHUS定義の概念図画像を拡大する■ 診断手順と鑑別診断フローチャート(図2)に従い鑑別診断を進めていく。図2 TMA鑑別と治療のフローチャート画像を拡大する1)TMAの診断aHUS診断におけるTMAの3徴候は、下記のとおり。(1)微小血管症性溶血性貧血:ヘモグロビン(Hb) 10g/dL未満血中 Hb値のみで判断するのではなく、血清LDHの上昇、血清ハプトグロビンの著減(多くは検出感度以下)、末梢血塗沫標本での破砕赤血球の存在をもとに微小血管症性溶血の有無を確認する。なお、破砕赤血球を検出しない場合もある。(2)血小板減少:血小板(platelets:PLT)15万/μL未満(3)急性腎障害(acute kidney injury:AKI):小児例では年齢・性別による血清クレアチニン基準値の1.5倍以上(血清クレアチニンは、日本小児腎臓病学会の基準値を用いる)。成人例では、sCrの基礎値から1.5 倍以上の上昇または尿量0.5mL/kg/時以下が6時間以上持続のいずれかを満たすものをAKIと診断する。2)TMA類似疾患との鑑別溶血性貧血を来す疾患として自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が鑑別に挙がる。AIHAでは直接クームス試験が陽性となる。消費性血小板減少を来す疾患としては、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を鑑別する。PT、APTT、FDP、Dダイマー、フィブリノーゲンなどを測定する。TMAでは原則として凝固異常はみられないが、DICでは著明な凝固系異常を呈する。また、DICは通常感染症やがんなどの基礎疾患に伴い発症する。3)STEC-HUSとの鑑別食事歴と下痢・血便の有無を問診する。STEC-HUSは、通常血液成分が多い重度の血便を伴う。超音波検査では結腸壁の著明な肥厚とエコー輝度の上昇が特徴的である。便培養検査、便中の志賀毒素直接検出検査、血清の大腸菌O157LPS抗体検査が有用である。小児では、STEC-HUSがTMA全体の約90%を占めることから、生後6ヵ月以降で、重度の血便を主体とした典型的な消化器症状を伴う症例では、最初に考える。逆に生後6ヵ月までの乳児にTMAをみた場合はaHUSを強く疑う。小児のSTEC-HUSの1%に補体関連遺伝子変異が認められると報告されている点に注意が必要である。詳細は、HUSガイドラインを参照。4)TTPとの鑑別血漿を採取し、ADAMTS13活性を測定する。10%未満であればTTPと診断できる。aHUS、STEC-HUS、二次性TMAなどでもADAMTS13活性の軽度低下を認めることがあるが、一般に20%以下にはならない。aHUSにおける臓器障害は急性腎障害(AKI)が最も多いのに対して、TTPでは精神神経症状を認めることが多い。TTPでも血尿、蛋白尿を認めることがあるが、腎不全に至る例はまれである。5)二次性TMAとの鑑別TMAを来す基礎疾患を有する二次性TMAの除外を行った患者が、臨床的にaHUSと診断される。aHUS確定診断のための遺伝子診断は時間を要するため、多くの症例で急性期には臨床的に判断する。表2に示す二次性TMAの主たる原因を記す。可能であれば、原因除去あるいは原疾患の治療を優先する。コバラミン代謝異常症は特に生後6ヵ月未満で考慮すべき病態である。生後1年以内に、哺乳不良、嘔吐、成長発育不良、活気低下、筋緊張低下、痙攣などを契機に発見される例が多いが、成人例もある。ビタミンB12、血漿ホモシスチン、血漿メチルマロン酸、尿中メチルマロン酸などを測定する。乳幼児の侵襲性肺炎球菌感染症がTMAを呈することがある。直接Coombs試験が約90%の症例で陽性を示す。肺炎球菌が産生するニューラミニダーゼによって露出するThomsen-Friedenreich (T)抗原に対する抗T-IgM抗体が血漿中に存在するため、血漿投与により病状が悪化する危険性がある。新鮮凍結血漿を用いた血漿交換療法や血漿輸注などの血漿治療は行わない。妊娠関連のTMAのうち、HELLP症候群(妊娠高血圧症に合併する溶血性貧血、肝障害、血小板減少)や子癇(妊娠中の高血圧症と痙攣)は分娩により速やかに軽快する。妊娠関連TMAは常位胎盤早期剥離に伴うDICとの鑑別も重要である。TTPは妊娠中の発症が多く,aHUSは分娩後の発症が多い。腎移植後に発症するTMAは、原疾患がaHUSで腎不全に陥った症例におけるaHUSの再発、腎移植後に新規で発症したaHUS、臓器移植に伴う急性抗体関連型拒絶反応が疑われる。aHUSが疑われる腎不全患者に腎移植を検討する場合は、あらかじめ遺伝子検査を行っておく。表2 二次性TMAの主たる原因a)妊娠関連TMAHELLP症候群子癪先天性または後天性TTPb)薬剤関連TMA抗血小板剤(チクロビジン、クロピドグレルなど)カルシニューリンインヒビターmTOR阻害剤抗悪性腫瘍剤(マイトマイシン、ゲムシタビンなど)経口避妊薬キニンc)移植後TMA固形臓器移植同種骨髄幹細胞移植d)その他コパラミン代謝異常症手術・外傷感染症(肺炎球菌、百日咳、インフルエンザ、HIV、水痘など)肺高血圧症悪性高血圧進行がん播種性血管内凝固症候群自己免疫疾患(SLE、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、血管炎など)(芦田明ほか.日本アフェレシス学会雑誌.2015;34:40-47.より引用・改変)6)家族歴の聴取家族にTMA(aHUSやTTP)と診断された者や原因不明の腎不全を呈した者がいる場合、aHUSを疑う。ただし、aHUS原因遺伝子変異があっても発症するのは全体で50%程度とされている。よって家族性に遺伝子変異があっても家族歴がはっきりしない例も多い。さらに孤発例も存在する。7)治療反応性による診断の再検討aHUSは 75%の症例で感染症など何らかの疾患を契機に発症する。二次性TMAの原因となる疾患がaHUSを惹起することもある。実臨床においては二次性TMAとaHUSの鑑別はしばしば困難である。2次性TMAと考えられていた症例の中で、遺伝子検査によりaHUSと診断が変更されることは少なくない。いったんaHUSあるいは二次性TMAと診断しても、治療反応性や臨床経過により診断を再検討することが肝要である(図2)。■ 検査1)一般検査血算、破砕赤血球の有無、LDH、ハプログロビン、血清クレアチニン、各種凝固系検査でTMAを診断する。ADAMTS13-活性検査は保険適用となっている。STEC-HUSの鑑別を要する場合は便培養、便中志賀毒素検査、血清大腸菌O157LPS抗体検査を行う。一般の補体検査としてC3、C4を測定する。C3低値、C4正常は補体第2経路の活性化を示唆するが、aHUS全体の50%程度でしか認められない。2)補体関連特殊検査現在、全国aHUSレジストリー研究において、次に記す検査を実施している。ヒツジ赤血球を用いた溶血試験CFH遺伝子異常、抗CFH抗体陽性例において高頻度に陽性となる。比較的短期間で結果が得られる。診断のフローとしては、臨床的にaHUSが疑ったら溶血試験を実施する(図2)。抗CFH抗体検査:ELISA法にてCFH抗体を測定する。抗CFH抗体出現には、CFHおよびCFH関連蛋白質(CFHR)1~5の遺伝子欠損が関与するとされているため、遺伝子検査も並行して実施する。CFHR 領域は、多彩な遺伝子異常が報告されているが、相同性が高いことから遺伝子検査が困難な領域である。その他aHUSレジストリー研究では、血中のB因子活性化産物、可溶性C5b-9をはじめとする補体関連分子を測定しているが、その診断的意義は現時点で明確ではない。*問い合わせ先を下に記す。aHUSレジストリー事務局(名古屋大学 腎臓内科:ahus-office@med.nagoya-u.ac.jp)まで■ 遺伝子診断2020年4月からaHUSの診断のための補体関連因子の遺伝子検査が保険適用となった。既知の遺伝子として知られているC3、CFB、CFH、CFI、MCP(CD46)、THBD、diacylglycerol kinase ε(DGKE)を検査する。臨床的にaHUSと診断された患者の約60%にこれらの遺伝子変異を認める。さらに詳細な遺伝子解析についての相談は、上記のaHUSレジストリー事務局で受け付けている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)aHUSが疑われる患者は、血漿交換治療や血液透析が可能な専門施設に転送して治療を行う。TMA を呈し、STEC-HUS や血漿治療を行わない侵襲性肺炎球菌感染症などが否定的である場合には、速やかに血漿交換治療を開始する。輸液療法・輸血・血圧管理・急性腎障害に対する支持療法や血液透析など総合的な全身管理も重要である。1)血漿交換・血漿輸注血漿療法は1970年代後半から導入され、aHUS患者の死亡率は50%から25%にまで低下した。血漿交換を行う場合は3日間連日で施行し、その後は反応を見ながら徐々に間隔を開けていく。血漿交換を行うことが難しい身体の小さい患児では血漿輸注が施行されることもある。血漿輸注や血漿交換により、aHUS の約70%が血液学的寛解に至る。しかし、長期的には TMA の再発、腎不全の進行、死亡のリスクは依然として高い。血漿交換が無効である場合には、aHUSではなく二次性TMAの可能性も考える。2)エクリズマブ(抗補体C5ヒト化モノクローナル抗体、商品名:ソリリス)成人では、STEC-HUS、TTP、二次性 TMA 鑑別の検査を行いつつ、わが国では同時に溶血試験を行う。溶血試験陽性あるいは臨床的にaHUSと診断されたら、エクリズマブの投与を検討する。小児においては、成人と比較して二次性 TMA の割合が低く、血漿交換や血漿輸注のためのカテーテル挿入による合併症が多いことなどから、臨床的にaHUS と診断された時点で早期にエクリズマブ投与の開始を検討する。aHUSであれば1週間以内、遅くとも4週間までには治療効果が見られることが多い。効果がみられない場合は、二次性TMAである可能性を考え、診断を再検討する(図2)。遺伝子検査の結果、比較的軽症とされるMCP変異あるいはC3 p.I1157T変異では、エクリズマブの中止が検討される。予後不良とされるCFH変異では、エクリズマブは継続投与される。※エクリズマブ使用時の注意エクリズマブ使用時には髄膜炎菌感染症対策が必須である。莢膜多糖体を形成する細菌の殺菌には補体活性化が重要であり、エクリズマブ使用下での髄膜炎菌感染症による死亡例も報告されている。そのため、緊急投与時を除きエクリズマブ投与開始2週間前までに髄膜炎菌ワクチンの接種が推奨される。髄膜炎菌ワクチン接種、抗菌薬予防投与ともに髄膜炎菌感染症の全症例を予防することはできないことに留意すべきである。具体的なワクチン接種や抗菌薬による予防および治療法については、日本腎臓学会の「ソリリス使用時の注意・対応事項」を参照されたい。3)免疫抑制治療抗CFH抗体陽性例に対しては、血漿治療と免疫抑制薬・ステロイドを併用する。臓器障害を伴ったaHUSの場合にはエクリズマブの使用も考慮される。抗CFH抗体価が低下したら、エクリズマブの中止を検討する。4 今後の展望■ aHUSの診断2020年4月からaHUSの遺伝子解析が保険収載された。aHUSの診断にとっては大きな進展である。しかし、aHUSの診断・治療・臨床経過には依然不明な点が多い。aHUSレジストリー研究の成果がaHUS診療の向上につながることが期待される。■ 新規治療薬アレクシオンファーマ合同会社は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) の治療薬として、長時間作用型抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤ラブリズマブ(商品名:ユルトミリス)を上市した。エクリズマブは2週間間隔の投与が必要であるが、ラブリズマブは8週間隔投与で維持可能である。今後、aHUSへも適応が広がる見込みである。中外製薬株式会社は抗C5リサイクリング抗体SKY59の開発を進めている。現在のところ対象疾患はPNHとなっている。5 主たる診療科腎臓内科、小児科、血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド 2015(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 非典型溶血性尿毒症症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)aHUSレジストリー事務局ホームページ(名古屋大学腎臓内科ホームページ)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Fujisawa M, et al. Clin and Experimental Nephrology. 2018;22:1088–1099.2)Goodship TH, et al. Kidney Int. 2017;91:539.3)Aigner C, et al. Clin Kidney J. 2019;12:333.4)Lee H,et al. Korean J Intern Med. 2020;35:25-40.5)Kato H, et al. Clin Exp Nephrol. 2016;20:536-543.公開履歴初回2020年04月14日

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COVID-19への喫煙の影響~71研究の系統的レビュー

 喫煙者は、過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)の死亡率が高かったー。それを踏まえ、今回、米国・ハーバード大学のConstantine I Vardavas氏らは、喫煙情報を含むCOVID-19に関する研究についてシステマティックレビューを実施した。その結果、喫煙はCOVID-19の負の進行と有害転帰にもっとも関連している可能性が高いことが示された。Tabacco induced diseases誌オンライン版3月20日号掲載の報告。喫煙者がCOVID-19の重篤な症状を示す可能性は1.4倍高かった 研究者らは2020年3月17日、2つのデータベース(PubMed、ScienceDirect)を使用して2019年と2020年に公開された研究から文献検索を実施した。評価項目は、疾患の重症度、人工呼吸器の必要性、集中治療室(ICU)入室と死亡、喫煙とCOVID-19の転帰の関係性であった。 喫煙情報を含むCOVID-19に関する研究についてシステマティックレビューを実施した主な結果は以下のとおり。・検索により合計71研究を抽出、うち66件が除外された。残った5研究はすべて中国(4件は武漢、1件は中国本土全体)で実施されていた。・5研究の母集団はCOVID-19患者で、サンプルサイズは41〜1,099人だった。・重症度を評価し、5研究の中で最も大きな研究によると、ICUのサポート、人工呼吸器を必要とする患者、または死亡患者には喫煙歴を有する者(禁煙者、現在喫煙中の両方含む)の割合が高く、重症例でも喫煙者の割合が高かった。・非喫煙者と比較して、喫煙者がCOVID-19の重篤な症状を示す可能性は1.4倍高かった(リスク比[RR]=1.4、95%信頼区間[95%CI]:0.98〜2.00)。・また、非喫煙者と比較して、喫煙者のCOVID-19によるICU入室の可能性、機械的換気の必要や死亡率は約2.4倍高かった。(RR=2.4、95%CI:1.43~4.04)。

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アクテムラ、日本国内COVID-19肺炎対象のP3試験開始へ/中外

 2020年4月8日、中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂達朗氏)は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体(一般名:トシリズマブ、商品名:アクテムラ)での、日本国内における重症新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)を対象とした国内第III相臨床試験の実施について発表した。アクテムラは炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害 アクテムラの第III相試験については、海外では、米国、カナダおよび欧州を含む世界における重症COVID-19肺炎の入院患者約330例を対象として、プラセボと標準的な医療措置の併用と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験(COVACTA試験)の実施をロシュ社が発表している。 アクテムラは炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬が創製した国産初の抗体医薬品。国内において、点滴静注製剤は6つの適応症(キャッスルマン病、関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎[sJIA]、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎[pJIA]、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群、成人スチル病)で、皮下注製剤では3つの適応症(関節リウマチ、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)で承認を取得している。

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